JP2007305673A - 光電センサ - Google Patents

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正吾 岡崎
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Abstract

【課題】水や油、薬品等に曝されるような環境下でも安定して長期間使用可能な耐久性に優れた光電センサを提供する。
【解決手段】検出領域に検出光を投光する投光素子と、検出領域からの反射光を受光する受光素子と、前記投光素子の前面側に配置され検出光が通過する投光レンズと、前記受光素子の前面側に配置され反射光が通過する受光レンズとを有する反射型の光電センサにおいて、前記投光レンズ及び前記受光レンズは、光電センサ外部に露出する側の面に架橋樹脂組成物層を有することを特徴とする光電センサ。
【選択図】なし

Description

本発明は、光電効果を応用し物体の検出を行う光電センサに関するものであり、特に使用環境の制約が少ない、耐環境特性に優れた光電センサに関する。
光電センサは、光電効果を応用した非接触式の検出器であり、その動作原理は、可視光線や赤外線等の光を投光部から信号光として発射し、検出物体によって反射する光を受光部で検出(反射型)したり、検出物体によって遮光される光量の変化を受光部で検出(透過型,回帰反射型)したりして出力信号を得ることにより、検出物体の有無や大小、あるいは明暗等を検知するというものである。
光電センサの構造は、検出方式(透過型,回帰反射型,拡散反射型など)により差異はあるものの、主要構成要素として、投光部、受光部、増幅部、制御部、電源部を有する。一般的な光電センサの構造や製造方法に関しては、特開平4−342916号公報(特許文献1)、特開平10−125187号公報(特許文献2)、特開2004−257857号公報(特許文献3)等に記載されている。
一般に光電センサは、「非接触での検出が可能」、「応答速度が速い」、「殆どの物体が検出可能」、「色の判別が可能」、「検出距離が長い」、「大きさが小さい」等の特徴を有している。このような光電センサは、特にFA(Factory Automation)化された製造現場においては、様々な変化(位置,長さ,変位,等)の検出・計測機器として幅広く用いられており、水や油、薬品等の液体が使用される環境下で光電センサが使用されるケースも少なくない。このような環境下で使用される光電センサには、高度な耐水性、耐油性、耐薬品性が要求される。
光電センサの耐水性や耐油性、耐薬品性を改善する方法としては、光電センサを一体成形する際に、特異的に水や油、薬品に対する浸透耐性が低いウェルドライン発生部位を特定の位置に設定することで、光電センサ内に外部の液体を侵入させない方法が提案されている(特許文献3参照)。
上記方法においては、ウェルドラインから外部液体が光電センサ内部に侵入し、センサ内部の投光素子、受光素子、投光素子を駆動する投光回路、受光素子の受光信号を電気処理する受光回路等に悪影響を及ぼすことを防ぐことは可能である。
特開平4−342916号公報 特開平10−125187号公報 特開2004−257857号公報
しかしながら、上記方法では、外部に露出しているレンズ部材(投光レンズや受光レンズ)が外部液体により損傷を受け、光電センサの機能が低下する問題を解決することはできない。すなわち、光電センサのレンズ部材は一般に、PMMA(ポリメチルメタクリレート)系やPC(ポリカーボネート)系、PAR(ポリアリレート)系等の樹脂を成形して製造されるが、使用される環境や外部液体の種類によっては、レンズ部材が外部液体により侵食されて、クラックが生じたり、白化したりすることがある。そのために、レンズ部材の透明性が低下して光電センサの検出感度が低下したり、センサ内部に浸透した外部液体によりセンサ機能が破壊されたりすることがある。
本発明は、上記問題点に着目してなされたものであり、耐環境特性に優れた光電センサを提供することを目的とする。
本発明は、検出領域に検出光を投光する投光素子と、検出領域からの反射光を受光する受光素子と、前記投光素子の前面側に配置され検出光が通過する投光レンズと、前記受光素子の前面側に配置され反射光が通過する受光レンズとを有する反射型の光電センサにおいて、前記投光レンズ及び前記受光レンズは、光電センサ外部に露出する側の面に架橋樹脂組成物層を有することを特徴とする光電センサを提供する。
また本発明は、検出領域に検出光を投光する投光素子と、前記投光素子の前面側に配置され検出光が通過する投光レンズとを有する投光器、及び、検出光を受光する受光素子と、前記受光素子の前面側に配置され検出光が通過する受光レンズとを有する受光器を含む透過型の光電センサにおいて、前記投光レンズは、投光器外部に露出する側の面に架橋樹脂組成物層を有し、前記受光レンズは、受光器外部に露出する側の面に架橋樹脂組成物層を有することを特徴する光電センサを提供する。
また本発明は、前記投光レンズ及び前記受光レンズが、前記架橋樹脂組成物層の下層側にアクリル系樹脂層を有する上記の光電センサを提供する。
