JP2007303123A - 木質系床材 - Google Patents

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Abstract

【課題】局所的な荷重に対する変形や損傷が少なく、耐久性に優れた床材を提供することを目的としている。
【解決手段】重量比70%以上が、密度0.3g/cm3〜0.6g/cm3、厚さ1mm〜11mm、長さ20mm〜150mmの範囲にある多数の細長い針葉樹片と、これらの針葉樹片同士を結合させるための結合剤とを含む材料を、針葉樹片がほぼ一方向を向くように配向された状態で積み重ね、加熱および積み重ね方向に加圧して、前記針葉樹片同士を圧縮結合させて得られる複合材料が、針葉樹片の圧縮方向が厚さ方向となるように成形加工されている密度が0.7g/cm3以上の板材によって形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、木質系床材に関する。
木質系床材には、ひき板を基材とした単層フローリングや、合板、集成材、単板積層材等を基材とし、表面に突板等の化粧材を貼着した複合フローリングが知られている。
基材には、広葉樹および針葉樹が使用されてきた。しかし、広葉樹は、近年の乱伐により枯渇傾向にあることから、植林によって継続利用可能な針葉樹を基材に用いたものが提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
ところで、床面には、重量物が落下したり、キャスター付き椅子等により繰り返し荷重がかかったり、砂や小石などが付着した靴や細いヒールの靴での歩行(以下、重歩行という)が頻繁になされることにより、大きな荷重がかかる。従来の木質系床材は、いずれも硬度が低いため、荷重のかかった部分にくぼみが生じやすい。その結果、床材表面の美観に劣る上、くぼんだ部分に割れや亀裂などが生じて、床材の耐久性が低下してしまう場合もある。
そこで、基材と化粧材との間に硬質の樹脂板を介装させて、床材にくぼみや傷が発生するのを抑制しようとするものが提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上記提案の床材は、基材と化粧材との間に樹脂板を介装させる工程が必要であるため、製造工程が複雑になる上、コスト高になってしまうという不具合がある。
特開2003−25308号公報 実開平05−92329号公報
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、局所的な荷重に対する変形や損傷が少なく、重歩行用にも耐える優れた床材を提供することにある。
以上の課題を達成するために、請求項1記載の発明は、重量比70%以上が、密度0.3g/cm3〜0.6g/cm3、厚さ1mm〜11mm、長さ20mm〜150mmの範囲にある多数の細長い針葉樹片と、これらの針葉樹片同士を結合させるための結合剤とを含む材料を、針葉樹片がほぼ一方向を向くように配向された状態で積み重ね、加熱および積み重ね方向に加圧して、前記針葉樹片同士を圧縮結合させて得られる複合材料が、針葉樹片の圧縮方向が厚さ方向となるように成形加工されている密度が0.7g/cm3以上の板材によって形成されていることを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の木質系床材において、針葉樹片が、紡錘形であることを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の木質系床材において、板材の表面に、化粧材が設けられていることを特徴としている。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の木質系床材において、板材の端面に雄実または雌実が形成されていることを特徴としている。
ここで、雄実とは、板材の端面に、長さ方向に連続して形成された突条をいい、雌実とは、この雄実を嵌合可能な凹溝をいうものとする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の木質系床材において、雄実の一部に、板材を床下地に接合するための係止具の導き孔が形成されていることを特徴としている。
