JP2007312582A - ループ系統保護装置と方法 - Google Patents

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昭憲 西
Kazuya Komata
和也 小俣
Toshio Tanaka
年男 田中
Masao Hori
政夫 堀
Kazunobu Fukuda
和宜 福田
Jun Motohashi
準 本橋
Takao Hirai
崇夫 平井
Naoki Kobayashi
小林  直樹
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Abstract

【課題】ループ系統の配電線における大口需要家側の事故を確実に判定可能とし、変電所側の保護装置と容易に協調を取って、ループを構成する遮断器をループ点で開放して迅速に事故除去可能とし、ループ系統の配電線における他の負荷を停電させずに電力供給継続可能とする。
【解決手段】電流入力部101は、ループ点における各回線の電流変成器7Ba〜7Bcの出力をループ系統保護装置10に入力する。電流変換部102は、入力した各回線電流を、ループ系統保護装置10内で取り扱い易いデータ形式の情報に変換する。電流加算部103は、変換された各回線電流の合計電流を求める。事故判定部104は、合計電流が予め設定された所定値以上である場合に、大口需要家9側の事故であると判定する。遮断指令部105は、ループ点のループを構成する遮断器6Ba〜6Bcに向けて遮断指令を出力する。
【選択図】図2

Description

本発明は、配電線の電力供給に係り、特に、配電線をループ化して大口需要家へ供給するループ系統を構成した場合の保護方式に関する。
配電系統をループ系統とした場合には、ループ系統事故時にループ点における事故回線選択が重要になり、この回線選択が的確に行えない場合は、電源である変電所側でループ回線が全て遮断され、大口需要家を含め当該配電線から受電していた需要家が停電するという問題がある。
さらに、大口需要家は、自家発電設備や、負荷としての誘導電動機を有することから、事故発生時にはこれらが電源となって事故電流を供給することになる。また、他の配電線の事故回復時には、大口需要家の受電用変圧器や動力用変圧器に向かって変電所側の電源から変圧器励磁突入電流が流れるという事象が生じる。ループ系統に流れる電流に基づいて事故の判定を行った場合、これらの需要家からの事故電流分や変圧器の励磁突入電流により事故回線あるいは事故方向の判定を誤る可能性があるため、それらの電流に関わらず、事故回線あるいは事故方向を正確に判定する必要がある。このループ系統の保護については、例えば、特許文献1に記載の発明が提案されている。
特開平9−44508 「保護継電技術」(小林進著)電気書院、昭和46年発行
しかし、特許文献1に記載の従来発明は、樹枝状の配電線とループ系統構成した配電線とで、系統構成に応じて変電所での事故検出遮断方式を変更するものであり、ループ点を遮断できないため、やはりループ系統全体が停電してしまうという問題がある。ループ系統の場合は、ループ点での事故検出遮断が変電所の保護装置と協調を取って適切に行われれば、変電所の保護方式を変更する必要はないため、そのような事故検出遮断を実現することが課題となっている。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ループ系統の配電線における大口需要家側の事故を確実に判定可能とし、変電所側の保護装置と容易に協調を取って、ループを構成する遮断器をループ点で開放して迅速に事故除去可能とし、ループ系統の配電線における他の負荷を停電させずに電力供給継続可能なループ系統保護装置と方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、ループ点における全回線の合計電流が、予め算出した需要家からの事故電流の最大値あるいは大口需要家の負荷電流の最大値を超えた場合に、需要家側の事故であると判定できる点に着目し、また、ループ点における電圧と全回線の合計電流との位相関係に着目し、さらに、変圧器の励磁突入電流には基本波電流に対して第2調波電流が多く含まれる点に着目した結果なされたものである。
