JP2007300044A - フレキシブル配線基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、電気、電子、通信などの分野で用いられる配線基板に関するもので、特に、ベースフィルムと金属配線の密着性に優れ、屈曲寿命、薄い構成等の信頼性に優れ、かつ配線の高密度化に対応したフレキシブル配線基板を得ることを目的とする。
【解決手段】多孔質構造を有するベース基板層、このベース基板層の片方の面に形成された金属配線層、及び金属配線保護層を具備するフレキシブル配線基板であって、前記金属配線層の少なくとも一部が前記ベース基板層に充填され、かつ、前記ベース基板層の金属配線層の対面側に、少なくとも金属配線層側よりも高比率で無機質充填剤を含有する無機質充填剤高充填層が形成された層構造を有することを特徴とする、フレキシブル配線基板。このような構造をとる事で、耐折性、耐屈曲性に優れた特徴を付与することが出来、高密度な配線を形成した高信頼性の極薄のフレキシブル配線基板を低コストで提供できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、フレキシブル基板に関するものである。さらに詳細には、本発明は、好ましは、例えば、電気、電子、通信などの分野で用いられるフレキシブル配線基板に関するもので、特に、ベースフィルムと金属配線の密着性に優れ、屈曲寿命、薄い構成等の信頼性に優れ、かつ配線の高密度化に対応したフレキシブル配線基板に関するものである。
近年、半導体をはじめ各種電気電子部品の高集積化や小型化が進んでいる。今後もその傾向はなお一層強まることは確実である。これに伴い、プリント配線基板においても屈曲性を有するベースフィルム上に金属配線を施したフレキシブルタイプの配線基板の民生用途への展開が積極的に図られ、特に省スペース性を要するノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話などの電気電子機器などに広く使用されるようになってきた。これら機器の軽量化、薄型化、小型化の流れも留まることなく今後もますます進むことから、フレキシブル配線基板にも多種多様な機能が求められ、需要は拡大する一方、基板の信頼性や高密度化といった性能もより一層高いものが求められることは疑いない。
一般的なフレキシブル配線基板は、基本的にカプトンなどのポリイミドフィルムに対して接着剤を介して金属配線を配置し、カバーフィルムを設けるという構成をしている。ところが、先に触れたように電子機器の軽量化、薄型化、小型化が進む中、フレキシブル基板に対する薄膜化の要求はますます強まっているに関わらず、接着剤タイプ銅張積層板は、接着剤層の厚みの制約で限界に来ていた。そのような状況の中、接着剤を使わずにベースフィルム上に配線を形成する試みが以前からなされていたが、ようやく近年になって、無接着タイプの銅張積層板が開発され商品化されてきた。
このような無接着タイプの銅張積層板の作成方式は大きく2種に分けられる。第一の方式は、キャスティング法と呼ばれるもので、銅箔上にポリイミドワニスを塗布し、乾燥・イミド化してベースフィルムを形成させる。この時、ベースフィルムとなるポリイミドと銅箔との密着性が悪いという問題があり、ワニスを塗布する前に接着性の良いポリイミドを薄くコーティングしてから、ワニスを上塗りすると言う工夫もなされている(特許文献1)。この手法においては、ベースフィルムを薄くすることが容易という利点があるが、銅箔に張り合わせた後にイミド化するというプロセスを踏むため、イミド化時の縮合によって生成される水が銅箔との層間に残る恐れがあり、剥離の促進や電気特性の劣化を生じてしまう問題点がある。
第二の方式は、蒸着法で、ポリイミドフィルム上にメッキによって金属層を形成するという方法である(特許文献2)。配線となる金属の厚みの確保は電解メッキによって行なわれ、そのためのシードを無電解メッキ、真空蒸着やスパッタリング等で形成している。このうち、無電解メッキや真空蒸着によるシードは、ポリイミドフィルムの表面処理を施したとしても繰り返し屈曲を要求される環境に耐えうるだけの密着性は確保することが困難である。
特開平09−148695号公報 特公平02−55943号公報
上記のように、フレキシブル配線基板について数々の提案があり、無接着剤タイプの銅張積層板についても改良がなされているが、繰り返し屈曲を伴うような環境においての信頼性は未だ十分であるとは言い難い。
かかる問題点を解決するために検討した結果、金属配線層として、多孔質絶縁体に選択的に非貫通の金属領域が形成された複合部材を利用することで、配線基板との密着性を高めることができる。一方で、金属配線層の対面側には、少なくとも配線層側よりも高い比率で無機質充填剤が含有する層が形成された層構造を形成することで、配線層への応力の集中を避け、屈曲寿命を向上させることがわかった。またさらに、無機質充填剤含有層をベース基板層に作りこむ事で、屈曲寿命特性を損なわずに基板全体を薄くすることが可能であることが判った。
本発明は、ベース層と金属配線の密着性に優れ、屈曲寿命、薄い構成等の信頼性に優れたフレキシブル配線基板を得ることを目的とする。
また、微細な配線が形成された高密度なフレキシブル配線基板を提供することを目的とする。
したがって、本発明によるフレキシブル配線基板は、多孔質構造を有するベース基板層、このベース基板層の片方の面に形成された金属配線層、および金属配線保護層を具備するフレキシブル配線基板であって、前記金属配線層の少なくとも一部が前記ベース基板層に充填され、かつ、前記ベース基板層の金属配線層の対面側に、少なくとも金属配線層側よりも高比率で無機質充填剤を含有する無機質充填剤高充填層が形成された層構造を有することを特徴とするもの、である。
