JP2007279278A - 画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】逆コントラスト電位差を適正に設定することにより、放電の発生を確実に防止しながら優れた画像品質で画像の形成を行う。
【解決手段】種々のサンプルについて、または装置個体について、現像ローラと感光体の非露光部電位との間における放電開始電圧と、感光体の稼動量との関係を調べておく(破線および点線)。そして、現像バイアスの平均電位と、静電潜像を担持する感光体の非露光部電位との電位差(逆コントラスト電位差)について、放電開始電圧を超えない範囲でできるだけ大きな値となるように、その候補値を予め定めて記憶しておく(実線)。この関係に基づき、画像を形成するときにはその時点の感光体の稼動量に応じて逆コントラスト電位差の目標値Vtgtを設定し、この目標値を維持するように、現像バイアスおよび帯電バイアスを制御する。
【選択図】図8
【解決手段】種々のサンプルについて、または装置個体について、現像ローラと感光体の非露光部電位との間における放電開始電圧と、感光体の稼動量との関係を調べておく(破線および点線)。そして、現像バイアスの平均電位と、静電潜像を担持する感光体の非露光部電位との電位差(逆コントラスト電位差)について、放電開始電圧を超えない範囲でできるだけ大きな値となるように、その候補値を予め定めて記憶しておく(実線)。この関係に基づき、画像を形成するときにはその時点の感光体の稼動量に応じて逆コントラスト電位差の目標値Vtgtを設定し、この目標値を維持するように、現像バイアスおよび帯電バイアスを制御する。
【選択図】図8
Description
この発明は、帯電バイアスを印加した帯電手段を当接させて所定の表面電位に帯電させた感光体の表面を露光して静電潜像を形成し、感光体に対向配置したトナー担持体に現像バイアスを印加することで、静電潜像をトナーにより顕像化して画像を形成する画像形成装置および画像形成方法に関するものである。
所定の表面電位に帯電させた感光体を露光して静電潜像を形成し、感光体に対向配置したトナー担持体に交流現像バイアスを印加して静電潜像をトナーにより顕像化して画像を形成する画像形成装置においては、現像バイアスの平均電位と感光体の表面電位との関係が画像品質に大きな影響を及ぼす。より具体的には、感光体表面のうち露光された露光部の電位と現像バイアスの平均電位との差(以下、「コントラスト電位差」という)が画像濃度に影響を与え、また感光体表面のうち露光されなかった非露光部の電位と現像バイアスの平均電位との差(以下、「逆コントラスト電位差」という)は、画像へのトナーのカブリ量に影響を与えるほか、装置内部に飛散するトナーの量にも関係する。
そこで、例えば特許文献1に記載の画像形成装置では、現像バイアスを多段階に変更設定しながらパッチ画像を形成し、その濃度検出結果に基づいて所望の画像濃度を得るためのコントラスト電位差を与える現像バイアスの最適値を求め、さらに逆コントラスト電位差が一定値となるように帯電バイアスを設定することによって、コントラスト電位差および逆コントラスト電位差の双方を好ましい状態に維持して安定した画像品質を得るようにしている。
上記した従来技術には次のような解決すべき課題があった。すなわち、この種の画像形成装置、特に感光体とトナー担持体とがギャップを隔てて対向配置された装置では、感光体とトナー担持体との間で放電が発生して画像品質を低下させてしまうことがある。したがって、安定した画像形成を行うためにはまずこのような放電の発生を確実に防止することが必要となる。放電防止の観点からは逆コントラスト電位差を小さくすることが好ましい。一方、画像品質上は、上記した逆コントラスト電位差をできるだけ大きく取ることが好ましい。上記従来技術では逆コントラスト電位差が常に一定値となるようにしているため、これらの相反する要求を高いレベルで両立させるには至っていなかった。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、逆コントラスト電位差を適正に設定することにより、放電の発生を確実に防止しながら優れた画像品質で画像の形成を行うことのできる技術を提供することを目的とする。
以下、本明細書においては、感光体とトナー担持体との対向位置における、感光体表面のうち露光されていない非露光部の電位と現像バイアスの平均電位との間の電位差を「逆コントラスト電位差」と定義する。
本願発明者は、種々の実験の結果、後に「発明を実施するための最良の形態」の項で詳述するように、感光体とトナー担持体との間における放電開始電圧は一定でなく、感光体の稼動量や周囲環境によって大きく変動するという知見を得た。
上記知見に鑑み、この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するため、感光体と、帯電バイアスとしての直流電圧を印加され、前記感光体に当接して前記感光体を所定の表面電位に帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、表面にトナーを担持するとともに前記感光体に対し所定のギャップを隔てて対向配置され、現像バイアスとしての交番電圧が印加されることにより、前記トナーを前記感光体表面に付与して前記静電潜像を顕像化するトナー担持体と、前記逆コントラスト電位差が所定の目標電位差となるように、前記帯電バイアスおよび前記現像バイアスを制御する制御手段と、前記帯電手段または前記感光体の稼動量とそれに対応する前記目標電位差との相関関係を記憶する記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記帯電手段または前記感光体の稼動量の増大に伴って、前記記憶手段に記憶された相関関係に基づいて前記目標電位差を変化させることを特徴としている。
また、この発明にかかる画像形成方法は、帯電バイアスとしての直流電圧を印加した帯電手段を当接させることで所定の表面電位に帯電させた感光体の表面を露光して静電潜像を形成し、表面にトナーを担持するトナー担持体を前記感光体に対し所定のギャップを隔てて対向配置して現像バイアスとしての交番電圧を印加することにより、前記トナーを前記感光体表面に付与して前記静電潜像を顕像化する画像形成方法であって、上記目的を達成するため、前記帯電手段または前記感光体の稼動量に応じて、前記逆コントラスト電位差の目標電位差を、予め定めた前記帯電手段または前記感光体の稼動量と前記目標電位差との相関関係に基づき設定する工程と、前記逆コントラスト電位差が前記目標電位差となるように前記帯電バイアスおよび前記現像バイアスを設定しながら、前記静電潜像を形成するとともに該静電潜像を前記トナーにより顕像化して画像を形成する工程とを備えることを特徴としている。