ここで、本発明で用いられる針葉樹片となる樹種としては、針葉樹であれば特に限定されないが、例えば、スギ、ヒノキ、マツ、スプルース、ファー、パイン等が挙げられる。
また、針葉樹片の原料は、天然木であっても廃棄木材であっても構わない。廃棄木材としては、特に限定されないが、例えば、上記樹種の丸太、間伐材等の生材料、工場や住宅建築現場で発生する端材、部材輸送後に廃棄される廃パレット材、建築解体時に発生する解体木材が挙げられる。
本発明に用いられる針葉樹片としては、以下の理由により、厚さ1mm〜11mm、長さ20mm〜150mmの範囲のものを使用する。
すなわち、針葉樹片の厚さが1mm未満のものを用いると、厚さが薄すぎて、多くの結合剤が必要となり、強度を発現しにくく、針葉樹片の厚さが11mmを超えると、製造される材料の厚さ方向への針葉樹片の積層数が少なくなり、応力伝達が十分に行えず、針葉樹片の継ぎ目に応力集中を起こしやすく、所望の強度を得ることができないからである。
また、針葉樹片の長さが20mm未満のものを用いると、針葉樹片の配向方向の強度が不十分となってしまい、150mmを超えるものを用いると、針葉樹片を積層した時に、針葉樹片同士の隙間が多くなり、十分な圧密化ができないからである。なお、針葉樹片は、必要な長さのものだけ正確に選別できる物ではないが、重量比で70%以上であり、好ましくは80%以上が上記長さの針葉樹片を含有していれば、十分効果が発揮される。
また、針葉樹片の長さと厚さの比は、特に限定されないが、長さが厚さの10倍以上となることが好ましい。言い換えれば、厚さが1mm〜11mmであることが好ましい。長さが厚さの10倍未満であると、成形された複合材料の長さ方向および厚さ方向の強度が不十分となる恐れがあるからである。
なお、針葉樹片の密度は、0.3g/cm3〜0.6g/cm3の範囲であることが好ましい。つまり、針葉樹片の密度が0.3g/cm3未満では、針葉樹片が腐朽していることが多く、針葉樹片の強度が十分に得られない上、成形時の圧密処理を十分に行うことができず、成形後の複合材料に所望の強度を与えることができないからである。一方、針葉樹片の密度が0.6g/cm3を超えると、針葉樹片が固く、所望の強度を発現する成形が難しいからである。
上記のような針葉樹片を得る方法としては、上記原材料を破砕し、破砕片を振るい分ける方法が挙げられる。なお、破砕方法は、上記の大きさに破砕されていれば特に限定されない。例えば、ハンマーミル破砕機や小片製造機(ナイフフレーカーなど)が挙げられるが、ハンマーミル破砕機が好ましい。つまり、ハンマーミル破砕機により作製された針葉樹片は、長さ20mm〜150mmの紡錘状になり、強度がでやすい傾向があるからである。
なお、本発明で用いられる結合剤としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、タンニン樹脂、イソシアネート樹脂、酢酸ビニル系樹脂等熱硬化型樹脂や熱可塑型樹脂のような合板やパーティクルボードに用いられる木材工業用の接着剤が挙げられる。
また、天然物成分もしくは天然物から精製、抽出、変成等によって得られる接着剤としては、具体的には、ゼラチン、カゼイングルー、大豆グルー、にかわ、アルブミン等のタンパク質系接着剤、でんぷん、デキストリン、米糊、グルコマンナンなどのデンプン系接着剤、キチン・キトサンなどの動物系接着剤、セルロース系接着剤、リグニン系接着剤、タンニン系接着剤などが挙げられる。
この中でも、特に、タンニン系接着剤が好ましい。その理由は、タンニン系接着剤は、針葉樹片との親和性が良く、適度な粘着性を有し、更に、硬化すると高強度になる天然木材からの抽出成分であるからである。タンニン系接着剤は、タンニン単独で使用して加熱等によって硬化させて使用しても良いが、耐久性が要求される用途においては、アルデヒド系化合物やイソシアネート系化合物、エポキシなどの架橋剤を併用することが好ましい。
なお、上記の接着剤は、単独又は複数を併用しても良い。また、結合剤は、液状でも粉末状でも構わないが、針葉樹片に噴霧したり、複数の接着剤を混合した状態で付着させたりすることができるものであることが好ましい。
タンニン系接着剤としては、特に、タンニンおよび第3級アミンを含み、水溶液のpHが7より大きく13以下のタンニン系接着剤で、硬化物の13C−NMRを測定した場合において、150〜160ppmに発生するピーク強度を100とした場合に、140〜150ppmに発生するピーク強度が70以下となり、かつ/または35〜50ppmに発生するピーク強度が25以下となるものが好適である。