すなわち、本発明は、ループ点における全回線の合計電流を使用して、合計電流の大きさに基づく事故検出あるいは合計電流の大きさとループ点電圧に基づく事故方向判定を用いた事故検出を行い、あるいはまた、追加的に第2調波電流の含有率検出を行うことにより、大口需要家側の事故を確実に判定可能とし、変電所側に設置された保護装置と容易に協調可能としたものである。そして、大口需要家側の事故と判定した場合には、変電所側の保護装置よりも早くループ系統を構成している遮断器を開放することにより、ループ系統を構成する回線の供給先である他の負荷を停電させることなく電力供給継続可能としたものである。
本発明のループ系統保護装置は、複数の配電線をループ化して電力を供給するループ系統を保護する装置において、電流加算手段、事故判定手段、遮断指令手段を有することを特徴としている。ここで、電流加算手段は、ループ点における各回線電流の合計電流を求める手段である。事故判定手段は、電流加算手段で得られた合計電流に基づき、需要家側の事故であるか否かを判定する手段である。遮断指令手段は、事故判定手段で需要家側の事故と判定した場合に、前記ループ点のループを構成する遮断器を開放する遮断指令を出力する手段である。
本発明におけるループ系統保護方法は、上記装置の特徴を、方法の観点から把握したものである。
本発明によれば、大口需要家側の事故時に、当該事故を確実に判定可能とし、変電所側の保護装置と容易に協調を取って、ループを構成する遮断器をループ点で開放して迅速に事故除去可能とし、ループ系統の配電線における他の負荷を停電させずに電力供給継続可能である。
以下には、本発明を適用した複数の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
[第1の実施形態]
[構成]
図1は、本発明を適用した第1の実施形態に係るループ系統保護装置を組み込んだ配電系統を示す系統図である。この図1においては、一例として、3回線のループ系統を構成した場合を示しているが、本発明において、ループ系統を構成する回線数はこれに限定されるものではなく、ループ系統は、任意の数の回線数により構成可能である。
この図1において、1は配電用変電所の母線、2は配電線、3はループ系統の母線、4は配電線の負荷線、5はループ系統を構成している配電線のインピーダンスをそれぞれ示している。また、6Aは配電用変電所の遮断器、6Bはループを構成する遮断器、7Aは配電用変電所の電流変成器(CT)、7Bはループ点の電流変成器(CT)、8はループ点の電圧変成器(VT)をそれぞれ示している。さらに、9は大口需要家、10は本実施形態に係るループ系統保護装置を示している。
なお、この図1を含む各図面中において、アルファベット小文字の「a」、「b」、「c」は、ループ系統を構成する3回線における同一の要素を、各回線を区別して示す添え字であり、「d」は、ループ系統以外の回線を示す添え字である。これに対して、各図面中におけるアルファベット大文字の「A」、「B」等は、配置、機能、または構成の異なる要素を区別するための添え字である。
図2は、図1に示す第1の実施形態に係るループ系統保護装置10の構成を示すブロック図である。この図2に示すように、本実施形態のループ系統保護装置10は、電流入力部101、電流変換部102、電流加算部103、事故判定部104、遮断指令部105を有する。
電流入力部101は、ループ点における各回線の電流変成器7Ba〜7Bcの出力をループ系統保護装置10に入力する機能部である。電流変換部102は、入力した各回線電流を、ループ系統保護装置10内で取り扱い易いデータ形式、すなわち、後段の電流加算部103および事故判定部104で取り扱い易いデータ形式の情報に変換する機能部である。電流加算部103は、変換された各回線電流の合計電流を求める機能部である。
事故判定部104は、電流加算部103で得られたループ点における各回線電流の合計電流に基づき、大口需要家9側の事故であるか否かを判定する機能部である。本実施形態において、この事故判定部104は、合計電流が予め設定された所定値以上である場合に、大口需要家9側の事故であると判定する。遮断指令部105は、ループ点のループを構成する遮断器6Ba〜6Bcに向けて遮断指令を出力する機能部である。
なお、図2中において、ループ系統保護装置10を構成する各機能部101〜105は、電子回路により実現可能であるが、ディジタルリレーにおいて、これらの機能部101〜105を電子チップとソフトウェアの組合せで実現可能であることは言うまでもない。
[ループ系統に流れる事故電流]