これらの発明では、帯電手段または感光体の稼動量が増大する、つまりこれらが新品の状態から次第に劣化してゆくのに伴って、逆コントラスト電位差もこれに合わせて変化させるようにしている。そのため、逆コントラスト電位差を帯電手段や感光体の特性の経時変化に応じて適正に設定することができるので、逆コントラスト電位差を一定にしている従来技術に比べて、放電の防止とカブリの抑制という2つの要求をより高いレベルで両立させることが可能となり、放電の発生を確実に防止しながら優れた画像品質で画像の形成を行うことができる。なお、逆コントラスト電位の目標値については帯電手段または感光体の稼動量に対応させた相関関係として予め求めておくので、この相関関係に基づいて逆コントラスト電位差を簡単にかつ確実に最適に設定することができる。
目標電位差の変化の具体的な態様としては、例えば、前記帯電手段の稼動量が所定の閾値に達するまでは、前記稼動量の増加に伴って前記目標電位差を増大させるようにしてもよい。後に詳述するが、本願発明者の知見によれば、帯電手段が比較的新しいうちは、同じ帯電バイアスを与えた場合でも感光体とトナー担持体との間における放電の起きやすさの経時変化が大きい。その一般的な傾向は、帯電手段の稼動量が増大するにつれ放電が起きにくくなる、というものである。したがって、帯電手段の稼動量が増大するにつれて逆コントラスト電位差を大きくすることができる。こうすることによって、放電を確実に防止しつつカブリの抑制効果をより高めることが可能となる。
また、例えば、前記感光体の稼動量が所定の閾値以上であるとき、前記稼動量の増加に伴って前記目標電位差を減少させるようにしてもよい。これも後に詳述するが、本願発明者の知見によれば、感光体の劣化が進むにつれてトナー担持体との間で放電が起きやすくなる傾向が見られる。したがって、感光体の稼動量が増大するにつれて逆コントラスト電位差を小さくすることによって、放電の発生を確実に防止することができる。逆に、感光体が比較的新しいときには逆コントラスト電位差を大きくすることによって、より高いカブリ抑制効果を得ることが可能となる。
この発明によれば、逆コントラスト電位差の値は、そのときの装置の稼動状況(帯電手段または感光体の稼動量)に応じた値に設定されることになる。そこで、前記制御手段は、前記現像バイアスを多段階に変更設定しながら各バイアス値でパッチ画像を形成し、その濃度検出結果に基づいて、所望の画像濃度を得るための前記現像バイアスの最適値を求めるとともに、その現像バイアスの最適値に対し、前記逆コントラスト電位差が前記目標電位差となるように前記帯電バイアスの最適値を定めるようにしてもよい。こうすることにより、現像バイアスおよび帯電バイアスのいずれについても最適化することができるので、画質の良好な画像を安定して形成することが可能となる。
また、装置の動作環境を検出する環境検出手段をさらに設け、前記制御手段は、前記環境検出手段による検出結果に基づいて前記目標電位差を補正し、前記逆コントラスト電位差が補正後の目標電位差となるように、前記帯電バイアスおよび前記現像バイアスを制御するようにしてもよい。感光体とトナー担持体との間の放電の起きやすさは、装置の周囲環境、特に温度や湿度によっても変化する。そこで、このような動作環境の変化に応じて逆コントラスト電位差を補正することにより、より確実に放電の発生を防止することが可能となる。
また、この発明は、前記帯電手段および前記感光体が、装置本体に対し一体的に着脱自在に構成されている装置において特に顕著な効果を奏する。このように構成された装置では、帯電手段と感光体とが一体的に交換されることとなるので、それぞれの稼動量もほぼ同じように変化してゆくことになる。このため、これらが個別に交換可能となっている場合に比べて放電の起きやすさの経時変化の傾向を把握しやすく、この傾向を予め求めておくことで、簡単にしかも確実に、放電の発生を防止することが可能となる。
さらに、この発明は、前記トナー担持体の表面が導電性材料により形成されている装置において上記した効果が特に顕著である。トナー担持体の表面が導電性を有する場合、感光体との間で起きる放電が特に問題となることが本願発明者の実験によってわかっている。すなわち、このような構成の装置においても、本発明を適用することによって、放電の発生を確実に防止しながら優れた画像品質で画像を形成することができる。
(1)本発明を適用可能な画像形成装置の構成例
図1はこの発明を適用した画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10に設けられたCPU101がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応する画像を形成する。
図1はこの発明を適用した画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10に設けられたCPU101がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応する画像を形成する。
このエンジン部EGでは、感光体22が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体22の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ローラ23、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ローラ23は所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に帯電させる。クリーニング部25は一次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ローラ23およびクリーニング部25は一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は一体として装置本体に対し着脱自在となっている。