タンニンを抽出する樹種は特に限定されないが、ラジアータパインやミモザ(別称:ワットル、アカシア)、ケブラチョから採取される縮合型タンニンが好ましい。これらのタンニンは単独で用いても2種類以上を併用しても良い。
また、タンニンを抽出する樹木の樹齢は特に限定されるものではないが、例えばミモザの場合には樹齢8〜10年のものが接着剤としての性能や生産性から好ましい。生産地についても特に限定されるものではないが、例えばミモザの場合には南米やアフリカ産のものが好ましく、ケブラチョの場合には南米産のものが好ましい。タンニンには糖などの不純物が混入していても特に問題にはならないが、高強度の複合材料を得ようとする場合には、不純物は少ない方がよい。タンニンの純度は例えばStiasny Value(以下、「SV」と記す)で評価することができる。好ましいSVは50以上である。さらに好ましくは70以上である。
なお、上記SVは、例えば以下のようにして求めることができる。すなわち、予め乾燥した試料(樹皮抽出物、或いは標準カテキン)を、容量25mlの丸底フラスコに約100mg秤取り、蒸留水10ml、37%ホルムアルデヒド水溶液2ml、塩酸(10規定)1mlをこの順に添加した後、フラスコを加熱し、30分間沸騰させる。加熱後直ちに、予め重量を測定したガラスフィルターで試料を一気にろ過し、熱水、メタノールで順次洗浄する。ガラスフィルターを105℃のオーブンで一晩乾燥させ、重量を測定し、残渣重量を算出する。そして、以下の式を用いて算出する。なお、値の補正のために、標準カテキンのSVも測定する。
SV=(残渣重量/試料重量)×(104.1/標準カテキンのSV)×100
タンニンは、木材から抽出したままで用いても良いが、接着剤としての性能や粘度等で改質の必要がある場合には変性させて改質して用いても良い。タンニンは、粉体のまま針葉樹片と混和しても良いが、製造時の扱いやすさや複合材料の性能を考慮すると水や有機溶剤に溶解又は分散させて使用することが好ましい。この場合、タンニン濃度は20重量%〜70重量%が好ましい。粘度については10,000cps以下が好ましく、針葉樹片との混和を接着剤のスプレー塗布によって行う場合には2,000cps以下が取り扱い易く好ましい。
タンニンの水溶液は通常pH4〜7程度である。タンニン水溶液は、pHを調整することでタンニンの反応性や得られる硬化体の物性を調整することができる。
上記タンニン系接着剤は、pHが7より大きく13以下(より好ましくは7より大きく12以下)の範囲としたが、その理由は、以下のとおりである。すなわち、pHが酸性の場合には、接着剤を加熱硬化させる時に第3級アミンの過剰な分解が起こり有害な揮発性物質が発生する可能性があり、また、反応が早すぎてプレス機投入前に硬化してしまうことがあるが、pHをアルカリ性にすることによって、接着剤を加熱硬化させる時に第3級アミンの過剰な分解が抑えられるので有害な揮発性物質が発生しにくく、また、タンニン系接着剤の反応速度が適度に遅くなって、接着剤の取り扱いがしやすく、複合材料の生産性と性能が良くなるからである。つまり、適度な反応速度であるために、接着剤配合後、プレス機に投入するまでには接着剤の硬化は起こらず、プレス機で加熱加圧した時に初めて硬化するものとなる。しかも、pHをアルカリ性にすることによって、プレス時に針葉樹片中のヘミセルロースが加水分解され、針葉樹片の軟化がおこるが、アルカリによって加水分解が更に促進される。この軟化作用によって、低いプレス圧力であっても木質チップの圧密が可能となり、製品の厚さ方向の密度を均一にすることができ、耐水性が良くなり、さらに、プレス時の圧力を下げることができるので好ましい。更に、その結果として強度や耐水性などの製品性能が良くなる。
しかしながら、pHが13より大きければアルカリが強すぎて取り扱いに注意する必要があるし、アルカリが強すぎて木材成分(例えば、ヘミセルロース)が軟化を通り越して一部分解して変性し、複合材料が黒く着色する可能性があるので好ましくない。タンニン水溶液のpHは硬化剤と混合する前に予め調整しておくことが好ましい。pHを調整するアルカリの種類は特に限定されないが、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどが挙げられる。
