JP2007291588A - 抄紙シートの製造方法及び抄紙機 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄粉等の比重の高い添加物を含んだ抄紙シートを、坪量を均一にして抄紙することが可能な製造方法及び装置を提供すること。
【解決手段】本発明の抄紙シートの製造方法は、原料スラリーを抄紙機のヘッドボックスに導いた後、該原料スラリーの流れを該ヘッドボックス内の上流側に配された第1堰及び該第1堰の下流側に配された第2堰を通過させて原料スラリーを抄紙網上にて脱水して抄紙する。前記原料スラリーの流路を前記第1堰で一旦絞り込んで該原料スラリーの流れを加速し、絞り込まれた原料スラリーの主流方向が前記第2堰に正対するようにして原料スラリーを該第2堰に加速した状態で衝突させた後に第2堰を通過させて抄紙を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、抄紙方法及び装置に関し、特に鉄粉等の比重の重い添加物を含んだ抄紙シートの製造に好適な製造方法及び抄紙機に関する。
脱臭、光触媒作用等の特殊な機能を有する無機粉体を含ませてシート化した機能紙の普及が進んでいる。シート化することによってハンドリングが容易になり、前記無機粉体の有する機能を日常生活の様々な場面での利用が可能になるためである。また、鉄粉等の被酸化金属粉末と塩化ナトリウム等の電解質等を含有する発熱体をシート化する技術も提案されている。このようなシート化の一手段として抄紙方法がある。シートに特殊な機能を発現させる無機粉体や被酸化性金属等の添加物を原料スラリー中に配合し、抄紙の際にパルプとともに該添加物を固定して抄紙シートにするものである。斯かる抄紙シートの製造においては、得られる抄紙シートに安定した性能を発揮させるために、前記添加物を含んだ抄紙シートを坪量分布が均一になるように抄紙する必要がある。
上述のような添加物を含まない普通紙の抄紙する場合は、フローボックス(以下、ヘッドボックスともいう。)内の原料スラリーの流路に整流板を多数配列し、局部的なうず流を沈静することによって原料スラリーの濃度を均等にするとともに、断面が三角形状の整流框を整流板に配置し、原料スラリーの流れを攪乱してその濃度の均一化を図っている(例えば、特許文献1参照)。また、比重が主として5以下である無機粉体を添加物として配合した原料スラリーを用いて抄紙シートを製造する技術も提案されている(特許文献2参照)。
特許第85491号公報 特公平4-15317号公報
しかし、本発明者による検討結果では、鉄粉等の高比重(主として比重5以上)の添加物を配合した水系の原料スラリーから抄紙シートを製造する場合、原料スラリーの流路に堰が多数配設されたヘッドボックスを用いると、原料スラリー中の添加物の凝集体(以下、フロックともいう。)がすぐに沈殿するという問題が発生した。鉄粉等の添加物は原料スラリーの搬送媒体である水よりも高比重であるため、堰の周辺で発生した流れの滞留部分でフロックが沈殿し、流路の底に堆積した。堰が多いほどこの堆積量が増加し、新たに流入してきた原料スラリーの流れを不安定化させるほか、得られる抄紙シート中の添加物の坪量分布も不均一になり易いことがわかった。
その一方で、最近では抄紙シートに発現させる機能を高めるために、鉄粉等の添加物の配合量をさらに増やすことが望まれており、上記の不安定化はより深刻になっている。
そこで、本発明者は、高比重の添加物を高濃度に含む原料スラリーを用いる場合、ヘッドボックス内における原料スラリーの平均流速が、ある一定速度より低下するとフロックが直ちに沈降を開始するため、ヘッドボックス内における原料スラリーの滞留部分を少なくし、原料スラリーのヘッドボックスの幅方向の速度分布を均一にし、かつ抄紙を促すための原料スラリーの減速を均一にすることが、得られる抄紙シートの坪量や組成のばらつきを抑える点で重要であると考えた。そして、ヘッドボックス内の堰を減らして効率的に原料スラリーの流れを制御することで、原料スラリー中の該添加物の沈殿を抑えて坪量分布の均一な抄紙シートを製造し得ることを知見し、本発明を完成するに至った。
本発明は、鉄粉等の比重の高い添加物を含んだ抄紙シートをその坪量を均一にして抄紙することが可能な抄紙シートの製造方法及び抄紙機を提供することを目的とする。
本発明は、抄紙機のヘッドボックス内の上流側に第1堰、該第1堰の下流に第2堰をそれぞれ配設し、該ヘッドボックスに導いた抄紙用の原料スラリーの流れを第1、第2堰で制御して抄紙網上に抄紙する抄紙シートの製造方法であって、前記原料スラリーの流路を第1堰で一旦絞り込んで該原料スラリーの流れを加速させるとともに、絞り込まれた前記原料スラリーの主流方向を第2堰に正対させ、前記原料スラリーを加速した状態で第2堰に衝突させてから第2堰を通過させる抄紙シートの製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
