JP2007282498A - 積層鉄心及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外周部11に形成された連結部材12で相互に結合された隣り合うセグメント鉄心片13の側端部14を、連結部材12を折り曲げて、合わせながら、連続した複数のセグメント鉄心片13を螺旋状に巻回して積層した積層鉄心10において、連結部材12の半径方向外側には、連結部材12の折り曲げ時に半径方向外側に形成される半径方向膨出部19を積層鉄心10の外側円内に収める凹部切欠き20が設けられ、連結部材12の半径方向内側には、連結部材12の折り曲げ位置を形成する内側切欠き21が設けられ、連結部材12には、連結部材12の折り曲げ時に生じる厚み方向の膨出を抑制する貫通孔15が設けられている。
【選択図】図1
Description
具体的には、所定数のスロットを有する円弧状のセグメント鉄心片同士を、連結部材を介して相互に結合した状態で、鉄心材料から金型で打抜く。そして、外周側に形成された連結部材を折り曲げ、隣り合うセグメント鉄心片の側端部を合わせながら、連続した複数のセグメント鉄心片を螺旋状に巻回して積層する。なお、積層鉄心の積層方向では、連結部材が異なる位置にずれ、セグメント鉄心片と連結部材が隣り合って配置されている(例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3参照)。
前記連結部材の半径方向外側には、該連結部材の折り曲げ時に半径方向外側に形成される半径方向膨出部を該積層鉄心の外側円内に収める凹部切欠きが設けられ、前記連結部材の半径方向内側には、該連結部材の折り曲げ位置を形成する内側切欠きが設けられ、前記連結部材には、該連結部材の折り曲げ時に生じる厚み方向の膨出を抑制する貫通孔が設けられている。
第1の発明に係る積層鉄心において、前記貫通孔により形成される前記連結部材の半径方向内側領域の幅W1、及び半径方向外側領域の幅W2のいずれか1又は2を、周方向に渡って同一幅にすることが好ましい。
第1の発明に係る積層鉄心において、前記連結部材の半径方向内側領域の幅W1を、前記連結部材の半径方向外側領域の幅W2より狭くすることが好ましい。
第1の発明に係る積層鉄心において、隣り合う前記セグメント鉄心片の側端部を近接配置することが好ましい。
前記打抜き工程の際に、前記連結部材に該連結部材の折り曲げ時に生じる厚み方向の膨出を抑制する貫通孔を形成する。
請求項3記載の積層鉄心は、連結部材の半径方向内側領域の幅W1を周方向に渡って同一幅にする場合、連結部材の折り曲げ時に、半径方向内側領域に生じる圧縮応力の集中を抑制できる。これにより、連結部材の厚み方向の膨出が局部的に発生することを抑制できる。
また、連結部材の半径方向外側領域の幅W2を周方向に渡って同一幅にする場合、連結部材の折り曲げ時に、半径方向外側領域に生じる引張応力の集中を抑制できる。これにより、連結部材の折り曲げ時に発生し易くなる連結部材の破断を抑制できる。
請求項5記載の積層鉄心は、隣り合うセグメント鉄心片の側端部を近接配置し、側端部同士の接触が防止されるので、各セグメント鉄心片の周方向のピッチのばらつきを防止でき、例えば、積層方向のセグメント鉄心片のかしめ位置のずれを防止できる。また、このように近接配置することにより、例えば、セグメント鉄心片を打抜く金型の刃物が摩耗し、側端部にバリが生じた場合でも、その接触を防止でき、各セグメント鉄心片の周方向のピッチのずれを防止できる。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る積層鉄心の平面図、図2は同積層鉄心のセグメント鉄心片の積層前の状態を示す部分平面図、図3は同積層鉄心の連結部材の薄肉部の形成方法の説明図、図4(A)〜(D)はそれぞれ変形例に係る連結部材の部分平面図である。
この各セグメント鉄心片13は、半径方向内側に複数のスロット16が設けられて磁極片部17が形成され、半径方向外側にはヨーク片部18が形成されている。
図2に示すように、連結部材12の半径方向の幅Wtは、例えば、0.3mm以上2mm以下(本実施の形態では0.5mm以上1mm以下)程度である。
連結部材12の半径方向外側には、連結部材12の折り曲げ時に半径方向外側に形成される半径方向膨出部19を、積層鉄心10の外側円内に収める凹部切欠き20が設けられている。このため、図2に示すように、連結部材12の折り曲げ前は、連結部材12の外周が半径方向内側に凹んでいる。
