JP2007284577A - 粘着シート及びそれを用いた被着体の加工方法 - Google Patents

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昭徳 西尾
Tetsuya Iwai
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Abstract

【課題】 ピール剥離によらず、発泡剤や膨張剤を使用することなく、被着体に対する接着性と使用後の剥離性を両立できる新しいタイプの粘着シートを提供する。
【解決手段】 本発明の粘着シートは、ベースポリマー中に水担持体が分散している粘着剤組成物で構成された水担持体含有粘着剤層を有する。水担持体における担体として、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカゲル及び水膨潤性ゲル形成剤から選択された少なくとも1種の水担持性粉粒体を使用できる。水担持体中の水含有量は、例えば30重量%以上100重量%未満である。また、水担持体含有粘着剤層を構成する粘着剤組成物中の水担持体含有量は、例えば3〜50重量%である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、粘着シートとその製造方法、及び該粘着シートを用いた被着体の加工方法に関する。より詳しくは、水担持体含有粘着剤層を有する粘着シートとその製造方法、及び該粘着シートを用いた被着体の加工方法に関する。この粘着シートは半導体ウエハ、電子部品などを加工する際の被加工体の仮固定用粘着シート等として利用される。
従来、半導体ウエハの裏面研削や切断(ダイシング)などの電子部品製造工程時における仮固定手段や容器等のリサイクル用ラベルとして、基材上に熱膨張性微小球などの発泡剤又は膨張剤を含む粘着剤層を設けた加熱剥離型粘着シートが用いられている(特公昭51−24534号公報、特開昭56−61468号公報、特開昭56−61469号公報、特開昭60−252681号公報など)。この加熱剥離型粘着シートは、ピール剥離によることなく接着性と使用後の剥離性とを両立させたもので、加熱により発泡剤等が発泡又は膨張して接着力が低下し、被着体より容易に剥離できるという特徴を有している。
一方、近年になって、電子機器の軽薄短小化、小型軽量化、機能の多様化が進み、これに伴って、電子機器に用いられる電子部品も薄型化、小型化、チップ化、加工の多様化、高品質化、精密化が進んでおり、これらの動向に対応できる電子部品加工技術が求められている。しかしながら、被加工体の仮固定用に従来の加熱剥離型粘着シートを用いる方法では、粘着シートの粘着剤層に発泡剤や膨張剤が含まれているため、被加工体の種類によっては接着性と使用後の剥離性の調整が必ずしも容易でない、粘着シート剥離時に被着体表面を汚染する場合がある、製造に有機溶剤を用いることが多い、コストが高い等の問題がある。そのため、ピール剥離ではなく自然剥離を利用した、しかも発泡剤や膨張剤、有機溶剤を使用しない新しいタイプの粘着シートが期待されている。
特公昭51−24534号公報 特開昭56−61468号公報 特開昭56−61469号公報 特開昭60−252681号公報
したがって、本発明の目的は、ピール剥離によらず、しかも発泡剤や膨張剤を用いることなく、被着体に対する接着性と使用後の剥離性を両立できる新しいタイプの粘着シートを提供することにある。
本発明の他の目的は、有機溶剤を用いることなく製造でき、取扱性、操作性、被着体に対する密着性及び接着性、凹凸追従性、使用後の易剥離性、被着体に対する低汚染性等に優れ、しかも低コストである粘着シートを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記粘着シートの効率的な製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記粘着シートを用いた被着体の加工方法を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、粘着剤層をベースポリマー中に水担持体が分散した粘着剤組成物で構成すると、該粘着シートに被着体を貼り合わせて被着体に加工を施した後、該粘着シートを加熱することにより粘着シートが容易に被着体から剥離できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ベースポリマー中に水担持体が分散している粘着剤組成物で構成された水担持体含有粘着剤層を有する粘着シートを提供する。
前記水担持体における担体としては、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカゲル及び水膨潤性ゲル形成剤から選択された少なくとも1種の水担持性粉粒体を使用できる。水担持体中の水含有量は、例えば、30重量%以上100重量%未満である。また、水担持体含有粘着剤層を構成する粘着剤組成物中の水担持体含有量は、例えば、3〜50重量%程度である。水担持体含有粘着剤層を構成する粘着剤組成物は、例えば光硬化型粘着剤組成物である。
前記粘着シートには、基材の少なくとも一方の面に水担持体含有粘着剤層を有する粘着シートが含まれる。この粘着シートにおいて、基材の水担持体含有粘着剤層側の面に表面処理又はコーティング処理が施されていてもよい。また、基材の両面に粘着剤層を有し且つ両粘着剤層のうち少なくとも一方が水担持体含有粘着剤層であってもよい。この場合、基材の一方の面に水担持体含有粘着剤層を有し、他方の面に粘着剤層を有するとともに、該他方の面の粘着剤層表面に支持体が貼着されていてもよい。