また、本発明は、抄紙機のヘッドボックス内の、サクションボックスの吸引開始位置の近傍に堰を配設し、該ヘッドボックスに導いた抄紙用の原料スラリーの流れを該堰で制御して抄紙網上に抄紙する抄紙シートの製造方法であって、前記原料スラリーの主流方向が前記堰に正対するようにして該原料スラリーを該堰に加速した状態で衝突させた後に該堰を通過させる抄紙シートの製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
また、本発明は、前記本発明の抄紙シートの製造方法の実施に用いるための抄紙機であって、原料スラリーが導入されるヘッドボックスと、該ヘッドボックスを通った原料スラリーを抄紙する抄紙網とを備え、前記ヘッドボックスに、上流側に第1堰、第1堰の下流に第2堰がそれぞれ配設され、第1堰を通過した原料スラリーの主流方向が第2堰に正対するよう設けられている抄紙機を提供するものである。
本発明によれば、鉄粉等の比重の高い添加物を含んだ抄紙シートをその坪量を均一にして抄紙することができる。
以下、本発明を、前記添加物として、下記鉄粉等の被酸化性金属及び保水剤を含んだ発熱性の抄紙シートに適用した好ましい実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の抄紙機を含む抄紙シートの製造装置(以下、単に製造装置ともいう。)の一実施形態を模式的に示したものである。図1において符号1は製造装置を示している。
図1に示すように、製造装置1は、抄紙機2と、抄紙機2に導入される原料スラリーの調製槽3と、調製槽3で調製された原料スラリーを抄紙機2に送る前に希釈する希釈水の貯留槽4と、抄紙機2で抄紙された抄紙シートを脱水する脱水機5と、脱水を終えた抄紙シート乾燥する乾燥機6と、乾燥を終えた抄紙シートを巻き取ってロールにする巻取機7とを備えている。抄紙機2と貯留槽4は輸送管40で接続されており、輸送管40には調製槽3に通じる輸送管30が接続されている。
製造装置1における抄紙機2は、原料スラリーが導入されるヘッドボックス21と、ヘッドボックス21を通った原料スラリーを抄紙する抄紙網22とを備えている。製造装置1においては、原料スラリーが高比重の添加物を高濃度に含有している点及び抄紙シートの生産性を考慮して抄紙機2には長網抄紙機が採用されている。抄紙機には、円網抄紙機、短網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の他の抄紙機を採用することもできる。
ヘッドボックス21は、フローボックスとも称され、輸送管30、40を通じて下方の導入口211から導入された所定濃度の原料スラリーを、抄紙網22へのランディング部212に導き、抄紙シートの幅に合わせて幅方向に分配するとともに、抄紙網22上へと続く一連の液だまりを形成するものである。ヘッドボックス21は、抄紙シートの幅に合わせて原料スラリーを幅方向に分散させる必要があるため、原料スラリーをヘッドボックス21へ導くための輸送管40の流路断面積よりもヘッドボックス21内の流路断面積が広くなるように設けられている。
本実施形態の製造装置1においては、原料スラリーに高比重の添加物が高濃度に含まれており、一般的な抄紙と比べて抄紙速度が遅いこと、後述する堰(第1堰)23、堰(第2堰)24の操作性等を考慮し、ヘッドボックス21には開放型のヘッドボックスが採用されている。ヘッドボックスには、開放型以外に密閉型のヘッドボックスを採用することもできる。
ヘッドボックス21には、当該ヘッドボックス21内に導入された原料スラリーの流れを制御する堰23、24が配設されている。堰23、24は、具体的には、後述するように原料スラリーの平均流速、流量及び主流の流れを調整する。製造装置1においては、堰23はヘッドボックス21のランディング部212の始端部(以下上流端ともいう)S(図1参照)から終端部(すなわち抄紙開始位置)F(図1参照)の間に配設されている。また、堰24は堰23よりも下流に配設されていて、抄紙網22上への抄紙は、堰24の手前側から開始される。
堰23、24の角度調整及び高さ調整手段には、一般的に良く使用されるネジとスライド機構の組み合わせが採用される。図2に示すように、本実施形態では、堰23は、角度調整用ハンドル231及び高さ調整用ハンドル232によって角度及び高さ位置が調整可能に設けられた堰止板233を備えている。角度調整用ハンドル231の先端には回転シャフト2311が取り付けられており、この回転シャフト2311に、高さ調整用ハンドル232が回転自在に取り付けられている。高さ調整用ハンドルの先端部には、ねじが設けられており、このねじの部分が堰止板233のねじ穴部2321に螺着されている。そして、これらのハンドル231、232を回転させることによって、堰止板233を所望の角度及び高さに位置決し、原料スラリーの流れを制御する。各ハンドル231、232による堰止板233の角度及び高さ調整手段は、堰24は堰23と同様の構成を有しているため、図による説明は省略する。
堰23、24の各堰止板は、原料スラリー(水及び添加物)によって腐食しない材質のものが好ましい。本実施形態では、堰23、24の各堰止板はステンレス製の部材で構成されている。また、堰23、24の各堰止板の表面は原料スラリー中の添加物が付着しにくいよう、平坦で且つ平滑であることが望ましい。また、堰23、24は、ヘッドボックス21内を流れる原料スラリーの流れの向き(以下、主流方向ともいう)を強制的に変更させるために必要な強度設計で配設されている。