この内側切欠き21は、連結部材12の折り曲げ後は楕円形状となって、隣り合うセグメント鉄心片13の側端部14の半径方向外側領域間に隙間を形成するので、側端部14の半径方向外側領域同士を干渉させることなく、隣り合うセグメント鉄心片13の側端部14の半径方向内側領域を合わせることができる。
これにより、連結部材12の半径方向に、貫通孔15を中心として、半径方向内側領域(以下、単に内側領域ともいう)23と半径方向外側領域(以下、単に外側領域ともいう)24が形成される。この半径方向内側領域23の幅W1と、半径方向外側領域24の幅W2は、貫通孔15の内幅Whに応じて、それぞれ連結部材12の半径方向の幅Wtの10%以上40%以下(好ましくは、15%以上35%以下)程度である。
図3においては、外側領域24に対してもパンチ25が押し付けられており、その結果、内側領域23と外側領域24の潰れ代26、27が貫通孔15側へ移動し、貫通孔15に連接する薄肉部28が形成されている。この薄肉部28の厚みは、最も薄い部分で、連結部材12の元の厚みの70%以上95%以下、好ましくは80%以上95%以下(押圧量を、例えば30μm以上40μm以下程度)とする。
押圧に際しては、押圧面が傾斜したパンチを使用し、連結部材12の半径方向内側から外側へかけて、連結部材12の厚みを徐々に厚くする加工を施すとよい。
また、薄肉部は、連結部材の少なくとも貫通孔に連通する内側領域に形成すればよいため、貫通孔に連通する外側領域にも部分的に形成したり、また貫通孔の周囲を取り囲んで形成することもできる。
図4(A)に示す連結部材30は、貫通孔31で分離される連結部材30の半径方向内側領域(以下、単に内側領域ともいう)32の幅、即ち貫通孔31の内側周縁33から内側切欠き21(連結部材30の内側周縁34)までの幅W1を、連結部材30の周方向に渡って同一幅にしたものである。また、連結部材30の半径方向外側領域(以下、単に外側領域ともいう)35の幅、即ち貫通孔31の外側周縁36から凹部切欠き20(連結部材30の外側周縁37)までの幅W2についても、連結部材30の周方向に渡って同一幅にしている。
なお、連結部材30の内側領域32の幅W1と外側領域35の幅W2を、それぞれ同一幅としたが、そのいずれか一方のみを、連結部材30の周方向に渡って同一幅にしてもよい。
ここで、連結部材30の折り曲げ時に、内側領域32に圧縮応力が発生し易く、外側領域35に引張応力が発生し易いことを考慮すれば、内側領域32の幅(最小幅)W1を、外側領域35の幅(最小幅)W2より狭くすることが好ましい。
なお、薄肉部の形成領域は、内側領域32の周方向両側を除く部分、即ち点線で囲まれた領域(潰し範囲)としている。
なお、薄肉部の形成領域は、半径方向内側領域(以下、単に内側領域ともいう)43の周方向両側を除く部分、即ち点線で囲まれた領域としている。
図4(C)に示す連結部材45は、連結部材45の周方向中央部の強度を向上させるため、図4(A)に示す貫通孔31を、その周方向中央部で2つに分離した構成の貫通孔46が形成されたものである。
この場合、図4(A)の連結部材30と比較して、連結部材45の折り曲げ時に、連結部材45の周方向中央部へ加わる圧縮応力が大きくなり、厚み方向に膨出し易くなるため、半径方向内側領域(以下、単に内側領域ともいう)47の全体に渡って、即ち点線で囲まれた領域に薄肉部を形成することが好ましい。
このため、薄肉部の形成領域は、内側領域52の周方向両側を除く部分、即ち点線で囲まれた領域としている。
以上に示した図4(A)〜(D)では、内側領域のみに薄肉部を形成しているが、図3に示すように、連結部材の全体を押圧してもよい。
また、この連結部材12は、折り曲げ時に、連結部材12の外周部が円周方向に引っ張られ、その厚みが薄くなると共に半径方向外側に半径方向膨出部19が形成されるが、これは凹部切欠き20内に配置されるため問題ない。一方、連結部材12の内周部は円周方向に押し縮められ、その厚み方向に膨出しようとするが、その膨出量は、貫通孔15、更には薄肉部28の効果により抑制、更には防止される。
なお、隣り合うセグメント鉄心片13の側端部14の半径方向内側領域には、凹部55とこれに嵌合する凸部56によって構成される係合部57が設けられている。この凹部55と凸部56を含む隣り合うセグメント鉄心片13の側端部14は、隙間を開けて近接配置されているが、当接させてもよい。
これにより、隣り合うセグメント鉄心片13同士の相互の位置決めをより精度良く実施でき、その環状精度を向上できる。
ここで、平面視した積層鉄心の一周当たりの全スロット数をm個とし、セグメント鉄心片1個当たりのスロット数(磁極片部の数と同じ)をn個とした場合、スロット1個分だけ積層方向でずらすために必要な1周のセグメント鉄心片数をk個とすると、以下の関係が成り立つ。
