JP2007304271A - 光学素子用樹脂組成物、光学素子及び光ピックアップ装置 - Google Patents

光学素子用樹脂組成物、光学素子及び光ピックアップ装置 Download PDF

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Shoichi Hayakawa
正一 早川
Yasumitsu Fujino
泰光 藤野
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Abstract

【課題】耐光性・耐熱性が低下するのを抑える。
【解決手段】本発明に係る光学素子としての対物レンズ10は、所定の脂環式炭化水素系共重合体からなる光学用樹脂材料を成形して得られた光学素子であって、所定の測定条件で分子量分布測定を行ったとき、数平均分子量Mn,重量平均分子量Mwが40000≦Mw≦90000、かつ、1.6≦Mw/Mn≦9.5の関係を満たす。
【選択図】図1

Description

本発明は、環境変化や長時間の光照射に対して耐性を有する光学素子用樹脂組成物、当該光学素子用樹脂組成物を用いて成型された光学素子、及び当該光学素子を適用した光ピックアップ装置に関する。
MO、CD、DVDといった光情報記録媒体に対して、情報の読み取りや記録を行なうプレーヤー、レコーダー、ドライブといった記録機器には、光ピックアップ装置が備えられている。光ピックアップ装置は、光源から発した所定波長の光を光情報記録媒体に照射し、反射した光を受光素子で受光する光学素子ユニットを備えており、光素子ユニットはこれらの光を光情報記録媒体の反射層や受光素子で集光させるためのレンズ等の光学素子を有している。
光ピックアップ装置の光学素子は、射出成形等の手段により安価に作製できる等の点で、プラスチックを材料として適用することが好ましい。光学素子の適用可能なプラスチックとしては、環状オレフィンとα−オレフィンの共重合体(例えば、特許文献1)等が知られている。
ところで、例えば、CD/DVDプレーヤーのような、複数種の光情報記録媒体に対して情報の読み書きが可能な情報機器の場合、光ピックアップ装置は、両者の光情報記録媒体の形状や適用する光の波長の違いに対応した構成とする必要がある。この場合、光学素子ユニットはいずれの光情報記録媒体に対しても共通することがコストやピックアップ特性の観点から好ましい。
また、近年、CDやDVDよりも高い密度で情報を記録できる光情報記録媒体として、CD(λ=780nm)やDVD(λ=635、650nm)で用いるよりも短い波長で情報の記録、再生を行なうBlu−ray Disk等の光情報記録媒体やこれらの光情報記録媒体で情報の読み書きを行なう情報機器の開発が新たに行なわれている。
特開2002−105131(第4頁)
しかしながら、Blu−ray Disk等のいわゆる次世代DVDでは、情報の記録、再生には波長400nm付近の短波長の光を用いるため、特許文献1に記載の光学素子等はその光の照射を長時間受けた場合には、当該光学素子自身が白濁・着色したり屈折率が変動したりするなど樹脂特性(耐光性・耐熱性)が低下し、光学素子の交換が必要になる場合があった。
本発明の課題は、耐光性・耐熱性の低下を抑えることのできる光学素子用樹脂組成物、光学素子及び光ピックアップ装置を提供することである。
上記課題を解決するため、第1の発明は、
下記式(1)で表される脂環式炭化水素系共重合体からなる光学素子用樹脂組成物であって、
下記測定条件で分子量分布測定を行ったとき、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwが、
40000≦Mw≦90000 かつ 1.6≦Mw/Mn≦9.5
の関係を満たすことを特徴とする。
Figure 2007304271
(上記式(1)中、「x」,「y」は共重合比を示し、0/100≦y/x≦95/5を満たす実数である。「n」は0、1又は2で置換基Qの置換数を示す。「R」は炭素数2〜20の炭化水素基群から選ばれる1種又は2種以上の(2+n)価の基である。「R」は水素原子であるか、又は炭素及び水素からなり、炭素数1〜10の構造群から選ばれる1種若しくは2種以上の1価の基である。「R」は炭素数2〜20の炭化水素基群から選ばれる1種又は2種以上の2価の基である。「Q」はCOOR(Rは水素原子であるか、又は炭化水素からなり、炭素数1〜10の構造群から選ばれる1種又は2種以上の1価の基である。)で表される構造群から選ばれる1種又は2種以上の1価の基である。)
<測定条件>
測定方法:高温GPCによる分子量分布測定法
溶離液:オルトジクロロベンゼン
測定温度:110℃
試料溶液:試料約10mgをオルトジクロロベンゼン1mlに溶解させる。
校正曲線:標準ポリスチレンにより作成
上記の課題に関して本発明者等による鋭意研究の結果、樹脂の分子量分布が極端に高分子量側に偏ると、樹脂組成物中にミクロな空孔、ミクロな構造のムラが出来やすく、そのために耐光性・耐熱性が低下することが判明した。また、低分子量側に偏りすぎても、樹脂の耐久性が低下してしまうため、ある範囲の重量平均分子量を有する樹脂が高い耐光性・耐熱性を有することが判明した。さらにその重量平均分子量を有する樹脂でも、分子量分布が狭すぎても、広すぎても耐光性・耐熱性が低下することが判明した。分子量分布が狭い場合、高分子量の分子鎖のなす網目を埋める低分子量の分子鎖がないため、耐光性・耐熱性低下の原因となるミクロな空孔、ミクロな構造のムラが出来やすく、分子量分布が広すぎる場合には、極端な低分子量成分が樹脂の脆化を引き起こし、極端な高分子量成分が部分的な凝集を引き起こして、樹脂の光学性能の低下を引き起こすからである。従って、重量平均分子量,分子量分布ともに耐光性・耐熱性を高める最適な範囲が存在し、それが第1の発明に記載した範囲である。
以上から、第1の発明における樹脂組成物は、重量平均分子量,分子量分布ともに耐光性・耐熱性を高める最適な範囲に入るため、耐光性・耐熱性の高い樹脂組成物となる。従って、耐光性・耐熱性の低下を抑えることができる。
第1の発明に係る光学素子用樹脂組成物においては、
メルトインデックス値MIが温度260℃、荷重2.16kgなる条件下で20〜60g/10分であるのが好ましい。
この場合、当該光学素子用樹脂組成物の温度260℃、荷重2.16kgにおけるメルトインデックス値MIは20〜60g/10min(ASTM D1238準拠)であり、射出成形等の成形法に適した範囲にある。そのため、射出成形等の方法で、光路差付与構造を有する光学素子を作製するとき、溶融した当該光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン樹脂)が光路差付与構造に対応する部分の先端まで到達できるため、こうして成形された光学素子は高い精度を有する光路差付与構造を具備する。よって、光情報記録媒体に対する情報の再生、記録に用いられるような特定の波長の光に対して高い精度で光路差を付与できる。このため、複数種の光情報記録媒体に対して再生、記録を行なう光ピックアップ装置において、それぞれの光情報記録媒体に対応した波長の光を情報記録面で収束させたり、上記情報記録面で反射した光を集光して受光素子に導いたりする動作を高い信頼性で行なうことができる。このことにより、複数の光情報記録媒体に対して良好なピックアップ特性で情報の再生、記録を行なえる光ピックアップ装置を作製できる。
第2の発明は、光学素子であって、
第1の発明に係る光学素子用樹脂組成物から作られたことを特徴とする。
第2の発明においては、第1の発明に係る樹脂組成物から作られるため、耐光性・耐熱性の高い光学素子となる。
よって、上記光学素子用樹脂組成物を適用した第2の発明に係る光学素子では、例えばBlu−ray Discのような高い情報密度を有する光情報記録媒体に対するピックアップ装置に適用した場合、長期間にわたって良好なピックアップ特性で情報の読み書きを行なうことが可能となり、光ピックアップ装置として信頼性の高いものを得ることができる。
第2の発明に係る光学素子においては、
前記光学素子用樹脂組成物が、厚さ3mmで、波長405nmにおける光線透過率が85%以上であるのが好ましい。
この場合、光情報記録媒体への光の照射と、この光情報記録媒体で反射した光の検知とを少ないエネルギー損失で行なうことが可能となり、例えば、光源の出力を小さくして消費電力の少ない光ピックアップ装置等を作製できる。
第2の発明に係る光学素子においては、
少なくとも1つの光学面が、当該光学面を通過する所定の光に対して、予め定められた光路差を付与する光路差付与構造を有するのが好ましい。