上記第3級アミンはタンニンを架橋・硬化するための硬化剤として作用する。第3級アミンを用いることで、タンニン系接着剤の反応性が適度なものとなり、接着剤の取り扱いがしやすく、複合材料の生産性と性能が良くなる。
また、上記タンニン系接着剤において使用される第3級アミンとしては、特に限定されず、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチルテトラミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンテトラミン等を挙げることができ、単独で用いても2種類以上を併用してもよいが、ヘキサメチレンテトラミンを用いることがより好ましい。
ヘキサメチレンテトラミンを用いることで複合材料をより高強度なものとすることができ、生産性にすぐれ、有害な揮発性物質が発生せず、さらに材料コストが安価である。ヘキサメチレンテトラミンは粉体状のものでもペレット状のものでもどちらでもよい。
ヘキサメチレンテトラミンの添加量は、タンニン固形分に対して、1重量%〜20重量%が好ましい。更に好ましくは3重量〜10重量%である。1重量%未満であればタンニンの硬化が進行しにくく実用上充分な接着強度が発現しない可能性があり、20重量%より大であれば硬化反応が早すぎてプレス機投入前に硬化してしまう恐れがあるとともに、経済性が悪くなってしまう恐れがある。
なお、上記タンニン系接着剤は、タンニンと第3級アミンとは予め混合しておいてもよいし、混合せずに別々に針葉樹片と混和させ、混和により上記タンニン系接着剤とすることもできる。また、タンニンを水溶液として用いる場合には、第3級アミンは固体そのままで、或いは水溶液化して予めタンニン水溶液に配合することができる。
また、ピーク強度とはピークの積分強度のことを指すものとする。なお、150〜160ppmに発生するピークはタンニンA環の5,7,9位の炭素ピークに基づくものである。また、140〜150ppmに発生するピーク強度はB環の3,4位の炭素ピークに基づくものであり、35〜50ppmに発生するピークはタンニン分子同士の結合に基づくものである。150〜160ppmに発生するピーク強度を100とした場合に、140〜150ppmに発生するピーク強度が70以下の場合にはタンニンの自己硬化性が強くなり、また、35〜50ppmに発生するピーク強度が25以下の場合にはアミン化合物によるタンニンの架橋構造ができるために、接着剤としてより大きな強度が発現する。
そして、針葉樹片と上記の結合剤との混合物を、針葉樹片の繊維方向がほぼ一方向に配向された状態で積む方法としては、例えば、ベルトコンベアの上に、搬送方向に沿って複数の板状体を並列に立設させて、板状体の上から針葉樹片を投下して配向させる方法や、幅方向に樋状体を並べて、凹凸溝形状として、針葉樹片が溝の内を流れることで並べる方法や、ディスクオリエンター等の公知の配向手段をフォーミング型の上方に配置し、この配向手段により配向させながら投入する方法を用いることが可能である。
プレス機としては、特に限定されないが、例えば、既存の木質材料成形用の縦型プレス機や連続プレス機を垂直方向動作にしたものを用いることができる。
加熱方法としては、特に限定されないが、例えば、熱盤のように針葉樹片の表面からの熱伝達によって、針葉樹片と結合剤との混合物の内部に熱を伝える方法や、蒸気噴射や高周波加熱等のように、前記混合物の内部を直接加熱する方法が挙げられる。加熱と加圧とは、同時に行ってもよいし、加圧をした後に加熱をしてもよいし、加熱した後に加圧してもよい。
また、上記複合材料からなる床材は、密度が0.7g/cm3以上であることが必要である。その理由は、密度が0.7g/cm3未満では、針葉樹片同士の十分な結合が得られず、床材として十分な強度を得ることができない恐れがあるからである。
さらに、空隙率は、10%以下となることが好ましい。すなわち、空隙率が10%を超えると、針葉樹片同士の結合が不十分となり、十分な強度を発現しなくなる恐れがあるからである。
また、プレス成形後、得られる板材の寸法精度や表面性を向上させるために、切削、サンディング加工を行うことが好ましい。
さらに、板材の表面に設けられる化粧材としては、特に限定されないが、例えば、突板や化粧シートが挙げられる。また、板材の表面に塗料を塗布することにより形成された塗料層でもよい。
