JP2007291890A - 内燃機関制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部負荷状態に関係なく、かつ内燃機関の環境温度を検出する温度センサの検出が正常か異常かに関わらず、安定した内燃機関運転を実現する
【解決手段】冷却水温センサが異常な検出をしていると判定する(S202及びS206でno)と、直前に算出された内燃機関冷却水温THWに制限低下速度Ldt分の低下処理を加えて新たな内燃機関冷却水温THWを算出する(S210〜S216)ことで内燃機関冷却水温THWの低下速度を制限している。寒冷地にて正常な冷却水温センサを検出異常と判定しても、内燃機関冷却水温THWは低下速度が制限されるのみで低下自体は可能であり、或程度、実際の冷却水温の低下に対応してアイドル目標回転数を追随させることができる。このことにより課題を達成できる。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関の環境温度に関する物理量を温度センサにて検出し、該温度センサの検出値に基づいて算出した制御用環境温度値を内燃機関の運転制御に用いる内燃機関制御装置に関する。
内燃機関の運転制御に影響する環境温度として例えば冷却水温が挙げられる。この冷却水温を温度センサにて実測した場合、温度センサにて検出された値が低温状態であると判断された時には、低温の程度に応じてアイドル時の目標回転数やアイドルスピードコントロール用のバルブ開度を高く設定している。このことにより、ガソリンエンジンでは吸入空気量を増大し、ディーゼルエンジンでは燃料噴射量を増大して、低温時のフリクションに対抗して安定したアイドル回転を実現している。更に吸気温や外気温などの内燃機関の運転制御に影響する環境温度についても、低温である場合にはアイドルアップによりアイドル時の目標回転数やバルブ開度を高くし安定したアイドル回転を実現し、かつ早期の暖機を可能としている。
このように内燃機関の運転制御に影響する環境温度が低温状態である場合には内燃機関の出力を増大させているが、温度センサの故障などにより異常な検出値、特にセンサコネクタの接触不良や素子のクラックにより抵抗値が上昇して実際の環境温度よりも低い温度を検出する場合がある。しかしダイアグノーシスなどの故障診断システムによっては未だ故障との判断がなされていない状況では、内燃機関制御側では環境温度が低下したものと捉えて、吸気量増大や燃料噴射量増大などのアイドル回転数の増加処理を実行してしまうおそれがある。このためアイドル時の吹き上がりが生じたり、車両用内燃機関では走行開始時のショックなどの問題が考えられる。
このような問題を防止するために、冷却水温センサの検出値が異常になったと判断した時には、非ニュートラル時に限って冷却水温として固定値を用いる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開平9−324686号公報(第5−7頁、図4−7)
前記特許文献1でも説明されているように、特に寒冷地などでのアイドリング時に冷却水温センサが正常でも異常であると判定されることがあるが、この場合も、非ニュートラルに限って冷却水温を固定値に設定している。
しかしこのように冷却水温を固定値にしてしまうと、上述したごとく寒冷地などで水温センサが正常であるにもかかわらず制御用の冷却水温値が全く変化しない状況となる。このため寒冷地の環境によっては非ニュートラル時においても十分な熱量が発生せずに更なる冷却水温の低下を招いてアイドル回転が不安定化し、場合によりエンジンストールを招くおそれもある。
又、ニュートラル時は水温センサが異常でも検出値をそのまま用いているので、アイドル時の吹き上がりや走行開始時のショックなどの問題は防止できていない。
尚、このようなことは冷却水温のみでなく、吸気温や外気温などの内燃機関の環境温度に関する物理量を検出する温度センサの故障についても、その検出値を内燃機関制御に用いている場合には同様なことが言える。又、走行中においてもディーゼルエンジンでは環境温度に関する物理量が温度センサの故障により低温側に変化すると燃料噴射量が変化して走行時のショックを生じることがある。
本発明は、ニュートラルや非ニュートラルといった外部負荷状態に関係なく、かつ温度センサの検出が正常か異常かに関わらず、安定した内燃機関運転を実現することを目的とする。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の内燃機関制御装置は、内燃機関の環境温度に関する物理量を温度センサにて検出し、該温度センサの検出値に基づいて算出した制御用環境温度値を内燃機関の運転制御に用いる内燃機関制御装置であって、前記環境温度の低下の可能性のない状況か否かを判定する環境温度低下可能性判定手段と、前記制御用環境温度値が前記環境温度の低下を示しているか否かを判定する温度低下判定手段と、前記環境温度低下可能性判定手段にて前記環境温度の低下の可能性のない状況であると判定され、かつ前記温度低下判定手段にて前記制御用環境温度値が前記環境温度の低下を示していると判定された場合に、前記制御用環境温度値の変化に伴う内燃機関の運転制御における制御量の変化を抑制する制御量変化抑制手段とを備えたことを特徴とする。
環境温度低下の可能性がない状況で、制御用環境温度値が環境温度の低下を示している場合には、制御用環境温度値の基礎となっている物理量を検出している温度センサが異常な検出を行っていると判断できる。このような判断に基づいて、制御量変化抑制手段では制御用環境温度値の変化に伴う内燃機関の運転制御における制御量の変化を抑制している。
このように温度センサに検出異常があった場合、制御量を完全に固定化するのではなく、大きな変化が生じないように抑制しているので、温度センサに検出異常があってもその異常に対応した大きな制御量の変化は生じることがない。したがって温度センサの異常時に内燃機関運転を安定した状態に維持できる。
寒冷地のように、通常では生じないような環境温度の低下が生じることで、温度センサが正常でも「環境温度の低下の可能性のない状況で制御用環境温度値が環境温度の低下を示している」と判断されることがある。このような判断が行われても、制御量を完全に固定化していないので、或程度、実際の環境温度の低下に対応して制御量の追随を生じさせることができる。したがって温度センサの正常時も内燃機関運転を安定した状態に維持できる。
このことにより外部負荷状態に関係なく、かつ温度センサの検出が正常か異常かに関わらず、安定した内燃機関運転を実現することができる。
請求項2に記載の内燃機関制御装置では、請求項1において、前記環境温度低下可能性判定手段は、前記制御用環境温度値が低温状態判定温度以下である状況を、前記環境温度の低下の可能性のない状況であると判定することを特徴とする。
このように環境温度の低下の可能性のない状況としては、制御用環境温度値が低温状態判定温度以下である状況として設定することができる。実験や経験上、内燃機関の環境温度が或程度低温であれば、通常の内燃機関運転に際してそれ以上の環境温度の低下は考えられないという温度が存在する。この温度やこの温度以下の温度を低温状態判定温度として設定することにより、環境温度の低下の可能性のない状況を判断することができる。
このことにより容易に制御用環境温度値の変化に伴う内燃機関の運転制御における制御量の変化を抑制するタイミングを判断できる。
請求項3に記載の内燃機関制御装置では、請求項2において、前記低温状態判定温度は、前記制御用環境温度値の変化に伴う前記制御量の変化が実行される温度範囲よりも高い温度に設定されていることを特徴とする。
このように低温状態判定温度は、制御用環境温度値の変化に伴って制御量の変化が実行される温度範囲よりも高い温度に設定しても良い。このことにより、温度センサの検出異常に起因して制御量に大きな変化が生じる前に、制御量の変化を抑制する状態にすることが、より確実にできるようになる。こうして温度センサの異常がそのまま制御量の変化に反映されるのを、より確実に防止することができるので、一層安定した内燃機関運転を実現することができる。
請求項4に記載の内燃機関制御装置では、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記制御量変化抑制手段は、前記温度センサの検出値に基づいて算出される前記制御用環境温度値の低下速度を制限することにより、該制御用環境温度値の変化に伴う内燃機関の運転制御における制御量の変化を抑制することを特徴とする。
