JP2007291208A - 直鎖状ホスホノポリカーボネート及びその製造方法 - Google Patents

直鎖状ホスホノポリカーボネート及びその製造方法 Download PDF

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敦司 森川
Manabu Kawa
学 加和
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Abstract

【課題】無機材料や金属などの異種材料への密着性及び耐溶剤性、並びに機械的強度に優れた直鎖状ホスホノポリカーボネートとその有利な製造方法、並びにそれを用いた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表されるリン酸残基を有する直鎖状ホスホノポリカーボネート。水酸基を有するポリカーボネートのリン酸エステル化工程を含む該直鎖状ホスホノポリカーボネートの製造方法。
Figure 2007291208

【選択図】なし

Description

本発明は、ガラスなどの無機材料や金属などの異種材料への密着性、耐溶剤性、並びに機械的強度に優れた直鎖状ホスホノポリカーボネートとその有利な製造方法、並びにそれを用いた樹脂組成物に関する。
本発明の直鎖状ホスホノポリカーボネートは、汎用ポリカーボネート樹脂に比べて、ガラスなどの無機材料や金属などの異種材料への密着性に優れ、また、汎用ポリカーボネート樹脂に比べて耐溶剤性が改善されており、しかも機械的強度も高く、更に、汎用ポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂との相溶性や反応性にも優れることから、ポリマーブレンド材料としても好適であり、例えば、自動車部品、光学部品、窓材料などとして有用である。
ポリカーボネート樹脂は透明性と耐熱性に優れた工業材料であるが、耐溶剤性や異種材料(例えばガラスや金属など)への密着性が不足する場合があり、その用途に制限があった。
ポリカーボネート樹脂の耐溶剤性や密着性などの表面物性は、分子構造に、高分子主鎖よりも親水性の高い官能基(特に水素結合性の官能基)を導入すれば変化すると予想される。その具体的手段として、例えば、高分子主鎖に対して、かかる親水性官能基を側鎖として多数導入することが考えられる。
特許文献1には、側鎖としてフェノール性水酸基を有するポリカーボネートが開示されている。しかし、フェノール性水酸基は酸化され易いことに起因する着色等の熱劣化、並びに親水性の不足による耐溶剤性や密着性などの表面物性の改善不足、などの問題があった。
非特許文献1には、リン酸エステル類を溶媒兼反応試剤として用いる加熱反応により、直鎖状ポリカーボネートの高分子末端にリン酸エステル基(例えば−P(O)(OC252であるリン酸ジエチルエステル基)を導入し、リン酸エステル基を有する直鎖状ポリカーボネート(以下、「リン酸エステル末端PC」と略記する場合がある。)に変換する方法が報告されている。しかしながら、この方法では、親水性の比較的高い官能基であるリン酸エステル基は高分子末端にしか導入できないので、材料の該官能基濃度(単位重量当たりのモル数)を増大させようとすると、分子量を低下させる必要が生じ、低分子量化で材料の機械的強度が大きく損なわれる欠点があった。しかも、導入可能な官能基は水素結合性の強い水酸基を含有するものではないため、ポリカーボネート樹脂の耐溶剤性や密着性などの表面物性の改善効果は小さかった。
特許3498513号公報 K. Troev, R. Tsevi and I. Gitsov; Polymer, Vol. 42, 39-42 (2001).
