JP2007302397A - 乗用コンベアの異常検知装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】乗用コンベアのインレットブーツの異常検出の精度を向上させ、異常の発生をすばやく検知する乗用コンベアの異常検知装置を提供する。
【解決手段】乗用コンベアの手摺2より僅かに大きな入込開口20を有し、この入込開口20を手摺2が通過するインレットブーツ6に生じた異常を、インレットブーツ6の移動により検知する乗用コンベアの異常検知装置1において、インレットブーツ6と接続し、インレットブーツ6の移動により動作する複数の連結材7a,7bと、連結材7と回転自在なヒンジ13を介して接続し、連結材7の動作により回転移動及び平行移動する操作材8と、乗用コンベアのデッキボード4により支持され、操作材8を移動可能に支持する復元材9とを備え、インレットブーツ6の回転移動及び手摺進行方向に直交方向の移動を、移動した操作材8の一部と検知器12の端子19との接触により検知する。
【選択図】図1
【解決手段】乗用コンベアの手摺2より僅かに大きな入込開口20を有し、この入込開口20を手摺2が通過するインレットブーツ6に生じた異常を、インレットブーツ6の移動により検知する乗用コンベアの異常検知装置1において、インレットブーツ6と接続し、インレットブーツ6の移動により動作する複数の連結材7a,7bと、連結材7と回転自在なヒンジ13を介して接続し、連結材7の動作により回転移動及び平行移動する操作材8と、乗用コンベアのデッキボード4により支持され、操作材8を移動可能に支持する復元材9とを備え、インレットブーツ6の回転移動及び手摺進行方向に直交方向の移動を、移動した操作材8の一部と検知器12の端子19との接触により検知する。
【選択図】図1
Description
本発明は、乗用コンベアの異常検知装置に係り、特に、乗用コンベアのインレットブーツに設けられた手摺の入込開口に、異物が挟み込まれたことを検知する乗用コンベアの異常検知装置に関する。
乗用コンベアとは、エスカレータや動く歩道等、乗客を乗せて移動させる輸送手段をいう。乗客は、移動するステップに乗り、両サイドに設けられたサイドボード(欄干)上をステップと同期して移動する手摺に掴まって輸送される。
図6に、乗用コンベアの一種であるエスカレータ10を、その下端から見上げた斜視図で示す。エスカレータ10は、手摺2、サイドボード3、デッキボード4、スカートガード5等から構成される。両サイドの手摺2は、エスカレータ10の上下端で、移動しながらそれぞれインレットブーツ6に進入する。
インレットブーツ6とは、その名の通り、移動する手摺2を入れ込む長靴の機能を有し、単にインレットともいう。従って、インレットブーツ6は、手摺2を進入させるために、手摺2より僅かに大きな入込開口20を有する。この入込開口20での手摺2との隙間に乗客(特に幼児)の指等の異物が引き込まれる事故が発生する場合がある。この場合、幼児などは、移動する手摺2に抗して手を抜くことが出来ないため、摩擦による火傷や損傷に至る事態に発展する危険性がある。エスカレータ10のインレットブーツ6には、通常、インレットブーツ6の異常を検知する異常検知装置が備えられている。この異常検知装置が以上を検知すると、安全装置が始動し、エスカレータ10は停止する。しかし、異常が発生したにもかかわらず、この異常検知装置が動作せずに、手動でエスカレータ10の停止ボタンを押して、乗客を救助せざるを得ない場合がある。
図7に、インレットブーツ6に備えられている従来のインレットブーツ6に発生した異常を検知するインレットブーツ異常検知装置の一つの実施例の概要を側面図で示す。従来のインレットブーツ異常検知装置30は、図中矢印で示す手摺2の進行方向に、異常によるインレットブーツ6の移動が生じた場合に、検出スイッチ31が動作する機構となっている。すなわち、インレットブーツ6は、乗用コンベアの固定部であるデッキボード4に固定されたインレットブーツ連結部11に取り付けられ、手摺2の進行方向に移動可能な構造となっている。さらに、このインレットブーツ6は、異物が引き込まれた場合に、乗客の被害を最小限にするため軟質ゴム等の柔らかい材料が用いられ、異物が引き込まれると容易に変形が生じるようになっている。そこで、従来の異常検知装置30は、このインレットブーツ6に生じる変形のうち、インレットブーツ6の手摺2の進行方向の移動を検知する。すなわち、インレットブーツ6の背後に検出スイッチ31が設置されて、インレットブーツ6の移動により、インレットブーツ6に取り付いた操作片32が、この検出スイッチ31の端子33と接触して検知する。
