JP2007312479A - 直流変換装置 - Google Patents

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【課題】電力の損失を低減し、トランスの2次側の整流ダイオードの耐圧を低減させ、高効率化及び小型化を図れる直流変換装置。
【解決手段】直流電源Vdcの直流電圧をスイッチQ1によりオン/オフさせてトランスT1の1次巻線P1に供給するスイッチング回路と、2次巻線S1に発生する電圧を整流及び平滑する整流平滑回路DR,DF,Lf,CLと、整流平滑回路の出力電圧に基づいてスイッチQ1をオン/オフさせて出力電圧を所定電圧に制御する制御回路10と、2次巻線S1に密結合された入力帰還巻線X1と、直流電源Vdcの両端に接続され、入力帰還巻線X1とダイオードD4とが直列に接続された直列回路とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、高効率化及び小型化を図れる直流変換装置に関する。
図6に従来の直流変換装置の一例を示す。図6に示す直流変換装置は、アクティブクランプ方式と呼ばれるもので、直流電源VdcにトランスT0の1次巻線P1(巻数np)とを介してMOSFET(以下、FETと称する。)等からなるスイッチQ1が接続されている。1次巻線P1の両端には、FET等からなるスイッチQ2とクランプコンデンサC1とからなる直列回路が接続されている。スイッチQ1及びスイッチQ2は、デットタイム期間を有し、制御回路10のPWM制御により交互にオン/オフするようになっている。
なお、図示していないが、トランスT0の1次巻線P1及び2次巻線S1間にはリーケージインダクタンスを有している。ダイオードD1は、スイッチQ1のドレイン−ソース間に接続され、ダイオードD2は、スイッチQ2のドレイン−ソース間に接続されていて、ダイオードD1は、スイッチQ1の寄生ダイオードでもよく、ダイオードD2は、スイッチQ2の寄生ダイオードでもよい。
コンデンサC2は、スイッチQ1のドレイン−ソース間及びダイオードD1の両端に接続されている。
また、トランスT0の1次巻線P1とトランスT0の2次巻線S1とは互いに同相電圧が発生するように巻回されている。トランスT0の2次巻線S1(巻数ns)の一端にはダイオードDRのアノードが接続され、2次巻線S1の他端にはダイオードDFのアノードが接続され、ダイオードDRのカソードは、ダイオードDFのカソードに接続されている。
ダイオードDRの両端には、抵抗R11とコンデンサC11との直列回路が接続され、ダイオードDFの両端には、抵抗R12とコンデンサC12との直列回路が接続されており、これら2つの直列回路は、CRスナバ回路を構成し、ダイオードDR,DFのリカバリ時におけるサージ電圧を減衰させる。
ダイオードDFの両端には、リアクトルLfとコンデンサCLとの直列回路が接続されており、ダイオードDR,DFとリアクトルLfとコンデンサCLは、整流平滑回路を構成している。この整流平滑回路は、トランスT0の2次巻線S1に誘起された電圧(オン/オフ制御されたパルス電圧)を整流平滑して直流出力を負荷RLに出力する。
制御回路10は、負荷RLへの出力電圧に基づき、スイッチQ1をオン/オフ制御するためのパルスからなる制御信号を生成するとともに、出力電圧が所定の電圧となるようにその制御信号のデューティ比を制御する。制御回路10は、ゲート信号Q1gをスイッチQ1のゲートに印加してスイッチQ1を駆動し、ゲート信号Q2gをスイッチQ2のゲートに印加してスイッチQ2を駆動する。
次に、このように構成された直流変換装置の動作を図7に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。なお、図7において、Q1gはスイッチQ1へのゲート信号、Q1vはスイッチQ1のドレインーソース間の電圧、Q1iはスイッチQ1のドレイン電流、DRvはダイオードDRの電圧、DFvはダイオードDFの電圧を示している。