このような本発明によるフレキシブル配線基板は、好ましい態様として、前記無機質充填剤高充填層の少なくとも一部が、前記ベース基板層に埋め込まれて形成されているもの、を包含する。
このような本発明によるフレキシブル配線基板は、好ましい態様として、前記無機質充填剤がシリカ粒子を含むもの、を包含する。
本発明によれば、フレキシブル配線基板に関わる金属配線層として、多孔質絶縁体に選択的に貫通の金属領域で形成された複合部材を利用することで、各層の密着性を高め、屈曲寿命を向上させる。
本発明は、このように繰り返し屈曲耐性の要求される過酷な環境においても好適に使用でき、今後もますます進む電子機器の軽量化、薄型化、小型化に対応した薄型のフレキシブル基板を提供できる。
以下、本発明に関わるフレキシブル配線基板を構成する各層について、必要に応じて図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のフレキシブル配線基板の好ましい一具体例の断面を模式的に示すものである。
図1に示される本発明の好ましいフレキシブル配線基板1は、多孔質構造を有するベース基板層2、このベース基板層2の片方の面に形成された金属配線層3、および金属配線保護層4を具備するフレキシブル配線基板であって、前記金属配線層3の少なくとも一部3aが前記ベース基板層2に充填され、かつ、前記ベース基板層2の金属配線層の対面側には、少なくとも金属配線層側よりも高比率で無機質充填剤を含有する無機質充填剤高充填層5が形成された層構造を有するものである。
ここで、ベース基板層2は多孔質のものであり、かつこの多孔質ベース基板層2上に金属配線層3が形成されたものであることから、金属配線層3の少なくとも一部3aは多孔質ベース基板層2内の少なくとも1部分の細孔内に金属配線層の金属の一部が浸透ないし含浸されたもの、即ち、ベース基板層2および金属配線層3とが複合体化されたもの、として捉えることができる。したがって、本発明において使用されるベース基板層2および金属配線層3としては、この金属配線層の少なくとも一部3aが前記ベース基板層2に充填された複合部材を使用することができる。ここで、該複合部材の構成および製造方法を詳述する。なお、以下に示すのは一例であって、本発明に使用されるベース基板層または金属配線層としての条件を満たしていれば、いかなる方法で製造されても問題ないことは言うまでもない。
<ベース基板層>
本発明に関わるフレキシブル配線基板を構成するベース基板層は、多孔質構造を有するものである。このような多孔質構造を有するベース基板層は、いかなる絶縁体材料からなるものであっても良いが、好ましくは、樹脂やセラミックスなどを挙げることができる。
前記樹脂としては、例えばガラスエポキシ樹脂や、ビスマレイミド−トリアジン樹脂およびポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、また、フレキシブル基板のベースフィルムに多用されるポリイミド樹脂や、その他ポリフッ化エチレン系、フッ化エチレン−プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニル等のフッ素含有ポリマー、ポリオレフィン、アクリル系ポリマー、ポリアリルエーテル系などのポリエーテル、ポリアリレート系などのポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルスルホン等の一般にエンジニアリングプラスチックと呼ばれている樹脂が挙げられる。
また、前記セラミックスとしては、ガラス、アルミナ、窒化アルミ等の不織布が挙げられる。
樹脂からなる多孔質体は、湿式法または乾式法などの手法によって容易に作製できる。例えば前記湿式法による多孔質樹脂シートの作製方法は、樹脂に対して孔形成剤である無機微粉末および有機溶剤を添加して練り合わせた混合物を調製し、これを製膜した後、溶剤で無機微粉末および有機溶剤を抽出し、その後、必要に応じ延伸することによって得ることができる。また、例えば前記乾式法による多孔質樹脂シートの作製方法は、前記湿式法と同様に調製した前記混合物を、シート状に押出成形し、必要に応じて熱処理後、これを一軸もしくは二軸延伸する。
これら湿式法、乾式法の双方とも、必要であれば寸法安定性のため、延伸後の樹脂シートに対し、熱処理を行うことができる。また、前記添加物等を加えずに、樹脂シート成形後、この樹脂シートを延伸多孔質化することでも容易に作製できる。
一方、複合部材を製造する際の金属配線層の形成方法の詳細は後述するが、ベース基板における金属形成領域は紫外・可視光の露光領域によって反映される。そのため、金属充填領域を多孔質体の深部まで形成させる場合には、光が多孔質絶縁体の内部にまで透過しなければならならず、多孔質体の細孔径は露光波長に対して十分に小さいことが好ましい。しかしながら、細孔径が余り小さすぎると、感光性組成物が含浸しにくくなったり、露光光が透過しにくくなったりするおそれがある。特に配線を形成する場合には、充填された金属は細孔内で良好に連続している必要があるが、細孔径が小さすぎると、金属が細孔内で互いに分離した微粒子状態になるおそれがある。こうした不都合を避けるため、多孔質体の細孔径は30〜2000nmであることが好ましく、50〜1000nmであることがより好ましく、100〜500nmの範囲に設定されることが最も好ましい。