上記制御量の変化を抑制する手法としては、温度センサの検出値に基づいて算出される制御用環境温度値の低下速度を制限することにより可能である。すなわち温度センサの検出値に基づいて通常通りに制御用環境温度値として算出するのではなく、温度センサの検出値にそのまま対応させずに低下速度を制限して制御用環境温度値を算出する。
このことにより得られた制御用環境温度値は温度センサが検出異常を生じてもその異常をそのまま反映することがない。したがって制御用環境温度値の変化、特に低下が温度センサの検出値よりも鈍くされて、制御用環境温度値の変化に伴う内燃機関の運転制御における制御量の変化を抑制できる。
このことにより外部負荷状態に関係なく、かつ温度センサの検出が正常か異常かに関わらず、安定した内燃機関運転を実現することができる。
請求項5に記載の内燃機関制御装置では、請求項4において、前記制御量変化抑制手段は、前記温度センサの検出値が予め設定した制限低下速度よりも急速な温度低下を示している場合には、直前に算出された前記制御用環境温度値に前記制限低下速度分の低下処理を加えて新たな制御用環境温度値を算出することで前記制御用環境温度値の低下速度を制限することを特徴とする。
このように直前に算出された制御用環境温度値に制限低下速度分の低下処理を加えて新たな制御用環境温度値を算出することで、容易に制御用環境温度値の低下速度を制限することができる。
請求項6に記載の内燃機関制御装置では、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記制御量変化抑制手段は、前記制御用環境温度値に基づいて補正される内燃機関の運転制御における制御量の変化速度を制限することにより、該制御用環境温度値の変化に伴う内燃機関の運転制御における制御量の変化を抑制することを特徴とする。
上記制御量の変化を抑制する手法としては、直接的に制御量を調節しても良い。すなわち制御用環境温度値に基づいて補正される内燃機関の運転制御における制御量の変化速度を制限することにより可能である。
制御用環境温度値自体は温度センサの検出値に基づいて算出されているが、この制御用環境温度値に基づいて補正される制御量についてはその変化速度を制限する。このことにより得られた制御量は温度センサに異常検出があってもその異常をそのまま反映することがなく、制御用環境温度値の変化に伴う制御量の変化は鈍くなる。したがって内燃機関の運転制御が不適切な制御量によって行われるのを防止できる。
このことにより外部負荷状態に関係なく、かつ温度センサの検出が正常か異常かに関わらず、安定した内燃機関運転を実現することができる。
請求項7に記載の内燃機関制御装置では、請求項1〜6のいずれかにおいて、前記制御量とはアイドル目標回転数であることを特徴とする。
このように制御量としてアイドル目標回転数を挙げることができる。温度センサの異常検出により制御用環境温度値が低温化した場合に、そのままアイドル目標回転数の温度補正に反映させるとアイドル目標回転数は急速に過剰な高回転状態に移行することになる。しかしアイドル目標回転数の変化を抑制することにより、アイドル目標回転数が過剰な高回転に急速に移行するのを抑制することができ、内燃機関の吹き上がりを防止して安定した運転状態を維持でき、その後のアイドル状態から脱した場合の運転状態も安定したものとすることができる。
このことにより外部負荷状態に関係なく、かつ温度センサの検出が正常か異常かに関わらず、安定した内燃機関運転を実現することができる。
請求項8に記載の内燃機関制御装置では、請求項1〜6のいずれかにおいて、前記制御量とはアイドル時にて吸気量を調節する際のバルブ開度であることを特徴とする。
このように制御量としてアイドル時の吸気量を調節するバルブ開度を挙げることができる。温度センサの異常検出により制御用環境温度値が低温化した場合に、そのままバルブ開度の温度補正に反映させると、バルブ開度は急速に大きくなり、アイドル時の回転数が急速に過剰な高回転状態に移行することになる。しかしバルブ開度の変化を抑制することにより、アイドル時の回転数が過剰な高回転に急速に移行するのを抑制することができ、内燃機関の吹き上がりを防止して安定した運転状態を維持でき、その後のアイドル状態から脱した場合の運転状態も安定したものとすることができる。
このことにより外部負荷状態に関係なく、かつ温度センサの検出が正常か異常かに関わらず、安定した内燃機関運転を実現することができる。
請求項9に記載の内燃機関制御装置では、請求項1〜6のいずれかにおいて、内燃機関がディーゼルエンジンであって、前記制御量とは燃料噴射量であることを特徴とする。
このように内燃機関がディーゼルエンジンである場合、制御量として燃料噴射量を挙げることができる。温度センサの異常検出により制御用環境温度値が低温化した場合に、そのまま燃料噴射量の温度補正に反映させると、燃料噴射量は急速に大きくなり、アイドル時の内燃機関回転数が急速に過剰な高回転状態に移行したり、アイドル時以外では思わぬ出力の増加により運転時のショックを生じることになる。しかし燃料噴射量の変化を抑制することにより、アイドル時の吹き上がりや運転時のショックを抑制することにより安定した運転状態を維持できる。
このことにより外部負荷状態に関係なく、かつ温度センサの検出が正常か異常かに関わらず、安定した内燃機関運転を実現することができる。
請求項10に記載の内燃機関制御装置では、請求項1〜9のいずれかにおいて、前記内燃機関の環境温度は、冷却水温、吸気温、外気温及びエンジン油温のいずれか1つ以上であることを特徴とする。
このように内燃機関の環境温度として冷却水温、吸気温、外気温及びエンジン油温のいずれか1つ以上を挙げることができる。
したがって外部負荷状態に関係なく、かつ内燃機関の運転制御のためにこれらを検出している温度センサの検出が正常か異常かに関わらず、安定した内燃機関運転を実現することができる。
[実施の形態1]
図1は、車両に搭載された内燃機関(本実施の形態ではガソリンエンジン)2、及び内燃機関制御装置としての電子制御ユニット(以下、「ECU」と称す)4の概略構成図を示している。内燃機関2は、ここでは4気筒内燃機関であるが、図1では1気筒のみ縦断面図にて示している。尚、気筒数は他の気筒数、例えば3気筒、6気筒、あるいは8気筒などでも良い。又、図では各気筒には吸気バルブ2aと排気バルブ2bとはそれぞれ1つ示されているが、4バルブ内燃機関でも5バルブ内燃機関でも良い。
内燃機関2の出力は変速機を介して最終的に車輪に走行駆動力として伝達される。内燃機関2には、燃焼室10内の混合気に点火する点火プラグ14が設けられている。この燃焼室10には吸気バルブ2aにより開閉される吸気ポート16が設けられ、この吸気ポート16に接続された各吸気通路20の途中には吸気ポート16に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁12が気筒毎に設けられている。そして吸気通路20はサージタンク22に接続され、サージタンク22の上流側にはモータ24によって開度が調節されるスロットルバルブ26が設けられている。このスロットルバルブ26の開度(スロットル開度TA)により吸入空気量GAが調節される。スロットル開度TAはスロットル開度センサ28により検出されてECU4に読み込まれている。吸入空気量GAはスロットルバルブ26の上流側に設けられた吸入空気量センサ30により検出されてECU4に読み込まれている。尚、燃料噴射弁12が直接、燃焼室10内に燃料を噴射する筒内噴射タイプのガソリン内燃機関であっても良い。
更に、燃焼室10には排気バルブ2bにより開閉される排気ポート32が設けられ、排気ポート32に接続された排気通路36の途中には触媒コンバータ38が配置されている。触媒コンバータ38内には排気浄化触媒としての三元触媒が配置されている。触媒コンバータ38の上流側の排気通路36には、排気の空燃比に対応した電圧Vaf信号を出力する空燃比センサ40が配置されている。
