JP2007289675A - マニピュレータの移動構造及び手術支援ロボット - Google Patents
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Abstract
【課題】 MRIのガントリ内のようにアームの可動高さが制約された空間内でも、マニピュレータのピボット運動を行えるようにすること。
【解決手段】駆動装置11とロボット本体12とを備えて手術支援ロボット10が構成されている。ロボット本体12は、ほぼ水平方向に動作する第1及び第2アーム36,37を備えている。第2アーム37には、その先端側に設けられたジンバル機構48と、このジンバル機構48に支持されるとともに、マニピュレータMがその軸線方向に移動可能に保持されるスライダー49とを備えている。ジンバル機構48は、アーム36,37の動作に応じて、スライダー49を介してマニピュレータMの姿勢を変化させ、スライダー49は、マニピュレータMの姿勢の変化に伴って、その先端の高さ位置がほぼ一定となるように、マニピュレータMを軸線方向に移動させる。
【選択図】 図1
【解決手段】駆動装置11とロボット本体12とを備えて手術支援ロボット10が構成されている。ロボット本体12は、ほぼ水平方向に動作する第1及び第2アーム36,37を備えている。第2アーム37には、その先端側に設けられたジンバル機構48と、このジンバル機構48に支持されるとともに、マニピュレータMがその軸線方向に移動可能に保持されるスライダー49とを備えている。ジンバル機構48は、アーム36,37の動作に応じて、スライダー49を介してマニピュレータMの姿勢を変化させ、スライダー49は、マニピュレータMの姿勢の変化に伴って、その先端の高さ位置がほぼ一定となるように、マニピュレータMを軸線方向に移動させる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、マニピュレータの移動構造及び手術支援ロボットに係り、更に詳しくは、磁気共鳴画像診断装置のガントリ内等の狭い空間内でのロボットによる手術支援に適したマニピュレータの移動構造及び手術支援ロボットに関する。
近時、大きな切開を要さない低侵襲手術を行うための手術支援ロボットが種々研究開発されている。当該手術支援ロボットは、内視鏡や処置具等の術具を保持するマニピュレータと、このマニピュレータを所定方向に移動させるロボットアームとを備えており、医師の遠隔操作にてロボットアームを動作させることで、患者の体内に挿入されたマニピュレータを動かし、術具による患部の処置等を行えるようになっている。
このようなロボットアームの構造として、アクチュエータによって動作する平行リンクを主体としたリンク機構が特許文献1に開示されており、当該リンク機構の動作によって、マニピュレータの先端の位置や姿勢を変えるようになっている。
ところで、近時、開放型の磁気共鳴画像診断装置(以下、「MRI」と称する。)が出現するに至っており、この開放型のMRIは、ガントリが患者を上下から挟む構造となっており、ガントリ内に側方からアクセスできるようになっている。この開放型MRIの出現により、患部をMRIで撮像しながら、手術支援ロボットによって手術支援を行う態様も考えられるようになってきた。
特開平6−261911号公報
しかしながら、前記特許文献1のリンク機構にあっては、MRI内で動作する手術支援ロボットに適用した場合、MRIのガントリ内という狭い空間内でロボットアームを動作させることが難しくなる。すなわち、患者の体表面に空けられた穴にマニピュレータを挿入した状態で、マニピュレータの先端高さを変えずに、前記穴の形成縁周りにマニピュレータを回転させるピボット運動を行おうとする場合、前記リンク機構では、平行リンクの動作に伴いマニピュレータの先端が上下方向に変位するため、当該変位を相殺するように前記平行リンク全体を昇降させることで、当該マニピュレータの先端高さを一定にしなければならない。ところが、このような動作を行おうとすると、400mm程度と狭い高さのガントリの内部では、当該ガントリに前記ロボットアームや平行リンクが干渉してしまう可能性がある。また、前記特許文献1のリンク機構では、ガントリの近傍に平行リンクを動作させるアクチュエータが配置されることになり、当該アクチュエータの駆動によりカントリ内の磁場に影響を与え、MRIによる正確な測定ができなくなる。更に、モータ等のアクチュエータから発生するノイズは、MRIの画像に影響を及ぼし、良好なMRI画像が得られないという不都合もある。