(m+1)/n=k
ここで、m、n、kは、それぞれ正の整数であり、積層鉄心の製造条件に応じて種々変更できる。
また、積層方向で周方向にずれるスロット数を2個以上にする場合は、前記した式中の「1」を、ずれる個数、即ち2以上に変えることで、1周に必要なセグメント鉄心片数が求まる。
これにより、複数のセグメント鉄心片13を巻回して積層するに際しては、連結部材12の位置が積層方向でずれるため、各セグメント鉄心片13の結合強度を更に強固なものにできる。
まず、電磁鋼板(図示しない)を搬送しながら、1又は複数の金型(図示しない)を使用して、図2に示すように、複数のセグメント鉄心片13同士を、連結部材12で相互に結合された状態に形成する打抜き工程を行う。
このセグメント鉄心片13の打抜きに際しては、通常行うスロット16の打抜き形成の後に、凹部切欠き20の形成、内側切欠き21の形成、及び貫通孔15の形成をそれぞれ行う。なお、金型形状によって、凹部切欠き20の形成、内側切欠き21の形成、及び貫通孔15の形成を、同時に行うことも、順次個別に行うことも、また順序を入れ換えて行うことも可能であり、更にスロット16の打抜き形成と共に行うことも可能である。
次に、内側切欠き21の最奥部22を起点として連結部材12を折り曲げ、隣り合うセグメント鉄心片13の凹部55に凸部56を嵌合させると共に、セグメント鉄心片13の側端部14を合わせながら、連続した複数のセグメント鉄心片13を螺旋状に巻回して積層する環状形成工程を行い、積層鉄心10を製造する。
また、前記実施の形態においては、積層鉄心が固定子積層鉄心の場合について説明したが、回転子積層鉄心(ローターともいう)でも勿論よい。この場合、回転子積層鉄心は、複数のセグメント鉄心片で構成され、しかも隣り合うセグメント鉄心片は、外周部に形成された連結部材で相互に結合される。ここで、例えば、複数のセグメント鉄心片の搬送時に、連結部材が切れ易くなる場合は、隣り合うセグメント鉄心片を更に結合するため、その内周部にリブを設けてもよい。このリブは、積層鉄心の製造の際には、切り落とすとよい。
Claims (7)
- 外周部に形成された連結部材で相互に結合された隣り合うセグメント鉄心片の側端部を、前記連結部材を折り曲げて、合わせながら、連続した複数の前記セグメント鉄心片を螺旋状に巻回して積層した積層鉄心において、
前記連結部材の半径方向外側には、該連結部材の折り曲げ時に半径方向外側に形成される半径方向膨出部を該積層鉄心の外側円内に収める凹部切欠きが設けられ、前記連結部材の半径方向内側には、該連結部材の折り曲げ位置を形成する内側切欠きが設けられ、前記連結部材には、該連結部材の折り曲げ時に生じる厚み方向の膨出を抑制する貫通孔が設けられていることを特徴とする積層鉄心。 - 請求項1記載の積層鉄心において、前記連結部材には、前記貫通孔に連接する薄肉部が形成されていることを特徴とする積層鉄心。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載の積層鉄心において、前記貫通孔により形成される前記連結部材の半径方向内側領域の幅W1、及び半径方向外側領域の幅W2のいずれか1又は2を、周方向に渡って同一幅にすることを特徴とする積層鉄心。
- 請求項3記載の積層鉄心において、前記連結部材の半径方向内側領域の幅W1を、前記連結部材の半径方向外側領域の幅W2より狭くすることを特徴とする積層鉄心。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層鉄心において、隣り合う前記セグメント鉄心片の側端部を近接配置することを特徴とする積層鉄心。
- 複数のセグメント鉄心片同士を、その外周部の連結部材で相互に結合された状態に形成する打抜き工程と、前記連結部材を折り曲げて隣り合う前記セグメント鉄心片の側端部を合わせながら、連続した複数の前記セグメント鉄心片を螺旋状に巻回して積層する環状形成工程とを有する積層鉄心の製造方法において、
前記打抜き工程の際に、前記連結部材に該連結部材の折り曲げ時に生じる厚み方向の膨出を抑制する貫通孔を形成することを特徴とする積層鉄心の製造方法。 - 請求項6記載の積層鉄心の製造方法において、前記連結部材に、前記貫通孔の形成と同時、形成前、及び形成後のいずれか1で、前記貫通孔に連接する薄肉部を形成することを特徴とする積層鉄心の製造方法。
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