JP2007284434A - キノキサリン誘導体、およびキノキサリン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器 - Google Patents

キノキサリン誘導体、およびキノキサリン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】新規なバイポーラ性の有機化合物を提供することを目的とする。特に、熱的安定性に優れたバイポーラ性の有機化合物を提供することを目的とする。また、電気化学的に安定なバイポーラ性の有機化合物を提供することを目的とする。
【解決手段】一般式(1)で表されるキノキサリン誘導体を提供する。また、一般式(1)で表されるキノキサリン誘導体はバイポーラ性を有しているため、発光素子に用いることで、駆動電圧が低く、消費電力の小さい発光素子および発光装置を得ることができる。また、発光効率の高い発光素子を得ることができる。
【化1】
Figure 2007284434

【選択図】なし

Description

本発明は、キノキサリン誘導体、およびキノキサリン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器に関する。
有機化合物は無機化合物に比べて、多様な構造をとることが可能であり、適切な分子設計により様々な機能を有する材料を与える可能性がある。これらの利点から、近年、機能性有機材料を用いたフォトエレクトロニクスやエレクトロニクスに注目が集まっている。
例えば、有機化合物を機能性材料として用いたエレクトロニクスデバイスの例として、太陽電池や発光素子、有機トランジスタ等が挙げられる。これらは有機化合物の電気物性および光物性を利用したデバイスであり、特に発光素子はめざましい発展を見せている。
発光素子の発光機構は、一対の電極間に発光層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が発光層の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に緩和する際にエネルギーを放出して発光すると考えられている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
このような発光素子は有機材料に依存した問題が多く、これらを克服するために素子構造の改良や材料開発等が行われている。
発光素子の最も基本的な構造としては、正孔輸送性の有機化合物からなる正孔輸送層と、電子輸送性の有機化合物からなる電子輸送性発光層を積層させた合計約100nm程度の薄膜を電極で挟んだ構造が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
非特許文献1に記載されている発光素子に電圧を印加すると、発光性および電子輸送性を有する有機化合物からの発光を得ることができる。
また、非特許文献1に記載されている発光素子は、正孔の輸送は正孔輸送層が行い、電子の輸送および発光は電子輸送層が行うという、機能分離が適切に行われている。しかし、積層した層の界面では、様々な相互作用(例えば、エキサイプレックスの形成等)が生じ、その結果、発光スペクトルの変化や発光効率の低下が生じる場合がある。
界面での相互作用に起因した発光スペクトルの変化や発光効率の低下を抑制するため、さらに機能分離した発光素子が考えられた。例えば、正孔輸送層と電子輸送層との間に発光層を挟む構造の発光素子が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
非特許文献2に記載されているような発光素子において、界面で生じる相互作用をより効果的に抑制するには、電子輸送性および正孔輸送性の両方を有するバイポーラ性の有機化合物を用いて発光層を形成することが好ましい。
しかしながら、有機化合物の多くは正孔輸送性または電子輸送性に偏ったモノポーラ性の材料である。
したがって、電子輸送性および正孔輸送性の両方を有するバイポーラ性の有機化合物の開発が求められている。
特許文献1では、バイポーラ性のキノキサリン誘導体について記載されている。しかしながら、熱的安定性等の特性は未だ十分ではなく、より熱的安定性の高いバイポーラ性の有機化合物の開発が求められている。
C.W.タン、外1名、アプライド フィジクス レターズ、vol.51、No.12、913−915(1987) チハヤ アダチ、外3名、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジクス、vol.27、No.2、L269−L271(1988) 国際公開第2004/094389号パンフレット
上記問題を鑑み、本発明は、新規なバイポーラ性の有機化合物を提供することを目的とする。特に、熱的安定性に優れたバイポーラ性の有機化合物を提供することを目的とする。また、電気化学的に安定なバイポーラ性の有機化合物を提供することを目的とする。
また、本発明のバイポーラ性の有機化合物を用いることで、駆動電圧が低く、消費電力の小さい発光素子および発光装置を提供することを目的とする。また、本発明のバイポーラ性の有機化合物を用いることで、長寿命な発光素子および発光装置を提供することを目的とする。
また、本発明のバイポーラ性の有機化合物を用いることで、消費電力が小さく、熱的安定性が高く、長寿命な電子機器を提供することを目的とする。
本発明の一は、一般式(1)で表されるキノキサリン誘導体である。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(1−1)〜一般式(1−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(1−1)〜一般式(1−3)において、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、γは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41およびR42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(2)で表されるキノキサリン誘導体である。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(2−1)〜一般式(2−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(2−1)〜一般式(2−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(3)で表されるキノキサリン誘導体である。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜R10は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(3−1)〜一般式(3−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(3−1)〜一般式(3−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(4)で表されるキノキサリン誘導体である。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜R10は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。また、Aは、一般式(4−1)〜一般式(4−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(4−1)〜一般式(4−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(5)で表されるキノキサリン誘導体である。
Figure 2007284434
(式中、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜R10は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。また、Aは、一般式(5−1)〜一般式(5−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(5−1)〜一般式(5−3)において、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(6)で表されるキノキサリン誘導体である。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(6−1)〜一般式(6−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(6−1)〜一般式(6−3)において、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、γは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41およびR42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(7)で表されるキノキサリン誘導体である。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(7−1)〜一般式(7−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(7−1)〜一般式(7−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(8)で表されるキノキサリン誘導体である。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜R10は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(8−1)〜一般式(8−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(8−1)〜一般式(8−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(9)で表されるキノキサリン誘導体である。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜R10は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。また、Aは、一般式(9−1)〜一般式(9−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(9−1)〜一般式(9−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、一般式(10)で表されるキノキサリン誘導体である。
Figure 2007284434
(式中、R〜R10は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。また、Aは、一般式(10−1)〜一般式(10−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(10−1)〜一般式(10−3)において、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明の一は、上記キノキサリン誘導体を用いた発光素子である。具体的には、一対の電極間に上述したキノキサリン誘導体を有することを特徴とする発光素子である。
また、本発明の一は、一対の電極間に発光層を有し、発光層は上述したキノキサリン誘導体を有することを特徴とする発光素子である。
また、本発明の一は、一対の電極間に発光層を有し、発光層は上述したキノキサリン誘導体と蛍光を発光する物質を有することを特徴とする発光素子である。
また、本発明の一は、一対の電極間に発光層を有し、発光層は上述したキノキサリン誘導体と燐光を発光する物質を有することを特徴とする発光素子である。
また、本発明の発光装置は、一対の電極間に発光物質を含む層を有し、発光物質を含む層に上記のキノキサリン誘導体を含む発光素子を有することを特徴とする。またさらに、発光素子の発光を制御する制御手段を有することを特徴とする。なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を含む。また、パネルにコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュールを含む。また本明細書中における発光装置は、発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも含むものとする。
また、本発明の発光素子を表示部に用いた電子機器も本発明の範疇に含めるものとする。したがって、本発明の電子機器は、表示部を有し、表示部は、上述した発光素子と発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
本発明のキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であり、電子輸送性および正孔輸送性の双方に優れている。また、本発明のキノキサリン誘導体はガラス転移温度が高く、優れた熱的安定性を有する。また、本発明のキノキサリン誘導体は、電気化学的な酸化や還元に対して安定である。
さらに、本発明のキノキサリン誘導体はバイポーラ性を有しているため、発光素子に用いることで、駆動電圧が低く、消費電力の小さい発光素子および発光装置を得ることができる。また、発光効率の高い発光素子を得ることができる。
また、本発明のキノキサリン誘導体は高いガラス転移温度を有するため、発光素子に用いることで、熱的安定性の高い発光素子および発光装置を得ることができる。
また、本発明のキノキサリン誘導体は電気化学的な酸化や還元に対して安定であるため、発光素子に用いることで、長寿命な発光素子および発光装置を得ることができる。
また、本発明のキノキサリン誘導体を用いることで、消費電力が小さく、熱的安定性が高く、長寿命な電子機器を得ることができる。
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明のキノキサリン誘導体について説明する。
本発明のキノキサリン誘導体は、一般式(1)で表されるキノキサリン誘導体である。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(1−1)〜一般式(1−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(1−1)〜一般式(1−3)において、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、γは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41およびR42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
一般式(1)で表されるキノキサリン誘導体のうち、一般式(2)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(2−1)〜一般式(2−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(2−1)〜一般式(2−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
より好ましくは、一般式(1)で表されるキノキサリン誘導体のうち、一般式(3)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜R10は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(3−1)〜一般式(3−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(3−1)〜一般式(3−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
さらに好ましくは、一般式(1)で表されるキノキサリン誘導体のうち、一般式(4)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜R10は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。また、Aは、一般式(4−1)〜一般式(4−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(4−1)〜一般式(4−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
さらに好ましくは、一般式(1)で表されるキノキサリン誘導体のうち、一般式(5)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
Figure 2007284434
(式中、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜R10は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。また、Aは、一般式(5−1)〜一般式(5−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(5−1)〜一般式(5−3)において、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
また、本発明のキノキサリン誘導体は、一般式(6)で表されるキノキサリン誘導体である。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(6−1)〜一般式(6−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(6−1)〜一般式(6−3)において、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、γは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41およびR42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
