JP2007285631A - 煙突と排熱回収ボイラ - Google Patents

Abstract

【課題】比較的簡単な構造を備え、扱いが容易な煤塵等の除去手段を設置した煙突と該煙突を備えた排熱回収ボイラを提供すること。
【解決手段】
排熱回収ボイラ２の出口の煙突９に設けられるダンパー１０の上部に着脱容易な複数の金網式煤塵捕獲装置１２を配置する。煤塵捕獲装置１２は断面Ｔ字型サポート梁１４の水平部分１４ｂ上に載置する。各煤塵捕獲装置１２は３重の金網１２ａ〜ｃとそれをボルトで挟み込んで固定する枠体１２ｄと止め部材１２ｅから成る。煤塵などの大気飛散が懸念される排ガス装置煙突においても、金網方式の煤塵捕獲装置１２が着脱が容易な複数の金網枠１２ｄをサポート梁１４に載置した構成であるので、金網枠１２ｄに付着した煤煙などを金網枠１２ｄをサポート梁１４から取り外すことで容易に大気への飛散を防止することができる。
【選択図】図２

Description

本発明はガスタービンと排熱回収ボイラ（ＨＲＳＧ）を組み合わせた複合発電プラントの排熱回収ボイラと、該排熱回収ボイラに使用する煙突に関する。

ガスタービン排熱回収ボイラを組み合わせた複合発電プラントは他の火力発電プラントに比較して発電効率が高く、燃料として主に天然ガスを用いる場合が多く硫黄酸化物および煤塵の発生量が少ないため、排ガスの浄化処理の負担が少なく、将来性の高い発電プラントとして注目されている。

従来の複合発電プラントの機器構成の概略図を図１０に示す。ガスタービン１からの排気ガスは排熱回収ボイラ２に導かれる。排熱回収ボイラ２では、節炭器３、蒸発管４などの伝熱管群により排ガスから熱回収し、蒸気を発生させる。その蒸気は過熱器５で過熱され、主蒸気管８を通って蒸気を工場等で利用したり、蒸気タービンへ供給して発電に利用する。

また、排ガス中には窒素酸化物（以下ＮＯｘと略す）が含まれているため、排熱回収ボイラ２に脱硝装置６を組み込み、排ガス中にアンモニア（ＮＨ₃）を注入し、脱硝装置６でＮＯｘの除去を行う。これに対し、ガスタービン1の燃料として油類、例えばＡ重油を使用する場合、燃料中の硫黄分によりガスタービン１の排ガス中には硫黄酸化物（以下ＳＯｘと略す）が多く含まれている。この場合、ＮＯｘ除去のために注入されるアンモニアとＳＯｘとの化学反応により、ガス温度が２２０℃から１５０℃の領域（図１０の節炭器３の領域に相当）で酸性硫安が生成し、伝熱管群に付着する。この酸性硫安は腐食性があり、伝熱管群を錆させる。また、酸性硫安は冷却されると粉末状になるが、排熱回収ボイラ２が停止して冷却されると、酸性硫安が排熱回収ボイラ２内で粉末状になる。このような状態で、ガスタービン１を起動させると、錆や酸性硫安がガスに搬送されて排熱回収ボイラ２の出口の煙突９（高さは約５０〜８０ｍ）から飛散したり、錆や酸性硫安で周囲の機器を汚したり、腐食させたりするおそれがある。また、排ガス中に含まれる煤塵が伝熱管群に付着するので、排熱回収ボイラ２の再起動時に錆や酸性硫安と共に煙突９から大気中に飛散するおそれがある。

特許文献１記載の発明では、図１０（ａ）に示すように粉末状の酸性硫安、錆及び煤塵がガスタービン１の再起動によりに排熱回収ボイラ２出口の煙突９から飛散することを防止するために煙突９内に網状のダンパー１１とそのガス上流側（図１では煙突９下部）に板状のダンパー１０を設置する。図１０（ｂ）には板状のダンパー１０を示し、図１０（ｃ）には網状のダンパー１１の斜視図を示す。