細孔径が上述した範囲を逸脱し、露光波長よりもかなり大きな場合でも、多孔質体と近いか同じ屈折率を有する液体、あるいは低融点のアモルファス固体などを散乱防止用として細孔内に充填すれば、露光時の散乱などを防止し、光の透過性を高めることは可能である。しかしながら、細孔径が過度に大きくなると、やはりめっきなどによって細孔内に十分に金属を充填することが難しくなるうえ、導電部の幅を数十μm以下と十分に小さくすることが困難になる。これらを考慮にいれると、露光時に散乱防止用の液体などを用いる場合にも、多孔質体の細孔径は5μm以下に設定されるのが望まれる。
また、多孔質体は、膜厚方向にパターン状、特に二次元方向に連続して導通したライン形の部位を形成した複合部材を作製するために、三次元的に連続した細孔を有する多孔質体であることが望ましい。
さらに、多孔質体に存在する連続した細孔は、露光光の過度の散乱を防ぐために、規則的に均質に形成されていることが好ましい。これは、前記導電ラインの微細化のためにも有効である。
また、多孔質体における連続した細孔は、多孔質体外部に開放されていることが必要であり、外部に開放端のない独立気泡はできるだけ少ないことが望まれる。また、配線の誘電率などを向上させるために、細孔率は、多孔質体の機械的強度が保たれる範囲において高い方が望まれる。具体的には、細孔率は40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。
ベース基板層をなす多孔質絶縁体において、配線形成部以外の細孔部には、無機質充填剤高充填層の形成に先だって、絶縁性の樹脂、例えばエポキシ樹脂やポリイミド、ビスマレイミドトリアジン(BT)樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、架橋ポリブタジエン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等などの熱硬化性樹脂、あるいはポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスルフォン樹脂等のホットメルトタイプの熱可塑性樹脂からなる樹脂で充填することが好ましい。多孔質絶縁体に細孔が存在していると、細孔内表面などが吸湿するなどして電気的絶縁性が損なわれる恐れがある。ただし、細孔が導電部の寸法、すなわちビアならビア径、配線なら配線幅および配線ピッチよりも充分小さな独立気泡の場合は、絶縁性をある程度保つことが可能である。
そして、無機質充填剤高充填層の形成に先だって多孔質絶縁体に含浸させるこの絶縁性樹脂には無機フィラーなどを混ぜることが好ましい。尚、この場合、無機フィラーの充填比率は、無機質充填剤高充填層における無機フィラーの充填比率よりも低くなるようにする必要がある。
ベース基板層の大きさおよび厚さ等は、フレキシブル配線基板の用途および目的等に応じて適宜定めることができる。
<金属配線層>
次に、金属配線層3の形成方法を各工程毎に図2を用いて説明する。
工程(1)
工程(1):まず露光によりイオン交換性基を生成するかあるいは消失する化合物を含有する感光性組成物層を多孔質絶縁基板6に形成させる工程を行う(図2(a))。なお、図2においては露光によりイオン交換性基を生成する化合物を含有する感光性組成物を使用した例を示している。
本発明における複合部材の製造において用いられる感光性組成物は、光照射によりイオン交換性基を生成するか、消失する化合物を含有する。但し、前記露光によりイオン交換性基を生成する化合物は、まず露光により化学反応を生じて何らかのイオン交換性基の前駆体を生じ、前記前駆体がさらに化学反応を生じることによりイオン交換性基を生成するもの、いわゆる露光による化学反応をきっかけにする多段階反応によりイオン交換性基を生じるものであっても良い。
前記露光によりイオン交換性基を生成する化合物は、(i)露光によりイオン交換能を有する官能基を発生する化合物が挙げられる。また、露光によりイオン交換性基を消失する化合物としては、(ii)露光前には、イオン交換能を有する官能基を有し、露光後に水に溶解あるいは膨潤しにくい疎水的な性質を有する官能基を発生する化合物が挙げられる。
前記(i)、(ii)においてイオン交換能を有する官能基としては、親水性の官能基が挙げられ、−COOX基、−SOX基、−PO基(Xは、水素原子、アルカリ金属やアルカリ土類金属および周期律表I、II族に属する典型金属、及びアンモニウム基から選択される)および−NHOH等が挙げられる。
特に、(i)、(ii)において、イオン交換能を有する官能基は、陽イオン交換性基であるものが、金属イオンとイオン交換を行いやすいため望ましい。前記陽イオン交換性基としては、−COOX基、−SOX基あるいは−PO基等の酸性基(但し、Xは水素原子、アルカリ金属やアルカリ土類金属及び周期律表I、II族に属する典型金属、アンモニウム基)が特に、後工程である金属イオン交換後、還元生成した金属あるいは金属微粒子との安定した吸着が得られるため望ましい。
また、前記陽イオン交換性基のうち、水中でのイオン解離定数から求めたpKa値が7.2以下を呈するのものがより好ましい。pKa値が7.2を越えたものであると後工程である金属イオンあるいは金属を結合させる工程(工程(3))で、単位面積当たりの結合が少なく、その後形成させる導電部に望まれる充分な導電性が得られない恐れがある。