まず、時刻t11において、スイッチQ1がオンすると、Vdc→P1→Q1→Vdcで、スイッチQ1に電流Q1iが流れる。このとき、トランスT0の2次側では、S1→DR→Lf→CL→S1で電流が流れて、負荷RLに電力が供給される。
次に、時刻t12において、スイッチQ1がオフすると、電流Q1iが減少し、ダイオードDRの電流も減少する。この電流は、ダイオードDRの逆電流(リカバリ電流ともいう。)により、零から負に流れる。この逆電流により、ダイオードDRにサージ電圧が印加される。また、ダイオードDRの電流が減少すると、リアクトルLfに電流が流れているので、ダイオードDFの電流が増加する。
また、トランスT1の励磁インダクタンスに蓄えられた電力により、P1→C2→Vdc→P1の経路で電流が流れて、コンデンサC2の電圧は上昇する。そして、コンデンサC2の電圧が電源電圧とコンデンサC1の電圧との和に等しくなると、ダイオードD2が導通し、コンデンサC1を充電する。このとき、スイッチQ2をオンすると、スイッチQ2はゼロ電圧スイッチング(ZVS)動作する。
トランスT1の励磁インダクタンスの電力の放電が完了すると、コンデンサC1に蓄えられた電力はC1→Q2→P1→C1で放出し、トランスT1の励磁インダクタンスに蓄えられる。このとき、2次側の整流ダイオードDRは、オフとなり、リアクトルLfに蓄えられたエネルギーは、Lf→CL→DF→Lfで放出され、負荷RLに電力が供給され続ける。
次に、時刻t13において、スイッチQ2がオフすると、トランスT1の励磁インダクタンスに蓄えられた電力により、P1→Vdc→C2→P1の経路で電流が流れて、コンデンサC2を放電する。コンデンサC2の電圧が零となると、ダイオードD1が導通し、このとき、スイッチQ1をオンさせると、スイッチQ1はZVS動作となる。そして、スイッチQ1がオンすると、ダイオードDFの電流が減少していく。ダイオードDFの逆電流により、零から負の電流が流れて、逆電流がオフする。この時も、逆電流によりダイオードDFにサージ電圧が印加される。
なお、従来の直流変換装置の関連技術として、例えば特許文献1が開示されている。
特開2001−8447号公報
このように、図6に示す従来の直流変換装置にあっては、ダイオードDRに印加される逆電流によるサージ電圧をコンデンサC11と抵抗R11からなるCRスナバ回路により減衰させ、ダイオードDFに印加される逆電流によるサージ電圧をコンデンサC12と抵抗R12からなるCRスナバ回路により減衰させていた。しかし、CRスナバ回路には抵抗分があるため、損失が大きく、高効率を図ることができなかった。
また、耐圧の高い素子を使用しなければならないため、損失が増加したり、また、高価な部品を使用しなければならなかった。
本発明は、電力の損失を低減し、トランスの2次側の整流ダイオードの耐圧を低減させ、高効率化及び小型化を図れる直流変換装置を提供することにある。
前記課題を解決するために以下の手段を採用した。請求項1の発明は、直流電源の直流電圧を主スイッチによりオン/オフさせてトランスの1次巻線に供給するスイッチング回路と、前記トランスの2次巻線に発生する電圧を整流及び平滑する整流平滑回路と、前記整流平滑回路の出力電圧に基づいて前記主スイッチをオン/オフさせて前記出力電圧を所定電圧に制御する制御回路と、前記トランスの2次巻線に密結合された入力帰還巻線と、前記直流電源の両端に接続され、前記入力帰還巻線とダイオードとが直列に接続された第1直列回路とを備えることを特徴とする。