本発明は、また、ベースポリマー中に水担持体が分散している粘着剤組成物で構成された水担持体含有粘着剤層を有する粘着シートを製造する方法であって、セパレータ又は基材上に、ベースポリマー中に水担持体が分散している粘着剤組成物で構成された水担持体含有粘着剤層を形成する工程を含む粘着シートの製造方法を提供する。
上記製造方法において、セパレータ又は基材上に、光重合性プレポリマー、水担持体及び界面活性剤からなる光重合性組成物を塗布した後、光を照射して硬化させることにより水担持体含有粘着剤層を形成してもよい。
本発明は、さらに、被着体を前記の粘着シートの水担持体含有粘着剤層の粘着面に貼り合わせ、該被着体に加工を施した後、粘着シートを加熱して、被着体から該粘着シートを剥離することを特徴とする被着体の加工方法を提供する。
前記被着体として、例えば、半導体ウエハが挙げられる。
本発明によれば、粘着剤層をベースポリマー中に水担持体が分散している粘着剤組成物で構成するので、被着体と貼り合わせて所期の役割を果たした後、加熱すると、水担持体含有粘着剤層中の水担持体に含まれている水が水蒸気となって該粘着剤層表面から噴出し、被着体の接触面を押圧するので、ピール剥離によらず、また発泡剤や膨張剤を用いることなく、被着体から容易に粘着シートを剥離させることができる。また、本発明の粘着シートは、有機溶剤を用いることなく製造でき、取扱性、操作性、被着体に対する密着性及び接着性、凹凸追従性、使用後の易剥離性、被着体に対する低汚染性等に優れ、しかも低コストである。
さらに、本発明の粘着シートの製造方法によれば、上記粘着シートを効率よく製造できる。また、本発明の被着体の加工方法によれば、上記のような優れた特性を有する粘着シートを用いるので、被着体を十分な接着力で仮固定できるとともに、被着体が脆弱であっても被着体加工時や粘着シート剥離時に被着体が割れにくく、しかも被着体加工後には粘着シートを被着体から容易に且つ被着体表面を汚染することなく剥離できる。
[粘着シート]
本発明の粘着シートは、ベースポリマー中に水担持体が分散している粘着剤組成物で構成された水担持体含有粘着剤層を有している。粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤などを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、粘着剤として、光硬化型粘着剤(紫外線硬化型粘着剤など)を用いることもできる。
一般には、前記粘着剤としては、天然ゴムや各種の合成ゴム(例えば、ポリイソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、再生ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンなど)をベースポリマーとしたゴム系粘着剤;(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体をベースポリマーとするアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。これらのなかでもアクリル系粘着剤が特に好ましい。
前記アクリル系重合体の単量体成分である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、イソノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、テトラデシルエステルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C2-14アルキルエステル、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸C2-10アルキルエステル]などが挙げられる。また、アクリル系重合体の単量体成分として、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルも使用できる。
前記アクリル系重合体は、凝集力、被着体への接着力、耐熱性、架橋性などの改質を目的として、必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単量体成分に対応する単位を1種又は2種以上含んでいてもよい。このような単量体成分には、極性基含有単量体、多官能性モノマー又はオリゴマーなどが挙げられる。なお、便宜上、「多官能性オリゴマー」も単量体の範疇に含めて説明する。
極性基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体;無水マレイン酸、無水イコタン酸などの酸無水物基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルメタクリレートなどのヒドロキシル基含有単量体;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステル単量体;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系単量体;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクルロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカプロラクタムなどの複素環含有ビニル系単量体;N−ビニルカルボン酸アミド類;ビニルアルキルエーテル類;(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどの複素環含有(メタ)アクリル酸エステル;シリコーン(メタ)アクリレートなどのケイ素原子含有単量体などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸などのカルボキシル基含有単量体、酸無水物基含有単量体が特に好ましい。
