以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態にかかる自動分析装置を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
本発明にかかる自動分析装置は、生化学分析、免疫検査等の分析を自動で行う自動分析装置に適用可能であるが、ここでは、臨床検査等に用いられる生化学分析装置を例に説明する。
(実施の形態1)
まず、図1〜図4を参照し、実施の形態1にかかる自動分析装置の構成を説明する。なお、図1は本発明の実施の形態1にかかる自動分析装置の構成を示す正面図、図2は検体供給部および分析部の構成を示す平面図、図3は検体供給部および分析部の構成を示す概念斜視図、図4は本発明の実施の形態1にかかる自動分析装置の構成を示すブロック図である。
自動分析装置1は、図1に示すように、検体供給部2、分析部3、データ処理部4を有している。検体供給部2は、図2に示すように、採取管21(たとえば、採血管)を搭載したラック20を分析部3に逐次供給可能である。本実施の形態1にかかるラック20は10本の採取管21が搭載可能であり、検体供給部2に150検体分をセット可能である。採取管21には、採取した検体(たとえば血液)が収容してあり、その側面には、検体を識別する識別コードラベル(図示せず)が貼付してある。この識別コードラベルは、検体に関する情報を表示している。
図2に示すように、検体供給部2は、ラック供給コンベア22、ラック搬送コンベア23、ラック回収コンベア24を備えている。ラック供給コンベア22は、搬送方向に対して直交するL字状のアタッチメント22aを複数備えたコンベアであり、アタッチメント22aの相互間にラック20を搭載可能である。したがって、ラック20は、ラック供給コンベア22上で整列し、アタッチメント22aに支承されて倒伏することがない。
ラック搬送コンベア23は、検体供給位置にラック20を搬送するものであり、コンベアにより構成してある。ラック搬送コンベア23は、ラック20を間欠的に搬送可能であり、ラック20上の採取管21を検体供給位置に逐次移送可能である。また、ラック搬送コンベア23の搬送方向手前側には、識別コードリーダ25が配設してあり、検体供給位置に搬送する採取管21に収容してある検体の情報を取得可能である。
ラック回収コンベア24は、ラック供給コンベア22と同様に、搬送方向に対して直交するL字状のアタッチメント24aを複数備えたコンベアであり、ラック搬送コンベア23から搬送されたラック20をアタッチメント24aの相互間に収容することにより、ラック20を回収可能である。回収されたラック20は、ラック回収コンベア24上で整列し、アタッチメント24aに支承されて倒伏することがない。
分析部3は、反応槽31、第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33を備えている。反応槽31は、分析部3の略中央部に配設してある。反応槽31は、内部に加温装置(図示せず)と温度センサ(図示せず)とを備えるとともに、円板状の蓋312により覆ってあり、内部の温度を人体の体温と同一の温度(摂氏37度)で維持する恒温槽を構成している。また、反応槽31は、図3に示すように、内部にキュベットホイール313および測定光学系314を備え、検液(検体と試薬の混合液)の吸光度から分析結果を取得可能である。
キュベットホイール313は、リング状に成形された環状の部材であり、間欠して回転可能である。キュベットホイール313の径外方向略中央には、収容凹部313aが周方向に等間隔(以下、この間隔を1ピッチという)で設けてある。また、キュベットホイール313の内側側面と外側側面とには、収容凹部313aに挿通し、キュベットホイール313の外側から内側に光束を案内する測光窓313bが設けてある。収容凹部313aには、キュベットと称される反応容器(以下、「キュベットC」という)が収容してある。キュベットCは、角筒形状の透明容器であり、上方部が開口している。したがって、光束は、キュベットホイール313の外側からキュベットCを通過してキュベットホイール313の内側に案内される。