前記光路差付与構造は、前記光学面が光軸を中心とした3つ以上の輪帯状レンズ面により構成され、それら3つ以上の前記輪帯状レンズ面のうち、隣り合う前記輪帯状レンズ面が異なる屈折力を有するのが好ましい。
前記光路差付与構造は、光軸を中心とした複数の回折輪帯からなり、複数の前記回折輪帯の断面が鋸歯状であり、かつ、前記各回折輪帯の光学面が不連続面であってもよい。
前記光路差付与構造は、光軸を中心とした位相差を生じる複数の輪帯状凹部及び/又は輪帯状凸部を同心円状に有していてもよい。
前記光路差付与構造は、光軸を中心とした複数の回折輪帯からなり、複数の前記回折輪帯の断面が鋸歯状であり、かつ、前記各回折輪帯の光学面が不連続面であり、これら複数の前記回折輪帯のうち、少なくとも1つの前記回折輪帯の断面が階段状であり、かつ、各段の光学面が不連続面であってもよい。
これらの場合、射出成形等の成形法に適したメルトインデックスの光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン樹脂)を光学素子に適用することで、射出成形等の方法で当該光学素子を成形する時に、金型の輪帯状レンズ面、回折輪帯、輪帯状凹部、輪帯状凸部に対応する部分に、溶融した光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン樹脂)が先端まで行き渡る。そのため、光路差付与構造をなす輪帯状レンズ面、回折輪帯、輪帯状凹部、輪帯状凸部が高い精度で形成されるので、特定の波長の光に高い精度で光路差を付与できる。
よって、複数種の光情報記録媒体に対して再生、記録を行なう光ピックアップ装置において、それぞれの光情報記録媒体に対応した波長の光を情報記録面で収束させたり、上記情報記録面で反射した光を集光して受光素子に導いたりする動作を高い信頼性で行なうことができる。このことにより、複数の光情報記録媒体に対して良好なピックアップ特性で情報の再生、記録を行なえる光ピックアップ装置を作製できる。
第3の発明は、
光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、
第2の発明に係る光学素子を有することを特徴としている。
第3の発明に係る光ピックアップ装置においては、
複数の単玉光学素子を一体に組み合わせて構成してなる光学素子ユニットを有し、
前記光学素子が、複数の前記単玉光学素子のうち、少なくとも1つの単玉光学素子として用いられるのが好ましい。
この場合、光学素子ユニットの単玉光学素子のうちの少なくとも一つに、高い精度で光路差付与構造が形成された光学素子を適用することで、高い信頼性で光情報記録媒体に光を照射したり、光情報記録媒体で反射した光を集光したりすることができる。よって、良好なピックアップ特性で光情報記録媒体に対して情報の再生、記録をできる光ピックアップ装置とすることができる。
第3の発明に係る光ピックアップ装置においては、
波長390nm〜420nmの光を出射する光源を有するのが好ましい。
この場合において、光学素子に適用される光学素子用樹脂組成物は、樹脂劣化を促進する樹脂の酸化物の含有量が少ないため、Blu−ray Discのような高い情報密度を有する光情報記録媒体に対応した390〜420nmという範囲の波長の光を透過する場合でも、白濁や透過率の変動といった光学素子を劣化させる現象の発生を抑制できる。よって、光学素子の寿命を伸ばし、光ピックアップ装置として信頼性の高いものを得ることができる。
第3の発明に係る光ピックアップ装置においては、
前記光学素子が、前記光源から出射される光を前記光情報記録媒体に対して集光させる対物光学素子として用いられるのが好ましい。
この場合、高い精度で光路差付与構造が形成された光学素子を光情報記録媒体に対して集光させる対物光学素子とすることで、複数種の光情報記録媒体の情報記録面に対して高い信頼度で光を集光して収束させることができる。よって、良好なピックアップ特性で光情報記録媒体に対して情報の再生、記録をできる光ピックアップ装置とすることができる。
本発明では、光学素子用樹脂組成物が、少なくとも脂環式構造を含む繰り返し単位を有する脂環式炭化水素系共重合体からなる樹脂組成物であって、重量平均分子量,分子量分布が耐光性・耐熱性にとって好ましい範囲にあるため、耐光性・耐熱性が低下するのを抑えることができる。
また、光学素子用樹脂組成物のメルトインデックス値MIが射出成形等の成形法に適した範囲であり、溶融した光学素子用樹脂組成物が適度な流動性を有するので、射出成形等の方法で光学素子を作製するとき、当該光学素子に対し、成形性に優れ、高い精度を有する光路差付与構造を具備させることができる。
したがって、例えば、前記光学素子を複数種の光情報記録媒体に対して再生、記録を行なう光ピックアップ装置に適用した場合、それぞれの光情報記録媒体に対応した波長の光束を反射面で収束させたり、上記反射面で反射した光を集光する受光素子として良好なピックアップ特性で情報の再生、記録を行なえ、かつ耐光性の高い光ピックアップ装置とすることができる。
本発明に係る光学素子用樹脂組成物は、所定の脂環式炭化水素系共重合体に所定の添加剤を混合したものであり、本発明に係る光学素子は上記光学素子用樹脂組成物を成形したものである。
以下では、始めに(1)光学素子用樹脂組成物及び光学素子の特性について説明し、その後に(2)光学素子用樹脂組成物の組成物、(3)光学素子用樹脂組成物及び光学素子に関するその他の事項(製造方法を含む。)及び(4)光学素子を適用した光ピックアップ装置についてそれぞれ説明する。
(1)光学素子用樹脂組成物及び光学素子の特性
一の特性として、光学素子用樹脂組成物は、下記<測定条件>で分子量分布測定を行ったとき、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwが以下の関係を満たす。
40000≦Mw≦90000 かつ 1.6≦Mw/Mn≦9.5
<測定条件>
測定方法:高温GPCによる分子量分布測定法
溶離液:オルトジクロロベンゼン
測定温度:110℃
試料溶液:試料約10mgをオルトジクロロベンゼン1mlに溶解させる。
校正曲線:標準ポリスチレンにより作成
他の特性として、光学素子用樹脂組成物と光学素子を構成する光学素子用樹脂組成物は、温度260℃、荷重2.16kgにおけるASTM D1238準拠によるメルトインデックス値MIが20〜60g/10minである(後述の(3)の項目参照)。
他の特性として、前記光学素子用樹脂組成物を成形して厚さ3mmの成形体を形成し、その厚さにおいて測定したASTM D1003準拠による405nmにおける光線透過率が85%以上の重合体である。
(2)光学素子用樹脂組成物の組成物
光学素子用樹脂組成物は、上記の通り、所定の「脂環式炭化水素系共重合体」に所定の「添加剤」を混合したものであり、下記では(2.1)脂環式炭化水素系共重合体、(2.2)添加剤についてそれぞれ説明する。
(2.1)脂環式炭化水素系共重合体
当該脂環式炭化水素系共重合体は下記式(1)で表されるものである。
Figure 2007304271
上記式(1)中、「x」,「y」は共重合比を示し、0/100≦y/x≦95/5を満たす実数である。「n」は0、1又は2で置換基Qの置換数を示す。「R」は炭素数2〜20の炭化水素基群から選ばれる1種又は2種以上の(2+n)価の基である。「R」は水素原子であるか、又は炭素及び水素からなり、炭素数1〜10の構造群から選ばれる1種若しくは2種以上の1価の基である。「R」は炭素数2〜20の炭化水素基群から選ばれる1種又は2種以上の2価の基である。「Q」はCOOR(Rは水素原子であるか、又は炭化水素からなり、炭素数1〜10の構造群から選ばれる1種又は2種以上の1価の基である。)で表される構造群から選ばれる1種又は2種以上の1価の基である。
上記式(1)において、Rは好ましくは炭素数2〜12の炭化水素基群から選ばれる1種ないし2種以上の2価の基であり、より好ましくは下記式(2)で表される2価の基であり、更に好ましくは前記一般式(2)において、pが0または1である2価の基である。
Figure 2007304271
の構造は、1種のみ用いても2種以上併用しても構わない。Rの例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基等が挙げられるが、好ましくは、水素原子、及び/又はメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。Rの例としては、この基を含む構造単位の好ましい例として、n=0の場合、例えば、下記式(3a)、(3b)及び(3c)などが挙げられる(下記式(3a)、(3b)及び(3c)中、Rは前述の通りで、nは好ましくは0である。)。