一般式(6)で表されるキノキサリン誘導体のうち、一般式(7)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(7−1)〜一般式(7−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(7−1)〜一般式(7−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
より好ましくは、一般式(6)で表されるキノキサリン誘導体のうち、一般式(8)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜R10は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(8−1)〜一般式(8−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(8−1)〜一般式(8−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
さらに好ましくは、一般式(6)で表されるキノキサリン誘導体のうち、一般式(9)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
Figure 2007284434
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜R10は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。また、Aは、一般式(9−1)〜一般式(9−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(9−1)〜一般式(9−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
さらに好ましくは、一般式(6)で表されるキノキサリン誘導体のうち、一般式(10)で表されるキノキサリン誘導体であることが好ましい。
Figure 2007284434
(式中、R〜R10は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。また、Aは、一般式(10−1)〜一般式(10−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(10−1)〜一般式(10−3)において、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
上記一般式(1)〜一般式(3)および一般式(6)〜一般式(8)において、Ar、Ar、Ar、Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表す。具体的には、構造式(11−1)〜構造式(11−6)に示す置換基が挙げられる。
Figure 2007284434
上記一般式(1)〜一般式(2)および一般式(6)〜一般式(7)において、α、β、γは、それぞれ、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。具体的には、構造式(12―1)〜構造式(12−6)に示す置換基が挙げられる。
Figure 2007284434
上記一般式(1)〜一般式(10)において、R〜R、R31、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。具体的には、構造式(13−1)〜構造式(13−10)に示す置換基が挙げられる。
Figure 2007284434
また、上記一般式(2)〜一般式(5)および一般式(7)〜一般式(10)において、R〜R10、R11〜R24、R32〜R36、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。具体的には、構造式(14−1)〜構造式(14−9)に示す置換基が挙げられる。
Figure 2007284434
一般式(1)および一般式(5)で表されるキノキサリン誘導体の具体例としては、構造式(21)〜(366)で表されるキノキサリン誘導体を挙げることができる。但し、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2007284434
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本発明のキノキサリン誘導体の合成には、種々の反応の適用が可能である。例えば、下記の反応スキーム(A−1)〜(A−2)および(B−1)〜(B−6)に示す反応によって製造することができる。
Figure 2007284434
まず、カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物A)と、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、N−ヨードコハク酸イミド(NIS)、臭素(Br)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ素(I)等のハロゲンまたはハロゲン化物とを反応させ、3−ハロゲン化カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物B)を合成した後、さらにパラジウム触媒(Pd触媒)などの金属触媒を用いたアリールアミンとのカップリング反応を行うことによって化合物Cを得る。合成スキーム(A−1)において、ハロゲン元素(X)は、ヨウ素又は臭素であることが好ましい。また、R31は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。また、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。
Figure 2007284434
まず、カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物D)と芳香族化合物のジハロゲン化物とを反応させて、N−(ハロゲン化アリール)カルバゾールを骨格に含む化合物(化合物E)を合成した後、さらにパラジウムなどの金属触媒を用いてアリールアミンとのカップリング反応を行うことによって化合物Fを与える。合成スキーム(A−2)において、芳香族化合物のジハロゲン化物のハロゲン元素(X、X)は、ヨウ素又は臭素であることが好ましい。また、XとXとは、同じであっても異なっていてもよい。また、R41およびR42は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、γは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表す。
Figure 2007284434
合成スキーム(B−1)に示す反応により、本発明のキノキサリン誘導体を合成することができる。合成スキーム(B−1)において、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、ArおよびArは、それぞれ、炭素数6〜26のアリール基を表す。また、Xは、ハロゲン元素を表す。Xは、ヨウ素または臭素であることが好ましい。
Figure 2007284434
合成スキーム(A−1)で合成した化合物Cから、合成スキーム(B−2)に示す反応により、本発明のキノキサリン誘導体を合成することができる。合成スキーム(B−2)において、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、Xは、ハロゲン元素を表す。Xは、ヨウ素または臭素であることが好ましい。
Figure 2007284434
合成スキーム(A−2)で合成した化合物Fから、合成スキーム(B−3)に示す反応により、本発明のキノキサリン誘導体を合成することができる。合成スキーム(B−3)において、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、γは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41およびR42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、Xは、ハロゲン元素を表す。Xは、ヨウ素または臭素であることが好ましい。
Figure 2007284434
また、合成スキーム(B−4)に示す反応により、本発明のキノキサリン誘導体を合成することができる。合成スキーム(B−4)において、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、ArおよびArは、それぞれ、炭素数6〜26のアリール基を表す。また、XおよびXは、それぞれ、ハロゲン元素を表す。XおよびXは、ヨウ素または臭素であることが好ましい。
Figure 2007284434
合成スキーム(A−1)で合成した化合物Cから、合成スキーム(B−5)に示す反応により、本発明のキノキサリン誘導体を合成することができる。合成スキーム(B−5)において、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、XおよびXは、それぞれ、ハロゲン元素を表す。XおよびXは、ヨウ素または臭素であることが好ましい。
Figure 2007284434
合成スキーム(A−2)で合成した化合物Fから、合成スキーム(B−6)に示す反応により、本発明のキノキサリン誘導体を合成することができる。合成スキーム(B−6)において、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、γは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41およびR42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。また、XおよびXは、それぞれ、ハロゲン元素を表す。XおよびXは、ヨウ素または臭素であることが好ましい。
なお、合成スキーム(B−1)〜(B−6)において、一般式(1−1a)で表される化合物は、一般式(1)におけるAが一般式(1−1)である場合に対応し、一般式(1−2a)で表される化合物は、上述した一般式(1)におけるAが一般式(1−2)である場合に対応し、一般式(1−3a)で表される化合物は、上述した一般式(1)におけるAが一般式(1−3)である場合に対応する。また、一般式(6−1a)で表される化合物は、上述した一般式(6)におけるAが一般式(6−1)である場合に対応し、一般式(6−2a)で表される化合物は、一般式(6)におけるAが一般式(6−2)である場合に対応し、一般式(6−3a)で表される化合物は、上述した一般式(6)におけるAが一般式(6−3)である場合に対応する。
また、本発明のキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であり、電子輸送性および正孔輸送性の双方に優れている。よって、本発明のキノキサリン誘導体をエレクトロニクスデバイスに用いることにより、良好な電気特性を得ることができる。また、本発明のキノキサリン誘導体はガラス転移温度が高く、熱的安定性に優れているため、本発明のキノキサリン誘導体をエレクトロニクスデバイスに用いることにより、熱的安定性に優れたエレクトロニクスデバイスを得ることができる。また、本発明のキノキサリン誘導体は繰り返しの電気化学的な酸化−還元サイクルに対して安定であるため、本発明のキノキサリン誘導体をエレクトロニクスデバイスに用いることにより、長寿命なエレクトロニクスデバイスを得ることができる。
(実施の形態2)
本発明のキノキサリン誘導体を用いた発光素子の一態様について図1(A)を用いて以下に説明する。
本発明の発光素子は、一対の電極間に複数の層を有している。当該複数の層は、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を積層することによって作製される。これらの層は、電極から離れたところに発光領域が形成されるように積層されており、このことはすなわち、電極から離れた部位でキャリアの再結合が行われるように、積層されたものである。
本形態において、発光素子は、第1の電極102と、第1の電極102の上に順に積層した第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106と、さらにその上に設けられた第2の電極107とから構成されている。なお、本形態では第1の電極102は陽極として機能し、第2の電極107は陰極として機能するものとして以下説明をする。
基板101は発光素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
第1の電極102としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン:TiN)等を使用することもできる。
第1の層103は、正孔注入性の高い物質を含む層である。モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても第1の層103を形成することができる。
また、第1の層103として、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いることができる。特に、有機化合物と、有機化合物に対して電子受容性を示す無機化合物とを含む複合材料は、優れた正孔注入性、正孔輸送性を有する。これは、有機化合物と無機化合物との間で電子移動が生じてキャリア密度が増大するためである。
また、第1の層103として有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を用いた場合、第1の電極102とオーム接触をすることが可能となるため、仕事関数に関わらず第1の電極を形成する材料を選ぶことができる。
複合材料に用いる無機化合物としては、遷移金属の酸化物であることが好ましい。特に元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物が好ましい。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
複合材料に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
また、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
また、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、かつ炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
なお、複合材料に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
第2の層104を形成する物質としては、正孔輸送性の高い物質、具体的には、芳香族アミン(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物であることが好ましい。広く用いられている材料として、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(以下、NPBと記す)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンなどのスターバースト型芳香族アミン化合物が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、第2の層104は、単層のものだけでなく、上記物質の混合層、あるいは二層以上積層したものであってもよい。
第3の層105は、発光性の物質を含む層である。本実施の形態では、第3の層105は実施の形態1で示した本発明のキノキサリン誘導体を含む。本発明のキノキサリン誘導体は、青〜緑色の発光を示すため、発光性物質として発光素子に好適に用いることができる。
第4の層106は、電子輸送性の高い物質を用いることができる。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
第2の電極107を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の1族または2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユ−ロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。しかしながら、第2の電極107と第4の層106との間に、電子注入を促す機能を有する層を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素を含むITO等様々な導電性材料を第2の電極107として用いることができる。
なお、電子注入を促す機能を有する層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属化合物、又はアルカリ土類金属化合物を用いることができる。さらに、電子輸送性を有する物質とアルカリ金属又はアルカリ土類金属が組み合わされた層も使用できる。例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたものを用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を有する物質とアルカリ金属又はアルカリ土類金属を組み合わせた層を用いることは、第2の電極107からの電子注入が効率良く起こるためより好ましい。
また、第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106の形成方法は、蒸着法や、インクジェット法、スピンコート法などの種々の方法を用いることができる。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極102と第2の電極107との間に電圧を加えることにより電流が流れる。そして、発光性の高い物質を含む層である第3の層105において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり第3の層105に発光領域が形成されるような構成となっている。