また本発明は、検出領域に検出光を投光する投光素子と、前記投光素子の前面側に配置され検出光が通過する投光レンズとを有する、透過型光電センサ用の投光器において、前記投光レンズは、投光器外部に露出する側の面に架橋樹脂組成物層を有することを特徴とする透過型光電センサ用投光器を提供する。
また本発明は、検出光を受光する受光素子と、前記受光素子の前面側に配置され検出光が通過する受光レンズとを有する、透過型光電センサ用の受光器において、前記受光レンズは、受光器外部に露出する側の面に架橋樹脂組成物層を有することを特徴とする透過型光電センサ用受光器を提供する。
本発明によれば、光電センサ(あるいは投光器もしくは受光器)外部に露出する側のレンズの一面に少なくとも1層以上の架橋樹脂組成物層を有するため、水や油(潤滑油,切削油など)、さらには種々の薬品(洗浄剤,有機溶剤など)に曝される環境下に設置しても、レンズにクラックや白化が生じて検出感度が低下することなく長期間安定して使用することが可能となる。また、埃等の異物の接触や清掃用具(布,ブラシ等)の接触など、様々な傷付き要因に曝されても、レンズ表層に傷が付きにくく、長期にわたり検出感度が低下することなく安定に使用することが可能となる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の反射型の光電センサは、検出領域に検出光を投光する投光素子と、検出領域からの反射光を受光する受光素子と、前記投光素子の前面側に配置され検出光が通過する投光レンズと、前記受光素子の前面側に配置され反射光が通過する受光レンズとを有する。この光電センサは、その他の構成部材として、レンズ部材を組み込むためのレンズホルダや、投光素子および受光素子を収容するケースを有することができる。このケースは、少なくともその一面が開放された直方体や正方体、円筒状の形状を有し、その開放面にレンズホルダの少なくとも一部を挿入することができるものが挙げられる。投光レンズ及び受光レンズは、別体のレンズ部材で形成されていてもよいが、部品数の低減やレンズホルダへの設置性、設置後の密閉性などの観点から、一体のレンズ部材で形成されていることが好ましい。本発明の反射型光電センサは、その他の構成部材として、例えば特許文献1〜3に記載の従来技術の構造を適宜採用することができる。
本発明の透過型の光電センサは、検出領域に検出光を投光する投光素子と、この投光素子の前面側に配置され検出光が通過する投光レンズとを有する投光器、及び、検出光を受光する受光素子と、この受光素子の前面に配置され検出光が通過する受光レンズを有する受光器を含む。この投光器および受光器はそれぞれ、その他の構成部材として、レンズ部材を組み込むためのレンズホルダや、投光素子または受光素子を収容するケースを有することができる。このケースは少なくともその一面が開放された直方体や正方体、円筒状の形状を有し、その開放面にレンズホルダの少なくとも一部を挿入することができるものが挙げられる。本発明の透過型光電センサは、その他の構成部材として、例えば特許文献1〜3に記載の従来技術の構造を適宜採用することができる。
本発明の光電センサにおけるレンズホルダは、レンズ部材を固定する役割をなし、熱可塑性樹脂材料を成形することで製造することができる。レンズホルダに使用される熱可塑性樹脂材料としては、成形性や耐油性等の観点から、PBT(ポリブチレンテレフタレート)系樹脂を用いることができ、特にレンズ以外の部分から光がセンサ内部に侵入すると、正常な検出機能が作動しない恐れがあることから、遮光性の樹脂材料を用いることが望ましく、例えば黒色PBT系樹脂を用いることができる。
本発明の光電センサにおけるケースは、センサ内部の素子類や回路類等を収納し、且つ外部からの液体や埃等の浸入を防止する役割をなし、熱可塑性樹脂材料を成形することで製造することができる。この熱可塑性樹脂としては、成形性や耐油性等の観点から、PBT(ポリブチレンテレフタレート)系樹脂を用いることができ、遮光性の観点から黒色PBT系樹脂を用いることができる。
以下に、本発明について、反射型の光電センサを例にとり、さらに詳細に説明する。
なお、本発明は反射型の光電センサにも透過型の光電センサにも適用可能であり、以下に説明する反射型光電センサに係る本発明の特徴的構成は透過型光電センサにも適用できる。本発明を透過型の光電センサに適用する場合、その投光器と受光器の双方に適用することも、投光器または受光器の一方のみに適用することも可能であり、いずれの場合にも反射型の光電センサに本発明を適用した時と同様の効果を得ることができる。
本発明の反射型の光電センサは、前記の各構成部材を個別にまたは予め組み立てた状態で成形金型に配置し、次いで成形金型内に成形樹脂を充填して、前記構成部材を成形樹脂とともに一体化する方法(「インサート成形」という)により製造できる。この方法によれば、密閉性に優れた構造が得られ、外部の水や油、薬品、さらには埃等の異物の浸入を防止することができる。このようなインサート成形に使用する成形樹脂は、溶融流動性が高く、接着性があり、耐油性、遮光性等に優れるものが望ましく、例えば、黒色系のPBT系樹脂やポリウレタン系樹脂等が用いられる。
なお、インサート成形において、投光素子を駆動する投光回路装置は投光素子と共にケース内に配置してもよいしケース外に設けてもよく、同様に受光素子の受光信号を電気処理する受光回路装置も受光素子と共にケース内に配置してもよいしケース外に設けてもよい。