ECU4はデジタルコンピュータを中心として構成されている内燃機関制御回路である。このECU4は、上述したスロットル開度センサ28、吸入空気量センサ30、空燃比センサ40以外にも内燃機関2の運転状態を検出するセンサ類から信号を入力している。すなわちアクセルペダル46の踏み込み量(アクセル開度ACCP)を検出するアクセル開度センサ48、クランクシャフトの回転から内燃機関回転数NEを検出する内燃機関回転数センサ50、及び吸気カムシャフトの回転位相から基準クランク角を決定する基準クランク角センサ52から信号を入力している。更に内燃機関冷却水温を検出するための冷却水温センサ54からも信号(電圧値Vthw)を入力している。又、吸気通路20の先端部のエアクリーナに配置された吸気温センサ56からは吸気温を表す信号(電圧値Vtha)を入力し、エアコンACの室内空気取り入れ口に設けられた外気温センサ58からは外気温を表す信号(電圧値Vthz)を入力している。尚、このようなセンサ以外にも各種のセンサが必要に応じて設けられる。
ECU4は、上述した各センサからの検出内容に基づいて、燃料噴射弁12、点火プラグ14、あるいはスロットルバルブ用モータ24に対する制御信号により内燃機関2の燃料噴射時期、燃料噴射量、点火時期及び吸入空気量等を制御する。そして前記燃料噴射量は目標空燃比、ここでは理論空燃比を達成するように空燃比センサ40の出力によりフィードバック制御されている。更にアイドル時においては内燃機関2の状態(冷却水温THW、エアコン負荷等)に応じて設定されているアイドル目標回転数Ntとなるようにスロットルバルブ26のスロットル開度TA調節によりアイドル回転数フィードバック制御がなされている。尚、スロットルバルブ26が電子制御スロットルでない場合には、アイドル時においてはスロットルバルブ26をパイパスするアイドルスピードコントロールバルブによる吸気量制御によりアイドル回転数フィードバック制御を実行するものでも良い。
次にECU4により実行される制御の内、アイドル目標回転数設定処理について説明する。本処理のフローチャートを図2に示す。本処理は一定の時間周期で繰り返し実行される処理である。尚、個々の処理内容に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。
アイドル目標回転数設定処理が開始されると、まずエアコン駆動やベッドランプ点灯などの外部負荷に応じて、目標回転数外部負荷補正量Ntaの設定がなされる(S100)。
次に冷却水温センサ54の検出信号(冷却水温検出電圧値Vthw)の値から算出されている内燃機関冷却水温THWに基づいて図3に示すマップMapwから目標回転数水温補正量dNを算出する(S102)。ここで目標回転数水温補正量dNは、主として冷却水温低温時でのフリクション上昇などの機関負荷に対処するために設定される目標回転数補正量であり、図示するごとくTHW≦Bthw(ここではBthw=70℃)にて実質的な値として設定される。
そして式1に示すごとく、基本アイドル目標回転数Ntbに対して目標回転数外部負荷補正量Nta及び目標回転数水温補正量dNを加算してアイドル目標回転数Ntを設定する(S104)。
[式1] Nt ← Ntb + Nta + dN
こうして一旦本処理を終了する。以後、実行周期毎に上記処理(S100〜S104)が繰り返されることになる。
次に冷却水温センサ54の検出信号(冷却水温検出電圧値Vthw)、すなわち内燃機関2の環境温度に関する物理量から、制御用環境温度値である内燃機関冷却水温THWを算出する処理(制御用冷却水温設定処理)について説明する。この処理のフローチャートを図4に示す。本処理も、一定時間周期で繰り返し実行されている。
本処理が開始されると、まず今回、冷却水温センサ54にて検出されている冷却水温検出電圧値Vthwに基づいて、関数あるいはマップfthwにより、今回の冷却水温検出電圧値Vthwに対応する検出冷却水温Xthwを求める(S200)。
次に前回の実行周期にて本処理において求められている内燃機関冷却水温THWと検出冷却水温XthwとがTHW≦Xthwの関係にあるか否かが判定される(S202)。すなわち冷却水温センサ54の検出結果に基づいて、内燃機関2の冷却水が同一温度の維持あるいは昇温しているか否かが判定される。
ここでTHW≦Xthwの関係が満足されていると(S202でyes)、内燃機関2の冷却水は同一温度を維持あるいは昇温しているとして、内燃機関冷却水温THWには今回検出された検出冷却水温Xthwが設定されることにより、内燃機関冷却水温THWの値が更新される(S204)。こうして一旦本処理を終了する。
したがって冷却水の温度維持時あるいは昇温時には、冷却水温検出電圧値Vthwに対応する検出冷却水温Xthwがそのまま内燃機関冷却水温THWに設定されることになる。
一方、THW≦Xthwが否定された場合(S202でno)、すなわち「THW>Xthw」であって、内燃機関2の冷却水温が低下していると判定されると、次に内燃機関冷却水温THWが低温状態判定温度Cthw以上か否かが判定される(S206)。THW≧Cthwであれば(S206でyes)、制限低下速度Ldtに200℃/sを設定する(S208)。ここで制限低下速度Ldtは計算上の内燃機関冷却水温THWの低下速度を制限する値であり、ステップS208にて設定された制限低下速度Ldt=200℃/sという値は、実際にはこのような急激な温度低下は有り得ない。すなわちステップS208の設定は、内燃機関冷却水温THWの低下速度を制限しないことを意味する。
一方、THW<Cthwであれば(S206でno)、冷却水温センサ54は異常な検出をしていると判断して、制限低下速度Ldtに2℃/sを設定する(S210)。このステップS210にて設定された制限低下速度Ldt=2℃/sという値は、内燃機関2の通常の運転時に実際に冷却水に生じる内燃機関冷却水温THWの低下速度の上限、あるいはこの上限よりもわずかに高い値である。したがってステップS210の設定は、冷却水温センサ54の異常時に内燃機関冷却水温THWの低下速度を制限することを意味する。
尚、実験や経験上、内燃機関2の冷却水温THWが或程度低温であれば、内燃機関2の通常運転に際してそれ以上の冷却水温THWの低下は考えられないという温度が存在する。この温度やこの温度以下の温度が低温状態判定温度Cthwとして設定されている。
ステップS208又はステップS210の処理後に、式2に示すごとく前回の実行時に算出されている内燃機関冷却水温THWから今回の検出冷却水温Xthwへの低下速度dTHWを算出する(S212)。
[式2] dTHW ← (THW−Xthw)/tw
ここで時間twは本処理(制御用冷却水温設定処理)の実行周期(s)である。
このように求められた低下速度dTHWが制限低下速度Ldtよりも低いか否かが判定される(S214)。dTHW<Ldtであれば(S214でyes)、制限低下速度Ldtよりも急速な低下ではないことから、内燃機関冷却水温THWには検出冷却水温Xthwが設定されることにより、内燃機関冷却水温THWの値が更新される(S204)。すなわち、冷却水温センサ54にて検出されている物理量(冷却水温検出電圧値Vthw)に基づいて算出された検出冷却水温Xthw通りに内燃機関冷却水温THWを設定する。
一方、dTHW≧Ldtであれば(S214でno)、式3により内燃機関冷却水温THWが更新される(S216)。
[式3] THW ← THW − Ldt
すなわち冷却水温センサ54の検出値は制限低下速度Ldtよりも急速な温度低下を示していると判断し、冷却水温センサ54にて検出されている物理量(冷却水温検出電圧値Vthw)に基づく検出冷却水温Xthwは用いず、制限低下速度Ldt分、内燃機関冷却水温THWを低下させる処理を行う。前記式3の処理は、実際には、制限低下速度Ldt=2℃/sにて、すなわち冷却水温センサ54の検出異常時に行われる。このことにより内燃機関冷却水温THWの値の低下が制限され、前記アイドル目標回転数設定処理(図2)のステップS102にて求められる目標回転数水温補正量dNの値の変化、ここでは増加が抑制される。この結果、ステップS104により算出されるアイドル目標回転数Ntは、内燃機関冷却水温THWの変化に伴う変化が抑制されることになる。
図5〜7のタイミングチャートに、本実施の形態における制御の一例を示す。
図5は冷却水温センサ54が正常であり、内燃機関2が冷間状態から次第に暖機されてゆく状態を示している。内燃機関冷却水温THWが、目標回転数水温補正量dNが実質的に設定される補正境界温度Bthw以下の期間(t1以前)は、アイドル目標回転数Ntは目標回転数水温補正量dNによる増加補正にて内燃機関出力は高くされている。
内燃機関冷却水温THWの上昇により補正境界温度Bthwを越えると(t1〜)、目標回転数水温補正量dNによるアイドル目標回転数Ntの増加補正は無くなる。以後、内燃機関冷却水温THWは、補正境界温度Bthwより高い温度に設定された低温状態判定温度Cthwに到達し(t2)、更に上昇し、時刻t3以後は低温状態判定温度Cthwを越えた領域で推移している。