本発明においては、光照射によりイオン交換性基を生成あるいは消失する化合物として、280nm以上の波長の光照射によりイオン交換性基を生成あるいは消失する化合物を使用することが好ましい。これは、有機高分子材料系を多孔質絶縁体として用いた場合、その構造によっては、280nm以下の波長の光照射で、強度の劣化を招く恐れが生ずるためである。
280nm以上の波長の光照射によりイオン交換性基を生成する化合物の具体例としては、ナフトキノンジアジド誘導体およびo−ニトロベンジルエステル誘導体、p−ニトロベンジルエステルスルフォネート誘導体およびナフチルもしくはフタルイミドトリフルオロスルフォネート誘導体等が挙げられる。
特にナフトキノンジアジド誘導体を用いた場合、エネルギーの低い280nm以上の波長の光でしかも短時間に十分に微細なパターニングが可能である。またナフトキノンジアジド誘導体は露光時に光ブリーチングを起こし、およそ300nm以上の波長域で透明化する。そのため膜厚方向に深くまで露光することが可能であり、多孔質シートの膜厚方向に貫通して露光する際などに非常に適している。
なお、後工程で感光性組成物層は金属イオン含有水溶液やアルカリまたは酸性水溶液中に曝されるため、それらに溶解することがないようイオン交換性基生成反応を生じる基がポリマーや高分子化合物等に担持、あるいは結合されているものが好ましい。そのような観点から、280nm以上の波長の光照射によりイオン交換性基を生成する化合物としては、1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル置換フェノール樹脂誘導体、1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル置換ポリスチレン誘導体等が好適である。
また、その他の280nm以上の波長の光照射によりイオン交換性基を生成する化合物としては、ポリマーの構造中に含有されるカルボキシル基などのイオン交換性基に保護基を導入した化合物が挙げられる。この化合物を用いる場合は感光性組成物中に280nm以上の波長の光照射で酸を発生する光酸発生剤を添加する。それにより後工程の露光によって光酸発生剤から酸が発生し、その発生した酸で前記保護基が分解してイオン交換性基が生成する。
前記ポリマーとしては、フェノールノボラック樹脂、キシレノールノボラック樹脂、ビニルフェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール系樹脂やポリアミド酸やポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のカルボキシル基含有ポリマー等が挙げられる。
フェノール系樹脂の保護置換基としてはtert−ブトキシカルボニルメチル基やtert−ブトキシカルボニルエチル基などのtert−ブチルエステル誘導体置換基が挙げられる。一方、ポリアミド酸やポリアクリル酸等においては構造中のカルボキシル基の保護基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ベンジルアルコキシ基、2−アセトキシエチル基、2−メトキシエチル基、メトキシメチル基、2−エトキシエチル基、3−メトキシ−1−プロピル基等のアルコキシ基やトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基等のアルキルシリル基が挙げられる。
これら脱保護に好適な光酸発生剤としては、CFSO 、p−CHPhSO 、p−NOPh 、等を対アニオンとするオニウム塩、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩等の塩、有機ハロゲン化合物、オルトキノン−ジアジドスルホン酸エステルなどを用いることが出来る。また光酸発生剤を用いずとも光照射だけでカルボン酸などのイオン交換性基を生成する保護基としてo−ニトロベンジルエステル基が挙げられる。
一方、280nm以上の波長の光照射によりイオン交換性基を消失する、すなわち露光前にはイオン交換能を有し、露光後に水に溶解あるいは膨潤しにくい疎水的な性質を有する官能基を発生する化合物は、その組成物骨格中にイオン交換性基である−COOX基、−SOX基あるいは−PO基等の酸性基(但し、Xは水素原子、アルカリ金属やアルカリ土類金属及び周期律表I、II族に属する典型金属、アンモニウム基)を有し、光照射により消滅する化合物である。
露光前にはイオン交換能を有し、露光後に水に溶解あるいは膨潤しにくい疎水的な性質を有する官能基を発生する化合物の具体例としては、脱炭酸反応を起こして分解することのできるカルボキシ基含有化合物が挙げられる。この場合感光性組成物中に前記カルボキシル基含有化合物以外に光酸発生剤と塩基性化合物を添加する。この場合カルボキシル基が露光部で消滅するメカニズムとしては、脱炭酸反応に関わる塩基性化合物を露光により発生した酸が中和してしまうため、露光部ではカルボキシル基がそのまま残り、未露光部では脱炭酸反応が進行すると言うものである。
ここで、脱炭酸反応を起こして分解することの出来るカルボキシル基含有化合物には、任意の化合物を選択できるが、塩基性化合物により脱炭酸反応が進行しやすい化合物が好ましい。そのような化合物としては、カルボキシル基のα位またはβ位に電子吸引性基または不飽和結合を有するものである。ここで、電子吸引性基が、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、カルボニル基、またはハロゲンであることが好ましい。