発光は、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方は、透光性を有する物質で成る。第1の電極102のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図1(A)に示すように、光は第1の電極102を通って基板側から取り出される。また、第2の電極107のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図1(B)に示すように、光は第2の電極107を通って基板と逆側から取り出される。第1の電極102および第2の電極107がいずれも透光性を有する物質からなるものである場合、図1(C)に示すように、光は第1の電極102および第2の電極107を通って、基板側および基板側と逆側の両方から取り出される。
なお第1の電極102と第2の電極107との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。第1の電極102および第2の電極107から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設けた構成であれば、上記以外のものでもよい。このような素子構造を採用することで、発光領域と金属とが近接することによって生じる消光を効果的に抑制することができる。
つまり、層の積層構造については特に限定されない。電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質、正孔ブロック材料を本発明で開示されるキノキサリン誘導体と自由に組み合わせればよい。
図2に示す発光素子は、陰極として機能する第1の電極302の上に電子輸送性の高い物質からなる第1の層303、発光性物質を含む第2の層304、正孔輸送性の高い物質からなる第3の層305、正孔注入性の高い物質からなる第4の層306、陽極として機能する第2の電極307とが順に積層された構成となっている。なお、301は基板である。
本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブ型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電極上に発光素子を作製してもよい。このプロセスにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTに用いる半導体の結晶性についても限定されず、非晶質半導体を用いてもよいし、結晶性半導体を用いてもよい。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、若しくはN型またはP型のいずれか一方からのみなるものであってもよい。
本発明のキノキサリン誘導体は、バイポーラ性を有し、また発光性を有する材料である。このため、本実施の形態に示すように、他の発光性物質を含有することなく発光層として用いることが可能である。
また、バイポーラ性であるため、積層した膜の界面に発光領域が偏りにくい。従って、駆動中、エキサイプレックスの生成などに起因する発光スペクトル変化や発光効率変化がほとんどない、良好な特性を有する発光素子を作製できる。また、発光効率の高い発光素子を得ることができる。
また、本発明のキノキサリン誘導体を用いた膜では微結晶成分がほとんど生成しないので、質のよい膜を形成することができる。このため、電界集中による絶縁破壊に起因する素子不良の少ない発光素子を作製することができる。
また、本発明のキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であり、キャリア輸送性(電子輸送性および正孔輸送性)に優れた材料であるため、発光素子に用いることで、発光素子の駆動電圧を低減することができ、消費電力の低減に繋がる。
また、本発明のキノキサリン誘導体はガラス転移温度が高いため、発光素子に用いることで、熱的安定性に優れた発光素子を得ることができる。
また、本発明のキノキサリン誘導体は、酸化反応および引き続く還元反応、還元反応および引き続く酸化反応を繰り返しても安定である。つまり、電気化学的に安定である。よって、本発明のキノキサリン誘導体を発光素子に用いることにより、長寿命な発光素子を得ることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
実施の形態2で示した第3の層105を、本発明のキノキサリン誘導体を他の物質に分散させた構成とすることで、本発明のキノキサリン誘導体からの発光を得ることができる。本発明のキノキサリン誘導体は青〜青緑色の発光を示すため、青〜青緑色の発光を示す発光素子を得ることができる。
ここで、本発明のキノキサリン誘導体を分散させる物質としては、種々の材料を用いることができ、実施の形態2で述べた正孔輸送の高い物質や電子輸送性の高い物質の他、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)−ビフェニル(略称:CBP)や、2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリ−イル)−トリス[1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール](略称:TPBI)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)などが挙げられる。
本発明のキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であり、キャリア輸送性(電子輸送性および正孔輸送性)に優れた材料であるため、発光素子に用いることで、発光素子の駆動電圧を低減することができ、消費電力の低減に繋がる。
また、本発明のキノキサリン誘導体はガラス転移温度が高いため、発光素子に用いることで、熱的安定性に優れた発光素子を得ることができる。
また、本発明のキノキサリン誘導体は、酸化反応および引き続く還元反応、還元反応および引き続く酸化反応を繰り返しても安定である。つまり、電気化学的に安定である。よって、本発明のキノキサリン誘導体を発光素子に用いることにより、長寿命な発光素子を得ることができる。
なお、第3の層105以外は、実施の形態2に示した構成を適宜用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2および実施の形態3で示した構成と異なる構成の発光素子について説明する。
実施の形態2で示した第3の層105を、本発明のキノキサリン誘導体に発光性の物質を分散させた構成とすることで、発光性の物質からの発光を得ることができる。
本発明のキノキサリン誘導体はバイポーラ性を有している。また本発明のキノキサリンを用いて形成される膜では微結晶成分の発生が非常に少なく、質の良い膜が得られる。従って、他の発光性物質を分散させる材料として好適に用いることができる。
本発明のキノキサリン誘導体を他の発光性物質を分散させる材料として用いる場合、発光性物質に起因した発光色を得ることができる。また、本発明のキノキサリン誘導体に起因した発光色と、キノキサリン誘導体中に分散されている発光性物質に起因した発光色が混色された発光を得ることもできる。
ここで、本発明のキノキサリン誘導体に分散させる発光性物質としては、種々の材料を用いることができる。具体的には、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(ジュロリジン−4−イル−ビニル)−4H−ピラン(略称:DCM2)、N,N−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、5,12−ジフェニルテトラセン(略称:DPT)、クマリン6、ペリレン、ルブレンなどの蛍光を発光する物質を用いることができる。また、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)などの燐光を発光する物質を用いることができる。
本発明のキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であり、キャリア輸送性(電子輸送性および正孔輸送性)に優れた材料であるため、本発明のキノキサリン誘導体を用いることで、発光素子の駆動電圧を低減することができる。
また、本発明のキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であるため、積層した膜の界面に発光領域が偏りにくく、エキサイプレックス生成に起因した発光スペクトルの変化や、発光効率の変化が少ない良好な特性を有する発光素子を作製できる。
また、本発明のキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であるため、積層した膜の界面に発光領域が偏りにくい。そのため、燐光を発光する物質を用いた場合には、T−T消滅(アニヒレイション)を防ぐことができる。よって、発光効率の高い発光素子を得ることができる。
また、本発明のキノキサリン誘導体はガラス転移温度が高いため、発光素子に用いることで、熱的安定性に優れた発光素子を得ることができる。
また、本発明のキノキサリン誘導体は、酸化反応および引き続く還元反応、還元反応および引き続く酸化反応を繰り返しても安定である。つまり、電気化学的に安定である。よって、本発明のキノキサリン誘導体を発光素子に用いることにより、長寿命の発光素子を得ることができる。
なお、第3の層105以外は、実施の形態2に示した構成を適宜用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態は、本発明に係る複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という)の態様について、図3を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。発光ユニットとしては、実施の形態2で示した発光物質を含む層と同様な構成を用いることができる。つまり、実施の形態2で示した発光素子は、1つの発光ユニットを有する発光素子であり、本実施の形態では、複数の発光ユニットを有する発光素子について説明する。
図3において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の電極501と第2の電極502は実施の形態2と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態2〜実施の形態4と同様なものを適用することができる。
電荷発生層513には、有機化合物と金属酸化物の複合材料が含まれている。この有機化合物と金属酸化物の複合材料は、実施の形態2で示した複合材料であり、有機化合物と酸化バナジウムや酸化モリブデンや酸化タングステン等の金属酸化物を含む。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔移動度が10−6cm/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物と金属酸化物の複合体は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
なお、電荷発生層513は、有機化合物と金属酸化物の複合体と他の材料とを組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502の間に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入するものであれば、どのような構成でも良い。
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、低い電流密度で高輝度発光可能な長寿命素子を実現できる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明のキノキサリン誘導体を有機半導体素子の一種である縦型トランジスタ(SIT)の活性層として用いる形態を例示する。
素子の構造としては、図4に示すように、本発明のキノキサリン誘導体を含む薄膜状の活性層1202をソース電極1201およびドレイン電極1203で挟み、ゲート電極1204が活性層1202に埋め込まれた構造を適用する。ゲート電極1204は、ゲート電圧を印加するための手段に電気的に接続されており、ソース電極1201およびドレイン電極1203は、ソース−ドレイン間の電圧を制御するための手段に電気的に接続されている。
このような素子構造において、ゲート電圧を印加しない状態においてソース−ドレイン間に電圧を印加すると、発光素子で見られるような電流が流れる(ON状態となる)。そして、その状態でゲート電圧を印加するとゲート電極1204周辺に空乏層が発生し、電流が流れなくなる(OFF状態となる)。以上の機構により、トランジスタとして動作する。
縦型トランジスタにおいては、発光素子と同様、キャリア輸送性と良好な膜質を兼ね備えた材料が活性層に求められるが、本発明のキノキサリン誘導体はその条件を十分に満たしており、有用である。また、本発明のキノキサリン誘導体は、高いガラス転移温度を有しているため、熱的安定性の高い有機半導体素子を得ることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明のキノキサリン誘導体を用いて作製された発光装置について説明する。
本実施の形態では、本発明のキノキサリン誘導体を用いて作製された発光装置について図5を用いて説明する。なお、図5(A)は、発光装置を示す上面図、図5(B)は図5(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。この発光装置は、点線で示された駆動回路部(ソース側駆動回路)601、画素部602、駆動回路部(ゲート側駆動回路)603を含んでいる。これらは発光素子の発光を制御するものである。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線である。また、配線608は外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図5(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
第1の電極613上には、発光物質を含む層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、または珪素を含有したインジウム錫酸化物膜、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
発光物質を含む層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。発光物質を含む層616は、実施の形態1で示した本発明のキノキサリン誘導体を含んでいる。また、発光物質を含む層616を構成する他の材料としては、低分子化合物、または、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)であっても良い。
さらに、発光物質を含む層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物、Mg−Ag、Mg−In、Al−Li、LiF、CaF等)を用いることが好ましい。なお、発光物質を含む層616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、珪素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料は水や酸素の透過率が小さい材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル樹脂等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、本発明のキノキサリン誘導体を用いて作製された発光装置を得ることができる。
本発明の発光装置は、実施の形態1で示したキノキサリン誘導体を用いているため、良好な特性を備えた発光装置を得ることができる。具体的には、熱的安定性の高い発光装置を得ることができる。
また、本発明のキノキサリン誘導体は、電気化学的に安定であるため、長寿命な発光装置を得ることができる。
また、本発明のキノキサリン誘導体は、バイポーラ性であり、キャリア輸送性(電子輸送性および正孔輸送性)に優れた材料であるため、本発明のキノキサリン誘導体を用いることで、発光素子の駆動電圧を低減することができ、発光装置の消費電力を低減することができる。特に、発光性物質として燐光発光性物質を用いた場合、発光効率も高く、より消費電力の低減された発光装置を得ることができる。
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について説明したが、この他、トランジスタ等の駆動用の素子を設けずに発光素子を駆動させるパッシブ型の発光装置であってもよい。図6には本発明を適用して作製したパッシブ型の発光装置の斜視図を示す。図6において、基板951上には、電極952と電極956との間には発光物質を含む層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、陰極をパターニングすることができる。また、パッシブ型の発光装置においても、低駆動電圧で動作する本発明の発光素子を含むことによって、低消費電力で駆動させることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態7に示す発光装置をその一部に含む本発明の電子機器について説明する。本発明の電子機器は、実施の形態1に示したキノキサリン誘導体を含み、熱的安定性が高い表示部を有する。また、長寿命の表示部を有する。また、消費電力の低減された表示部を有する。
本発明のキノキサリン誘導体を用いて作製された発光素子を有する電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図7に示す。
図7(A)は本発明に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態2〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、低電圧駆動が可能であり、長寿命であるという特徴を有している。また、熱的安定性が高いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るテレビ装置は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合した製品を提供することができる。
