JP2007307566A - 溶接部靭性に優れた高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の製造方法 - Google Patents

溶接部靭性に優れた高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の製造方法 Download PDF

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Hiroyasu Yokoyama
泰康 横山
Yoshitomo Okabe
能知 岡部
Kazuhito Kenmochi
一仁 剣持
Masahito Suzuki
雅仁 鈴木
Shigeto Sakashita
重人 坂下
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Abstract

【課題】寒冷地に敷設されても溶接部が脆性破壊しない、溶接部を高靭性とした高強度厚肉ラインパイプ向けの電縫鋼管の製造方法を提供する。
【解決手段】用いる帯鋼が質量%で、C:0.02〜0.08、Si:0.01〜0.5 %、Mn:0.6〜1.8%、P:0.01%以下、S:0.01%以下、Al:0.1%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるとともに、溶接直前のオープン管の端面形状が、管外面側で端面を基準にテーパ角度θ1を5°以上50°以下、テーパ高さt1を板厚tの1/10以上49/100以下としたテーパ形状を備えるように成形する。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶接部靭性を向上させ、溶接部を起点とする脆性破壊を抑制した高靭性高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の製造方法に関する。
厚肉ラインパイプ向けの電縫鋼管では、従来、溶接部品質向上の観点から、経験に頼った入熱や溶接時のVシェイプの調整等が行われてきた。これらにより、定性的には、高入熱、Vシェイプの適正化(おおよそ2〜3°)により、溶接部品質の向上がなされてきた。
しかし、このような経験に頼った調整では、必ずしも100%の靭性保証がなされることはなく、時に著しく低靭性の部位が発生し、これを抑制することができていなかった。
設備費用が安く、ロール形状を変更し易い小径サイズの電縫鋼管では、上記対策としてロール成形時にエッジ端面を加工(圧延)し、溶接時のビード生成量を低減し、ビード切削負荷を低減する手法が取られているが、ラインパイプ向けの厚肉大径の電縫鋼管では、設備改造費用も著しく高価となるため、エッジ端面の形状に着目した対策は取られていなかった。
また、二次加工を前提とした小径電縫管では、例えば特許文献1に示されているように、管内面に相当するエッジ端面を加工し、電縫溶接後の二次加工時における延性破壊を抑制する方法が知られているが、これは、鋼管二次加工のような低歪み速度の加工における高い加工性を溶接部に付与する方法であり、寒冷地に敷設されるラインパイプに必要とされる高靭性(高歪み速度領域の脆性破壊)は考慮されていない。
特開平3-211255号公報
本発明は、上記の状況に鑑み、寒冷地に敷設されても溶接部が脆性破壊しない、溶接部を高靭性とした高強度厚肉ラインパイプ向けの電縫鋼管の製造方法を提供するためになされたものである。
本発明者らは、強度がAPI規格X65グレード以上の高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の寒冷地における脆性破壊抑制の観点から、必要とする溶接部靭性と、それを満たすための成分系および製造工程の検討を行った。
その結果、溶接部靭性としては、溶接部に切欠きを入れたシャルピー衝撃試験において、破面遷移温度が-46℃以下、-46℃における吸収エネルギーが100J以上となる高靭性が必要であることを見出した。そして、その溶接部靭性を得るには、母材(帯鋼)の化学成分を最適化するとともに、その帯鋼を電縫溶接する前に特定の端面形状とすることにより実現できることを見出した。
すなわち、前記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有している。
(1)帯鋼に連続的に成形を施し略円筒状のオープン管に造管する造管成形工程と、前記オープン管の円周方向端部同士を溶接する溶接工程とを経て電縫管とする電縫鋼管の製造方法において、前記帯鋼が質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.6〜1.8%、P:0.01%以下、S:0.01%以下、Al:0.1%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるとともに、溶接直前のオープン管の端面形状が、管外面で端面を基準にテーパ角度を5°以上50°以下、テーパ高さを管外面から板厚の1/10以上49/100以下としたテーパを備えるように成形する工程を有することを特徴とする溶接部靭性に優れた高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の製造方法。