図１０（ａ）に示す排熱回収ボイラ２では規定時間の間、複合発電プラントを運転した後に停止させ、同時にガスタービン１も停止させた状態で板状のダンパー１０で煙突９を閉止状態にして、作業員が煙突９内部に入り、当該ダンパー１０を足場代わりに利用して、網状ダンパー１１に付着した酸性硫安、錆及び煤塵を除去する。
特開２００５−２４１０７５号公報

上記特許文献１記載の発明は、網状ダンパー１１の構造が多少複雑になり、構造上金網の隙間に付着した煤塵等の除去に手間がかかる欠点がある。
そこで、本発明の課題は、比較的簡単な構造を備え、扱いが容易な煤塵等の除去手段を設置した煙突と該煙突を用いる排熱回収ボイラを提供することである。

本発明の課題は次の解決手段で解決される。
すなわち、請求項１記載の発明は、内部にダンパーを有する排ガス用の鉛直方向に向いた煙突において、ダンパーの上部に複数の金網枠を着脱可能にサポート梁に載置した煤塵捕獲装置を設置した煙突である。

請求項２記載の発明は、金網方式の煤塵捕獲装置は、煙突の水平断面方向に互いに並列配置され、鉛直方向に平面を有する垂直梁部分と該垂直梁部分の下端部に水平方向に平面を有する水平梁部分からなる断面Ｔ字型であるサポート梁と、サポート梁の水平梁部分に載置される着脱自在な金網枠を備えた請求項１の煙突である。

請求項３記載の発明は、金網方式の煤塵捕獲装置をダンパーより０．５ｍから２．５ｍ上方に設けた請求項１又は２記載の煙突である。
請求項４記載の発明は、ガスタービンからの燃焼排ガスを流すダクト内に多数の伝熱管群と脱硝装置を配置した排熱回収ボイラにおいて、伝熱管群で熱交換した後のガスタービン燃焼排ガスを大気中に排出する煙突として、請求項１から３のいずれかに記載の煙突を使用する排熱回収ボイラである。

請求項１記載の発明により、煤塵などの大気飛散が懸念される煙突においても、金網方式の煤塵捕獲装置が着脱が容易な複数の金網枠をサポート梁に載置した構成であるので、金網枠に付着した煤煙などを金網枠をサポート梁から取り外すことで容易に大気への飛散を防止することができる。
請求項２記載の発明により、請求項１記載の発明の効果に加えて、サポート梁の水平梁部分に金網枠を着脱自在に載置しているだけであるので、必要なときにだけ金網枠をサポート梁に載置できる。

請求項３記載の発明により、請求項１又は２記載の発明の効果に加えて、ダンパー上に作業者が乗って金網枠の着脱作業が容易に行える。
請求項４記載の発明により、排熱回収ボイラの運転再開時に煤煙などが大気中に飛散することを防止できる。

本発明の実施例を図面と共に説明する。
図１には、本実施例の排熱回収ボイラ出口の煙突の全体構造を示す。
排熱回収ボイラ２の出口の煙突９の下部に排熱回収ボイラ出口排ガスＧを受け入れ、上方の煙突９の出口より排ガスＧは大気の放出される。途中に排熱回収ボイラ２の停止時の保温と煙突９上部からの雨切りのためにダンパー１０が設置されている。ダンパー１０の上部に金網式煤塵捕獲装置１２が設けられている。この煤塵捕獲装置１２は常時設置していると長期間運転時の汚れ等で排ガスの流動抵抗が増え、排熱回収ボイラ２の運転効率の低下につながるので常時設置部分は必要最小限にとどめる。

したがって、上記煤塵捕獲装置１２は煙突９から着脱容易な構造にしておくと便利である。通常煤塵などの飛散が問題になるのは長期の排熱回収ボイラの運転中にボイラ内部の壁面などに付着した酸性硫安や硫安および灰からなる煤塵が定期検査後の運転再開時にまとまって壁面などから剥がれて大気中に飛散する場合であり、それを防ぐために排熱回収ボイラ２の運転再開時に機能を発揮すればよい。