極性基含有単量体の使用量は、全モノマー成分中30重量%以下(例えば1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、さらに好ましくは2〜10重量%程度)とするのが好ましい。30重量%を超えると、例えばアクリル系粘着剤の凝集力が高くなりすぎ、接着力が低下するおそれがある。また、1重量%未満では、アクリル系粘着剤の凝集力が低下し、高い剪断力が得られなくなることがある。
多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。多官能性オリゴマーとしては、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー、例えば、多官能ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、多官能エステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、多官能エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、多官能メラミン(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
多官能性モノマー又はオリゴマーの使用量は、全モノマー成分中7重量%以下(例えば0.01〜7重量%、好ましくは0.5〜5重量%、さらに好ましくは0.6〜3重量%程度)とするのが好ましい。7重量%を超えると、光重合性組成物の調製時における水担持体の分散性が低下したり、アクリル系粘着剤の凝集力が高くなりすぎて接着力が低下したりするおそれがある。また、0.01重量%未満では、例えばアクリル系粘着剤の凝集力が低下しやすくなる。
上記以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の単量体成分として、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;塩化ビニルなどのハロゲン原子含有単量体;フッ素(メタ)アクリレートなどのフッ素原子含有単量体などが挙げられる。
本発明の粘着シートの重要な特徴は、被着体と接する粘着剤層を構成する粘着剤組成物が、ベースポリマー中に水担持体が分散している形態(構造)を有していることである。本発明の粘着シートでは、被着体と接触する粘着剤層を構成する粘着剤組成物がこのような形態を有しているため、被着体と貼り合わせて、例えば仮固定等の所期の役割を終えた後、該粘着シートを加熱すると、水担持体含有粘着剤層中の水担持体に含まれている水が水蒸気となって層表面から噴出し、被着体の接触面を押圧するので、被着体と粘着シートとを容易に剥離することができる。
水担持体含有粘着剤層を構成する粘着剤組成物中の水担持体含有量は、粘着シートの接着性及び易剥離性を損なわない範囲で適宜選択できるが、通常3〜50重量%であり、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜20重量%の範囲である。水担持体含有量が少なすぎると、粘着シートの剥離性が低下しやすくなり、水担持体含有量が多すぎると、粘着シートの接着力が低下したり、水担持体の分散性が低下して粘着シートの円滑な剥離が損なわれるおそれがある。
前記水担持体は担体に水が担持、吸着されたものである。水担持体は1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。前記担体としては、粘着剤組成物を構成する粘着剤成分(ベースポリマー等)又はその前駆体(プレポリマー等)に溶解せずに分散し、且つ水を吸着、保持する能力を有し、しかも加熱等によって水が脱着する特性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカゲル、ケイ酸マグネシウム、スメクタイト族粘土鉱物等の水膨潤性粘土鉱物、水膨潤性ゲル形成剤などを使用できる。モレキュラーシーブとしては、A型、X型、Y型等の何れであってもよく、例えば、モレキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ13Xなどが例示される。
水膨潤性ゲル形成剤としては、水によって膨潤してゲルを形成しうるものであれば特に限定されない。代表的な水膨潤性ゲル形成剤として、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム等のカルボキシビニルポリマー(カルボキシル基は塩を形成していてもよい)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、デンプン及びその誘導体、ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂、寒天、アルギニン酸、アラビノガラクタン、ガラクトマンナン、セルロース及びその誘導体(カルボキシメチルセルロースなど)、デキストラン、ゼラチン、ペクチン、ヒアルロン酸、ジェランガム、コラーゲン、カゼイン、キサンタンガムなどが挙げられる。これらは架橋剤により架橋されていてもよい。架橋剤としては、例えばカルボキシビニルポリマーの場合には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリミョウバン、硫酸第二鉄、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、クエン酸鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の多価金属化合物が用いられる。上記の水膨潤性ゲル形成材のなかでも、架橋化ポリアクリル酸等の架橋化カルボキシビニルポリマーが好ましい。