Figure 2007304271
脂環式炭化水素系共重合体における共重合のタイプは特に制限されるものではなく、ランダム共重合、ブロック共重合、交互共重合等、公知の共重合のタイプを適用することができるが、好ましくはランダム共重合である。
また、当該重合体は、所定の成形方法によって得られる製品(光学素子)の物性を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能なモノマーから誘導される繰り返し構造単位を有していてもよい。その共重合比は特に限定されることはないが、好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下であり、それ以上共重合させた場合には、光学特性を損ない高精度の光学部品が得られない恐れがある。この時の共重合のタイプは特に限定はされないが、ランダム共重合が好ましい。
次に、上記式(1)で表される脂環式炭化水素系共重合体を、より具体的に例示する。
一例として、炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと下記式(4)で表される環状オレフィンとを共重合させて得られるα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体について説明するが、当該脂環式炭化水素系共重合体について何ら限定を加えるものではない。
Figure 2007304271
上記式(4)中、nは0又は1であり、mは0又は1以上の整数であり、qは0又は1である。なお、qが1の場合には、R及びRは、それぞれ独立に、下記に示す原子又は炭化水素基であり、qが0の場合には、R、Rの結合はなくなり、両側の炭素原子が結合して5員環を形成する。
〜R18並びにR及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基である。ここでハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
また、炭化水素基としては、それぞれ独立に、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基が例示される。これらの炭化水素基は、その水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。
さらに上記式(4)において、R15〜R18がそれぞれ結合して(互いに共同して)単環又は多環を形成していてもよく、しかも、このようにして形成された単環又は多環は二重結合を有していてもよい。ここで、形成される単環又は多環の具体例を一群として下記式(5)に示す。
Figure 2007304271
上記式(5)の例示において、1又は2の番号が付された炭素原子は、上記式(4)においてそれぞれR15(R16)又はR17(R18)が結合している炭素原子を示している。またR15とR16とで、又はR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例としては、エチリデン基、プロピリデン基およびイソプロピリデン基を挙げることができる。
上記式(4)で示される環状オレフィンを、より具体的に次に例示する。
一例として、下記式(6)で示されるビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(別名ノルボルネン。下記式(6)中において、1〜7の数字は炭素の位置番号を示す。)およびこの化合物に炭化水素基が置換した誘導体が挙げられる。
Figure 2007304271
この置換炭化水素基として、5−メチル、5,6−ジメチル、1−メチル、5−エチル、5−n−ブチル、5−イソブチル、7−メチル、5−フェニル、5−メチル−5−フェニル、5−ベンジル、5−トリル、5−(エチルフェニル)、5−(イソプロピルフェニル)、5−(ビフェニル)、5−(β−ナフチル)、5−(α−ナフチル)、5−(アントラセニル)、5,6−ジフェニルを例示することができる。
さらに他の誘導体として、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンなどのビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン誘導体を例示することができる。
この他、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、2−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、5−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エンなどのトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン誘導体、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、10−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エンなどのトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン誘導体、下記式(7)で示されるテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(下記式(7)中において、1〜12の数字は炭素の位置番号を示す。)、およびこれに炭化水素基が置換した誘導体が挙げられる。
Figure 2007304271
その置換基の炭化水素基としては、8−メチル、8−エチル、8−プロピル、8−ブチル、8−イソブチル、8−ヘキシル、8−シクロヘキシル、8−ステアリル、5,10−ジメチル、2,10−ジメチル、8,9−ジメチル、8−エチル−9−メチル、11,12−ジメチル、2,7,9−トリメチル、2,7−ジメチル−9−エチル、9−イソブチル−2,7−ジメチル、9,11,12−トリメチル、9−エチル−11,12−ジメチル、9−イソブチル−11,12−ジメチル、5,8,9,10−テトラメチル、8−エチリデン、8−エチリデン−9−メチル、8−エチリデン−9−エチル、8−エチリデン−9−イソプロピル、8−エチリデン−9−ブチル、8−n−プロピリデン、8−n−プロピリデン−9−メチル、8−n−プロピリデン−9−エチル、8−n−プロピリデン−9−イソプロピル、8−n−プロピリデン−9−ブチル、8−イソプロピリデン、8−イソプロピリデン−9−メチル、8−イソプロピリデン−9−エチル、8−イソプロピリデン−9−イソプロピル、8−イソプロピリデン−9−ブチル、8−クロロ、8−ブロモ、8−フルオロ、8,9−ジクロロ、8−フェニル、8−メチル−8−フェニル、8−ベンジル、8−トリル、8−(エチルフェニル)、8−(イソプロピルフェニル)、8,9−ジフェニル、8−(ビフェニル)、8−(β−ナフチル)、8−(α−ナフチル)、8−(アントラセニル)、5,6−ジフェニルを例示することができる。
さらに他の誘導体として、(シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物)とシクロペンタジエンとの付加物などが挙げられる。
また、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4−エンおよびその誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]ペンタデカ−3−エンおよびその誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4,10−ジエン化合物、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]ヘキサデカ−3−エンおよびその誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]ヘキサデカ−4−エンおよびその誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]ヘプタデカ−4−エンおよびその誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]エイコサ−5−エンおよびその誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]エイコサ−4−エンおよびその誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]ヘンエイコサ−5−エンおよびその誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]ドコサ−5−エンおよびその誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.014,19]ペンタコサ−5−エンおよびその誘導体、ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]ヘキサコサ−6−エンおよびその誘導体などが挙げられる。