一方、特許文献1には、引き込まれた異物によりインレットの一部が軽く押されて検知動作できるマンコンベアの手摺インレット異常検知装置が開示され、特許文献2には、ハンドレールの入込口部内に乗客の手等の異物が引き込まれるのを防止する乗用コンベアの安全装置が開示されている。
特許文献1のマンコンベアの手摺インレット異常検知装置は、異物が、手摺とインレットとの隙間に引き込まれると、インレット先端の異物に押された部分が容易に変形し、この近傍に埋め込まれる如く包囲されている棒状触手が押されて後退移動し、基端側に配するスイッチが応動して検知動作するものである。
特許文献2の乗用コンベアの安全装置は、変位体(インレットブーツ)とハンドレールとの隙間を塞ぐ防潜具を設けて、手等が変位体に衝突する前に、未然に引き離すものである。
従来の異常検知装置では、上述したように、インレットブーツの入込開口と手摺との間隙に異物が引き込まれた場合、手摺進行方向の移動のみを検知していた。しかし、インレットブーツは、乗客の被害を最小限にするため軟質ゴム等の柔らかい材料が用いられ、その全体形状を保持する剛性に乏しい。つまり、異物が引き込まれた場合に、インレットブーツ全体が剛体として手摺進行方向へその形状を保持しつつ移動するとは限らず、回転移動や手摺進行方向に直交する方向の成分への移動も生じる。従って、手摺進行方向のみを検知する方法では異常検知の精度が低く、インレットブーツの変形の状態によっては異常検知装置が動作しないという問題がある。
また、従来の異常検知装置では、インレットブーツの入込開口と手摺との間隙に異物が引き込まれた場合、インレットブーツに加わる局所的な変形を検出せずに、インレットブーツ全体としての移動を検知していた。例えば、インレットブーツの入込開口は、乗客の被害を最小限にするため軟質ゴム等の柔らかい材料が用いられ、異物が引き込まれた場合に、まず入込開口がわずかに拡大する。このインレットブーツに加わる局所的な変形を早期に検知することが、事故を防止する上で最も望ましい。従って、インレットブーツ全体としての移動を検知する方法では異常検知のタイミングが遅れてしまい、異常の発生をすばやく検知できないという問題がある。
本願の目的は、かかる課題を解決し、乗用コンベアに備えられたインレットブーツの異常検出の精度を向上させ、異常の発生をすばやく検知する乗用コンベアの異常検知装置を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係る乗用コンベアの異常検知装置は、乗用コンベアの手摺より僅かに大きな入込開口を有し、この入込開口を手摺が通過するインレットブーツに生じた異常を、インレットブーツの移動により検知する乗用コンベアの異常検知装置において、インレットブーツと接続し、インレットブーツの移動により動作する複数の連結材と、連結材と回転自在なヒンジを介して接続し、連結材の動作により回転移動及び平行移動する操作材と、乗用コンベアの固定部により支持され、操作材と連結材との接続位置で、操作材を移動可能に支持する復元材とを備え、インレットブーツの回転移動、及び手摺進行方向に直交方向の移動を、移動した操作材の一部と、検知器の端子との接触により検知することを特徴とする。
また、乗用コンベアの異常検知装置は、操作材が、その一部に、検知器の端子に対向する突起を有し、その突起は、操作材の回転移動及び手摺進行方向に直交方向の移動により、検知器の端子と接触可能なことが好ましい。
また、乗用コンベアの異常検知装置は、操作材の突起が、凹面状の表面により検知器の端子に対向することが好ましい。
また、乗用コンベアの異常検知装置は、操作材が、その端部に略直角に取り付いた操作部を有し、突起は操作部に備えられることが好ましい。
また、乗用コンベアの異常検知装置は、復元材が、操作材と連結材との連結位置で、操作材を下方から支持することが好ましい。
また、乗用コンベアの異常検知装置は、復元材が、スプリングバネであることが好ましい。
また、乗用コンベアの異常検知装置は、スプリングバネが、その両端部においてキャップを介して接続されることが好ましい。