本発明の課題は、無機材料や金属などの異種材料への密着性及び耐溶剤性、並びに機械的強度に優れた直鎖状ホスホノポリカーボネートとその有利な製造方法、並びにそれを用いた樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、フェノール性水酸基を高分子鎖中の側鎖及び/又は分子末端基として有する直鎖状ポリカーボネート(以下「フェノール性水酸基含有PC」と記す場合がある。)をまず調製し、その水酸基にオキシ三塩化リンなどのリン酸化試薬を反応させる反応により、直鎖状ポリカーボネートの側鎖及び/又は分子末端に、耐溶剤性や密着性などの表面物性改善に有効なリン酸残基を導入可能であること、このようにして得られる側鎖及び/又は分子末端にリン酸残基を有する直鎖状ホスホノポリカーボネートは、原料であるフェノール性水酸基含有PCの分子量を十分に高めることが可能であり、従って、実用的な機械的強度を確保可能であること、更に、かかるリン酸残基を側鎖及び/又は分子末端に有する直鎖状ホスホノポリカーボネートは、テトラヒドロフランなどの汎用溶媒に可溶であるため、例えば市販のポリカーボネートやポリアリレートなどの熱可塑性樹脂との溶液混合により安定な樹脂組成物を容易に調製可能であること、を見出し、本発明を完成させた。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 下記式(1)で表されるリン酸残基を有する直鎖状ホスホノポリカーボネート。
Figure 2007291208
[2] 前記リン酸残基を側鎖及び/又は分子末端に有する[1]の直鎖状ホスホノポリカーボネート。
[3] 前記リン酸残基が酸素原子を介して芳香環に結合する[1]又は[2]の直鎖状ホスホノポリカーボネート。
[4] 水酸基を有するポリカーボネートのリン酸エステル化工程を含む[1]〜[3]の直鎖状ホスホノポリカーボネートの製造方法。
[5] 1つ又は2つの水酸基が保護されたトリスフェノール類を原料とするポリカーボネートの重合工程と、該重合工程後に脱保護反応によりフェノール性水酸基を生成させる工程とを含む[4]の直鎖状ホスホノポリカーボネートの製造方法。
[6] 1つ又は2つの水酸基が保護されたトリスフェノール類が、下記一般式(2)で表されるトリスフェノールベンジルモノエーテル類及び/又は下記一般式(3)で表されるトリスフェノールジベンジルエーテル類である[5]の直鎖状ホスホノポリカーボネートの製造方法。
Figure 2007291208
(一般式(2),(3)において、Rは、水素原子又は炭素数6以下の炭化水素基を表す。)
[7] [1]〜[3]の直鎖状ホスホノポリカーボネートを含有する樹脂組成物。
本発明により提供される直鎖状ホスホノポリカーボネートは、ポリカーボネートの高分子鎖の側鎖及び/又は分子末端にリン酸残基を有するため、耐溶剤性や密着性などの表面物性に優れる上に、基体である直鎖状ポリカーボネートの重合度を十分に高めた上でリン酸残基濃度を高めることができるため、実用上十分な機械的強度を確保することができる。なお、ここで、基体であるポリカーボネートは直鎖状ポリカーボネートであるため、同一分子量の分岐を有するポリカーボネートよりも高分子鎖の絡み合い効果でより一層高い機械的強度を得ることができ、好ましい。
しかも、本発明の直鎖状ホスホノポリカーボネートは、汎用ポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂との相溶性や反応性を有することから、ポリマーブレンド材料としても有用であり、ポリカーボネート本来の透明性と優れた異種材料密着性を利用して、自動車部品、光学部品、窓材料などの各種用途に極めて有用である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
[直鎖状ホスホノポリカーボネート]
本発明の直鎖状ホスホノポリカーボネートは、下記式(1)で表されるリン酸残基[式量は80.99]を分子構造中に有するものである。該リン酸残基は、例えばポリカーボネート高分子鎖中の側鎖として及び/又は分子末端基として結合可能である。
Figure 2007291208
前記リン酸残基のポリカーボネート高分子鎖への結合様式に制限はなく、例えば該リン酸残基のリン原子とポリカーボネート高分子鎖の炭素原子との結合(P−C結合。かかる場合はホスホン酸である。)やリン酸エステル結合であるP−O−C結合が可能である。製造上の簡便性からは、後者のリン酸エステル結合が好ましく、化学的安定性において前記リン酸残基が酸素原子を介してポリカーボネート高分子鎖の芳香環に結合する芳香族エステル結合(即ち、前記P−O−C結合における炭素原子が芳香環、好ましくはベンゼン環を構成するもの)であることが更に好ましい。