図3は、図1に示す配電系統において、事故時にループ回線に流れる事故電流を説明する図である。なお、図3では、図面の簡略化の観点から、事故電流の説明に不要な構成要素は適宜省略して示している。以下には、この図3を参照しながら、本実施形態の事故判定部104により事故電流が大口需要家9側の事故であるか否かを判定するために使用する事故電流の計算式について説明する。
図3は、図1に示す配電系統の3回線ループ系統で、変電所側の背後電源インピーダンスをZs、変電所側から流れ込む電流をIf、事故時に大口需要家9の自家発電設備や誘導電動機から供給される電流をIjとして示している。この図3においてはまた、ループ系統の各回線電流をIba〜Ibcとし、各回線の線路インピーダンスの値をZa、Zb、Zcとして示している。
この図3において、ループ系統外の回線の事故時(外部事故時)F1に、ループ系統の回線の各端子に大口需要家9側から流れる各回線電流Iba〜Ibcは、各回線のインピーダンス比で分流するため、次の式(1)、(2)で表される。
Figure 2007312582
また、ループ系統内の回線の事故時(内部事故時)、例えば、事故回線がa回線で、事故点が配電用変電所からa回線の線路長のXである場合(F2)に、ループ端子に流れる各回線電流Iba〜Ibcは、大口需要家9の電流を無視すると、次の式(3)で表される。
Figure 2007312582
さらに、この式(3)は、前記式(2)より、次の式(4)で表される。
Figure 2007312582
また、ループ系統内の回線の事故時(内部事故時)、例えば、事故回線がa回線で、事故点が配電用変電所からa回線の線路長のXである場合(F2)に、ループ端子に流れる各回線電流Iba〜Ibcは、変電所からの電流を無視(変電所の電源を短絡)すると、次の式(5)で表される。
Figure 2007312582
したがって、ループ系統内の回線の事故時(内部事故時)、例えば、事故回線がa回線で、事故点が配電用変電所からa回線の線路長のXである場合(F2)に、実際に流れる電流は、前記式(3)と式(5)式の加算であるが、このような内部事故時F2においては、大口需要家からの電流より変電所からの電流の方が大きいため、ここでは、大口需要家からの電流を無視して説明する。
一方、大口需要家9側の事故時F3には、ループ系統内の回線には、大口需要家からの電流は流れず、変電所からの電流がループ系統内の回線のインピーダンス比で流れるのみであるため、ループ端子に流れる各回線電流Iba〜Ibcは、次の式(6)で表される。
Figure 2007312582
いま、ループ点において、大口需要家側の事故を、ループ系統内の各回線電流の大きさで判定するものとすると、上述したような外部事故時F1およびループ回線内の事故時F2に動作しない感度とする必要がある。そのため、事故判定部104は、前記式(1)、(3)、(5)で示した電流では不動作(大口需要家側の事故以外と判定)とし、前記式(6)の値で動作(大口需要家側の事故と判定)するように設定する必要がある。
[作用]
以下には、図1および図2に示す第1の本実施形態に係るループ系統保護装置10の作用について説明する。
まず、前述したように、ループ点のループを構成する全回線電流の合計電流は、平常時は需要家へ流れる負荷電流の合計値であり、外部事故時(図3のF1)は需要家から供給する事故電流分であり、ループ系統を構成する回線の内部事故時(図3のF2)は需要家から供給する事故電流分であるという特徴がある。また、大口需要家9側の事故時(図3のF3)には、変電所から前述した電流以上の大きな電流が流れる。このため、ループ系統の全回線電流の合計電流が、予め求められていた大口需要家9側から供給される事故電流の最大値、あるいは、大口需要家9の負荷電流の最大値を超えた場合には、大口需要家9側の事故であると判定できる。
本実施形態におけるループ系統保護装置10は、以上のような判定方式に基づき、事故判定部104により、大口需要家9側の事故であるか否かを判定し、大口需要家9側の事故であると判定した場合は、遮断指令部105によって、変電所側の保護装置よりも早くループ点でループを構成する遮断器を開放することにより、ループを構成する回線の供給先である他の需要家の負荷を停電させることなく電力供給継続できる。以下には、この作用についてより具体的に説明する。