(2)帯鋼に連続的に成形を施し略円筒状のオープン管に造管する造管成形工程と、前記オープン管の円周方向端部同士を溶接する溶接工程とを経て電縫管とする電縫鋼管の製造方法において、前記帯鋼が質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.6〜1.8%、P:0.01%以下、S:0.01%以下、Al:0.1%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるとともに、溶接直前のオープン管の端面形状が、管内面で端面を基準にテーパ角度を5°以上50°以下、テーパ高さを管内面から板厚の1/10以上49/100以下としたテーパを備えるように成形する工程を有することを特徴とする溶接部靭性に優れた高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の製造方法。
(3)前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下の中から選ばれる1種又は2種を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の溶接部靭性に優れた高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の製造方法。
(4)前記組成に加えてさらに、質量%で、Cr:3.0%以下、Mo:2.0%以下の中から選ばれる1種又は2種を含有することを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の溶接部靭性に優れた高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の製造方法。
(5)前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下の中から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかに記載の溶接部靭性に優れた高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の製造方法。
(6)前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.005%以下を含有することを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかに記載の溶接部靭性に優れた高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の製造方法。
本発明によれば、溶接直前のオープン管の端面形状を最適化することにより、溶接部靭性に優れた厚肉高強度高靭性ERWラインパイプ向け電縫鋼管を製造することができる。
以下、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態について述べる。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態における電縫鋼管(母材)の化学成分について説明する。
この実施形態における電縫鋼管の化学成分は、敷設時の総合的な低コスト化を考慮し、特に鋼管の輸送費用低下を重要視している顧客の要求を受けている。従って、高強度を前提とした化学成分を基本としている。
・C:0.02〜0.1%とする。Cは炭化物として析出強化に寄与する元素であるが、0.02%未満では十分な強度が確保できず、0.1%を超えるとパーライト、ベイナイト、マルテンサイト等の第二相の組織分率が増加し、ラインパイプとして必要な優れた素材靭性を確保できなくなる。このため、本発明では、0.1%以下に限定した。なお、C含有量が0.02%未満では、ラインパイプとして十分な強度が確保できなくなる。このため、Cは0.02%以上含有することが望ましい。なお、より好ましくは、C含有量は0.02〜0.07%である。
・Si:0.01〜0.5%とする。Siは脱酸のため添加するが、0.01%未満では脱酸効果が十分でなく、0.5%を超えると電縫溶接性を劣化させるため、Si含有量を0.01〜0.5%に規定する。
・Mn:0.6〜1.8%とする。Mnは強度、靭性を確保するため添加するが、0.6%未満ではその効果が十分でなく、1.8%を超えると第二相分率が増加し、ラインパイプとして必要な優れた素材靭性を確保できないため、Mn含有量を0.6〜1.8%に規定する。
・P:0.01%以下とする。Pは電縫溶接性を劣化させる元素であるため、P含有量の上限を0.01%に規定する。
・S:0.01%以下とする。Sは一般的には鋼中においてはMnS介在物となり、水素誘起割れ(HIC)の起点となるため少ないほどよい。しかし、0.01%以下であれば問題ないため、S含有量の上限を0.01%に規定する。
・Al:0.1%以下とする。Alは脱酸剤として添加されるが、0.1%を超えると鋼の清浄度が低下し、靭性を劣化させるため、Al含有量は0.1%以下に規定する。
本発明ではラインパイプ向け電縫鋼管の強度や降伏比、靭性をさらに改善する目的で、上記の成分に加えてさらに、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、Ca:0.005%以下、を選択して含有できる。
