JP2007309812A - 位相差式超音波流量計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2組の伝搬管と、これら伝搬管を直列に接続する接続管とを備え、各伝搬管が、略直線状の直管部の両端に、略L字状の屈曲管部を備えるとともに、屈曲管部の管壁に、直管部を軸方向に挟んで対向配置される1対の超音波発振器と超音波受信器とを備え、一の伝搬管の超音波発振器及び超音波受信器と他の伝搬管の超音波発振器及び超音波受信器とが、伝搬管内を流れる流体の流れの方向に対して逆の位置関係に配置されている位相差式超音波流量計。
【選択図】図1
Description
この伝搬時間差式の超音波流量計は、管路を流れる流体内にパルス的な超音波を伝搬させて、上流から下流への超音波伝搬速度と、下流から上流への超音波の伝搬速度との差から流路を流れる流体の速度を求め、これに基づいて、管路を流れる流体の流量を計測するものである。
しかしながら、このような伝搬時間差式を採用した超音波流量計は、応答性が悪いため、電磁弁開閉時などの過渡的な流量変化を計測できないという問題があった。
このような応答性の問題を解消した超音波流量計として、例えば、特許3045677号(特許文献1)に示されるものがある。
全長に亘って同径をなす直管に、直管の外形よりわずかに径の大きい円環状の3つの振動子を所定の間隔で配置する。そして、これら3個の振動子のうちの中央の振動子から正弦波の超音波を連続的に発生させ、その超音波を前後に位置する2個の振動子によって検出し、前側の振動子が検出した超音波の位相と、後側の振動子が検出した超音波の位相との差を求め、この位相差に基づいて管路を流れる流体の流量を計測する。
Φ=4πfvL/c2 (1)
位相差式を採用する超音波流量計では、位相差Φを0から2πの範囲内に制限することが前提となるため、この範囲に位相差Φを収めるように、周波数f及び発信機受信器の距離Lを設定する必要がある。
従って、配管の直径が決められたときに使用できる超音波の波長(周波数)が制約され、流体の流量を有効に計測できる範囲が制限されるという問題があった。
本発明は、2組の伝搬管と、これら伝搬管を直列に接続する接続管とを備え、各伝搬管が、略直線状の直管部の両端に、略L字状の屈曲管部を備えるとともに、前記屈曲管部の管壁に、前記直管部を軸方向に挟んで対向配置される1対の超音波発振器と超音波受信器とを備え、一の伝搬管の超音波発振器及び超音波受信器と他の伝搬管の超音波発振器及び超音波受信器とが、伝搬管内を流れる流体の流れの方向に対して逆の位置関係に配置されている位相差式超音波流量計を提供する。
そして、本発明では、2組の伝搬管において、一対の超音波発振器及び超音波受信器が、共に、直管部を軸方向に挟んで対向配置されているので、配管の直径により、波長(周波数)の制約を受けることなく、測定したい流量範囲に合わせて最大流量時の位相ずれが2πとなるように周波数を自由に選定することが可能となる。
このように、接続管を湾曲した配管で構成することにより、接続管を流れる流体を伝搬する超音波を効果的に減衰させることが可能となるので、一の伝搬管が備える超音波発振器から発振された超音波が、他の伝搬管が備える超音波受信器により受信されてしまうクロストークを低減させることが可能となる。これにより、測定精度を向上させることができる。
このように、接続管が柔軟な材質で構成されているので、接続管の管壁を伝搬する超音波を効果的に減衰させることが可能となるので、クロストークを低減させることが可能となる。これにより、測定精度を向上させることができる。
このように、測定したい流量範囲に合わせて、超音波発振器から発せられる超音波の周波数を段階的に切り替え又は連続的に可変な構成とするので、微小な流量を測定する場合であっても、周波数を上げることによって検出感度を高めることができ、微小流量でも精度良く測定することができる。上記超音波発振器から発振される超音波の周波数を変更するには、例えば、超音波発振器、超音波受信器、伝搬管、及び略L字状の屈曲管部などの構成はそのままで、超音波発振器に印加する電気信号の周波数を変更すれば良い。