このようなカルボキシル基含有化合物の具体例としては、α−シアノカルボン酸誘導体、α−ニトロカルボン酸誘導体、α−フェニルカルボン酸誘導体、β,γ−オレフィンカルボン酸、およびその他が挙げられる。
添加する光酸発生剤としては、上述した光酸発生剤が挙げられ、280nm以上の波長で酸を発生するものが特に好ましい。
添加する塩基性化合物は、光酸発生剤から放出される酸によって中和され、カルボキシル基含有化合物の脱炭酸反応の触媒として作用するものであれば任意のものを用いることができる。この塩基性化合物は有機化合物、無機化合物いずれでも構わないが、好ましいのは含窒素化合物である。具体的にはアンモニア、1級アミン類、2級アミン類、3級アミン類等が挙げられる。これら塩基性化合物の含有量は、感光性組成物中0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜15重量%である。0.1重量%未満であれば、脱炭酸反応が進まなくなり、30重量%を超えると、未露光部に残存するカルボキシル基含有化合物の劣化を促してしまう。
なお、後工程で感光性組成物層は金属イオン含有水溶液やアルカリまたは酸性水溶液中に曝されるため、それらに溶解することがないようイオン交換性基消失反応を生じる基がポリマーや高分子化合物等に担持、あるいは結合されているものが好ましい。
イオン交換性基を生成あるいは消失させるのに用いる露光光は波長が280nm以上のものを用いるが、好ましくは300nm以上、さらには350nm以上の波長がよい。特に多孔質体の内部の厚み方向に露光する場合など、多孔質体が芳香族化合物構造を有する場合には長波長の露光光を用いることが肝要である。多孔質体が芳香族ポリイミドなどで構成される場合、ポリイミドの吸収の吸収端が450nm以上になるものも少なくない。こうした場合はさらに長波長の500nm以上の波長の露光光が好ましい。
工程(2)
次に、工程(1)によって多孔質絶縁基板6に形成された前記感光性組成物層に対し、所望の導電パターンにパターン露光して、感光性組成物層の露光部7にイオン交換性基を生成あるいは消失させる工程を行う(図2(b))。図2(b)では導電パターンが形成されたマスク8を介してパターン露光しているが、もちろんマスク8として導電パターンのネガ像を形成したマスクを用いて、導電パターン部以外の部分のイオン交換性基を生成あるいは消失させてもよい。また必ずしもマスクを用いる必要もない。例えばレーザービームなどを用いて導電パターン通りに描画して露光してもよい。また光の干渉によって生じる干渉縞などの周期的な光強度パターンを用いて周期的なパターンを露光しても良い。
工程(2)で用いる露光光源としては、紫外光源、可視光源のほかβ線(電子線)、X線など光源のなかから所定の波長の露光光を生じるものを選択して使用することができる。上記紫外光源、あるいは可視光源としては具体的には水素放電管、希ガス放電管、タングステンランプ、ハロゲンランプのような連続スペクトル光源、各種レーザー、水銀灯のような不連続スペクトル光源などのなかから選択して用いることができる。
工程(2)で感光性組成物層のイオン交換性基に対して、後工程の工程(3)で金属イオンの結合量を増量するために、イオン交換性基の中和、あるいはそのイオン交換性基を形成した部分の膨潤を行っても良い。そのためには絶縁体を酸またはアルカリ溶液に吹き付けや浸漬などの手法によって接触させることが好ましい。特にアルカリ溶液として水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化物、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属塩、ナトリウムメトキサイドやカリウムエトキサイド等の金属アルコキサイドや水素化ホウ素ナトリウム等の水溶液の少なくとも1種を用い、これら溶液に浸漬するのが良い。これらは混合して用いても良い。
工程(3)
次に、イオン交換性基に、選択的に金属イオン又は金属微粒子を結合させ、導電部を形成する(図2(c))。
イオン交換性基と金属イオンとの交換反応を生じさせるには、例えば金属塩含有の水溶液などに絶縁体を浸漬させるだけで容易に行うことができる。
前記金属イオンとして用いられる金属元素としては、銅、銀、パラジウム、ニッケル、コバルト、錫、チタン、鉛、白金、金、クロミウム、モリブデン、鉄、イリジウム、タングステン、ロジウム等が挙げられる。
これらは金属塩として溶液中に含有させ、その形態としては、硫酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、および炭酸塩等が挙げられる。特に望ましくは硫酸銅である。これらの金属塩は、前記溶液における金属イオンの濃度が0.001〜10M、好ましくは0.01〜1Mとなるよう配合するのが適当である。なお、金属塩を溶解させる溶媒は、水あるいは有機溶媒系、たとえばメタノールやイソプロパノール等であっても良い。
またイオン交換性基とコロイド状態の金属微粒子とは静電的な相互作用などによって選択的に結合を生じる。イオン交換性基と金属微粒子との結合を生じさせるには、金属微粒子が分散した溶液に絶縁体を浸漬させるだけで容易に行うことができる。
たとえば、塩酸酸性水溶液中に塩化パラジウムと塩化スズを混合して作製する無電解メッキの触媒として使用されるパラジウム−ススコロイド、またパラジウムのハロゲン化物、酸化物、アセチル化錯体の分散溶液中に絶縁体を浸漬させる。それによりイオン交換性基上に位置選択的に金属微粒子が容易に結合を生じる。