上記構成により、乗用コンベアの異常検知装置は、その構成部材である、連結材、操作材及び復元材により、インレットブースに生じる回転移動、及び手摺進行方向に直交方向の移動を検知することが可能となる。すなわち、複数の連結材がインレットブースの移動により動作し、連結材と、回転自在なヒンジを介して接続する操作材が、連結材の動作に応じて回転移動及び平行移動をする。また、この連結材の動作と操作材の移動とは、それらを乗用コンベアの固定部から支持し、さらに操作材を移動可能に支持する復元材により達成される。従って、この操作材の回転移動及び平行移動により、操作材の一部を検知器の端子に接触させて、インレットブースに生じる回転移動、及び手摺進行方向に直交方向の移動を検知することが可能となる。
これにより、軟質ゴム等の柔らかい材料が用いられるインレットブーツに生じる複雑な変形に対して、従来は検出できなかった回転移動、及び手摺進行方向に直交方向の移動という変形成分について、それぞれ検出できる。つまり、インレットブーツを手摺進行方向に移動する剛体としてではなく、形状が複雑に変形する軟体としてその異常を検知可能となる。このことで、異常検知の精度を高め、インレットブーツの変形の状態によっては異常検知装置が動作しないという問題が解消できる。
さらに、軟質ゴム等の柔らかい材料が用いられるインレットブーツに加わる局所的な変形、例えば、インレットブーツの入込開口での変形を、インレットブーツの回転移動及び手摺進行方向に直交方向の移動として検出可能となる。つまり、インレットブーツ全体が手摺進行方向に移動する前に、インレットブーツに生じた異常を検知できる。このことで、異常検知のタイミングが遅れてしまい、異常の発生をすばやく検知できないという問題が解消できる。
以上のように、本発明に係る乗用コンベアの異常検知装置によれば、乗用コンベアに備えられたインレットブーツの異常検出の精度を向上させ、異常の発生をすばやく検知することが可能となる。
以下に、図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。
図1に、本発明に係る乗用コンベアの異常検知装置の一つの実施形態の概略構成を一部断面図で示す。インレットブーツ6は、エスカレータ10のデッキボード4に取り付けられたインレットブーツ連結部11の下に配置され、手摺2が進入する入込開口20を有する。本発明に係る乗用コンベアの異常検知装置1は、連結材7、操作材8、及び復元材9とから構成される。更に、図1には、端子19を有する検出器12を示す。また、インレットブースに生じる手摺進行方向の移動を検知する検出スイッチ31を備えた従来のインレットブーツ異常検出装置30が示されている。図1では、インレットブーツ6及びインレットブーツ連結部11については断面を示すが、それ以外の構成要素は側面を示す。
図2に、図1のA−A断面を示す。インレットブーツ6は、箱型の形状であり、その側面に手摺2が進入する入込開口20が設けられている。図2に示すように、入込開口20には手摺2との間に間隙が設けられている。
(乗用コンベアの異常検知装置の構成)
連結材7は、2本の連結材7a,7bからなり、インレットブーツ6の内部に埋め込まれる。そして、連結材7a,7bは、インレットブーツ連結部11に設けられた操作材8と、インレットブーツ6とを接続する。このインレットブーツ連結部11は、乗用コンベアの固定部であるデッキボード4に固定される。従って、連結材7a,7bは、後述するように、インレットブーツ連結部11に支持される復元材9を介してインレットブーツ6を上方から支持することになる。また、図2に示すように、本実施の形態では、連結材7aは、インレットブーツ6に埋め込まれ、入込開口20の底部に埋め込まれた鋼板21と接続する。従って、連結材7aは、インレットブーツ6の入込開口20近傍の局所的な変形を、鋼板21を介して動作する。また、他方の連結材7bは、図1に示すように、インレットブーツ6に埋め込まれ鋼板21と接続する。この連結材7bは、入込開口20から離れた位置でのインレットブーツ6の変形を、鋼板21を介して動作する。連結材7は、鋼管、丸鋼、或いは、アングル材やチャンネル材などの形鋼から成る。
