以下、本発明の第1の実施形態について、図1及び図2とともに詳細に説明する。ここで、図1は本実施形態の液晶表示装置における要部概略構成を示す機能ブロック図、図2は本実施形態の液晶表示装置における基本動作原理を説明するための説明図である。
本実施形態においては、図1に示すように、液晶層と該液晶層に走査信号及びデータ信号を印加するための電極とを有するアクティブマトリクス型の液晶表示パネル1と、入力画像信号に基づいて前記液晶表示パネル1のデータ電極及び走査電極を駆動するための電極駆動部2と、前記液晶表示パネル1の裏面に配置された直下型のバックライト光源3と、入力画像信号から同期信号を抽出する同期信号抽出部4と、バックライト光源3を1垂直期間内で消灯/点灯の間欠駆動する光源駆動部5とを備えている。
さらに、入力画像信号のフレーム周波数を高周波数に変換して電極駆動部2に出力するフレーム周波数変換部6と、当該装置内部の温度を検出するための温度検出部7と、前フレームデータを記憶するフレームメモリ8と、前記温度検出部7で検出された温度データと、前記フレームメモリ8から読み出された前フレームデータと現フレームデータとの階調遷移とに基づいて、前記フレーム周波数変換部6に所定の制御信号を出力する制御CPU9とを備えている。
前記光源駆動部5は同期信号抽出部4で抽出された垂直同期信号に基づいて、バックライト光源3を点灯/消灯するタイミングを制御する。また、フレーム周波数変換部6は例えばフレームメモリを備えたものであり、入力画像信号の1フレーム分の画像をフレームメモリに記憶した後、制御CPU9からの制御信号に基づいて、所定のフレーム周波数に変換した画像信号を出力する。
尚、上記バックライト光源3としては、直下型蛍光灯ランプの他、直下型又はサイド照射型のLED光源、EL光源などを用いることができる。特にLED(発光ダイオード)は応答速度が数十ns〜数百nsであり、蛍光灯ランプのmsオーダーに比べて応答性が良好なため、よりスイッチングに適した点灯/消灯状態を実現することが可能である。また、温度検出部7は、できるだけ液晶表示パネル1の温度を正確に検出することが可能に設けられるのが望ましい。
本実施形態の液晶表示装置は、全面フラッシュ型のバックライト点灯方式により、動画表示の際に生じる動きぼけを防止するものである。すなわち、図2に示すように、表示画面の全走査期間(画像の書き込み)が完了してから、液晶の応答期間分だけ遅延させた後、バックライト光源3に駆動波形を印加することにより、図中網掛け部分で示すバックライト点灯期間に、バックライト光源3を表示画面の全面に対して一斉に点灯(フラッシュ発光)させる。
ここで、本実施形態においては、温度検出部7で検出された装置内温度に応じて、入力画像信号のフレーム周波数を所定の周波数に変換するようフレーム周波数変換部6を制御することにより、画像の書込走査期間を可変して、温度依存性のある液晶が応答する期間(液晶応答時間)を十分に確保している。尚、本実施形態では、バックライト光源3のバックライト点灯期間(画像表示期間)、すなわち点灯率(インパルス率)は変更せず、ここでは50%(1/2フレーム=約8.4ms)としている。
以下、本実施形態の液晶表示装置の動作例について説明する。例えば、温度検出部7で検出された装置内温度が高い(20℃〜)場合は、図2(a)に示すように、フレーム周波数変換部6によって、入力画像信号のフレーム周波数(60Hz)を4倍の240Hzに変換し、この4倍速に変換された画像信号を電極駆動部2を介して液晶表示パネル1に供給することにより、1/4フレーム期間(=約4.2ms)で画像を書込走査する。この場合、1画面分の画像書込走査が完了してから、バックライト光源3の点灯を開始するまでの液晶応答期間を、1/4フレーム期間(=約4.2ms)確保することができる。
また、温度検出部7で検出された装置内温度がやや低い(10〜20℃)場合は、図2(b)に示すように、フレーム周波数変換部6によって、入力画像信号のフレーム周波数(60Hz)を6倍の360Hzに変換し、この6倍速に変換された画像信号を電極駆動部2を介して液晶表示パネル1に供給することにより、1/6フレーム期間(=約2.8ms)で画像を書込走査する。この場合、1画面分の画像書込走査が完了してから、バックライト光源3の点灯を開始するまでの液晶応答期間を、1/3フレーム期間(=約5.6ms)確保することができる。