時刻t3までは、常に内燃機関冷却水温THWは上昇状態であり、THW≦Xthwであるので(S202でyes)、内燃機関冷却水温THWには検出冷却水温Xthwの値がそのまま設定される(S204)。更に時刻t3以後についても低温状態判定温度Cthwを越えた状態であるので(S206でyes)、制限低下速度Ldtには「200℃/s」が設定されている(S208)。したがって常にdTHW<Ldtであり(S214でyes)、内燃機関冷却水温THWには検出冷却水温Xthwの値がそのまま設定される(S204)。
図6は冷却水温センサ54が正常であり、車両が暖かい屋内から寒い屋外に出されることで、あるいはブロックヒータにて暖められていた内燃機関2が、ブロックヒータが外されることで、運転開始後に内燃機関冷却水温THWが低下した状態を示している。
内燃機関冷却水温THWが低下し始める前(t11前)は、内燃機関冷却水温THWが低温状態判定温度Cthw未満であっても、THW≦Xthwであるので(S202でyes)、内燃機関冷却水温THWには検出冷却水温Xthwの値がそのまま設定される(S204)。内燃機関冷却水温THWが低下を開始すると(t11以後:S202でno)、内燃機関冷却水温THW<Cthwであるので(S206でno)、制限低下速度Ldtには「2℃/s」が設定される(S210)。しかし冷却水温センサ54は正常であり、検出冷却水温Xthwは「2℃/s」よりも急激な低下をしていない。したがってステップS212にて前記式2から算出される低下速度dTHWは、常にdTHW<Ldtである(S214でyes)。したがって内燃機関冷却水温THWには検出冷却水温Xthwの値がそのまま設定される(S204)。以後、内燃機関冷却水温THW<Bthwとなって初めて目標回転数水温補正量dNが実質的に設定され(t12)、目標回転数水温補正量dNによるアイドル目標回転数Ntの増加補正が内燃機関2の低温化に適合して適切に生じることになる。
図7は、図6と同様の状況を示している。ただし屋外の寒冷状態が通常よりも極端であることにより、正常な冷却水温センサ54にて検出された検出冷却水温Xthwが「2℃/s」よりも少し急な低下を示している(S214でno:t21〜)。このため内燃機関冷却水温THWの低下速度は「2℃/s」に維持される(S216)。そして内燃機関冷却水温THW<Bthwとなると目標回転数水温補正量dNが実質的に設定され(t23)、目標回転数水温補正量dNによるアイドル目標回転数Ntの増加補正が内燃機関2の低温化に適合してなされることになる。そしてこのアイドル目標回転数Ntの増加補正により冷却水が昇温して検出冷却水温Xthwの低下が鈍り、内燃機関冷却水温THWとほぼ一致してくる。このことによりと低下速度dTHWは計算上「2℃/s」未満となり(S214でyes)、内燃機関冷却水温THWに検出冷却水温Xthwの値がそのまま設定される状態に戻る(t24:S204)。
尚、図7では、本実施の形態とは異なり、検出冷却水温Xthwをそのまま内燃機関冷却水温THWに設定し続けている場合のアイドル目標回転数Ntの増加補正を一点鎖線にて示している。この一点鎖線と比較しても、内燃機関冷却水温THWの低下速度を制限した場合も、大差ないタイミングでかつ類似のパターンで、アイドル目標回転数Ntの増加補正が生じている。
図8は、内燃機関2は冷間状態から次第に暖機されてゆくが、途中で冷却水温センサ54が正常から異常となる場合を示している。冷却水温センサ54が正常であって内燃機関冷却水温THWが補正境界温度Bthw以下である状態(t31以前)では、アイドル目標回転数Ntは目標回転数水温補正量dNによる増加により内燃機関2の出力は増加されている。内燃機関冷却水温THWが補正境界温度Bthwを越えると(t31〜)、目標回転数水温補正量dNによるアイドル目標回転数Ntの増加は無くなる。しかし内燃機関冷却水温THWの上昇の途中で冷却水温センサ54の検出異常となり(t32)、冷却水温センサ54の検出値に基づく検出冷却水温Xthwが急変して検出最低温度、ここでは「−40℃」を示す。
このためTHW>Xthwとなり(S202でno)、かつ内燃機関冷却水温THW<Cthwであるので(S206でno)、制限低下速度Ldtには「2℃/s」が設定される(S210)。そして前記式2(S212)により算出される低下速度dTHWは制限低下速度Ldtよりも十分に大きい値(急激な低下)となる(S214でno)。したがって新たな内燃機関冷却水温THWには前記式3のごとく前回算出されている内燃機関冷却水温THWよりも制限低下速度Ldt分低くした値が設定される(S216)。このため内燃機関冷却水温THWと検出冷却水温Xthwとは値が分離して、内燃機関制御に用いられる内燃機関冷却水温THWは徐々に低下し始める。以後、ステップS202とステップS206にて共にnoと判定される状態が継続する。そして内燃機関冷却水温THWが補正境界温度Bthwに到達すると(t33)、アイドル目標回転数Ntは目標回転数水温補正量dNによる増加補正がなされる。
本実施の形態とは異なり、単に検出冷却水温Xthwを内燃機関冷却水温THWに設定すると、冷却水温センサ54の検出異常時には内燃機関冷却水温THWの急激な低下により図8に一点鎖線にて示すごとく直ちに目標回転数水温補正量dNとして最大の値がアイドル目標回転数Ntに加えられる。このことによりアイドル時である場合には吹き上がりを生じる。そして更に車両の走行を開始しようとした場合にはショックを生じるおそれがあるが、本実施の形態ではこのようなことはない。
上述した構成において、請求項との関係は、制御用冷却水温設定処理(図4)のステップS206が環境温度低下可能性判定手段としての処理に、ステップS202が温度低下判定手段としての処理に、ステップS210〜S216が制御量変化抑制手段としての処理に相当する。アイドル目標回転数Ntが内燃機関の運転制御における制御量に相当し、内燃機関冷却水温THWと検出冷却水温Xthwとが共に制御用環境温度値に相当し、冷却水温検出電圧値Vthwが温度センサの検出値である内燃機関の環境温度に関する物理量に相当する。冷却水温センサ54が温度センサに相当する。
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).運転されている内燃機関2の環境温度(ここでは内燃機関冷却水温)が低温状態にある場合は、内燃機関2の運転時の燃焼により昇温するのが普通である。このためTHW>Xthw(S202でno)で、かつTHW<Cthw(S206でno)では冷却水温センサ54が異常である可能性が高まる。したがって冷却水温検出電圧値Vthwに基づいて算出した検出冷却水温Xthwを、そのまま内燃機関冷却水温THWに設定して内燃機関2の運転制御に用いると不都合を生じる。すなわち、実際には内燃機関冷却水温は高まっているにもかかわらず、検出冷却水温Xthwに基づいて設定された内燃機関冷却水温THWでは低温状態にあるとして、図8に一点鎖線にて示したごとく過剰に大きい目標回転数水温補正量dNを設定するおそれがある。
本実施の形態では、このように冷却水温センサ54が異常な検出をしていると判定すると、ステップS210〜S216により直前に算出された内燃機関冷却水温THWに制限低下速度Ldt分の低下処理を加えて新たな内燃機関冷却水温THWを算出している。このことで内燃機関冷却水温THWの低下速度を制限して、内燃機関冷却水温THWの低下に伴って目標回転数水温補正量dNに過剰に大きい値が設定されてアイドル目標回転数Ntに過剰な増加補正が生じるのを防止している。したがって冷却水温センサ54の異常時に内燃機関運転を安定した状態に維持できる。
寒冷地のように、通常では生じないような冷却水温の低下が生じることで、冷却水温センサ54が正常でも「冷却水温の低下の可能性のない状況で内燃機関冷却水温THWが冷却水温の低下を示している」と判断することがある。このような判断が行われても、内燃機関冷却水温THWは低下速度が制限されるのみで低下自体は可能であり、アイドル目標回転数Ntは固定化されることない。したがって図7に示したごとく或程度、実際の冷却水温の低下に対応してアイドル目標回転数Ntを追随させることができるので、冷却水温センサ54の正常時に図7に示した特別な状況となっても内燃機関運転を安定した状態に維持できる。