本発明の直鎖状ホスホノポリカーボネートの分子量に制限はないが、機械的強度の点では重量平均分子量としてその下限は通常5000、好ましくは10000、更に好ましくは15000であり、熱可塑化成形性の点では重量平均分子量としてその上限は通常500000、好ましくは300000、更に好ましくは100000である。かかる重量平均分子量の測定は、ポリカーボネート樹脂業者の常法であるクロロホルムやテトラヒドロフラン等の良溶媒を用いるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により、単分散ポリスチレンを対照として行う。
本発明の直鎖状ホスホノポリカーボネートのリン酸残基濃度(単位重量当たりのモル数)は、前記リン酸残基が分子末端基として存在する場合には末端基濃度(即ち、前記GPCで測定される数平均分子量の逆数にほぼ比例)が大きいほど大きくなるが、このリン酸残基が側鎖及び/又は分子末端のいずれにある場合でも、通常0.01〜5ミリモル/gの範囲であり、密着性及び耐溶剤性の点でその下限は好ましくは0.1ミリモル/g、更に好ましくは0.2ミリモル/gであり、直鎖状ホスホノポリカーボネートの化学的安定性(例えば耐熱分解性や耐加水分解性など)の点でその上限は好ましくは4ミリモル/g、更に好ましくは3ミリモル/gである。
[直鎖状ホスホノポリカーボネートの製造方法]
本発明の直鎖状ホスホノポリカーボネートの好ましい製造方法として、ポリカーボネートの水酸基のリン酸エステル化による方法が挙げられる。これは、例えば前記特許文献1に記載の方法で得られるフェノール性水酸基含有PCを中間原料とし、下記反応式(4)に示すように、該フェノール性水酸基にオキシ三塩化リンなどのリン酸エステル化試薬を塩基の存在下作用させ、最終的にリン酸残基に誘導する方法である。
Figure 2007291208
(一般式(4)において、Arは芳香環(好ましくはベンゼン環)を表す。)
この反応に用いられる他のリン酸エステル化試薬としては、ジメチルクロロホスフェートやジエチルクロロホスフェートなどのジアルキルクロロホスフェート類が挙げられる。。この場合はメチルエステル基やエチルエステル基を除去してリン酸性水酸基(P−OH基)に変換する必要があり、かかるリン酸性水酸基への変換は例えば沃化トリメチルシリルなどの試剤と、引き続いて行う加水分解により可能である。
前記リン酸エステル化反応は、好ましくはテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、ピリジンなどの、ポリカーボネートの良溶媒であってかつ反応に不活性な溶媒の存在下に行われる。
また、塩基としてはピリジンなどの含窒素芳香族化合物、トリエチルアミンやエチルジイソプロピルアミンなどの3級アミン類、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどの炭酸塩、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの水酸化物などを使用することができ、これらのうち好ましいものはトリエチルアミンやエチルジイソプロピルアミンなどの3級アミン類である。
中間原料である前記フェノール性水酸基含有PCの好ましい製造方法として、水酸基が保護されたトリスフェノール類を原料とするポリカーボネートの重合工程、並びに脱保護反応によりフェノール性水酸基を生成させる工程を必須とする方法が挙げられる。かかる重合工程には、水酸基の保護基が化学的に安定でその役割を果たす限りにおいて公知の任意の重合反応が使用可能である。具体的には、界面重合法、溶融重合法、溶液重合法(例えばピリジン法)が例示される。
前記水酸基の保護基としては、前記特許文献1に記載のあるtert−ブチルオキシカルボニル基(通称略称BOC基)やフェノキシカルボニル基などのカーボネート結合による保護基、アセチル基やベンゾイル基などのエステル結合による保護基、メチル基、メトキシメチル基、アリル基、ベンジル基などのエーテル結合による保護基などが例示される。これら保護基のうち、化学的安定性と脱保護のしやすさの点で好ましいのは、前記BOC基、メトキシメチル基、アリル基、ベンジル基であり、製造コストの点で更に好ましいのは前記BOC基及びベンジル基であり、最も好ましいのはベンジル基である。
脱保護の好ましい反応条件例としては、前記BOC基では100〜300℃程度の温度での加熱や、酸触媒(例えば塩酸やトリフルオロ酢酸など)の使用、アリル基では二重結合の異性化反応、ベンジル基ではパラジウム(金属)を担持したカーボン(略称Pd/C)を触媒とする水素接触還元法が挙げられる。
前記トリスフェノール類としては、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンなどの中心炭素原子に3つのヒドロキシフェニル基が結合した化合物、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどのトリヒドロキシベンゼン類などが例示され、反応性と製造コストの点で中でもトリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン又は1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、最も好ましいのは1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンである。