本発明の反射型の光電センサは、レンズ部材(投光レンズ、受光レンズ)を光電センサに組み込んだ際に最表層側のレンズ部材面(光電センサ外部に露出する側の面)に、架橋樹脂組成物層を有することを特徴とする。架橋樹脂組成物層は、少なくとも1層以上有していればよく、2層、3層と多層構造にしてもよい。このようにレンズ部材表面に架橋樹脂組成物層を設けることにより、様々な薬液に対するレンズ部材の耐性が向上する。すなわち、水や油の他、洗浄剤や有機溶剤等の薬品に曝されるような環境下でも、光電センサのレンズ部材にクラックが発生しにくくなり、結果、クラックから外部の液体がセンサ内部に侵入し、センサ内部の素子類や回路類が破壊されることを防ぐことが可能となる。また、レンズ部材にクラックや白化が発生しにくくなるため、レンズ部材の透過率の低下が抑えられ、検出感度を維持することができ、結果、長期間安定して正常に動作することが可能となる。さらに、レンズ部材の耐擦傷性も向上するため、埃等の異物が飛散する環境下で使用する場合や、清掃時に清掃用具(布,ブラシ等)でレンズ表面を擦る場合でも、レンズ表層の傷付きが抑えられ、検出感度の低下を防止できる。
本発明におけるレンズ部材は、使用する検出光が透過可能な透光性材料で形成されたもの使用でき、例えば光電センサの光源として一般に用いられるLED(発光ダイオード)の光を透過可能な透明樹脂材料の成形品を用いることができる。レンズ部材用の透明樹脂材料としては、アクリル系樹脂やPC(ポリカーボネート)系樹脂、PAR(ポリアリレート)系樹脂などが挙げられ、光電センサに要求される検出感度(光線透過率)や耐熱性などの特性、価格などに応じて適宜選択される。これらの透明樹脂は、通常の射出成形法等の成形法により、所望のレンズ形状に適宜成形することが可能である。
本発明の反射型光電センサのレンズ部材は、透光性材料からなるレンズ部材の少なくとも光電センサ外部に露出する側の面に架橋樹脂組成物層を有している。この架橋樹脂組成物層は、加熱や光照射等により架橋反応が進行する樹脂組成物の架橋反応物で形成することができる。本発明における架橋樹脂組成物層を形成する樹脂組成物は、レンズ部材に所望の耐環境性や、耐薬品性、耐擦傷性を付与でき、レンズ部材のクラックや白化を防止でき、かつ、光電センサの光源からの検出光の透過を妨げないものであれば特に制限はなく、架橋性を有する公知の樹脂組成物から選択することができる。
本発明おける架橋樹脂組成物層を形成する方法としては、(1)レンズ部材の所定表面に薄膜状に架橋性樹脂組成物層を設けた後に架橋反応を完遂させる方法、(2)予め架橋反応を完遂させた薄膜状の架橋樹脂組成物をレンズ部材の所定表面に固定する方法が挙げられる。
方法(1)については、次の方法が挙げられる。
(1−1)予め所定形状に成形したレンズ部材の表面に、熱または光架橋性の樹脂組成物を公知の薄膜形成方法(スプレー塗装,ディッピング,フローコート等)により薄膜状に形成した後、加熱または光照射により架橋反応を完遂させる方法。
(1−2)シート状の剥離基材シート上に熱または光架橋性の樹脂組成物を公知の成膜方法(グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷、ロールドクターコート法、ナイフコート法、コンマコート法、リバースロールコート法など)により積層し、未架橋または半架橋状態の架橋性樹脂組成物層をレンズ部材の成形と同時または成形後に、レンズ部材表面に転写し、次いで加熱または光照射により架橋反応を完遂させる方法。
(1−3)シート状の基材シート上に熱または光架橋性の樹脂組成物を公知の成膜方法により積層し、未架橋または半架橋状態の架橋性樹脂組成物層を含む積層シートをレンズ部材の成形と同時または成形後に、レンズ部材表面に固定し、次いで加熱または光照射により架橋反応を完遂させる方法。
方法(2)については、次の方法が挙げられる。
(2−1)シート状の剥離基材シート上に熱または光架橋性の樹脂組成物を公知の成膜方法より積層した後に加熱または光照射により架橋反応を完遂させ、架橋樹脂組成物層のみをレンズ部材の成形と同時または成形後に、レンズ部材表面に転写する方法。
(2−2)シート状の基材シート上に熱または光架橋性の樹脂組成物層を公知の成膜方法により積層した後に加熱または光照射により架橋反応を完遂させ、架橋樹脂組成物層を含む積層シートをレンズ部材の成形と同時または成形後に、レンズ部材表面に固定する方法。
これらの中で、インライン処理によるレンズ部材生産効率の観点、および成形自由度の観点から、方法(1−3)及び方法(2−2)が好ましい。なお、より複雑な形状のレンズ部材へ適応する場合には、方法(1−3)が適している場合もある。
方法(1−3)について、更に具体的に説明する。
本方法においては、本発明の反射型光電センサに用いるレンズ部材を製造するために、基材シート上に架橋性樹脂組成物層が少なくとも1層以上積層した積層シートを使用する。架橋性樹脂組成物は、熱架橋性と光架橋性のいずれの樹脂組成物でも用いることができる。レンズ部材表面に積層シートを固定した後に架橋性樹脂組成物層の架橋反応を完遂させるまでの反応時間を考慮すると、架橋反応に比較的時間を要しない、光架橋性樹脂組成物層を積層した積層シートの方が好ましい。
