JP2007308433A - 抗菌剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ビワ種およびビワ葉を用いて、食中毒菌や食品腐敗菌に対する抗菌機能を有する抗菌剤を提供することである。
【解決手段】 ビワ種およびビワ葉を粉砕した粉末状、もしくは水または有機溶媒を用いて抽出した液状とし、ビワ種およびビワ葉が有するミネラル分と、食中毒菌あるいは食品腐敗菌となる真菌および細菌に対する抗菌機能を備える、各種食品に添加容易な抗菌剤とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、植物由来の抗菌剤に関し、特に従来廃棄されていた食物原料であるビワ種およびビワ葉を用いた抗菌剤に関するものである。
ビワは、日本および中国が原産地といわれているバラ科に属する植物である。また、このビワは、古来より薬用に用いられている。
ビワは、どの部分を用いても、病気には効果があるとされてきた。特に、ビワの葉は「生きるもの全てを救う力がある」として、「憂いをなくす扇」という意味である「無憂扇」と呼ばれてきた。また、ビワの種子は薬効に優れているとされ、「天神」と呼ばれている。
ビワの葉の成分は「最新和漢用植物」によれば、ブドウ糖、ショ糖、果糖、マルトース、でん粉、デキストリン、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、アミグダリン(ビタミンB17)、タンニン酸を含んでいる。このうち、特に、アミグダリンは、ガン細胞を破壊するという特徴を持っている。これは、ガン細胞の周りに多量に存在する分解酵素が、前記アミグダリンを、シアン化合物とベンズアルデヒドに分解し、このシアン化合物とベンズアルデヒドとの相乗毒性効果で、ガン細胞を選択的に破壊するからである。
また、ビワの葉エキスを全身に塗り、ヒーターマットで体の上下を覆い暖めるとしたビワの葉温熱法も知られている。これは、熱が体の内側にこもっている状態(陽滞性)に対し、ビワの葉エキスと外部熱により、ビワの葉の成分を体内に浸透させ、老廃物などの体内毒素を分解・排泄させて皮膚呼吸を良くし、酸素を多く取り入れて体内熱を下げ、体の熱性化を解消するものである。
これも、ビワの葉に含まれるアミグダリンが有する制ガン作用、鎮痛作用、抗炎症作用によるものだといわれている。このように、ビワの葉は煎じ薬、入浴剤などとして古くから多くの病気や病気の予防の目的で使われていた。
また、ビワの廃棄量は生産量の約3割といわれ、その大半が種子であり、この多くは利用されることなく焼却処分されている。ビワの種子には葉の2000倍のアミグダリンが含まれているといわれており、従来その多くを廃棄処理しているビワ種の有効利用が図られている。
そのために、アミグダリンを有効利用するために、ビワの種子を利用し易い微粉末とするビワの種子粉末製造方法が既に出願されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−222607号公報(第1−5頁、第1図)
上記のように、ビワの葉に含まれるアミグダリンを用いて、制ガン作用、鎮痛作用、抗炎症作用を発揮する機能性食品を得ることができる。
また、ビワ葉についての効能は上記したように文献に記載されているが、ビワ種に関する効能はあまり記されていない。さらに、ビワ種については、ビワ種に含まれているアミグダリンに関する研究はされているが、ビワ種の抗菌性に関する研究はほとんど行われていない。
ビワの種子には葉以上の大量のアミグダリンが含まれており、従来その多くを廃棄処理しているビワ種の有効利用が求められている。さらには、ビワ種およびビワ葉はその他の薬効成分を含んでいる可能性があり、特定の細菌や真菌に対して抗菌性機能、特に食中毒菌に対しての抗菌性を有する抗菌剤が得られる可能性がある。
本発明の目的は、上記問題点を解消するために、ビワ種およびビワ葉を用いて、食中毒菌や食品腐敗菌に対する抗菌機能を有する抗菌剤を提供することである。