すなわち、ループ系統を構成する3回線の電流変成器7Ba〜7Bcの二次側電流を、回線毎の電流入力部101により入力し、回線毎の電流変換部102により、ループ系統保護装置10内で取り扱い易いデータ形式の情報にそれぞれ変換する。具体的には、電流変成器7Ba〜7Bcとループ系統保護装置10の構成およびこれらの装置間の通信構成や伝送方式に応じて、アナログデータをディジタルデータに変換したり、通信データから必要な情報のみを抽出したり、あるいは、圧縮または暗号化されたデータを元のデータに復元するなどの、何らかのデータ変換処理を行う。
そして、回線毎の電流変換部102により変換された3回線の各回線電流Iba〜Ibcは、後段の電流加算部103により加算される。ここで、電流加算部103により求められる合計電流ITは、次の式(7)で表される。
Figure 2007312582
事故判定部104では、この式(7)に示すループ各回線電流の合計電流ITを使用して大口需要家9側の事故であるか否かを判定する。式(7)に示す合計電流ITは、外部事故時(図3のF1)には、前記式(1)から、次の式(7’)に示すように、「Ij」となり、大口需要家からの電流そのものとなる。
Figure 2007312582
また、ループ系統の内部事故時(図3のF2)には、変電所側を電源とした電流を示す前記式(4)から、前記式(7)の合計電流ITは「0」となり、大口需要家9側からの電流を示す前記式(5)から、前記式(7)の合計電流ITは「Ij」となり、大口需要家9側からの電流そのものとなる。一方、大口需要家9側の事故(図3のF3)の場合には、前記式(6)から、前記式(7)の合計電流ITは「−If」となり、変電所側から供給される事故電流となる。
したがって、ループ系統の回線電流の合計電流ITの絶対値は、動作してはならない電流値「Ij」の絶対値より大きな電流が流れれば、大口需要家9側の事故(図3のF3)と判断できる。
本実施形態はこのような関係を利用して大口需要家9側の事故を判定するものである。すなわち、事故判定部104は、このようなループ系統の回線電流の合計電流ITを用いて、次の式(8)が成立する場合に、大口需要家の事故であると判定し、遮断指令部105を通じて、ループ点のループを構成する遮断器に開放指令を出力し、当該遮断器を開放する。
Figure 2007312582
[効果]
以上のような第1の実施形態によれば、ループ点における全回線電流の合計電流を使用して、合計電流の大きさによる需要家事故検出を行うことにより、合計電流の値が予め設定された所定値以上である場合に、大口需要家側の事故であると判定でき、しかも、変電所側に設置された保護装置とも容易に協調が取れた事故遮断が可能となる。
したがって、大口需要家側の事故時には、当該事故を確実かつ迅速に判定可能であり、変電所側の保護装置と容易に協調を取って、ループを構成する遮断器をループ点で開放して迅速に事故除去可能であるため、ループ系統の配電線における他の需要家の負荷を停電させずに安定して電力供給継続可能である。すなわち、ループを構成する遮断器を、変電所側の保護装置の動作時間以前にループ点で遮断できるため、ループ系統全体の停電を防止でき、他の需要家の負荷に対して安定して電力供給継続可能である。
[第2の実施形態]
[構成]
図4は、本発明を適用した第2の実施形態に係るループ系統保護装置10Aの構成を示すブロック図である。この図4に示すように、本実施形態のループ系統保護装置10Aは、第1の実施形態に係るループ系統保護装置10(図2)の構成に、電圧入力部101Aと電圧変換部102Aを追加すると共に、第1の実施形態における事故判定部104の代わりに、異なる機能を有する事故判定部104Aを設けたものである。なお、他の構成は、第1の実施形態と同様である。
電圧入力部101Aは、ループ点における電圧変成器8の出力をループ系統保護装置10Aに入力する機能部である。電圧変換部102Aは、入力した電圧を、ループ系統保護装置10内で取り扱い易いデータ形式の情報に変換する機能部である。事故判定部104Aは、電流加算部103で得られたループ点における各回線電流の合計電流と電圧変換部102Aで変換されたループ点の電圧という2種類の値に基づいて事故方向を判定することで、大口需要家9側の事故であるか否かを判定する機能を有する。
[作用]
以下には、図4に示す第2の実施形態に係るループ系統保護装置10Aの作用について説明する。なお、本実施形態の基本的な作用は第1の実施形態と同様であるため、ここでは、第1の実施形態と異なる作用についてのみ説明する。