このことにより外部負荷状態に関係なく、かつ冷却水温センサ54の検出が正常か異常かに関わらず、安定した内燃機関運転を実現することができる。
(ロ).尚、低温状態判定温度Cthwは、制御量(アイドル目標回転数Nt)の補正による変化が実行される温度範囲の上限を示す補正境界温度Bthwよりも高い値に設定されている。このように設定することにより、冷却水温センサ54の検出異常に起因してアイドル目標回転数Ntに大きな変化が生じる前に、アイドル目標回転数Ntの変化を抑制する状態にすることが、より確実にできるようになる。こうして冷却水温センサ54の異常がそのままアイドル目標回転数Ntの変化に反映されるのを、より確実に防止することができるので、一層安定した内燃機関運転を実現することができる。
[実施の形態2]
本実施の形態では、アイドル目標回転数設定処理は図9のごとくであり、制御用冷却水温設定処理は図10に示すごとくであり、それぞれ同一の一定時間周期で繰り返し実行される。他の構成は前記実施の形態1と同じであるので、図1,3も参照して説明する。
アイドル目標回転数設定処理(図9)が開始されると、まず目標回転数外部負荷補正量Ntaが算出される(S300)。これは前記図2のステップS100と同じ処理である。次に前記図3に示したマップMapwから目標回転数水温補正量dNを算出する(S302)。
そして制御用冷却水温設定処理(図10)にて求められている内燃機関冷却水温THWと内燃機関冷却水温前回値THWoldとを比較して、THWold≦THWか否かを判定する(S304)。
尚、制御用冷却水温設定処理(図10)では、まず前回算出されている内燃機関冷却水温THWの値を、内燃機関冷却水温前回値THWoldに設定する(S400)。そして、今回、冷却水温センサ54にて検出された冷却水温検出電圧値Vthwに基づいて、前記図4のステップS200と同じ関数あるいはマップfthwにより、冷却水温検出電圧値Vthwに対応する温度を算出して、そのまま内燃機関冷却水温THWとして設定する(S402)。このような処理を繰り返すことにより制御用冷却水温設定処理(図10)では、内燃機関冷却水温THWと内燃機関冷却水温前回値THWoldとを一定時間周期で更新している。
アイドル目標回転数設定処理(図9)の説明に戻り、ステップS304ではTHWold≦THWを判定することにより、冷却水温センサ54の検出値に基づいて、内燃機関2の冷却水が、同一温度を維持あるいは昇温しているか否かを判定している。
ここでTHWold≦THWの関係が満足されると(S304でyes)、制御量抑制フラグFがOFFか否かが判定される(S306)。制御量抑制フラグFは後述する処理(S314)にてONに設定されるフラグであり、制御量であるアイドル目標回転数Ntの変化(ここでは増加)を抑制している状態(F=ON)か否か(F=OFF)を表すフラグである。制御量抑制フラグFの初期設定値はOFFである。
ここで制御量抑制フラグF=OFFであれば(S306でyes)、前記式1と同様に基本アイドル目標回転数Ntbに対して目標回転数外部負荷補正量Nta及び目標回転数水温補正量dNを加算してアイドル目標回転数Ntを設定する(S308)。すなわちアイドル目標回転数Ntには、前記図3のマップMapwから求められた目標回転数水温補正量dNがそのまま補正に用いられることになる。すなわち内燃機関冷却水温THWの変化に伴う内燃機関の運転制御におけるアイドル目標回転数Ntの変化は抑制していないことを意味する。
そして目標回転数水温補正量前回値dNoldに、目標回転数水温補正量dNを設定して(S310)、本処理を一旦終了する。
一方、THWold>THWであった場合には(S304でno)、内燃機関冷却水温THWが低温状態判定温度Cthwより低いか否かが判定される(S312)。THW≧Cthwであれば(S312でno)、F=OFFであるので(S306でyes)、前述したごとく前記式1によりアイドル目標回転数Ntを設定し(S308)、目標回転数水温補正量前回値dNoldに目標回転数水温補正量dNを設定して(S310)、本処理を一旦終了する。この場合もアイドル目標回転数Ntの変化速度は抑制しない。
したがってF=OFFの状態にて、ステップS304でyes、あるいはステップS312でnoと判定される場合は、アイドル目標回転数Ntの変化速度は抑制されない。
そして、THWold>THWとなり(S304でno)、かつTHW<Cthwとなれば(S312でyes)、すなわち冷却水温の低下の可能性のない状況で内燃機関冷却水温THWが冷却水温の低下を示している場合には、制御量抑制フラグFがOFFか否かが判定される(S313)。F=OFFであるので(S313でyes)、制御量抑制フラグFにONを設定し(S314)、そして抑制補正量dxには目標回転数水温補正量前回値dNoldを設定する(S316)。
そして次に式4のごとく抑制補正量dxの徐増処理を行う(S318)。
[式4] dx ← dx + dNmin
ここで単位補正量dNminは、抑制補正量dxを徐増するための値であり、後述するごとくアイドル目標回転数Ntを補正した場合に急速な回転数上昇が生じないように予め実験や経験に基づいて設定されている値である。例えば単位補正量dNminは、50rpm/sの変化に相当する値が、アイドル目標回転数設定処理(図9)の1周期分に換算されて設定されている。したがってステップS318の処理が繰り返される毎に、単位補正量dNminが積算されて抑制補正量dxが次第に増加することを示している。
次に抑制補正量dxが目標回転数水温補正量dN未満か否かが判定される(S320)。dx<dNであれば(S320でyes)を式5によりアイドル目標回転数Ntを設定する(S322)。
[式5] Nt ← Ntb + Nta + dx
この式5は、前記式1の目標回転数水温補正量dNの代わりに抑制補正量dxを用いたものとなっている。
以後のアイドル目標回転数設定処理(図9)の実行では、ステップS304でno及びステップS312でyesと判定された場合には、F=ONとなっていることから(S313でno)、直ちに抑制補正量dxの徐増処理を行う(S318)。
又、ステップS304でyes、あるいはステップS312でnoと判定された場合にも、F=ONであることから(S306でno)、直ちに抑制補正量dxの徐増処理を行う(S318)。そしてdx<dNである限りは(S320でyes)、前記式5によるアイドル目標回転数Ntの設定がなされる。このことによりアイドル目標回転数Ntが徐々に増加することになる。
そしてdx≧dNとなると(S320でno)、制御量抑制フラグFにOFFを設定し(S324)、前記式1によるアイドル目標回転数Ntの補正に戻る(S308)。
ここで本実施の形態における制御の一例を示す。冷却水温センサ54が正常な値を出力している時は、アイドル目標回転数Ntの変化については前記実施の形態1にて例示した図5,6と同様な推移となる。
図11のタイミングチャートは、内燃機関2は冷間状態から次第に暖機されてゆくが、途中で冷却水温センサ54の検出が正常から異常に変わる状態を示している。冷却水温センサ54が正常であって、内燃機関冷却水温THWが補正境界温度Bthw以下(t41以前)では、アイドル目標回転数Ntは目標回転数水温補正量dNによる増加補正により内燃機関2の出力は増加されている。補正境界温度Bthwを越えると(t41〜)、目標回転数水温補正量dNによるアイドル目標回転数Ntの増加補正は無くなる。しかし内燃機関冷却水温THWの上昇の途中で冷却水温センサ54が異常となり(t42〜)、冷却水温センサ54の検出値に基づく検出冷却水温Xthwが急変して検出最低温度、ここでは「−40℃」を示す。したがって、THWold>THWとなり(S304でno)、同時に内燃機関冷却水温THW<Cthwであるので(S312でyes)、アイドル目標回転数Ntに対しては抑制補正量dxによる補正がなされることになる(S316〜S322)。このことによりアイドル目標回転数Ntは徐々に増加することになる(t42〜)。
本実施の形態とは異なり、冷却水温センサ54の出力異常時においても、目標回転数水温補正量dNにてアイドル目標回転数Ntを補正する処理を継続した場合には、図11に一点鎖線にて示すごとく、直ちに目標回転数水温補正量dNとして最大の値がアイドル目標回転数Ntに加えられる。このため、アイドル時である場合には吹き上がりを生じ、その後、車両の走行を開始しようとした場合にはショックを生じるおそれがある。