堰23、24は、堰23を通過した原料スラリーが加速され、その主流方向が堰24に対して正対するようにそれぞれ配設されている。ここで、堰23を通過した原料スラリーの主流方向が堰24に対して正対するとは、堰23を通過した該原料スラリーの主流方向と、堰24の堰止板243との交差する角度θがほぼ直角であることをいう。ほぼ直角とは90度±15度のことである。斯かる角度範囲であれば、本発明の効果を損なうことなく抄紙シートの製造を行うことができる。また、原料スラリーの主流方向とは、ヘッドボックス21内に導入された原料スラリーが上流から下流へ向かうマクロ的な流れ方向をいう。なお、原料スラリーの流速は速度の大きさと速度の向きで表される。
堰23は、堰24で原料スラリーの流速を幅方向に均一に減速させるための前処理として、前述のようにヘッドボックス21に導入された原料スラリーの主流方向を変えるように機能する。また、堰23は、ヘッドボックス21に導入されて幅方向に広げられた原料スラリーの流路断面を深さ方向に一旦絞り込んで狭めるように機能する(図1の場合)。これにより、流路面積の狭い輸送管40を通してヘッドボックス21内に導入された原料スラリーの流れが前記添加物のフロックの沈降開始速度より下がることなく加速される。さらに、堰23は、ヘッドボックス21内における原料スラリーの流路断面を絞り、原料スラリーの流れを加速することによって、ヘッドボックス21の幅(抄紙シートの幅)方向に均一な速度分布(速度の大きさと向きの分布)を流れに与えるように機能する。堰23の堰止板233は、これらの全ての機能を果たすように、角度及び高さ位置が調整されている。堰23の配設位置は、原料スラリーの平均流速及びヘッドボックス21の形状に応じて設定される。堰23は、原料スラリー内の前記フロックがヘッドボックス21内で自然に(自然にとは、堰が無い状態を指す)沈降を開始する位置よりも、上流側に配設する。沈降開始位置よりも下流側に堰を配設すると、当該堰の設置による効果が得られないからである。また、堰23による原料スラリーの分配均一化機能(効果)は、堰23よりも上流側の空間容積に比例して高くなるため、前記フロックが沈降しない範囲でできるだけ下流側に堰23を配設し、堰23よりも上流側の空間容積を広くすることが望ましい。前記フロックの沈降開始位置は原料スラリーの組成や運転条件、ヘッドボックスの形状によって異なるため、これらの条件に合わせて適切に堰23の配設位置を設定する。
堰24は、堰止板243に、堰23を通過した原料スラリーを衝突させ、その衝突力によって流速を幅方向に均一化させるとともに、該フロックの一部を急激に沈降させるよう機能する。堰24との衝突によって沈降しなかったフロックは、堰24を通過することで、均一化された速度分布で再加速される。以下に詳述する。
堰24は、堰23の下流側にあって、堰23を通過して加速された原料スラリーの主流平均流速(流量を後述の流路断面積で除して求められる速度)が、前記添加物のフロックが沈降を開始する速度にまで低下する前の位置に配設されている。この場合、フロック沈降開始速度まで平均流速が低下する直前の位置に堰24を配設することが好ましい。これは、前述の堰23と同様に、堰24による原料スラリーの分配均一化機能が、堰24によって仕切られた堰上流側の空間容積に比例して高くなるためである。よって、堰24は、前記フロックが沈降しない範囲でできるだけ下流側に配設することが望ましい。また、堰24による原料スラリーの分配均一化機能は、原料スラリーの主流が十分な速度で堰24に衝突することによっても高められる。よって、堰の上流側の容積と原料スラリーの主流の堰への衝突速度とのバランスを考慮すると、堰24は、原料スラリーが前記フロックの沈降開始速度まで低下する直前の位置に配設することが好ましい。このように配された堰24によって、原料スラリーの主流平均流速は、幅方向において均一化されるとともに、堰24を通過して再度加速され、一様な流速分布が得られる。本実施形態では、堰24の堰止板243を前述のように加速された原料スラリーに対して正対させるとともに、原料スラリーの流路断面積を調整することによって原料スラリーの主流平均流速が調整される。
堰24の堰止板243は、堰23を通過するときの原料スラリーの流路断面積(堰止板233とヘッドボックスのランディング部212との隙間部分の流路断面方向の面積)よりも堰24を通過するときの原料スラリーの流路断面積(堰止板243とヘッド抄紙網22との隙間部分の流路断面方向の面積)が広くなるよう位置決めされている。これによって、堰24を通過している原料スラリーの主流平均流速を、堰23で絞り込まれて当該堰23を通過している該原料スラリーの主流平均流速以下にして、原料スラリーの流れを段階的に加減速することができ、堰24より下流側での原料スラリーの抄紙網22上での抄紙が安定に行えるようになる。