図7(B)は本発明に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態2〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、低電圧駆動が可能であり、長寿命であるという特徴を有している。また、熱的安定性が高いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、環境に適合した製品を提供することができる。
図7(C)は本発明に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態2〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、低電圧駆動が可能であり、長寿命であるという特徴を有している。また、熱的安定性が高いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。
図7(D)は本発明の係るカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表示部9502は、実施の形態2〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、低電圧駆動が可能であり、長寿命であるという特徴を有している。また、熱的安定性が高いという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補償機能回路や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。
以上の様に、本発明の発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明のキノキサリン誘導体を用いることにより、低消費電力で、長寿命であり、熱的安定性の高い表示部を有する電子機器を提供することが可能となる。
また、本発明の発光装置は、照明装置として用いることもできる。本発明の発光素子を照明装置として用いる一態様を、図8を用いて説明する。
図8は、本発明の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図8に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903は、本発明の発光装置が用いられおり、端子906により、電流が供給されている。
本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、消費電力の低減されたバックライトが得られる。また、本発明の発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、同時に液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、本発明の発光装置は薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。また、本発明の発光装置は長寿命であり、熱的安定性に優れているため、本発明の発光装置を用いた液晶表示装置も、長寿命であり、熱的安定性に優れている。
図9は、本発明を適用した発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例である。図9に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として、本発明の発光装置が用いられている。本発明の発光装置は、高輝度の発光が可能であるため、細かい作業をする場合など、手元を明るく照らすことが可能である。
図10は、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例である。本発明の発光装置は大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明の発光装置は、薄型で低消費電力であるため、薄型化、低消費電力化の照明装置として用いることが可能となる。このように、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた部屋に、図7(A)で説明したような、本発明に係るテレビ装置を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。このような場合、両装置は低消費電力であるので、電気料金を心配せずに、明るい部屋で迫力のある映像を鑑賞することができる。
本実施例では、構造式(159)で表される本発明のキノキサリン誘導体である4−(カルバゾール−9−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:YGA1PQ)の合成方法を具体的に示す。
Figure 2007284434
[ステップ1]
2−(4−ブロモフェニル)−3−フェニルキノキサリンの合成方法について説明する。
(i)(4−ブロモフェニル)フェニルアセチレンの合成
(4−ブロモフェニル)フェニルアセチレンの合成スキームを(C−1)に示す。
Figure 2007284434
p−ブロモヨードベンゼン28.3g(0.10mol)、フェニルアセチレン10.2g (0.10mol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド701mg(1mmol)、ヨウ化銅(I)190mg(1mmol)を1000mL三口フラスコへ入れ、窒素置換をしてからテトラヒドロフラン350mL、トリエチルアミン18mLを加えて室温で12時間攪拌した。反応後、反応混合物を3%塩酸水溶液で洗浄し、水層を酢酸エチルで抽出した。抽出液と有機層を合わせて飽和食塩水により洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した。混合物をセライト、フロリジール、アルミナを過して濾過し、ろ液を濃縮して得られた固体を、ヘキサンにより再結晶したところ、目的物の固体を15g収率58%で得た。
(ii)1−(4−ブロモフェニル)−2−フェニルエタンジオンの合成
1−(4−ブロモフェニル)−2−フェニルエタンジオンの合成スキームを(C−2)に示す。
Figure 2007284434
(4−ブロモフェニル)フェニルアセチレン10.0g(38.9mmol)、ヨウ素4.7g(18.5mmol)、ジメチルスルホキシド100mLを300mL三口フラスコへ入れ155℃で4時間撹拌した。反応後、反応溶液を冷ましてから、1wt%硫酸ナトリウム水溶液へ、反応溶液を投入した。析出した固体を吸引濾過により回収し、ろ物をエタノールに溶かして、セライトを通してろ過し、ろ液を濃縮した。得られた固体を酢酸エチルに溶かし、再度セライトを通して濾過し、ろ液を濃縮した。得られた固体を酢酸エチル、ヘキサンにより1回目の再結晶をしたところ目的物の固体を1.5g得た。ろ液を更にアセトン、ヘキサンにより2回目の再結晶をしたところ目的物の固体を6.7g得た。2回の再結晶により合わせて8.2gの目的物を得て、収率は72%であった。
(iii)2−(4−ブロモフェニル)−3−フェニルキノキサリンの合成
2−(4−ブロモフェニル)−3−フェニルキノキサリンの合成スキームを(C−3)に示す。
Figure 2007284434
1−(4−ブロモフェニル)−2−フェニルエタンジオン8.2g(29mmol)、o−フェニレンジアミン3.1g(31mmol)を300mLナスフラスコへ入れ、エタノール100mLを加えてから2時間還流した。反応後、析出した固体を吸引濾過により回収した。回収した固体をエタノールにより洗浄し、乾燥したところ、目的物の淡黄色固体を7.3g収率69%で得た。
[ステップ2]
4−(カルバゾール−9−イル)−ジフェニルアミン(略称:YGA)の合成方法について説明する。
(i)N−(4−ブロモフェニル)カルバゾールの合成
N−(4−ブロモフェニル)カルバゾールの合成スキームを(C−4)に示す。
Figure 2007284434
まず、N−(4−ブロモフェニル)カルバゾールの合成方法について説明する。300mLの三口フラスコに、1,4−ジブロモベンゼンを56.3g(0.24mol)、カルバゾールを31.3g(0.18mol)、よう化銅を4.6g(0.024mol)、炭酸カリウムを66.3g(0.48mol)、18−クラウン−6−エーテルを2.1g(0.008mol)入れ、窒素置換し、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(略称:DMPU)を8mL加え、180℃で6時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷ましてから、吸引ろ過により沈殿物を除去し、ろ液を希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した。乾燥後、反応混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して、得られた油状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製して得られた固体を、クロロホルム/ヘキサンにより再結晶したところ、目的物であるN−(4−ブロモフェニル)カルバゾールの淡褐色プレート状結晶を20.7g、収率35%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物がN−(4−ブロモフェニル)カルバゾールであることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz,CDCl);δ=8.14(d,J=7.8Hz,2H),δ=7.73(d,J=8.7Hz,2H),δ=7.46(d,J=8.4Hz,2H),δ=7.42−7.26(m,6H)。
(ii)4−(カルバゾール−9−イル)−ジフェニルアミン(略称:YGA)の合成
YGAの合成スキームを(C−5)に示す。
Figure 2007284434
200mLの三口フラスコに、合成手順(i)で得たN−(4−ブロモフェニル)カルバゾールを5.4g(17.0mmol)、アニリンを1.8mL(20.0mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を100mg(0.17mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを3.9g(40mmol)入れ、窒素置換し、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10wt%ヘキサン溶液)を0.1mL、トルエンを50mL加えて、80℃、6時間撹拌した。反応混合物を、フロリジール、セライト、アルミナを通してろ過し、ろ液を水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。反応混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製したところ目的物である4−(カルバゾール−9−イル)−ジフェニルアミン(略称:YGA)を4.1g、収率73%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が4−(カルバゾール−9−イル)−ジフェニルアミン(略称:YGA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz,DMSO−d);δ=8.47(s,1H),δ=8.22(d,J=7.8Hz,2H),δ=7.44−7.16(m,14H),δ=6.92−6.87(m,1H)。また、H NMRチャートを図52(A)、(B)に示す。なお、図52(B)は、図52(A)における6.7ppm〜8.6ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
[ステップ3]
4−(カルバゾール−9−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:YGA1PQ)の合成
4−(カルバゾール−9−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:YGA1PQ)の合成スキームを(C−6)に示す。
Figure 2007284434
2−(4−ブロモフェニル)−3−フェニルキノキサリン2.0g(5.59mmol)、4−(カルバゾール−9−イル)−ジフェニルアミン(略称:YGA)2.07g(5.59mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.161g(0.279mmol)、tert−ブトキシナトリウム2.68g(27.93mmol)を100mL三口フラスコへ入れ窒素置換をし、さらにトルエン30mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10%ヘキサン溶液)0.57g(0.279mmol)を加えて80℃で6時間撹拌した。反応後、溶液を水で洗浄後、水層をトルエンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、ろ過、濃縮し得られた物をトルエンに溶かしてからセライト、フロリジール、アルミナを通した。ろ液を濃縮し、残渣をクロロホルム、メタノール、ヘキサンにより再結晶したところ目的物の黄色固体を2.25g、収率65%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が4−(カルバゾール−9−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:YGA1PQ)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(CDCl3,300MHz):δ=7.11−7.14(m, 3H),7.21−7.48(m, 19H),7.59−7.62(m, 2H) ,7.75−7.78(m, 2H) ,8.13−8.20(m, 4H)。また、H NMRチャートを図11(A)、(B)に示す。なお、図11(B)は、図11(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
YGA1PQの分解温度(Td)を示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製、TG/DTA320型)により測定したところ、Td=424℃であり、良好な熱的安定性を示すことが分かった。
また、YGA1PQのトルエン溶液の吸収スペクトルを図12に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図12に示した。図12において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では396nm付近に吸収が見られた。また、YGA1PQのトルエン溶液(励起波長368nm)の発光スペクトルと励起スペクトルを図13に示す。図13において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では486nm(励起波長368nm)であった。
また、YGA1PQの薄膜の吸収スペクトルを図71に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図71に示した。図71において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。薄膜の場合では406nm付近に吸収が見られた。また、YGA1PQの薄膜(励起波長406nm)の発光スペクトルを図72に示す。図72において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長は薄膜の場合では513nm(励起波長406nm)であった。
また、この薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、YGA1PQのHOMO準位は−5.45eVであった。図71の吸収スペクトルのTaucプロットから吸収端は2.66eVであった。従って、YGA1PQの固体状態のエネルギーギャップは2.66eVと見積もられ、このことはYGA1PQのLUMO準位が−2.79eVであることを意味する。
また、YGA1PQの基底状態における最適分子構造を、密度汎関数法(DFT)のB3LYP/6−311(d,p)により見積もった。DFTは、電子相関を考慮しないハートリー・フォック(HF)法に比較して計算精度が良く、同レベルの計算精度である摂動法(MP)法よりも計算コストが小さいため、本計算で採用した。計算は、ハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)(SGI社製、Altix3700 DX)を用いて行った。DFTで構造最適化した分子構造において時間依存密度汎関数法(TDDFT)のB3LYP/6−311(d,p)を適用することにより、YGA1PQの一重項励起エネルギー(エネルギーギャップ)を算出したところ、一重項励起エネルギーは2.77eVと算出された。また、YGA1PQの三重項励起エネルギーを算出したところ、2.43eVと算出された。以上の結果から、本発明のキノキサリン誘導体は、励起エネルギーの大きい物質であることがわかる。特に、三重項励起エネルギーの大きい物質であることがわかる。
本実施例では、構造式(320)で表される本発明のキノキサリン誘導体である4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルベンゼンアミン}(略称:YGAPQ)の合成方法を具体的に示す。
Figure 2007284434
[ステップ1]
2,3−ビス(4−ブロモフェニル)キノキサリンの合成方法について説明する。2,3−ビス(4−ブロモフェニル)キノキサリンの合成スキームを(D−1)に示す。
Figure 2007284434
窒素雰囲気下、4,4’−ジブロモベンジル30.0g(81.5mmol)とo−フェニレンジアミン9.00g(83.2mmol)のクロロホルム溶液(200mL)を80℃で3時間加熱、還流した。反応溶液を室温に冷却した後、反応溶液を水で洗浄した。水層をクロロホルムで抽出し、有機層と合わせて飽和食塩水で洗浄し、さらに有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過、濃縮を行い、目的物である2,3−ビス(4−ブロモフェニル)キノキサリンを白色固体として33g、収率92%で得た。