請求項1記載の発明によれば、重量比70%以上が、密度0.3g/cm3〜0.6g/cm3、厚さ1mm〜11mm、長さ20mm〜150mmの範囲にある多数の細長い針葉樹片と、これらの針葉樹片同士を結合させるための結合剤とを含む材料を、針葉樹片がほぼ一方向を向くように配向された状態で積み重ね、加熱および積み重ね方向に加圧して、前記針葉樹片同士を圧縮結合させて得られる複合材料が、針葉樹片の圧縮方向が厚さ方向となるように成形加工されている密度が0.7g/cm3以上の板材によって形成されているので、針葉樹片が圧縮方向と垂直に潰れ、成形された板材の厚さ方向に均一に配置されており、その結果、十分に圧密化された硬度の高い板材が得られる。したがって、重量物の落下や、キャスター付き椅子等の使用や、重歩行などによる局所荷重に耐えることができ、板材の表面にへこみや損傷が生ずるのを抑制できる。また、針葉樹片が一方向に配向され、圧密化されているため、板材の密度分布のバラツキが小さく、温度変化や湿度変化による反りや曲がりの寸法変化を抑えることができる。
また、請求項2の発明によれば、請求項1記載の発明において、針葉樹片が、紡錘形であるので、針葉樹片を一方向に配向することにより床材としての強度が発現できる。
また、請求項3の発明によれば、請求項1または2記載の発明において、板材の表面に、化粧材が設けられているので、板材表面の美観を向上させることができる。
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明において、板材の端面に雄実または雌実が形成されているので、板材の敷き詰め作業を容易かつ確実に行うことができる。また、板材を構成する針葉樹片が、板材の厚さ方向に圧縮されることにより、均一に隙間なく潰れているため、雄実または雌実を精巧に加工することができる。さらに、板材の密度分布のバラツキが小さいので、温度変化や湿度変化による板材の寸法変化を抑制でき、施工性に優れる。
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の発明において、雄実の一部に、板材を床下地に接合するための係止具の導き孔が形成されているので、係止具を打ち込みやすい上、係止具の打ち込みによる雄実の欠けや割れなどを起こしにくい。また、板材を構成する針葉樹片が、厚さ方向に圧縮されることにより、均一に隙間なく潰れているため、導き孔を精巧に加工することができる上、係止具を板材に強固に固定することができる。
以下、本発明にかかる一実施形態について、図面に基づいて説明する。
本実施形態の木質系床材1は、図1、図2に示すように、針葉樹片Kと結合剤とを含む材料を圧縮結合してなる複合材料Lを成形加工してなる板材2と、化粧材としての突板3および塗料層4とから構成されている。
板材2は、図3に示すように、厚さ1mm〜10mm、長さ20mm〜150mm、密度が0.3g/cm3〜0.6g/cm3の範囲にある紡錘形をした多数の針葉樹片Kと、これらの針葉樹片同士を結合させるための結合剤とを含む材料を、針葉樹片Kの長さ方向の向きをほぼ同一方向に配向させた状態で積み重ね、加熱および積み重ね方向に加圧して、前記針葉樹片同士を圧縮結合させてなる複合材料Lを成形加工してなるもので、密度が0.7g/cm3以上で、空隙率が10%以下となっている。
図3において、X方向は、針葉樹片Kの配向方向とほぼ同一方向で、板材2の長さ方向となっている。針葉樹片Kは、その繊維方向αを配向方向として配向されており、板材2の長さ方向と繊維方向αとのなす角度の絶対値の平均値が15度以内となるように配向されている。また、Z方向は、積み重ねられた針葉樹片Kの圧縮方向であり、積み重ねられた針葉樹片は、Z方向に圧縮されて、X方向およびZ方向に直交するY方向に扁平となるように押し潰されている。
板材2は、図1に示すように、複合材料Lを、X方向を長さ方向とし、Y方向を幅方向とし、Z方向を厚さ方向として、平面視略矩形の平板状に成形加工したものである。ここで、板材2の厚さ方向とは、板材2が敷設される床下地に対して垂直上向きの方向をいうものとする。
そして、図2に示すように、板材2の幅方向一端面には、端面に略垂直に凸状に突出する雄実21が板材2の長さ方向に連続して形成されており、板材2の幅方向他端面には、前記雄実21に嵌合可能な凹状の雌実22が板材2の長さ方向に連続して形成されている。