本発明は、このような課題に着目して案出されたものであり、その目的は、MRIのガントリ内のようにロボットアームの可動高さが制約された空間内でも、マニピュレータのピボット運動を難なく行うことができるマニピュレータの移動構造及び手術支援ロボットを提供することにある。
また、他の目的は、MRIに対する影響を抑制することができるマニピュレータの移動構造及び手術支援ロボットを提供することにある。
(1)前記目的を達成するため、本発明は、手術支援ロボットに適用されるマニピュレータの移動構造において、
ほぼ水平方向に動作可能なアームと、このアームの先端側に設けられたジンバル機構と、このジンバル機構に支持されるとともに、前記マニピュレータがその軸線方向に移動可能に保持されるスライダーとを備え、
前記ジンバル機構は、前記アームの水平動作に応じて前記マニピュレータの姿勢を変化させ、
前記スライダーは、前記マニピュレータの姿勢の変化に伴って、前記マニピュレータの先端の高さ位置がほぼ一定となるように、前記マニピュレータをその軸線方向に移動させる、という構成を採っている。
ほぼ水平方向に動作可能なアームと、このアームの先端側に設けられたジンバル機構と、このジンバル機構に支持されるとともに、前記マニピュレータがその軸線方向に移動可能に保持されるスライダーとを備え、
前記ジンバル機構は、前記アームの水平動作に応じて前記マニピュレータの姿勢を変化させ、
前記スライダーは、前記マニピュレータの姿勢の変化に伴って、前記マニピュレータの先端の高さ位置がほぼ一定となるように、前記マニピュレータをその軸線方向に移動させる、という構成を採っている。
(2)ここで、前記スライダーは、前記ジンバル機構に連なるレールと、当該レール上を摺動自在に取り付けられた摺動部材と、当該摺動部材に固定された本体とを備え、
前記本体は、前記マニピュレータが通過する内部空間と、この内部空間に配置されて前記マニピュレータを固定する保持体と、前記内部空間内で前記マニピュレータの軸線方向に沿って延びるとともに、前記保持体に係合するねじ軸とを備え、
前記マニピュレータの姿勢の変化に伴って前記摺動部材がレール上を摺動することで、前記マニピュレータをその軸線方向に移動させ、前記マニピュレータの先端の高さ位置を維持可能に設けられるとともに、
前記ねじ軸を回転させると、前記保持体とともに前記マニピュレータがその軸線方向に任意に移動可能に設けられる、という構成を採ることができる。
前記本体は、前記マニピュレータが通過する内部空間と、この内部空間に配置されて前記マニピュレータを固定する保持体と、前記内部空間内で前記マニピュレータの軸線方向に沿って延びるとともに、前記保持体に係合するねじ軸とを備え、
前記マニピュレータの姿勢の変化に伴って前記摺動部材がレール上を摺動することで、前記マニピュレータをその軸線方向に移動させ、前記マニピュレータの先端の高さ位置を維持可能に設けられるとともに、
前記ねじ軸を回転させると、前記保持体とともに前記マニピュレータがその軸線方向に任意に移動可能に設けられる、という構成を採ることができる。
(3)また、前記本体の内部空間には、前記マニピュレータに作用する力を測定可能な力センサが配置される、という構成を採るとよい。
(4)更に、本発明は、前記マニピュレータの移動構造を備えた手術支援ロボットにおいて、
前記移動構造を含むロボット本体と、前記移動構造に動力を付与する駆動装置とを備え、
前記駆動装置からの動力は、ベルトを介して前記移動構造に伝達され、前記アームを動作させる、という構成を採っている。
前記移動構造を含むロボット本体と、前記移動構造に動力を付与する駆動装置とを備え、