図12のタイミングチャートは、冷却水温センサ54が正常であり、車両が暖かい屋内から寒い屋外に出された場合、あるいはブロックヒータが外された場合であって、運転開始後に内燃機関冷却水温THWが低下した状態を示している。
内燃機関冷却水温THWが低下し始める前(t51前)は、内燃機関冷却水温THWが低温状態判定温度Cthw未満であっても、THWold≦THWであるので(S304でyes)、前記式1によりアイドル目標回転数Ntは目標回転数水温補正量dNにより補正される(S308)。ただし、この時点(t51)ではdN=0である。
内燃機関冷却水温THWが低下しはじめると(t51〜:S304でno)、既に内燃機関冷却水温THW<Cthwであるので(S312でyes)、制御量抑制フラグFにONが設定されるが(S314)、この時はまだ目標回転数水温補正量dN=0である。したがってステップS316,S318の一連の処理ではdx>dNとなり(S320でno)、直ちに制御量抑制フラグFはOFFに戻され(S324)、前記式1の計算によりアイドル目標回転数Ntが算出される。尚、このように直ちに制御量抑制フラグFがOFFに戻される期間(t51〜t52)は図12ではF=OFFの領域として表している。
その後、内燃機関冷却水温THW≦Bthwとなれば(t52〜)、一点鎖線にて示すごとく前記図3により目標回転数水温補正量dNが実質的に設定されるので、dx<dNとなり(S320でyes)、アイドル目標回転数Ntは前記式5により算出される(S322)。このためアイドル目標回転数Ntは徐々に増加する。そして抑制補正量dxが目標回転数水温補正量dNに追いつくことにより(t53)、dx≧dNとなれば(t53〜:S320でno)、制御量抑制フラグFはOFFに戻され(S324)、前記式1の計算によりアイドル目標回転数Ntが算出される状態に戻る(S308)。この間の内燃機関冷却水温THWの上昇により、THW>Bthwとなれば(t54)、dN=0となり、目標回転数水温補正量dNによるアイドル目標回転数Ntの増加補正は終了する。
抑制補正量dxは固定されるのではなく徐々に目標回転数水温補正量dNに近づけられるので、このような冷却水温低下時にアイドル目標回転数Ntの増加補正を抑制しても、最終的には十分な増加補正が可能となる。
上述した構成において、請求項との関係は、アイドル目標回転数設定処理(図9)のステップS312が環境温度低下可能性判定手段としての処理に、ステップS304が温度低下判定手段としての処理に、ステップS306,S310,S313〜S322が制御量変化抑制手段としての処理に相当する。アイドル目標回転数Ntが内燃機関の運転制御における制御量に相当し、内燃機関冷却水温THWが制御用環境温度値に相当し、冷却水温検出電圧値Vthwが温度センサの検出値である内燃機関の環境温度に関する物理量に相当する。冷却水温センサ54が温度センサに相当する。
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).THWold>THW(S304でno)で、THW<Cthw(S312でyes)では冷却水温センサ54が異常である可能性が高まる。したがって前記図3にて内燃機関冷却水温THWに基づいて求めた目標回転数水温補正量dNにてアイドル目標回転数Ntを補正したのでは、内燃機関2の運転制御に不都合を生じる。すなわち、図11に一点鎖線にて示したごとく、実際には内燃機関2の環境温度は高まっているにもかかわらず目標回転数水温補正量dNによる補正では、過剰に大きいアイドル目標回転数Ntが設定されるおそれがある。
このような状況であると判定されると、ステップS316〜S322により、目標回転数水温補正量dNに代えて抑制補正量dxによりアイドル目標回転数Ntを補正している。このことによりアイドル目標回転数Ntに過剰な増加補正が生じるのを防止している。したがって冷却水温センサ54の異常時に内燃機関運転を安定した状態に維持できる。
寒冷地のように、通常では生じないような冷却水温の低下が生じることで、冷却水温センサ54が正常でも「冷却水温の低下の可能性のない状況で内燃機関冷却水温THWが冷却水温の低下を示している」と判断することがある。このような判断が行われても、アイドル目標回転数Ntの変化速度が制限されるのみであり変化自体は可能である。アイドル目標回転数Ntは固定化されることはない。したがって、図12に示したごとく、或程度、実際の冷却水温の低下に対応してアイドル目標回転数Ntを追随させることができるので、冷却水温センサ54の正常時に図12に示した特別な状況となっても内燃機関運転を安定した状態に維持できる。
このことにより外部負荷状態に関係なく、かつ冷却水温センサ54の検出が正常か異常かに関わらず、安定した内燃機関運転を実現することができる。
(ロ).前記実施の形態1の(ロ)の効果を生じる。
[実施の形態3]
本実施の形態は、前記実施の形態1のごとく冷却水温THWに依存してアイドル目標回転数Ntの補正を実行している内燃機関において、更に外気温THZに依存したアイドルアップを実行するものである。したがって前記図2の代わりに図13に示すアイドル目標回転数設定処理が一定時間周期で実行される。これと同周期で、更に図15,16に示す制御用外気温設定処理が実行される。他の構成は前記実施の形態1と同じであるので、図1,3,4を参照して説明する。
アイドル目標回転数設定処理(図13)が実行されると、まず目標回転数外部負荷補正量Ntaの設定がなされる(S500)。この処理は前記図2のステップS100の処理と同じである。次に内燃機関冷却水温THWに基づいて前記図3に示すマップMapwから目標回転数水温補正量dNを算出する(S502)。この処理は前記図2のステップS102の処理と同じである。
次に後述する図15,16の制御用外気温設定処理にて算出される外気温THZに基づいて図14に示すマップMapzから目標回転数外気温補正量dNzを算出する(S504)。
次に式6により、前記実施の形態1にて述べた基本アイドル目標回転数Ntbに目標回転数外部負荷補正量Nta、目標回転数水温補正量dN及び目標回転数外気温補正量dNzを加えて、アイドル目標回転数Ntを算出する(S506)。
[式6] Nt ← Ntb + Nta + dN + dNz
こうして一旦本処理を終了する。以後、実行周期毎に上記処理(S500〜S506)が実行されてアイドル目標回転数Ntが繰り返し更新される。
制御用外気温設定処理(図15,16)について説明する。本処理が開始されると、まず、今回、外気温センサ58にて検出されている外気温検出電圧値Vthzに基づいて、関数あるいはマップfthzにより、外気温検出電圧値Vthzに対応する検出外気温Xthzを求める(S600)。次に吸気温センサ56にて検出されている吸気温検出電圧値Vthaに基づいて、関数あるいはマップfthaにより、吸気温検出電圧値Vthaに対応する吸気温THAを求める(S602)。
次に外気温センサ58の正常・異常の状態判定がなされる(S604)。この状態判定は別途、ECU4が実行している外気温センサ58の断線や短絡を判断する故障診断システムにより判定されているデータに基づいて行われる。ここで外気温センサ58が正常状態にあるとされていれば(S604で正常)、次に直前の本処理において求められている外気温THZと検出外気温XthzとがTHZ≦Xthzの関係にあるか否かが判定される(S606)。すなわち外気温センサ58の検出結果に基づいて、内燃機関2の環境温度の1つである外気温が同一温度を維持あるいは昇温しているか否かが判定される。
ここでTHZ≦Xthzの関係が満足されると(S606でyes)、外気温は同一温度を維持あるいは昇温しているとして、外気温THZには検出外気温Xthzが設定されることにより、外気温THZの値が更新される(S608)。したがって外気温の昇温時には、外気温検出電圧値Vthzから算出された検出外気温Xthzがそのまま外気温THZに設定されることになる。
一方、THZ≦Xthzが否定された場合(S606でno)、すなわち「THZ>Xthz」であって、外気温は低下していると判定されると、次に外気温THZが低温状態判定温度Cthz(例えば15℃)以上か否かが判定される(S610)。THZ≧Cthzであれば(S610でyes)、制限低下速度Ldtに150℃/sを設定する(S612)。ここで制限低下速度Ldtは計算上の外気温THZの低下速度を制限する値であり、ステップS612にて設定された制限低下速度Ldt=150℃/sという値は、実際にはこのような急激な温度低下は有り得ない。すなわちステップS612の設定は、外気温THZの低下速度を制限しないことを意味する。