担体としては粉粒状が好ましく、その平均粒子径は、分散性等の観点から、好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは1〜20μm(例えば1〜10μm)であるが、これに限定されない。
水担持体は前記担体に水を含有させることにより調製できる。例えば、担体を水に浸漬したり、担体に水又は水蒸気を噴霧することにより水担持体を得ることができる。水担持体中の水含有量は、担体の水吸収能力、水吸着能力等によっても異なるが、一般に30重量%以上100重量%未満、好ましくは40〜90重量%、さらに好ましくは50〜80重量%程度である。
粘着剤組成物は、粘着剤の主体となるベースポリマーのほかに、製造上の必要性、用途、要求性能などに応じて、例えば、界面活性剤、光重合開始剤、熱重合開始剤、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常温で固体、半固体、あるいは液状のもの)、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、増粘剤(粘度調整剤)、着色剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。
水担持体含有粘着剤層の厚みは、用途や使用方法などによっても異なるが、通常10〜300μm程度であり、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは20〜150μmである。この厚みが小さすぎると、水担持体含有粘着剤層中の水担持体の絶対量が少なくなって易剥離性が損なわれるおそれがある。厚みが大きすぎると、剥離時に水担持体含有粘着剤層に凝集破壊が生じて、粘着剤が被着体表面に残存し、被着体表面が汚染されやすくなる。
本発明の粘着シートの態様としては、水担持体含有粘着剤層を有していれば特に限定されず、例えば、図1に示されるような基材レス粘着シート、図2に示されるような片面粘着シート、図3に示されるような両面粘着シート、図4に示されるような支持体付き粘着シート等のいずれであってもよい。また、粘着シートはテープ状やラベル状であってもよく、ロール状に巻回した巻回体であってもよい。各図において、1は水担持体含有粘着剤層、2はセパレータ、3は基材、4は粘着剤層、5は支持体を示す。
セパレータ2は水担持体含有粘着剤層1又は粘着剤層4の保護のために設けられるものであり、使用の際には剥離される。セパレータ2としては、例えば、プラスチックフィルムや紙等のフィルム状又はシート状基材の表面に、シリコーン樹脂、長鎖アルキルアクリレート樹脂、フッ素系樹脂などで代表される離型剤をコートしたもの、ポリエチレンやポリプロピレン等の無極性ポリマーからなる粘着性の小さいフィルム又はシートなどが使用される。なお、粘着シートをロール状に巻回する場合には、図1や図3の態様においては2つのセパレータのうち一方を省略することができ、図2の態様においては基材の背面に剥離機能を付与することによりセパレータを省略することができる。
基材3は水担持体含有粘着剤層1や粘着剤層4の支持母体として用いることができる。基材を用いることにより、水担持体含有粘着剤層等が支持補強されて粘着シートの取扱性が向上し、電子部品等の被着体への接着、使用後の被着体からの剥離操作などを能率的に行うことができる。基材は単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。
基材としては、例えば、紙などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体や、これらの積層体(特に、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム又はシート同士の積層体など)等の適宜な薄葉体を用いることができる。基材は多孔質体であってもよい。基材としては、水担持体含有粘着剤層中の水担持体に含まれている水を蒸発させる加熱処理時の温度で溶融しない耐熱性に優れるものが、加熱後の取扱性などの点より好ましい。基材としては、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材を好適に用いることができる。このようなプラスチック系基材の素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリ塩化ビニル(PVC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが挙げられる。なお、基材として、プラスチック系基材が用いられている場合は、延伸処理等により伸び率などの変形性を制御していてもよい。