上記の目的を達成するために請求項1に係る発明は、ビワ種を粉砕し粉末状とし、食中毒菌あるいは食品腐敗菌となる真菌および細菌に対する抗菌機能を共に備える抗菌剤としたことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項1に係る発明によれば、毒性がない天然食物素材を用いているので、副作用や弊害が生じることがなく、そのまま服用することが容易である。また、ビワ種が有する各ミネラル成分と、食中毒細菌や食品腐敗細菌(真菌)に対する抗菌機能を共に備える粉末状素材としているので、他の食品に添加して食中毒を防止すると共に、食品の品質を長期間に亘って維持することができる。
請求項2に係る発明は、ビワ種を破砕し、水または有機溶媒を用いて抽出を行い、その抽出液をろ過した液状とし、食中毒菌あるいは食品腐敗菌となる真菌および細菌に対する抗菌機能を共に備える抗菌剤としたことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項2に係る発明によれば、液状の抗菌剤であるので、食品に直接吹き付けたり、食品材料中に練り込んだりして抗菌剤や抗カビ剤として利用することが容易となる。
請求項3に係る発明は、前記真菌が、ワレミア属の高糖性食品腐敗菌(Wallemia sebi)、およびフザリウム属の植物病原菌(Fusarium oxysporum)であることを特徴としている。
上記の構成を有する請求項3に係る発明によれば、饅頭などの糖度の高い菓子食品に対して好適な抗カビ剤として各種の食品や食品素材に混入可能な粉末状あるいは液状の抗菌剤を得ることができる。さらに、農作物に直接吹き付けて抗菌機能を発揮する抗菌剤とすることができる。
請求項4に係る発明は、前記細菌が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)および大腸菌(Escherichia coli)であることを特徴としている。
上記の構成を有する請求項4に係る発明によれば、食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌および大腸菌に対する抗菌剤となるので、各種の食品や食品素材に混入可能な粉末状あるいは液状の食中毒防止用抗菌剤を得ることができる。
請求項5に係る発明は、前記抗菌機能として、さらにレジオネラ菌(Legionella pneumophila)に対する抗菌機能を有することを特徴としている。
上記の構成を有する請求項5に係る発明によれば、食中毒の原因となる細菌や真菌に対する抗菌機能だけでなく、レジオネラ菌に対する抗菌機能を備えているので、水周りの調度品に直接吹き付けて抗菌機能を発揮する抗菌剤とすることができる。
請求項6に係る発明は、ビワ葉が含有するクロロフィルが発揮する抗菌機能を備える抗菌剤であって、ビワ葉を破砕した粉末状、あるいは、破砕したビワ葉を水または有機溶媒を用いて抽出を行い、その抽出液をろ過した液状の抗菌剤としたことを特徴としている。
上記の構成を有する請求項6に係る発明によれば、ビワ葉が有するミネラル等の有効成分以外にクロロフィルが発揮する抗菌機能を備えるので、健康食品として有効なだけでなく、他の食品に添加して、食品の機能性を向上する抗菌剤ともなる。
上記したように本発明によれば、ビワ種およびビワ葉が有するミネラル分と、食中毒菌あるいは食品腐敗菌となる真菌および細菌に対する抗菌機能を備え、各種の食品や食品素材に混入可能な粉末状または液状の抗菌剤を得ることができる。
以下、本発明に係る抗菌剤の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
本発明に係る抗菌剤はビワ種およびビワ葉を用いた抗菌剤であって、長崎県産のビワ種と、熊本県産のビワ葉を使用した。これは、ビワは温暖な地域で栽培されており、日本ではその多くが九州産であるからである。