そして、この帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、図1紙面に直交する回転軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、エンジンコントローラ10により制御されている。そして、このエンジンコントローラ10からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体22と所定のギャップを隔てて対向する所定位置に位置決めされると、当該現像器に設けられて選択された色のトナーを担持する現像ローラ44が感光体22に対し対向配置され、その対向位置において現像ローラ44から感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体22上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9によりトナー像を定着され、排出前ローラ82および排出ローラ83を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
また、ローラ75の近傍には、クリーナ76が配置されている。このクリーナ76は図示を省略する電磁クラッチによってローラ75に対して近接・離間移動可能となっている。そして、ローラ75側に移動した状態でクリーナ76のブレードがローラ75に掛け渡された中間転写ベルト71の表面に当接し、二次転写後に中間転写ベルト71の外周面に残留付着しているトナーを除去する。
このクリーナ76は、二次転写領域TR2においてシートSへの画像の転写が行われるときに、それと同じ周回において中間転写ベルト71上に残留付着するトナーを除去するように、離当接制御される。したがって、例えば装置がモノクロ画像を連続的に形成する場合には、一次転写領域TR1において中間転写ベルト71に転写された画像が直ちに二次転写領域TR2でシートSに転写されるので、クリーナ76は当接状態に保持される。一方、カラー画像を形成する場合には、各色のトナー像が互いに重ね合わされる間、クリーナ76を中間転写ベルト71から離間させておく必要がある。そして、各色のトナー像が互いに重ね合わされてフルカラー画像が完成し、シートSに二次転写されるのと同一の周回において、残留トナーを除去すべくクリーナ76が中間転写ベルト71に当接されることとなる。
また、ローラ75の近傍には濃度センサ60および垂直同期センサ77が配置されている。この濃度センサ60は、中間転写ベルト71の表面に対向して設けられており、必要に応じ、中間転写ベルト71の外周面に形成されるトナー像の画像濃度を測定する。そして、その測定結果に基づき、この装置では、画像品質に影響を与える装置各部の動作条件、例えば各現像カートリッジに与える現像バイアスや、光ビームLの強度などの調整を行っている。この濃度センサ60は、例えば反射型フォトセンサを用いて、中間転写ベルト71上の所定面積の領域の画像濃度に対応した信号を出力するように構成されている。そして、CPU101は、中間転写ベルト71を周回移動させながらこの濃度センサ60からの出力信号を定期的にサンプリングすることで、中間転写ベルト71上のトナー像各部の画像濃度を検出することができる。
また、垂直同期センサ77は、中間転写ベルト71の基準位置を検出するためのセンサであり、中間転写ベルト71の回転駆動に関連して出力される同期信号、つまり垂直同期信号Vsyncを得るためのセンサとして機能する。そして、この装置では、各部の動作タイミングを揃えるとともに各色で形成されるトナー像を正確に重ね合わせるために、装置各部の動作はこの垂直同期信号Vsyncに基づいて制御される。
また、装置筐体内部でエンジン部EGの近傍には、機内の温度および湿度を検出してCPU101に対し出力する温湿度センサ90が設けられている。
また、図2に示すように、各現像カートリッジ4Y,4C,4Mおよび4Kには該現像カートリッジの製造ロットや使用履歴、内蔵トナーの残量などに関するデータを記憶するメモリ91〜94がそれぞれ設けられている。さらに、各現像カートリッジ4Y,4C,4M、4Kには無線通信器49Y、49C、49M、49Kがそれぞれ設けられている。そして、必要に応じて、これらが選択的に本体側に設けられた無線通信器109と非接触にてデータ通信を行い、インターフェース105を介してCPU101と各メモリ91〜94との間でデータの送受を行って該現像カートリッジに関する消耗品管理等の各種情報の管理を行っている。なお、この実施形態では、無線通信等の電磁的手段を用いて非接触にてデータ送受を行っているが、本体側および各現像カートリッジ側にコネクタ等を設け、コネクタ等を機械的に嵌合させることで相互にデータ送受を行うようにしてもよい。
また、この装置では、図2に示すように、メインコントローラ11のCPU111により制御される表示部12を備えている。この表示部12は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、CPU111からの制御指令に応じて、ユーザへの操作案内や画像形成動作の進行状況、さらに装置の異常発生やいずれかのユニットの交換時期などを知らせるための所定のメッセージを表示する。
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリである。また、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
(2)現像バイアス・帯電バイアス設定処理
次に、この画像形成装置における現像バイアス・帯電バイアス設定処理について説明するが、それに先立って、本願発明者が得た知見およびそれに基づく現像バイアス・帯電バイアス設定処理の基本的な考え方について説明する。
次に、この画像形成装置における現像バイアス・帯電バイアス設定処理について説明するが、それに先立って、本願発明者が得た知見およびそれに基づく現像バイアス・帯電バイアス設定処理の基本的な考え方について説明する。
(2−1)基本原理
図3はこの発明にかかる画像形成装置の主要部を示す図である。また図4は装置各部の電位を示す図である。なお、この装置は負帯電トナーを使用しているので、各部に与える電位も基本的に負電位であるので、理解を容易にするために図4では縦軸を負電位で表している。