図２には煙突９内に配置された金網式煤塵捕獲装置１２の全体の平面図を示し、図３に一部側面図を示す。また、図４には煙突９内に予め取り付けられる金網式煤塵捕獲装置１２のサポート梁１４と梁支持部材２１の配置図を示し、図５には図４のＡ−Ａ線断面図、図６は図４のＢ−Ｂ線又はＣ−Ｃ線断面図を示す。また、図７は図４に示す金網式煤塵捕獲装置１２のサポート梁１４上に配置する金網枠１２ｄの側面図を示し、図８には該金網枠の各種枠体の平面図（図８（ａ）〜（ｄ））を示す。

図４のＡ−Ａ線断面図である図５に示す煤塵捕獲装置１２のサポート梁１４は煙突９の水平面に複数本（本実施例では９本）が互いに平行位置に配置される。
図２に示すように煙突９は耐火材１５と該耐火材１５の内側に鋼材１６を張り付けた構成からなり、また、図３に示すようにサポート梁１４は、鉛直方向に平面を備えた垂直部分１４ａと該垂直部分１４ａの下端に溶接接続された水平部分１４ｂからなる断面がＴ字型をしている。また、煙突９の内壁の鋼材１６の円周方向に溶接接続され水平面を備えたリング状の水平片１９に、例えば溶接によりシール板２０を接続し、該シール板２０の上にサポート梁１４の水平部分１４ｂを載置する。

図４の矢印Ｄに示す円内の拡大図を図９に示す。煙突９は耐火材１５と該耐火材１５の内側に鋼材１６を張り付けた構成からなり、前記鋼材１６に設けた一対の鋼材製の差し込み片１８、１８にＴ字型サポート梁１４の垂直部分１４ａの端部を差し込みボルト結合して着脱可能にしている。

また、図６の図４のＢ−Ｂ線又はＣ−Ｃ線断面図に示すようにＴ字型サポート梁１４の水平部分１４ｂの下面にはＴ字型サポート梁１４の長手方向に直交する方向に設けた４本のサポート梁支持部材２１をボルト接続している。図４に示すように該４本の梁支持部材２１の内２本は互いに同一直線上に配置している。
サポート梁支持部材２１で一部支持されたＴ字型サポート梁１４の上に載置する煤塵捕獲装置１２は、その側面図を図７に示すように３重の金網１２ａ〜ｃとそれをボルトで挟み込んで固定する枠体１２ｄと止め部材１２ｅから成る。

また、煤塵捕獲装置１２の枠体１２ｄは、１個の質量を手持ちできるような大きさに分割し、煙突９の中心部に載置される一番大きなサイズの枠体を有するもの１２ｄ₁（図８（ａ））から一番小さいサイズの枠体を有するもの１２ｄ₄（図８（ｄ））まで４種類のサイズの枠体１２ｄ₁〜１２ｄ_４からなる。これらの煤塵捕獲装置１２をそれぞれ図４に示すサポート梁支持部材２１で一部支持されたＴ字型サポート梁１４の上に載置する。しかし煙突９の内部周辺部には矩形の平面形状を有する煤塵捕獲装置１２が載置出来ない変形の空間が出来るが、その部分にはシール板２０を載置する。なお煙突９の煤塵捕獲装置１２を載置する部分には煙突９の内壁を構成する鋼材１６に設けた水平片１９を溶接接続しているので、この水平片１９とサポート梁１４の水平部分１４ｂの上に前記シール板２０を溶接接続することができる。煤塵捕獲装置１２の載置後は、煤塵捕獲装置１２をサポート梁１４の水平部分１４ｂにボルト止めする。