積層シートをレンズ部材表面に固定する方法としては、生産効率や固定した際の外観上の美麗さ、あるいは固定時のレンズ部材との接着強度の観点から、レンズ部材を鋳型内で成形すると同時に積層シートとレンズ部材を一体化する、いわゆるフィルムやシートを用いたインモールド/インサート成形方法(以下「フィルムインモールド工法」という)が最も好ましい。
光架橋性樹脂組成物としては、分子内に2つ以上の光反応性基を有する化合物を含み、光照射により架橋反応が進行する樹脂組成物であれば、特に制限はなく、適宜選択して使用することができる。光反応性基としては、ビニル基や(メタ)アクリル基等の不飽和基などの光ラジカル重合機構で反応するラジカル重合性官能基や、脂環式エポキシ基等の光カチオン重合機構で反応する光重合性官能基が挙げられる。また分子内に2つ以上の光反応性基を有する化合物の分子量は、架橋反応後に所望の架橋樹脂組成物層が形成されるものであれば特に制限はなく、単量体およびオリゴマーなどの低分子量体や樹脂のような高分子量体を用いることができ、それらを複数種組み合わせて用いることもできる。
架橋反応が完遂していない積層シートの取り扱い性や保存安定性、フィルムインモールド工法への適応性の観点より、架橋反応が完遂していない光架橋性樹脂組成物層は、表層にタックがなく、また基材シートの伸びに追従できることが求められる。単量体およびオリゴマーなどの低分子量体を含む光架橋性樹脂組成物を用いてその架橋反応を適度に進行させることで、上記要求性能を満たすことは可能な場合もあるが、架橋反応の進行の程度を完全に管理することは困難である。例えば、架橋反応が進行し過ぎると成形性が低下し、架橋反応の進行が不足すると、光架橋性樹脂組成物表層にタックが生じ、フィルムインモールド工法において金型に貼り付く等の不具合を生じてしまう。
以上の点より、光架橋性樹脂組成物としては、分子内に2つ以上の光反応性基を有する化合物として、側鎖に光反応性基を有する熱可塑性樹脂を含む方が好ましい。
側鎖に光反応性基を有する熱可塑性樹脂を含む光架橋性樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂以外の架橋性化合物を実質的に含有しないことがより好ましい。このような光架橋性樹脂組成物は、タックフリー性や成形性、保存安定性に優れた積層シートを得ることができる。ここで、「実質的に含有しない」とは、得られる積層シートのタックフリー性、成形性、保存安定性を損なう程には含まないことを意味する。このような光架橋性樹脂組成物は、特に、40℃において液体状の架橋性モノマー及びオリゴマー、並びに分子量2000以下の低分子量の架橋性モノマー及びオリゴマーは実質的に含有しない方が好ましい。40℃において液体状の架橋性モノマー又はオリゴマーや、分子量2000以下の低分子量の架橋性モノマー又はオリゴマーを含有すると、長期間の保管やフィルムインモールド工法における加熱成形時において架橋性樹脂組成物層の表面が粘着性を有するようになり、レンズ材料成形時に金型を汚染したりする等の問題を生じることがある。架橋性樹脂組成物は、50℃において液体状の架橋性モノマー及びオリゴマーを実質的に含有しないことがより好ましく、60℃において液体状の架橋性モノマー及びオリゴマーを実質的に含有しないことがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂のポリマー分子中への光反応性基の導入は、公知の方法、例えば光反応性基を有する単量体を(共)重合する方法、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基等の第一の官能基を側鎖に有するポリマーと、前記第一官能基と反応する第二の官能基および光反応性基を有する化合物とを反応させる方法などにより行うことができる。
前記熱可塑性樹脂の側鎖の光反応性基の量は、光反応性基当量(光反応性基1個あたりの平均分子量)が、仕込み値からの計算値で平均3000g/mol以下であることが、耐水性、耐油性、耐薬品性、耐擦傷性の観点から好ましい。さらに好ましい範囲は、平均1200g/mol以下であり、最も好ましい範囲は、平均800g/mol以下である。
このように、架橋に関与する光反応性基を熱可塑性樹脂の一分子中に複数導入することにより、低分子量の架橋性化合物を使用する必要がなく、また長期間の保管や加熱成形時においても、表面粘着性を有することなく、効率的に硬化物性を向上することができる。
前記熱可塑性樹脂の数平均分子量は、前記架橋性樹脂組成物層を含む積層シートをフィルムインモールド工法で成形する際に金型離型性が良好になる点や、架橋反応が完遂した後のレンズ部材の耐薬品性や耐擦傷性の観点から、5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましい。一方、合成の容易さやレンズ部材の外観の観点、また、基材シートとの密着性発現の観点から、前記熱可塑性樹脂の数平均分子量は2,500,000以下であることが好ましく、1,000,000以下がより好ましい。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーで光屈折法を使用して測定を行った。分子量測定のリファレンスとして、測定するサンプルの分子量が内挿できるようにポリスチレン系標準物質を使用して検量線を作成した。