前記水酸基が保護されたトリスフェノール類の好ましい具体例として、下記一般式(2)で表されるトリスフェノールベンジルモノエーテル類及び下記一般式(3)で表されるトリスフェノールジベンジルエーテル類が挙げられる。
Figure 2007291208
(一般式(2),(3)において、Rは、水素原子又は炭素数6以下の炭化水素基を表す。)
これらのベンジルエーテル類は結晶性がよいので、再結晶により精製を行う大量合成に好都合である。なお、上記一般式(2),(3)において、好ましいRは水素原子又は炭素数3以下のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基)であり、中でも水素原子又はメチル基が更に好ましく、メチル基が最も好ましい。
かかる水酸基が保護されたトリスフェノール類は、例えば前記一般式(2)のように1つの水酸基が保護された場合はビスフェノール類として、前記一般式(3)のように2つの水酸基が保護された場合はモノフェノール類として、それぞれポリカーボネートの重合反応において挙動する。つまり、前者はビスフェノールAのような汎用モノマーと共重合してもよいモノマーとして働き、後者は末端停止剤として働く。前記一般式(3)のような2つの水酸基が脱保護により再生される末端停止剤は、1つの分子末端に2つの水酸基(最終的に前記リン酸残基に変換される)を導入可能であることから、最終的に直鎖状ホスホノポリカーボネート中の前記リン酸残基濃度を効果的に高めることができる。同様の考え方から、ビスフェノール類の1つの水酸基が保護された化合物(例えばビスフェノールAモノベンジルエーテル)も末端停止剤として利用できる。
本発明の方法に従って製造される直鎖状ホスホノポリカーボネートのリン酸残基濃度は、例えば、前記1つの水酸基が保護されたトリスフェノール類(ビスフェノール類として挙動)とビスフェノールAのような汎用モノマーの共重合比を調整することにより制御することができる。かかる共重合比は、末端停止剤を除く全モノマー中の前記1つの水酸基が保護されたトリスフェノール類のモル百分率として、通常0.1〜100モル%、密着性や耐溶剤性の点でその下限は好ましくは1モル%、更に好ましくは5モル%であり、その上限は密着性の点で大きいほど好ましい。
[樹脂組成物]
本発明の直鎖状ホスホノポリカーボネートは、熱可塑性樹脂や硬化型樹脂など任意の樹脂成分(以下「原料樹脂」と記す場合がある。)と混合して樹脂組成物とすることができる。かかる樹脂組成物は、原料樹脂よりも無機材料や金属などの異種材料への密着性及び耐溶剤性が優れる特徴を有する。
ここで使用可能な原料樹脂としては、熱可塑性樹脂(カッコ内は略号である。)として、ビスフェノールAポリカーボネートなどの芳香族ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などの芳香族ポリエステル、芳香族ジカルボン酸とビスフェノール類のポリエステルであるポリアリレート(PAR)、シクロヘキサンジカルボン酸とシクロヘキサンジメタノールから製造されるポリエステル(PCCD)などの脂環式ポリエステル、ポリ乳酸やポリカプロラクトンなどの脂肪族ポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、半芳香族非晶性ナイロンなどのポリアミド、2,6−ジメチルフェノールなどのアルキルフェノール類を主要モノマーとするポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアセタール(POM)などのエンジニアリングプラスチックスの他、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの2重結合を有するモノマーの重合で得られる炭素連鎖を主鎖とする樹脂、トリアセチルアセルロース、フェノール樹脂(ノボラック)、フッ素樹脂などが例示される。硬化型樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、多官能アクリル樹脂(熱硬化型及び光硬化型)、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂などが例示される。
これら例示の原料樹脂のうち、本発明の直鎖状ホスホノポリカーボネートとの相溶性の点で好ましいのは、PC、PET、PBT、PEN、PAR、PCCD、ポリ乳酸などのオキシカルボニル結合(エステル結合:−COO−)を繰返し単位の化学構造に含有するものであり、中でもPC、PAR、PCCDは溶剤溶解性に優れるので溶液混合が可能である点で更に好ましく、PC又はPARが耐熱性(高いガラス転移点)と機械的強度の点で最も好ましい。これら例示の原料樹脂は、複数種を混合して用いてもよく、例えばPC/PAR、PC/PCCD、PC/PET、PC/PBTといった相溶性のよい混合系は機械的強度や透明性の点で好ましく用いられる。