本実施形態において、事故判定部104Aは、電圧変換部102Aで変換されたループ点の電圧を方向判定の極性量として、電流加算部103で得られたループ点における各回線電流の合計電流の電流位相を判定することにより、事故方向を判定する。
なお、このように、電圧を極性量とし、電流の位相で事故方向を判定する方式としては、既に各種の方式が実用化されており、例えば、次の式(9)、(10)で示すような2つの方式が挙げられる。
Figure 2007312582
また、図5の(a)は式(9)の動作特性例、図5の(b)は式(10)の動作特性例をそれぞれ示す図である。図5の(b)に示すように、式(10)の動作特性では、事故判定部104Aは、図5中に示される円内のインピーダンスについての動作条件が満たされた場合に方向判定動作を行う。
式(9)を使用する場合は、定数Ik1の値は、健全時や事故回復時に大口需要家に流れる電流の最大を考慮した値とする。また、式(10)を採用する場合も、健全時や事故回復時に大口需要家に流れる電流の最大でのインピーダンスが整定値Zを超えないことが条件である。
ここで、ループ系統の短絡事故時の電圧と電流の位相関係を説明する。なお、配電系統が非接地系統であるため、地絡事故は考慮しない。大口需要家9側の事故時(図3のF3)の各回線電流の合計電流(ここでは、大口需要家9側の事故を判定するため、大口需要家9側に流れ込む電流、すなわち、
Figure 2007312582
である)とループ点の電圧との位相関係は、例えば、R、S、T相からなる3相のうち、S、T相間の短絡事故を想定した場合、事故相間電流(Is−It)には、事故相間電圧(Vst)に対して線路インピーダンス角の遅れが生じる。
この場合、非事故相間電圧(Vtr)に対して非事故相間電流(It−Ir)は、潮流の影響はあるが、一般に線路のインピーダンス角に約60°加算した方向となり、非事故相間電圧(Vrs)に対して非事故相間電流(Ir−Is)は、線路のインピーダンス角に約60°減算した方向になる。
一方、ループ系統回線内の事故の場合は、電圧と電流の位相は大口需要家側の事故の位相と逆位相になる。このような位相関係は、非特許文献1を初めとする多くの文献で既に開示されている周知の事項である。
[効果]
以上のような第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果に加えて、さらに次のような効果が得られる。すなわち、ループ点における全回線電流の合計電流と電圧の位相関係に着目して事故方向を判定する方式であるため、位相関係を利用した既存の事故方向判定技術を活用して高感度な事故判定を容易に実現できる。
[第3の実施形態]
[構成]
図6は、本発明を適用した第3の実施形態に係るループ系統保護装置10Bの構成を示すブロック図である。この図6に示すように、本実施形態のループ系統保護装置10Bは、第1の実施形態に係るループ系統保護装置10(図2)の構成に、調波割合算出部103Aを追加すると共に、第1の実施形態における事故判定部104の代わりに、異なる機能を有する事故判定部104Bを設けたものである。なお、他の構成は、第1の実施形態と同様である。
調波割合算出部103Aは、電流加算部103で得られたループ点における各回線電流の合計電流から、基本波電流に対する第2調波電流成分の割合を求める機能部である。事故判定部104Bは、電流加算部103で得られたループ点における各回線電流の合計電流と、調波割合算出部103Aで得られた第2調波電流成分の割合という2種類の値に基づいて大口需要家9側の事故であるか否かを判定する機能を有する。
[作用]
以下には、図6に示す第3の実施形態に係るループ系統保護装置10Bの作用について説明する。なお、本実施形態の基本的な作用は第1の実施形態と同様であるため、ここでは、第1の実施形態と異なる作用についてのみ説明する。
本実施形態において、調波割合算出部103Aは、電流加算部103で得られたループ点における各回線電流の合計電流から、基本波電流に対する第2調波電流成分の割合を求める。事故判定部104Bは、ループ点における各回線電流の合計電流が予め設定された所定値以上であり、かつ、調波割合算出部103Aで得られた第2調波電流成分の割合が予め設定された所定値以下である場合に、大口需要家9側の事故であると判定する。
本実施形態におけるこの事故判定方式は、言い換えれば、第1の実施形態と同様にループ点における全回線電流の合計電流の大きさに基づく事故判定を行うだけでなく、追加的に合計電流中の第2調波電流成分の含有率検出を行うものであり、これにより、第1の実施形態に比べて、より高感度の事故判定を実現するものである。以下には、この作用についてより具体的に説明する。