連結材7は、2本の連結材7a,7bからなり、インレットブーツ6の内部に埋め込まれる。そして、連結材7a,7bは、インレットブーツ連結部11に設けられた操作材8と、インレットブーツ6とを接続する。このインレットブーツ連結部11は、乗用コンベアの固定部であるデッキボード4に固定される。従って、連結材7a,7bは、後述するように、インレットブーツ連結部11に支持される復元材9を介してインレットブーツ6を上方から支持することになる。また、図2に示すように、本実施の形態では、連結材7aは、インレットブーツ6に埋め込まれ、入込開口20の底部に埋め込まれた鋼板21と接続する。従って、連結材7aは、インレットブーツ6の入込開口20近傍の局所的な変形を、鋼板21を介して動作する。また、他方の連結材7bは、図1に示すように、インレットブーツ6に埋め込まれ鋼板21と接続する。この連結材7bは、入込開口20から離れた位置でのインレットブーツ6の変形を、鋼板21を介して動作する。連結材7は、鋼管、丸鋼、或いは、アングル材やチャンネル材などの形鋼から成る。
操作材8は、インレットブーツ連結部11に設けられ、連結材7a,7bと、それぞれ回転自在なヒンジ13a,13bを介して接続する。操作材8は、鋼管、丸鋼、或いは、アングル材やチャンネル材などの形鋼から成る。図3に、図1のB−B断面により、連結材7と操作材8との接合部を示す。ヒンジ13は、支持ピン14と止め輪15とからなり、操作材8及び連結材7とを、それぞれが回転自在となるように挟み込んでいる。この支持ピン14には、Cピン又はEピンが用いられる。この支持ピン14と止め輪15とは、図3に示した位置と逆であっても良い。
図1に示すように、操作材8は、インレットブーツ連結部11から手摺2の進行方向に延長され、その端部において略直角に折れ曲がる操作部18を有する。操作部18は、検知器12の端子19に対向し、凹面状の表面をなす突起である、2つの操作片16a,16bを有する。操作片16は、操作材8の回転移動及び手摺進行方向に直交方向の移動により、検知器12の端子19であるハンドガードスイッチ(HGS)と接触する。この接触により、インレットブーツ6の安全装置(図示せず)が作動する。
復元材9は、復元材9a,9bから成る。図3に示すように、本実施の形態では、復元材9はスプリングバネである。また、復元材9a,9bの両端には、キャップ17が取り付けられている。図3に示すように、復元材9a,9bは、インレットブーツ連結部11内部の連結材7a,7bを、それぞれその内部に包むように取り付けられる。復元材9の下端は、キャップ17を介してインレットブーツ連結部11により支持され、上端は、キャップ17を介して操作材8を移動可能に支持する。従って、操作材8に接続する連結材7は、この復元材9によりインレットブーツ連結部11に支持され動作が可能となる。また、復元材9は、このキャップ17により、連結材7の動作を操作材8に伝達し、移動させることができる。
この復元材9は、インレートブーツ6、連結材7及び操作材8を支持することから、それらの自重により、通常時には初期圧縮力が加わり、弾性変形をした状態となっている。この復元材9は、弾性変形をする復元可能なものであれば、例えば、板バネ、皿バネ等であっても良い。
図4に、乗用コンベアの異常検知装置1の他の実施形態の概略構成を一部断面図で示す。本実施形態では、復元材29a,29bは、インレットブーツ連結部11の上部から吊下げられている。また、復元材29a,29bは、操作材8と連結材7a,7bの接続位置を上方から支持している。この場合にも、復元材29は、インレートブーツ6、連結材7及び操作材8を支持するため、それらの自重により、通常時には初期圧縮力が加わり、弾性変形をした状態となっている。それ以外の構成は、上記の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
(乗用コンベアの異常検知装置の動作方法及び異常検出方法)
インレットブーツ6に異常が発生した場合の、乗用コンベアの異常検知装置1の動作方法及び異常検出方法について説明する。インレットブーツ6に異常が発生すると、インレットブーツ6の入込開口20の近傍や側壁に局所的な変形が発生する。この変形により、インレットブース6に接続された2本の連結材7a,7bは、インレットブーツ6の移動に従って上下方向に動作する。これは、固定されたインレットブーツ連結部11から復元材9により支持され、復元材9の復元力により連結材7a,7bが動作可能となることによる。つまり、連結材7a,7bは、インレットブーツ6に接続された点の上方への移動に対しては、復元材9は、初期圧縮力の一部が開放され、復元材9の復元力により上方へ動作する。また、インレットブーツ6に接続された点の下方への移動に対しては、復元材9は、初期圧縮力に付加圧縮力が加わり、付加された弾性変形が生じて下方へ移動する。