[ステップ2]
4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルベンゼンアミン}(略称:YGAPQ)の合成方法について説明する。4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルベンゼンアミン}(略称:YGAPQ)の合成スキームを(D−2)に示す。
Figure 2007284434
2,3−ビス(4−ブロモフェニル)キノキサリン5.0g(13.51mmol)、実施例1のステップ2で合成した4−(カルバゾール−9−イル)ジフェニルアミン9.94g(29.73mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.39g(0.676mol)、tert−ブトキシナトリウム6.49g(67.57mmol)を300mL三口フラスコへ入れ窒素置換をし、さらにトルエン80mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10%ヘキサン溶液)1.4g(0.676mmol)を加えて80℃で6時間撹拌した。反応後、溶液を水で洗浄後、水層をトルエンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、ろ過、濃縮し得られた物をトルエンに溶かしてからセライト、フロリジール、アルミナを通した。ろ液を濃縮し、得られた残渣をクロロホルム/メタノール/ヘキサンにより再結晶したところ目的物の黄色固体を9.34g、収率73%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルベンゼンアミン}(略称:YGAPQ)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(CDCl3,300MHz):δ=7.02−7.07(m, 2H),7.17−7.56(m, 36H),7.74−7.77(m, 2H) ,8.12−8.19(m, 6H)。また、H NMRチャートを図14(A)、(B)に示す。なお、図14(B)は、図14(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
YGAPQの分解温度(Td)を示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製、TG/DTA320型)により測定したところ、Td=450℃であり、良好な熱的安定性を示すことが分かった。
また、示差走査熱量測定装置(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris1)を用いてガラス転移温度を測定した。まず、サンプルを40℃/minの速度で400℃まで加熱して試料を溶融させた後、40℃/minの速度で室温まで冷却した。その後10℃/minの速度で400℃まで昇温することにより、図28のDSCチャートを得た。図28において、X軸に温度、Y軸に熱量が示されている。Y軸においては、上向きが吸熱を示している。このチャートから、YGAPQのガラス転移温度(Tg)は150℃であり、融点は400℃以上であることがわかった。このことから、YGAPQは高いガラス転移温度を有することがわかった。
また、YGAPQのトルエン溶液の吸収スペクトルを図15に示す。また、YGAPQの薄膜の吸収スペクトルを図16に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図15および図16に示した。図15および図16において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では400nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では410nm付近に吸収が見られた。また、YGAPQのトルエン溶液(励起波長397nm)の発光スペクトルと励起スペクトルを図17に示す。また、YGAPQの薄膜(励起波長410nm)の発光スペクトルを図18に示す。図17および図18において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では488nm(励起波長397nm)、薄膜の場合で531nm付近と630nm(励起波長410nm)であった。
また、この薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、YGAPQのHOMO準位は−5.42eVであった。図16の吸収スペクトルのTaucプロットから吸収端は2.66eVであった。従って、YGAPQの固体状態のエネルギーギャップは2.66eVと見積もられ、このことはYGAPQのLUMO準位が−2.76eVであることを意味する。
また、YGAPQの基底状態における最適分子構造を、密度汎関数法(DFT)のB3LYP/6−311(d,p)により見積もった。DFTは、電子相関を考慮しないハートリー・フォック(HF)法に比較して計算精度が良く、同レベルの計算精度である摂動法(MP)法よりも計算コストが小さいため、本計算で採用した。計算は、ハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)(SGI社製、Altix3700 DX)を用いて行った。DFTで構造最適化した分子構造において時間依存密度汎関数法(TDDFT)のB3LYP/6−311(d,p)を適用することにより、YGAPQの一重項励起エネルギー(エネルギーギャップ)を算出したところ、一重項励起エネルギーは2.64eVと算出された。また、YGAPQの三重項励起エネルギーを算出したところ、2.38eVと算出された。以上の結果から、本発明のキノキサリン誘導体は、励起エネルギーの大きい物質であることがわかる。特に、三重項励起エネルギーの大きい物質であることがわかる。
また、示差走査熱量測定装置(DSC、パーキンエルマー社製、Pyris1)を用いてガラス転移温度を測定した。まず、サンプルを40℃/minの速度で330℃まで加熱した後、40℃/minの速度で室温まで冷却した。その後10℃/minの速度で330℃まで昇温し、40℃/minの速度で室温まで冷却することにより、測定した。その結果、YGAPQのガラス転移温度(Tg)は150℃であり、高いガラス転移温度を示すことがわかった。
また、YGAPQの酸化反応特性および還元反応特性を測定した。酸化反応特性および還元反応特性は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、YGAPQの測定は室温で行った。
YGAPQの酸化反応特性については次のようにして調べた。参照電極に対する作用電極の電位を−0.21Vから1Vまで変化させた後、1Vから−0.21Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。また、YGAPQの還元反応特性については次のようにして調べた。参照電極に対する作用電極の電位を−0.3Vから−2.5Vまで変化させた後、−2.5Vから−0.3Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
図19にYGAPQの酸化側のCV測定結果を、図20にYGAPQの還元側のCV測定結果をそれぞれ示す。図19および図20において、横軸は参照電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流値(μA)を表す。図19から、0.7V〜0.8V付近(vs.Ag/Ag)に酸化を示す電流が観測された。また、図20から、−1.94V付近(vs.Ag/Ag)に還元を示す電流が観測された。
本実施例では、構造式(271)で表される本発明のキノキサリン誘導体であるN,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−9−フェニルカルバゾール−3−アミン)(略称:PCAPQ)の合成方法を具体的に示す。
Figure 2007284434
[ステップ1]
N−フェニル−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)の合成方法について説明する。
(i)3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールの合成
3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールの合成スキームを(E−1)に示す。
Figure 2007284434
9−フェニルカルバゾール24.3g(100mmol)を氷酢酸600mLに溶かし、N−ブロモコハク酸イミド17.8g(100mmol)をゆっくり加え、室温で約15時間撹拌した。この氷酢酸溶液を氷水1Lに撹拌しながら滴下した。析出した白色固体を吸引濾過により回収し、水で3回洗浄した。この固体をジエチルエーテル150mLに溶解し、その溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。反応混合物を濾過し、得られたろ液を濃縮し、得られた残渣にメタノールを約50mLを加え、均一に溶解させた。この溶液を静置することで白色固体が析出した。この固体を回収し乾燥させる事で、白色粉末の3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールを28.4g(収率88%)を得た。
[ステップ2]N−フェニル−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)の合成
PCAの合成スキームを(E−2)に示す。
Figure 2007284434
三口フラスコに、3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールを19g(60mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を340mg(0.6mmol)、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを1.6g(3.0mmol)、ナトリウム tert−ブトキシドを13g(180mmol)入れ、窒素置換した後、脱水キシレンを110mL、アニリンを7.0g(75mmol)加えた。これを窒素雰囲気下にて90℃、7.5時間加熱撹拌した。反応終了後、反応液に加熱したトルエン約500mLを加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、ここにヘキサン−酢酸エチルを加えて超音波を照射した。析出した固体を吸引濾過により回収し、得られた固体を乾燥し、クリーム色粉末のN−フェニル−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)15g(収率75%)を得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物がN−フェニル−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(300MHz、CDCl);6.84(t、J=6.9、1H)、6.97(d、J=7.8、2H)、7.20−7.61(m、13H)、7.90(s、1H)、8.04(d、J=7.8、1H)。また、H NMRのチャートを図51(A)に、図51(A)における5.0〜9.0ppmの部分を拡大したものを図51(B)に示す。
[ステップ3]N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−9−フェニルカルバゾール−3−アミン)(略称:PCAPQ)の合成
N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−9−フェニルカルバゾール−3−アミン)(略称:PCAPQ)の合成スキームを(E−3)に示す。
Figure 2007284434
2,3−ビス(4−ブロモフェニル)キノキサリン1.79g(4.08mmol)、N−フェニル−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)3.0g(8.97mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.117g(0.204mol)、tert−ブトキシナトリウム1.96g(20.39mmol)を100mL三口フラスコへ入れ窒素置換をし、さらにトルエン30mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィン(10%ヘキサン溶液)0.5g(0.245mmol)を加えて80℃で6時間撹拌した。反応後、溶液を水で洗浄後、水層をトルエンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、ろ過、濃縮し得られた物をトルエンに溶かしてからセライト、フロリジール、アルミナを通した。ろ液を濃縮し、得られた固体を酢酸エチル/メタノールにより再結晶したところ目的物の山吹色固体を2.60g、収率67%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物がN,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−9−フェニルカルバゾール−3−アミン)(略称:PCAPQ)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(CDCl3,300MHz):δ=6.96−7.01(m, 2H),7.06−7.59(m, 36H),7.68−7.72(m, 2H) ,7.94−7.97(m, 4H) ,8.10−8.13(m, 2H)。また、H NMRチャートを図21(A)、(B)に示す。なお、図21(B)は、図21(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
PCAPQの分解温度(Td)を示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製、TG/DTA320型)により測定したところ、Td=477℃であり、良好な熱的安定性を示すことが分かった。
また、PCAPQのトルエン溶液の吸収スペクトルを図22に示す。また、PCAPQの薄膜の吸収スペクトルを図23に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図22および図23に示した。図22および図23において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では404nm付近に吸収が見られ、薄膜の場合では426nm付近に吸収が見られた。また、PCAPQのトルエン溶液(励起波長395nm)の発光スペクトルと励起スペクトルを図24に示す。また、PCAPQの薄膜(励起波長426nm)の発光スペクトルを図25に示す。図24および図25において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では508nm(励起波長395nm)、薄膜の場合で538nm(励起波長426nm)であった。
また、この薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、PCAPQのHOMO準位は−5.29eVであった。図23の吸収スペクトルのTaucプロットから吸収端は2.55eVであった。従って、PCAPQの固体状態のエネルギーギャップは2.55eVと見積もられ、このことはPCAPQのLUMO準位が−2.74eVであることを意味する。
また、PCAPQの酸化反応特性および還元反応特性を測定した。酸化反応特性および還元反応特性は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(Sigma−Aldrich社製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、PCAPQの測定は室温で行った。
PCAPQの酸化反応特性については次のようにして調べた。参照電極に対する作用電極の電位を−0.26Vから0.7Vまで変化させた後、0.7Vから−0.26Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。また、PCAPQの還元反応特性については次のようにして調べた。参照電極に対する作用電極の電位を−0.6Vから−2.4Vまで変化させた後、−2.4Vから−0.6Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
図26にPCAPQの酸化側のCV測定結果を、図27にPCAPQの還元側のCV測定結果をそれぞれ示す。図26および図27において、横軸は参照電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流値(μA)を表す。図26から、0.50V付近(vs.Ag/Ag)に酸化を示す電流が観測された。また、図27から、−2.01V付近(vs.Ag/Ag)に還元を示す電流が観測された。
また、図26および図27から、酸化側、還元側両方とも可逆的なピークを与えることが分かった。また、100回の酸化あるいは還元を繰り返しても、サイクリックボルタモグラムにほとんど変化がないことがわかった。このことは、PCAPQが酸化および還元に対して安定であることを意味している。つまり、電気化学的に安定であることを意味している。
本実施例では、本発明の発光素子について、図29を用いて説明する。本実施例および実施例5、実施例6で用いた材料の化学式を以下に示す。
Figure 2007284434
(発光素子1)
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、蒸着装置を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの蒸着室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、構造式(320)で表される4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルベンゼンアミン}(略称:YGAPQ)と(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に30nmの膜厚の発光層2105を形成した。ここで、YGAPQとIr(tppr)(acac)との重量比は、1:0.05(=YGAPQ:Ir(tppr)(acac))となるように調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)を10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