これらの環状オレフィンは、単独でも、あるいは2種以上組み合わせても用いることができる。
脂環式炭化水素系共重合体は、上記式(4)で表される環状オレフィンを用いて、たとえば特開昭60−168708号、同61−120816号、同61−115912号、同61−115916号、同61−271308号、同61−272216号、同62−252406号および同62−252407号などの公報において提案された方法に従い、適宜、条件を選択することにより製造することができる。
そのうち、炭素原子数が2〜20のα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体は、α−オレフィンから誘導される構成単位を、通常は5〜95モル%、好ましくは20〜80モル%の量で、環状オレフィンから誘導される構成単位を、通常は5〜95モル%、好ましくは20〜80モル%の量で含有している。なお、α−オレフィンおよび環状オレフィンの組成比は、13C−NMRによって測定される。
ここで、α−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体を構成する炭素原子数が2〜20のα−オレフィンについて説明する。α−オレフィンとしては、直鎖状でも分岐状でもよく、エチレン、プロピレン、ブタ−1−エン、ペンタ−1−エン、ヘキサ−1−エン、オクタ−1−エン、デカ−1−エン、ドデカ−1−エン、テトラデカ−1−エン、ヘキサデカ−1−エン、オクタデカ−1−エン、エイコサ−1−エンなどの炭素原子数が2〜20の直鎖状α−オレフィン;3−メチルブタ−1−エン、3−メチルペンタ−1−エン、3−エチルペンタ−1−エン、4−メチルペンタ−1−エン、4−メチルヘキサ−1−エン、4,4−ジメチルヘキサ−1−エン、4,4−ジメチルペンタ−1−エン、4−エチルヘキサ−1−エン、3−エチルヘキサ−1−エンなどの炭素原子数が4〜20の分岐状α−オレフィンなどが挙げられる。これらのなかでは、炭素原子数が2〜4の直鎖状α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。このような直鎖状又は分岐状のα−オレフィンは、1種単独で又は2種以上組合わせて用いることができる。
このα−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体では、上記のような炭素原子数が2〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位と環状オレフィンから誘導される構成単位とが、ランダムに配列して結合し、実質的に線状構造を有している。この共重合体が実質的に線状であって、実質的にゲル状架橋構造を有していないことは、この共重合体が有機溶媒に溶融した際に、その溶液に不溶分が含まれていないことにより確認することができる。たとえば、極限粘度[η]を測定する際に、この共重合体が135℃のデカリンに完全に溶融することにより確認することができる。
α−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体において、上記式(4)で表される環状オレフィンの少なくとも一部は、下記式(8)で示される繰り返し単位を構成していると考えられる。
Figure 2007304271
上記式(8)において、n、m、q、R〜R18並びにR及びRは、上記式(4)におけるものと同じ意味である。
また、α−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体は、必要に応じ、本発明の目的を損なわない範囲内で、他の共重合可能なモノマーから誘導される構成単位を有していてもよい。
このような他のモノマーとしては、上記のような炭素原子数が2〜20のα−オレフィン又は環状オレフィン以外のオレフィンを挙げることができ、具体的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)シクロヘキサ−1−エンおよびシクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、ヘキサ−1,4−ジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチルヘキサ−1,4−ジエン、オクタ−1,7−ジエン、ジシクロペンタジエンおよび5−ビニル−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン類を挙げることができる。これらの他のモノマーは、単独でも、あるいは組み合わせても用いることができる。
α−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体において、上記のような他のモノマーから誘導される構成単位を含有させる場合には、通常20モル%以下、さらには10モル%以下の量とすることが好ましい。
α−オレフィン・環状オレフィンランダム共重合体は、炭素原子数が2〜20のα−オレフィンと上記式(4)で表される環状オレフィンとを用いて、前記公報に開示された製造方法により製造することができる。これらのうちでも、この共重合反応を、炭化水素溶媒中で行い、この炭化水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物および有機アルミニウム化合物から形成される触媒を用いる製造方法が好ましい。
また、この共重合反応では固体状の周期律表4族のメタロセン系触媒を用いることもできる。ここで固体状の周期律表4族のメタロセン系触媒とは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む遷移金属化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物と、必要により配合される有機アルミニウム化合物とからなる触媒である。ここで周期律表4族の遷移金属としては、ジルコニウム、チタン又はハフニウムがあげられ、これらの遷移金属が少なくとも1個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有している触媒である。シクロペンタジエニル骨格を含む配位子の例としては、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フロオレニル基を挙げることができる。ここで、シクロペンタジエニル基にはアルキル基が置換していてもよい。これらの基は、アルキレン基などの他の基を介して結合していてもよい。また、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子以外の配位子の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等があげられる。
また、有機アルミニウムオキシ化合物および有機アルミニウム化合物は、通常ポリオレフィン類の製造に使用されるものを用いることができる。このような固体状の周期律表4族のメタロセン系触媒については、例えば特開昭61−221206号、特開昭64−106号および特開平2−173112号公報等に記載されているものを使用することができる。
脂環式炭化水素系重合体は、DSCで測定(昇温速度10℃/min)したガラス転移温度(Tg)が、60〜230℃であることが好ましく、さらには、70〜210℃であることが好ましい。
軟化点は、サーモメカニカルアナライザーで測定した軟化点(TMA)として、通常30℃以上であり、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは90〜250℃、特に好ましくは100〜200℃である(ここで、軟化点の測定は、デュポン社製 Thermo Mechanical Analyzerを用いて、厚さ1mmのシートの熱変形挙動により行った。すなわちシート上に荷重49gをかけた石英製針を乗せ、5℃/minの速度で昇温し、針がシート中に0.635mm侵入した温度を軟化点(TMA)とした。)。
(2.2)添加剤