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、フィルムインモールド工法における成形時の積層シートの金型剥離性や、架橋反応が完遂した後のレンズ部材の硬度、耐薬品性、耐擦傷性の観点から、25℃以上であることが好ましく、30℃以上がより好ましい。一方、積層シートの取り扱い性の観点からガラス転移温度は175℃以下であることが好ましく、150℃以下がより好ましい。ガラス転移温度は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製示差走査熱量計EXSTAR6000DSCを用い、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した。
前記熱可塑性樹脂は、反射型光電センサの光源として用いるLEDからの光線の透過を阻害しない点や、光電センサの使用環境に存在する紫外線(太陽光など)による劣化を防止する観点から、アクリル系樹脂であることが好ましい。ここでアクリル系樹脂はメタクリル系樹脂とアクリル系樹脂の両方を含む総称である。
本発明における光架橋性樹脂組成物には、光重合開始剤が含有されていてもよい。この光重合開始剤としては、光照射によってラジカルを発生させる光ラジカル重合開始剤や酸を生成する光カチオン重合開始剤が挙げられ、公知のものを使用することができる。
さらに、光架橋性樹脂組成物には、架橋反応が完遂した後のレンズ部材表層の耐擦傷性や耐薬品性を向上させる目的で、無機微粒子を添加してもよい。この無機微粒子は、得られる架橋樹脂組成物層の検出光(発射光、反射光)に対する所望の光線透過率が得られる範囲で、その種類や粒子径、形態を適宜選択することができる。無機微粒子の例としては、コロイダルシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、異種元素ドープ酸化スズ(ATO等)、酸化インジウム、異種元素ドープ酸化インジウム(ITO等)、酸化カドミウム、酸化アンチモン等が挙げられる。これらの無機微粒子は単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、入手の容易さや価格面、得られる架橋樹脂組成物層の光線透過率や耐薬品性、耐擦傷性発現の観点から、コロイダルシリカが特に好ましい。
無機微粒子の平均粒子径は、得られる架橋樹脂組成物層の光線透過率の観点から、通常は200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、50nm以下がさらに好ましい。この平均粒子径はBET法により測定した。
樹脂組成物中の無機微粒子の含有量は、分子内に2つ以上の光反応性基を有する化合物の固形分100質量部に対して、無機微粒子固形分で5〜400質量部の範囲が好ましく、10〜200質量部の範囲がより好ましい。無機微粒子の含有量を5質量部以上にすることにより、耐薬品性や耐擦傷性向上のための十分な添加効果が得られ、また含有量を400質量部以下にすることにより、架橋性樹脂組成物の保存安定性や、得られる積層シートの成形性をより十分に確保することができる。
樹脂組成物に含有される無機微粒子は、各種のシラン化合物によって、予め表面が処理されたものを用いてもよい。表面処理された無機微粒子を使用することにより、架橋性樹脂組成物の保存安定性が良好になり、また、得られるレンズ部材の耐薬品性や耐擦傷性、耐候性が良好になる。
本発明で用いられる架橋性樹脂組成物は、必要に応じて、増感剤、変性用樹脂、染料、顔料、レベリング剤、ハジキ防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化安定剤等の添加剤を含有することができる。
本発明における架橋樹脂組成物層の厚みは、0.3〜50μmの範囲が好ましく、1〜30μmの範囲がより好ましい。架橋樹脂組成物層の厚みを0.3μm以上にすることにより、より十分な耐薬品性や耐擦傷性等の特性を得ることができる。また、架橋樹脂組成物層の厚みが50μm以下であれば、より十分な、耐水性や耐候性、耐薬品性等の所望の特性を得ることができる。
本発明に用いる基材シートとしては、例えば、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)系樹脂、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合体)系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、セロファン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレンビニルアルコール系樹脂、軟質アクリル系樹脂等の材質からなるシートが挙げられる。またこれらの各シートの複合体、積層体なども使用することができる。なかでも、100℃加熱時における伸度が100%以上である熱可塑性樹脂シートが、複雑なレンズ形状への追従性が良好となるので好ましい。