キュベットホイール313の外側となる位置には、キュベットホイール313の径内方向に光を照射する光源314aが設けてあり、光源314aと分析対象となるキュベットを結ぶ直線上には測光センサ314bが設けてある。光源314aは、試薬と検体とが反応したキュベットC内の検液を分析するための照射光(340〜800nm)を出射するものである。測光センサ314bは、キュベットC内の検液を透過し、測光窓313bを通過した平行光を測光するものである。これら光源314aおよび測光センサ314bは、上述した測定光学系314を構成する。
測定光学系314は、光源314a、測光センサ314bのほか、キュベットホイールの外側となる位置にコリメーションレンズ314cを、キュベットホイールの内側となる位置にフィルタ(図示せず)を備えている。コリメーションレンズ314cは、光源314aが出射した光を平行光に収束させるものである。フィルタは、検液に特異的に吸収される波長の光を選択する光学フィルタであり、測定項目毎に予め定めたものが使用される。
上述したキュベットホイール313は、4.5秒かけて反時計方向に(1周−1ピッチ)/4回転し(以下「1周期」という)、キュベットホイール313が18秒かけて4周期すると(1周−1ピッチ)回転する。この結果、キュベットCは、4周期で時計方向に1ピッチ移動することになる。
ここで、キュベットホイール313が検体供給位置に近接する位置が第一検体分注位置となり、当該第一検体分注位置と略対向する位置が第一試薬分注位置となる。また、第一検体分注位置から時計方向に第一検体分注位置と第一試薬分注位置との間を略二分する位置が第二試薬分注位置となり、第一検体分注位置から反時計方向に第一検体分注位置と第一試薬分注位置との間を略二分する位置が第二検体分注位置となる。さらに、第二試薬分注位置の反時計方向近傍位置が第一攪拌位置となり、第二検体分注位置の時計方向近傍位置が第二攪拌位置となる。またさらに、第二検体分注位置の反時計方向近傍位置が洗浄・乾燥位置となる。
そして、反応槽31を覆う蓋312には、これら第一検体分注位置、第二検体分注位置、第一試薬分注位置、第二試薬分注位置、第一攪拌位置、第二攪拌位置、洗浄位置に対応して、図2に示すように、第一検体分注孔312a、第二検体分注孔312b、第一試薬分注孔312c、第二試薬分注孔312d、第一攪拌孔(図示せず)、第二攪拌孔(図示せず)、洗浄孔312gが設けてある。
第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33は、反応槽31の左部に配設してある。第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33は、それぞれ、内部に冷却装置(図示せず)と温度センサ(図示せず)とを備えるとともに、円盤状の蓋322,332により覆ってあり、内部の温度を所定の温度以下とする保冷庫を構成している。第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33は、内部にターンテーブル(図示せず)を備えている。
ターンテーブルは、間欠して回転可能であり、ターンテーブルの上面には、中央部から径外方向に延在する仕切りが複数配設してある。仕切りは、ワンタッチで着脱可能であって、ターンテーブルを任意の領域に画成可能である。
各ターンテーブルには、図3に示すように、それぞれ複数の試薬ボトルBが開栓した状態で収容してある。各試薬ボトルBには、検査項目に対応する所定の試薬が収容してあり、その外周面には試薬を識別する識別コードラベル(図示せず)が貼付してある。識別コードラベルは、試薬に関する情報を表示するものであり、たとえば、試薬の種類、製造ロット番号、有効期限、容量等が表示してある。
第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33には、それぞれ識別コードリーダ323,333が配設してある。識別コードリーダ323,333は、試薬ボトルBに貼付した識別コードラベルを読み取るものであり、試薬ボトルBに収容した試薬に関する情報を取得可能である。したがって、任意の試薬ボトルBを任意のタイミングで試薬供給位置に移送可能である。
そして、第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33を覆う蓋322,332には、図2に示すように、試薬供給位置に対応して、それぞれ第一試薬孔322a、第二試薬孔332aが設けてある。