なお、図3に示すように、堰23の堰止板233の下流側の面及びランディング部212には、上部ガイド部材234及び下部ガイド部材26がそれぞれ取り付けられており、堰23の堰止板233を通過した原料スラリーの主流方向と主流平均流速をより厳密に調整することができる。これらのガイド部材は堰止板と同様に、原料スラリーによって腐食しない材質のものが好ましい。ただし、堰止板ほどには強度を要求されないので、アルミニウム合金等の軽量合金や、PET、ウレタン、フッ素樹脂等の合成樹脂を用いてもよい。材料の入手のしやすさや部材の加工性等を考慮すると、アルミニウム合金等の軽量合金製であることが特に好ましい。ガイド部材234及び26の形状は、ヘッドボックス内の流れの様相に合わせて特に制限なく採用することができる。堰止板233に取り付けるガイド部材は、例えば、図3に示すように、堰止板233の下端部から下流側に突き出すように傾斜するガイド面を有する断面形状が三角形のガイド部材を取り付けることができる。また、ランディング部212に取り付けるガイド部材としては、例えば、図3に示すように、ランディング部212から下流側に斜め上に傾斜するガイド面Sを有する断面形状が三角形のガイド部材を取り付けることができる。或いは、図4に示すように、断面が台形形状のガイド部材26を取り付けることができる。このガイド部材26のガイド面Sは、下流側に向けて斜め上に傾斜している。これらのガイド部材は、主流方向に沿って設置した方が主流方向と主流平均流速を調整・維持し易い。従って、ヘッドボックス内のスラリー流れに滞留を生じさせず、凝集体が沈降しない範囲でガイド部材は大型化する方が望ましい。原料スラリーの主流方向と主流平均流速は、上部ガイド部材234の堰止板233の板面からの高さ寸法H1と、下部ガイド部材26のランディング部212からの高さ寸法H2を変えることにより、調整することができる。ガイド部材は、堰止板233の下流側の面とランディング部212の両方に取り付けた方が好ましいが、堰止板233の厚みを厚くすることによって堰止板233のみでもある程度に主流方向と主流平均流速を調整できる場合は、必ずしもガイド部材を取り付ける必要はない。
なお、下部ガイド部材26は、該ガイド部材のガイド面Sの延長線(図3、図4に記載の点線)Mに堰止板243が存在するように、その形状を決定することが、原料スラリーの主流の方向が堰24の堰止板243に対して確実に正対できる点で好ましい。
抄紙網22は無端状に設けられており、所定位置に配置されたロール群に巻回されている。抄紙網22は、前記ロール群中の駆動ロールがモーター(図示せず)で駆動されることによって、製造する抄紙シートの坪量に合わせて所定の速さで駆動される。
抄紙網22の内側には吸引ポンプ(図示せず)に接続されたサクションボックス25が配設されており、原料スラリーの液体分が前記吸引ポンプで吸引されて排出されるとともに、固形分が抄紙網22上に堆積して抄紙が行われる。製造装置1においては、サクションボックス25の上流側の吸引位置(吸引開始位置)が、堰23と堰24の間であって堰24の近傍に位置するように配設されていることが望ましい。それは原料スラリーが堰24に衝突した際に、原料スラリー中のフロックの1部分が沈降するためであり、その沈降したフロックを抄紙網に導くためである。従ってここでいう近傍とは、沈降したフロックを抄紙網に導くことができる程度の範囲のことをいう。例えば、堰24が吸引開始位置よりフローボックスの上流側に相当距離離れている場合には、沈降したフロックを抄紙網に導くことができないのである。なお、沈降しなかった原料スラリーは堰24を加速された状態で通過する。これにより、堰23と堰24の間でもサクションボックス25によって強制的に吸引脱水が行うことができ、原料スラリーの主流を、堰24を通過させる一方で、堰24に衝突・分散した原料スラリーを部分的に速やかに抄紙網22上に導くことができる。
このように、本実施形態の製造装置1では、堰24の下流において流れが均一化された原料スラリーを抄紙網22上に抄紙できるため、坪量分布の均一な抄紙シートが得られる。また、堰24の下流に加えて、堰23と堰24の間でもサクションボックス25によって強制的に吸引脱水が行われるため、堰24に衝突・分散した原料スラリーを速やかに抄紙網22上に導くことができ、抄紙工程の長さを短くすることができる。
脱水機5は、一対のロール51、52を備えており、抄紙機2で抄紙された湿潤状態の抄紙シートをこれらのロール51、52を回転させながらその間で挟持し、所定の含水率まで脱水して乾燥機6へ繰り出す。
乾燥機6は、いわゆるヤンキードライヤーで構成されており、所定温度に加熱されたロール61を備えている。乾燥機6は、ロール61の周面部に巻回され押圧された脱水後の抄紙シートを乾燥する。
巻取機7は、従来から紙製品の巻き取りに用いられる装置と同様に構成されており、乾燥を終えた抄紙シートをロール状に巻き取るロール71を供えている。
次に、本発明の抄紙シートの製造方法の好ましい実施形態を、前記製造装置1による抄紙シートの製造方法に基づいて説明する。
本実施形態において製造される抄紙シートは、繊維状物の他に前記添加物として、下記被酸化性金属及び保水剤を含んでいる。