請求項2の発明は、直流電源の直流電圧を主スイッチによりオン/オフさせてトランスの1次巻線に供給するスイッチング回路と、前記トランスの1次巻線に疎結合された前記トランスの2次巻線と、前記トランスの2次巻線に発生する電圧を整流及び平滑する整流平滑回路と、前記整流平滑回路の出力電圧に基づいて前記主スイッチをオン/オフさせて前記出力電圧を所定電圧に制御する制御回路と、前記トランスの2次巻線に直列に接続され、前記主スイッチがオン時に前記トランスの1次巻線及び2次巻線間のリーケージインダクタンスに蓄えられたエネルギーを前記主スイッチがオフ時に2次側に還流させる帰還巻線と、前記帰還巻線に密結合された入力帰還巻線と、前記直流電源の両端に接続され、前記入力帰還巻線とダイオードとが直列に接続された第1直列回路とを備えることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の直流変換装置において、前記スイッチング回路は、前記主スイッチの両端又は前記トランスの1次巻線の両端に接続され、補助スイッチとコンデンサとが直列に接続された第2直列回路を有し、前記制御回路は、前記主スイッチと前記補助スイッチとを交互にオン/オフさせることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の直流変換装置において、前記トランスの1次巻線の巻数に対する前記入力帰還巻線の巻数の巻数比は、1未満であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1又は請求項3又は請求項4記載の直流変換装置において、前記トランスは、磁気回路が形成され且つ中央脚と側脚とを有するコアを有し、前記中央脚には前記1次巻線と前記2次巻線及び前記入力帰還巻線とが所定の間隙を隔てて巻回されてなることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項2又は請求項3又は請求項4記載の直流変換装置において、前記トランスは、磁気回路が形成され且つ中央脚と第1側脚及び第2側脚とを有するコアを有し、前記コアの中央脚には前記1次巻線と前記帰還巻線及び前記入力帰還巻線とが所定の間隙を隔てて巻回され、前記コアの第1側脚には前記2次巻線が巻回され、前記コアの第2側脚に空隙が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、トランスの2次巻線に密結合させた入力帰還巻線を追加し、整流ダイオードのリカバリにより発生する整流ダイオードのスパイク電圧を、入力帰還巻線を介してトランスの1次側に帰還することにより、電力の損失を低減できる。また、CRスナバ回路も不要になり、さらに、低耐圧の整流ダイオードを使用できるので、高効率化及び小型化を図ることができる直流変換装置を提供できる。
以下、本発明の直流変換装置の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は実施例1の直流変換装置の回路構成図である。図1に示す直流変換装置は、図6に示す直流変換装置に対して、抵抗R11,R12とコンデンサC11,C12と削除し、トランスT0の2次巻線S1に密結合させた入力帰還巻線X1を設け、整流ダイオードのリカバリにより、トランスのリーケージインダクタンスに蓄えられたエネルギーを入力帰還巻線X1を介して入力側に帰還させることを特徴とする。これにより、整流ダイオードのスパイク電圧を減少させ、スパイク防止用のCRスナバ回路が不要になり、低耐圧の整流ダイオードを使用でき、高効率化及び小型化を図ることができる。
トランスT1は、1次巻線P1(巻数np)と、1次巻線P1に略密結合する2次巻線S1(巻数ns)と、2次巻線S1に密結合する入力帰還巻線X1(巻数nx)とを有する。入力帰還巻線X1と1次巻線P1とは互いに同相電圧が発生するように巻回されている。トランスT1の1次巻線P1の巻数npに対する入力帰還巻線X1の巻数nxの巻数比nx/npは、1未満であり、例えば、0.9〜0.95である。