また、ビワ種は水洗いし、自然乾燥した後で皮を剥いで粉砕し、ビワ葉は表面の汚れを乾布で拭いて粉砕したものを用いた。粉砕は共に、粉砕カッターを超高速回転(例えば25000rpm)して粉砕する粉砕機(型式WB―1:大阪ケミカル株式会社製)を用いており、ビワ種およびビワ葉の両方共に粉末化したものを用いた。
粉砕方法として、本実施の形態では、粉砕カッターがケーシング内を25000rpmで高速回転して微粉砕を行う粉砕機を用いているので、堅固なビワ種であっても微粒子状に粉砕することができる。そのために、毒性の無い自然植物由来であるビワ葉やビワ種を粉末状食品としてそのまま服用することも、種々の飲料品に混ぜ合わせて服用することも容易となる。
まず、ビワ種およびビワ葉の成分について説明する。ビワ種、ビワ葉のそれぞれの粉末状試料を用いて成分分析を行った結果を図8から図10に示す。
図8には、ビワ葉およびその他の食物素材のクロロフィル分析結果を示している。
このクロロフィル分析では、各食物素材が有する総クロロフィル量とクロロフィルa量とクロロフィルb量とをそれぞれ測定した。
植物はクロロフィルaとクロロフィルbという二つの光合成色素を有しており、それぞれ異なる波長の光を吸収することで、様々な光条件下で効率よく光合成を行うことができる。そのために、吸光される光の周波数を測定する吸光光度法によりクロロフィルa量とクロロフィルb量とを測定することが可能である。
この測定は、まず、乾燥ビワ葉粉末をアセトン溶液(アセトン、水、塩基性炭酸マグネシウムを含む)に入れてホモジナイズ抽出を行い遠心分離して上澄み液を得る。それからこの上澄み液に、ジエチルエーテルと水を加えて水層とジエチルエーテル層に分離して水層部分を除去する工程を3回繰り返し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、残ったジエチルエーテル層部分をジエチルエーテルで受容して吸光度を測定するものである。
吸光度は波長660nm、642.5nm、光路長10mmで測定した。また、それぞれの波長での吸光度に所定の係数を乗じたものを足し合わせて総クロロフィル量を算出し、660nmの波長での吸光度に所定の係数を乗じたものから、642.5nmの波長の吸光度に所定の係数を乗じたものを引いてクロロフィルa量を算出し、総クロロフィル量からクロロフィルa量を引いてクロロフィルb量を算出した。
図に示すように、乾燥して粉末状としたビワ葉であっても、比較的多量の総クロロフィル量を有していることが判る。また、一般の陸生植物ではクロロフィルa量が多いことが通常であるが、ビワ葉の乾燥粉末には、他のサンプルと比較してクルルフィルbの割合が多く、総クロロフィル量(46.98mg)の約87%がクロロフィルb(41.06mg)であることが判った。
このように、ビワ葉は乾燥粉末であっても、比較的多くの総クロロフィル量を有しているので、抗酸化作用や抗がん作用やコレステロール値の低下作用や貧血の改善作用や消臭効果を有するとされるクロロフィルの摂取用の食品素材として好適である。
さらに、他の食品素材には見られない程の高割合のクロロフィルbを含むことが明らかとなり、新たの機能を有する食品素材としての可能性を示している。
次に、ビワ葉やビワ種が有する栄養成分について図9および図10より説明する。
ビワ葉には図9に示すように、タンパク質、脂質、糖質、食物繊維の他に、カルシウム、カリウム、マグネシウム、リン、鉄などのミネラル分、さらには、各種のビタミン類を豊富に含んでいる。
これは、それぞれの成分を、原子吸光光度法、高速液体クロマトグラフ法、バナドモリブデン酸吸光光度法、オルト−フェナントロリン吸光度法、過マンガン酸カリウム定量法、モール法、硫酸バリウム重量法、誘導結合プラズマ発光分析法、微生物定量法を用いて測定した結果である。
次にビワ種が有する栄養成分を図10に示す。図からも明らかなように、ビワ種であっても、カルシウム、カリウム、マグネシウム、リン、鉄などの必須ミネラル分を豊富に含んでいる。そのために、ビワ種の粉末を食することで、最近では摂取しづらくなってきている必須ミネラルを手軽に摂取可能となることが明らかである。