通常は煤塵捕獲金網１２は煙突９から外しておき、サポート梁１４とサポート梁支持部材２１は常設とする。定期検査後の排熱回収ボイラ２の再起動運転時にはダンパー１０を全閉固定し、その上部を作業用の足場として利用する。煤塵捕獲金網１２を上部から吊り降ろすか、または煙突９のダンパー１０上方に設けられたマンホール（図示せず）から搬入し、サポート梁１４にボルトにて固定する。

煤塵などの飛散は排熱回収ボイラ２の再起動時の初期の集中飛散するので排ガス源を適宜起動停止しながら付着状況を監視する。煤塵などの付着が増大し、流動抵抗が増した場合はダンパー１０の上面にシートを張り、煤塵捕獲金網１２を上方からエアーブロー又はダンパー１０の上面から清掃を行う。これを何回か繰り返すと煤塵などの飛散はほとんどなくなり煤塵捕獲装置１２なしでも排熱回収ボイラ２を運転できる。
その際には煤塵捕獲金網１２を再度外して通常運転時の流動抵抗増大を回避すればよい。

上記煤塵捕獲金網１２の着脱作業、清掃作業のためにはダンパー１０と煤塵捕獲金網１２との隙間はダンパー１０へのアプローチを考慮して作業床等が設けられているので、それを利用できることから作業性を考慮して、０．５〜２．５ｍ前後が最適である。

本発明は、燃焼物に起因する硫黄分が含まれている燃焼装置排ガスを利用する装置の煙突部分に適用でき、当該装置としては排熱回収ボイラや、煤塵などが生成し易い燃焼装置などである。

本実施例の排熱回収ボイラ出口の煙突の全体構造を示す。 図１の煙突内に配置された金網式煤塵捕獲装置の全体の平面図を示す。 図２の金網式煤塵捕獲装置の一部側面図を示す。 図２の金網式煤塵捕獲装置のサポート梁の配置図を示す。 図４のＡ−Ａ線断面図を示す。 図４のＢ−Ｂ線又はＣ−Ｃ線断面図を示す。 図４に示す金網式煤塵捕獲装置のサポート梁上に配置する金網枠の側面図を示す。 図７に示す金網枠の各種枠体の平面図（図８（ａ）〜（ｄ））を示す。 図４の矢印Ｄに示す円内の拡大図である。 従来の複合発電プラントの機器構成の概略図を示す。

符号の説明

１ ガスタービン ２ 排熱回収ボイラ
３ 節炭器 ４ 蒸発管
５ 過熱器 ８ 主蒸気管
９ 煙突 １０ ダンパー
１１ 網状ダンパー １２ 金網式煤塵捕獲装置
１２ａ〜ｃ 金網 １２ｄ 枠体
１２ｅ 止め部材 １４ サポート梁
１４ａ サポート梁垂直部分 １４ｂ サポート梁水平部分
１５ 耐火材 １６ 鋼材
１８ 差し込み片 １９ 水平片
２０ シール板 ２１ サポート梁支持部材

Claims (4)

1. 内部にダンパーを有する排ガス用の鉛直方向に向いた煙突において、
   ダンパーの上部に複数の金網枠を着脱可能にサポート梁に載置した煤塵捕獲装置を設置したことを特徴とする煙突。
2. 金網方式の煤塵捕獲装置は、煙突の水平断面方向に互いに並列配置され、鉛直方向に平面を有する垂直梁部分と該垂直梁部分の下端部に水平方向に平面を有する水平梁部分からなる断面Ｔ字型であるサポート梁と、サポート梁の水平梁部分に載置される着脱自在な金網枠を備えたことを特徴とする請求項１の煙突。
3. 金網方式の煤塵捕獲装置をダンパーより０．５ｍから２．５ｍ上方に設けたことを特徴とする請求項１又は２記載の煙突。
4. ガスタービンからの燃焼排ガスを流すダクト内に多数の伝熱管群と脱硝装置を配置した排熱回収ボイラにおいて、
   伝熱管群で熱交換した後のガスタービン燃焼排ガスを大気中に排出する煙突として、請求項１から３のいずれかに記載の煙突を使用することを特徴とする排熱回収ボイラ。

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