一般的に、大口需要家9の変圧器には、電圧印加時や事故回復時に励磁突入電流が流れる。この励磁突入電流は、変圧器定格電流の5〜10倍にもなる場合があり、電流の大きさのみによる事故判定を行う事故判定方式では、事故判定の感度が励磁突入電流の大きさに左右され、高感度が得られない可能性がある。
本実施形態は、このような場合を想定したものであり、大口需要家の変圧器に電圧印加時や事故回復時に流れる励磁突入電流を検出した場合に、ループ点における全回線の合計電流による事故判定をロックすることにより、事故判定の高感度化を図ったものである。なお、変圧器の励磁突入電流に、基本波に対する2倍調波が多く含まれることは自明である。
本実施形態の事故判定部104Bは、具体的には、前記式(8)と次の式(11)が成立した場合に、大口需要家9側の事故であると判定する。
Figure 2007312582
[効果]
以上のような第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果に加えて、さらに次のような効果が得られる。すなわち、ループ点における全回線電流の合計電流の大きさに基づく事故判定を行うだけでなく、合計電流中の第2調波電流成分の含有率検出を行うことによって、事故回復時や変圧器充電時の変圧器励磁突入電流に影響されることなく、より高感度の事故判定が可能となる。したがって、大口需要家側で事故が発生していない場合に変圧器励磁突入電流に起因して回線を遮断してしまう等の誤動作を確実に防止できるため、より安定した電力供給が可能となる。
[第4の実施形態]
[構成]
図7は、本発明を適用した第4の実施形態に係るループ系統保護装置10Cの構成を示すブロック図である。この図7に示すように、本実施形態のループ系統保護装置10Cは、第2の実施形態に係るループ系統保護装置10A(図4)の構成に、第3の実施形態と同様の調波割合算出部103Aを追加すると共に、第2の実施形態における事故判定部104Aの代わりに、異なる機能を有する事故判定部104Cを設けたものである。なお、他の構成は、第2の実施形態と同様である。
事故判定部104Cは、電流加算部103で得られたループ点における各回線電流の合計電流と電圧変換部102Aで変換されたループ点の電圧に加えて、さらに、調波割合算出部103Aで得られた第2調波電流成分の割合を含めた3種類の値に基づいて大口需要家9側の事故であるか否かを判定する機能を有する。
[作用]
以下には、図7に示す第4の実施形態に係るループ系統保護装置10Cの作用について説明する。なお、本実施形態の基本的な作用は第2の実施形態と同様であるため、ここでは、第2の実施形態と異なる作用についてのみ説明する。
本実施形態において、調波割合算出部103Aは、第3の実施形態と同様に、電流加算部103で得られたループ点における各回線電流の合計電流から、基本波電流に対する第2調波電流成分の割合を求める。事故判定部104Cは、第2の実施形態と同様に、ループ点の電圧を方向判定の極性量とし、ループ点の合計電流の位相に基づく事故判定を行うことに加えて、第3の実施形態と同様に、追加的に合計電流中の第2調波電流成分の含有率検出を行う。
本実施形態の事故判定部104Cは、具体的には、前述した式(8)、式(11)、および式(9)が成立した場合、あるいは、式(8)、式(11)、および式(10)が成立した場合に、大口需要家9側の事故であると判定する。
[効果]
以上のような第4の実施形態によれば、第2の実施形態の効果と第3の実施形態の効果を合せた相乗的な効果が得られる。
[他の実施形態]
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な変形例が実施可能である。例えば、図面に示した装置構成は一例にすぎず、具体的な装置構成は適宜選択可能である。また、本発明の保護対象となるループ系統を構成する回線数が任意に選択可能である点については、前述した通りであるが、本発明の適用対象となる配電系統全体の具体的な構成についても、何等限定されるものではない。すなわち、本発明は、任意の回線数のループ系統を含む多種多様な配電系統に同様に適用可能であり、同様に優れた効果が得られるものである。