このような熱可塑性樹脂シートのなかでも、架橋性樹脂組成物との密着性や光線透過率、紫外線カット性等を考慮すると、架橋ゴム成分を有する熱可塑性アクリル系樹脂シートが好ましい。架橋ゴム成分を有する透明熱可塑性アクリル系樹脂シートとしては、特開平8−323934号公報、特開平9−263614号公報、特開平11−147237号公報、特開2001−106742号公報等に開示されている透明熱可塑性アクリルシートを用いることができる。市販されている、架橋ゴム成分を有する透明熱可塑性アクリル系樹脂シートとしては、三菱レイヨン(株)製のアクリプレンHBX−N47,HBS−006,HBD−013、住友化学工業(株)製のテクノロイS001、S003、SN101、鐘淵化学工業(株)製のサンデュレンSD007、SD009等が挙げられる。
上記の基材シートは、必要に応じて、適宜、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の滑剤、シリカ、球状アルミナ、鱗片状アルミナ等の減摩剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、微粒子酸化セリウム系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、可塑剤、安定剤、顔料、染料等の各種添加剤を、本発明の効果が損なわれない範囲において含有してもよい。
基材シートの厚みは、500μm以下が好ましく、10〜500μmがより好ましい。厚みを10μm以上にすると、複雑なレンズ部材形状に成形する場合に積層シートが延伸されても、十分な厚みを維持できる。また、剛性を適度に抑えて良好なラミネート性や二次加工性を維持する点、単位面積あたりの質量を抑えて経済性を保つ点、安定して積層シートを製造する点等から、500μm以下にすることが好ましい。
また、レンズ部材との密着性を確保するために、基材シートの裏面(架橋性樹脂組成物層を積層する面とは反対側の面)に接着剤層を設けてもよい。
基材シート上に成膜する樹脂組成物が光架橋性樹脂組成物の場合、架橋反応を進行させるために照射する光としては、電子線、紫外線、γ線等を挙げることができるが、なかでも紫外線が最も好ましい。紫外線はランプ本体や照射装置が低価格であり、工業的に有利である。紫外線ランプは、オゾンタイプの高圧水銀ランプやオゾンレスタイプの高圧水銀ランプ、あるいはメタルハライドランプ等の公知の紫外線ランプを使用することができるが、各ランプの発光波長分布が異なることから、光架橋性樹脂組成物の硬化特性に応じてランプを選定する必要がある。光の照射条件は、光架橋性樹脂組成物の光硬化特性に応じて定められるが、照射量は、通常、500〜10,000mJ/cm2程度に設定できる。
次に、基材シート上に光硬化性樹脂組成物を成膜して得られた光架橋性積層シートを用いて、反射型光電センサを製造する方法について説明する。
まず、上記に従って、架橋前の光架橋性積層シートを用意する。この積層シートの光架橋性樹脂組成物層の表面にカバーフィルムを設けていてもよく、その場合は、カバーフィルムを積層シートより剥離除去する。なお、このカバーフィルムは、射出成形用のレンズ部材金型内に積層シートを挿入配置する直前に剥離してもよいし、積層シートを射出成形用のレンズ部材金型内に挿入配置する遥か以前に剥離しておいてもよい。ただし、光照射前の光架橋性樹脂組成物層の防塵や傷付き防止を考慮すると、前者のほうが好ましい。
次に、光架橋性積層シートを、その光架橋性樹脂組成物層側がレンズ部材金型の内壁面(レンズ部材を光電センサに組み込んだ際にセンサ外部に露出する面側)に向き合うように挿入配置する。
また、必要に応じて、光架橋性積層シートを予備成形することも可能である。例えば、ホットパック等の加熱手段により光架橋性積層シートをその軟化点以上に加熱して軟化させ、射出成形用のレンズ部材金型に設けられた吸引孔を通じて真空吸引することによりレンズ部材金型の形状に積層シートを追従させることで予備成形することができる。また、射出成形用のレンズ部材金型とは別の立体加工成形用型を用いて、真空成形法、圧空成形法、熱せられたゴムを押し付ける押圧成形法、プレス成形法等の公知の成形法により、積層シートを予め所望の形状に予備成形しておき、不要な部分を除去した後に、射出成形用のレンズ部材金型に装填してもよい。このような予備成形を行わないで、後述する成形樹脂の射出圧により、積層シートの成形および成形樹脂との一体化を同時に行うことも可能である。
次に、レンズ部材金型を閉じて、キャビティー内に溶融状態の透明成形樹脂を射出し、樹脂を固化させることにより、光架橋性積層シートがその所定表面に配置されたレンズ部材成形品を形成することができる。
最後に、レンズ部材金型内よりレンズ部材成形品を取り出し、このレンズ部材成形品に光照射する。この光照射により、レンズ部材表面の光架橋性樹脂組成物層の架橋反応を完遂させ、本発明の光電センサに用いるレンズ部材を得ることができる。
このようにして得たレンズ部材を用いて、従来技術、例えば特許文献3に記載の製造方法(段落0028〜0032参照)に従って光電センサを作製することができる。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、実施例中、「部」は「質量部」を意味する。また、実施例中の略号は以下のとおりである。
メチルメタクリレート:MMA
メチルエチルケトン:MEK