・Cu :0.5%以下とする。Cuは靭性の改善と強度の上昇に有効な元素であるが、多く添加すると溶接性が劣化するため、添加する場合は0.5%を上限とする。
・Ni:0.5%以下とする。Niは靭性の改善と強度の上昇に有効な元素であるが、多く添加すると硬化第二相が生成しやすくなり、素材靭性の低下に繋がるため、添加する場合は0.5%を上限とする。
・Cr:3.0%以下とする。CrはMnと同様に低Cでも十分な強度を得るために有効な元素であるが、多く添加すると第二相が生成しやすくなり素材靭性を低下させるため、添加する場合は3.0%を上限とする。
・Mo:2.0%以下とする。MoはMn、Crと同様に低Cでも十分な強度を得るために有効な元素であるが、多く添加すると第二相が生成しやすくなり素材靭性を低下させるため、添加する場合は2.0%を上限とする。
・Nb:0.1%以下とする。Nbは炭窒化物の微細析出と組織の微細粒化により強度と靭性を向上させる。しかし、0.1%を超えると硬化した第二相が増加しやすくなり、逆に素材靭性が著しく劣化するため、Nb含有量は0.1%以下に規定する。
・V:0.1%以下とする。VもNbと同様に炭窒化物の微細析出により強度上昇に寄与する。しかし、0.1%を超えるとNbと同様に硬化した第二相分率が増加し、素材靭性が著しく劣化するため、V含有量は0.1%以下に規定する。
・Ti:0.1%以下とする。TiもNb、Vと同様に炭窒化物の微細析出により強度上昇に寄与する。しかし、0.1%を超えるとNbと同様に硬化した第二相分率が増加し、素材靭性が著しく劣化するため、V含有量は0.1%以下に規定する。
・Ca:0.005%以下とする。Caは、水素誘起割れの起点となり易い伸長したMnSの形態制御に必要な元素である。しかし0.005%を超えて添加すると過剰なCa酸化物、硫化物が生成し、靭性劣化に繋がるため、Ca含有量は0.005%以下に規定する。
上記以外の残部はFeおよび不可避的不純物からなっている。
次に、本発明の第1の実施形態における電縫鋼管の溶接前の端面形状について説明する。
この実施形態においては、帯鋼に連続的に成形を施し略円筒状のオープン管に造管する造管成形工程と、前記オープン管の円周方向端部同士を溶接する溶接工程とを順次経て電縫管とする電縫鋼管の製造方法において、溶接直前のオープン管の端面形状が、図1に示すように、管外面で端面を基準にテーパ角度θ1を5°以上50°以下、テーパ高さt1を管外面から板厚tの1/10以上49/100以下(すなわち、板厚tの0.10以上0.49以下)としたテーパを備えるように成形する工程を有している。
なお、上記のテーパを成形する手段は、造管成形前のコイル端部を切断するコイルエッジャーでの切削や、エッジミラー後の端面成形機や、カリバーロールによる圧延加工等の様々な形態が考えられるが、実質的に電縫溶接前に図1に示す端面形状が得られれば、どのよう手段を用いてもよい。
また、テーパを成形する時期については、電縫溶接前までであれば何時でもよいが、造管成形工程前は帯鋼が平坦であり、テーパを成形しやすいことから、造管成形工程前に行うのが好ましい。
ここで、管外面側で、テーパ角度θ1を5°以上50°以下、テーパ高さt1を板厚tに対して1/10以上49/100以下のテーパとするのは、接合させる端面の外面から中央までの温度分布を均一化し、溶鋼の生成、排出を促進させるためである。テーパ角度θ1が5°未満では、コーナー効果により管外面側の端面のコーナー部が過加熱され、端面中央部の温度が相対的に低くなり、中央部の溶鋼生成、排出が抑制され、結果として接合面に酸化物が排出されずに残存し、溶接部の高靭性が確保できない。テーパ角度θ1が50°を超えると、テーパ成形面の温度上昇が不十分となり、溶鋼生成が抑制され、テーパ成形面の酸化物の排出が抑制されるため、やはり溶接部の高靭性が確保できない。また、テーパ高さt1が板厚tに対して1/10未満では、テーパ成形領域が相対的に少なく、コーナー効果の抑制ができず、コーナー部が過加熱され、中央部の温度が相対的に低くなり、溶鋼の排出が抑制され、溶接部の靭性が低下する。テーパ高さt1が板厚tに対して49/100を超えると、テーパ成形面の領域が広くなり過ぎるため、この領域の溶鋼生成が遅れ、板厚中央のみが過加熱されて他の領域の接合が不十分となる。
(第2の実施形態)
まず、本発明の第2の実施形態における電縫鋼管の化学成分については、前述の第1の実施形態における電縫鋼管の化学成分と同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、本発明の第2の実施形態における電縫鋼管の溶接前の端面形状について説明する。
この実施形態においては、帯鋼に連続的に成形を施し略円筒状のオープン管に造管する造管成形工程と、前記オープン管の円周方向端部同士を溶接する溶接工程とを順次経て電縫管とする電縫鋼管の製造方法において、溶接直前のオープン管の端面形状が、図2に示すように、管内面で端面を基準にテーパ角度θ2を5°以上50°以下、テーパ高さt2を管内面から板厚tの1/10以上49/100以下(すなわち、板厚tの0.10以上0.49以下)としたテーパを備えるように成形する工程を有している。