基材の厚さは、強度や柔軟性、使用目的などに応じて適宜に選択でき、例えば、一般的には1000μm以下(例えば、1〜1000μm)、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは3〜300μm、特に好ましくは5〜250μm程度であるが、これらに限定されない。
基材の表面は、水担持体含有粘着剤層や粘着剤層との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、アンカーコーティング剤、プライマー、接着剤等のコーティング剤によるコーティング処理が施されていてもよい。水担持体含有粘着剤層中の水担持体に含まれている水を加熱により蒸発させて粘着シートと被着体とを剥離する際、水蒸気の圧力が水担持体含有粘着剤層の被着体側だけでなく基材側にもかかるので、その際の基材と水担持体含有粘着剤層との剥離を防止するため、特に基材の水担持体含有粘着剤層側の表面に上記の表面処理やコーティング処理を施すのが好ましい。表面処理とコーティング処理をともに施してもよい。前記アンカーコーティング剤としては、例えば、有機チタネート系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、イソシアネート系、ポリエステル系のアンカーコーティング剤などが例示される。また、接着剤としては、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系の接着剤などが例示される。これらのなかでも、ポリウレタン系接着剤が特に好ましい。
また、例えば、図2の片面粘着シートをセパレータ無しでロール状に巻回する場合などには、基材の背面側に、水担持体含有粘着剤層表面に対する剥離性を付与するため、例えば、シリコーン系樹脂やフッ素系樹脂等の離型剤(剥離剤)などによるコーティング処理を施してもよい。
前記粘着剤層4は、支持体(支持板など)5を貼り合わせるための粘着剤層として利用される。このような粘着剤層を構成する粘着剤組成物における粘着剤としては、公知の粘着剤、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤などが挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。粘着剤としては、光硬化型粘着剤(紫外線硬化型粘着剤等)を用いることもできる。これらの粘着剤については前記水担持体含有粘着剤層における粘着剤と同様である。
粘着剤層を構成する粘着剤組成物中には、粘着剤の種類等に応じて、例えば、界面活性剤、光重合開始剤、熱重合開始剤、架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属塩系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アミノ系架橋剤、過酸化物系架橋剤、シランカップリング剤系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常温で固体、半固体、あるいは液状のもの)、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、増粘剤(粘度調整剤)、着色剤、充填剤などの適宜な添加剤が含まれていてもよい。
粘着剤層は、光硬化型粘着剤を用いた光硬化型粘着剤層、発泡剤(熱膨張性微小球等)や膨張剤を添加した加熱剥離型粘着剤層であってもよく、また、上記水担持体含有粘着剤層と同様の粘着剤層であってもよい。
粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、通常0.1〜500μm、好ましくは1〜300μm、さらに好ましくは5〜250μmの範囲である。
前記支持体5は、水担持体含有粘着剤層1に貼り合わせた被着体を強固に固定して、被着体の加工性を高めたり、被着体の加工時及び加工後における割れ、反り、弛み等を防止する補強材としての役割を持つ。支持体としては、被着体を支持、補強できるものであれば特に限定されず、例えば、シリコンウエハやガラスウエハ等の半導体ウエハ(ダミーウエハ);ステンレス板、銅板等の金属板;アクリル系樹脂板等のプラスチック板などの支持板、あるいは支持台座等が挙げられる。
支持体が支持板である場合、その厚さは、通常400〜800μm程度のものが好ましいが、これに限定されず、400μm未満の厚さや800μmを超える厚さであってもよい。
本発明の粘着シートにおいては、例えば、基材3の背面側(図2の態様)、基材3と水担持体含有粘着剤層1との間(図1〜図3の態様)、基材3と粘着剤層4との間(図3、図4の態様)などに、それぞれ1層又は2層以上の中間層を設けることができる。該中間層は、前述のように、剥離性の付与を目的とした離型剤(剥離剤)によるコーティング層や、密着性の向上を目的としたアンカーコーティング剤、プライマー、接着剤等のコーティング剤によるコーティング層などが挙げられる。また、これら以外の中間層としては、例えば、良好な変形性の付与を目的とした層、被着体への接着面積の増大を目的とした層、接着力の向上を目的とした層、被着体の表面形状に良好に追従させることを目的とした層、加熱による剥離処理の処理性向上を目的とした層、加熱後の被着体からの剥離性の向上を目的とした層などが挙げられる。
[粘着シートの製造方法]
上記粘着シートは、セパレータ又は基材上に、ベースポリマー中に水担持体が分散している粘着剤組成物で構成された水担持体含有粘着剤層を形成する工程を経ることにより製造できる。水担持体含有粘着剤層の形成方法としては、該層を構成する粘着剤組成物において、ベースポリマーからなるマトリックス中に水担持体が分散した形態(構造)を作製できる方法であれば特に限定されない。