また、分析部3は、検体分注ユニット34、第一試薬分注ユニット35および第二試薬分注ユニット36を備えている。
検体分注ユニット34は、検体供給位置に移送された採取管21からキュベットCに所定量の検体を分注するものであり、アーム341とプローブ342とを有している。アーム341は、検体供給位置と第一検体分注位置との間、および、検体供給位置と第二検体分注位置との間を回動可能、かつ上下方向に昇降可能である。プローブ342は、検体を吸引する部分であり、アーム341の降下時に静電容量を監視することにより、採取管21に収容された検体の液面を検出可能である。また、プローブ342は、所定量の検体を吸引したことを確認する吸引確認手段を備えている。吸引確認手段は、吸引時の圧力変化を監視する圧力センサ342a(図4参照)等であり、採取管21が収容されていない場合に検体吸引時の圧力よりも圧力が低くなり、プローブ342に詰まりが生じた場合に検体吸引時の圧力よりも高くなることを利用して検体の吸引を確認可能である。また、検体供給位置と第一検体分注位置とを結ぶ軌跡上には、洗浄部343が設けてある(図2参照)。洗浄部343には、図示せぬ洗浄水タンクから洗浄水が供給され、プローブ342を洗浄可能である。
第一試薬分注ユニット35および第二試薬分注ユニット36は、試薬供給位置に移送された試薬ボトルBからキュベットCに所定量の試薬を分注するものであり、検体分注ユニット34と同様に、それぞれ、アーム351,361とプローブ352,362とを有している。アーム351,361は、試薬供給位置と試薬分注位置との間を回動可能、かつ上下方向に昇降可能である。プローブ352,362は、試薬を吸引する部分であり、アーム351,361の降下時に静電容量を監視することにより、試薬ボトルBに収容された試薬の液面を検出可能である。また、プローブ352,362は、それぞれ、所定量の試薬を吸引したことを確認する吸引確認手段を備えている。吸引確認手段は、吸引時の圧力変化を監視する圧力センサ352a,362a(図4参照)等であり、試薬切れが生じた場合に試薬吸引時の圧力よりも圧力が低くなり、プローブ352,362に詰まりが生じた場合に試薬吸引時の圧力よりも高くなることを利用して試薬の吸引を確認可能である。また、試薬供給位置と試薬分注位置とを結ぶ軌跡上には、洗浄部353,363が設けてある(図2参照)。洗浄部353,363には、図示せぬ洗浄水タンクから洗浄水が供給され、プローブ352,362を洗浄可能である。
さらに、分析部3は、第一攪拌ユニット37および第二攪拌ユニット38を備えている。
第一攪拌ユニット37および第二攪拌ユニット38は、第一攪拌位置と第二攪拌位置に移送されたキュベットCの混合液(検体と試薬)を攪拌して反応を促進させるものであり、それぞれ、回転アーム371,381と撹拌棒372,382とを備えている。回転アーム371,381は、回転(公転)可能、かつ上下方向に昇降可能であって、平面視略三角形状を有している。撹拌棒372,382は、回転アーム371,381の各頂部近傍に配設してある。撹拌棒372,382は、回転アーム371,381と独立して回転(自転)可能である。また、撹拌棒372,382の公転軌跡上には、洗浄部373,383が設けてある(図2参照)。洗浄部373,383は、図示せぬ洗浄水タンクから洗浄水が供給され、撹拌棒372,382を洗浄可能である。
またさらに、分析部3は、洗浄・乾燥ユニット39を備えている。
洗浄・乾燥ユニット39は、キュベットホイール313が四周期するごと、すなわち1周−1ピッチ回転するごとに上下方向に昇降可能であって、複数のノズル391を有している。これらノズルは、キュベットから分析を終了した検液を吸引する吸引ノズル、キュベットに洗浄液を供給する洗浄ノズル、キュベットから洗浄液を吸引する吸引ノズル、キュベットに圧縮空気を供給するエアノズル等のノズルである。
上述した検体供給部2、分析部3の各ユニットおよび構成要素は、制御部5に接続してあり、統括的に制御可能である。制御部5は、たとえば、マイクロコンピュータ等を採用可能である。制御部5は、自動分析装置1の各部の作動を制御するとともに、試薬のロットや有効期限等が設定範囲外の場合、分析作業を規制するように分析部3を制御する。