次に、温度検出部7で検出された装置内温度がさらに低い(〜10℃)場合は、図2(c)に示すように、フレーム周波数変換部6によって、入力画像信号のフレーム周波数(60Hz)を8倍の480Hzに変換し、この8倍速に変換された画像信号を電極駆動部2を介して液晶表示パネル1に供給することにより、1/8フレーム期間(=約2.1ms)で画像を書込走査する。この場合、1画面分の画像書込走査が完了してから、バックライト光源3の点灯を開始するまでの液晶応答期間を、3/8フレーム期間(=約6.3ms)確保することができる。
このように、装置内温度すなわち液晶表示パネル1の検出温度が低くなる程、液晶表示パネル1に供給する画像信号のフレーム周波数を高周波数に変換するように制御することで、画像走査期間を短縮し、液晶応答期間を増大させることが可能になる。従って、液晶応答速度が遅い低温時であっても、液晶応答期間を十分に確保することでき、液晶が完全に応答して目標輝度に到達した後に、画像表示を行うことが可能となるため、動きぼけばかりでなく残像の発生を抑制した高画質の動画像表示を実現することができる。
尚、1フレーム前後の階調遷移によっても液晶の応答時間は異なり、一般的にある中間調から別の中間調に変更させる時間は長くなることから、本実施形態のように、上記装置内温度に加えて、前記フレームメモリ8から読み出された前フレームデータと現フレームデータとの階調遷移も考慮して、フレーム相関が認められる次フレームデータに対するフレーム周波数を決定するように構成しても良い(フレーム周波数変換部6の前段に遅延部を設け、入力画像信号を1フレーム分だけ遅延させることで、現フレームデータそのものに対するフレーム周波数を変換することもできる)。これによって、さらに液晶の光学応答特性に応じた適切な画像表示を実現することが可能となる。
また、本実施形態においては、装置内温度に応じて画像信号のフレーム周波数を3段階に切換変換するものについて説明したが、4段階以上のフレーム周波数に切換変換するように構成しても良く、上記実施形態に限定されないことは明らかである。
以上のように、本実施形態の液晶表示装置においては、全面フラッシュ型のバックライト点灯方式を用いてインパルス型駆動の表示状態に近づけることで動きぼけを防止する際、装置内温度に応じて画像の書込走査期間を制御しているので、動きぼけの発生を防止するとともに、尾引き等の残像の発生を防止することが可能となり、表示画像の画質向上を実現することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について、図3及び図4とともに詳細に説明するが、上述した第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。ここで、図3は本実施形態の液晶表示装置における要部概略構成を示す機能ブロック図、図4は本実施形態の液晶表示装置における基本動作原理を説明するための説明図である。
本実施形態の液晶表示装置は、上述した第1の実施形態と同様、全面フラッシュ型のバックライト点灯方式により、動画表示の際に生じる動きぼけを防止するものであるが、図3に示すように、特に温度検出部7で検出された装置内温度に基づいて、バックライト光源3の点灯期間(点灯タイミング)を可変すべく、制御CPU9が光源駆動部5を制御することにより、温度依存性のある液晶が応答する期間(液晶応答時間)を十分に確保している。
また、バックライト光源3の点灯期間(画像表示期間)の可変制御に伴い、制御CPU9はバックライト光源3の発光輝度を可変するように光源駆動部5を制御する、或いは、入力画像信号の階調レベルを可変するように階調変換部10を制御している。ここでは、バックライト光源3の点灯期間(点灯率)が短縮されても、入力画像信号と表示輝度の関係が一定となるように、バックライト光源3の発光輝度(バックライト輝度)を上げるとともに、階調変換部10で入力画像信号レベルを変換している。
尚、本実施形態では、液晶表示パネル1に供給する画像信号のフレーム周波数は外部条件等によって変更せず、フレーム周波数変換部6では常に4倍速の240Hzに変換した画像信号を出力するものとする。