例えば、水担持体含有粘着剤層は、セパレータ又は基材上に、光重合性プレポリマー、及び水担持体からなる光重合性組成物を塗布した後、光を照射して硬化させることにより形成することができる。硬化後に、ベースポリマーからなるマトリックス中に水担持体が分散した形態(構造)をとるためには、この光重合性組成物は水担持体が光重合性プレポリマー中に均一に分散した状態であるのが好ましい。
前記光重合性プレポリマーは、光重合性モノマーに光重合開始剤を添加して、これに光を照射し部分重合させることにより製造できる。光重合性モノマーとしては、通常、水担持体含有粘着剤層を構成する粘着剤組成物のベースポリマー(例えば、アクリル系重合体など)の構成単量体を用いる。例えば、ベースポリマーがアクリル系重合体である場合には、光重合性モノマーとして、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルと極性基含有単量体を用いるのが好ましく、さらに多官能性モノマー又はオリゴマーを用いてもよい。
光重合開始剤としては、紫外線等の光によりラジカルを発生し、光重合を開始するものであれば特に制限されず、通常用いられる光重合開始剤を用いることができる。例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などを用いることができる。
具体的には、ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチルジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。α−ケトール系光重合開始剤としては例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤としては例えば、ベンゾインなどが挙げられる。ベンジル系光重合開始剤としては、例えばベンジルなどが含まれる。ベンゾフェノン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが含まれる。ケタール系光重合開始剤には、ベンジルジメチルケタールなどが含まれる。チオキサントン系光重合開始剤には、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが含まれる。
光重合開始剤の使用量は、特に制限されないが、例えば全モノマー成分100重量部に対して0.01〜5重量部(好ましくは0.05〜3重量部)の範囲から選択することができる。
照射する光としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線などのエネルギー線(放射線)を用いることができる。光照射手段としては特に限定されず、光が紫外線の場合には、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプなどの高圧放電ランプや、ブラックライト、補虫用蛍光ランプなどの低圧放電ランプなどが用いられる。光照射に付す組成物の液面での照度は特に限定されないが、通常0.1〜300mW/cm2、好ましくは1〜50mW/cm2程度である。光照射時の温度は特に限定されないが、通常室温以上(例えば25〜150℃)、好ましくは40℃以上(例えば40〜120℃)程度である。
プレ重合の程度は、得られる光重合性プレポリマーが流動性を有するシロップ状となる程度が好ましい。重合率としては、例えば1〜50%、好ましくは5〜40%程度である。
光重合性組成物中の光重合性プレポリマーの含有量は、通常75〜97重量%、好ましくは80〜96重量%、さらに好ましくは85〜94重量%程度である。
光重合性組成物中の水担持体の含有量は、水担持体含有粘着剤層を構成する粘着剤組成物と同様、通常3〜50重量%であり、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜20重量%の範囲である。
光重合性組成物には界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、各種界面活性剤(例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤など)を用いることができる。界面活性剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤を好適に用いることができる。ノニオン性界面活性剤(非イオン性界面活性剤)としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテルなど)、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなど)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等のエーテル型ノニオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(ポリエチレングリコールオレイン酸エステルなど)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチン酸エステルなど)等のエステルエーテル型ノニオン性界面活性剤;グリセリン脂肪酸エステル(グリセリンモノステアリン酸エステルなど)、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノステアリン酸エステルなど)、ショ糖脂肪酸エステル(ショ糖ステアリン酸エステルなど)等のエステル型ノニオン性界面活性剤;脂肪酸アルカノールアミド(ラウリン酸ジエタノールアミドなど)等のアルカノールアミド型ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。好ましいノニオン系界面活性剤には、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルが含まれる。