制御部5には、データ処理部4(以下、DPR4という)が接続してある。DPR4は、制御部5が取得した各種データを処理する部分である。DPR4は、入力部41と出力部42とを備えている。入力部41は、たとえば、キーボードやマウス等であり、検体数および検査項目等の各種情報が入力可能である。検査項目は、個別に入力することも可能であるが、標準検査、精密検査のように大別して入力することも可能である。出力部42は、たとえば、ディスプレイパネルやプリンタ等であり、分析結果を含む分析内容や警報等の各種情報が出力可能である。
DPR4には、各種データ、分析履歴のほか、実績分析回数算出プログラム(実績分析回数算出手段)、分析可能数算出プログラム(分析可能数算出手段)、残分析可能数算出プログラム(残分析可能数算出手段)、試薬補充要否判定プログラム(試薬補充要否判定手段)が記憶してある。
DPR4に記憶してあるデータは、分析に必要な試薬データ、後述する残分析可能数データである。分析に必要な試薬データは、分析項目ごとに定められた試薬の種類および当該試薬の量である。分析履歴には、日付に関連付けて検体数と分析項目が記憶してあり、前年の同月同日の検体数と分析項目が参照可能である。なお、分析履歴は、日付に関連付けて検体数と分析項目を記憶したものであればよく、前日の検体数と分析項目とを参照可能としたものでもよく、季節等に対応した一日当たりの検体数と分析項目とを参照可能としたものでもよい。
実績分析回数算出プログラムは、分析履歴を参照し、試薬ごとに実績分析回数を算出するものである。具体的には、分析項目から試薬の種類が求められ、検体数から分析回数が求められる。この結果、試薬ごとに前年の同月同日の実績分析回数が求められる。なお、参照する分析履歴を前日の検体数と分析項目とすれば、前日の実績分析回数が求められ、参照する分析履歴を季節等に対応した一日当たりの検体数と分析項目とすれば、季節に対応した一日当たりの実績分析回数が求められる。
分析可能数算出プログラムは、試薬ボトルBに収容した試薬量を分析に要する試薬量で除算して分析可能回数を算出するものである。試薬ボトルBに収容した試薬量は、識別コードリーダ323,333が試薬ボトルの側面に貼付した識別コードラベルから読み取った容量を適用し、試薬ボトルBごとに求めることが可能である。分析に要する試薬量は、分析項目ごとに定められた試薬の量であり、試薬ごとに定められている。したがって、分析可能数算出プログラムは、これらのデータから試薬ボトルごとに分析可能回数を算出可能である。
残分析可能数算出プログラムは、分析可能数から実際に分析した分析回数を減算して残分析可能数を算出するものである。実際に分析した分析回数は分析をするごとに逐次加算され、これにともなって残分析可能数は逐次減算される。この残分析可能数は、試薬補充の目安となる。この残分析可能数は表示手段としてのディスプレイパネルに表示され、オペレータが視認可能となる。また、この残分析可能数は、上述したように、DPR4に記憶される。
試薬補充要否判定プログラムは、実績分析回数と残分析可能数とを比較して、試薬補充の要否を判定するものである。試薬補充の要否は、実績分析回数から残分析可能回数を減算した値に基づいて判定され、値が負の場合に試薬の補充が不要と判定し、値が正の場合に試薬の補充が必要と判定する。この判定結果は報知手段としてのディスプレイパネルに表示され、オペレータが視認可能となる。
また、DPR4は、制御部5を介して測光センサ314bと接続してあり、測光センサ314bが測光した光量(吸光度)に基づいて、検体の成分濃度等を分析する。具体的には、キュベットC内の試薬と検体とからなる検液の吸光度を用いて検体の成分濃度等を分析する。吸光度は、測光センサ314bによって予めブランク試料に関する光量を測定しておくことにより比較対照が可能である。この分析結果は、出力部42に出力可能である。
つぎに、図5および図6を参照し、上述した本実施の形態1にかかる自動分析装置の作用を説明する。なお、図5は本発明の実施の形態1にかかる自動分析装置の分析開始手順を示すフローチャート、図6は本発明の実施の形態1にかかる自動分析装置の分析再開手順を示すフローチャートである。
まず、分析にあたって、分析開始手続をおこなう。分析開始手続は、分析履歴の参照等であって、DPR4が分析履歴から前年の同月同日の検体数と検査項目を参照すると(ステップS1)、DPR4が試薬ごとに補充の要否を判定する(ステップS2)。そして、DPR4は、試薬ごとに試薬補充要否判定結果および残分析可能回数をディスプレイパネルに表示する(ステップS3)。したがって、オペレータは、これら試薬補充要否判定結果および残分析可能回数を確認可能である。その後、自動分析装置1は分析を開始する(ステップS4)。