上記したように、ビワ葉にも、ビワ種にも、必須ミネラル分や各種のビタミン類が豊富に含まれており、これだけでも、ビワ種およびビワ葉の粉末状素材、あるいは有効成分を抽出した液状素材が、有効な食品素材となることは明らかである。
次に、ビワ種およびビワ葉が有する抗菌作用に関して、粉砕したビワ種、および粉砕したビワ種を抽出し、ろ過した抽出液を用いて各菌の生育抑制試験を行った結果について説明する。
本試験の検定菌としては、細菌類のStaphylococcus aureus egaarak、Escherichia coli IFO3972と、真菌類のFusarium oxysporum NBRC31631を用いた。また、細菌類であるStaphylococcus aureus egaarak、Escherichia coli IFO3972に対しては、普通栄養液体培地(日本製薬株式会社製)100mL中に、生菌と共に、粉砕したビワ種を各、0g、5g、10g添加して、70rpm振とう培養を行い、コロニーカウント法にて生菌数を経時的に調べた。
真菌類であるフザリウム菌(Fusarium oxysporum NBRC31631)に対しては、改変ツァペックドックス液体培地100mLにビワ種抽出液濃度が、300、100、50、10mg/mLとなるようにビワ種抽出液を添加し、25℃で70rpm振とう培養を行い、重量法にて菌体量を調べた。
前記改変ツァペックドックス液体培地の組成は、イオン交換水450mL、NaNO31.35g、K2HPO40.45g、MgSO4・7H2O0.225g、ショ糖13.5g、Bacto-peptone4.5gで、終末pHを7.3に調整したものを用いた。
図1には、黄色ブドウ球菌で毒素系の菌であり食中毒細菌の一種であるStaphylococcus aureus egaarakを用いた生育抑制試験結果を示している。図1(a)は具体的な数値を示す図表であり、図1(b)は結果を示すグラフである。
図から明らかなように、ビワ種の粉末が無添加であれば、生菌が増殖しているが、ビワ種の粉末を添加しておれば、100mLの液体培地に添加する量が5g、10gに拘らずに、培養開始後24時間経過後には生菌数が0となり、そのまま96時間経過しても生菌数は確認できなかった。
上記の試験で、ビワ種の粉末が、黄色ブドウ球菌で毒素系の菌であり食中毒細菌の一種であるStaphylococcus aureus egaarakの生育を抑制することが明らかとなり、殺菌効果を備えていることが判る。
つまり、ビワ種の粉末が、食中毒細菌に対して有効な抗菌剤となりうることが明らかとなった。
次に、ビワ種の粉末を用いてO−157が属する大腸菌であるEscherichia coli(IFO3972)を用いた生育抑制試験結果について図2より説明する。図2(a)は具体的な数値を示す図表であり、図2(b)は結果を示すグラフである。
本試験結果によれば、培養開始後24時間では、生菌の増殖が確認されたが、48時間後では生菌数は0となり、120時間培養経過しても0のままであった。また、添加するビワ種の粉末量は、5gでも10gでも同じ殺菌効果であることが確認された。
上記の試験で、ビワ種の粉末が、大腸菌であるEscherichia coli(IFO3972)の生育を抑制することが明らかとなり、殺菌効果を備えていることが判る。
つまり、ビワ種の粉末が、大腸菌に対して有効な抗菌剤となりうることが明らかとなった。
真菌であるフザリウム菌Fusarium oxysporumに対する生育抑制試験結果を図3に示す。図3(a)は具体的な数値を示す図表であり、図3(b)は結果を示すグラフである。
図から判るように、ビワ種抽出液濃度が300mg/mLであれば、96時間培養後でも菌体量は0であった。また、10mg/mLの濃度の場合には、0とはならずに、少量の菌体を検出した。しかし、ビワ種抽出液無添加のものと比較して、菌の増殖を抑制していることは明らかである。
つまり、ビワ種粉末の抽出液が、真菌類に対して有効な抗菌(抗カビ)食品素材となりうることが明らかとなった。