なお、上記のテーパを成形する手段は、造管成形前のコイル端部を切断するコイルエッジャーでの切削や、エッジミラー後の端面成形機や、カリバーロールによる圧延加工等の様々な形態が考えられるが、実質的に電縫溶接前に図2に示す端面形状が得られれば、どのよう手段を用いてもよい。
また、テーパを成形する時期については、電縫溶接前までであれば何時でもよいが、造管成形工程前は帯鋼が平坦であり、テーパを成形しやすいことから、造管成形工程前に行うのが好ましい。
ここで、管内面側で、テーパ角度θ2を5°以上50°以下、テーパ高さt2を板厚tに対して1/10以上49/100以下のテーパとするのは、接合させる端面の外面から中央までの温度分布を均一化し、溶鋼の生成、排出を促進させるためである。テーパ角度θ2が5°未満では、コーナー効果により管内面側の端面のコーナー部が過加熱され、端面中央部の温度が相対的に低くなり、中央部の溶鋼生成、排出が抑制され、結果として接合面に酸化物が排出されずに残存し、溶接部の高靭性が確保できない。テーパ角度θ2が50°を超えると、テーパ成形面の温度上昇が不十分となり、溶鋼生成が抑制され、テーパ成形面の酸化物の排出が抑制されるため、やはり溶接部の高靭性が確保できない。また、テーパ高さt2が板厚tに対して1/10未満では、テーパ成形の領域が相対的に少なく、コーナー効果の抑制ができず、コーナー部が過加熱され、中央部の温度が相対的に低くなり、溶鋼の排出が抑制され、溶接部の靭性が低下する。テーパ高さt2が板厚tに対して49/100を超えると、テーパ成形面の領域が広くなり過ぎるため、この領域の溶鋼生成が遅れ、板厚中央のみが過加熱されて他の領域の接合が不十分となる。
本発明の実施例1を以下に述べる。なお、この実施例1は、上記の本発明の第1の実施形態に対応するものである。
表1に示す化学成分と板厚tを備えた熱延帯鋼(帯鋼No:1-A〜1-J)を用い、エッジミラー後の端面成形機によって、図1のテーパ角度θ1とテーパ高さt1を表2に示すような端面形状に変化させて(端面条件No:1-a〜1-j)、電縫溶接を行い、外径20インチのX65耐サワー電縫鋼管を製造した(鋼管No:1-1〜1-41)。
Figure 2007307566
Figure 2007307566
表3に製造した各電縫鋼管(鋼管No:1-1〜1-41)の電縫溶接後の溶接部靭性を示す。
なお、溶接部靭性は電縫溶接部から、管周方向にJIS5号の2mmVノッチシャルピー衝撃試験片を各々10本ずつ採取し、-46℃で衝撃試験を行い、吸収エネルギー、脆性破面率を測定した。製造上のばらつきを考慮して、溶接部の-46℃の吸収エネルギーが125J以上、脆性破面率が35%以下であるものが目標特性を満足するものとして評価した。
Figure 2007307566
Cが本発明範囲を逸脱している帯鋼1-Aを用いた場合は、組織がフェライト−ベイナイト系で、降伏比は低いものの、いずれの条件においても耐サワー性を満足しない。MnあるいはNbが本発明範囲を逸脱している帯鋼1-B、1-Cを用いた場合は、耐サワー性が満足しないだけでなく、溶接部靭性が低く、いずれの端面形状においても-46℃におけるシャルピー吸収エネルギー125J以上を満足しない。
本発明範囲に含まれる化学成分を備えた帯鋼1-D〜1-Jの場合、端面形状が本発明範囲を満足していない端面条件No 1-a、1-b、1-c、1-d、1-fでは、吸収エネルギーの平均値は高い値を示しているが、吸収エネルギーの最小値でみると、-46℃で125Jを満足できない試験片(2〜3本)が存在するのに対し、端面形状が本発明範囲を満たす端面条件No 1-e、1-g、1-h、1-i、1-jでは、いずれも安定して高いシャルピー吸収エネルギー(平均値、最小値ともに、-46℃で125J以上)を示している。脆性破面率についても同様に、端面形状が本発明範囲を満たしていない端面条件No 1-a、1-b、1-c、1-d、1-fでは、35%を超える脆性破面率を呈する試験片が存在するのに対し、端面形状が本発明範囲を満たす端面条件No 1-e、1-g、1-h、1-i、1-jでは、いずれも安定して低い脆性破面率(平均値、最小値ともに、35%以下)を呈している。
以上の結果から、本発明の第1の実施形態の有効性を確認することができた。
本発明の実施例2を以下に述べる。なお、この実施例1は、上記の本発明の第2の実施形態に対応するものである。
表4に示す化学成分と板厚tを備えた熱延帯鋼(帯鋼No:2-A〜2-J)を用い、エッジミラー後の端面成形機によって、図2のテーパ角度θ2とテーパ高さt2を表4に示すような端面形状に変化させて(端面条件No:2-a〜2-j)、電縫溶接を行い、外径20インチのX65耐サワー電縫鋼管を製造した(鋼管No:2-1〜2-41)。
Figure 2007307566
Figure 2007307566
表6に製造した各電縫鋼管(鋼管No:2-1〜2-41)の電縫溶接後の溶接部靭性を示す。
なお、溶接部靭性は電縫溶接部から、管周方向にJIS5号の2mmVノッチシャルピー衝撃試験片を各々10本ずつ採取し、-46℃で衝撃試験を行い、吸収エネルギー、脆性破面率を測定した。製造上のばらつきを考慮して、溶接部の-46℃の吸収エネルギーが125J以上、脆性破面率が35%以下であるものが目標特性を満足するものとして評価した。
Figure 2007307566