以下、本実施形態の液晶表示装置の動作例について説明する。例えば、温度検出部7で検出された装置内温度が高い(20℃〜)場合は、図4(a)に示すように、バックライト光源3の点灯期間、すなわち点灯率(発光デューティ)を50%(約8.4ms)としている。この場合、1画面分の画像書込走査が完了してから、バックライト光源3の点灯を開始するまでの液晶応答期間を、1フレーム期間の25%(=約4.2ms)確保することができる。
また、温度検出部7で検出された装置内温度がやや低い(10〜20℃)場合は、図4(b)に示すように、バックライト光源3の点灯タイミングを遅延させて、バックライト光源3の点灯率(発光デューティ)を40%(約6.7ms)としている。この場合、1画面分の画像書込走査が完了してから、バックライト光源3の点灯を開始するまでの液晶応答期間を、1フレーム期間の35%(=約5.8ms)確保することができる。
次に、温度検出部7で検出された装置内温度がさらに低い(〜10℃)場合は、図4(c)に示すように、バックライト光源3の点灯タイミングをさらに遅延させて、バックライト光源3の点灯率(発光デューティ)を30%(約5.0ms)としている。この場合、1画面分の画像書込走査が完了してから、バックライト光源3の点灯を開始するまでの液晶応答期間を、1フレーム期間の45%(=約7.5ms)確保することができる。
このように、装置内温度すなわち液晶表示パネル1の検出温度が低くなる程、液晶表示パネル1を照射するバックライト光源3の点灯期間を短縮するように制御することで、液晶応答期間を増大させることが可能になる。従って、液晶応答速度が遅い低温時であっても、液晶応答期間を十分に確保することでき、液晶が完全に応答して目標輝度に到達した後に、バックライト光源3を点灯させて画像表示を行うことが可能となるため、動きぼけばかりでなく残像の発生を抑制した高画質の動画像表示を実現することができる。
尚、1フレーム前後の階調遷移によっても液晶の応答時間は異なり、一般的にある中間調から別の中間調に変更させる時間は長くなることから、本実施形態のように、上記装置内温度に加えて、前記フレームメモリ8から読み出された前フレームデータと現フレームデータとの階調遷移も考慮して、フレーム相関が認められる次フレームデータを表示する際のバックライト点灯期間を決定するように構成しても良い(フレーム周波数変換部6の前段に遅延部を設け、入力画像信号を1フレーム分だけ遅延させることで、現フレームデータそのものを表示する際のバックライト点灯期間を可変することもできる)。これによって、さらに液晶の光学応答特性に応じた適切な画像表示を実現することが可能となる。
また、本実施形態においては、バックライト点灯期間(画像表示期間)を装置内温度に応じて3段階に切り換えるものについて説明したが、4段階以上のバックライト点灯期間に切り換えるように構成しても良く、上記実施形態に限定されないことは明らかである。さらに、上述した第1の実施形態のように、書込画像信号のフレーム周波数を可変するものと組み合わせて、液晶応答期間の設定自由度を向上させても良いことは言うまでもない。
以上のように、本実施形態の液晶表示装置においては、全面フラッシュ型のバックライト点灯方式を用いてインパルス型駆動の表示状態に近づけることで動きぼけを防止する際、装置内温度に応じてバックライト光源3の点灯期間(点灯タイミング)を制御しているので、動きぼけの発生を防止するとともに、尾引き等の残像の発生を防止することが可能となり、表示画像の画質向上を実現することができる。
また、バックライト光源3の点灯期間(点灯率)に応じて、バックライト光源3の発光輝度(バックライト輝度)を可変するとともに、階調変換部10で入力画像信号の階調レベルを変換しているので、バックライト光源3の点灯期間(点灯率)に関わらず、入力画像信号と表示輝度の関係を常に一定とすることが可能である。
次に、本発明の第3の実施形態について、図5とともに説明するが、上記第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。ここで、図5は本実施形態の液晶表示装置における基本動作原理を説明するための説明図である。