前記被酸化性金属としては、従来この種の抄紙シートに通常用いられている公知のものを特に制限無く用いることができる。被酸化性金属としては、例えば、鉄粉、アルミニウム粉、亜鉛粉、マンガン粉、マグネシウム粉等が挙げられる。これらの中でも取り扱い性や安全性、製造コストの点から鉄粉が好ましく用いられる。被酸化性金属はその粒径(以下、粒径というときには、その形態における最大長さ、又は動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される平均粒径をいう。)が0.1〜300μmであることが、繊維状物への定着性が良好なことや、反応のコントロールが良好なことから好ましい。同様の理由から、粒径が0.1〜150μmものを50質量%以上含有することも好ましい。一方、繊維状の形態を有する被酸化性金属としては、スチールウール等が挙げられる。繊維状の形態を有する被酸化性金属は、成形性や得られるシートの機械的強度、表面の平滑性、発熱性能の点から繊維長0.1〜50mmで、太さ1〜1000μmであることが好ましい。
抄紙シート中の被酸化性金属の配合量は10〜95質量%、特に30〜80質量%であることが、十分に高い発熱温度を達成できる点、発熱時間が十分に長くなる点、及び発熱成形体が硬くなることを防止する点等から好ましい。抄紙シート中の被酸化性金属の配合量は、JIS P8128に準じる灰分試験や熱質量測定器で求めることができる。また、例えば鉄の場合には、外部磁場を印加すると磁化が生じる性質を利用して、振動試料型磁化測定試験等により定量することができる。
前記保水剤としては、従来からこの種の抄紙シートに通常用いられているものを特に制限無く用いることができる。該保水剤は、水分保持剤として働く他に、前記被酸化性金属への酸素保持/供給剤としての機能も有している。該保水剤としては例えば、活性炭(椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭、亜炭)、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、シリカ、カンクリナイト、フローライト等が挙げられる。これらの中でも保水能、酸素供給能、触媒能を有する点から活性炭が好ましく用いられる。保水剤としてはその粒径が0.1〜500μmの粉体状のものを用いることが、被酸化性金属との有効な接触状態を実現できる点から好ましい。同様の理由から、粒径0.1〜200μmのものを50質量%以上含有することも好ましい。尤も保水剤としては、上述のような粉体状以外の形態のものを用いることもできる。例えば、活性炭繊維等の繊維状の形態のものを用いることができる。
前記抄紙シート中の前記保水剤の配合量は、0.5〜60質量%、特に1〜50質量%であることが、発熱に必要な水分を抄紙シート中に十分に蓄積できる点、十分に高い発熱温度を達成できる点、保水剤の脱落を防止する点、及び抄紙シートの曲げ強度や引張強度等の機械的強度を維持する点から好ましい。
前記繊維状物としては湿式抄紙可能なものが用いられ、その例としては有機天然繊維状物や有機合成繊維状物が挙げられる。有機天然繊維状物としては、植物繊維、動物繊維等を用いることができる。植物繊維としては例えばコットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わら等が挙げられる。動物繊維としては、羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルカパ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維等が挙げられる。一方、有機合成繊維状物としては、例えば、アセテート、トリアセテート、酸化アセテート、プロミックス、塩化ゴム及び塩酸ゴム等の半合成繊維等が挙げられる。また、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、デンプン、ポリビニルアルコール若しくはポリ酢酸ビニル又はこれらの共重合体若しくは変性体等の単繊維、又はこれらの樹脂成分を鞘部に有する芯鞘構造の複合繊維を用いることができる。これらの中でも、繊維どうしの接着強度が高く、繊維どうしの融着による三次元の網目構造を作り易く、パルプ繊維の発火点よりも融点が低い点から、ポリオレフィン、変性ポリエステルが好ましく用いられる。また、枝分かれを有するポリオレフィン等の合成繊維も被酸化性金属や保水剤との定着性が良好なことから好ましく用いられる。これらの繊維は、単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの繊維は、その回収再利用品を用いることもできる。以上の各種繊維の中でも、被酸化性金属や保水剤の定着性、得られる抄紙シートの柔軟性、空隙の存在に起因する酸素透過性、製造コスト等の点から、LBKPやNBKP、紙パルプ、古紙パルプ等の木材パルプ、コットンが好ましく用いられる。
製造される抄紙シートは、前記添加物の配合にもよるが、坪量が50〜600g/m2程度であり、厚みは0.1〜0.6mm程度である。
次に、前記抄紙シートの製造方法について説明をする。