前記駆動装置からの動力は、ベルトを介して前記移動構造に伝達され、前記アームを動作させる、という構成を採っている。
(5)また、本発明は、前記マニピュレータの移動構造を備えた手術支援ロボットにおいて、
前記移動構造を含むロボット本体と、前記移動構造に動力を付与する駆動装置とを備え、
前記駆動装置からの動力は、ベルトを介して前記移動構造に伝達され、前記アームを動作させるとともに、前記ねじ軸を回転可能に設けられているという構成を採っている。
前記移動構造を含むロボット本体と、前記移動構造に動力を付与する駆動装置とを備え、
前記駆動装置からの動力は、ベルトを介して前記移動構造に伝達され、前記アームを動作させるとともに、前記ねじ軸を回転可能に設けられているという構成を採っている。
前記(1)の構成によれば、患者の体表面に空けられた穴にマニピュレータを挿入した状態で、アームをほぼ水平に動作させると、ジンバル機構及びスライダーの作用により、マニピュレータの先端の高さをほぼ一定にしたまま、当該マニピュレータの姿勢を変えてピボット運動を行わせることができる。従って、アームをほぼ水平方向に動作させることで、難なくマニピュレータのピボット運動が可能となるため、マニピュレータの先端の高さを調整するためにアームを上下動させる必要がなく、MRIのガントリ内のように、アームの可動高さが制約された空間内の使用に好適となる。
前記(2)、(5)の構成によれば、マニピュレータの先端を組織の上方から当てた状態でピボット運動をさせた場合、例えば、マニピュレータが鉛直状態から傾斜状態に姿勢が変わって、マニピュレータの先端が組織から浮き上がろうとしたときに、スライダー等の重力により、摺動部材がレール上を摺動することで、マニピュレータが固定された本体が自動的にマニピュレータの軸線方向に下降し、マニピュレータの先端を組織に当てた状態を維持できる。一方、手術中等において、マニピュレータの先端の高さを強制的に変えたい場合には、ねじ軸を回転させることで、マニピュレータをその軸線方向に移動させることもできる。従って、何れの場合もアームを上下動させることなく、マニピュレータの先端の高さ調整が可能となる。
前記(3)のように構成することで、手術中にマニピュレータの先端に作用する力、つまり、マニピュレータの先端が当たる組織からの反力を測定することができ、マニピュレータによって組織に付与される外力の監視、当該外力に応じたロボットの動作制御、或いは、マニピュレータによる自動触診等が可能になる。特に、力センサが、スライダーの本体内に設けられるため、力センサを新たな場所に外付けする必要がなくなり、手術用の限られた空間を有効活用することができる。また、力センサが取り付けられたマニピュレータ用いずに、マニピュレータの先端に作用する反力の測定が可能になり、他の種類のマニピュレータに交換する場合、力センサのない汎用的なマニピュレータを用いることができ、また、当該交換作業を簡単に行うことができる。
前記(4)の構成によれば、前記(1)と同様の効果が得られる他、MRI近傍に設置されたロボット本体に対して、駆動装置を離れて配置することができ、MRIの使用時に発生する磁場に影響を与えず、また、駆動装置を構成するモータ等から発生するノイズの影響を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、本実施形態に係る手術支援ロボットの要部の概略斜視図が示されている。この図において、手術支援ロボット10は、同図中左側の駆動装置11と、同図中右側のロボット本体12とを備えて構成されている。なお、特に限定されるものではないが、手術支援ロボット10は、図示省略しているが、ガントリ内に側方からアクセス可能な開放型の磁気共鳴画像診断装置(以下、「MRI」と称する)と併用可能になっており、前記ガントリ内にロボット本体12が配置され、MRIで患者の患部を撮像しながら手術支援を行うようになっている。
前記駆動装置11は、ロボット本体12から離れた位置に設置可能になっており、第1〜第4のモータ14〜17と、これらモータ14〜17が設置されるベース体19とを備えている。