また、前記ノニオン性界面活性剤としては、HLB(Hydrophile−Lipophile−Blance)が7未満であるのが好ましく、より好ましくは3.5〜6.8、さらに好ましくは4.0〜6.7、特に好ましくは5.5〜6.6の範囲である。
光重合性組成物中の界面活性剤の量は、光重合性組成物中の水100重量部に対して、通常0〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部程度である。
光重合性組成物中には、前記光重合性モノマー(例えば、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル、極性基含有単量体、多官能性モノマー又はオリゴマーなど)や光重合開始剤をさらに添加してもよい。多官能モノマー又はオリゴマーは、光重合性プレポリマーの調製時に使用してもよいが、光重合性プレポリマー調製後に添加するのが好ましい。また、光重合性モノマー組成物中には、必要に応じて、前記水担持体含有粘着剤層の説明箇所で例示したような添加剤を添加してもよい。
光重合性組成物は、上記各成分を均一に混合・分散させることにより調製することができる。この光重合性組成物は、塗布作業に適した適度な粘度を持たせておくのがよい。光重合性組成物の粘度は、例えば、前記光重合性プレポリマーの重合率を調整したり、アクリルゴム、増粘性添加剤などの各種ポリマーを配合することで調整することができる。光重合性組成物の望ましい粘度は、BH粘度計を用いて、ローター:No.5ローター、回転数10rpm、測定温度:30℃の条件で設定された粘度として、5〜50Pa・s、より好ましくは10〜40Pa・sである。粘度が5Pa・s未満であると、基材上に塗布したときに液が流れてしまい、50Pa・sを超えていると、粘度が高すぎて塗布が困難となる。
こうして得られた光重合性組成物をセパレータ又は基材上に塗布し、光を照射して硬化させることにより水担持体含有粘着剤層が形成される。光重合性組成物をセパレータ又は基材上に塗布する方法はロールコーター、バーコーター、ダイコーターなど公知の適宜な方法を用いることができ、特に制限されない。光を照射する際は、酸素による重合阻害を回避するため、塗布により形成されたシート状の光重合性組成物層の表面をセパレータ等で被覆して酸素を遮断するのが好ましい。なお、光を照射する側のセパレータ、基材は光を透過する材質のものを用いる。
照射する光としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線などのエネルギー線(放射線)を用いることができる。光照射手段としては前記と同様のものを使用できる。光照射時の温度は、光重合性組成物層中の水担持体に含まれる水が蒸発(沸騰)しない程度であればよく、通常15℃以上100℃未満(例えば20℃〜95℃)であり、好ましくは40℃〜95℃程度である。
セパレータ上に水担持体含有粘着剤層を形成した場合には、基材上に転写(移着)することができる。図3、図4における粘着剤層4の形成は、粘着剤の種類等に応じ、公知乃至慣用の方法を用いて行うことができる。また、支持体5の貼り合わせ法、その他の層の積層法も公知乃至慣用の方法を採用できる。
[被着体の加工方法]
本発明の被着体の加工方法では、被加工体である被着体を上記本発明の粘着シートの水担持体含有粘着剤層の粘着面に貼り合わせ、該被着体に加工を施した後、粘着シートを加熱して、被着体から該粘着シートを剥離する。
被着体(被加工体)としては、特に限定されず、例えば、セラミックコンデンサ等の電子部品、半導体ウエハなどが挙げられる。なかでも、本発明は半導体ウエハの加工に適している。
加工の種類としては特に限定されず、例えば、研削、切断、組み立て、積層などの加工が挙げられる。加工後の加熱処理は、例えば、ホットプレート、熱風乾燥機、近赤外線ランプ、エアードライヤーなどの適宜な加熱手段を利用して行うことができる。加熱温度は、水担持体含有粘着剤層中の水担持体に含まれている水が沸騰する温度以上(常圧では100℃以上)であればよいが、加熱処理条件は、被着体の耐熱性、加熱方法などにより適宜設定できる。一般的な加熱処理条件としては、温度100〜150℃で、1〜90秒間(ホットプレートなど)又は1〜15分間(熱風乾燥機など)程度である。加熱によって発生した水蒸気が水担持体含有粘着剤層の被着体側の面から噴出し、被着体を圧すため、被着体から粘着シートが円滑に剥離する。このように、本発明の加工方法によれば、被着体の加工後、ピール剥離によることなく、被着体から容易に粘着シートを剥離させることができるので、操作性に優れるとともに、過度の力による被着体の破損を防止できる。また、発泡剤や膨張剤を使用しなくてもよいので低コストであり、しかも被着体の表面の有機物による汚染を低減できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、光重合性プレポリマーの重合率は、得られたシロップを130℃で3時間乾燥してモノマーを除去し、乾燥前後の重量測定から、下記式により算出した。