インレットブーツ6に異常が発生した場合の、乗用コンベアの異常検知装置1の動作方法及び異常検出方法について説明する。インレットブーツ6に異常が発生すると、インレットブーツ6の入込開口20の近傍や側壁に局所的な変形が発生する。この変形により、インレットブース6に接続された2本の連結材7a,7bは、インレットブーツ6の移動に従って上下方向に動作する。これは、固定されたインレットブーツ連結部11から復元材9により支持され、復元材9の復元力により連結材7a,7bが動作可能となることによる。つまり、連結材7a,7bは、インレットブーツ6に接続された点の上方への移動に対しては、復元材9は、初期圧縮力の一部が開放され、復元材9の復元力により上方へ動作する。また、インレットブーツ6に接続された点の下方への移動に対しては、復元材9は、初期圧縮力に付加圧縮力が加わり、付加された弾性変形が生じて下方へ移動する。
ここで、インレットブーツ6の入込開口20の近傍や側壁に発生した局所的な変形は、原理的には、手摺進行方向の移動成分、回転移動成分、及び手摺進行方向に直交方向の移動成分が合成された複雑な変形である。このうち、手摺進行方向の移動成分については、従来のインレットブーツ異常検知装置30により検知可能である。本発明に係る乗用コンベアの異常検知装置1は、残りの回転移動成分、及び手摺進行方向に直交方向の移動成分について検知するが、これらもまた合成された複雑な変形である。例えば、インレットブーツ6が、入込開口20で局所的に鉛直下方に押し下げられた場合には、回転移動成分が卓越し、インレットブーツ6全体が鉛直下方に押し下げられた場合には、手摺進行方向に直交方向の移動成分が卓越する。しかし、多くの場合は、それらの中間的な場合である。従って、実際には、回転移動成分、及び手摺進行方向に直交方向の移動成分が、単独で発生することは稀であるが、以下の説明では分かりやすくするため、それぞれの成分が単独で発生した場合について説明する。
インレットブーツ6に発生した手摺進行方向に直交方向の移動成分に対し、2本の連結材7a,7bは、上下同一方向に同じ移動量で移動する。一方、2本の連結材7a,7bの移動が、上下同一方向に同じ移動量で移動しない場合には、インレットブーツ6には回転移動成分が発生したことになる。このように、本発明に係る乗用コンベアの異常検知装置1は、インレットブーツ6に発生した変形について、回転移動成分、及び手摺進行方向に直交方向の移動成分を、2本の連結材7a,7bの相対的な上下方向の動作に置き換えて検出する。特に、インレットブーツ6に発生した変形の回転移動成分については、一方の連結材7aを、インレットブーツ6の入込開口20の近傍の変形する箇所に接続し、他方の連結材7bを、インレットブーツ6の入込開口20から離れた箇所に接続することで、入込開口20における局所的な変形を捉えることが可能となる。
図5に、連結材7a,7bの上下方向の動作により生じる、操作材8の回転移動及び平行移動を示す。また、操作材8の回転移動及び平行移動が生じた場合の検知器12による異常検出方法を示す。図4(a)は、操作材8に回転移動が生じた場合であり、図4(b)は、操作材8に平行移動が生じた場合である。
図4(a)に示すように、インレットブーツ6が、入込開口20で下方に押し下げられた場合には、連結材7aが連結材7bに対してより下方に移動する。すると、操作材8は、ヒンジ13bを支点とし、「てこの原理」により回転移動する。インレットブーツ6が、入込開口20で上方に押し上げられた場合には、操作材8は、逆方向に回転移動する。
この場合、操作材8は、ヒンジ13bを支点として回転し、その端部の操作部18に備えられた操作片16bが移動し、検出器12の端子19と接触し、インレットブーツ6の異常を検知する。この接触による検知で、図示しないインレットブーツ6の安全装置が動作する。
一方、図4(b)に示すように、インレットブーツ6が、全体として下方に押し下げられた場合には、連結材7aと連結材7bとは、ほぼ同じように下方に移動する。すると、操作材8は平行移動する。
この場合、操作材8は、下方に平行移動し、その端部の操作部18に備えられた操作片16aが移動し、検出器12の端子19と接触し、インレットブーツ6の異常を検知する。この接触による検知で、図示しないインレットブーツ6の安全装置が動作する。