前記各モータ14〜17は、超音波モータであり、図示省略した制御装置によってその駆動が制御され、それらの動力がそれぞれベルトVを介してロボット本体12側に伝達される。なお、第1のモータ14は、図1中最も奥行側に配置され、同図中手前側に向かって第2〜第4のモータ15〜17の順で配置されている。
前記ロボット本体12は、各モータ14〜17からのベルトVが繋がる下部構造体21と、この下部構造体21に対して起立状態で配置された中間リンク構造体22と、当該中間リンク構造体22の上側に配置されたアーム構造体23とを備えて構成されている。このロボット本体12には、各構造体21〜23にそれぞれに設けられた多数のプーリP及びローラRと、当該プーリP及びローラRに掛け回されたベルトVと、プーリP等と一体回転する歯車Gとが、各モータ14〜17を動力源とした後述する各種動作を可能に配置されている。これらプーリP、ローラR、ベルトV、及び歯車Gは、MRIの使用時に発生する磁場の影響を極力低減する目的で、ゴムや樹脂等の非磁性体により形成されることが好ましい。
なお、以下のロボット本体12の説明において、特に明示しない限り、「前」、「後」、「左」、「右」は、図1中、駆動装置11側からロボット本体12を見た状態での「前」、「後」、「左」、「右」を意味する。
前記下部構造体21は、前記ベース19の端部に取り付けられた二本のシャフト25,25が固定された長尺状の前端プレート26と、この前端プレート26の左右両端側に起立配置された一対の側端プレート27,27と、これら側端プレート27,27間に回転可能に掛け渡された前後二箇所の下部シャフト29,29と、この下部シャフト29,29に設けられたプーリPとを備えている。
前記下部シャフト29,29は、第1のモータ14に繋がるベルトVが掛け回されており、第1のモータ14の駆動によって回転可能になっている。
前記中間リンク構造体22は、各下部シャフト29,29にそれぞれ固定された下部ロッド31,31と、これら下部ロッド31,31の上端側に相対回転可能に連結された上部ロッド32,32とを備えている。
前記下部ロッド31及び上部ロッド32は、それらの後側に相互に径の異なるプーリP,Pが固定され、これらプーリP,P間にベルトVが掛け回されている。この構成によれば、第1のモータ14が所定の正方向に駆動すると、下部シャフト29の回転に伴って下部ロッド31が下部シャフト29を中心として図1中前側に回転し、中間リンク構造体22が全体的に昇降するようになっている。一方、第1のモータ14が前述の逆方向に駆動すると、中間リンク構造体22が全体的に下降するようになっている。
前記アーム構造体23は、先端側に術具等(図示省略)が取り付けられたマニピュレータMを保持し、当該マニピュレータMを所定方向に移動させるものであり、本発明に係るマニピュレータ移動構造が採用されている。このアーム構造体23は、上部ロッド32の上端側に固定された支持ボックス34と、この支持ボックス34の側方に取り付けられた固定用リンク35と、支持ボックス34の上端側に対してほぼ水平回転可能に取り付けられた第1アーム36と、この第1アーム36の先端側に対してほぼ水平回転可能に取り付けられた第2アーム37とを備えて構成されている。
前記アーム構造体23の内部には、外側のカバーを省略した図2に示されるように、中間リンク構造体22側からの動力を第1及び第2アーム36,37に伝達する歯車G、プーリP、ベルトV及びローラR等が適宜配置されている。
前記固定用リンク35は、支持ボックス34に対してほぼ水平回転可能に取り付けられた第1ロッド39と、当該第1ロッド39の先端側に対してほぼ水平回転可能に取り付けられた第2ロッド40とにより構成されている。
これら第1及び第2ロッド39,40は、それらの回転をねじ摘み41により規制できるようになっており、後述するように、患者の患部位置に応じて位置決めされた後は、回転規制がなされた固定状態とされる。