本実施形態の液晶表示装置は、走査型のバックライト点灯方式により、動画表示の際に生じる動きぼけを防止するものであるが、基本的な機能ブロック図は図1とともに上述した第1の実施形態のものと同様である。異なるのは、走査線と平行に配置された複数本の直下型蛍光灯ランプや、複数個の直下型又はサイド照射型のLED光源、EL光源などを用いて構成されたバックライト光源3のうち、所定の本数(個数)を1発光領域としてこれらを1フレーム内で順次スキャン点灯するよう制御している点である。光源駆動部5は、同期信号抽出部4で抽出された垂直/水平同期信号に基づいて、各発光領域を順次スキャン点灯するタイミングを制御している。
すなわち、本実施形態では、図5に示すように、ある水平ライン群(表示分割領域)の走査(画像の書き込み)が完了してから、液晶の応答遅延分を考慮して、該水平ライン群に対応するバックライト光源3の発光領域(ある蛍光灯ランプ群又はLED群)を点灯させる。これを上下方向に次の領域、・・・と繰り返す。これによって、図5中の網掛け部分で示すように、バックライト点灯期間を、画像信号の書込走査箇所に対応して、時間の経過に伴い発光領域単位で、順次移行させることができる。
ここで、本実施形態においては、温度検出部7で検出された装置内温度に応じて、入力画像信号のフレーム周波数を所定の周波数に変換するようフレーム周波数変換部6を制御することにより、画像の書込走査期間を可変して、温度依存性のある液晶が応答する期間(液晶応答時間)を十分に確保している。尚、本実施形態では、1フレーム期間内におけるバックライト光源3の各発光領域の点灯期間(画像表示期間)は変更せず、常に5/8フレーム期間(=約10.4ms)としている。
以下、本実施形態の液晶表示装置の動作例について説明する。例えば、温度検出部7で検出された装置内温度が高い(20℃〜)場合は、図5(a)に示すように、フレーム周波数変換部6では、入力画像信号のフレーム周波数(60Hz)を変換せずにそのまま出力し、この画像信号を電極駆動部2を介して液晶表示パネル1に供給することにより、1フレーム期間(=約16.7ms)で画像を書込走査する。この場合、ある水平ライン群(表示分割領域)の画像書込走査が完了してから、該水平ライン群に対応するバックライト光源3の点灯を開始するまでの液晶応答期間を、1/4フレーム期間(=約4.2ms)確保することができる。
また、温度検出部7で検出された装置内温度がやや低い(10〜20℃)場合は、図5(b)に示すように、フレーム周波数変換部6によって、入力画像信号のフレーム周波数(60Hz)を2倍の120Hzに変換し、この2倍速に変換された画像信号を電極駆動部2を介して液晶表示パネル1に供給することにより、1/2フレーム期間(=約8.4ms)で画像を書込走査する。この場合、ある水平ライン群(表示分割領域)の画像書込走査が完了してから、該水平ライン群に対応するバックライト光源3の点灯を開始するまでの液晶応答期間を、5/16フレーム期間(=約5.2ms)確保することができる。
次に、温度検出部7で検出された装置内温度がさらに低い(〜10℃)場合は、図5(c)に示すように、フレーム周波数変換部6によって、入力画像信号のフレーム周波数(60Hz)を4倍の240Hzに変換し、この4倍速に変換された画像信号を電極駆動部2を介して液晶表示パネル1に供給することにより、1/4フレーム期間(=約4.2ms)で画像を書込走査する。この場合、ある水平ライン群(表示分割領域)の画像書込走査が完了してから、該水平ライン群に対応するバックライト光源3の点灯を開始するまでの液晶応答期間を、11/32フレーム期間(=約5.7ms)確保することができる。
このように、装置内温度すなわち液晶表示パネル1の検出温度が低くなる程、液晶表示パネル1に供給する画像信号のフレーム周波数を高周波数に変換するように制御することで、画像走査期間を短縮し、液晶応答期間を増大させることが可能になる。従って、液晶応答速度が遅い低温時であっても、液晶応答期間を十分に確保することでき、液晶が完全に応答して目標輝度に到達した後に、画像表示を行うことが可能となるため、動きぼけばかりでなく残像の発生を抑制した高画質の動画像表示を実現することができる。