さらに、電子輸送層2106上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)とリチウムを共蒸着することにより、50nmの膜厚で電子注入層2107を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、発光素子1を作製した。
(比較発光素子2)
発光層2105として、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)と(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))とを共蒸着することにより、30nmの膜厚で形成した。ここで、CBPとIr(tppr)(acac)との重量比は、1:0.05(=CBP:Ir(tppr)(acac))となるように調節した。発光層以外は、発光素子1と同様に形成した。
発光素子1および比較発光素子2の電流密度−輝度特性を図30に示す。また、電圧−輝度特性を図31に示す。また、輝度−電流効率特性を図32に示す。また、電圧−電流特性を図33に示す。また、輝度−パワー効率特性を図34に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図35に示す。図35から、発光素子1および比較発光素子2の発光は、Ir(tppr)(acac)の発光であることがわかる。
また、発光素子1において、輝度980cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.66、y=0.34)であり、赤色の発光を示した。また、輝度980cd/mのときの電流効率は12cd/A、外部量子効率は11%であり、高い効率を示した。また、輝度980cd/mのときの電圧は4.8V、電流密度は8.3mA/cm、パワー効率は7.7lm/Wであり、非常に高いパワー効率を示した。
一方、比較発光素子2において、輝度970cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.64、y=0.35)であり、赤色の発光を示した。また、輝度970cd/mのときの電流効率は11cd/A、外部量子効率は8.4%であった。また、輝度970cd/mのときの電圧は7.8V、電流密度は8.4mA/cm、パワー効率は4.6lm/Wであった。
また、図32からわかるように発光素子1と比較発光素子2はほぼ同様な電流効率を示している。しかし、図31および図33に示すように、発光素子1は比較発光素子2よりも低電圧で駆動が可能となっている。つまり、ある一定の輝度を得るために必要な電圧が低減されている。その結果、図34に示すように、発光素子1は比較発光素子2に比べ、パワー効率が向上しており、消費電力が低減されている。よって、本発明のキノキサリン誘導体を用いることにより、駆動電圧が低減され、消費電力が低減された発光素子を得ることができる。
また、発光素子1および比較発光素子2の規格化輝度経時変化を図36に示す。また、電圧経時変化を図37に示す。測定は、初期輝度を1000cd/mとして行った。図36より、発光素子1は比較発光素子2に比べ、輝度の経時変化が少ないことがわかる。また、図37より、発光素子1は比較発光素子2に比べ、電圧の経時変化が少ないことがわかる。よって、本発明のキノキサリン誘導体を用いることにより、長寿命な発光素子を得ることができる。
本実施例では、本発明の発光素子について、図29を用いて説明する。
(発光素子3)
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、蒸着装置を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの蒸着室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、構造式(320)で表される4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルベンゼンアミン}(略称:YGAPQ)と(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に30nmの膜厚の発光層2105を形成した。ここで、YGAPQとIr(Fdpq)(acac)との重量比は、1:0.06(=YGAPQ:Ir(Fdpq)(acac))となるように調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)を10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
さらに、電子輸送層2106上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)とリチウムを共蒸着することにより、50nmの膜厚で電子注入層2107を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、発光素子3を作製した。
(発光素子4)
電子輸送層2106として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)を10nmの膜厚となるように成膜した。電子輸送層以外は、発光素子3と同様に形成した。
発光素子3および発光素子4の電流密度−輝度特性を図38に示す。また、電圧−輝度特性を図39に示す。また、輝度−電流効率特性を図40に示す。また、電圧−電流特性を図41に示す。また、輝度−パワー効率特性を図42に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図43に示す。図43から、発光素子3および発光素子4の発光は、Ir(Fdpq)(acac)の発光であることがわかる。
また、発光素子3において、輝度960cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.71、y=0.28)であり、色純度の良い赤色の発光を示した。また、輝度960cd/mのときの電流効率は4.7cd/A、外部量子効率は12%であり、非常に高い効率を示した。また、輝度960cd/mのときの電圧は6.2V、電流密度は20mA/cm、パワー効率は2.4lm/Wであり、非常に高いパワー効率を示した。
また、発光素子4において、輝度930cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.65、y=0.33)であり赤色の発光を示した。また、輝度930cd/mのときの電流効率は3.6cd/A、外部量子効率は7.2%であり、高い効率を示した。また、輝度930cd/mのときの電圧は5.8V、電流密度は26mA/cm、パワー効率は2.0lm/Wであり、高いパワー効率を示した。
また、図39および図41から、発光素子3および発光素子4は駆動電圧が低減されていることがわかる。よって、本発明のキノキサリン誘導体を用いることにより、駆動電圧が低減され、消費電力が低減された発光素子を得ることができる。特に、発光素子3は発光素子4よりもさらに駆動電圧が低減されている。また、図40からわかるように発光素子3は発光素子4よりも高い電流効率を示している。その結果、図42に示すように、発光素子3は発光素子4に比べ、パワー効率が向上しており、消費電力が低減されている。
また、発光素子4の規格化輝度経時変化を図44に示す。また、電圧経時変化を図45に示す。測定は、初期輝度を1000cd/mとして行った。図44より、発光素子4は、輝度の経時変化が少ないことがわかる。また、図45より、発光素子4は、電圧の経時変化が少ないことがわかる。よって、本発明のキノキサリン誘導体を用いることにより、長寿命な発光素子を得ることができる。
本実施例では、本発明の発光素子について、図29を用いて説明する。
(発光素子5)
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、蒸着装置を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの蒸着室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、構造式(271)で表されるN,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−9−フェニルカルバゾール−3−アミン)(略称:PCAPQ)と(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に30nmの膜厚の発光層2105を形成した。ここで、PCAPQとIr(Fdpq)(acac)との重量比は、1:0.08(=PCAPQ:Ir(Fdpq)(acac))となるように調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)を10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
さらに、電子輸送層2106上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)とリチウムを共蒸着することにより、50nmの膜厚で電子注入層2107を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、発光素子5を作製した。
発光素子5の電流密度−輝度特性を図46に示す。また、電圧−輝度特性を図47に示す。また、輝度−電流効率特性を図48に示す。また、電圧−電流特性を図49に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図50に示す。図50から、発光素子5の発光は、Ir(Fdpq)(acac)の発光であることがわかる。また、輝度1100cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.69、y=0.30)であり色純度の良い赤色の発光を示した。また、輝度1100cd/mのときの電流効率は2.1cd/Aであり、高い効率を示した。また、輝度1100cd/mのときの電圧は5.0V、電流密度は51mA/cm、パワー効率は1.3lm/Wであり、高いパワー効率を示した。また、図47および図49から、発光素子5は駆動電圧が低減されていることがわかる。よって、本発明のキノキサリン誘導体を用いることにより、駆動電圧が低減され、消費電力が低減された発光素子を得ることができる。
本実施例では、構造式(86)で表される本発明のキノキサリン誘導体であるN−フェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]−9−フェニルカルバゾール−3−アミン(略称:PCA1PQ)の合成方法を具体的に示す。
Figure 2007284434
[ステップ1]
N−フェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]−9−フェニルカルバゾール−3−アミン(略称:PCA1PQ)の合成
N−フェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]−9−フェニルカルバゾール−3−アミン(略称:PCA1PQ)の合成スキームを(H−1)に示す。
Figure 2007284434
2−(4−ブロモフェニル)−3−フェニルキノキサリン2.0g(5.5mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド2.0g、N−フェニル−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)1.9g(5.5mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.1g(0.2mmol)を100mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン30mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィンの10%ヘキサン溶液0.1mLを加えた。この混合物を80℃で3時間加熱攪拌した。反応後、反応混合物にトルエンを加え、この懸濁液をフロリジール、セライト、アルミナを通して吸引ろ過し、ろ液を得た。得られたろ液を水で洗浄したのち、水層と有機層を分離した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物を吸引ろ過して硫酸マグネシウムを除去し、得られたろ液を濃縮し、固体を得た。得られた固体をクロロホルムとヘキサンの混合溶媒で再結晶したところ、黄色固体を収量2.5g、収率73%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物がN−フェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]−9−フェニルカルバゾール−3−アミン(略称:PCA1PQ)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(CDCl,300MHz):δ=6.96−7.66(m,24H),7.66−7.78(m,2H),7.91−7.96(m,1H),7.98(d,J=7.8Hz,1H),8.10−8.19(m,2H)。また、H NMRチャートを図55(A)、(B)に示す。なお、図55(B)は、図55(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、得られた黄色固体の昇華精製をトレインサブリメーション法により行った。昇華精製は7Paの減圧下、アルゴンの流量を3mL/minとして295℃で12時間行った。仕込量2.5gに対して、収量2.1gであり、昇華精製の回収率は84%であった。
また、PCA1PQのトルエン溶液の吸収スペクトルを図56に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図56に示した。図56において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では315nm付近および411nm付近に吸収が見られた。また、PCA1PQのトルエン溶液(励起波長410nm)の発光スペクトルを図57に示す。図57において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では521nm(励起波長410nm)であった。
また、PCA1PQの薄膜の吸収スペクトルを図73に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図73に示した。図73において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。薄膜の場合では423nm付近に吸収が見られた。また、PCA1PQの薄膜(励起波長423nm)の発光スペクトルを図74に示す。図74において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長は薄膜の場合では552nm(励起波長423nm)であった。
また、この薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、PCA1PQのHOMO準位は−5.22eVであった。図73の吸収スペクトルのTaucプロットから吸収端は2.59eVであった。従って、PCA1PQの固体状態のエネルギーギャップは2.59eVと見積もられ、このことはPCA1PQのLUMO準位が−2.63eVであることを意味する。
本実施例では、構造式(21)で表される本発明のキノキサリン誘導体であるN,N’,N’−トリフェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]ベンゼン−1,4−ジアミン(略称:DPA1PQ)の合成方法を具体的に示す。
Figure 2007284434
[ステップ1]
N,N’,N’−トリフェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]ベンゼン−1,4−ジアミン(略称:DPA1PQ)の合成
N,N’,N’−トリフェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]ベンゼン−1,4−ジアミン(略称:DPA1PQ)の合成スキームを(J−1)に示す。
Figure 2007284434
2−(4−ブロモフェニル)−3−フェニルキノキサリン1.0g(2.8mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド0.3g、N,N,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン0.93g(2.8mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)0.05g(0.1mmol)を50mL三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物にトルエン20mL、トリ(tert−ブチル)ホスフィンの10%ヘキサン溶液0.05mLを加えた。この混合物を80℃で3時間加熱攪拌した。反応後、反応混合物にトルエンを加え、この懸濁液をフロリジール、セライト、アルミナを通して吸引濾過した。得られたろ液を炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄したのち、水層と有機層に分離した。有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物を吸引ろ過して硫酸マグネシウムを除去し、得られたろ液を濃縮し、固体を得た。得られた固体をクロロホルムとメタノールの混合溶媒で再結晶したところ、黄色固体を収量1.4g、収率78%で得た。核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物がN,N’,N’−トリフェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]ベンゼン−1,4−ジアミン(略称:DPA1PQ)であることを確認した。