以上のようにして、絶縁体に導電部が形成された複合部材が得られるが、さらに、複合部材の導電部の導電性を向上させるために、下記の工程(4)、工程(5)のいずれか、あるいはその両方を行うことが望ましい。
工程(4)
イオン交換して形成した導電部の導電性を向上させるため、工程(3)で得られた絶縁体においてイオン交換性基に結合した金属イオンを還元剤と接触させ金属化させる工程を行う(図2(d))。
用いられる還元剤は特に限定されないが、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルマリン、水素化ホウ素ナトリウムや、次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸塩等挙げられ、これらの溶液に多孔質絶縁体を浸漬するなどして行うことができる。
工程(5)
露光部7に形成された導電部に対し析出させた金属微粒子を核に無電解めっき9を施す(図2(e))。これにより導電部の細孔内を金属である程度充填することができる。金属としては、電気抵抗が少なく、比較的腐食しにくい銅が最も好ましい。具体的には前工程で得られた導電部を触媒核として無電解メッキ液と接触させる。
無電解メッキ液としては、例えば、銅、銀、パラジウム、ニッケル、コバルト、白金、金、ロジウム等の金属イオンを含んでなるものが挙げられる。
この無電解メッキ液には、前記金属塩水溶液の他にホルムアルデヒド、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、アスコルビン酸、グリオキシル酸等の還元剤、酢酸ナトリウム、EDTA、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グリシン等の錯化剤や析出制御剤等が含まれおり、これらの多くは市販されており簡単に入手することができる。そこで、前記部材をこれらの無電解メッキ液に望みの導電層厚、若しくは多孔質内部への充填が完了するまで浸漬しておけば良い。
ここで、以上ようなの方法によって製造した複合部材は、膜厚方向に進入する露光光を照射することにより金属領域を決定している訳であるが、媒体が多孔質であると、光は空隙部分と基材部分という2つの屈折率の異なる空間を何回も通過しなければならない。この場合、空隙部分の屈折率基材部分の屈折率が異なることから、光はかなり散乱される。特に、多孔体の空隙や基材の大きさが光の波長に近いと、大きく散乱を起こす。さらに、多孔体の場合、散乱した光が再び散乱体にぶつかり何度も散乱するという、多重散乱が発生する。したがって、散乱を防止するためには、露光量を厳密に調整する必要があるが、より効率よく容易に膜厚方向に充填した導電部を形成するためには、前記したように、多孔質体と近いか同じ屈折率を有する液体、あるいは低融点のアモルファス固体などを露光時に細孔内に充填し、潜像を形成した後除去すると言う操作を行ってもよい。
なお、本発明において、上述のような複合部材の製造方法をとる時には、導電部を形成する部位以外の感光性組成物層内にイオン交換性基含有の有機化合物が生成することを防止するため、めっきまでの操作は短波長の光を遮断したイエロールーム内で行うことが好ましい。
<金属配線保護層>
本発明に金属配線保護層4として使用されるカバーレイヤーは、特に限定を受けない。現在上市されているポリイミドベース、ポリエステルベース、エポキシベース、アクリルベース等のいかなる素材のものを用いても良い。それらは、フィルムベース、液状ベースの2種類があり、いずれのタイプを用いても構わない。
接着方法も特に限定されることはなく、例えば、フィルム片面に金属配線層と接着させるための接着剤をあらかじめ塗布しておき、ドリルやカッターで窓穴用に穴あけ加工を行った後、回路上に位置を合わせて熱圧着する方法で容易に接着できる。
そして、金属配線保護層4の形成時期も金属配線層の形成後であればいずれの段階でもよい。本発明において、金属配線保護層4の形成は、例えば後述するような多孔質絶縁基板に対する絶縁性樹脂の含浸処理あるいは無機質充填剤の含浸処理の前に行うことが好ましいが、これらの両含浸処理の後あるいは両含浸処理の途中において金属配線保護層4を形成させることができる。
金属配線保護層の厚さは、フレキシブル配線基板の用途および目的等に応じて適宜定めることができる。特に、COF、TAB用途に適したフレキシブル配線基板の金属配線保護層としては、厚さ10〜100μmのものを挙げることができる。なお、金属配線保護層は、保護が必要な部分のみに形成されていれよく、金属配線層の全面が覆われるように形成する必要はない。
<無機質充填剤高充填層>
本発明によるフレキシブル配線基板1では、前記ベース基板層2の金属配線層3の対面側に、少なくとも金属配線層側よりも高比率で無機質充填剤を含有する無機質充填剤高充填層5が形成されている。このような無機質充填剤高充填層が形成されることによって、フレキシブル配線基板の屈曲耐性が著しく向上する。この無機質充填剤高充填層5は、その少なくとも一部が前記ベース基板層2に埋め込まれて形成されていることが好ましい。この場合、無機質充填剤高充填層5は、その少なくとも一部が多孔質ベース基板層2内の少なくとも一部分の細孔内に浸透ないし含浸されたものと捉えることができる。
なお、本発明のフレキシブル配線基板1は、無機質充填剤高充填層5の一部分が前記多孔質ベース基板層2内に形成されたもののみに限定されず、無機質充填剤高充填層5の実質的に全部分が前記多孔質ベース基板層2内に形成されているもの、即ち、前記多孔質ベース基板層2中に無機質充填剤高充填層5が内包されているもの、であってもよい。