分析を開始すると、検体供給部2では、分析部3に検体を供給する。具体的には、ラック供給コンベア22がラック20をラック搬送コンベア23に供給し、ラック搬送コンベア23が当該ラック20を検体供給位置に搬送する。
一方、分析部3では、試薬保冷庫32,33および検体供給部2から試薬および検体をキュベットCに分注し、これらの混合液の反応を測光することにより分析する。具体的に説明する。
まず、第一試薬保冷庫32において、分析項目に対応する試薬が収容してある試薬ボトルBを試薬供給位置に移動する。そして、分析項目に対応する試薬ボトルBが試薬供給位置に移動すると、第一試薬分注ユニット35が、試薬ボトルBから第一試薬を吸引して第一試薬分注位置に位置するキュベットCに第一試薬を分注する。そして、分注を終えたプローブ352は洗浄部353で洗浄される。
キュベットホイール313が回転し、第一試薬が分注されたキュベットCが検体分注位置に移動すると、検体分注ユニット34が検体供給位置に搬送された採取管21から検体を吸引して、検体分注位置に位置するキュベットCに検体を分注する。そして、分注を終えたプローブ342は洗浄部343で洗浄される。
そして、キュベットホイール313が4周期回転すると、第一試薬と検体を分注したキュベットCは、上述したように、第一試薬を分注した位置から時計方向に1ピッチ移動したことになる。したがって、当該キュベットCと反時計方向に隣り合うキュベットCに第一試薬を分注可能となる。
その後、キュベットホイール313が回転し、キュベットCが第一攪拌位置に移動すると、第一攪拌ユニット37がキュベットCに収容された第一試薬と検体の混合液を攪拌する。このとき、前回攪拌に用いた撹拌棒372が洗浄部373において洗浄される。
そして、キュベットホイール313が回転し、攪拌された混合液を収容したキュベットCが第二試薬分注位置に移動すると、第二試薬が分注可能となる。ここで、通常の分析において第二試薬を分注することはなく、必要に応じて第二試薬を分注する。第二試薬を分注する場合には、第一試薬を分注する場合と同様に、第二試薬保冷庫33において、分析項目に対応する試薬が収容してある試薬ボトルBを試薬供給位置に移動する。そして、分析項目に対応する試薬ボトルBが試薬供給位置に移動すると、第二試薬分注ユニット36が、試薬ボトルBから第二試薬を吸引して第二試薬分注位置に位置するキュベットCに第二試薬を分注する。そして、分注に用いられたプローブ362は洗浄部363で洗浄される。
さらに、キュベットホイール313が回転し、混合液に第二試薬を分注したキュベットCが第二攪拌位置に移動すると、第二攪拌ユニット38がキュベットCに収容された混合液が攪拌可能となる。ここで、第二試薬を分注してない場合には攪拌する必要はない。
そして、試薬および検体を混合攪拌した検液を収容したキュベットCが測定光学系314を横切るごとに測光センサ314bが測光する。そして、DPR4は、測光センサ314bが測光した光量(吸光度)に基づいて、検体の成分濃度等を分析する。
このようにして検液の測光が終了したキュベットCは、洗浄・乾燥位置において洗浄・乾燥ユニット39が内部の検液が吸引されて廃棄されるとともに、洗浄水タンクから供給された洗浄水によって内部が洗浄された後、圧縮空気により乾燥される。そして、キュベットCは、再び第一試薬分注ユニット35によって第一試薬が分注され、分析に使用される。
分析開始後に、残分析可能回数が予め定めた回数となった場合には(ステップS5:Yes)、試薬の補充が必要となる旨の事前告知をディスプレイパネルに表示する(ステップS6)。
そして、試薬がなくなった場合(ステップS7:Yes)、すなわち、試薬分注ユニット35,36の吸引確認手段が所定量の試薬を吸引したことを確認できなかった場合には、分析を中断する(ステップS8)。
ここで、オペレータが試薬ボトルBを廃棄して、新たな試薬ボトルBを試薬保冷庫32,33に補充すると、試薬保冷庫32,33の識別コードリーダ323,333が試薬ボトルBの識別コードラベルを読み取り、制御部5を介してDPR4が補充した試薬の情報を取得する。