また、図示していないが、板材2の長さ方向両端面にも、それぞれ端面に略垂直に凸状に突出する雄実と、この雄実に嵌合可能な凹状の雌実とが形成されている。
雄実21の根元部分には、図1、図2に示すように、板材2を床下地に固定するための係止具としての釘を打ち込むための導き孔23が穿設されている。導き孔23は、板材2の長さ方向に所定間隔あけて3箇所に設けられている。また、導き孔23は、図2に示すように、板材2の底面に対して傾斜して設けられており、板材2の底面側に貫通している。
突板3は、板材2の表面に貼着されており、塗料層4は、突板3の表面に、例えば、ウレタン系塗料やポリエステル系塗料を塗布することにより形成されている。
以上、詳細に説明したとおり、本実施形態の木質系床材1は、重量比70%以上が、密度0.3g/cm3〜0.6g/cm3、厚さ1mm〜11mm、長さ20mm〜150mmの範囲にある針葉樹からなる紡錘形をした多数の細長い針葉樹片Kと、これらの針葉樹片同士を結合させるための結合剤とを含む材料を、針葉樹片Kがほぼ一方向を向くように配向された状態で積み重ね、加熱および積み重ね方向に加圧して、前記針葉樹片同士を圧縮結合させて得られる複合材料Lが、針葉樹片Kの圧縮方向が厚さ方向となるように成形加工されている密度が0.7g/cm3以上で、空隙率が10%以下の板材によって形成されているので、針葉樹片Kが圧縮方向と垂直に潰れ、成形された板材2の厚さ方向に均一に配置されている上、十分に圧密化されている。したがって、成形された板材2は、床材に適した優れた硬度を発現できる。その結果、重量物の落下や、キャスター付き椅子等の使用や、重歩行などによる局所荷重に耐えることができ、板材2にへこみや傷が生ずるのを抑制できる。また、針葉樹片Kが一方向に配向され、圧密化されているため、板材2の密度分布のバラツキが小さく、温度変化や湿度変化による反りや曲がりの寸法変化を抑えることができる。
また、針葉樹片Kが、紡錘形をしているので、針葉樹片を一方向に配向することにより床材としての強度が発現できる。
また、木質系床材1は、板材2の表面に突板3と塗料層4とが積層されているので、上記効果に加えて、床材表面の美観を向上させることができる。
さらに、板材2の幅方向両端面および長さ方向両端面に、それぞれ雄実と雌実とが形成されているので、木質系床材1の敷き詰め作業を容易かつ確実に行うことができる。また、板材2を構成する針葉樹片Kが、板材2の厚さ方向に圧縮されて、均一に隙間なく潰れているため、雄実21と雌実22とを精巧に加工することができる。さらに、板材2の密度分布のバラツキが小さいので、温度変化や湿度変化による板材2の寸法変化を抑制でき、施工性に優れる。
また、雄実21に、板材2を床下地に接合するための係止具の導き孔23が形成されているので、係止具を打ち込みやすい上、係止具の打ち込みによる雄実21の欠けや割れなどを起こしにくい。また、板材2を構成する針葉樹片Kが、板材2の厚さ方向に圧縮されることにより、均一に隙間なく潰れているため、導き孔を精巧に加工することができる上、板材2に係止具を強固に固定することができるという効果もある。
なお、本実施形態では、板材2の表面に、化粧材として突板3および塗料層4を設けたが、本発明の木質系床材は、これに限定されるものではなく、板材2のみで構成してもよいし、板材2の表面に、突板3または塗料層4のいずれか一方を設けてもよい。また、化粧材としては、突板3や塗料層4に限られず、例えば、化粧シートでも構わない。
また、本実施形態では、板材2の幅方向両端面および長さ方向両端面に、それぞれ雄実と雌実とを形成したが、本発明の木質系床材は、本実施形態に限られず、板材2の幅方向両端面または長さ方向両端面のいずれか一方に雄実と雌実を形成してもよい。また、板材2の両端面にそれぞれ雄実を形成したものや、板材2の両端面にそれぞれ雌実を形成したものでも構わない。この場合は、雄実を形成してなる木質系床材と、雌実を形成してなる木質系床材とを、交互に接合すればよい。
実施例の木質系床材は、以下の方法によって得た。まず、スギ、ヒノキ、マツ等からなる建築解体材をハンマーミル破砕機で破砕してなる密度0.3g/cm3〜0.6g/cm3の破砕チップをふるいにかけ、厚さ1mm〜11mm、長さ20mm〜150mmの針葉樹片をより分けた。次に、得られた針葉樹片に結合剤としてMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)樹脂をスプレー塗布した。そして、結合剤を塗布した針葉樹片の長さ方向の向きを揃えて、成形ガイド内に積層し、180℃の蒸気を発生するプレス機で加熱・圧縮して複合材料Lを作製した。その後、取り出した複合材料Lを成形加工して、平面視略矩形の平板状の板材を作製した。