前記第2ロッド40の先端側には、平面視ほぼコ字状のブラケット43が、第2ロッド40の端面に沿って回転可能に取り付けられている。このブラケット43の先端側の内部には、その両内面間に首振り回転可能に掛け渡されたブロック体45が取り付けられている。このブロック体45は、図2中上下方向に貫通する穴部Hが形成されており、当該穴部Hには、棒状に設けられたマニピュレータMが摺動可能に挿入される。
前記第1アーム36は、第3のモータ16の駆動により、下部構造体21、中間リンク構造体22及び支持ボックス34内に適宜配置された歯車G、プーリP、ベルトV、ローラR等の駆動機構を通じ、支持ボックス34の上面側となる基端側を支点として、ほぼ水平方向に回転動作するようになっている。
一方、前記第2アーム37は、第4のモータ17の駆動により、下部構造体21、中間リンク構造体22、支持ボックス34及び第1アーム36内に適宜配置された歯車G、プーリP、ベルトV、ローラR等の駆動機構を通じ、第1アーム36の先端側となる基端側を支点としてほぼ水平方向に回転動作するようになっている。
前記第2アーム37の先端側には、マニピュレータMの上部を保持するジンバル機構48と、このジンバル機構48に支持されるとともに、マニピュレータMをその軸線方向に移動可能に保持するスライダー49とが設けられている。
前記ジンバル機構48は、上側のカバーを省略した図3に示されるように、ほぼ水平面上を回転可能な向きで配置されたジンバルプーリ50と、このジンバルプーリ50の内部に取り付けられたリング部材51と、このリング部材51の内部に取り付けられたブロック体52とにより構成されている。
前記ジンバルプーリ50は、第1アーム36側から延びるベルトVが掛け回されており、第2のモータ15の駆動により、下部構造体21、中間リンク構造体22、支持ボックス34及び第1アーム36内に適宜配置された歯車G、プーリP、ベルトV、ローラR等の駆動機構を通じて回転されるようになっている。
前記リング部材51には、その外周面から外側に向って、ほぼ180度間隔でピン54,54が設けられている。これらピン54,54は、ジンバルプーリ50の内周面に対し回転可能に取り付けられ、これにより、ジンバルプーリ50の内部では、リング部材51がピン54,54を支点として揺動可能になっている。
前記ブロック体52には、その外周面から外側に向って、前記ピン54,54に対し周方向にほぼ90度離れた方向にピン55,55が設けられている。これらピン55,55は、リング部材51の内周面に対して回転可能に取り付けられ、これにより、リング部材51の内部では、ブロック体52がピン55,55を支点として揺動可能になっている。また、このブロック体52には、上下方向に貫通する穴部Hが形成されており、当該穴部Hには、前記マニピュレータMが摺動自在に挿入されている。
前記スライダー49は、図4に示されるように、リング部材51に連なって同図中下方に延びる左右一対のレール58,58と、これらレール58,58上を摺動自在に取り付けられた摺動部材60,60と、これら摺動部材60,60に固定された箱状の本体61とを備えている。
前記本体61は、図4及び図5に示されるように、摺動部材60,60が固定される側壁63と、この側壁63の上下両端側に連なる頂壁64及び底壁65と、これら側壁63、頂壁64及び底壁65で囲まれる内側に形成されるとともに、マニピュレータMが図5中上下方向に通過する内部空間Sと、この内部空間S内に配置され、マニピュレータMの一部分が固定される保持体67と、内部空間Sの図5中上下方向に延びるねじ軸70とを備えて構成されている。なお、この本体61は、図2に示されるように、同図中上下両側のブロック体45,52の間に配置される。
前記頂壁64には、図5に示されるように、マニピュレータMを挿通可能なサイズの貫通穴72と、ねじ軸70を挿通可能なサイズの貫通穴73とが形成されている。
前記底壁65には、貫通穴72に相対する位置に設けられ、マニピュレータMを挿通可能なサイズの貫通穴74が形成されている。