入力帰還巻線X1の一端は、直流電源Vdcの正極とコンデンサC1の一端とトランスT1の1次巻線P1の一端とに接続されている。入力帰還巻線X1の他端は、ダイオードD3のアノードとダイオードD4(本発明のダイオードに対応)のカソードとに接続され、ダイオードD4のアノードは、直流電源Vdcの負極に接続されている。
ダイオードD3のカソードは、コンデンサC1の他端とダイオードD2のカソードとスイッチQ2のドレインとに接続されている。スイッチQ1は、本発明の主スイッチに対応し、スイッチQ2は、補助スイッチに対応する。スイッチQ1とスイッチQ2とで、本発明のスイッチング回路を構成している。
なお、図1に示すその他の構成は、図6に示す構成と同一であり、同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
次に、このように構成された実施例1の直流変換装置の動作を、図2に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。なお、図2において、Q1vはスイッチQ1のドレインーソース間の電圧、Q1iはスイッチQ1のドレイン電流、DRvはダイオードDRの電圧、DFvはダイオードDFの電圧、D3iはダイオードD3に流れる電流、及びD4iはダイオードD4に流れる電流を示している。
まず、時刻tにおいて、スイッチQ1をオンさせると、Vdc→P1→Q1→Vdcの経路で電流が流れる。これと同時に、トランスT1の2次巻線S1にも電圧が発生し、S1→DR→Lf→CL→S1の経路で電流が流れて、負荷RLに電力が供給される。
次に、時刻tにおいて、スイッチQ1をオフすると、トランスT1の励磁インダクタンスに蓄えられた電力により、P1→C2→Vdc→P1の経路で電流が流れて、コンデンサC2の電圧は上昇する。そして、コンデンサC2の電圧が電源電圧とコンデンサC1の電圧との和に等しくなると、ダイオードD2が導通し、コンデンサC1を充電する。このとき、スイッチQ2をオンすると、スイッチQ2はゼロ電圧スイッチング(ZVS)動作する。
トランスT1の励磁インダクタンスの電力の放電が完了すると、コンデンサC1に蓄えられた電力はC1→Q2→P1→C1で放出し、トランスT1の励磁インダクタンスに蓄えられる。このとき(時刻t)、2次側の整流ダイオードDRは、オフとなり、リアクトルLfに蓄えられたエネルギーは、Lf→CL→DF→Lfで放出され、負荷RLに電力が供給され続ける。
次に、時刻tにおいて、スイッチQ2がオフすると、トランスT1の励磁インダクタンスに蓄えられた電力により、P1→Vdc→C2→P1の経路で電流が流れて、コンデンサC2を放電する。コンデンサC2の電圧が零となると、ダイオードD1が導通し、このとき、スイッチQ1をオンさせると、スイッチQ1はZVS動作となる。
次に、スイッチQ1がオンすると、2次巻線S1にダイオードDRを順バイアスする方向に電圧が発生するため、ダイオードDRがオンし、負荷RLに電力が供給される。以下、この動作を繰り返すことにより動作が継続される。
リアクトルLfの電流が連続的に流れている状態で、スイッチQ2をオフした場合には、整流ダイオードDFがオン状態であるため、トランスT1の励磁インダクタンスに蓄えられたエネルギーは、1次巻線P1から2次巻線S1を介して2次側に伝達される。
このため、リアクトルLfの電流より、大きな電流を流さなければ、1次巻線P1に正方向の電圧は、発生しないため、スイッチQ1の電圧を零にすることはできない。従って、励磁インダクタンスを小さくする必要があり、効率の低下を招く。
そこで、トランスT1の1次巻線P1と2次巻線S1とを略密結合とし、小さなリーケージインダクタンスを持たせる。これにより、励磁インダクタンスによる電流が負荷側に伝達されるのを阻害し、励磁インダクタンスをそれほど小さくしなくてもスイッチQ1の電圧を零とすることができる。