本発明の直鎖状ホスホノポリカーボネートと原料樹脂の混合比は、全高分子成分中における本発明の直鎖状ホスホノポリカーボネートの割合として、通常0.1〜99.9重量%、密着性や耐溶剤性の点でその下限は好ましくは0.5重量%、更に好ましくは1重量%であり、機械的強度や製造コストの点でその上限は好ましくは90重量%、更に好ましくは80重量%である。
かかる樹脂組成物の製造方法としては、溶液混合法や溶融混合(溶融混練)法が可能である。樹脂組成物を塗布して使用する場合には、溶液混合法が好ましい。溶融混合法には、二軸押出機、ロール混練装置、ブラベンダーなどの公知の混練機が好適に使用される。
溶液混合法に用いる溶媒は、本発明の直鎖状ホスホノポリカーボネートと原料樹脂を溶解する能力を有する限り制限はないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどのアルカン類、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタンやクロロホルムなどのハロゲン化アルキル類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトンや2−ブタノンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどの脂肪族エーテル類、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサンなどの脂環式エーテル類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、グリセロールなどのグリコール類、N,N−ジメチルホルムアミドやN−メチルピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジンなどの含窒素芳香族類などが例示され、溶解性や取り扱いの容易性の点では、トルエン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタンなどのハロゲン化アルキル類、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランなどの脂環式エーテル類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ピリジンなどの含窒素芳香族類が好ましく、中でもテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランなどの脂環式エーテル類が更に好ましい。これらの溶媒は必要に応じ複数種を混合して用いてもよい。
本発明の直鎖状ホスホノポリカーボネートと原料樹脂を含む前記樹脂組成物には、必要に応じて、ガラス繊維やガラスフレークなどのガラス系充填材、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物系充填材、アルミニウムやステンレスなど金属のウイスカーや粉、黒鉛、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブなどの炭素系材料、各種添加剤(例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ラジカル発生剤、ラジカル捕捉剤、滑剤、可塑剤、染料や顔料などの着色剤、帯電防止剤など)を添加してもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明が規定する範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
[中間原料の合成]
合成例1:トリスフェノールベンジルエーテル類の合成
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(9.19g)をアセトン(150mL)に室温で溶解し、ベンジルブロミド(5.64g)及び炭酸カリウム(4.14g)を加え、12時間加熱還流した。減圧濃縮後、多量の水と酢酸エチルを加え、有機相に生成物を抽出した。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮してオイル状の粗生成物を得た。この粗生成物から、ジクロロメタン:酢酸エチル=7:3(体積比)の混合溶媒で展開するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのベンジルモノエーテル(下記構造式(2A)で表される。以下「TPMB」と略記する場合がある。)及び同ジベンジルエーテル(構造式(3A)で表される。以下「TPDB」と略記する場合がある。)を精製単離した。
目的化合物の化学構造は、プロトンNMR(ジメチルスルホキシド−d6)スペクトルにおいてメチル基のシグナル(シングレット、1.97ppm)とベンジル基に由来するメチレン基のシグナル(シングレット、5.04ppm)が合理的な積分値の比で観測され、FTIRスペクトルにおいて水酸基に帰属される3500〜3400cm-1のブロードな吸収帯及びC−O−C結合に帰属される1240cm-1の吸収帯を観測したことにより確認した。