このように、本発明に係る乗用コンベアの異常検知装置1は、軟質ゴム等の柔らかい材料が用いられるインレットブーツ6に生じる複雑な変形に対して、従来は検出できなかった回転移動、及び手摺進行方向に直交方向の移動という変形成分について、それぞれ検出できる。このインレットブーツ6に、従来の材質よりもより軟らかい軟質ゴムを用い、インレットブーツ6に生じた異常により、入込開口20の近傍をさらに容易に拡大させることができる。これにより、この入込開口20での手摺2との隙間に乗客の指等の異物が引き込まれる事故が発生した場合、摩擦による火傷や損傷に至る事態が軽減される。同時に、本発明に係る乗用コンベアの異常検知装置1が、より確実に、かつすばやく異常の発生を検知することが可能となる。
1 乗用コンベアの異常検知装置、2 手摺、3 サイドボード、4 デッキボード、5 スカートガード、6 インレットブーツ、7,7a,7b 連結材、8 操作材、9,9a,9b,29 復元材、10 エスカレータ、11 インレットブーツ連結部、12 検出器、13,13a,13b ヒンジ、14 支持ピン、15 止め輪、16,16a,16b,32 操作片、17 キャップ、18 操作部、19,33 端子、20 入込開口、21 鋼板、30 従来のインレットブーツ異常検知装置、31 検出スイッチ。
Claims (7)
- 乗用コンベアの手摺より僅かに大きな入込開口を有し、この入込開口を手摺が通過するインレットブーツに生じた異常を、インレットブーツの移動により検知する乗用コンベアの異常検知装置において、
インレットブーツと接続し、インレットブーツの移動により動作する複数の連結材と、
連結材と、回転自在なヒンジを介して接続し、連結材の動作により回転移動及び平行移動する操作材と、
乗用コンベアの固定部により支持され、操作材と連結材との接続位置で、操作材を移動可能に支持する復元材と、
を備え、
インレットブーツの回転移動、及び手摺進行方向に直交方向の移動を、移動した操作材の一部と、検知器の端子との接触により検知することを特徴とする乗用コンベアの異常検知装置。 - 請求項1に記載の乗用コンベアの異常検知装置であって、操作材は、その一部に、検知器の端子に対向する突起を有し、その突起は、操作材の回転移動及び手摺進行方向に直交方向の移動により、検知器の端子と接触可能なことを特徴とする乗用コンベアの異常検知装置。
- 請求項2に記載の乗用コンベアの異常検知装置であって、操作材の突起は、凹面状の表面により検知器の端子に対向することを特徴とする乗用コンベアの異常検知装置。
- 請求項2又は3に記載の乗用コンベアの異常検知装置であって、操作材は、その端部に略直角に取り付いた操作部を有し、突起は操作部に備えられることを特徴とする乗用コンベアの異常検知装置。
- 請求項1乃至4のいずれか1に記載の乗用コンベアの異常検知装置であって、復元材は、操作材と連結材との連結位置で、操作材を下方から支持することを特徴とする乗用コンベアの異常検知装置。
- 請求項5に記載の乗用コンベアの異常検知装置であって、復元材は、スプリングバネであることを特徴とする乗用コンベアの異常検知装置。
- 請求項6に記載の乗用コンベアの異常検知装置であって、スプリングバネは、その両端部においてキャップを介して接続されることを特徴とする乗用コンベアの異常検知装置。
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ID=38836666
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JP (1) | JP2007302397A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101863415A (zh) * | 2009-04-15 | 2010-10-20 | 东芝电梯株式会社 | 乘客输送机的入口安全装置 |
-
2006
- 2006-05-10 JP JP2006131987A patent/JP2007302397A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101863415A (zh) * | 2009-04-15 | 2010-10-20 | 东芝电梯株式会社 | 乘客输送机的入口安全装置 |
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