まず、図1に示す調製槽3内において分散媒を攪拌しながら、所定の配合の前記繊維状物及び前記添加物を順次投入して原料スラリーを調製する。このとき原料スラリー中の固形分濃度は、移送時のハンドリング性を考慮すると、3.0〜15.0質量%が好ましい。固形分の投入方法、投入順は問わないが、高比重の添加物の沈降を考慮し、均一なスラリー濃度とするためには、十分な攪拌力と攪拌時間をかけて行うことが好ましい。一方、過度な攪拌は添加物の表面を破壊して変性させるので、スラリーの状態を確認しながら攪拌を行う必要がある。分散媒には、水が好ましい。
原料スラリーとしては、例えば、固形分を質量%比率で、鉄粉84%、活性炭8%、紙パルプ8%とすることができ、水を分散媒とした場合の原料スラリーの固形分濃度(質量比率)は、12%とすることが好ましい。
原料スラリーを十分に攪拌し、固形分濃度が調製槽3内で一様となったら、凝集剤を添加し、凝集体(フロック)を作る。凝集剤にはアニオン系、カチオン系を含め、この種の抄紙シートを抄紙する際に通常用いられている公知の凝集剤を単独で、又は二種類以上を組み合わせて使用する。凝集剤の添加は調製槽3においてだけではなく、原料スラリーの抄紙機2への輸送途中でも行うことができる。また、凝集剤以外に、必要に応じてサイズ剤、着色剤、紙力増強剤、歩留向上剤、填料、増粘剤、pHコントロール剤、嵩高剤等の添加剤を加えることができる。
次に、調製槽3で調製された原料スラリーを抄紙機2に輸送する。本実施形態では、抄紙機2への輸送途中で貯留槽4から希釈水を供給し、原料スラリーを抄紙機2に適した濃度に希釈する。このときの原料スラリーの固形分濃度は、抄紙シートの紙地合、歩留まり等を考慮すると、0.01〜2.0質量%が好ましい。前述の鉄粉、活性炭及び紙パルプを含む原料スラリーの場合には、固形分濃度が0.5〜1.0質量%となるように希釈することが好ましい。
そして、希釈した原料スラリーを抄紙機2のヘッドボックス21に導入する。ヘッドボックス21内の堰23、24の各堰止板233、243は、抄紙速度、原料スラリーの濃度、原料スラリーの流量等の製造条件変更に併せて、予め所定の角度及び深さ位置に位置決めしておく。
堰23、24及びガイド部材234、26によって流れが制御された原料スラリーには、重力及びサクションボックス25による吸引力が作用し、原料スラリー中液体分が排出されるとともに、フロックが抄紙網22上に体積して抄紙される。抄紙網22による抄紙速度は、生産性と乾燥機6の乾燥能力を考慮すると、5〜100m/minが好ましい。
次に、上述のように抄紙機2で抄紙された湿潤状態の抄紙シート10を脱水機5のロール51、52間に導いて所望の含水率に脱水する。脱水機による脱水後の含水率(質量含水率)は抄紙シートの紙地合、乾燥機6の乾燥能力を考慮すると5〜30%とすることが好ましい。
次に、脱水機5で脱水された抄紙シート10を、所定温度に加熱された乾燥機6のロール61の周面部に押圧して乾燥する。乾燥機6による乾燥後の含水率(質量含水率)は、抄紙後の抄紙シート保存安定性を考慮すると0.1〜5%とすることが好ましい。
次に、乾燥を終えた抄紙シート10を巻取機7のロール71の周りに連続的に巻き取って、製造を終了する。
以上説明したように、本実施形態の製造装置1及びそれを用いた抄紙シートの製造方法によれば、ヘッドボックス21のランディング部212における原料スラリーの流路を第1堰23で一旦絞り込んで原料スラリーの流れをフロックが沈降しないように加速させるとともに、絞り込まれた前記原料スラリーの主流方向を第2堰24に正対させ、原料スラリーを加速した状態で第2堰24の堰止板243に衝突させてから第2堰24を通過させるようにしたので、ヘッドボックス21のランディング部212に導入された原料スラリーの鉄粉等の高比重の添加物を含んだ抄紙シートをその坪量を均一にして抄紙することができる。
次に、発明の製造装置における抄紙機の他の実施形態について図5を参照して説明する。なお、図5において、前記実施形態の抄紙機と共通する部分については同一符号を付してその説明は省略し、以下に本実施形態の特徴部分について説明する。図5に示す実施形態の抄紙機2’では、堰23の堰止板233と堰24の堰止板243が平行に設置され、堰23の堰止板233の一部に堰止板233の幅方向にほぼ水平に伸びるスリット235が設けられている。本実施形態の抄紙機2’では、原料スラリーを加速させる場合には、原料スラリーの主流の方向が堰24の堰止板243に対して正対する為、前記ガイド部材は両方とも不要である。なお、この実施形態の抄紙機2’は、前記実施形態の抄紙機2とは異なり、堰23は、堰24で原料スラリーの流速を幅方向に均一に減速させるための前処理として、ヘッドボックス21に導入された原料スラリーの主流方向を変えずに、そのままの方向で堰24へ原料スラリーを移動させる(段落〔0023〕参照)。
本実施形態の抄紙機2’においても、前記実施形態の抄紙機と同様に、ヘッドボックス21のランディング部212に導入された原料スラリーの鉄粉等の高比重の添加物を含んだ抄紙シートをその坪量を均一にして抄紙することができる。
本発明は、前記実施形態に制限されない。