この化合物のH NMRデータを以下に示す。H NMR(CDCl,300MHz):δ=6.93−7.43(m,26H),7.55−7.62(m,2H),7.71−7.77(m,2H),8.11−8.19(m,2H)。また、H NMRチャートを図58(A)、(B)に示す。なお、図58(B)は、図58(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
また、得られた黄色固体の昇華精製をトレインサブリメーション法により行った。昇華精製は7.0Paの減圧下、アルゴンの流量を3mL/minとして266℃で15時間行った。仕込量は1.4gに対して、収量は1.1gであり、昇華精製の回収率は79%であった。
また、DPA1PQのトルエン溶液の吸収スペクトルを図59に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図59に示した。図59において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では325nm付近および410nm付近に吸収が見られた。また、DPA1PQのトルエン溶液(励起波長410nm)の発光スペクトルを図60に示す。図60において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では559nm(励起波長410nm)であった。
また、DPA1PQの薄膜の吸収スペクトルを図75に示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製し、石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図75に示した。図75において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。薄膜の場合では421nm付近に吸収が見られた。また、DPA1PQの薄膜(励起波長421nm)の発光スペクトルを図76に示す。図76において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長は薄膜の場合では566nm(励起波長421nm)であった。
また、この薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、DPA1PQのHOMO準位は−5.31eVであった。図75の吸収スペクトルのTaucプロットから吸収端は2.60eVであった。従って、DPA1PQの固体状態のエネルギーギャップは2.60eVと見積もられ、このことはDPA1PQのLUMO準位が−2.71eVであることを意味する。
本実施例では、本発明の発光素子について、図29を用いて説明する。
(発光素子6)
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、蒸着装置を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの蒸着室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、構造式(159)で表される4−(カルバゾール−9−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:YGA1PQ)と(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac)(略称:Ir(Fdpq)(acac))とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に30nmの膜厚の発光層2105を形成した。ここで、YGA1PQとIr(Fdpq)(acac)との重量比は、1:0.06(=YGA1PQ:Ir(Fdpq)(acac))となるように調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)を10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
さらに、電子輸送層2106上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)とリチウムを共蒸着することにより、50nmの膜厚で電子注入層2107を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、発光素子6を作製した。
発光素子6の電流密度−輝度特性を図61に示す。また、電圧−輝度特性を図62に示す。また、輝度−電流効率特性を図63に示す。また、電圧−電流特性を図64に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図65に示す。図65から、発光素子6の発光は、Ir(Fdpq)(acac)の発光であることがわかる。また、輝度960cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.71、y=0.29)であり色純度の良い赤色の発光を示した。また、輝度960cd/mのときの電流効率は6.3cd/A、外部量子効率は14%であり、非常に高い効率を示した。また、輝度960cd/mのときの電圧は6.0V、電流密度は15mA/cm、パワー効率は3.3lm/Wであり、非常に高いパワー効率を示した。また、図62および図64から、発光素子6は駆動電圧が低減されていることがわかる。よって、本発明のキノキサリン誘導体を用いることにより、駆動電圧が低減され、消費電力が低減された発光素子を得ることができる。
本実施例では、本発明の発光素子について、図29を用いて説明する。
(発光素子7)
まず、ガラス基板2101上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極2102を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、蒸着装置を10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極2102上に、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することにより、有機化合物と無機化合物とを複合してなる複合材料を含む層2103を形成した。その膜厚は50nmとし、NPBと酸化モリブデン(VI)との比率は、重量比で4:1(=NPB:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの蒸着室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、複合材料を含む層2103上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2104を形成した。
さらに、構造式(86)で表されるN−フェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]−9−フェニルカルバゾール−3−アミン(略称:PCA1PQ)と(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac)(略称:Ir(Fdpq)(acac))とを共蒸着することにより、正孔輸送層2104上に30nmの膜厚の発光層2105を形成した。ここで、PCA1PQとIr(Fdpq)(acac)との重量比は、1:0.06(=PCA1PQ:Ir(Fdpq)(acac))となるように調節した。
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層2105上にビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)を10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2106を形成した。
さらに、電子輸送層2106上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)とリチウムを共蒸着することにより、50nmの膜厚で電子注入層2107を形成した。ここで、Alqとリチウムとの重量比は、1:0.01(=Alq:リチウム)となるように調節した。
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層2107上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極2108を形成することで、発光素子7を作製した。
発光素子7の電流密度−輝度特性を図66に示す。また、電圧−輝度特性を図67に示す。また、輝度−電流効率特性を図68に示す。また、電圧−電流特性を図69に示す。また、1mAの電流を流したときの発光スペクトルを図70に示す。図70から、発光素子7の発光は、Ir(Fdpq)(acac)の発光であることがわかる。また、輝度1100cd/mのときのCIE色度座標は(x=0.70、y=0.30)であり色純度の良い赤色の発光を示した。また、輝度1100cd/mのときの電流効率は4.3cd/A、外部量子効率は7.4%であり、高い効率を示した。また、輝度1100cd/mのときの電圧は4.8V、電流密度は25mA/cm、パワー効率は2.8lm/Wであり、高いパワー効率を示した。また、図67および図69から、発光素子7は駆動電圧が低減されていることがわかる。よって、本発明のキノキサリン誘導体を用いることにより、駆動電圧が低減され、消費電力が低減された発光素子を得ることができる。
本実施例では、上述した実施例で用いた材料について説明する。
≪Ir(tppr)(acac)の合成≫
以下では、構造式(402)で表される(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)(acac)])の合成例を具体的に例示する。
Figure 2007284434
[ステップ1]
2,3,5−トリフェニルピラジン(略称:Htppr)の合成について説明する。
まず、窒素雰囲気にて、フェニルリチウムのジブチルエーテル溶液((株)和光純薬工業製、2.1mol/L)5.5mLとジエチルエーテル50mLを混合した溶液を調製した。次に、氷冷しながら、この溶液に2、3−ジフェニルピラジン2.43gを滴下し、室温にて24時間撹拌した。撹拌後、その混合物に水を加え、ジエチルエーテルにて有機層を抽出した。抽出した有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥後、有機層に活性二酸化マンガンを過剰に加え、よくかき混ぜた後ろ過した。ろ液の溶媒を留去した後、得られた残渣をエタノールで再結晶することにより、ピラジン誘導体Htpprを得た(黄色粉末、収率56%)。ステップ1の合成スキームを下記(G−1)に示す。
Figure 2007284434
[ステップ2]
ジ−μ−クロロ−ビス[ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)](略称:[Ir(tppr)Cl])の合成について説明する。
2−エトキシエタノール30mLと水10mLとの混合溶媒に、上記ステップ1で得たピラジン誘導体Htpprを1.08g、塩化イリジウム水和物(IrCl・HO)(Sigma−Aldrich社製)を0.73g混合し、その混合物を窒素雰囲気にて16時間還流した。析出してきた粉末をろ過し、エタノール、エーテル、次いでヘキサンにて洗浄することにより、複核錯体[Ir(tppr)Cl] を得た(橙色粉末、収率97%)。ステップ2の合成スキームを下記(G−2)に示す。
Figure 2007284434
[ステップ3]
(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)(acac)]の合成について説明する。
2−エトキシエタノール40mLを溶媒として、上記ステップ2で得た複核錯体[Ir(tppr)Cl]を2.00g、アセチルアセトンを0.37mL、炭酸ナトリウムを1.26g混合し、その混合物を窒素雰囲気下にて18時間還流した。還流後、その混合物をろ過し、ろ液を一週間放置した。その後、析出した結晶をろ過することにより除去し、ろ液の溶媒を留去した。得られた残渣をジクロロメタンとエタノールの混合溶媒で再結晶し、再結晶により得られた粉末をエタノール、次いでエーテルにて洗浄することにより、有機金属錯体[Ir(tppr)(acac)]を得た(橙色粉末、収率16%)。ステップ3の合成スキームを下記(G−3)に示す。
Figure 2007284434
なお、上記ステップ3で得られた橙色粉末の核磁気共鳴分光法(H NMR)による分析結果を下記に示す。また、H NMRチャートを図53に示す。図53(A)の縦軸を拡大したものを図53(B)に示した。このことから、本合成例1において、上述の構造式(402)で表される有機金属錯体[Ir(tppr)(acac)]が得られたことがわかった。
H NMR(CDCl、300MHz):δ=1.92(s,6H),5.35(s,1H),6.45−6.54(m,4H),6.67(td,2H),6.91(d,2H),7.41−7.57(m,12H),7.81(m,4H),8.08(dd,4H),8.98(s,2H)。
また、得られた有機金属錯体[Ir(tppr)(acac)]の分解温度Tを示差熱熱重量同時測定装置((株)セイコー電子製、TG/DTA 320型)により測定したところ、T=331℃であり、良好な熱的安定性を示すことがわかった。
次に、[Ir(tppr)(acac)]の吸収スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定は紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.10mmol/L)を用いて、室温で測定を行った。また、[Ir(tppr)(acac)]の発光スペクトルを測定した。発光スペクトルの測定は蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.35mmol/L)を用いて、室温で測定を行った。測定結果を図54に示す。横軸は波長、縦軸はモル吸光係数および発光強度を表す。
図54に示す通り、有機金属錯体[Ir(tppr)(acac)]は、622nmに発光ピークを有しており、溶液からは赤橙色の発光が観測された。
なお、有機金属錯体[Ir(tppr)(acac)]は、可視光領域にいくつもの吸収ピークが観測される。これは、オルトメタル錯体のようないくつかの有機金属錯体に見られる独特の吸収であり、一重項MLCT遷移、三重項π−π遷移、三重項MLCT遷移などに対応すると類推される。特に、最も長波長側の吸収がブロードな裾を引いており、三重項MLCT遷移であると考えられる。すなわち、有機金属錯体[Ir(tppr)(acac)]は、三重項励起状態への直接光励起や項間交差が可能な化合物であることが分かった。したがって、得られた発光も三重項励起状態からの発光、すなわち燐光であると考えられる。
[ステップ4]
上述したステップ1で合成した2,3,5−トリフェニルピラジン(略称:Htppr)に関し、ステップ1とは異なる合成方法を例示する。
まず、エタノール200mLを溶媒として、フェニルグリオキサール(東京化成工業株式会社製)4.60gとmeso−1,2−ジフェニルエチレンジアミン7.28gを混合し、その混合物を窒素雰囲気にて6時間還流した。還流後、この混合物の溶媒を留去し、得られた残渣をエタノールにて再結晶した。再結晶により得られた黄土色粉末をジクロロメタンに溶解し、この溶液に活性二酸化マンガンを過剰に加え、よくかき混ぜた後ろ過した。ろ液の溶媒を留去した後、得られた残渣をエタノールで再結晶することにより、ピラジン誘導体Htpprを得た(黄色粉末、収率37%)。ステップ4の合成スキームを下記(G−1−2)に示す。
Figure 2007284434