Figure 2007291208
合成例2:ベンジルエーテル基を側鎖に有するポリカーボネートの合成(溶融重合法)
ガラス製反応容器に、前記合成例1で得たTPMB(2.36g、6ミリモル)、ビスフェノールA(3.20g、14ミリモル)及びジフェニルカーボネート(4.28g、20ミリモル)を混合し、炭酸セシウム水溶液(0.1重量%、80μL)を触媒として加えて、窒素雰囲気下、機械的攪拌をしながら加熱して溶融重合を行った。重合条件は、反応容器を180℃のオイルバスに大気圧で漬けて原料を融解混合させ均質な液状とし、次いで270℃まで5時間かけて昇温し、この昇温開始と同時に減圧も開始した。減圧パターンは、最初の30分で50mmHg(6.7kPa)まで、次の30分で15mmHg(2.0kPa)まで、更に次の30分で1mmHg(0.13kPa)までそれぞれ減圧し、以後1mmHgを保った。こうして得られた透明な樹脂をジクロロメタン(30mL)に溶解し、大過剰量のメタノール中に攪拌しながら投入して再沈殿させて精製した。
こうして精製したポリカーボネートは、プロトンNMR(ジメチルスルホキシド−d6)スペクトルにおいてメチル基のシグナル(2種のシングレット、1.55及び1.60ppm)の積分値とベンジル基に由来するメチレン基のシグナル(シングレット、4.95ppm)の積分値の比が7.2であり(仕込み共重合比による理論値は8.5)、ほぼ合理的な積分値の比であった。更に、FTIRスペクトルにおいてカーボネート結合のカルボニル基に帰属される1780cm-1の吸収帯及びC−O−C結合に帰属される1240cm-1吸収帯を観測したことから、ベンジルエーテル基を側鎖に有するポリカーボネートであることを確認した。
合成例3:フェノール性水酸基を側鎖に有するポリカーボネートの合成
合成例2で得たベンジルエーテル基を側鎖に有するポリカーボネート(3.04g)をN,N−ジメチルホルムアミド(30mL)に溶解し、パラジウムを担持した炭素(0.3g。略称「Pd/C」、Pd量は10重量%)を加え、水素雰囲気下、60℃で12時間攪拌した。反応混合物を濾過してPd/Cを除去し、減圧濃縮して得た残渣をメタノールで洗浄し、真空乾燥した。
この生成物のプロトンNMR(ジメチルスルホキシド−d6)スペクトルにおいてベンジル基に由来するメチレン基のシグナルが完全に消失し、FTIRスペクトルにおいて水酸基に帰属される3500〜3400cm-1のブロードな吸収帯、カーボネート結合のカルボニル基に帰属される1780cm-1の吸収帯及びC−O−C結合に帰属される1240cm-1吸収帯を観測したことから、ベンジルエーテル基が接触還元により脱保護されたフェノール性水酸基を側鎖に有するポリカーボネートを得たことを確認した。
合成例4:ベンジルエーテル基を側鎖及び末端に有するポリカーボネートの合成(界面重合法)
ビスフェノールAポリカーボネートの市販品の製造プラントで使用するポリカーボネートオリゴマー(以下「PC−OG」と略記する場合がある。)に準ずる品質のPC−OG(クロロホルメート基濃度=0.48規定、フェノール性水酸基濃度=0.2規定、オリゴマー濃度=26.4重量%であるジクロロメタン溶液)を、パイロットスケール製造装置を用いて、ビスフェノールA及びホスゲンを原料とし、塩基として水酸化ナトリウムを使用する公知の工業的界面反応により調製した。このPC−OG(156mL)を、バッフルつきのガラス容器(機械的攪拌)中に、ジクロロメタン(125mL)、25重量%水酸化ナトリウム水溶液(10.2mL)、水(74mL)、合成例1で得たTPMB(8.78g)及びTPDB(3.23g。末端停止剤として機能する。)、並びに触媒である2重量%トリエチルアミン水溶液(6mL)とともに仕込み、激しく攪拌しながら6時間界面重合を行った。反応液は粘度が上昇したので、ジクロロメタン(284mL)及び水(441mL)を加えて希釈し、15分攪拌を継続した後静置し、分液した。分取した有機相は0.1規定の希塩酸(525mL)と激しく攪拌して痕跡量のアルカリ分を除去し、分液後、更に水洗を2回(毎回、水263gを使用)行った。最終的に分取した有機相を減圧濃縮し、120℃の真空乾燥機で乾燥した。
こうして得たポリカーボネートは、プロトンNMR及びFTIRスペクトルにおいて合成例2と同様の合理的なシグナルを与え、プロトンNMRの積分値よりビスフェノールA:TPMBの共重合比は仕込み理論値の9:1にほぼ一致し、かつ高分子末端がTPDB残基により封鎖されたものと同定されたので、ベンジルエーテル基を側鎖及び末端に有するポリカーボネートであることを確認した。
合成例5:フェノール性水酸基を側鎖及び末端に有するポリカーボネートの合成
合成例4で得たベンジルエーテル基を側鎖及び末端に有するポリカーボネートを、合成例3と同様の接触還元法により処理してベンジルエーテル基を脱保護した。
この生成物のプロトンNMR及びFTIRスペクトルは合成例3同様の結果を与えたことから、ベンジルエーテル基が還元的脱保護反応により除去されたフェノール性水酸基を側鎖及び末端に有するポリカーボネートを得たことを確認した。