図3はこの発明にかかる画像形成装置の主要部を示す図である。また図4は装置各部の電位を示す図である。なお、この装置は負帯電トナーを使用しているので、各部に与える電位も基本的に負電位であるので、理解を容易にするために図4では縦軸を負電位で表している。
図3に示すように、感光体22は、鉄、アルミニウムなどの金属からなる素管221、その表面の下地塗膜層222、有機感光性材料からなる電荷発生層223および最表面の電荷輸送層224を備えている。素管221は、電流検出部225を介して電気的に接地されている。
また、帯電ローラ23は、金属ウィスカまたはカーボンブラックなどの導電性粒子を分散させたゴムやウレタンなどの樹脂により形成されたローラであり、上記のように構成された感光体22の表面に当接されている。また、帯電ローラ23には、エンジンコントローラ10に設けられた帯電バイアス発生部231から所定の直流帯電バイアスVaが印加されている。このような直流接触帯電方式によって帯電される感光体22の表面電位Vsは、帯電バイアスVaと同じ電位にまで上昇するわけではなく、一般的には帯電バイアスよりも低い電位となる。例えば、帯電バイアスVaを(−1200)Vにしたとき、感光体表面電位は約(−600)Vとなる、といった風である。また、こうして帯電された感光体22の表面が現像ローラ44との対向位置に移動してくるまでの暗減衰によって、感光体22の表面電位はさらに低下することとなる。したがって、現像ローラ44との対向位置における感光体22の非露光部電位Voは、帯電バイアスVaよりもかなり低下した値となる。また、感光体22の表面のうち露光ユニット6からの光ビームLにより露光された露光部の電位VLは、感光体22の特性によって決まる残留電位程度まで低下した値となっている。
一方、感光体22と所定のギャップGPを隔てて対向配置された現像ローラ44は、鉄またはアルミニウムなどによる金属製ローラであり、エンジンコントローラ10に設けられた帯電バイアス発生部441からの現像バイアス電圧Vbが印加されている。現像バイアスVbは、図4に示すように、非対称のデューティを有する矩形波交流電圧であり、そのピーク間電圧がVpp、平均電位(直流成分)がVavgである。
このような構成においては、感光体22の露光部電位VLと現像バイアス平均電位Vavgとの電位差Vconが「コントラスト電位差」であり、この値が画像濃度に大きく影響を及ぼす。言い換えれば、コントラスト電位差Vconを調整することによって画像濃度を制御することができる。また、感光体22の非露光部電位Voと現像バイアス平均電位Vavgとの電位差Vrが「逆コントラスト電位差」であり、この値は画像濃度に顕著な影響を及ぼすものではないが、その大小によってカブリトナー量が変化するので結果的に画像品質に影響を与えることとなる。
また、現像バイアスVbの負側最大電位Vmaxと感光体22の露光部電位VLとの電位差V1、または現像バイアスVbの正側最大電位Vminと感光体22の非露光部電位Voとの電位差V2のいずれかがギャップGPにおける放電開始電圧を超えると、感光体22と現像ローラ44との間で放電が発生することとなる。本願発明者の種々の実験によれば、特に感光体22の非露光部と現像ローラ44との間で放電が生じやすいことが明らかになった。つまり、上記電位差V2がギャップGPにおける放電開始電圧を下回っているにもかかわらず、感光体22の非露光部と現像ローラ44との間で放電が生じる場合があることがわかった。また、このような傾向は、特に現像ローラ44が金属などの導電性材料により形成されている場合に顕著であることもわかった。
図5は感光体の非露光部と現像ローラとの間で起こる放電のメカニズムを示す図である。上記したように、直流接触帯電方式によれば、感光体22の表面電位Vsは帯電バイアスVaから大きく低下した値となっているが、その値は一様ではなく位置によって若干のばらつきを有しているのが普通である。つまり、感光体22の非露光部の電位が平均的には上記電位Voとなるように、帯電バイアスVaを設定しているのであるが、実際の感光体22の表面電位Vsは、図5に示すように、位置によって平均値Voより低くなっていたり、高くなっていたりする。したがって、感光体22の非露光部と現像ローラ44との間で放電が起きるか否かは、単純に現像バイアスVbの正側最大電位Vminと感光体22の非露光部電位(平均電位)Voとの電位差V2によって決まるのではなく、ミクロ的には、現像バイアスVbの正側最大電位Vminと、感光体22の非露光部電位のうち負電位側の最大電位との電位差V3によって決まっているとみられる。現像バイアスVbの正側最大電位Vminと感光体22の非露光部電位Voとの電位差V2がギャップGPにおける放電開始電圧を超えていないにもかかわらず、感光体22の非露光部と現像ローラ44との間で放電が生じるのは、このことが主たる原因の1つであると考えられる。
このような感光体22の非露光部電位のばらつきは、帯電ローラ23および感光体22の経時的な特性変化に起因すると考えられる。本願発明者の実験によれば、比較的新しい帯電ローラ23によって帯電させたとき、感光体22の表面電位Vsの面内ばらつきが大きい。また、感光体22の劣化が進んだ場合にも、非露光部電位の面内ばらつきは大きくなる傾向があった。
これに対して、感光体22の露光部電位VLは、例えば露光パワーを大きく変化させたとしても感光体22の特性によって決まる残留電位以下にまで低下することはないので比較的ばらつきが小さい。特に、現像バイアスVbの負側最大電圧Vmaxとの電位差が広くなる方向に変動する要因はほとんどない。したがって、感光体22の露光部と現像ローラ44との間での放電については比較的容易に予測可能である。
なお、現像バイアスVbの振幅を変化させることによっても放電の起きやすさは変化するが、現像バイアスの振幅を変化させるとギャップGPにおけるトナーの飛翔量が変化するため、同時に画像濃度も変わってしまう可能性が高く濃度制御が複雑になってしまう。そこで、この装置では現像バイアスの振幅を一定とし、現像バイアスの平均電位(直流成分)Vavgおよび帯電バイアスVaを必要に応じて制御するようにしている。