本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の発光素子を説明する図。 本発明の有機半導体素子を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の発光装置を説明する図。 本発明の電子機器を説明する図。 本発明の電子機器を説明する図。 本発明の照明装置を説明する図。 本発明の照明装置を説明する図。 4−(カルバゾール−9−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:YGA1PQ)のH NMRチャートを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:YGA1PQ)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:YGA1PQ)の薄膜の発光スペクトルを示す図。 4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルベンゼンアミン}(略称:YGAPQ)のH NMRチャートを示す図。 4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルベンゼンアミン}(略称:YGAPQ)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルベンゼンアミン}(略称:YGAPQ)の薄膜の吸収スペクトルを示す図。 4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルベンゼンアミン}(略称:YGAPQ)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルベンゼンアミン}(略称:YGAPQ)の薄膜の発光スペクトルを示す図。 4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルベンゼンアミン}(略称:YGAPQ)のCV測定結果を示す図。 4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルベンゼンアミン}(略称:YGAPQ)のCV測定結果を示す図。 N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−9−フェニルカルバゾール−3−アミン)(略称:PCAPQ)のH NMRチャートを示す図。 N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−9−フェニルカルバゾール−3−アミン)(略称:PCAPQ)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−9−フェニルカルバゾール−3−アミン)(略称:PCAPQ)の薄膜の吸収スペクトルを示す図。 N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−9−フェニルカルバゾール−3−アミン)(略称:PCAPQ)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−9−フェニルカルバゾール−3−アミン)(略称:PCAPQ)の薄膜の発光スペクトルを示す図。 N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−9−フェニルカルバゾール−3−アミン)(略称:PCAPQ)のCV測定結果を示す図。 N,N’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス(N−フェニル−9−フェニルカルバゾール−3−アミン)(略称:PCAPQ)のCV測定結果を示す図。 4,4’−(キノキサリン−2,3−ジイル)ビス{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルベンゼンアミン}(略称:YGAPQ)のDSCチャートを示す図。 実施例の発光素子を説明する図。 実施例4で作製した発光素子の電流密度―輝度特性を示す図。 実施例4で作製した発光素子の電圧―輝度特性を示す図。 実施例4で作製した発光素子の輝度―電流効率特性を示す図。 実施例4で作製した発光素子の電圧―電流特性を示す図。 実施例4で作製した発光素子の輝度―パワー効率特性を示す図。 実施例4で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図。 実施例4で作製した発光素子の規格化輝度経時変化を示す図。 実施例4で作製した発光素子の電圧経時変化を示す図。 実施例5で作製した発光素子の電流密度―輝度特性を示す図。 実施例5で作製した発光素子の電圧―輝度特性を示す図。 実施例5で作製した発光素子の輝度―電流効率特性を示す図。 実施例5で作製した発光素子の電圧―電流特性を示す図。 実施例5で作製した発光素子の輝度―パワー効率特性を示す図。 実施例5で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図。 実施例5で作製した発光素子の規格化輝度経時変化を示す図。 実施例5で作製した発光素子の電圧経時変化を示す図。 実施例6で作製した発光素子の電流密度―輝度特性を示す図。 実施例6で作製した発光素子の電圧―輝度特性を示す図。 実施例6で作製した発光素子の輝度―電流効率特性を示す図。 実施例6で作製した発光素子の電圧―電流特性を示す図。 実施例6で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図。 N−フェニル−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA)のH NMRチャートを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)−ジフェニルアミン(略称:YGA)のH NMRチャートを示す図。 (アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)のH NMRチャートを示す図。 (アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図。 N−フェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]−9−フェニルカルバゾール−3−アミン(略称:PCA1PQ)のH NMRチャートを示す図。 N−フェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]−9−フェニルカルバゾール−3−アミン(略称:PCA1PQ)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 N−フェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]−9−フェニルカルバゾール−3−アミン(略称:PCA1PQ)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 N,N’,N’−トリフェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]ベンゼン−1,4−ジアミン(略称:DPA1PQ)のH NMRチャートを示す図。 N,N’,N’−トリフェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]ベンゼン−1,4−ジアミン(略称:DPA1PQ)のトルエン溶液の吸収スペクトルを示す図。 N,N’,N’−トリフェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]ベンゼン−1,4−ジアミン(略称:DPA1PQ)のトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。 実施例9で作製した発光素子の電流密度―輝度特性を示す図。 実施例9で作製した発光素子の電圧―輝度特性を示す図。 実施例9で作製した発光素子の輝度―電流効率特性を示す図。 実施例9で作製した発光素子の電圧―電流特性を示す図。 実施例9で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図。 実施例10で作製した発光素子の電流密度―輝度特性を示す図。 実施例10で作製した発光素子の電圧―輝度特性を示す図。 実施例10で作製した発光素子の輝度―電流効率特性を示す図。 実施例10で作製した発光素子の電圧―電流特性を示す図。 実施例10で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:YGA1PQ)の薄膜の吸収スペクトルを示す図。 4−(カルバゾール−9−イル)−4’−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)トリフェニルアミン(略称:YGA1PQ)の薄膜の発光スペクトルを示す図。 N−フェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]−9−フェニルカルバゾール−3−アミン(略称:PCA1PQ)の薄膜の吸収スペクトルを示す図。 N−フェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]−9−フェニルカルバゾール−3−アミン(略称:PCA1PQ)の薄膜の発光スペクトルを示す図。 N,N’,N’−トリフェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]ベンゼン−1,4−ジアミン(略称:DPA1PQ)の薄膜の吸収スペクトルを示す図。 N,N’,N’−トリフェニル−N−[4−(3−フェニルキノキサリン−2−イル)フェニル]ベンゼン−1,4−ジアミン(略称:DPA1PQ)の薄膜の発光スペクトルを示す図。
符号の説明
101 基板
102 第1の電極
103 第1の層
104 第2の層
105 第3の層
106 第4の層
107 第2の電極
302 第1の電極
303 第1の層
304 第2の層
305 第3の層
306 第4の層
307 第2の電極
501 第1の電極
502 第2の電極
511 第1の発光ユニット
512 第2の発光ユニット
513 電荷発生層
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 発光物質を含む層
617 第2の電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 発光物質を含む層
956 電極
1201 ソース電極
1202 活性層
1203 ドレイン電極
1204 ゲート電極
2001 筐体
2002 光源
2101 基板
2102 第1の電極
2103 複合材料を含む層
2104 正孔輸送層
2105 発光層
2106 電子輸送層
2107 電子注入層
2108 第2の電極
9101 筐体
9102 支持台
9103 表示部
9104 スピーカー部
9105 ビデオ入力端子
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングデバイス
9401 本体
9402 筐体
9403 表示部
9404 音声入力部
9405 音声出力部
9406 操作キー
9407 外部接続ポート
9408 アンテナ
9501 本体
9502 表示部
9503 筐体
9504 外部接続ポート
9505 リモコン受信部
9506 受像部
9507 バッテリー
9508 音声入力部
9509 操作キー
9510 接眼部

Claims (16)

  1. 一般式(1)で表されるキノキサリン誘導体。
    Figure 2007284434
    (式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(1−1)〜一般式(1−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(1−1)〜一般式(1−3)において、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、γは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41およびR42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
  2. 一般式(2)で表されるキノキサリン誘導体。
    Figure 2007284434
    (式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(2−1)〜一般式(2−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(2−1)〜一般式(2−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
  3. 一般式(3)で表されるキノキサリン誘導体。
    Figure 2007284434
    (式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜R10は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(3−1)〜一般式(3−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(3−1)〜一般式(3−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
  4. 一般式(4)で表されるキノキサリン誘導体。
    Figure 2007284434
    (式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜R10は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。また、Aは、一般式(4−1)〜一般式(4−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(4−1)〜一般式(4−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
  5. 一般式(5)で表されるキノキサリン誘導体。
    Figure 2007284434
    (式中、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜R10は、それぞれ水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。また、Aは、一般式(5−1)〜一般式(5−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(5−1)〜一般式(5−3)において、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
  6. 一般式(6)で表されるキノキサリン誘導体。
    Figure 2007284434
    (式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(6−1)〜一般式(6−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(6−1)〜一般式(6−3)において、βは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、Ar〜Arは、それぞれ、炭素数6〜25のアリール基を表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、γは、炭素数6〜25のアリーレン基を表し、R41およびR42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
  7. 一般式(7)で表されるキノキサリン誘導体。
    Figure 2007284434
    (式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、Arは、炭素数6〜25のアリール基を表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(7−1)〜一般式(7−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(7−1)〜一般式(7−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
  8. 一般式(8)で表されるキノキサリン誘導体。
    Figure 2007284434
    (式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜R10は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、αは、炭素数6〜25のアリーレン基を表す。また、Aは、一般式(8−1)〜一般式(8−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(8−1)〜一般式(8−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
  9. 一般式(9)で表されるキノキサリン誘導体。
    Figure 2007284434
    (式中、R〜Rは、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R〜R10は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。また、Aは、一般式(9−1)〜一般式(9−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(9−1)〜一般式(9−3)において、R11〜R24は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R32〜R36は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R43〜R46は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。)
  10. 一般式(10)で表されるキノキサリン誘導体。
    Figure 2007284434
    (式中、R〜R10は、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。また、Aは、一般式(10−1)〜一般式(10−3)で表されるいずれかの置換基を表し、一般式(10−1)〜一般式(10−3)において、R31は、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表し、R41〜R42は、それぞれ、水素原子、または、炭素数1〜4のアルキル基、または、炭素数6〜25のアリール基のいずれかを表す。)
  11. 一対の電極間に、
    請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のキノキサリン誘導体を有することを特徴とする発光素子。
  12. 一対の電極間に発光層を有し、
    前記発光層は請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のキノキサリン誘導体を有することを特徴とする発光素子。
  13. 一対の電極間に発光層を有し、
    前記発光層は請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のキノキサリン誘導体と蛍光を発光する物質を有することを特徴とする発光素子。
  14. 一対の電極間に発光層を有し、
    前記発光層は請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のキノキサリン誘導体と燐光を発光する物質を有することを特徴とする発光素子。
  15. 請求項11乃至請求項14のいずれか一項に記載の発光素子と、前記発光素子の発光を制御する制御手段とを有する発光装置。
  16. 表示部を有し、
    前記表示部は、請求項11乃至請求項14のいずれか一項に記載の発光素子と前記発光素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする電子機器。
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