前記保持体67には、貫通穴72,74に相対する位置に設けられ、マニピュレータMを挿通可能なサイズの貫通穴75と、ねじ軸70が貫通するとともに、当該ねじ軸70に係合するねじ穴77とが形成されている。ここで、図示省略しているが、貫通穴75には、その側方から内部に向ってねじ止めされるようになっており、当該ねじ止めによって、マニピュレータMは、保持体67に対し移動不能に固定されることになる。
前記ねじ軸70は、頂壁64の上方から当該頂壁64及び保持体67を貫通して底壁65まで延びるように設けられており、駆動装置11からの動力により、図示しない伝達機構を通じて回転可能となっている。このねじ軸70が回転すると、保持体67に対する送りねじ軸機構により、当該保持体67がねじ軸70に沿って図5中上下方向に移動し、保持体67に固定されたマニピュレータMも一体的にその軸線方向に移動する。
次に、手術支援ロボット10の動作について図1を主として用いながら説明する。
先ず、図示しないMRIのガントリの内部に、ロボット本体12を設置し、当該ガントリの外側に駆動装置11を設置する。そして、患者の患部がガントリ内部に位置した状態で、ロボット本体12の高さ調整を行う。この高さ調整は、第1のモータ14を駆動させ、中間リンク構造体22を昇降させることにより行われる。なお、本実施形態では、第1のモータ14を使って高さ調整が行われるが、本発明はこれに限らず、モータを使わずに人間の手によって、中間リンク構造体22に昇降力を付与することにより、当該中間リンク構造体22を昇降させるようにしてもよい。
次に、固定用リンク35を動かして、患者の体表面に空けられたマニピュレータMの挿入用穴(図示省略)に、第2ロッド40のブロック体45を相対させ、第1及び第2ロッド39,40をねじ摘み41により固定する。このとき、マニピュレータMは、各ブロック体45,52及びスライダー49の本体61に挿通され、患者の体表面に空けられた前記挿入用穴に挿入される。
以上の準備が整った後、医師の操作でロボット本体12を動作させる。図示しない操作装置を使って操作を行うことで、第3及び第4のモータ16,17が駆動し、これによって、第1及び第2アーム36,37が水平方向に動作する。このとき、第2アーム37の先端側のジンバル機構48により、マニピュレータMは、第1及び第2アーム36,37の水平動作に伴って、固定用リンク35のブロック体45の部分を支点として姿勢が変わることになる。このため、第2アーム36の先端が円を描くように第1及び第2アーム36,37を水平方向に動作させると、マニピュレータMは、ブロック体45の姿勢を変えながら当該ブロック体45を支点としてピボット運動が行われる。
ここで、マニピュレータMを鉛直姿勢にして、その先端を図示しない臓器等の組織の上方から当てた状態から前記ピボット運動を行う場合、マニピュレータMの回転支点がその延出方向中間のブロック体45の部分となることから、マニピュレータMが鉛直姿勢から傾斜姿勢に変化すると、その先端が前記組織から浮き上がろうとする。ところが、スライダー49の作用により、マニピュレータMの先端を組織に当てたまま、すなわち、前記マニピュレータMの先端の高さをほぼ一定にしたまま、前記ピボット運動が可能になる。つまり、ねじ軸70(図5参照)が回転されずにマニピュレータMが本体61に相対移動不能に支持された状態で、図6(A)の状態から第2アーム37が同図中矢印の水平方向に移動すると、ジンバル機構48の作用により、マニピュレータMは、傾斜するように姿勢変化を伴いながらピボット運動を行う。この際、前述したように、マニピュレータMの先端が前記組織から浮き上がろうとするが、図6(B)に示されるように、スライダー49の重力によって、マニピュレータMを支持する本体61に固定された摺動部材60,60がレール58,58上を摺動し、マニピュレータMの先端が組織に当たって摺動部材60,60の摺動が規制されるまで、本体61がマニピュレータMの軸線に沿って斜めに下降することになる。つまり、マニピュレータMの姿勢変化に伴い、第2アーム37からマニピュレータMの先端側までのマニピュレータMの軸線方向の距離Lの変化に合わせて、本体61がレール58,58に沿って移動する。このスライダー49の作用により、第2アーム37の水平運動のみで、マニピュレータMの先端の高さをほぼ維持したまま、マニピュレータMのピボット運動が可能となる。