本発明は、前記実施形態のように、第2堰の手前から吸引脱水によって抄紙網上に抄紙を行うことが好ましいが、ヘッドボックスのランディング部を第2堰の下方まで延ばし、第2堰を通過した原料スラリーを当該第2堰の下流側からのみ抄紙網上に抄紙するようにしてもよい。ただし、当該第2堰はスラリー原料が加速した状態で堰止板に衝突できる範囲に配設される。
なお、抄紙工程における抄紙は、前記実施形態におけるように、吸引ポンプによる強制吸引によって抄紙網上に抄紙してもよいが、重力による自由落下によって抄紙網上に抄紙してもよい。また、原料スラリー中の添加物によって抄紙工程の下流側ほど抄紙網上にフロックが多く堆積する場合には、例えば抄紙工程を区切り、上流側を重力による自由落下とするとともに、下流側を強制吸引して抄紙するといった複合的な抄紙方法を採用することもできる。この場合にはより効率的な抄紙を行うことができる。
また、前記実施形態のような、二つの堰でヘッドボックス内の原料スラリーの流れを制御することに変えて、ヘッドボックスに導かれる原料スラリーをポンプ等で加速し、加速された原料スラリーの主流方向をヘッドボックス内のサクションボックスの吸引開始位置の近傍に配設した一つの堰に正対させることによって、前記実施形態と同様の効果を奏させることもできる。ここでいう近傍とは、原料スラリーが堰に衝突した後に沈降したフロックを抄紙網に導くことができる程度の範囲のことをいう。例えば、堰が吸引開始位置よりフローボックスの上流側に相当距離離れている場合には、沈降したフロックを抄紙網に導くことができない。一方、堰が吸引開始位置よりフローボックスの下流側に相当距離離れている場合には、原料スラリーが堰に加速した状態で衝突することができない。
また、原料スラリーの抄紙方法には、前記実施形態におけるような長網抄紙機による方法以外に、円網抄紙機、短網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の抄紙機による連続抄紙方法、手漉き法等によるバッチ方式の抄紙方法が挙げられる。前述の長網抄紙機による方法と同様に、連続抄紙を行う方法では攪拌槽で調製済みの原料スラリーをヘッドボックスへ輸送する際に、輸送途中で希釈し、抄紙に適した固形分濃度に調整することが好ましい。
また、本発明は、前記の高比重の添加物を含んだ原料スラリーからの抄紙による抄紙シートの坪量分布の改善だけではなく、比重2〜4程度の雲母等の比較的比重の軽い添加物を含んだ抄紙シートにも適用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
下記配合の原料スラリーを用いて長網抄紙機による抄紙を行い、脱水、乾燥を行って抄紙シートを製造した。なお、抄紙機による抄紙速度は16m/min(抄紙網の速度)、抄紙幅は1250mm、シートの目標坪量450g/m2とした。そして、得られた抄紙シートついて、抄紙幅方向に8分割、長手方向に1m毎に裁断し、抄紙運転時間1時間分の抄紙シートの坪量を測定した。ガイド部材としては、断面形状が台形形状の下部ガイド部材を用いた(図6参照)。実施例1の抄紙工程における原料スラリーの主流の流れを図6に、坪量分布の結果を図7にそれぞれ示す。
<原料スラリーの配合及び抄紙条件>
原料スラリー配合:固形分(鉄粉、活性炭、パルプ)の質量%比率を、鉄粉84%、活性炭8%、パルプ8%になるように配合し、濃度が5質量%になるように水で希釈した。
鉄粉:同和鉄粉工業(株)製、商品名RKH
活性炭:日本エンバイロケミカルズ(株)製、商品名カルボラフィン
パルプ:Mackengzie社製、NBKP(フリーネス:130mL)
原料スラリーの供給流量:1250(kg/min)
ヘッドボックスのランディング部の傾斜角度θ3:7.5度
抄紙網の抄紙開始位置:ランディング部の上流端より200mm
<第1堰の堰止板の仕様>
材質:ステンレス合金
設置位置L1:30mm(ランディング部上流端からの)
堰止板の寸法:幅1250mm、厚み20mm
流路深さD1:30mm(ランディング部との隙間)
設置角度θ1:80度(ランディング部に対して)
<第2堰の堰止板の仕様>
材質:ステンレス合金
設置位置L2:第1堰の堰止板の端から150mm
堰止板の寸法:幅1250mm、厚み20mm
流路深さD2:35mm
設置角度θ2:70度
<下部ガイド部材の仕様>
材質:アルミニウム合金
断面形状:台形
ガイド部材26:高さH2:30mm
ガイド部材26:設置位置L3:50mm(ランディング部上流端からの)
ガイド部材26:稜線角度θ4:10度(ランディング部に対して)
〔比較例1〕
第1、第2堰の堰止板の設置角度及び第2堰止板による流路深さを下記のように変更し、ガイド部材26を取り外した以外は、実施例1と同様にして抄紙シートを製造した。比較例1の抄紙工程における原料スラリーの主流の流れを図8に、坪量分布の結果を図9にそれぞれ示す。
<第1堰の堰止板の仕様>
設置位置L1:ランディング部上流端より30mm
堰止板の寸法:幅1250mm、厚み20mm
流路深さD1:30mm
設置角度θ1:90度
<第2堰の堰止板の仕様>
設置位置:第1堰の堰止板の端から150mm(堰板間の距離)