尚、1フレーム前後の階調遷移によっても液晶の応答時間は異なり、一般的にある中間調から別の中間調に変更させる時間は長くなることから、本実施形態においても、上記装置内温度に加えて、前記フレームメモリ8から読み出された前フレームデータと現フレームデータとの階調遷移も考慮して、フレーム相関が認められる次フレームデータに対するフレーム周波数を決定するように構成しても良い(フレーム周波数変換部6の前段に遅延部を設け、入力画像信号を1フレーム分だけ遅延させることで、現フレームデータそのもののフレーム周波数を変換することもできる)。これによって、さらに液晶の光学応答特性に応じた適切な画像表示を実現することが可能となる。
また、本実施形態においては、装置内温度に応じて画像信号のフレーム周波数を3段階に切換変換するものについて説明したが、4段階以上のフレーム周波数に切換変換するように構成しても良く、上記実施形態に限定されないことは明らかである。
さらに、図5に示したものにおいては、バックライト光源3を8つの発光領域(水平ライン群)に分割して順次スキャン点灯しているが、発光分割領域の数は2以上であればいくつでも良く、また各発光領域はバックライト光源3を水平方向(走査線と平行方向)に分割した領域に限られないことは明らかである。この点においても、バックライト光源3として直下型平面LEDを用いた場合の方が、発光分割領域の設定を自由度の高いものとすることができる。
以上のように、本実施形態の液晶表示装置においては、走査型のバックライト点灯方式を用いてインパルス型駆動の表示状態に近づけることで動きぼけを防止する際、装置内温度に応じて画像の書込走査期間を制御しているので、動きぼけの発生を防止するとともに、尾引き等の残像の発生を防止することが可能となり、表示画像の画質向上を実現することができる。
次に、本発明の第4の実施形態について、図6とともに詳細に説明するが、上述した第2の実施形態と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。ここで、図6は本実施形態の液晶表示装置における基本動作原理を説明するための説明図である。
本実施形態の液晶表示装置は、走査型のバックライト点灯方式により、動画表示の際に生じる動きぼけを防止するものであるが、基本的な機能ブロック図は図3とともに上述した第2の実施形態のものと同様である。異なるのは、走査線と平行に配置された複数本の直下型蛍光灯ランプや、複数個の直下型又はサイド照射型のLED光源、EL光源などを用いて構成されたバックライト光源3のうち、所定の本数(個数)を1発光領域としてこれらを1フレーム内で順次スキャン点灯するよう制御している点である。光源駆動部5は、同期信号抽出部4で抽出された垂直/水平同期信号に基づいて、各発光領域を順次スキャン点灯するタイミングを制御している。
すなわち、本実施形態では、図6に示すように、ある水平ライン群(表示分割領域)の走査(画像の書き込み)が完了してから、液晶の応答遅延分を考慮して、該水平ライン群に対応するバックライト光源3の発光領域(ある蛍光灯ランプ群又はLED群)を点灯させる。これを上下方向に次の領域、・・・と繰り返す。これによって、図6中の網掛け部分で示すように、バックライト点灯期間を、画像信号の書込走査箇所に対応して、時間の経過に伴い発光領域単位で、順次移行させることができる。
ここで、本実施形態においては、温度検出部7で検出された装置内温度に基づいて、バックライト光源3の各発光領域における点灯期間(点灯タイミング)を可変すべく、制御CPU9が光源駆動部5を制御することにより、温度依存性のある液晶が応答する期間(液晶応答時間)を十分に確保している。
また、バックライト光源3の点灯期間(画像表示期間)の可変制御に伴い、制御CPU9はバックライト光源3の発光輝度を可変するように光源駆動部5を制御する、或いは、入力画像信号の階調レベルを可変するように階調変換部10を制御している。ここでは、バックライト光源3の点灯期間(点灯率)が短縮されても、入力画像信号と表示輝度の関係が一定となるように、バックライト光源3の発光輝度(バックライト輝度)を上げるとともに、階調変換部10で入力画像信号レベルを変換している。
尚、本実施形態では、液晶表示パネル1に供給する画像信号のフレーム周波数は外部条件等によって変更せず、常に入力画像信号(60Hz)をそのまま出力するものとする。