無機質充填剤としては、シリカ、アルミナなどの金属酸化物や、窒化ケイ素や窒化アルミニウムなどの金属窒化物などを挙げることができる。無機質充填剤は、ベース基板層の細孔内に容易に浸透できるようにナノメートルオーダの微細なものが特に好ましい。
前記ベース基板層の金属配線層の対面側に無機質充填剤高充填層を形成する方法としては、ベース基板層の金属配線層の対面側に、先ず、前記の絶縁性樹脂および必要に応じて無機質充填剤を少量含む絶縁性樹脂の混合液を含浸させ、その後、無機質充填剤高充填層を形成させる無機質充填剤と絶縁性樹脂との混合液を前記ベース基板層に含浸ないし付着させる方法を挙げることができる。この無機質充填剤高充填層を形成する混合液は、無機質充填剤の比率が5重量%以上50重量%以下、特に10重量%以上40重量%以下、であるものが好ましい。無機質充填剤の比率が5重量%未満であると屈曲寿命の効果が十分に発現せず、一方50重量%を超えるとフレキシビリティ性が損なわれる場合がある。
前記の絶縁性樹脂としては、好ましくは、例えばエポキシ樹脂やポリイミド、BT樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、架橋ポリブタジエン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等などの熱硬化性樹脂、あるいはポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスルフォン樹脂等のホットメルトタイプの熱可塑性樹脂からなる樹脂を挙げることができる。上記混合溶液の含浸ないし付着は、好ましくは金属配線層を剥離可能な粘着シートで保護した後、多孔質絶縁体に樹脂を浸透させることによって行うことができる。浸透方法としては、アプリケーター法、バーコーター法、スプレー法、ディップ法等、方法は問わない。その後、プレス等で加圧処理するなどして成型後、金属配線層を保護していた粘着シートを剥離し、改めてカバーレイヤーをラミネートする。また、カバーレイヤーを含浸時の金属配線保護シートとして、含浸前にラミネートする方法をとっても当然構わない。
また、本発明においては、無機フィラー前駆体と絶縁性樹脂との混合物を含浸後、無機フィラーをベース基板層の細孔内で生成させることもできる。こうした無機フィラー前駆体としては、シルセスキオキサンやポリシラザンなどが良好に用いられる。
また、本発明においては、前記の絶縁性樹脂の含浸時に一度に無機質充填剤の高充填層を形成することもできる。すなわち、多孔質構造体の細孔径付近に粒度分布のピークを持つ無機質充填剤を混合した樹脂組成物を含浸樹脂として使用し、そして、上述の方法で含浸処理を施すことにより、細孔径付近の粒子は、ベース基板層の表層部に留まることにより、結果として高充填層が形成されることになる。この方法をとる方が、上述のように逐次的に無機質充填剤の高充填層を形成しない点で好ましい。
多孔質ベース基板層中に含浸または付着させた絶縁性樹脂を硬化させることにより、ベース基板層、無機質充填剤高充填層おび金属配線層とが一体化した複合体が形成される。
無機質充填剤高充填層が無機質充填剤と絶縁性樹脂との混合液をベース基板層に含浸させることによって形成されたものであるとき、無機質充填剤高充填層の厚さは無機質充填剤の浸透領域によって定められることになる。無機質充填剤高充填層の厚さは、例えばベース基板の細孔径、細孔分布、独立細孔と連続細孔との比率、無機質充填剤の大きさ、性状、粒度分布等、ベース基板と無機質充填剤との組合わせ、および無機質充填剤高充填層の具体的な形成方法などを適宜定めることによって制御することができる。因みに、無機質充填剤が多孔質ベース基板層の奥深く浸透して金属配線層まで到達した場合、無機質充填剤高充填層の厚さは、無機質充填剤高充填層の表面から金属配線層との界面までの厚さとなる。なお、無機質充填剤高充填層において、無機質充填剤の含有量は常に一定である必要はなく、ベース基板層の金属配線層の対面側に少なくとも金属配線層側よりも高比率で無機質充填剤が含有されていれば、無機質充填剤の含有量は無機質充填剤高充填層内において連続的にあるいは段階的に変化していてもよい。例えば、無機質充填剤高充填層における無機質充填剤の含有量は、ベース基板層の金属配線層の対面側から金属配線層側に向けて連続的に減少していてもよい。
以下、実施例により本発明を説明するが、これらの実施例に限定されるものではないことは言うまでも無い。
<参考例1>
複合部材の作製
絶縁体として、親水性化処理されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質フィルム(細孔径200nm,膜厚60μm)を用い、感光剤をディップ法にてフィルム全表面にコーティングした。感光剤として、ナフトキノンジアジド含有フェノール樹脂(ナフトキノンジアジド含有率;46当量mol%)1重量%アセトン溶液を用いた。この操作により多孔質の孔の中も含め内部細孔表面が感光性組成物で被覆された。
このシートに対して、CANON PLA501で、JIS規格であるフレキシブルプリント配線板試験方法(JIS C5016)に記載の耐屈曲性評価用パターン(L/S=50/50μm)が描かれたパターンマスクを介して露光量200mJ/cm(波長365nm換算)の条件で露光し、露光部にイオン交換性基を生成させた。
パターン潜像を形成したシートを0.5Mに調整した硫酸銅水溶液に5分間浸漬後、蒸留水による洗浄を3回繰り返した。続いて水素化ホウ素ナトリウム0.01M水溶液に30分間浸漬後、蒸留水で洗浄し、Cu微粒子が選択的に吸着したパターン形成シートを得た。