堰止板の寸法:幅1250mm、厚み20mm
流路深さD2:15mm
設置角度θ2:90度
〔比較例2〕
第1堰の堰止板の設置位置並びに第1、第2堰の堰止板の設置角度を下記のように変更し、ガイド部材26を取り外した以外は、実施例1と同様にして抄紙シートを製造した。比較例2の抄紙工程における原料スラリーの主流の流れを図10に示す。
<第1堰の仕様>
設置位置L1:ランディング部上流端部より130mm
堰寸法:幅1250mm、厚み20mm
流路深さD1:30mm
設置角度:90度
<第2堰の仕様>
設置位置:第1堰の堰止板の端から100mm(堰間の距離)
堰寸法:幅1250mm、厚み20mm
流路深さD2:35mm
設置角度:90度
〔比較例3〕
ガイド部材26を取り外した以外は、実施例1と同様にして抄紙シートを製造した。
図7に示したように、実施例1により得られた抄紙シートの坪量ばらつきは、誤差範囲を含めて30g/m2であった。これに対し、比較例1により得られた抄紙シートは、図9に示したように、坪量のばらつきが誤差範囲も含めると135g/m2であった。これは、原料スラリーの主流方向が第2堰に対して正対していない為であると考えられる。また、図10に示したように、比較例2では、ランディング部の上流端の付近に固形分が堆積し、抄紙網上に抄紙シートを抄紙することができなかった。これは、第1堰の堰止板の設置位置が実施例1と比較して、ランディング部の上流端から100mm長くなり、主流平均流速が第1堰に到達する前にフロック沈降開始速度にまで低下したためである。
比較例3により得られた抄紙シートは、坪量のばらつきが誤差範囲も含めると60g/m2であった。これも比較例1と同様、原料スラリーの主流方向が第2堰に対して正対していない為であると考えられる。
これらの結果から明らかなように、本発明によれば、鉄粉のような高比重の添加物を高
い含有率で含んでいても、坪量分布が均一な抄紙シートを製造できることがわかった。
本発明の抄紙シートの製造装置の一実施形態を模式的に示す図である。 ヘッドボックスに設置された第1堰の構成を模式的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 ヘッドボックス内の堰止板の仕様(配置条件)を示す図である。 ガイド部材を台形状断面のものに変更した堰止板の仕様を示す図である。 抄紙機の他の実施形態におけるヘッドボックス内の堰止板の仕様(配置条件)を示す図である。 実施例1における抄紙工程における原料スラリーの主流の流れを模式的に示す図である。 実施例1により得られた抄紙シートの坪量分布を示す図である。 比較例1における抄紙工程における原料スラリーの主流の流れを模式的に示す図である。 比較例1により得られた抄紙シートの坪量分布を示す図である。 比較例2における抄紙工程における原料スラリーの主流の流れを模式的に示す図である。
符号の説明
1 抄紙シートの製造装置
2 抄紙機
21 ヘッドボックス
22 抄紙網
23 第1堰
24 第2堰
3 調製槽
4 貯留槽
5 脱水機
6 乾燥機
7 巻取機
10 抄紙シート


Claims (7)

  1. 抄紙機のヘッドボックス内の上流側に第1堰、該第1堰の下流に第2堰をそれぞれ配設し、該ヘッドボックスに導いた抄紙用の原料スラリーの流れを第1、第2堰で制御して抄紙網上に抄紙する抄紙シートの製造方法であって、
    前記原料スラリーの流路を第1堰で一旦絞り込んで該原料スラリーの流れを加速させるとともに、絞り込まれた前記原料スラリーの主流方向を第2堰に正対させ、前記原料スラリーを加速した状態で第2堰に衝突させてから第2堰を通過させる抄紙シートの製造方法。
  2. 前記第1堰はヘッドボックスのランディング部始端部から終端部間に配設されている請求項1に記載の抄紙シートの製造方法。
  3. 前記抄紙網上への抄紙を、第1堰よりも下流側で行う請求項1又は2に記載の抄紙シートの製造方法。
  4. 抄紙機のヘッドボックス内の、サクションボックスの吸引開始位置の近傍に堰を配設し、該ヘッドボックスに導いた抄紙用の原料スラリーの流れを該堰で制御して抄紙網上に抄紙する抄紙シートの製造方法であって、
    前記原料スラリーの主流方向が前記堰に正対するようにして該原料スラリーを該堰に加速した状態で衝突させた後に該堰を通過させる抄紙シートの製造方法。
  5. 請求項1に記載の抄紙シートの製造方法の実施に用いるための抄紙機であって、
    原料スラリーが導入されるヘッドボックスと、該ヘッドボックスを通った原料スラリーを抄紙する抄紙網とを備え、
    前記ヘッドボックスに、上流側に第1堰、第1堰の下流に第2堰がそれぞれ配設され、第1堰を通過した原料スラリーの主流方向が第2堰に正対するよう設けられている抄紙機。
  6. 前記第1堰はヘッドボックスのランディング部始端部から終端部間に配設されている請求項5に記載の抄紙機。
  7. 前記抄紙網が第1堰の下流で抄紙を行えるように配されている請求項5又は6に記載の抄紙機。
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