その後、分析を再開するにあたって、分析再開手続を行う。分析再開手続は、キャリブレーション判定等であって、キャリブレーション判定およびQC判定が必要な場合には(ステップS11:Yes)、キャリブレーション判定およびQC判定を実施する(ステップS12)。そして、キャリブレーション判定およびQC判定の結果が正常な場合には(ステップS13:Yes)、分析を再開する(ステップS15)。一方、キャリブレーション判定およびQC判定の少なくとも一方が異常な場合には(ステップS13:No)、分析を中止する(ステップS14)。そして、分析を中止した場合には、その旨をディスプレイパネルに表示する。一方、キャリブレーション判定およびQC判定が不要な場合には(ステップS11:No)、分析を再開する(ステップS15)。
なお、キャリブレーション判定およびQC判定が必要な場合とは、補充前の試薬の製造ロットと補充後の試薬の製造ロットとが異なる場合であり、補充前の試薬の製造ロットと補充後の試薬の製造ロットとが同一の場合には、キャリブレーション判定およびQC判定を行う必要がない。
上述した実施の形態1にかかる自動分析装置1によれば、試薬ボトルBに収容した試薬量を分析に要する試薬量で除算して分析可能数を算出する一方、分析可能数から実際に分析した分析回数を減算して残分析可能数を算出する。そして、前年の同月同日の分析回数(実績分析回数)と残分析可能数とを比較して、試薬補充の要否を判定し、試薬の補充を要すると判定した場合にその旨を報知する報知するので、オペレータは試薬補充の準備ができる。
また、ディスプレイパネルに残分析可能数を表示するので、残分析可能数を目安として試薬補充のタイミングを図ることができる。
ところで、上述した自動分析装置1に、試薬格納庫と試薬補充装置を備えることが好ましい。試薬格納庫には、補充すべき試薬が収容された試薬ボトルBが格納可能であって、試薬補充装置は、第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33から空になった試薬ボトルBを回収する一方、試薬格納庫から第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33に新たな試薬ボトルを補充する。
したがって、上述したように、補充すべき試薬が報知されている場合には、当該試薬を収容した試薬ボトルBを試薬格納庫に収納しておくことにより、自動分析装置の分析中断時間を短縮し、短時間で分析の再開が可能となる。
(実施の形態2)
まず、図7を参照し、実施の形態2にかかる自動分析装置の構成を説明する。なお、図7は本発明の実施の形態2にかかる自動分析装置の構成を示すブロック図である。
実施の形態2にかかる自動分析装置は、実績分析回数算出プログラム、分析可能数算出プログラム、残分析可能数算出プログラム、試薬補充要否判定プログラムに代えて、実績試薬使用量算出プログラム(実績試薬使用量算出手段)、残試薬量算出プログラム(残試薬量算出手段)、予定試薬量算出プログラム(予定試薬量算出プログラム)、試薬補充要否判定プログラム(試薬補充要否判定手段)が記憶してある。また、残分析可能数データに代えて残試薬量データが記憶してある。
実績試薬使用量算出プログラムは、分析履歴を参照し、試薬ごとに実績試薬使用量を算出するものである。具体的には分析項目から試薬の種類が求められ、検体数と一回の分注量とを積算することにより実績試薬使用量が求められる。この結果、試薬ごとに前年の同月同日の実績試薬使用量が求められる。なお、参照する分析履歴を前日の検体数と分析項目とすれば、前日の実績試薬使用量が求められ、参照する分析履歴を季節等に対応した一日当たりの検体数と分析項目とすれば、季節に対応した一日当たりの実績試薬使用量が求められる。
残試薬量算出プログラムは、試薬ボトルBに収容した試薬量から分析に要した試薬量を減算して残試薬量を算出するものである。試薬ボトルBに収容した試薬量は、識別コードリーダ323,333が試薬ボトルの側面に貼付した識別コードラベルから読み取った容量を適用し、試薬ボトルBごとに求めることが可能である。分析に要した試薬量は、分析項目ごとに定められた試薬の量と分析回数とを積算して算出可能であり、試薬ごとに算出可能である。したがって、残試薬算出プログラムは、これらのデータから試薬ボトルBごとに残試薬量を算出可能である。そして、分析に要した試薬量は分析をするごとに逐次加算され、これにともなって残試薬量は逐次減算される。この残試薬量は、試薬補充の目安となる。この残試薬量は表示手段としてのディスプレイパネルに表示され、オペレータが視認可能となる。また、この残試薬量は、上述したように、DPR4に記憶される。