図6は感光体カートリッジの稼動量と放電開始逆コントラスト電位差との関係を示す図である。ここで、「放電開始逆コントラスト電位差」とは、帯電バイアスVaおよび現像バイアスの平均電位Vavgの少なくとも一方を変化させることによって逆コントラスト電位差を次第に増加させたときに、感光体22の非露光部と現像ローラ44との間で放電が生じる最小の電位差のことである。図6に示すように、稼動量(ここでは感光体22の通算回転数により表す)が少ない、つまり感光体カートリッジ2が比較的新しい段階では、変化の態様は様々に異なるものの、放電開始逆コントラスト電位差が概ね増加する傾向を示す。そして、感光体カートリッジ2の稼動量がある値のとき放電開始逆コントラスト電位差が最大となり、その後は次第に低下する傾向を示す。なお、ここでは感光体22の稼動量に対する放電開始逆コントラスト電位差の変化を示したが、この装置では感光体22と帯電ローラ23とが感光体カートリッジ2に組み込まれ、これらが一体的に装置本体に対し着脱可能となっち得るので、横軸を帯電ローラ23の稼動量で表しても実質的に同じである。
本願発明者の実験によれば、サンプル1では最初に放電開始逆コントラスト電位差がいったん小さくなってから増加するが、サンプル2ではいったん小さくなる傾向が見られないというように、初期の変動の態様はサンプルごとに異なるが、感光体稼動量のある閾値Cthに向かって増加傾向を示す点はどのサンプルにも共通して観測された。また、放電開始逆コントラスト電位差が増加から減少に転じる閾値Cthの値、およびそれ以降の放電開始逆コントラスト電位差低下の傾向は、サンプルごとのばらつきは小さかった。
また、放電開始逆コントラスト電位差は装置の動作環境によっても変化する。すなわち、高温・高湿(HH)環境下では通常の(NN)環境に比べて放電が起きやすく、放電開始逆コントラスト電位差は小さくなる。逆に、低温・低湿(LL)環境下では放電が起きにくいので、放電開始逆コントラスト電位差は大きくなる。
従来の画像形成装置において逆コントラスト電位差を一定にしている場合、感光体カートリッジの初期から終期まで放電の発生を確実に防止するためには、逆コントラスト電位差が放電開始逆コントラスト電位差を超えることがないようにする必要があり、そのためには、逆コントラスト電位差を、環境による変動に対応するためのマージンをも見込んで図6の一点鎖線で示した値のように設定する必要があった。このようにすると、十分に大きな逆コントラスト電位差を確保することができず、画像品質の点で改良の余地が残されていた。
そこで、この画像形成装置では、図6に示される感光体の稼動量と放電開始逆コントラスト電位差との関係に基づいて、感光体の稼動量と逆コントラスト電位差の目標値との相関関係を予め求めておき、この関係をROM106に記憶しておく。そして、画像形成動作を実行する際には、そのときの感光体22の稼動量と、記憶された相関関係とに基づいて、その時点における逆コントラスト電位差の目標値を設定する。そして、帯電バイアスVaおよび現像バイアスVbを、逆コントラスト電位差がこの目標値に維持されるように制御しながら画像を形成するようにしている。
(2−2)処理フロー
図7はこの画像形成装置における現像バイアス・帯電バイアス設定の流れを示すフローチャートである。この画像形成装置では、CPU101が図7に示す処理を実行することによって、装置の動作条件、より具体的には帯電バイアス、現像バイアスおよび露光パワーが最適な条件に制御され所望の画像品質で画像を形成することが可能となっている。
図7はこの画像形成装置における現像バイアス・帯電バイアス設定の流れを示すフローチャートである。この画像形成装置では、CPU101が図7に示す処理を実行することによって、装置の動作条件、より具体的には帯電バイアス、現像バイアスおよび露光パワーが最適な条件に制御され所望の画像品質で画像を形成することが可能となっている。
まず、逆コントラスト電位差の目標値Vtgtを定める(ステップS1)。この装置では、逆コントラスト電位差を目標値に維持することにより放電を防止しながら画像品質を安定に保つようにしているが、目標値の決め方については後に説明する。次に、現像バイアスの最適化を行う(ステップS2)。この処理内容は特許文献1(特開2003−215863号公報)に記載された技術と基本的に同一である。すなわち、現像バイアスを多段階に変更設定しながら高濃度パッチ画像を形成してその濃度を濃度センサ60により検出し、所望の画像濃度を得るための現像バイアスの最適値Vboptを算出して現像バイアスをその最適値に設定する。
パッチ画像形成に際しては、逆コントラスト電位差Vrが上記で求めた目標値Vtgtに維持されるように、現像バイアスVbを変更設定するのに連動させて帯電バイアスVaも変化させることが望ましい。こうすることで、パッチ画像が実際の画像形成動作時に近い条件で形成されることになり、画像濃度をより高精度に制御して高い画像品質を得ることが可能となるからである。
続いて、こうして求めた逆コントラスト電位差の目標値Vtgtと現像バイアスの最適値Vboptとに基づき、帯電バイアスVaを設定する(ステップS3)。すなわち、求められた現像バイアスの最適値と感光体22の非露光部電位Voとの差(逆コントラスト電位差)がその目標値となるような帯電バイアスの値を求め、その値に帯電バイアスを設定する。
そして、こうして設定された帯電バイアスおよび現像バイアスの下で露光パワーの最適化を行う(ステップS4)。ここでは、特許文献1に記載の技術と同様に、露光パワーを多段階に変更設定しながら低濃度パッチ画像を形成してその濃度を検出し、所望の画像濃度を得るための露光パワーの最適値Eoptを算出して露光パワーをその最適値に設定する。これにより、帯電バイアス、現像バイアスおよび露光パワーがいずれもそのときの装置の稼動状況や環境に応じた最適な値に設定され、以後の画像形成動作では良好な画像品質で安定して画像を形成することができる。
(2−3)逆コントラスト電位差の目標値の設定
図8は感光体の稼動量と逆コントラスト電位差の目標値との相関関係を示す図である。図8に示すように、種々のサンプルについて求められた放電開始逆コントラスト電位差(破線および点線で示す)を超えない範囲で、かつできるだけ大きな値となるように、逆コントラスト電位差の目標値Vtgtの候補値が感光体の稼動量に応じて定められており、これらの候補値が感光体の稼動量と対応付けてROM106に記憶されている。そして、画像を形成する際には、こうして記憶された候補値の中からその時点における感光体の稼動量に対応した値が選択されて逆コントラスト電位差の目標値Vtgtとされる。例えば、感光体22の稼動量を表す数値(例えば感光体の通算回転数)がある値Caであるときには、図8の関係から、値Vtgt-aがこのときの逆コントラスト電位差の目標値Vtgtとなる。