次に、ビワ種およびビワ葉の抽出液を用いて行った抗菌活性試験について説明する。
この抗菌活性試験は、ペーパーディスク法と直接添加法を用いて行った。試料は、ビワ種、ビワ葉のそれぞれを粉砕し、イオン交換水100mLに添加し、25℃で24時間、100rpmで振とう抽出を行った。
また、検定菌として真菌類と細菌類をそれぞれ用いて行った。真菌類に対しては、ポテトデキロース寒天培地(日本製薬株式会社製)を用い、細菌類に対しては、普通栄養寒天培地(栄研化学株式会社製)を用いた。
真菌として、Aspergillus oryzae IFO30102、Mucor javanicus NBRC4507、Trichoderma viride NBRC31137、Wallemia sebi NBRC6668、Fusarium oxysporum NBRC31631、Cladosporium cladosporioides NBRC30314、Eurotium herbariorum NBRC33235、Penicillium camembertii NBRC3221、Penicillium chrysogenum NBRC4626、また、細菌として、Bacillus subtilis IFO3335、Salmonella typhimurium IFO13245、Escherichia coli IFO3972、Staphylococcus aureus egaarak、Pectobacterium carotovorum NBRC3380、そしてLegionella pneumophilaを用いた。
上記のLegionella pneumophilaの培地としては、ACES10g/500mL、KOH2.8g/480mLをpH6.9±0.1に調整し、α―ケトグルタル酸1g、活性炭2g、酵母エキス10g、寒天15gを混合してオートクレーブ処理後、L−システイン0.4g/10mL、ピロリン酸鉄0.25g/10mLを混合したものを用いた。
図4にペーパーディスク法による試験結果を示し、図5に直接添加法による試験結果を示す。
図4には、ビワ種およびビワ葉の抽出液の抗菌スペクトルを示しており、ビワ種およびビワ葉の粉末を、水または各種の有機溶媒(例えばエタノール、アセトン)によって抽出を行い、得られたそれぞれの抽出液を用いて、各菌に対するMIC値を表示したものである。MIC値とは最小発育阻止濃度のことであり、その菌の増殖を阻止する(殺菌ではない)ための抗菌剤の必要最小量を示す。つまり、このMIC値が小さい程、すなわち使用する抗菌剤の量が少ない程、その抗菌剤の抗菌機能は強いことになる。
図から、生種水抽出(ビワの生種粉末を水で抽出した抽出液)がEscherichia coli IFO3972に対して100mg/mLのMIC値を、Staphylococcus aureus egaarakに対して100mg/mLのMIC値を示しているのが判る。また、ビワの生種粉末をアセトンで抽出した抽出液がLegionella pneumophilaに対してMIC値300mg/mLの抗菌性を有していることを示している。
Escherichia coliとは、大腸菌群の一種であり、病原性大腸菌として有名なO−157もこの大腸菌群に属している。そのために、ビワの生種粉末を水で抽出した抽出液はO−157に対して抗菌性を有している可能性がある。また、Staphylococcus aureusは前述したように黄色ブドウ球菌であるので、ビワの生種粉末を水で抽出した抽出液は黄色ブドウ球菌に対して抗菌性を有しているといえる。
さらに、食中毒の原因となる細菌や真菌に対する抗菌機能だけでなく、レジオネラ菌に対する抗菌機能を備えているので、水気中で繁殖するレジオネラ菌の増殖を抑制可能であり、水周りの調度品に直接吹き付けて抗菌機能を発揮する抗菌剤とすることができる。
今回の試験からは、ビワ葉の抽出液では格別な抗菌効果は検出できなかった。しかし前述したように、ビワ葉には抗菌性を発揮すると言われているクロロフィルが豊富に含まれており、それなりの抗菌性を発揮することは可能と思われる。