合成例6:一末端につき2つのベンジルエーテル基を有するポリカーボネートの合成(界面重合法)
合成例4において、界面重合の仕込みを、PC−OG(154mL)、ジクロロメタン(86mL)、25重量%水酸化ナトリウム水溶液(15.6mL)、水(57mL)、TPMBは添加せず、TPDB(2.87g。末端停止剤として機能する。)、並びに触媒である2重量%トリエチルアミン水溶液(5mL)とした他は、同様の操作を行った。
こうして得たポリカーボネートは、プロトンNMR及びFTIRスペクトルにおいて合成例2同様の合理的なシグナルを与え、プロトンNMRの積分値より高分子末端がTPDB残基により封鎖されたものと同定されたので、1末端につき2つのベンジルエーテル基を有するポリカーボネートであることを確認した。
合成例7:一末端につき2つのフェノール性水酸基を有するポリカーボネートの合成
合成例6で得た1末端につき2つのベンジルエーテル基を有するポリカーボネートを、合成例3と同様の接触還元法により処理してベンジルエーテル基を脱保護した。
この生成物のプロトンNMR及びFTIRスペクトルは合成例3同様の結果を与えたことから、ベンジルエーテル基が還元的脱保護反応により除去された1末端につき2つのフェノール性水酸基を有するポリカーボネートを得たことを確認した。
[フェノール性水酸基含有PCのフェノール性水酸基量(理論値)]
合成例3、5及び7で得たフェノール性水酸基含有PCに対して、後述の実施例においてオキシ三塩化リンを用いるリン酸エステル化を行うに先立ち、以下のようにフェノール性水酸基量を求めた。
ビスフェノールA残基とカルボニル基からなる繰返し単位(以下「BPA繰返し単位」と略記する場合がある。)はC16143であるので式量254.28、水酸基を1つ有するトリスフェノール残基とカルボニル基からなる繰返し単位(以下「TP−OH繰返し単位」と略記する場合がある。)はC21164であるので式量332.35、水酸基を2つ有するトリスフェノール残基である末端単位(以下「TP−(OH)2末端単位」と略記する場合がある。)はC20173であるので式量305.35である。
合成例3、5及び7において得たフェノール性水酸基含有PCについてのかかる構成単位の内訳(理論値)は、合成例3のものではBPA繰返し単位/TP−OH繰返し単位=70/30(モル%)、合成例5のものではBPA繰返し単位/TP−OH繰返し単位/TP−(OH)2末端単位=87.4/9.7/2.9(モル%)、合成例7のものではBPA繰返し単位/TP−(OH)2末端単位=97/3(モル%)であるから、それぞれのポリカーボネートのフェノール性水酸基量の理論値(ミリモル/g)は以下の通りとなる。
合成例3で得たフェノール性水酸基含有PC:1.1ミリモル/g
合成例5で得たフェノール性水酸基含有PC:0.59ミリモル/g
合成例7で得たフェノール性水酸基含有PC:0.23ミリモル/g
[直鎖状ホスホノポリカーボネートの合成]
実施例1〜3:リン酸残基を側鎖及び/又は分子末端に有するポリカーボネートの合成
合成例3、5及び7で得たフェノール性水酸基含有PC(約1gを精秤)をそれぞれテトラヒドロフラン(10mL、以下「THF」と略記する場合がある。)に溶解し、トリエチルアミンを後述するオキシ三塩化リンの29倍モル加えた。これを氷冷しながら攪拌し、ここにオキシ三塩化リン(下記表1記載のフェノール性水酸基量の理論値の10倍モル)をTHF(オキシ三塩化リン1gに対して5.8mL使用)に溶解したものを滴下し、2時間氷冷しながら攪拌を続けた。その後、反応液に大量の水を投入し、希塩酸を加えて酸性とし、THFで抽出した(生成物が界面活性剤的な働きをすると考えられ、ジクロロメタンやジエチルエーテルなどの汎用抽出溶剤では分液性が極めて悪く、抽出困難であることから、THFを用いた)。抽出液を、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮及び真空乾燥して生成物を得た。
生成物のFTIRスペクトルにおいて、カーボネート結合のカルボニル基に帰属される1780cm-1の吸収帯及びC−O−C結合に帰属される1230cm-1の吸収帯の他に、P=O二重結合に帰属される970cm-1の吸収帯が観測されたので、いずれの実施例においても得られたポリカーボネートは、フェノール性水酸基のリン酸エステルの形でリン酸残基が側鎖及び/又は分子末端に結合したポリカーボネートと同定した。
Figure 2007291208
[直鎖状ホスホノポリカーボネートと原料樹脂との樹脂組成物の調製]
実施例4:直鎖状ホスホノポリカーボネートと市販ポリカーボネートとのブレンド
実施例1で得た直鎖状ホスホノポリカーボネート(50重量部)と市販のビスフェノールAポリカーボネートである三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバレックス」(登録商標)7022A(50重量部)を、テトラヒドロフランに溶解して混合した。なお、後述の評価を行うために、この混合溶液は、市販の石英板又は市販のアルミニウム箔上に流延し、素早く乾燥させて、透明なフィルムを形成した。