以下、本実施形態の液晶表示装置の動作例について説明する。例えば、温度検出部7で検出された装置内温度が高い(20℃〜)場合は、図6(a)に示すように、1フレーム期間内におけるバックライト光源3の各発光領域の点灯期間を5/8フレーム期間(=約10.4ms)としている。この場合、ある水平ライン群(表示分割領域)の画像書込走査が完了してから、該水平ライン群に対応するバックライト光源3の点灯を開始するまでの液晶応答期間を、1/4フレーム期間(=約4.2ms)確保することができる。
また、温度検出部7で検出された装置内温度がやや低い(10〜20℃)場合は、図6(b)に示すように、バックライト光源3の点灯タイミングを遅延させて、1フレーム期間内におけるバックライト光源3の点灯期間を1/2フレーム期間(=約8.4ms)としている。この場合、ある水平ライン群(表示分割領域)の画像書込走査が完了してから、該水平ライン群に対応するバックライト光源3の点灯を開始するまでの液晶応答期間を、3/8フレーム期間(=約5.8ms)確保することができる。
次に、温度検出部7で検出された装置内温度がさらに低い(〜10℃)場合は、図6(c)に示すように、バックライト光源3の点灯タイミングをさらに遅延させて、1フレーム期間内におけるバックライト光源3の点灯期間を3/8フレーム期間(=約6.3ms)としている。この場合、ある水平ライン群(表示分割領域)の画像書込走査が完了してから、該水平ライン群に対応するバックライト光源3の点灯を開始するまでの液晶応答期間を、1/2フレーム期間(=約8.4ms)確保することができる。
このように、装置内温度すなわち液晶表示パネル1の検出温度が低くなる程、液晶表示パネル1を照射するバックライト光源3の各発行領域における点灯期間を短縮するように制御することで、液晶応答期間を増大させることが可能になる。従って、液晶応答速度が遅い低温時であっても、液晶応答期間を十分に確保することでき、液晶が完全に応答して目標輝度に到達した後に、バックライト光源3を点灯させて画像表示を行うことが可能となるため、動きぼけばかりでなく残像の発生を抑制した高画質の動画像表示を実現することができる。
尚、1フレーム前後の階調遷移によっても液晶の応答時間は異なり、一般的にある中間調から別の中間調に変更させる時間は長くなることから、本実施形態においても、上記装置内温度に加えて、前記フレームメモリ8から読み出された前フレームデータと現フレームデータとの階調遷移も考慮して、フレーム相関が認められる次フレームデータに対するバックライト点灯期間を決定するように構成しても良い(フレーム周波数変換部6の前段に遅延部を設け、入力画像信号を1フレーム分だけ遅延させることで、現フレームデータそのものに対するフレーム周波数を変換することもできる)。これによって、さらに液晶の光学応答特性に応じた適切な画像表示を実現することが可能となる。
また、本実施形態においては、バックライト点灯期間(画像表示期間)を装置内温度に応じて3段階に切り換えるものについて説明したが、4段階以上のバックライト点灯期間に切り換えるように構成しても良く、上記実施形態に限定されないことは明らかである。さらに、上述した第3の実施形態のように、書込画像信号のフレーム周波数を可変するものと組み合わせて、液晶応答期間の設定自由度を向上させても良いことは言うまでもない。
さらに、図6に示したものにおいては、バックライト光源3を8つの発光領域(水平ライン群)に分割して順次スキャン点灯しているが、発光分割領域の数は2以上であればいくつでも良く、また各発光領域はバックライト光源3を水平方向(走査線と平行方向)に分割した領域に限られないことは明らかである。この点においても、バックライト光源3として直下型平面LEDを用いた場合の方が、発光分割領域の設定を自由度の高いものとすることができる。また、バックライト光源3としてLEDを用いた場合、その駆動電流量を制御することで、比較的容易にバックライト輝度を制御することも可能となる。
そしてまた、本実施形態においては、各発光領域の発光期間及び発光輝度をフレーム単位で可変制御しているが、温度検出部7として液晶表示パネル1の各分割領域に対応した複数の温度センサーを設け、それぞれにおける検出温度に応じて各発光領域の発光期間及び発光輝度を発光領域毎に独立して可変制御するようにしても良い。
以上のように、本実施形態の液晶表示装置においては、走査型のバックライト点灯方式を用いてインパルス型駆動の表示状態に近づけることで動きぼけを防止する際、装置内温度に応じてバックライト光源3の各発光領域における点灯期間(点灯タイミング)を制御しているので、動きぼけの発生を防止するとともに、尾引き等の残像の発生を防止することが可能となり、表示画像の画質向上を実現することができる。