Cが本発明範囲を逸脱している帯鋼2-Aを用いた場合は、組織がフェライト−ベイナイト系で、降伏比は低いものの、いずれの条件においても耐サワー性を満足しない。MnあるいはNbが本発明範囲を逸脱している帯鋼2-B、2-Cを用いた場合は、耐サワー性が満足しないだけでなく、溶接部靭性が低く、いずれの端面形状においても-46℃におけるシャルピー吸収エネルギー125J以上を満足しない。
本発明範囲に含まれる化学成分を備えた帯鋼2-D〜2-Jの場合、端面形状が本発明範囲を満足していない端面条件No 2-a、2-b、2-c、2-d、2-fでは、吸収エネルギーの平均値は高い値を示しているが、吸収エネルギーの最小値でみると、-46℃で125Jを満足できない試験片(2〜3本)が存在するのに対し、端面形状が本発明範囲を満たす端面条件No 2-e、2-g、2-h、2-i、2-jでは、いずれも安定して高いシャルピー吸収エネルギー(平均値、最小値ともに、-46℃で125J以上)を示している。脆性破面率についても同様に、端面形状が本発明範囲を満たしていない端面条件No 2-a、2-b、2-c、2-d、2-fでは、35%を超える脆性破面率を呈する試験片が存在するのに対し、端面形状が本発明範囲を満たす端面条件No 2-e、2-g、2-h、2-i、2-jでは、いずれも安定して低い脆性破面率(平均値、最小値ともに、35%以下)を呈している。
以上の結果から、本発明の第2の実施形態の有効性を確認することができた。
本発明の第1の実施形態におけるオープン管の端面形状を示す図である。 本発明の第2の実施形態におけるオープン管の端面形状を示す図である。

Claims (6)

  1. 帯鋼に連続的に成形を施し略円筒状のオープン管に造管する造管成形工程と、前記オープン管の円周方向端部同士を溶接する溶接工程とを経て電縫管とする電縫鋼管の製造方法において、前記帯鋼が質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.6〜1.8%、P:0.01%以下、S:0.01%以下、Al:0.1%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるとともに、溶接直前のオープン管の端面形状が、管外面で端面を基準にテーパ角度を5°以上50°以下、テーパ高さを管外面から板厚の1/10以上49/100以下としたテーパを備えるように成形する工程を有することを特徴とする溶接部靭性に優れた高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の製造方法。
  2. 帯鋼に連続的に成形を施し略円筒状のオープン管に造管する造管成形工程と、前記オープン管の円周方向端部同士を溶接する溶接工程とを経て電縫管とする電縫鋼管の製造方法において、前記帯鋼が質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.6〜1.8%、P:0.01%以下、S:0.01%以下、Al:0.1%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるとともに、溶接直前のオープン管の端面形状が、管内面で端面を基準にテーパ角度を5°以上50°以下、テーパ高さを管内面から板厚の1/10以上49/100以下としたテーパを備えるように成形する工程を有することを特徴とする溶接部靭性に優れた高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の製造方法。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下の中から選ばれる1種又は2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接部靭性に優れた高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の製造方法。
  4. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cr:3.0%以下、Mo:2.0%以下の中から選ばれる1種又は2種を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の溶接部靭性に優れた高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の製造方法。
  5. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下の中から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の溶接部靭性に優れた高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の製造方法。
  6. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.005%以下を含有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の溶接部靭性に優れた高強度厚肉ラインパイプ向け電縫鋼管の製造方法。
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