また、ビワ種の抽出液はビワ葉では見られない抗菌機能を発揮していることが確認されたので、ビワ種が有する抗菌機能はクロロフィル以外の成分が寄与している可能性が大きく、新たな抗菌剤として有効となる。
図5には直接添加法によりビワ種水抽出(ビワの生種粉末を水で抽出した抽出液)の抗菌スペクトルを示している。この試験結果から、ビワ種は、Escherichia coli IFO3972に対してMIC値230mg/mLの抗菌性を、Staphylococcus aureus egaarakに対してMIC値230mg/mLの抗菌性を、Wallemia sebi NBRC6668に対してMIC値10mg/mLの抗菌性を、Fusarium oxysporum NBRC31631に対してMIC値50mg/mLの抗菌性を発揮することが明らかとなった。
また、この抗菌スペクトルは広くなく、特定の菌に対する抗菌性を発揮する比較的狭い抗菌スペクトルである。そのために、このビワ種水抽出液を農作物に直接吹き付けても、周囲の土壌中の有用微生物を殺菌することはなく、非常に優れたFusarium oxysporum抗菌剤となりうる。
上記のように、ビワ種水抽出液は、Escherichia coli IFO3972やStaphylococcus aureus egaarakなどの細菌に対するよりも、ワレミア属のWallemia sebi NBRC6668やフザリウム属のFusarium oxysporum NBRC31631などの真菌に対する抗菌性のほうが高くなっている。
これは、ビワが有する特徴的な機能であり、腐敗し易く、カビが生え易い食料品に対して、大きな効果を発揮する可能性を示している。
次に、抗菌活性が温度によりどのように変化するかを調べる温度安定性試験と、抗菌活性がpHによりどのように変化するかを調べるpH安定性試験の結果について説明する。
温度安定性試験は、検定菌としてFusarium oxysporum NBRC31631を用いて、ビワ種抽出液を4℃、20℃、40℃、60℃、80℃、100℃の温浴中で60分間保持した後で、氷冷し、直接添加法により残存している抗菌活性を測定した。また、オートクレーブ処理(121℃、20分)した抽出液も同様の測定を行った。抗菌活性の判定は、20℃で保持した時のMIC値を100とした相対残存活性(%)で表し、その結果を図6に示す。
図6(a)は各温度における相対残存活性(%)の具体的な数値を示す図表であり、(b)はその結果を示すグラフである。
図から判るように、4℃〜121℃の範囲内においては、抗菌活性は全て100%を示しており、安定している。このことから、ビワ種抽出液が備える抗菌性は、通常の食品の加工温度範囲において安定的に保持可能であると判断される。そのために、ビワ種抽出液を食品素材として、各種の食品に添加含有して使用することが可能となる。
pH安定性試験は、検定菌としてFusarium oxysporum NBRC31631を用いて、ビワ種抽出液10mLに、10mLの0.1M緩衝液(pH3.0〜5.0は酢酸緩衝液、pH6.0〜8.0まではリン酸緩衝液、pH9.0は炭酸緩衝液)を加え、4℃で60分間保持した。その後、塩酸または水酸化ナトリウムを用いてpH6.0となるように調整し、直接添加法により、残存している抗菌活性を測定した。抗菌活性の判定は、pH6.0で保持した時のMIC値を100とした相対残存活性(%)で表し、その結果を図7に示す。
図7(a)は各pHにおける相対残存活性(%)の具体的な数値を示す図表であり、(b)はその結果を示すグラフである。
図から判るように、pH3〜pH9において、抗菌活性は全て100%を示しており安定している。このことから、ビワ種抽出液が備える抗菌性は、通常の食品の加工pH範囲において安定的に保持可能であると判断される。
上記したように、ビワが備える抗菌機能は、4℃〜121℃の温度範囲でpH3〜pH9のpH範囲内での加工条件では劣化せず安定している。そのために、この条件範囲内で加工を行うことで、各種の食品や食品素材に混入可能な粉末状または液状の抗菌剤を得ることが可能となる。