一方、THZ<Cthzであれば(S610でno)、制限低下速度Ldtに1.5℃/sを設定する(S614)。このステップS614にて設定された制限低下速度Ldt=1.5℃/sという値は、外気温センサ58の正常時に外気温に生じる低下速度の上限、あるいはこの上限よりもわずかに高い値である。したがってステップS614の設定は、外気温センサ58の異常時に外気温THZの低下速度を制限することを意味する。
尚、実験や経験上、通常の環境下において、外気温THZ(ここでは車室内の温度)が或程度低温であれば、それ以上の外気温THZの低下は考えられないという温度が存在する。この温度やこの温度以下の温度が低温状態判定温度Cthzとして設定されている。
ステップS612又はステップS614の処理後に、式7に示すごとく前回の制御用外気温設定処理実行時に算出されている外気温THZから今回の検出外気温Xthzへの低下速度dTHZを算出する(S616)。
[式7] dTHZ ← (THZ−Xthz)/tw
ここでtwは制御用外気温設定処理(図15,16)の実行周期(s)である。
このように求められた低下速度dTHZが制限低下速度Ldtよりも低いか否かが判定される(S618)。dTHZ<Ldtであれば(S618でyes)、外気温THZには検出外気温Xthzが設定されることにより、外気温THZの値が更新される(S608)。すなわち外気温センサ58が異常な検出をしていないとして、外気温センサ58にて検出されている物理量(外気温検出電圧値Vthz)に基づいて算出された検出外気温Xthz通りに外気温THZを設定する。
一方、dTHZ≧Ldtであれば(S618でno)、式8により外気温THZが更新される(S620)。
[式8] THZ ← THZ − Ldt
すなわち外気温センサ58は異常な検出状態にあるとして、外気温センサ58にて検出されている物理量(外気温検出電圧値Vthz)に基づいて算出された検出外気温Xthzは用いずに、制限低下速度Ldt分の外気温THZの低下を実行する。
外気温センサ58が断線や短絡により異常状態である場合には(S604で異常)、次に吸気温センサ56の正常・異常の状態判定がなされる(S630)。この状態判定は別途、ECU4が実行している吸気温センサ56の断線や短絡を判断する故障診断システムにより判定されているデータに基づいて行われる。ここで吸気温センサ56が正常状態にあるとされれば(S630で正常)、次に冷却水温センサ54の正常・異常の状態判定がなされる(S632)。この状態判定は別途、ECU4が実行している冷却水温センサ54の断線や短絡を判断する故障診断システムにより判定されているデータに基づいて行われる。ここで冷却水温センサ54が正常状態にあるとされれば(S632で正常)、式9にて外気温THZが設定される(S634)。
[式9] THZ ← Min(THW,THA)
ここでMin()は()内の数値の小さい値を抽出する演算子である。したがって冷却水温THWと吸気温THAとの内で低い方の温度が外気温THZに設定される。
ステップS632で冷却水温センサ54が異常状態にあると判定されると、外気温THZには吸気温THAの値が設定される(S636)。
又、ステップS630にて吸気温センサ56が異常状態にあると判定されると、次に冷却水温センサ54の正常・異常の状態判定がなされる(S638)。この処理はステップS632と同じ処理である。ここで冷却水温センサ54が正常状態にあるとされれば(S638で正常)、外気温THZには冷却水温THWの値が設定される(S640)。尚、ステップS638にて冷却水温センサ54が異常状態にあると判定されると、外気温THZには一定値THZ0が設定される(S642)。
図17,18のタイミングチャートに、本実施の形態における制御の一例を示す。
図17は外気温センサ58の検出が異常になった場合(t51)を示している。尚、冷却水温THWによる目標回転数水温補正量dNは0としている。この異常検出により、検出外気温Xthzが低下して(S606でno)、外気温THZが低温状態判定温度Cthzよりも低くなると(S610でno:t52)、外気温THZの低下速度は1.5℃/sに制限される(S614〜620)。このことにより目標回転数外気温補正量dNzによるアイドル目標回転数Ntの増加補正開始は遅延され(t54)、目標回転数外気温補正量dNzによる増加自体も緩慢となる(t54〜)。
もし検出外気温Xthzをそのまま外気温THZとして設定した場合には、一点鎖線にて示すごとく、外気温THZは直ちに補正境界温度Bthz(図14)以下に低下して、目標回転数外気温補正量dNzによるアイドル目標回転数Ntの増加がなされる(t53)。しかも目標回転数外気温補正量dNzによる増加自体も急激なものとなる(t53〜)。
図18は外気温センサ58が正常であるが、車両が暖かい屋内から寒い屋外に出され、この屋外の寒冷状態が通常よりも極端であることにより、正常な外気温センサ58にて検出された検出外気温Xthzが「1.5℃/s」よりも少し急な低下を示している(S618でno:t61〜)。このため外気温THZの低下速度は「1.5℃/s」に維持される(S620)。そして外気温THZ<Bthzとなると目標回転数外気温補正量dNzが実質的に設定され(t63)、目標回転数外気温補正量dNzによるアイドル目標回転数Ntの増加補正が外気温の低温化に適合してなされることになる。その後、検出外気温Xthzの低下が鈍り外気温THZとほぼ一致してくる。このことによりと低下速度dTHZは計算上「1.5℃/s」未満となり(S618でyes)、外気温THZに検出外気温Xthzの値がそのまま設定される状態に戻る(t64:S608)。
尚、図18では、本実施の形態とは異なり、検出外気温Xthzをそのまま外気温THZに設定し続けている場合のアイドル目標回転数Ntの増加補正を一点鎖線にて示している。この一点鎖線と比較しても、外気温THZの低下速度を制限した場合も、大差ないタイミングでかつ類似のパターンで、アイドル目標回転数Ntの増加補正が生じている。
図19は外気温センサ58が検出異常になった(t71)後で故障診断システム側にて外気温センサ58が異常であるとの判定がなされた(t73)場合を示している。ここでは、外気温THZが低温状態判定温度Cthzよりも低くなって(S610でno:t72)、外気温THZの低下速度が抑制された(S614〜620)後に、外気温センサ58が異常と判定されている(S604で異常)。そして吸気温センサ56及び冷却水温センサ54について状態が判定される。ここで吸気温センサ56も冷却水温センサ54も共に正常である場合には(S630で正常、S632で正常)、前記式9により冷却水温THWか吸気温THAかのいずれか低い方の温度が外気温THZとして設定される(S634:t73)。ここでは吸気温THAが外気温THZに設定された例を示している。このことにより、外気温THZは吸気温THAに応じて上昇している。このため外気温THZは補正境界温度Bthz以下とはならず、外気温THZの低下に伴うアイドル目標回転数Ntの増加はなされず内燃機関運転は安定している。
上述した構成において、請求項との関係は、前述した実施の形態1での対応関係に加えて、制御用外気温設定処理(図15,16)のステップS610が環境温度低下可能性判定手段としての処理に、ステップS606が温度低下判定手段としての処理に相当する。そしてステップS614〜S620が制御量変化抑制手段としての処理に相当する。外気温THZと検出外気温Xthzとが共に制御用環境温度値に相当し、外気温検出電圧値Vthzが温度センサの検出値である内燃機関の環境温度に関する物理量に相当する。外気温センサ58が温度センサに相当する。
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1の効果と共に、外気温センサ58の検出異常に対しても同様な効果を生じさせることができる。
[その他の実施の形態]
(a).前記実施の形態3では外気温センサ58の異常検出に対する処理であったが、吸気温センサ56の異常検出についても、特に図15に示した処理については、低温状態判定温度Cthzや制限低下速度Ldtに設定する値は異なるが、外気温センサ58の場合と同様にして適用することができる。