また、図示しない前記操作装置による動作指令によって、第2のモータ15が駆動すると、図2及び図3に示されるジンバルプーリ50が回転し、それに伴い、リング部材51及びブロック体52がジンバルプーリ50と一体的に回転し、ブロック体52に挿通されたマニピュレータM自体がその軸線回りに回転することとなる。
更に、手術中に、患部の位置や状況に応じてマニピュレータMの先端の高さ位置を任意に調整したい場合、医師による前記操作装置による動作指令により、駆動装置11側の動力で図5のねじ軸70を回転させ、マニピュレータMの先端の高さを変えることができる。従って、前記中間リンク構造体22の昇降により第1及び第2アーム36,37の高さを変えなくても、マニピュレータMの先端の任意の高さ調整が可能となり、当該先端の高さを手術中に変える場合でも、図示しないガントリとその下方に位置する第1及び第2アーム36,37の干渉を確実に防止することができる。
従って、このような実施形態によれば、第1及び第2アーム36,37の水平方向の動作により、手術の際に必要となるマニピュレータMのピボット運動やその軸線に沿った移動が可能となる。このため、これら運動を第1及び第2アーム36,37を上下方向に動かさずに行うことができ、アーム36,37の可動高さの限られたMRIのガントリ内部での使用に好適となる。
また、駆動装置11を前記ガントリの外側に配置することができ、しかも、当該駆動装置11からロボット本体12への駆動力の伝達がゴム製等のベルトV等で行われるため、MRIに磁気やノイズを付与させることなく、MRIを使った手術支援が可能となる。
なお、前記スライダー49の変形例としては、図7に示されるように、本体61の内部空間Sに、マニピュレータMの先端に作用する力を測定する力センサ82を配置することもできる。
ここでの保持体67は、側壁63から離れた状態でマニピュレータMに固定される第1部分67Aと、ねじ軸70が図7中上下方向に貫通する第2部分67Bに二分割され、これら第1及び第2部分67A,67Bの間に力センサ82が取り付けられた構成となっている。
前記第1部分67Aは、前記実施形態と同様の貫通穴75が設けられており、その側方から内部に向ってねじ止めされることで、マニピュレータMは、第1部分67Aに対し移動不能に固定されることになる。
前記第2部分67Bには、前記実施形態と同様、ねじ軸70が係合するねじ穴77が形成されており、ねじ軸70が回転すると、保持体67全体が力センサ82とともに図7中上下方向に移動し、マニピュレータMも一体的にその軸線方向に移動する。
本変形例によれば、力センサ82を設けることで、手術中にマニピュレータMの先端に作用する力、すなわち、組織からの反力を測定することができ、マニピュレータMによって組織に付与される外力の監視、当該外力に応じたロボット10の動作制御、或いは、マニピュレータMによる自動触診等が可能になる。特に、本変形例では、当該力センサ82が、スライダー49の本体61の内部空間Sに収まるため、力センサ82を新たに外付けする必要がなくなり、手術用の限られた空間を有効活用することができる。また、力センサ82は、マニピュレータMに直接固定されずに、本体61内に設けられるため、他の種類のマニピュレータMに交換する際に、マニピュレータM毎に力センサ82を取り付けなくても、マニピュレータMの先端に作用する外力の測定が可能になり、マニピュレータMの交換作業を簡単に行える。