図8は感光体の稼動量と逆コントラスト電位差の目標値との相関関係を示す図である。図8に示すように、種々のサンプルについて求められた放電開始逆コントラスト電位差(破線および点線で示す)を超えない範囲で、かつできるだけ大きな値となるように、逆コントラスト電位差の目標値Vtgtの候補値が感光体の稼動量に応じて定められており、これらの候補値が感光体の稼動量と対応付けてROM106に記憶されている。そして、画像を形成する際には、こうして記憶された候補値の中からその時点における感光体の稼動量に対応した値が選択されて逆コントラスト電位差の目標値Vtgtとされる。例えば、感光体22の稼動量を表す数値(例えば感光体の通算回転数)がある値Caであるときには、図8の関係から、値Vtgt-aがこのときの逆コントラスト電位差の目標値Vtgtとなる。
この例では、感光体の稼動量と逆コントラスト電位差の目標値との相関関係を、感光体の稼動量に応じて区分した傾きゼロの直線の組み合わせによって不連続な折れ線として表現しているが、これに限定されるわけではない。例えば、連続な折れ線によって上記相関関係を表してもよく、また数式やテーブルの形式で表してもよい。また、感光体の稼動量に応じた区分についてもこの例に限定されず任意としてよい。例えば、当該装置における感光体稼動量と放電開始逆コントラスト電位差との関係が既知である場合には、その関係に基づき、より細かい区分によって相関関係を表すようにしてもよい。
例えば図8にサンプル1として示した装置では、感光体が新品のとき、放電開始逆コントラスト電位差はいったん低下した後に増加に転じている。そこで、このような特性に応じて、逆コントラスト電位差の目標値についても、いったん低下してから上昇に転じ、さらに稼動量がある閾値を越えてからは緩やかに減少するような相関関係を用いるようにしてもよい。このように、使用する装置の特性に応じて相関関係を定めるようにすれば、当該個体の性能を最大限に発揮させて高い画像品質を得ることができる。
ただし、放電が発生したり極端にカブリトナー量が増大しなければ逆コントラスト電位差の値が画像品質に与える影響はさほど大きくないから、図8に示すように、感光体の稼動量を大まかにいくつかに区分し、各区分ごとに一定の候補値を設定する程度でも実用上は問題ない。むしろ、こうすることによって、逆コントラスト電位差はある程度の期間一定に維持されることとなるので、連続的に形成された複数の画像の間での画像品質のばらつきが小さくなる。また、目標値を再設定する頻度が低くなるので、制御が簡単になるというメリットもある。
なお、実際の装置では、装置の周囲環境によっても放電の起こりやすさが変化するので、逆コントラスト電位差の目標値を定めるに際してはこの点についても考慮する必要がある。例えば、以下のようにすることができる。
図9は逆コントラスト電位差目標値の設定処理を示すフローチャートである。外部装置から画像信号が与えられたとき、エンジンコントローラ10のCPU101は、まずその時点における感光体22の稼動量(通算回転量)を読み込む(ステップS101)。この稼動量は、エンジンコントローラ10のRAM107に記憶されており、感光体22の稼動に伴ってその値は随時更新記憶されている。続いて、感光体の稼動量に対応する逆コントラスト電位差の候補値をROM106から読み出す(ステップS102)。
次に、機内に設けられている温湿度センサ90の出力を読み込み(ステップS103)、その出力に基づいて装置の周囲環境を判断して、その結果に基づき逆コントラスト電位差のオフセット値を設定する(ステップS104)。このオフセット値は、装置の周囲環境によっても放電の起こりやすさが変化するのに対応して必要なマージンを設けるために用いる値である。すなわち、この装置では、放電の起きやすい環境のときほど、逆コントラスト電位差の目標値と、放電開始逆コントラスト電位差との差が大きくなるようにしている。
図10は装置の周囲環境と逆コントラスト電位差のオフセット値との関係を示す図である。図10に示すように、この装置では、高温・高湿(HH)環境のときのオフセット値を(−10)V、通常(NN)環境のときのオフセット値を(+10)Vとなるようにしている。
図9に戻って、逆コントラスト電位差目標値の設定処理の説明を続ける。こうしてオフセット値が定まると、先に求めた逆コントラスト電位差の候補値にこのオフセット値を加算し、その結果を逆コントラスト電位差の目標値として設定する(ステップS105)。つまり、通常の(NN)環境では、その時点の感光体の稼動量に対応する逆コントラスト電位差の候補値がそのまま目標値となる。一方、より放電の起きやすい高温・高湿(HH)環境では、候補値から10Vを差し引いた値が逆コントラスト電位差の目標値となる。一方、放電の起きにくい低温・低湿(LL)環境では、候補値に10Vを加えた値が逆コントラスト電位差の目標値となる。このように、この装置では、放電の起きやすい環境に対してはより逆コントラスト電位の目標値を小さくすることによって放電に対するマージンを確保し、放電の発生を確実に防止するようにしている。
こうして逆コントラスト電位差の目標値が決まると、以後の動作においては、現像バイアスの直流成分Vavgと感光体22の非露光部電位Voとの電位差(逆コントラスト電位差Vr)が常にこうして設定された目標値Vtgtに維持されるように、現像バイアスVbおよび帯電バイアスVaが制御されることとなる。なお、ギャップGPにおける放電の起きやすさや、所望の画像濃度を得るための現像バイアスの最適値等については、各現像器ごとに異なることとなるので、上記処理は各現像器それぞれについて行う必要がある。
また、感光体22の非露光部電位Voについては直接設定しているわけではなく、帯電バイアスVaを制御することによって間接的に制御することとなる。つまり、帯電ローラ23から感光体22へ電荷を移動させる際のロスと暗減衰による電位低下とを見込んで非露光部電位Voが所望の値となるように帯電バイアスVaを設定する必要があるが、本装置のような直流接触帯電方式の装置においては次のことも考慮する必要がある。このような帯電方式の装置では、感光体22の膜厚の減少に伴って、帯電の効率が上昇することがある。つまり、使用につれて感光体22が磨耗しその膜厚が小さくなると、同じ帯電バイアスを与えても感光体の表面電位が次第に高くなる。したがって、帯電バイアスを決定するに当たっては、感光体の膜減りによる帯電電位の上昇についても加味する必要がある。これを考慮しないと、感光体の表面電位が想定以上に高くなり、結果的に逆コントラスト電位差が目標値よりも大きくなって放電を生じる危険性が高くなってしまう場合がある。