本発明を適用した第1の実施形態に係るループ系統保護装置を組み込んだ配電系統を示す系統図。 第1の実施形態に係るループ系統保護装置の構成を示すブロック図。 図1に示す配電系統において、事故時にループ回線に流れる事故電流を説明する図。 本発明を適用した第2の実施形態に係るループ系統保護装置の構成を示すブロック図。 第2の実施形態に係るループ系統保護装置において、電圧を極性量とし、電流の位相で事故方向を判定する場合の事故判定部の動作特性例を示す図。 本発明を適用した第3の実施形態に係るループ系統保護装置の構成を示すブロック図。 本発明を適用した第4の実施形態に係るループ系統保護装置の構成を示すブロック図。
符号の説明
1…配電用変電所の母線
2a〜2c…配電線
3…ループ系統の母線
4…配電線の負荷線
5a〜5c…配電線のインピーダンス
6Aa〜6Ad…配電用変電所の遮断器
6Ba〜6Bc…ループを構成する遮断器
7Aa〜7Ad…配電用変電所の電流変成器(CT)
7Ba〜7Bc…ループ点の電流変成器(CT)
8…ループ点の電圧変成器(VT)
9…大口需要家
10,10A〜10C…ループ系統保護装置
101…電流入力部
101A…電圧入力部
102…電流変換部
102A…電圧変換部
103…電流加算部
103A…調波割合算出部
104,104A〜104C…事故判定部
105…遮断指令部

Claims (6)

  1. 複数の配電線をループ化して電力を供給するループ系統を保護する装置において、
    ループ点における各回線電流の合計電流を求める電流加算手段と、
    前記電流加算手段で得られた合計電流に基づき、需要家側の事故であるか否かを判定する事故判定手段と、
    前記事故判定手段で需要家側の事故と判定した場合に、前記ループ点のループを構成する遮断器を開放する遮断指令を出力する遮断指令手段
    を有することを特徴とするループ系統保護装置。
  2. 前記事故判定手段は、前記電流加算手段で得られた合計電流が予め設定された所定値以上である場合に、需要家側の事故であると判定するように構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のループ系統保護装置。
  3. 前記事故判定手段は、前記電流加算手段で得られた合計電流と前記ループ点の電圧に基づいて事故方向を判定することで、需要家側の事故であるか否かを判定するように構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のループ系統保護装置。
  4. 前記電流加算手段で得られた合計電流から、基本波電流に対する第2調波電流成分の割合を求める調波割合算出手段を有し、
    前記事故判定手段は、前記電流加算手段で得られた合計電流が予め設定された所定値以上であり、かつ、前記調波割合算出手段で得られた第2調波電流成分の割合が予め設定された所定値以下である場合に、需要家側の事故であると判定するように構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のループ系統保護装置。
  5. 前記電流加算手段で得られた合計電流から、基本波電流に対する第2調波電流成分の割合を求める調波割合算出手段を有し、
    前記事故判定手段は、前記電流加算手段で得られた合計電流が予め設定された所定値以上であり、かつ、前記調波割合算出手段で得られた第2調波電流成分の割合が予め設定された所定値以下である場合に、さらに、前記電流加算手段で得られた合計電流と前記ループ点の電圧に基づいて事故方向を判定することで、需要家側の事故であるか否かを判定するように構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のループ系統保護装置。
  6. 複数の配電線をループ化して電力を供給するループ系統を保護する方法において、
    電流加算手段、事故判定手段、および遮断指令手段を用いて、
    前記電流加算手段により、ループ点における各回線電流の合計電流を求める電流加算処理と、
    前記電流加算処理で得られた合計電流に基づき、前記事故判定手段により、需要家側の事故であるか否かを判定する事故判定処理と、
    前記事故判定処理で需要家側の事故と判定した場合に、前記遮断指令手段により、前記ループ点のループを構成する遮断器を開放する遮断指令を出力する遮断指令処理
    を行うことを特徴とするループ系統保護方法。
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