(b).前記実施の形態2においては、冷却水温センサ54の検出異常時には、アイドル目標回転数Ntを補正する目標回転数水温補正量dNの増加を制限した。このアイドル目標回転数Nt以外に、冷却水温センサ54の検出値により、冷却水温が低温化した場合にアイドルアップを行う制御量が存在すれば、このような他の制御量に対しても適用できる。
例えば、冷却水低温時のアイドルアップのために制御量としてスロットル開度TAの増加を行う制御が挙げられる。この場合は、アイドル目標回転数設定処理(図9)のステップS304でno、ステップS312でyesと判定されると、抑制補正量dxとしてスロットル開度TAの抑制補正量を計算してスロットルバルブ26の目標開度を補正することで、スロットル開度TAの増加を制限する。この場合の抑制補正量dxに積算される単位補正量dNminとしては、50rpm/sのアイドル回転数増加速度相当のスロットル開度TAの増加速度分を設定する。冷却水温の代わりに、吸気温あるいは外気温を用いる場合も同じである。
又、アイドル目標回転数Ntを増加させる処理についても、アイドル制御用補正でなく、内燃機関の昇温を促進するためのヒータアイドルアップ量が内燃機関冷却水温THWに依存して存在している場合にも適用できる。この場合はヒータアイドルアップ量について、前記抑制補正量dxと同様に抑制補正量を設けて積算させつつ徐々に増加させる。冷却水温の代わりに吸気温あるいは外気温を用いる場合も同じである。スロットル開度TAにヒータアイドルアップ量を設定しても良く、この場合は上述したごとくである。
又、触媒の暖機を促進するための触媒暖機要求アイドルアップ量が内燃機関冷却水温THWに依存して存在している場合も、上記ヒータアイドルアップ量の場合と同様に適用できる。
(c).ディーゼルエンジンにて、アイドル時のみでなく、車両走行中において低温時の燃料噴射量補正がなされる場合には、燃料噴射量を制御量として、前記実施の形態1,3の適用が可能である。このことによりディーゼル車の走行中のショックを防止できる。
更に、前記実施の形態2についても抑制補正量dxを燃料噴射量の抑制補正量とすれば、前記実施の形態2についてもディーゼルエンジンに適用可能である。この場合はアイドル時のみでなく走行時における燃料噴射量補正にも適用できる。
(d).ステップS206の低温状態判定温度Cthwとの比較は、内燃機関冷却水温THWではなく、検出冷却水温Xthwでも良い。ステップS610での低温状態判定温度Cthzとの比較は、外気温THZではなく、検出外気温Xthzでも良い。
(e).環境温度としては、前述した冷却水温、吸気温、外気温以外にエンジン油温が挙げられ、このエンジン油温に依存してアイドル目標回転数や燃料噴射量の補正などの制御を実行している内燃機関についても前述したごとく各実施の形態を適用することができる。
実施の形態1の車両搭載内燃機関及びECUの概略構成図。 実施の形態1のアイドル目標回転数設定処理のフローチャート。 内燃機関冷却水温THWと目標回転数水温補正量dNとの関係を設定するマップMapwの構成説明図。 実施の形態1の制御用冷却水温設定処理のフローチャート。 実施の形態1の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態1の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態1の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態1の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態2のアイドル目標回転数設定処理のフローチャート。 実施の形態2の制御用冷却水温設定処理のフローチャート。 実施の形態2の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態2の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態3のアイドル目標回転数設定処理のフローチャート。 外気温THZと目標回転数外気温補正量dNzとの関係を設定するマップMapzの構成説明図。 実施の形態3の制御用外気温設定処理のフローチャート。 実施の形態3の制御用外気温設定処理のフローチャート。 実施の形態3の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態3の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態3の処理の一例を示すタイミングチャート。
符号の説明
2…内燃機関、2a…吸気バルブ、2b…排気バルブ、4…ECU、10…燃焼室、12…燃料噴射弁、14…点火プラグ、16…吸気ポート、20…吸気通路、22…サージタンク、24…スロットルバルブ用モータ、26…スロットルバルブ、28…スロットル開度センサ、30…吸入空気量センサ、32…排気ポート、36…排気通路、38…触媒コンバータ、40…空燃比センサ、46…アクセルペダル、48…アクセル開度センサ、50…内燃機関回転数センサ、52…基準クランク角センサ、54…冷却水温センサ、56…吸気温センサ、58…外気温センサ、AC…エアコン。

Claims (10)

  1. 内燃機関の環境温度に関する物理量を温度センサにて検出し、該温度センサの検出値に基づいて算出した制御用環境温度値を内燃機関の運転制御に用いる内燃機関制御装置であって、
    前記環境温度の低下の可能性のない状況か否かを判定する環境温度低下可能性判定手段と、
    前記制御用環境温度値が前記環境温度の低下を示しているか否かを判定する温度低下判定手段と、
    前記環境温度低下可能性判定手段にて前記環境温度の低下の可能性のない状況であると判定され、かつ前記温度低下判定手段にて前記制御用環境温度値が前記環境温度の低下を示していると判定された場合に、前記制御用環境温度値の変化に伴う内燃機関の運転制御における制御量の変化を抑制する制御量変化抑制手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関制御装置。
  2. 請求項1において、前記環境温度低下可能性判定手段は、前記制御用環境温度値が低温状態判定温度以下である状況を、前記環境温度の低下の可能性のない状況であると判定することを特徴とする内燃機関制御装置。
  3. 請求項2において、前記低温状態判定温度は、前記制御用環境温度値の変化に伴う前記制御量の変化が実行される温度範囲よりも高い温度に設定されていることを特徴とする内燃機関制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記制御量変化抑制手段は、前記温度センサの検出値に基づいて算出される前記制御用環境温度値の低下速度を制限することにより、該制御用環境温度値の変化に伴う内燃機関の運転制御における制御量の変化を抑制することを特徴とする内燃機関制御装置。
  5. 請求項4において、前記制御量変化抑制手段は、前記温度センサの検出値が予め設定した制限低下速度よりも急速な温度低下を示している場合には、直前に算出された前記制御用環境温度値に前記制限低下速度分の低下処理を加えて新たな制御用環境温度値を算出することで前記制御用環境温度値の低下速度を制限することを特徴とする内燃機関制御装置。
  6. 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記制御量変化抑制手段は、前記制御用環境温度値に基づいて補正される内燃機関の運転制御における制御量の変化速度を制限することにより、該制御用環境温度値の変化に伴う内燃機関の運転制御における制御量の変化を抑制することを特徴とする内燃機関制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかにおいて、前記制御量とはアイドル目標回転数であることを特徴とする内燃機関制御装置。
  8. 請求項1〜6のいずれかにおいて、前記制御量とはアイドル時にて吸気量を調節する際のバルブ開度であることを特徴とする内燃機関制御装置。
  9. 請求項1〜6のいずれかにおいて、内燃機関がディーゼルエンジンであって、前記制御量とは燃料噴射量であることを特徴とする内燃機関制御装置。
  10. 請求項1〜9のいずれかにおいて、前記内燃機関の環境温度は、冷却水温、吸気温、外気温及びエンジン油温のいずれか1つ以上であることを特徴とする内燃機関制御装置。
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