また、バックライト光源3の点灯期間(点灯率)に応じて、バックライト光源3の発光輝度(バックライト輝度)を可変するとともに、階調変換部10で入力画像信号の階調レベルを変換しているので、バックライト光源3の点灯期間(点灯率)に関わらず、入力画像信号と表示輝度の関係を常に一定とすることが可能である。
さらに、本発明の第5の実施形態について、図7乃至図9とともに説明するが、上記第4実施形態と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。ここで、図7は本実施形態の液晶表示装置における要部概略構成を示す機能ブロック図、図8は本実施形態の液晶表示装置における電極駆動動作を説明するためのタイミングチャート、図9は本実施形態の液晶表示装置における基本動作原理を説明するための説明図である。
本実施形態の液晶表示装置は、図7に示すように、バックライト光源3を常灯状態として、1フレーム内で液晶表示パネル1への画像信号の書込走査に続けて黒表示信号の書込走査(リセット走査)を行う黒書込型により、動画表示の際に生じる動きぼけを防止するものであり、温度検出部7で検出された装置内温度に基づいて、制御CPU9が電極駆動部2による黒表示信号の書き込みタイミングを可変制御していることを特徴とする。
すなわち、本実施形態においては、電極駆動部2において各走査線を画像表示のために選択する以外に、黒表示のために再度選択するとともに、それに応じて入力画像信号及び黒表示信号をデータ線へ供給するという一連の動作を1フレーム周期で行うことで、あるフレーム画像表示と次のフレーム画像表示との間に黒信号を表示する期間(黒表示期間)を発生させている。ここで、画像信号の書き込みタイミングに対する黒表示信号の書き込みタイミング(遅延時間)を、装置内温度すなわち液晶表示パネル1の温度に応じて可変する。
また、黒表示期間の可変制御に伴い、制御CPU9はバックライト光源3の発光輝度を可変するように光源駆動部5を制御する、或いは、入力画像信号の階調レベルを可変するように階調変換部10を制御している。ここでは、画像表示期間が短縮されても、入力画像信号と表示輝度の関係が一定となるように、バックライト光源3の発光輝度(バックライト輝度)を上げるとともに、階調変換部10で入力画像信号レベルを変換している。
図8は液晶表示パネル1の走査線(ゲート線)に関するタイミングチャートである。ゲート線Y1〜Y480は、タイミングを少しずらして、1フレーム周期中において、画像信号を画素セルに書き込むために順次立ち上げられる。480本すべてのゲート線を立ち上げて、画像信号を画素セルに書き込むことで1フレーム周期が終了する。
このとき、画像信号の書き込みのための立ち上げから、上記装置内温度に応じて決定される期間だけ遅延して、ゲート線Y1〜Y480を再度立ち上げて、各画素セルにデータ線Xを介して黒を表示する電位を供給する。これにより、各画素セルは黒表示状態となる。すなわち、各ゲート線Yは、1フレーム周期において、異なる期間で2回高レベルとなる。1回目の選択により画素セルは一定期間画像データを表示し、それに続く2回目の選択で、画素セルは強制的に黒表示を行う。
以下、本実施形態の液晶表示装置の動作例について説明する。例えば、温度検出部7で検出された装置内温度が高い(20℃〜)場合は、図9(a)に示すように、黒表示期間を1/2フレーム期間(=約8.4ms)としている。この場合、ある画素に対して画像表示信号の書き込みが完了してから、黒表示信号の書き込みを開始するまでの液晶応答期間を、1/2フレーム期間(=約8.4ms)確保することができる。
また、温度検出部7で検出された装置内温度がやや低い(10〜20℃)場合は、図9(b)に示すように、黒表示信号の書き込みタイミングを遅延させて、黒表示期間を1/3フレーム期間(=約5.6ms)としている。この場合、ある画素に対して画像表示信号の書き込みが完了してから、黒表示信号の書き込みを開始するまでの液晶応答期間を、2/3フレーム期間(=約11.1ms)確保することができる。