重合率(%)=(乾燥後重量/乾燥前重量)×100
実施例1
2−エチルヘキシルアクリレート95重量部、アクリル酸5重量部、光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」、チバ・スペシャリティケミカルズ社製)0.1重量部を混合・撹拌し、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を除去した。この混合液を23℃の温度下、紫外線(UV)照射を行った[紫外線照射装置:商品名「SPOT CURE SP−7」、ウシオ電機製、液面照度3mW/cm2]。3分後に照射を停止し、約30℃まで冷却後、シロップ(光重合性プレポリマー)を抜き取った。得られたシロップの粘度は24.3Pa・s(BH粘度計、No.5ローター、10rpm、30℃)、重合率は20%であった。このシロップ100重量部に、トリメチロールプロパントリアクリレート1重量部、界面活性剤(商品名「エマルゲン102GK」、HLB=6.3、花王株式会社)0.5重量部、水担持体[新越化成工業(株)製のシリカゲルPP10gを粉砕機にて粉砕し、分級したもの、平均粒子径15μm、含水率80重量%]5重量部を加え、撹拌して光重合性組成物を得た。
得られた光重合性組成物をロールコーターにて片面剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)の剥離処理された面に塗布し、光重合性組成物層を形成した。次いで、光重合性組成物層上に、片面表面処理(コロナ処理)されたポリエチレンテレフタレートフィルム(基材)の表面処理された面が光重合性組成物層に接触するように積層した。この積層物のセパレータ側から、23℃の温度下、最大照度約4mW/cm2のブラックライトにて3分間紫外線(UV)を照射して光重合性組成物を硬化させ、セパレータ(厚み50μm)/水担持体含有粘着剤層(厚み80μm)/基材(厚み100μm)の層構成を有する粘着シートを作製した。
実施例2
実施例1で作製した粘着シートのセパレータを剥がし、露出した水担持体含有粘着剤層の表面にシリコンミラーウエハ(4インチ)を貼り合わせて仮固定し、前記シリコンミラーウエハをグラインダーにてウエハ厚みが100μmとなるまでグラインドした後、熱風乾燥器中で、110℃×3分間加熱剥離処理し、グラインドしたウエハを回収した。グラインドしたウエハの剥離回収は円滑に行うことができた。また、ウエハの表面は極めて清浄であった。
本発明の粘着シートの一例を示す概略断面図である。 本発明の粘着シートの他の例を示す概略断面図である。 本発明の粘着シートのさらに他の例を示す概略断面図である。 本発明の粘着シートの別の例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 水担持体含有粘着剤層
2 セパレータ
3 基材
4 粘着剤層
5 支持体

Claims (13)

  1. ベースポリマー中に水担持体が分散している粘着剤組成物で構成された水担持体含有粘着剤層を有する粘着シート。
  2. 水担持体における担体が、ゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカゲル及び水膨潤性ゲル形成剤から選択された少なくとも1種の水担持性粉粒体である請求項1記載の粘着シート。
  3. 水担持体中の水含有量が30重量%以上100重量%未満である請求項1又は2記載の粘着シート。
  4. 水担持体含有粘着剤層を構成する粘着剤組成物中の水担持体含有量が3〜50重量%である請求項1〜3の何れかの項に記載の粘着シート。
  5. 水担持体含有粘着剤層を構成する粘着剤組成物が光硬化型粘着剤組成物である請求項1〜4の何れかの項に記載の粘着シート。
  6. 基材の少なくとも一方の面に水担持体含有粘着剤層を有する請求項1〜5の何れかの項に記載の粘着シート。
  7. 基材の水担持体含有粘着剤層側の面に表面処理又はコーティング処理が施されている請求項6記載の粘着シート。
  8. 基材の両面に粘着剤層を有し且つ両粘着剤層のうち少なくとも一方が水担持体含有粘着剤層である請求項6又は7記載の粘着シート。
  9. 基材の一方の面に水担持体含有粘着剤層を有し、他方の面に粘着剤層を有するとともに、該他方の面の粘着剤層表面に支持体が貼着されている請求項8記載の粘着シート。
  10. ベースポリマー中に水担持体が分散している粘着剤組成物で構成された水担持体含有粘着剤層を有する粘着シートを製造する方法であって、セパレータ又は基材上に、ベースポリマー中に水担持体が分散している粘着剤組成物で構成された水担持体含有粘着剤層を形成する工程を含む粘着シートの製造方法。
  11. セパレータ又は基材上に、光重合性プレポリマー及び水担持体からなる光重合性組成物を塗布した後、光を照射して硬化させることにより水担持体含有粘着剤層を形成する請求項10記載の粘着シートの製造方法。
  12. 被着体を請求項1〜9の何れかの項に記載の粘着シートの水担持体含有粘着剤層の粘着面に貼り合わせ、該被着体に加工を施した後、粘着シートを加熱して、被着体から該粘着シートを剥離することを特徴とする被着体の加工方法。
  13. 被着体が半導体ウエハである請求項12記載の被着体の加工方法。
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