図1は、本実施形態に係る位相差式超音波流量計の構成を示した図である。
図1に示すように、本実施形態に係る位相差式超音波流量計は、2組の伝搬管1、2と、これら伝搬管1、2を直列に接続する接続管3とを備えている。
伝搬管1は、略直線状の直管部13の両端に、90°屈曲されたL字状の屈曲管部14、15を備えている。この屈曲管部14、15の管壁には、直管部13を軸方向に挟んで、1対の超音波発振器11及び超音波受信器12が対向配置されている。
同様に、伝搬管2は、略直線状の直管部23の両端に、例えば、90°屈曲されたL字状の屈曲管部24、25を備えている。この屈曲管部24、25の管壁には、直管部23を軸方向に挟んで、1対の超音波発振器21及び超音波受信器22が対向配置されている。
上記構成からなる位相差式超音波流量計において、流体は、例えば、図中AからBに向かって流れる。
このように、一の伝搬管1の超音波発振器11及び超音波受信器12と他の伝搬管2の超音波発振器21及び超音波受信器22とは、伝搬管1、2内を流れる流体の流れの方向に対して逆の位置関係に配置されている。
図2に示すように、伝搬管1において、超音波発振器11及び超音波受信器12が配置されている管壁面16、17及びその内壁面18、19は、例えば、直管部13の管軸Cに対して直交するように、平坦に形成されている。そして、このように形成された管壁面16、17に、超音波発振器11及び超音波受信器12がそれぞれ平行に配置されている。
また、伝搬管2の管壁面なども同様に形成されている。
他方、伝搬管2が備える超音波発振器21により発振された正弦波状の超音波は、流体の上流から下流に向けて伝搬し、超音波受信器22によって受信される。
超音波受信器12の検出信号S1は、ゼロクロスコンパレータ41に入力され、超音波受信器22の検出信号S2は、ゼロクロスコンパレータ42に入力される。ゼロクロスコンパレータ41、42は、正弦波状である検出信号S1、S2をそれぞれ二値化して出力する。
ゼロクロスコンパレータ41、42の出力信号は、RSフリップフロップ43に入力される。RSフリップフロップ43は、これら入力信号の位相差に応じたデューティ比のパルス信号を出力する。この出力信号はローパスフィルタ44により平滑化され、出力される。
このような構成によれば、出力信号として、超音波受信器12、22の検出信号の位相差Φに比例したアナログ電圧を得ることができるので、このアナログ電圧に基づいて、流量を得ることが可能となる。
例えば、測定装置は、図4に示すように、直交変調器51、52、ローパスフィルタ53、及び演算器54を備えて構成される。
超音波受信器12、22の検出信号S1、S2は、それぞれ直交変換器51、52に入力されることにより、それぞれ直交変調される。これにより、その周波数が低周波にビートダウンされた検出信号S1、S2がそれぞれ出力される。直交変換器51、52から出力された信号は、ローパスフィルタ53により平滑化され、その後、演算器54に入力される。
演算器54は、アナログ信号である入力信号をA/D変換器によりディジタル信号に変換し、ディジタル信号処理を行うことにより、超音波受信器12、22の検出信号の位相差Φを演算により得る。
ここで、演算部により行われる演算式は、以下の(2)式の通りである。
また、図3及び図4に示した装置構成によれば、2組の伝搬管1、2において、超音波発振器11、21又は超音波受信器12、22の感度に差があり、超音波受信器12、22により検出される検出信号の振幅に差が生じる場合、或いは、検出信号振幅が時間とともに変動する場合でも、位相差を計測することが可能となる。