当該添加剤としては(2.2.1)界面活性剤、(2.2.2)安定剤、(2.2.3)可塑剤等が適用可能である。
(2.2.1)界面活性剤
当該界面活性剤は、同一分子中に親水基と疎水基とを有する化合物である。界面活性剤は樹脂表面への水分の付着や上記表面からの水分の蒸発の速度を調節することで、樹脂組成物の白濁を防止する。
界面活性剤の親水基としては、具体的にヒドロキシ基、炭素数1以上のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、アミド基、アンモニウム塩、チオール、スルホン酸塩、リン酸塩、ポリアルキレングリコール基などが挙げられる。ここで、アミノ基は1級、2級、3級のいずれであってもよい。界面活性剤の疎水基としては、具体的に炭素数6以上のアルキル基、炭素数6以上のアルキル基を有するシリル基、炭素数6以上のフルオロアルキル基などが挙げられる。ここで、炭素数6以上のアルキル基は置換基として芳香環を有していてもよい。アルキル基としては、具体的にヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデセニル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ミリスチル、ステアリル、ラウリル、パルミチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。芳香環としてはフェニル基などが挙げられる。この界面活性剤は、上記のような親水基と疎水基とをそれぞれ同一分子中に少なくとも1個ずつ有していればよく、各基を2個以上有していてもよい。
このような界面活性剤としては、より具体的にはたとえば、ミリスチルジエタノールアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシドデシルアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシトリデシルアミン、2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシテトラデシルアミン、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ジ−2−ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシドデシルアミン、アルキル(炭素数8〜18)ベンジルジメチルアンモニウムクロライド、エチレンビスアルキル(炭素数8〜18)アミド、ステアリルジエタノールアミド、ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、などが挙げられる。これらのうちでも、ヒドロキシアルキル基を有するアミン化合物又はアミド化合物が好ましく用いられる。当該界面活性剤においては、これら化合物を2種以上組合わせて用いてもよい。
界面活性剤は、脂環式炭化水素系重合体100重量部に対して0.01〜10重量部添加される。界面活性剤の添加量が0.01重量部を下回る場合、温度、湿度の変動に伴なう成形物の白濁を効果的に抑えることができない。一方、添加量が10重量部を超える場合、成形物の光透過率が低くなり、光ピックアップ装置への適用が困難となる。界面活性剤の添加量は脂環式炭化水素系重合体100重量部に対して0.05〜5重量部とすることが好ましく、0.3〜3重量部とすることがさらに好ましい。
(2.2.2)安定剤
当該安定剤としてはヒンダードアミン系安定剤、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤の中から選ばれた1種以上の安定剤が適用可能である。これら安定剤を適宜選択し、脂環式炭化水素系共重合体に添加することで、例えば405nmといった短波長の光を継続的に照射した場合の白濁や、屈折率の変動等の光学特性変動をより高度に抑制することができる。
好ましいフェノール系安定剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))、トリエチレングリコール ビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられる。
また、好ましいヒンダードアミン系安定剤としては、ビス(2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) セバケート、ビス((2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) スクシネート、ビス(1,2,2,6,6- ペンタメチル-4- ピペリジル) セバケート、ビス(N- オクトキシ-2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) セバケート、ビス(N- ベンジルオキシ-2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) セバケート、ビス(N- シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) セバケート、ビス(1,2,2,6,6- ペンタメチル-4-ピペリジル) 2-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(1- アクロイル-2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) 2,2-ビス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6- ペンタメチル-4- ピペリジルデカンジオエート、 2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジルメタクリレート、4-[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-1-[2-(3-(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)プロピオンアミド等が挙げられる。
また、好ましいリン系安定剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが特に好ましい。
また、好ましいイオウ系安定剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピピオネート、ジステアリル 3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
これらの安定剤の配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、脂環式炭化水素系共重合体100質量部に対して通常0.01〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部である。
(2.2.3)可塑剤
当該可塑剤は上記脂環式炭化水素系共重合体(環状オレフィン樹脂)のメルトインデックス値MIを調節するため、必要に応じて添加される。
当該可塑剤としては、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ビス(2−ブトキシエチル)、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジプロピレングリコールジベンゾエート、クエン酸トリ−n−ブチル、クエン酸トリ−n−ブチルアセチル、エポキシ化大豆油、2−エチルヘキシルエポキシ化トール油、塩素化パラフィン、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸−t−ブチルフェニル、リン酸トリ−2−エチルヘキシルジフェニル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、Santicizer 278、Paraplex G40、Drapex 334F、Plastolein 9720、Mesamoll、DNODP−610、HB−40等の公知のものが適用可能である。可塑剤の選定及び添加量の決定は、光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン系樹脂)の透過性や環境変化に対する耐性を損なわないことを条件に適宜行なわれる。
(3)光学素子用樹脂組成物及び光学素子に関するその他の事項(製造方法を含む。)