実施例5:直鎖状ホスホノポリカーボネートと市販ポリアリレートとのブレンド
実施例4において、市販のビスフェノールAポリカーボネートの代わりに、市販のポリアリレートであるユニチカ社製「U−ポリマー」(登録商標)U−100を用いて同様に混合、フィルム形成を行った。
[評価]
以下の材料について、後述の各試験方法(1)〜(3)で評価を行い、結果を表2に示した。
実施例1:実施例1で合成した直鎖状ホスホノポリカーボネート
実施例2:実施例2で合成した直鎖状ホスホノポリカーボネート
実施例3:実施例3で合成した直鎖状ホスホノポリカーボネート
実施例4:実施例4で調製した直鎖状ホスホノポリカーボネートと市販ポリカーボネートとのブレンド材料
実施例5:実施例5で調製した直鎖状ホスホノポリカーボネートと市販ポリアリレートとのブレンド材料
比較例1:実施例1で原料として用いた合成例3で合成したフェノール性水酸基含有PC
比較例2:実施例2で原料として用いた合成例5で合成したフェノール性水酸基含有PC
比較例3:実施例3で原料として用いた合成例7で合成したフェノール性水酸基含有PC
比較例4:実施例4で直鎖状ホスホノポリカーボネートにブレンドした市販ポリカーボネート(ビスフェノールAポリカーボネート「ノバレックス」(登録商標)7022A)
比較例5:実施例5で直鎖状ホスホノポリカーボネートにブレンドした市販ポリアリレート(ポリアリレート「U−ポリマー」(登録商標)U−100)
比較例6:非特許文献1に記載の方法に従って、下記のようにして製造したリン酸エステル末端PC
実施例4で用いたビスフェノールAポリカーボネート(5g)を180℃のリン酸トリエチル(25g)中で攪拌して溶解させ、10時間反応させた。反応液を減圧濃縮して未反応のリン酸トリエチルなどの揮発成分を留去し、120℃で一晩真空乾燥した。
(1) 耐溶剤性試験:実施例及び比較例の各材料のテトラヒドロフラン溶液を、市販の石英板上に流延し素早く乾燥させ、次いで空気中、180℃で30分間水平に静置するアニール操作を施してフィルムを形成した。フィルムを23℃の室温に戻した後、23℃のトルエンに15秒間浸漬し、フィルム表面に残ったトルエンの液滴をドライヤーで素早く蒸発させた後の表面の状態を目視観察した。判定は、変化が見られない場合は○、表面にのみかすかな曇りなどの変化がある場合は△、明らかな溶剤による浸食や白化がある場合は×とした。
(2) 密着性試験:市販の石英板及び市販のアルミニウム箔の表面に、前記耐溶剤性試験の場合と同様の操作によりフィルムを形成した。こうして形成したフィルム表面に市販のセロハンテープを貼り付け、フィルム面と垂直方向に引き上げて剥がそうとした場合の挙動を目視観察した。判定は、フィルムが剥がれない場合は○、セロハンテープが貼り付けられていた領域の一部が剥がれる場合は△、該領域の全体が剥がれる場合は×とした。
(3) 機械的強度:前記アルミニウム箔を用いた密着性試験において、フィルムが剥がれない場合は○、剥がれたフィルムを引っ張ると伸びを生じる場合は△、剥がれたフィルムを引っ張ると伸びずに破断する場合は×とした。
Figure 2007291208
表2より、本発明の直鎖状ホスホノポリカーボネート及びそれを含む樹脂組成物は汎用ポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂に比べて無機材料や金属などの異種材料への密着性に優れ、耐溶剤性にも優れ、また、機械的強度も高いことが分かる。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表されるリン酸残基を有する直鎖状ホスホノポリカーボネート。
    Figure 2007291208
  2. 前記リン酸残基を側鎖及び/又は分子末端に有する請求項1に記載の直鎖状ホスホノポリカーボネート。
  3. 前記リン酸残基が酸素原子を介して芳香環に結合する請求項1又は2に記載の直鎖状ホスホノポリカーボネート。
  4. 水酸基を有するポリカーボネートのリン酸エステル化工程を含む請求項1ないし3のいずれかに記載の直鎖状ホスホノポリカーボネートの製造方法。
  5. 1つ又は2つの水酸基が保護されたトリスフェノール類を原料とするポリカーボネートの重合工程と、該重合工程後に脱保護反応によりフェノール性水酸基を生成させる工程とを含む請求項4に記載の直鎖状ホスホノポリカーボネートの製造方法。
  6. 1つ又は2つの水酸基が保護されたトリスフェノール類が、下記一般式(2)で表されるトリスフェノールベンジルモノエーテル類及び/又は下記一般式(3)で表されるトリスフェノールジベンジルエーテル類である請求項5に記載の直鎖状ホスホノポリカーボネートの製造方法。
    Figure 2007291208
    (一般式(2),(3)において、Rは、水素原子又は炭素数6以下の炭化水素基を表す。)
  7. 請求項1ないし3のいずれかに記載の直鎖状ホスホノポリカーボネートを含有する樹脂組成物。
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