また、伝搬管1、2において、超音波発振器11、21及び超音波受信器12、22がそれぞれ配置されている管壁面及びその内壁面を、直管部13、23の管軸C、Dに対して直交するように平坦に形成し、更に、このように形成された管壁面に、超音波発振器11、21及び超音波受信器12、22をそれぞれ管壁面に平行に配置するので、平面波に近い電波を超音波発振器11、21から超音波受信器12、22に向かって発振させることが可能となる。これにより、干渉の少ない超音波を超音波受信器12、22に受信させることができるので、測定精度を向上させることができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る位相差式超音波流量計について、図5を用いて説明する。
図5に示すように、本実施形態の位相差式超音波流量計では、図1に示した位相差式超音波流量計の接続管3を柔軟な材質により形成し、更に湾曲させる。
このように、接続管3を柔軟な材質で形成することにより、接続管3の管壁を伝搬する超音波を効果的に減衰させることが可能となる。これにより、一の伝搬管1が備える超音波発振器から発振された超音波が、他の伝搬管が備える超音波受信器により受信されてしまうクロストークを低減させることが可能となる。
更に、接続管3を湾曲させることにより、接続管3を流れる流体を伝搬する超音波を効果的に減衰させることが可能となる。
本実施形態に係る位相差式超音波流量計によれば、接続管3の管壁を伝搬する超音波、及び、接続管3を流れる流体を伝搬する超音波の双方を効果的に減衰させることが可能となるので、クロストークを大幅に低減させることが可能となる。これにより、流量の計測精度を大幅に向上させることができる。
第1に、図1に示した位相差式超音波流量計では、各屈曲管部14、15、24、25をそれぞれ90°に屈曲させていたが、この屈曲角度は90°に限られず、2つの伝搬管を直列に接続しうる角度の範囲内で、変更可能である。
第2に、伝搬管1と伝搬管2とは、接続管3により直列に接続されていればよく、その接続手法は、必ずしも図1に示すようなものに制限されない。例えば、図6に示すように、接続されていても良い。
図7に示すように、伝搬管1、2を略V字状に接続し、この接続部位に、1つの超音波発振器11を配置する。この超音波発振器11は、例えば、伝搬管1、2が備える超音波受信器12、22のそれぞれとの距離が同等となる位置に配置する。
このような構成によれば、超音波発振器を1つ配置すればよいので、生産コストの削減を図ることができるとともに、装置を小型化させることが可能となる。
3 接続管
11、21 超音波発振器
12、22 超音波受信器
13、23 直管部
14、15、24、25 屈曲管部
16、17 管壁面
18、19 内壁面
Claims (5)
- 2組の伝搬管と、これら伝搬管を直列に接続する接続管とを備え、
各伝搬管が、略直線状の直管部の両端に、略L字状の屈曲管部を備えるとともに、前記屈曲管部の管壁に、前記直管部を軸方向に挟んで対向配置される1対の超音波発振器と超音波受信器とを備え、
一の伝搬管の超音波発振器及び超音波受信器と他の伝搬管の超音波発振器及び超音波受信器とが、伝搬管内を流れる流体の流れの方向に対して逆の位置関係に配置されている位相差式超音波流量計。 - 前記接続管が湾曲した配管である請求項1に記載の位相差式超音波流量計。
- 前記接続管が柔軟な材質で構成されている請求項1又は請求項2に記載の位相差式超音波流量計。
- 前記超音波発振器及び前記超音波受信器が配置されている管壁面及びその内壁面が、前記直管部の管軸に対して直交するように、平坦に形成され、
前記超音波発振器及び前記超音波受信器が、前記管壁面に平行に配置されている請求項1から請求項3のいずれかの項に記載の位相差式超音波流量計。 - 前記超音波発振器から発振される超音波の周波数が、測定したい流量範囲に合わせて、段階的に切替わる又は連続的に変化する請求項1から請求項4のいずれかの項に記載の位相差式超音波流量計。
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