グリシジルメタクリレート:GMA
アゾビスイソブチロニトリル:AIBN
ハイドロキノンモノメチルエーテル:MEHQ
トリフェニルホスフィン:TPP
アクリル酸:AA
IPA−ST:イソプロパノール分散コロイダルシリカゾル(日産化学工業(株)製,シリカ粒子径=15nm)、
KBM503:γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製,分子量=248)。
[合成例1]側鎖に不飽和基を有するアクリル系樹脂Aの合成
窒素導入口、攪拌機、コンデンサーおよび温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、MEK50部を入れ、80℃に昇温した。窒素雰囲気下でMMA79.9部、GMA20.1部およびAIBN0.5部の混合物を3時間かけて滴下した。その後、MEK80部とAIBN0.2部の混合物を加え、重合させた。4時間後、MEK74.4部、MEHQ0.5部、TPP2.5部およびAA10.1部を加え、空気を吹き込みながら80℃で30時間攪拌した。その後、冷却した後、反応物をフラスコより取り出し、側鎖に不飽和基を有するアクリル系樹脂の溶液を得た。単量体の重合率は99.5%以上であり、ポリマー固形分量は約35質量%、数平均分子量は約3万、ガラス転移温度は約105℃、二重結合当量は平均788g/molであった。
[合成例2]側鎖に脂環式エポキシ基を有するアクリル系樹脂Bの合成
窒素導入口、撹拌機、コンデンサーおよび温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート100部、MEK60部およびAIBN0.3部を入れ、撹拌しながら湯浴の温度を75℃に上げ、その温度で2時間重合させた。次いで、AIBN0.7部を1時間おきに5回に分けて添加した後、フラスコ内温を溶剤の沸点まで上昇させてその温度でさらに2時間重合させた。その後、フラスコ内温度が50℃以下になってから、MEK90部を添加して重合反応物をフラスコより取り出し、側鎖に脂環式エポキシ基を有するアクリル系樹脂の溶液を得た。重合率は99.5%以上であり、ポリマー固形分量は約40重量%、数平均分子量は約1.2万、ガラス転移温度は約73℃、脂環式エポキシ当量(側鎖脂環式エポキシ基1個あたりの平均分子量)は平均196g/molであった。
[合成例3]表面処理コロイダルシリカの合成
攪拌機、コンデンサーおよび温度計を備えたフラスコに、IPA−STを1モル部(固形分換算)、KBM503を0.1モル部(固形分換算)、水を0.3モル部入れ、攪拌しながら湯浴の温度を75℃に上げ、その温度で2時間反応させることにより、イソプロパノール中に分散され、表面がシラン化合物で処理されたコロイダルシリカを得た。続いて、イソプロパノールを留去した後にトルエンを添加することを繰り返し、完全にイソプロパノールをトルエンに置換することにより、トルエン中に分散され、表面がシラン化合物で処理されたコロイダルシリカ分散液を得た。
[光架橋性樹脂組成物溶液の調製]
上記の側鎖に光反応性官能基を有するアクリル系樹脂A及びB、表面処理コロイダルシリカ分散液を用いて、表1の組成を有する光架橋性樹脂組成物溶液1〜3を調製した。
Figure 2007305673
注)表中の数値は固形分換算の質量部である。
1)光重合開始剤A:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、
2)光重合開始剤B:トリフェニルスルホニウム6フッ化アンチモネート。
[実施例1]
上記の光架橋性樹脂組成物溶液1をプロペラ型ミキサーで撹拌した後、基材シートとして架橋ゴム成分を含む、厚さ125μmの透明軟質アクリルシート(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリプレンHBX−N47)上に、コンマロールコーターにて塗工幅200mmで塗工を行った。引き続いて、トンネル型乾燥炉を用いて溶剤を揮発させ、厚さ8μmの光架橋性樹脂組成物層を形成した。
次に、所定の射出成形用金型(特許文献3の実施例1に記載されたレンズ部材(図3中の符号2の部材)に相当)を用意した。
次に、上記のようにして得た光架橋性の積層シートを、光架橋性樹脂組成物層が金型の所定面(レンズ部材を光電センサに組み込んだ際にセンサ外部に露出する面側)の内壁面に向き合うように金型内に配置し、次いで赤外線ヒーター(温度350℃)で10秒間シートを予備加熱した後、さらに加熱を行いながら真空吸引することにより金型形状にシートを追従させた。その際の金型追従性を目視で評価したところ、各部とも良好に追従し、割れ等の欠陥は無かった。
次に、成形樹脂としてアクリル系樹脂(住友化学工業(株)製、商品名:スミペックスMGSS)を用いてインモールド成形を行い、光架橋性積層シートが表面に密着したレンズ部材を得た。この際の成形用金型の汚れを目視で評価したが、汚れ等は無かった。
次いで、このレンズ部材に、紫外線照射装置を用いて、約700mJ/cm2の紫外線を照射して、光架橋性樹脂組成物を硬化させた。