また、前記スライダー49は、前記実施形態及び変形例の各構成に限定されるものではなく、第2アーム37の水平運動のみで、マニピュレータMの先端の高さを維持しながらマニピュレータMのピボット運動を可能にする構造であれば何でも良い。例えば、前記実施形態及び変形例の各構成では、医師がマニピュレータMの高さ調整を任意に行う際に、ねじ軸70を回転するようになっているが、マニピュレータMの姿勢をセンシング或いは演算し、当該姿勢に応じて、駆動装置11の動力を制御してねじ軸70の回転量を調整することで、マニピュレータMの先端の高さを自動調整することも可能である。但し、前記実施形態及び変形例の各構成の方が、マニピュレータMの姿勢に応じたねじ軸70の回転制御システムが不要となるため、スライダー49を含めた装置構成をより簡素化することができる。
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
10 手術支援ロボット
11 駆動装置
12 ロボット本体
36 第1アーム
37 第2アーム
48 ジンバル機構
49 スライダー
67 保持体
70 ねじ軸
82 力センサ
M マニピュレータ
S 内部空間
V ベルト
11 駆動装置
12 ロボット本体
36 第1アーム
37 第2アーム
48 ジンバル機構
49 スライダー
67 保持体
70 ねじ軸
82 力センサ
M マニピュレータ
S 内部空間
V ベルト
Claims (5)
- 手術支援ロボットに適用されるマニピュレータの移動構造において、
ほぼ水平方向に動作可能なアームと、このアームの先端側に設けられたジンバル機構と、このジンバル機構に支持されるとともに、前記マニピュレータがその軸線方向に移動可能に保持されるスライダーとを備え、
前記ジンバル機構は、前記アームの水平動作に応じて前記マニピュレータの姿勢を変化させ、
前記スライダーは、前記マニピュレータの姿勢の変化に伴って、前記マニピュレータの先端の高さ位置がほぼ一定となるように、前記マニピュレータをその軸線方向に移動させることを特徴とするマニピュレータの移動構造。 - 前記スライダーは、前記ジンバル機構に連なるレールと、当該レール上を摺動自在に取り付けられた摺動部材と、当該摺動部材に固定された本体とを備え、
前記本体は、前記マニピュレータが通過する内部空間と、この内部空間に配置されて前記マニピュレータを固定する保持体と、前記内部空間内で前記マニピュレータの軸線方向に沿って延びるとともに、前記保持体に係合するねじ軸とを備え、
前記マニピュレータの姿勢の変化に伴って前記摺動部材がレール上を摺動することで、前記マニピュレータをその軸線方向に移動させ、前記マニピュレータの先端の高さ位置を維持可能に設けられるとともに、
前記ねじ軸を回転させると、前記保持体とともに前記マニピュレータがその軸線方向に任意に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載のマニピュレータの移動構造。 - 前記本体の内部空間には、前記マニピュレータに作用する力を測定可能な力センサが配置されていることを特徴とする請求項2記載のマニピュレータの移動構造。
- 請求項1、2又は3記載のマニピュレータの移動構造を備えた手術支援ロボットにおいて、
前記移動構造を含むロボット本体と、前記移動構造に動力を付与する駆動装置とを備え、
前記駆動装置からの動力は、ベルトを介して前記移動構造に伝達され、前記アームを動作させることを特徴とする手術支援ロボット。 - 請求項2又は3記載のマニピュレータの移動構造を備えた手術支援ロボットにおいて、
前記移動構造を含むロボット本体と、前記移動構造に動力を付与する駆動装置とを備え、
前記駆動装置からの動力は、ベルトを介して前記移動構造に伝達され、前記アームを動作させるとともに、前記ねじ軸を回転可能に設けられていることを特徴とする手術支援ロボット。
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JP (1) | JP2007289675A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2007
- 2007-03-28 JP JP2007084117A patent/JP2007289675A/ja active Pending
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