次に、温度検出部7で検出された装置内温度がさらに低い(〜10℃)場合は、図9(c)に示すように、黒表示信号の書き込みタイミングをさらに遅延させて、黒表示期間を1/4フレーム期間(=約4.2ms)としている。この場合、ある画素に対して画像表示信号の書き込みが完了してから、黒表示信号の書き込みを開始するまでの液晶応答期間を、3/4フレーム期間(=約12.6ms)確保することができる。
このように、装置内温度すなわち液晶表示パネル1の検出温度が低くなる程、黒書き込みタイミングを遅延させて、黒表示期間を短縮するように制御することで、液晶応答期間を増大させることが可能になる。従って、液晶応答速度が遅い低温時であっても、液晶応答期間を十分に確保することでき、液晶が完全に応答して目標輝度に到達した後に、黒表示を行うことが可能となるため、動きぼけばかりでなく残像の発生を抑制した高画質の動画像表示を実現することができる。
尚、1フレーム前後の階調遷移によっても液晶の応答時間は異なり、一般的にある中間調から別の中間調に変更させる時間は長くなることから、本実施形態においても、上記装置内温度に加えて、前記フレームメモリ8から読み出された前フレームデータと現フレームデータとの階調遷移も考慮して、フレーム相関が認められる次フレームにおける黒表示期間を決定するように構成しても良い(フレーム周波数変換部6の前段に遅延部を設け、入力画像信号を1フレーム分だけ遅延させることで、現フレームそのものにおける黒表示期間を求めることもできる)。これによって、さらに液晶の光学応答特性に応じた適切な画像表示を実現することが可能となる。
また、本実施形態においては、黒表示期間(または、画像表示期間)を装置内温度に応じて3段階に切り換えるものについて説明したが、4段階以上の黒表示期間を切り換えるように構成しても良く、上記実施形態に限定されないことは明らかである。さらに、本実施形態においては、画像信号(60Hz)のフレーム周波数を変換せずにそのまま液晶表示パネル1に供給しているが、画像信号のフレーム周波数を可変しても良いことは言うまでもない。そしてまた、上記黒表示期間にはバックライト光源3を消灯することで、バックライト点灯期間を短縮して、バックライト光源3の長寿命化、低消費電力化を実現することも可能となる。さらに、バックライト光源3としてLEDを用いた場合、その駆動電流量を制御することで、比較的容易にバックライト輝度を制御することも可能となる。
そしてまた、本実施形態においては、各走査ラインに対する画像表示期間(黒表示期間)及びバックライト光源3の発光輝度をフレーム単位で可変制御しているが、温度検出部7として液晶表示パネル1の1ライン或いは複数ラインからなる各分割領域に対応した複数の温度センサーを設け、それぞれにおける検出温度に応じて画像表示期間(黒表示期間)を1ライン或いは複数ライン毎に独立して可変制御するとともに、1ライン或いは複数ラインからなる各分割領域に対応する発光領域毎にバックライト光源3の発光輝度を可変制御ようにしても良い。
以上のように、本実施形態の液晶表示装置においては、黒書込型の表示方式を用いてインパルス型駆動の表示状態に近づけることで動きぼけを防止する際、装置内温度に応じて画像表示期間(黒表示期間)を制御しているので、動きぼけの発生を防止するとともに、尾引き等の残像の発生を防止することが可能となり、表示画像の画質向上を実現することができる。
また、画像表示期間(黒表示期間)に応じて、バックライト光源3の発光輝度(バックライト輝度)を可変するとともに、階調変換部10で入力画像信号の階調レベルを変換しているので、画像表示期間(黒表示期間)に関わらず、入力画像信号と表示輝度の関係を常に一定とすることが可能である。
本発明の液晶表示装置は、上記のような構成としているので、当該装置の内部温度に応じて、前記液晶表示パネルに供給する画像信号のフレーム周波数、又は液晶表示パネルを照射するバックライトの点灯期間を適切に自動切換することにより、液晶が完全に応答して目標輝度に到達した後に、画像表示を行うことが可能となり、動きぼけとともに残像の発生を抑制した高画質の動画像表示を実現することが可能となる。
同様に、当該装置の内部温度に応じて、黒表示期間を適切に自動切換することにより、液晶が完全に応答して目標輝度に到達した後に、黒表示を行うことが可能となり、動きぼけとともに残像の発生を抑制した高画質の動画像表示を実現することができる。