このようにして得たパターン形成シートをさらに無電解銅メッキ液に3時間浸漬し、銅メッキを施しCu配線部を有する複合部材を作製した。なお、複合部材は、約10μm程度、多孔質内に金属が充填され、かつ多孔質絶縁体上に10μm程度の厚みで金属配線が形成されていた。
<実施例1>
カバーレイヤーとしてフィルムベースのポリイミドシート(フィルム厚25μm)を用意した。金属配線層を備えたベース基板には、参考例1に記述した複合部材を用いた。まず、複合部材中、金属配線層側に、ポリエステル製保護粘着シート(605 (株)寺岡製作所社製)を保護シートとしてラミネートした。それらに対し、60℃にしたエポキシ樹脂組成物I(主剤:ビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート828/硬化剤:メチルテトラヒドロ酸無水物/TPP系)をディップ法により含浸し、シートの表裏にエアブローを施した。引き続き、温度150℃、圧力1MPaの条件下で1時間加熱圧着させることにより、樹脂を硬化させた後、保護シートを剥離した。ここで予め用意したカバーレイヤーをラミネータによりラミネート後、その裏側に、エポキシ樹脂組成物II(主剤:ビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート828/硬化剤:メチルテトラヒドロ酸無水物/TPP系+溶融シリカ(アドマテクス社製SO−E1)30重量%含有)をバーコータにより10μm程度の厚みで塗布し、温度150℃、圧力3MPaの条件下で1時間加熱圧着させることにより、フレキシブル配線基板を作製した。
<実施例2>
参考例1の複合部材を用いて、保護シートとしてカバーレイヤーをそのまま用いた以外は実施例1と同様の方法でフレキシブル配線基板を得た。
<実施例3>
参考例1の複合部材を用いて、含浸する樹脂として、実施例1記載のエポキシ樹脂組成物IIを用い、実施例1と同様の方法で硬化プロセスまで施した。保護シートを剥離後、改めて配線面にカバーレイヤーをラミネータを用い、仮圧着後、温度150℃、圧力3MPaの条件下で1時間加熱圧着させることにより、フレキシブル配線基板を作製した。
<比較例1および比較例2>
参考例1の複合部材を用いて、含浸する樹脂にエポキシ樹脂組成物III(主剤:ビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート828/硬化剤:メチルテトラヒドロ酸無水物/TPP系+溶融シリカ(アドマテクス社製SO−E1)2重量%含有)以外は実施例1と同様の方法でフレキシブル配線基板を得た。
比較例2として、圧延銅箔18μm、ベース25μmを備えた3層フレキを実施例と同様のパターンになるよう、エッチングにより作製したものを用いた。
<評 価>
上記作製したフレキシブル配線基板について、金属配線とベース基板との密着性、屈曲耐性について評価を行なった。各試験方法は以下の通りである。
密着性;カバーレイヤーを備えないサンプルで、ピンセットを用いて金属配線の引き剥がしを試みた。この時、引き剥れたものを不合格とした。
屈曲耐性;JISC5016に準拠した方法で評価した。30mm×120mmに裁断した配線基板を、配線方向と直角にR=10mmとなるようU字型に屈曲させて一方の端を固定し、もう一方の端を縦方向に揺動する装置に固定した。振れ幅25mm、屈曲速度1000回/分の条件で屈曲させ、回数をカウントした。なお、屈曲回数は、配線抵抗値が1.5倍になった時点での回数をカウントし、500万回を超えたサンプルについては、その時点で評価をやめ、合格とした。
Figure 2007300044
表1における実施例と比較例から、本発明によって作製した配線基板は、ベースフィルムと金属配線層との密着性が非常に優れており、耐屈曲性が著しく改善されていることがわかる。
発明の効果
以上詳述したように、本発明によれば、フレキシブル配線基板に関わる金属配線層として、多孔質絶縁体に選択的に貫通の金属領域で形成された複合部材を利用することで、各層の密着性を高め、屈曲寿命を向上させる。
本発明は、このように繰り返し屈曲耐性の要求される過酷な環境においても好適に使用でき、今後もますます進む電子機器の軽薄短小化に対応した薄型のフレキシブル基板を提供できる。
本発明による好ましいフレキシブル配線基板の一具体例の断面図 本発明によるフレキシブル配線基板における金属配線層の形成工程を示す図
符号の説明
1 フレキシブル配線基板
2 多孔質構造を有するベース基板層
3 金属配線層
4 金属配線保護層
5 無機質充填剤高充填層

Claims (3)

  1. 多孔質構造を有するベース基板層、このベース基板層の片方の面に形成された金属配線層、および金属配線保護層を具備するフレキシブル配線基板であって、
    前記金属配線層の少なくとも一部が前記ベース基板層に充填され、かつ、
    前記ベース基板層の金属配線層の対面側に、少なくとも金属配線層側よりも高比率で無機質充填剤を含有する無機質充填剤高充填層が形成された層構造を有することを特徴とする、フレキシブル配線基板。
  2. 前記無機質充填剤高充填層の少なくとも一部が、前記ベース基板層に埋め込まれて形成されている、請求項1に記載のフレキシブル配線基板。
  3. 前記無機質充填剤がシリカ粒子を含む、請求項1または2に記載のフレキシブル配線基板。
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