上記のような光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン系樹脂)は、透明性、低複屈折性、耐熱性、耐熱老化性、耐薬品性、耐溶剤性、誘電特性、種々の機械的特性、精密成形性、防湿性(低吸水性)に優れている。特に当該光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン系樹脂)は、嵩高い環状オレフィンから導かれる構成単位と、同一分子中に親水基と疎水基とを有する界面活性剤とを特定割合で含有するのが好ましく、この場合には、高温や高湿度といった環境から常温常湿度へと環境変化した場合などにおいても優れた透明性を保持することができる。本発明においては、光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン系樹脂)に対しさらに必要に応じて他の樹脂を添加・配合してもよい。当該他の樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲内で添加される。
ここで、光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン系樹脂)に添加し得る他の樹脂を以下に例示する。
(3.1)1個又は2個の不飽和結合を有する炭化水素から誘導される重合体で、具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルブタ−1−エン、ポリ4−メチルペンタ−1−エン、ポリブタ−1−エンおよびポリスチレンなどのポリオレフィンが挙げられる。なおこれらのポリオレフィンは架橋構造を有していてもよい。
(3.2)ハロゲン含有ビニル重合体で、具体的にはポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロプレン、塩素化ゴムなどが挙げられる
(3.3)α,β−不飽和酸とその誘導体から誘導された重合体で、具体的にはポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、又は前記の重合体を構成するモノマーとの共重合体、たとえばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
(3.4)不飽和アルコールおよびアミン、又は不飽和アルコールのアシル誘導体又はアセタールから誘導される重合体で、具体的にはポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリ ルメラミン、又は前記重合体を構成するモノマーとの共重合体、たとえばエチレン・酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
(3.5)エポキシドから誘導される重合体で、具体的にはポリエチレンオキシド又はビスグリシジルエーテルから誘導された重合体などが挙げられる。
(3.6)ポリアセタール類で、具体的にはポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、コモノマーとしてエチレンオキシドを含むようなポリオキシメチレンなどが挙げられる。
(3.7)ポリフェニレンオキシド(3.8)ポリカーボネート(3.9)Sポリスルフォン(3.10)ポリウレタンおよび尿素樹脂
(3.11)ジアミンおよびジカルボン酸および/又はアミノカルボン酸、又は相応するラクタムから誘導されたポリアミドおよびコポリアミドで、具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などが挙げられる。
(3.12)ジカルボン酸およびジアルコールおよび/又はオキシカルボン酸、又は相応するラクトンから誘導されたポリエステルで、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4−ジメチロール・シクロヘキサンテレフタレートなどが挙げられる。
(3.13)アルデヒドとフェノール、尿素又はメラミンから誘導された架橋構造を有した重合体で、具体的には、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
(3.14)アルキッド樹脂で、具体的にはグリセリン・フタル酸樹脂などが挙げられる。
(3.15)飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとのコポリエステルから誘導され、架橋剤としてビニル化合物を使用して得られる不飽和ポリエステル樹脂ならびにハロゲン含有改質樹脂。
(3.16)天然重合体で、具体的にはセルロース、ゴム、蛋白質、あるいはそれらの誘導体たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテルなどが挙げられる。
(3.17)軟質重合体、例えば、環状オレフィン成分を含む軟質重合体、α−オレフィン系共重合体、α−オレフィン・ジエン系共重合体、芳香族ビニル系炭化水素・共役ジエン系軟質共重合体、イソブチレン又はイソブチレン・共役ジエンからなる軟質重合体又は共重合体等が挙げられる。
本発明に係る光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン系樹脂)における脂環式炭化水素系共重合体と上記添加剤や他の樹脂等との混合方法としては、それ自体公知の方法が適用できる。たとえば各成分を同時に混合する方法などである。
上述の様にして調製された本発明に係る光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン系樹脂)は、温度260℃、荷重2.16kgで測定したメルトインデックス値MIが20〜60g/10minであることが好ましい。ここで、メルトインデックス値MIの測定方法は、ASTM D1238に準拠する。メルトインデックス値MIは、さらに好ましくは40〜60g/10minである。
ここで、上記メルトインデックス値MIは、例えばモノマーの組成比の選定による結晶化度の制御、重合方法や重合条件の選定による分子量の制御や、可塑剤の添加といった公知の方法により、調節することができる。
光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン系樹脂)のメルトインデックス値MIが上述の範囲内にあることで、射出成形等の方法で光学素子を成形する際、溶融した光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン系樹脂)は金型の後述する輪帯状レンズ面、回折輪帯、輪帯状凹部、輪帯状凸部に対応した部位の先端まで行き渡るので、高い精度で上記部位を形成することができる。よって、高い信頼性で光情報記録媒体に光を照射したり光情報記録媒体で反射した光を集光したりできる光学素子を作製することができる。
以上のような光学素子用樹脂組成物は、まず、少なくとも脂環式構造を含む繰り返し単位を有する上記脂環式炭化水素系共重合体を、GPCを用いて分子量の違いにより分離し、次に、幾つかのフラクションを適宜混合することにより、好ましい分子量および分子量分布を有する樹脂を得た後、その樹脂に対して界面活性剤や安定剤等の添加剤を添加・混合するといった方法により、製造することができる。また、分子量および分子量分布を制御した樹脂を多量に製造する場合には、樹脂を良溶性の溶媒に溶かし、貧溶性の溶媒を適当量それに加えることにより、初めの樹脂から好ましい分子量および分子量分布をもった成分を取り出すことが可能である。
また光学素子の製造方法としては、単に、上記の通り製造した光学素子用樹脂組成物を公知の射出成形機に流入させ(流入前に光学素子用樹脂組成物を乾燥させて水分を除去するのが好ましい。)、所定温度の所定圧力下で、当該光学素子用樹脂組成物を所定の金型に対し射出して成形するといった方法が適用可能である。
(4)光ピックアップ装置
次に、上記光学素子を光ピックアップ装置に適用した例について図1及び図2を参照して説明する。
本発明に係る光ピックアップ装置1は、波長650nmの光を適用する現行のDVD(以下、現行DVDと表記)、波長405nmの光を適用するいわゆる次世代のDVD(以下、次世代DVDと表記)の2種類の光情報記録媒体5について情報の再生、記録を行なう装置である。
光ピックアップ装置1は、光源2から出射されるレーザ光(光)を、コリメータレンズ3、後述する対物レンズ10といった単玉光学素子を通過させて、光軸4上で光情報記録媒体5の情報記録面6に集めて集光スポットを形成し、情報記録面6からの反射光を、偏向ビームスプリッタ7で取り込み、検出器8の受光面に再びビームスポットを形成するものである。