(3)まとめ
以上のように、この実施形態では、予め求めた感光体の稼動量と放電開始逆コントラスト電位差との関係に基づき、感光体の稼動量と逆コントラスト電位差の目標値との相関関係を定めてROM106に記憶している。そして、画像を形成する際には、逆コントラスト電位差がその時点の感光体の稼動量に応じた目標値となるように、帯電バイアスVaおよび現像バイアスVbを制御しながら画像形成を行う。こうすることによって、この実施形態では、装置の稼動状況の変化によらず、放電の発生を確実に防止しながら、画像品質の優れた画像を形成することができる。また、逆コントラスト電位差を、放電が発生しない範囲でできるだけ高い値に設定することにより、高いカブリ抑制効果を得ることができる。
以上のように、この実施形態では、予め求めた感光体の稼動量と放電開始逆コントラスト電位差との関係に基づき、感光体の稼動量と逆コントラスト電位差の目標値との相関関係を定めてROM106に記憶している。そして、画像を形成する際には、逆コントラスト電位差がその時点の感光体の稼動量に応じた目標値となるように、帯電バイアスVaおよび現像バイアスVbを制御しながら画像形成を行う。こうすることによって、この実施形態では、装置の稼動状況の変化によらず、放電の発生を確実に防止しながら、画像品質の優れた画像を形成することができる。また、逆コントラスト電位差を、放電が発生しない範囲でできるだけ高い値に設定することにより、高いカブリ抑制効果を得ることができる。
このように、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態によれば、感光体22と現像ローラ44とのギャップGPにおける放電の発生を確実に防止しながら、所望の画像濃度を得るとともにカブリを抑制して、画像品質の優れた画像を安定して形成することが可能となる。
また、予め記憶された相関関係に基づいて逆コントラスト電位差の目標値を設定しているので、逆コントラスト電位差の値を、各時点において適切な値に、しかも簡単に設定することができる。
以上説明したように、この実施形態においては、帯電ローラ23および現像ローラ44が本発明の「帯電手段」および「トナー担持体」としてそれぞれ機能している。また、露光ユニット6、エンジンコントローラ10およびROM106が本発明の「露光手段」、「制御手段」および「記憶手段」としてそれぞれ機能している。また、この実施形態では、温湿度センサ90が本発明の「環境検出手段」に相当している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、例えば、上記実施形態では、逆コントラスト電位差の目標値を決定するのに続いて現像バイアス、帯電バイアスおよび露光パワーを最適化する現像バイアス・帯電バイアス設定処理を実行するようにしているが、本発明の趣旨は、逆コントラスト電位差の目標値をそのときの状況に応じて定め、逆コントラスト電位差がその目標値を維持するように現像バイアスおよび帯電バイアスを制御しながら画像を形成することにあるので、逆コントラスト電位差がその目標値を維持されていればよく、目標値の設定と、現像バイアス、帯電バイアスおよび露光パワーの最適化とを相次いで行う必要は必ずしもない。したがって、例えば、逆コントラスト電位差の目標値を求めた後、画像濃度を維持するために現像バイアスの設定値は変更せず、帯電バイアスの設定値のみを、求められた目標値に対応する値に変更するようにしてもよい。ただし、良好な画像品質を得るという観点からは、上記のように、引き続いて動作条件の再設定を行うことがより好ましい。
また、上記実施形態では、感光体22と帯電ローラ23とを感光体カートリッジ2に装着して、これらが一体として装置本体に対し着脱自在となるようにしている。このため、帯電ローラ23の稼動量と感光体22の稼動量とは概ね一致することとなるので、この実施形態では装置の稼動量を代表的に感光体22の稼動量により表すことで事足りている。
しかしながら、感光体と帯電ローラとがそれぞれ個別に装置本体に対し着脱可能となっている場合にはこのような手法は成立せず、例えば次のようにする必要がある。前記したように、帯電ローラが新しいときには感光体の非露光部電位のばらつきが大きくなるため、放電開始逆コントラスト電位差は小さくなる。このばらつきは、帯電ローラの使用が進むにつれて小さくなるので、放電開始逆コントラスト電位差の低下も少なくなる。一方、感光体については、使用が進むにつれて放電開始逆コントラスト電位差は徐々に減少する。
このことから、感光体については、その使用が進むにつれて(稼動量が増加するにつれて)逆コントラスト電位差が次第に小さくなるような相関関係を設定することができる。一方、帯電ローラについては、初期段階で逆コントラスト電位差の落ち込みが大きくその後その落ち込み量が減少してゼロに近づくような相関関係を設定することができる。そして、実際の逆コントラスト電位差の目標値は、これらの相関関係を組み合わせたものと考えることができる。
なお、このような考え方は上記実施形態における考え方と相容れないものではない。むしろ、これらは基本的に同じ原理に基づくものである。というのは、ここに説明したように、放電開始逆コントラスト電位差について帯電ローラによる寄与分と感光体による寄与分とを分離して考えるのがより一般的な考え方であり、上記実施形態のような、感光体と帯電ローラとが一体として交換されるのはその特別な例にすぎないからである。
ただし、逆コントラスト電位差を効率よく設定するという点からは、上記実施形態のように感光体と帯電ローラとが一体的に交換される構成を採ることがより好ましい。こうすることで、感光体および帯電ローラの稼動量を個別に管理する必要がなくなり、また稼動量が大きく異なる感光体と帯電ローラとの組み合わせを考慮する必要がないため放電開始逆コントラスト電位差の経時的な変化の予測がより簡単となるからである。
また、上記実施形態では、本発明の「環境検出手段」として温湿度センサ90を設け、放電の起きやすさに関わる機内の温度および湿度を検出するようにしているが、これに代えて、あるいはこれに加えて、他の環境要素を検出するようにしてもよい。例えば、ギャップGPにおける気圧が放電の起きやすさに影響するので、気圧を検出するための構成をさらに設けてもよい。