ここで、レンズ部材の物性を評価する目的で、上記の金型とは別に、切頭角錐形状で、切頭面のサイズが100mm×100mm、底面のサイズが108mm×117mm、深さが10mmであり、切頭面の端部の曲率半径がそれぞれ3,5,7,10mmである、物性評価用金型を用意し、前記と同様にして光架橋性の積層シートとアクリル系樹脂をインモールド成形で一体化し、得られた成形品に紫外線を照射して光架橋性樹脂組成物層を硬化させて、物性評価用の成形品を得た。
この物性評価用の成形品を用いて、下記評価方法にしたがって各種の物性を評価したところ、表2に示す通り、架橋硬化後の架橋樹脂組成物層と基材シートとの密着性は良好であり、剥離試験後においても、周囲剥離や碁盤目剥離は認められなかった。また、耐水性や耐油性、耐磨耗性等の物性も良好であった。
上記のようにして得たレンズ部材は、従来技術(特に特許文献3の実施例1に記載の方法)にしたがって反射型光電センサに組み込むことができ、これにより、耐久性に優れた反射型光電センサを製造することができる。
[物性評価用成形品の物性評価方法]
a)鉛筆硬度試験
JIS K 5400に準じて、鉛筆(三菱鉛筆社製,商品名:ユニ)を使用して評価した。
b)碁盤目剥離試験
JIS K 5400に準じて、カッターで1×1mm幅の碁盤目を100マス作製し、ニチバン製セロテープ(登録商標)を圧着後、90度の角度に剥離した後のフィルムの外観を目視評価した。
○:外観変化なし、
△:碁盤目周囲の剥離、もしくは碁盤目剥離少し有り、
×:碁盤目周囲の剥離および碁盤目剥離の少なくとも一方が著しい。
c)耐酸性
47重量%硫酸水溶液を40℃で3時間スポット試験した後の外観を目視評価した。
○:良好、
△:薄く跡有り、
×:著しい跡有り。
d)耐温水性:
70℃の温水中に24時間浸漬後の状態を目視評価した。
○:良好、
△:薄く白化有り、
×:著しい白化有り。
e)透明性
ASTM D1003に準じて、ヘイズメーターを用いて全光線透過率およびヘイズを測定した。
f)耐磨耗性
テーバー磨耗試験(片側500g荷重(4.9N)、CS−10F磨耗輪を用い、回転速度60rpm、試験回数100回で試験を実施)後の曇価をヘイズメーターで測定した。そして(試験後の曇価)−(試験前の曇価)で表される数値を耐磨耗性(%)として示した。
g)耐候性:
サンシャインウエザーメーター(スガ試験機製)を用い、乾燥48分、雨12分のサイクルで1500時間曝露試験したときの外観を目視評価した。
○:良好、
×:白化またはクラック有り。
h)耐油性:
市販の水溶性切削油(ユシロ化学工業(株)製、商品名:ユシローケンS50N)を65℃で10日間スポット試験した後の外観を目視評価した。
○:良好、
△:薄く跡有り、
×:著しい跡有り。
[実施例2〜3]
実施例1の光架橋性樹脂組成物溶液1を、表1に示した光架橋性樹脂溶液2または3に変更した以外は、実施例1と同様にしてレンズ部材および物性評価用の成形品を製造した。続いて、実施例1と同様にして、物性評価用の成形品を評価した。
得られたレンズ部材は、実施例1と同様に、従来技術にしたがって反射型光電センサに組み込むことができ、これにより、耐久性に優れた反射型光電センサを製造することができる。
[比較例1]
光架橋性の積層シートを用いず、紫外線照射をしなかったこと以外は、実施例1と同様にしてレンズ部材、および物性評価用の成形品を得た。得られた成形品は、表2に示されるように、耐油性や耐摩耗性等に劣ることから、このレンズ部材を用いて製造した反射型光電センサは耐環境特性に劣ることがわかる。
Figure 2007305673

Claims (5)

  1. 検出領域に検出光を投光する投光素子と、検出領域からの反射光を受光する受光素子と、前記投光素子の前面側に配置され検出光が通過する投光レンズと、前記受光素子の前面側に配置され反射光が通過する受光レンズとを有する反射型の光電センサにおいて、
    前記投光レンズ及び前記受光レンズは、光電センサ外部に露出する側の面に架橋樹脂組成物層を有することを特徴とする光電センサ。
  2. 検出領域に検出光を投光する投光素子と、前記投光素子の前面側に配置され検出光が通過する投光レンズとを有する投光器、及び、検出光を受光する受光素子と、前記受光素子の前面側に配置され検出光が通過する受光レンズとを有する受光器を含む透過型の光電センサにおいて、
    前記投光レンズは、投光器外部に露出する側の面に架橋樹脂組成物層を有し、
    前記受光レンズは、受光器外部に露出する側の面に架橋樹脂組成物層を有することを特徴する光電センサ。
  3. 前記投光レンズ及び前記受光レンズは、前記架橋樹脂組成物層の下層側にアクリル系樹脂層を有する請求項1又は2記載の光電センサ。
  4. 検出領域に検出光を投光する投光素子と、前記投光素子の前面側に配置され検出光が通過する投光レンズとを有する、透過型光電センサ用の投光器において、
    前記投光レンズは、投光器外部に露出する側の面に架橋樹脂組成物層を有することを特徴とする透過型光電センサ用投光器。
  5. 検出光を受光する受光素子と、前記受光素子の前面側に配置され検出光が通過する受光レンズとを有する、透過型光電センサ用の受光器において、
    前記受光レンズは、受光器外部に露出する側の面に架橋樹脂組成物層を有することを特徴とする透過型光電センサ用受光器。
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