光源2は、レーザダイオードを有して構成されており、公知の切り換え方法により、650nm、405nmという2種類の波長の光を選択して出射できる構成となっている。
コリメータレンズ3、対物レンズ10、偏向ビームスプリッタ7は、光学素子ユニットを構成する。
対物レンズ10は、上述の光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン樹脂)をからなる光学素子である。光学素子の表面には、適宜反射防止膜等の機能膜を形成しても良い。本発明に係る光学素子としての対物レンズ10は図2に示すように、両面非球面の単玉光学素子であり、その一方(光源2側)の光学面11上に、当該光学面11を通過する所定の光に対して予め定められた光路差を付与する光路差付与構造20を有している。
光路差付与構造20は、光学面11が光軸4を中心とした3つの輪帯状レンズ面(以下、内側から順に第1輪帯状レンズ面21、第2輪帯状レンズ面22、第3輪帯状レンズ面23と言う)により構成され、該3つの輪帯状レンズ面21〜23のうち隣り合う輪帯状レンズ面21〜23は異なる屈折力を有している。
第1輪帯状レンズ面21と第3輪帯状レンズ面23とは、同一の光学面11上にあり、第2輪帯状レンズ面22は、光学面11から平行移動した面となっている。第1輪帯状レンズ面21は、波長650nm、405nm両方の光を通過させ、第2輪帯状レンズ面22は、現行DVDに対応した波長650nmの光を通過させ、第3輪帯状レンズ面23は、次世代DVDに対応した波長405nmの光を通過させる。そして、各輪帯状レンズ面21〜23を通過した光は、情報記録面6の同じ位置に集光されるようになっている。
なお、図2では、第1輪帯状レンズ面21と第3輪帯状レンズ面23とは同一光学面11上に設けられているが、これら第1及び第3輪帯状レンズ面21、23とは同一光学面上に設けなくても良く、また、第2輪帯状レンズ面22は、光学面11から平行移動した面となっているが、特に平行移動した面でなくても良い。また、3つの輪帯状レンズ面21〜23は5つであっても良く、少なくとも3つ以上であれば良い。
対物レンズ10は、上述の光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン樹脂)を適用しているので、溶融して金型に射出して成形する際、金型の第1輪帯状レンズ面21、第2輪帯状レンズ面22、第3輪帯状レンズ面23の境界部分に対応する部分に確実に樹脂が行き渡っている。そのため、対物レンズ10は光路差付与構造20が高い精度で付与されている。
こうして形成された光路差付与構造20の作用により、対物レンズ10は現行DVD、次世代DVDといった複数種の光情報記録媒体5に対して、光源2で出射した光の情報記録面6への集光と、情報記録面6で反射した光の検出器8へ向けての集光を高い信頼性で行なうことができる。また、前記対物素子10を構成する光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン樹脂)は厚さ3mmで85%以上という高い光透過率を有している。そのため、上記集光は高い効率で行なうことができる。よって、光源2の消費電力を小さくすることができるので、光ピックアップ装置1全体の消費電力を軽減できる。
また、光学素子用樹脂組成物(環状オレフィン樹脂)は酸化防止剤を含んでいるので、次世代DVDの情報を再生、記録するための405nmという光を透過する場合でも、白濁や屈折率の変動がほとんど生じない。よって、光ピックアップ装置1を長期間にわたり、高いピックアップ特性で作動させることができる。
なお、本発明に係る光学素子としての対物レンズ10は、上記光路差付与構造20を有するものに限らず、例えば図3〜図7に示す光路差付与構造20a〜20dを有する対物レンズ10a〜10eとしても良い。
図3における光路差付与構造20aは、光軸4を中心とした複数の回折輪帯21aからなり、複数の回折輪帯21aの断面が鋸歯状であり、かつ、各回折輪帯21aの光学面11aが不連続面となっている。また、複数の回折輪帯21aは、光軸4から離れるにしたがって厚みが増すように形成されている。図3に示す対物レンズ10aは、いわゆる回折レンズである。
図4における光路差付与構造20bは、光軸4を中心とした位相差を生じる複数の輪帯状凹部21bを同心円状に有している。輪帯状凹部21bは、光学面11bのうちの光軸4を中心とした一方の面(図4における光軸4を中心に上下の光学面)に5つずつ形成されている。また、隣り合う輪帯状凹部21bどうしは、連続して一体になっており、各輪帯状凹部21b全体としての断面が階段状となっている。また、各輪帯状凹部21bを形成する光学面22bは、光学面11bに対して平行移動した面となっている。図4に示す対物レンズ10bはいわゆる位相差レンズである。
なお、図4では、隣り合う輪帯状凹部21bどうしが連続して一体になっていて、全体の断面が階段状のものであるとしたが、単に光学面11bに輪帯状凹部21bを個々に設けたものとしても良い(この場合、例えば図2に示した対物レンズ10と同様の構造となる)。また、図4では輪帯状凹部21bを同心円状に有しているとしたが、図5に示すように、図2の第3輪帯状レンズ面23上に輪帯状凸部23bを有した対物レンズ10cとしても良い(図5中、図2と同様の構成部分については同様の符号を付した)。
図6における光路差付与構造20dは、光軸4を中心とした複数の回折輪帯21dからなり、複数の回折輪帯21dの断面が鋸歯状であり、かつ、各回折輪帯21dの光学面11dが不連続面である。そして、各回折輪帯21dの断面が光軸方向に沿った3段22dの階段状であり、各段22dの光学面12dが不連続面で、光軸4に対して直交する面となっている。
なお、図6に示すレンズ10dは、例えば、図7に示すように図6と同様の光路差付与構造20dを有するホログラム光学素子(HOE)10eと対物レンズ10fとで別体の構成としても良い。この場合、ホログラム光学素子10eは、平板状の光学素子を使用して、該光学素子の対物レンズ10fの面に光路差付与構造20dを設ける。
なお、本発明に係る光ピックアップ装置1は、例えばCD、現行DVD、次世代DVDの3種の光情報記録媒体5について情報の再生、記録を行なうこととしてもよい。光ピックアップ装置1で情報の再生、記録を行なう光情報記録媒体5の組み合わせは設計事項であり、適宜設定される。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)試料の作製
(実施例1)
まず、ガラス転移温度(Tg)135℃、極限粘度[η]0.6dl/gであるエチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンのランダム共重合体0.1質量部に対して、シクロヘキサンを100重量部加えて溶解させた。これを分取用GPCにかけ、保持時間2分ごとに分画した。得られた分画を適当に再度混合し、様々な分子量、分子量分布を有する樹脂を得た(下記表1に詳細あり)。再混合後の分子量、分子量分布はGPCにより測定した。続いて、再混合した各樹脂溶液を高速で撹拌しながら脱気を行い、さらに1日40℃で風乾して、樹脂中の溶媒を除去した。得られた各樹脂100重量部に対し、界面活性剤としてペンタエリスリトールジステアレート0.5質量部、安定剤としてテトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)0.5質量部を、二軸混練機(東芝機械社製、TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数150rpm、樹脂温度240℃、フィードレート10kg/時間)に添加、20分混練した後、ペレット化した。得られた各ペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した後、射出成形機(ファナック社製AUTOSHOT MODEL 30A)により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、一次射出圧力98.1MPa、二次射出圧力78.4MPaにて射出成形し、Φ30mm、厚さ3mmの成形体を得て、これらを試料とした。
(実施例2)
実施例1において、ガラス転移温度(Tg)135℃、極限粘度[η]0.6dl/gであるエチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンのランダム共重合体を、ガラス転移温度(Tg)135℃、極限粘度[η]0.6dl/gであるエチレンとペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4−エンのランダム共重合体に変えた他は、実施例1と同様にして、試料を得た。なお、各試料の分子量、分子量分布は、下記表2に示す通りである。