以上の動作は、理想的な動作であるが、実際には、整流ダイオードにリカバリが存在し、順方向電流が流れているとき、逆電圧を印加した場合、すぐには逆特性を回復せずリカバリ時間だけ逆方向に電流が流れて短絡状態となる。例えば、ダイオードDFに電流が流れている状態でスイッチQ1をオンさせると、ダイオードDRが導通し、ダイオードDFが短絡状態であるため、スイッチQ1にスパイク電流が流れる。
このスパイク電流により、1次巻線P1及び2次巻線S1間のリーケージインダクタンスにエネルギーが蓄えられ、ダイオードDFの逆特性が回復したとき、電流が急激に減少するので、2次巻線S1にスパイク電圧が発生する。
実施例1の直流変換装置では、2次巻線S1に密結合させた入力帰還巻線X1を設けたので、2次巻線S1に発生した電圧は、入力帰還巻線X1に誘起される。このため、時刻t(時刻tも同じ)において、X1→Vdc→D4→X1の経路で電流D4iが流れる。即ち、リーケージインダクタンスに蓄えられたエネルギーは、直流電源側に帰還されるため、スパイク電圧は生じない。
ここで、入力帰還巻線X1の巻数nxが1次巻線P1の巻数npと同一値である場合には、入力帰還巻線X1の電圧と1次巻線P1の電圧とが同一値となる。このため、スイッチQ1がオン状態であるときには、入力帰還巻線X1と1次巻線P1とは、リーケージインダクタンスを介して並列に接続されるため、電流が減少せず流れ続けることになる。
従って、入力帰還巻線X1の巻数nxを1次巻線P1の巻数npの巻数よりも、少なくすることにより、リーケージインダクタンスに電圧を発生させて、短時間で1次側に回生させる。入力帰還巻線X1の巻数nxが少ないほど発生する電圧は高くなるため、時間は短くなるがダイオードの逆電圧は高くなる。従って、入力帰還巻線X1の巻数nxと1次巻線P1の巻数npの巻数比は、0.95〜0.9程度が適当である。
同様にして、ダイオードDRがオン状態であるとき、スイッチQ2をオンさせると、ダイオードDRに逆電流が流れる。このときのエネルギーは、X1→D3→C1→X1の経路で回生される(時刻t)。
図2の時刻t、時刻tの近傍においては、ダイオードDR、ダイオードDFの電圧波形に短い凸部を有しているが、この電圧でクランプして残りのエネルギーを1次側に回生している。
このように実施例1の直流変換装置によれば、トランスT1の2次巻線S1に密結合させた入力帰還巻線X1を追加し、整流ダイオードのリカバリにより発生する整流ダイオードのスパイク電圧を、入力帰還巻線X1を介してトランスT1の1次側に帰還することにより、電力の損失を低減できる。また、CRスナバ回路も不要になり、さらに、低耐圧の整流ダイオードを使用できるので、高効率化及び小型化を図ることができる。
図3は実施例1の直流変換装置に設けられたトランスの構造図である。図3において、トランスT1は、日の字型のコア30を有し、コア30のコア部30aには、1次巻線P1が巻回され、この1次巻線P1に近接して2次巻線S1及び入力帰還巻線X1とが同一位置に巻回されている。これにより、1次巻線P1と2次巻線S1とは、略密結合され、2次巻線S1と入力帰還巻線X1とは、密結合されている。
また、コア部30aには、凹部30bが2箇所形成されている。この凹部30bにより、コアの磁路の一部の断面積が他の部分よりも狭くなり、その部分のみが飽和するので、コア損失を低減できる。
次に実施例2の直流変換装置を説明する。実施例2の直流変換装置では、トランスの1次巻線に直列に接続されるリーケージインダクタンスの値を大きくし、スイッチQ1がオン時にリーケージインダクタンスに蓄えられるエネルギーを2次側に還流する帰還巻線S2を設けたことを特徴とする。
図4は実施例2の直流変換装置を示す回路構成図である。図4に示す実施例2の直流変換装置は、図1に示す実施例1の直流変換装置に対して、トランスT2の周辺回路が異なるので、その部分についてのみ説明する。
この例では、トランスT2には、1次巻線P1(巻数np)と2次巻線S1(巻数ns)と帰還巻線S2(巻数nf)とが巻回されている。