また、上記実施形態では、現像バイアスVbとして、デューティが非対称でピーク間電圧Vppが一定の矩形波電圧を使用しているが、現像バイアスの波形はこれに限定されるものではない。また、波形デューティや振幅を可変としてもよい。
さらに、本発明は、上記実施形態のようにロータリー現像ユニットを備える装置のみならず、いわゆるタンデム方式の画像形成装置や、現像器を1個のみ備えるモノクロ画像形成装置に対しても適用することが可能である。
2…感光体カートリッジ、 6…露光ユニット(露光手段)、 10…エンジンコントローラ(制御手段)、 22…感光体、 23…帯電ローラ(帯電手段)、 44…現像ローラ(トナー担持体)、 60…濃度センサ、 90…温湿度センサ(環境検出手段)、 Vavg…現像バイアスの平均電位、 Vo…非露光部電位、 Vr…逆コントラスト電位差
Claims (9)
- 感光体と、
帯電バイアスとしての直流電圧を印加され、前記感光体に当接して前記感光体を所定の表面電位に帯電させる帯電手段と、
帯電された前記感光体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
表面にトナーを担持するとともに前記感光体に対し所定のギャップを隔てて対向配置され、現像バイアスとしての交番電圧が印加されることにより、前記トナーを前記感光体表面に付与して前記静電潜像を顕像化するトナー担持体と、
前記感光体と前記トナー担持体との対向位置における、前記感光体表面のうち露光されていない非露光部の電位と前記現像バイアスの平均電位との間の電位差を逆コントラスト電位差と定義したとき、該逆コントラスト電位差が所定の目標電位差となるように、前記帯電バイアスおよび前記現像バイアスを制御する制御手段と、
前記帯電手段の稼動量とそれに対応する前記目標電位差との相関関係を記憶する記憶手段と
を備え、
前記制御手段は、前記帯電手段の稼動量の増大に伴って、前記記憶手段に記憶された相関関係に基づいて前記目標電位差を変化させる
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御手段は、前記稼動量が所定の閾値に達するまでは、前記稼動量の増加に伴って前記目標電位差を増大させる請求項1に記載の画像形成装置。
- 感光体と、
帯電バイアスとしての直流電圧を印加され、前記感光体に当接して前記感光体を所定の表面電位に帯電させる帯電手段と、
帯電された前記感光体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
表面にトナーを担持するとともに前記感光体に対し所定のギャップを隔てて対向配置され、現像バイアスとしての交番電圧が印加されることにより、前記トナーを前記感光体表面に付与して前記静電潜像を顕像化するトナー担持体と、
前記感光体と前記トナー担持体との対向位置における、前記感光体表面のうち露光されていない非露光部の電位と前記現像バイアスの平均電位との間の電位差を逆コントラスト電位差と定義したとき、該逆コントラスト電位差が所定の目標電位差となるように、前記帯電バイアスおよび前記現像バイアスを制御する制御手段と、
前記感光体の稼動量とそれに対応する前記目標電位差との相関関係を記憶する記憶手段と
を備え、
前記制御手段は、前記感光体の稼動量の増大に伴って、前記記憶手段に記憶された相関関係に基づいて前記目標電位差を変化させる
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御手段は、前記稼動量が所定の閾値以上であるとき、前記稼動量の増加に伴って前記目標電位差を減少させる請求項3に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段は、前記現像バイアスを多段階に変更設定しながら各バイアス値でパッチ画像を形成し、その濃度検出結果に基づいて前記現像バイアスを最適化するとともに、最適化された現像バイアスの値に対し、前記逆コントラスト電位差が前記目標電位差となるように前記帯電バイアスを定めることで前記帯電バイアスを最適化する請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 装置の動作環境を検出する環境検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記環境検出手段による検出結果に基づいて前記目標電位差を補正し、前記逆コントラスト電位差が補正後の目標電位差となるように、前記帯電バイアスおよび前記現像バイアスを制御する請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記帯電手段および前記感光体が、装置本体に対し一体的に着脱自在に構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記トナー担持体の表面が導電性材料により形成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
- 帯電バイアスとしての直流電圧を印加した帯電手段を当接させることで所定の表面電位に帯電させた感光体の表面を露光して静電潜像を形成し、表面にトナーを担持するトナー担持体を前記感光体に対し所定のギャップを隔てて対向配置して現像バイアスとしての交番電圧を印加することにより、前記トナーを前記感光体表面に付与して前記静電潜像を顕像化する画像形成方法において、
前記感光体と前記トナー担持体との対向位置における、前記感光体表面のうち露光されていない非露光部の電位と前記現像バイアスの平均電位との間の電位差を逆コントラスト電位差と定義したとき、
前記帯電手段または前記感光体の稼動量に応じて、前記逆コントラスト電位差の目標電位差を、予め定めた前記帯電手段または前記感光体の稼動量と前記目標電位差との相関関係に基づき設定する工程と、
前記逆コントラスト電位差が前記目標電位差となるように前記帯電バイアスおよび前記現像バイアスを設定しながら、前記静電潜像を形成するとともに該静電潜像を前記トナーにより顕像化して画像を形成する工程と
を備えることを特徴とする画像形成方法。
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