(実施例3)
実施例1において、ガラス転移温度(Tg)135℃、極限粘度[η]0.6dl/gであるエチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンのランダム共重合体を、ガラス転移温度(Tg)180℃、極限粘度[η]0.6dl/gであるエチレンとビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン,9−メチル−9−メトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,602,7]ドデカ−4−エンのランダム共重合体に変えた他は、実施例1と同様にして、試料を得た。なお、各試料の分子量、分子量分布は、下記表3に示す通りである。
(2)各試料の耐光試験
作成した各資料の光線透過率を日本分光製V-570 UV/VIS/NIR spectrophotometerを適用して測定した。詳しくは、波長350〜780nmの光を各試料に照射し、試料を設置しなかった場合に対する波長405nmの光線透過率を試料ごとに測定した。その成形体に24℃、相対湿度20%の環境下で照度1.00W/m2でキセノン光の照射を500時間行い、その後再び光線透過率を測定し、キセノン光照射前後における光線透過率の低下率を次式によって計算した。計算結果を下記の表1〜表3に示す。なお、この低下率は、値が大きいほど耐光性が悪いことを意味する。
低下率=(Xe照射前の透過率−Xe照射後の透過率)/照射前の透過率
(3)各試料の耐熱試験
作成した各資料の光線透過率を日本分光製V-570 UV/VIS/NIR spectrophotometerを適用して測定した。詳しくは、波長350〜780nmの光を各試料に照射し、試料を設置しなかった場合に対する波長405nmの光線透過率を試料ごとに測定した。その成形体を85℃、相対湿度20%の環境下に500時間放置し、その後再び光線透過率を測定し、前後の光線透過率の低下率を次式によって計算した。計算結果を下記の表1〜表3に示す。なお、この低下率は、値が大きいほど耐熱性が悪いことを意味する。
低下率=(Xe照射前の透過率−Xe照射後の透過率)/照射前の透過率
(4)各試料の耐光性・耐熱性の評価
上記耐光試験・耐熱試験における透過率の低下率がともに3%以下ならば耐光性・耐熱性に実用上の問題はないとみなした。評価結果を下記の表1〜表3に示す。
Figure 2007304271
Figure 2007304271
Figure 2007304271
(5)まとめ
表1〜表3に示す通り、40000≦Mw≦90000、かつ、1.6≦Mw/Mn≦9.5を満たす試料はすべて光線透過率の低下率が許容レベルに入っており、その範囲を満たさないものは、光線透過率の低下率が許容レベルを超えている。
以上から、40000≦Mw≦90000、かつ、1.6≦Mw/Mn≦9.5を満たすことが有用であることがわかる。
光ピックアップ装置1の概略を示す側面図である。 対物レンズ10の断側面図である。 対物レンズ10aの断側面図である。 対物レンズ10bの断側面図である。 対物レンズ10cの断側面図である。 対物レンズ10dの断側面図である。 ホログラム光学素子10e及び対物レンズ10fの断側面図である。
符号の説明
1 光ピックアップ装置
2 光源
3 コリメータレンズ
4 光軸
5 光情報記録媒体
6 情報記録面
7 偏光ビームスプリッタ
8 検出器
10、10a、10b、10c、10d、10f 対物レンズ(光学素子)
11、11a、11d、12d、22b 光学面
20、20a、20b、20c、20d 光路差付与構造
21 第1輪帯状レンズ面(輪帯状レンズ面)
21a、21d 回折輪帯
21b 輪帯状凹部
22 第2輪帯状レンズ面(輪帯状レンズ面)
23 第3輪帯状レンズ面(輪帯状レンズ面)
23b 輪帯状凸部

Claims (13)

  1. 下記式(1)で表される脂環式炭化水素系共重合体からなる光学素子用樹脂組成物であって、
    下記測定条件で分子量分布測定を行ったとき、数平均分子量Mn,重量平均分子量Mwが、
    40000≦Mw≦90000 かつ 1.6≦Mw/Mn≦9.5
    の関係を満たすことを特徴とする光学素子用樹脂組成物。
    Figure 2007304271
    (上記式(1)中、「x」,「y」は共重合比を示し、0/100≦y/x≦95/5を満たす実数である。「n」は0、1又は2で置換基Qの置換数を示す。「R」は炭素数2〜20の炭化水素基群から選ばれる1種又は2種以上の(2+n)価の基である。「R」は水素原子であるか、又は炭素及び水素からなり、炭素数1〜10の構造群から選ばれる1種若しくは2種以上の1価の基である。「R」は炭素数2〜20の炭化水素基群から選ばれる1種又は2種以上の2価の基である。「Q」はCOOR(Rは水素原子であるか、又は炭化水素からなり、炭素数1〜10の構造群から選ばれる1種又は2種以上の1価の基である。)で表される構造群から選ばれる1種又は2種以上の1価の基である。)
    <測定条件>
    測定方法:高温GPCによる分子量分布測定法
    溶離液:オルトジクロロベンゼン
    測定温度:110℃
    試料溶液:試料約10mgをオルトジクロロベンゼン1mlに溶解させる。
    校正曲線:標準ポリスチレンにより作成
  2. 請求項1に記載の光学素子用樹脂組成物において、
    メルトインデックス値MIが温度260℃、荷重2.16kgなる条件下で20〜60g/10分であることを特徴とする光学素子用樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の光学素子用樹脂組成物から作られたことを特徴とする光学素子。
  4. 請求項3に記載の光学素子において、
    前記光学素子用樹脂組成物が、厚さ3mmで、波長405nmにおける光線透過率が85%以上であることを特徴とする光学素子。
  5. 請求項3または4に記載の光学素子において、
    少なくとも1つの光学面が、当該光学面を通過する所定の光に対して、予め定められた光路差を付与する光路差付与構造を有することを特徴とする光学素子。
  6. 請求項5に記載の光学素子において、
    前記光路差付与構造は、前記光学面が光軸を中心とした3つ以上の輪帯状レンズ面により構成され、それら3つ以上の前記輪帯状レンズ面のうち、隣り合う前記輪帯状レンズ面が異なる屈折力を有することを特徴とする光学素子。
  7. 請求項5に記載の光学素子において、
    前記光路差付与構造は、光軸を中心とした複数の回折輪帯からなり、複数の前記回折輪帯の断面が鋸歯状であり、かつ、前記各回折輪帯の光学面が不連続面であることを特徴とする光学素子。
  8. 請求項5に記載の光学素子において、
    前記光路差付与構造は、光軸を中心とした位相差を生じる複数の輪帯状凹部及び/又は輪帯状凸部を同心円状に有することを特徴とする光学素子。
  9. 請求項5に記載の光学素子において、
    前記光路差付与構造は、光軸を中心とした複数の回折輪帯からなり、複数の前記回折輪帯の断面が鋸歯状であり、かつ、前記各回折輪帯の光学面が不連続面であり、これら複数の前記回折輪帯のうち、少なくとも1つの前記回折輪帯の断面が階段状であり、かつ、各段の光学面が不連続面であることを特徴とする光学素子。
  10. 光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、
    請求項3〜9のいずれか一項に記載の光学素子を有することを特徴とする光ピックアップ装置。
  11. 請求項10に記載の光ピックアップ装置において、
    複数の単玉光学素子を一体に組み合わせて構成してなる光学素子ユニットを有し、
    前記光学素子が、複数の前記単玉光学素子のうち、少なくとも1つの単玉光学素子として用いられることを特徴とする光ピックアップ装置。
  12. 請求項10又は11に記載の光ピックアップ装置において、
    波長390nm〜420nmの光を出射する光源を有することを特徴とする光ピックアップ装置。
  13. 請求項12に記載の光ピックアップ装置において、
    前記光学素子が、前記光源から出射される光を前記光情報記録媒体に対して集光させる対物光学素子として用いられることを特徴とする光ピックアップ装置。
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