また、pHに強いことは、健康食品として摂取した際に、pHの低い胃やpHの比較的高い腸内を通過しても抗菌力を発揮することになる。
上記したように本発明に係るビワ種を用いた抗菌剤は、真菌および細菌に対する抗菌機能、特に複数の食中毒菌および食品腐敗菌に対して抗菌機能を発揮するので、各種の食品に添加して食中毒を効果的に防止可能となる。さらには抗菌機能だけでなく、各種の栄養成分、特に必須ミネラルを豊富に含んでいるので、高機能性食品素材ともなる。そのために、粉末状または液状とすることで、各種の食品や食品素材に混入可能な、高機能で抗菌性を有する食品素材とすることができる。
そのために、ビワ種やビワ葉を粉末状として、直接食品材料中に練りこむ抗菌・抗カビ剤とすることも、水や有機溶媒で抽出したものを、抗菌・抗カビ剤として直接食材に吹き付けることも可能となる。さらには、食品の上から抽出液を吹き付けて日持ち向上剤として利用することも、農作物に直接抽出液を吹きかけたり、農作土壌に抽出液やビワ種・ビワ葉そのものを混ぜることにより、生物農薬としても可能となる。
本発明に係るビワ種およびビワ葉を用いた抗菌剤は、毒性の無い自然植物由来であるので、副作用や弊害が生じることがなく、そのまま服用容易な健康食品ともなる。さらには、通常の食事の後に、粉末状のビワ種およびビワ葉を用いた抗菌剤を服用することで、食中毒を予防すると共に必須ミネラルを効率よく摂取することができる。
ビワ種の抗菌効果を求める生育抑制試験−1の結果を示し、(a)は具体的な数値を示す図表であり、(b)は結果を示すグラフである。 ビワ種の抗菌効果を求める生育抑制試験−2の結果を示し、(a)は具体的な数値を示す図表であり、(b)は結果を示すグラフである。 ビワ種の抗菌効果を求める生育抑制試験−3の結果を示し、(a)は具体的な数値を示す図表であり、(b)は結果を示すグラフである。 本発明に係るビワ種およびビワ葉の抽出液の、ペーパーディスク法を用いた抗菌スペクトル一覧を示す。 直接添加法を用いたビワ種水抽出における抗菌スペクトル一覧を示す。 温度安定性試験結果を示し、(a)は具体的な数値を示す図表であり、(b)は結果を示すグラフである。 pH安定性試験結果を示し、(a)は具体的な数値を示す図表であり、(b)は結果を示すグラフである。 ビワ葉のクロロフィル分析結果を示す。 ビワ葉の栄養分析結果を示す。 ビワ種の栄養分析結果を示す。

Claims (6)

  1. ビワ種を粉砕し粉末状とし、食中毒菌あるいは食品腐敗菌となる真菌および細菌に対する抗菌機能を共に備えることを特徴とする抗菌剤。
  2. ビワ種を破砕し、水または有機溶媒を用いて抽出を行い、その抽出液をろ過した液状とし、食中毒菌あるいは食品腐敗菌となる真菌および細菌に対する抗菌機能を共に備えることを特徴とする抗菌剤。
  3. 前記真菌が、ワレミア属の高糖性食品腐敗菌(Wallemia sebi)、およびフザリウム属の植物病原菌(Fusarium oxysporum)であることを特徴とする請求項1または2に記載の抗菌剤。
  4. 前記細菌が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)および大腸菌(Escherichia coli)であることを特徴とする請求項1または2に記載の抗菌剤。
  5. 前記抗菌機能として、さらにレジオネラ菌(Legionella pneumophila)に対する抗菌機能を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の抗菌剤。
  6. ビワ葉が含有するクロロフィルが発揮する抗菌機能を備える抗菌剤であって、ビワ葉を破砕した粉末状、あるいは、破砕したビワ葉を水または有機溶媒を用いて抽出を行い、その抽出液をろ過した液状としたことを特徴とする抗菌剤。
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