試薬補充要否判定プログラムは、実績試薬使用量と残試薬量とを比較して、試薬補充の要否を判定するものである。試薬補充の要否は、実績試薬使用量から残試薬量を減算した値に基づいて判定され、値が負の場合に試薬の補充が不要と判定し、値が正の場合に試薬の補充が必要と判定する。この判定結果は報知手段としてのディスプレイパネルに表示され、オペレータが視認可能となる。
つぎに、図8および図9を参照し、実施の形態2にかかる自動分析装置の分析開始手順と分析再開手順を説明する。なお、図8は本発明の実施の形態2にかかる自動分析装置の分析開始手順を示すフローチャート、図9は本発明の実施の形態2にかかる自動分析装置の分析再開手順を示すフローチャートである。
分析開始手続は、分析履歴の参照等であって、DPR4が分析履歴から前年の同月同日(対応日)の検体数と検査項目を参照すると(ステップS21)、DPR4が試薬ごとに補充の要否を判定する(ステップS22)。そして、DPR4は、試薬ごとに試薬補充要否判定結果および残試薬量をディスプレイパネルに表示する(ステップS23)。したがって、オペレータは、これら試薬補充要否判定結果および残試薬量を確認可能である。その後、自動分析装置1は分析を開始する(ステップS24)。
分析開始後に、残試薬量が予め定めた所定量となった場合には(ステップS25:Yes)、試薬の補充が必要となる旨の事前告知をディスプレイパネルに表示する(ステップS26)。
そして、試薬がなくなった場合(ステップS27:Yes)、すなわち、試薬分注ユニット35,36の吸引確認手段が所定量の試薬を吸引したことを確認できなかった場合には、分析を中断する(ステップS28)。
ここで、オペレータが試薬ボトルBを廃棄して、新たな試薬ボトルBを試薬保冷庫32,33に補充すると、試薬保冷庫32,33の識別コードリーダ323,333が試薬ボトルBの識別コードラベルを読み取り、制御部5を介してDPR4が補充した試薬の情報を取得する。
その後、分析を再開するにあたって、分析再開手続を行う。分析再開手続は、キャリブレーション判定等であって、キャリブレーション判定およびQC判定が必要な場合には(ステップS31:Yes)、キャリブレーション判定およびQC判定を実施する(ステップS32)。そして、キャリブレーション判定およびQC判定の結果が正常な場合には(ステップS33:Yes)、分析を再開する(ステップS35)。一方、キャリブレーション判定およびQC判定の少なくとも一方が異常な場合には(ステップS33:No)、分析を中止する(ステップS34)。そして、分析を中止した場合には、その旨をディスプレイパネルに表示する。一方、キャリブレーション判定およびQC判定が不要な場合には(ステップS31:No)、分析を再開する(ステップS35)。
上述した実施の形態2にかかる自動分析装置1によれば、試薬ボトルBに収容した試薬量から分析に要した試薬量を減算して残試薬量を算出する。そして、前年の同月同日の試薬使用量(実績試薬使用量)と残試薬量とを比較して、試薬補充の要否を判定する。そして、試薬の補充を要すると判定した場合にその旨をディスプレイパネルに表示するので、オペレータは試薬補充の準備ができる。
また、ディスプレイパネルに残試薬量を表示するので、残試薬量を目安として試薬補充のタイミングを図ることができる。
ところで、上述した自動分析装置1に、試薬格納庫と試薬補充装置を備えることが好ましい。試薬格納庫には、補充すべき試薬が収容された試薬ボトルBが格納可能であって、試薬補充装置は、第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33から空になった試薬ボトルBを回収する一方、試薬格納庫から第一試薬保冷庫32および第二試薬保冷庫33に新たな試薬ボトルを補充する。
したがって、上述したように、補充すべき試薬が報知されている場合には、当該試薬を収容した試薬ボトルBを試薬格納庫に収納しておくことにより、自動分析装置1の分析中断時間を短縮し、短時間で分析の再開が可能となる。