作製された板材は、X方向長さ900mm、Y方向長さ75mm、Z方向長さ24mmであった。また、密度は、0.75g/cm3であった。
(試験方法)
上記実施例の板材について、部分圧縮試験を行った。試験方法は、JIS Z 2117「木材の硬さ試験方法」に準拠して、実施例と比較例1〜比較例3における圧縮治具のめり込み深さ(mm)を測定した。
部分圧縮治具:直径10(mm)の鉄柱
圧入速度:10(mm/min)
最大荷重:2(kN)
試験機:圧縮試験機
なお、比較例1として、スギ製材、比較例2として、ベイマツ製材、比較例3としてSPF製材を採用した。比較例1から比較例3については、上記実施例と同様に、X方向長さ900mm、Y方向長さ75mm、Z方向長さ24mmの平板状に作製した。
(試験結果)
実施例と比較例1〜比較例3の部分圧縮試験結果を(表1)に示す。本実施例は、比較例の製材(スギ、ベイマツ、SPF)のいずれよりも、部分圧縮に対するめり込み深さが小さい。めり込み深さの逆数を硬度と定義すると、実施例は、比較例1の約2.2倍、比較例2の約1.5倍、比較例3の約4.0倍の硬度を備えている。
Figure 2007303123
(結論)
本実施例は、重量比70%以上が厚さ1mm〜10mm、長さ20mm〜150mmの範囲にある多数の細長い針葉樹片と、これらの針葉樹片同士を結合させるためのMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)樹脂とを含む材料を、針葉樹片の長さ方向がほぼ一方向を向くように配向させた状態で積み重ね、加熱および積み重ね方向に加圧して、前記針葉樹片同士を圧縮結合させて得られる複合材料が、針葉樹片の圧縮方向が厚さ方向となるように成形加工されている密度が0.75g/cm3の板材で形成したことにより、従来の製材(スギ、ベイマツ、SPF)を用いた比較例1から比較例3に比べて、床材として非常に優れた硬度を有していることが明らかとなった。すなわち、本実施例は、建築解体材である針葉樹片と接合材とから成る複合材料から形成されているにもかかわらず、従来の製材に比べて極めて優れた硬度を有しているので、廃棄木材を有効利用しつつ、局所荷重による床材表面のへこみや傷が生じにくい高強度の木質系床材として利用できる。
本発明の一実施形態である木質系床材1を構成する板材2を示す斜視図である。 本発明の一実施形態である木質系床材1の縦断面図である。 本発明の木質系床材1を構成する複合材料Lの外観図である。
符号の説明
1 木質系床材
2 板材
21 雄実
23 導き孔
3 突板(化粧材)
4 塗料層(化粧材)
K 針葉樹片
L 複合材料

Claims (5)

  1. 重量比70%以上が、密度0.3g/cm3〜0.6g/cm3、厚さ1mm〜11mm、長さ20mm〜150mmの範囲にある多数の細長い針葉樹片と、これらの針葉樹片同士を結合させるための結合剤とを含む材料を、針葉樹片がほぼ一方向を向くように配向された状態で積み重ね、加熱および積み重ね方向に加圧して、前記針葉樹片同士を圧縮結合させて得られる複合材料が、針葉樹片の圧縮方向が厚さ方向となるように成形加工されている密度が0.7g/cm3以上の板材によって形成されていることを特徴とする木質系床材。
  2. 針葉樹片が、紡錘形であることを特徴とする請求項1に記載の木質系床材。
  3. 板材の表面に、化粧材が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の木質系床材。
  4. 板材の端面に雄実または雌実が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の木質系床材。
  5. 雄実の一部に、板材を床下地に接合するための係止具の導き孔が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の木質系床材。
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