トランスT2の2次巻線S1と帰還巻線S2との直列回路の両端には、ダイオードDFとコンデンサCLとの直列回路が接続されている。2次巻線S1と帰還巻線S2との接続点とダイオードDFとコンデンサCLとの接続点とには、ダイオードDRが接続されている。1次巻線P1と2次巻線S1とは同相に巻回され、1次巻線P1と帰還巻線S2とは逆相に巻回されている。
トランスT2の2次巻線S1を1次巻線P1と疎結合させ、1次巻線P1及び2次巻線S1間のリーケージインダクタンスにより、トランスT2に直列に接続されるリアクトル(図示せず)を代用している。トランスT2の帰還巻線S2を1次巻線P1と密結合させ、トランスT2の帰還巻線S2に入力帰還巻線X1が密結合させている。
このように構成された実施例2の直流変換装置の動作を説明する。基本的な動作は、実施例1の動作と同様であり、ここでは、トランスT2の2次側回路の動作を中心に説明する。
まず、スイッチQ1をオンさせると、Vdc→P1→Q1→Vdcで電流が流れる。また、この時刻に、トランスT2の2次巻線S1にも電圧が発生し、S1→DR→CL→S1で電流が流れる。このため、ダイオードDRの電流が直線的に増大する。
次に、スイッチQ1をオフさせると、トランスT2のインダクタンスに蓄えられたエネルギーは、トランスT2を介して2次側に還流される。2次側では、トランスT2の帰還巻線S2に電圧が誘起されるため、S2→DF→CL→S1→S2と電流が流れる。このため、ダイオードDFに電流が流れる。
このように、トランスT2の1次巻線P1に直列に接続されるインダクタンスの値を大きくし、スイッチQ1がオン時に蓄えられるエネルギーをトランスT2を介して2次側に還流するため、効率が良くなる。また、ダイオードDR及びダイオードDFにより、スイッチQ1のオン、オフ期間に2次側電流が流れて連続的となる。このため、コンデンサCLのリップル電流も減少する。
また、入力帰還巻線X1を設けているので、実施例1の動作及び効果と同様な動作及び効果が得られる。
図5は実施例2の直流変換装置に設けられたトランスの構造図である。図5に示すトランスT2は、日の字型のコア40を有し、コア40のコア部40aには、1次巻線P1が巻回され、この1次巻線P1に近接して帰還巻線S2及び入力帰還巻線X1とが同一位置に巻回されている。
これにより、1次巻線P1と帰還巻線S2及び入力帰還巻線X1間にわずかなリーケージインダクタンスを持たせている。また、コア40にはパスコア40cとギャップ41が形成され、外周コアには2次巻線S1が巻回されている。即ち、パスコア40cにより、1次巻線P1と2次巻線S1を疎結合させることにより、リーケージインダクタンスを大きくしている。
また、外周コア上で且つ1次巻線P1と2次巻線S1との間に、凹部40bが2箇所形成されている。この凹部40bにより、コアの磁路の一部の断面積が他の部分よりも狭くなり、その部分のみが飽和するので、コア損失を低減できる。
このように、トランスT2のコアの形状と巻線の工夫により、トランスT2とリアクトルのエネルギーを2次側に帰還する入力帰還巻線X1とを一つのコア40に結合し、パスコア40cを設けることにより、大きなリーケージインダクタンスを得て、トランス部分とリアクトルとを結合したので、直流変換装置を小型化、低価格化することができる。
なお、上述した実施例1及び実施例2では、トランスの1次巻線P1の両端に、スイッチQ2とコンデンサC1とからなる直列回路を接続したが、この直列回路は、例えば、スイッチQ1の両端に接続しても良い。
また、実施例1及び実施例2では、トランスの1次巻線P1とスイッチQ1とからなる直列回路に、直流電源Vdcを接続したが、例えば、この直列回路に、交流電源の交流電圧を整流して整流電圧を得る整流電圧部を接続しても良い。
本発明は、DC−DCコンバータ、AC−DCコンバータ等のスイッチング電源装置に適用可能である。
実施例1の直流変換装置の回路構成図である。 実施例1の直流変換装置の各部における信号のタイミングチャートである。 実施例1の直流変換装置に設けられたトランスの構造図である。 実施例2の直流変換装置の回路構成図である。 実施例2の直流変換装置に設けられたトランスの構造図である。 従来の直流変換装置の回路構成図である。 従来の直流変換装置の各部における信号のタイミングチャートである。
符号の説明
Vdc 直流電源
Q1,Q2 スイッチ
T0,T1,T2 トランス
P1 1次巻線
S1 2次巻線
S2 帰還巻線
X1 入力帰還巻線
Lf リアクトル
CL コンデンサ
D1,D2,D3,D4,DR,DF ダイオード
C1,C2,C11,C12 コンデンサ
R11,R12 抵抗
10 制御回路
30,40 コア
30a,40a コア部
30b,40b 凹部

Claims (6)

  1. 直流電源の直流電圧を主スイッチによりオン/オフさせてトランスの1次巻線に供給するスイッチング回路と、
    前記トランスの2次巻線に発生する電圧を整流及び平滑する整流平滑回路と、
    前記整流平滑回路の出力電圧に基づいて前記主スイッチをオン/オフさせて前記出力電圧を所定電圧に制御する制御回路と、
    前記トランスの2次巻線に密結合された入力帰還巻線と、
    前記直流電源の両端に接続され、前記入力帰還巻線とダイオードとが直列に接続された第1直列回路と、
    を備えることを特徴とする直流変換装置。
  2. 直流電源の直流電圧を主スイッチによりオン/オフさせてトランスの1次巻線に供給するスイッチング回路と、
    前記トランスの1次巻線に疎結合された前記トランスの2次巻線と、
    前記トランスの2次巻線に発生する電圧を整流及び平滑する整流平滑回路と、
    前記整流平滑回路の出力電圧に基づいて前記主スイッチをオン/オフさせて前記出力電圧を所定電圧に制御する制御回路と、
    前記トランスの2次巻線に直列に接続され、前記主スイッチがオン時に前記トランスの1次巻線及び2次巻線間のリーケージインダクタンスに蓄えられたエネルギーを前記主スイッチがオフ時に2次側に還流させる帰還巻線と、
    前記帰還巻線に密結合された入力帰還巻線と、
    前記直流電源の両端に接続され、前記入力帰還巻線とダイオードとが直列に接続された第1直列回路と、
    を備えることを特徴とする直流変換装置。
  3. 前記スイッチング回路は、前記主スイッチの両端又は前記トランスの1次巻線の両端に接続され、補助スイッチとコンデンサとが直列に接続された第2直列回路を有し、
    前記制御回路は、前記主スイッチと前記補助スイッチとを交互にオン/オフさせることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の直流変換装置。
  4. 前記トランスの1次巻線の巻数に対する前記入力帰還巻線の巻数の巻数比は、1未満であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の直流変換装置。
  5. 前記トランスは、磁気回路が形成され且つ中央脚と側脚とを有するコアを有し、前記中央脚には前記1次巻線と前記2次巻線及び前記入力帰還巻線とが所定の間隙を隔てて巻回されてなることを特徴とする請求項1又は請求項3又は請求項4記載の直流変換装置。
  6. 前記トランスは、磁気回路が形成され且つ中央脚と第1側脚及び第2側脚とを有するコアを有し、前記コアの中央脚には前記1次巻線と前記帰還巻線及び前記入力帰還巻線とが所定の間隙を隔てて巻回され、前記コアの第1側脚には前記2次巻線が巻回され、前記コアの第2側脚に空隙が形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3又は請求項4記載の直流変換装置。
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