JP2007279248A - 撥液膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性に優れた撥液膜を基板上に形成することができる撥液膜の形成方法を提供する。
【解決手段】基板上に蒸着法により撥液性を有する材料からなる蒸着膜205を形成する蒸着工程と、蒸着膜に紫外線を所定時間だけ照射して蒸着膜を硬化させる照射工程と、蒸着膜上に粘着テープ50を貼り付けた後この粘着テープと共に蒸着膜の一部を剥離して基板上に所定厚さの撥液膜25を形成する剥離工程とを有するようにする。
【選択図】図6

Description

本発明は、例えば、液体噴射ヘッドを構成するノズルプレート等の基板の表面に撥液膜を形成する撥液膜の形成方法に関する。
例えば、液体噴射ヘッド、例えば、インクジェット式記録ヘッドに用いられるノズルプレートの表面には、撥液性(インク滴に対する撥インク性)を有する撥液膜が、例えば、蒸着法によって形成されている。
ここで、インクジェット式記録ヘッドにおいては、ノズルからインク滴を吐出すると、その際に発生するミスト等によりインクがノズルプレートの表面に付着し、付着したインクによってその後に吐出するインク滴の飛行曲がりが生じて印刷品質が低下してしまうという問題がある。このため、ノズルプレートの表面を、例えば、ゴム製のワイパ等で定期的に拭き取る、いわゆるワイピング動作を実施し、これによりノズルプレート表面に付着したインクを除去していた。このようなワイピング動作を実施することでノズルプレート表面のインクを除去することはできるものの、ワイパによってノズルプレート表面の撥液膜が凝集して異物となり、この異物によってインク滴の飛行曲がりが生じてしまうという問題があった。
このような問題を解消するために、ノズルプレート表面に、蒸着法により形成した撥液膜に紫外線を照射してこの撥液膜を硬化させて耐摩耗性を向上し、ノズル周辺への撥液膜の凝集を防止するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
このように撥液膜を硬化させることで、撥液膜の凝集をある程度防止して印刷品質を向上することはできるが、撥液膜の耐摩耗性のさらなる向上が望まれている。
特開平09−239991号公報
発明はこのような事情に鑑み、耐摩耗性に優れた撥液膜を基板上に形成することができる撥液膜の形成方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、基板上に蒸着法により撥液性を有する材料からなる蒸着膜を形成する蒸着工程と、前記蒸着膜に紫外線を所定時間だけ照射して当該蒸着膜を硬化させる照射工程と、前記蒸着膜上に粘着テープを貼り付けた後この粘着テープと共に前記蒸着膜の一部を剥離して前記基板上に所定厚さの撥液膜を形成する剥離工程とを有することを特徴とする撥液膜の形成方法にある。
かかる第1の態様では、剥離工程において、蒸着膜(撥液膜)が所望の膜厚よりも厚く残る「膜残り」が発生することがなく、緻密な膜からなる撥液膜を所望の厚さで良好に形成することができる。
本発明の第2の態様は、前記照射工程では、前記蒸着膜に照射される紫外線の積算光量が所定範囲となる時間だけ、当該蒸着膜に紫外線を照射することを特徴とする第1の態様の撥液膜の形成方法にある。
かかる第2の態様では、蒸着膜の膜残りをより確実に防止することができる。
本発明の第3の態様は、前記照射工程では、紫外線照射による前記蒸着膜の減少量が所定範囲となる時間だけ、当該蒸着膜に紫外線を照射することを特徴とする第1又は2の態様の撥液膜の形成方法にある。
かかる第3の態様では、蒸着膜の膜残りをより確実に防止することができる。
本発明の第4の態様は、前記蒸着工程では前記蒸着膜を70nm以上の厚さで形成し、前記剥離工程では厚さが5nm以下の撥液膜を形成することを特徴とする第1〜3の何れかの態様の撥液膜の形成方法にある。
かかる第4の態様では、緻密な膜からなる撥液膜をより確実に形成することができる。
本発明の第5の態様は、前記蒸着膜に照射する紫外線の波長が300nm以下であることを特徴とする第1〜4の何れかの態様の撥液膜の形成方法にある。
かかる第5の態様では、照射工程において蒸着膜をより確実且つ良好に硬化させることができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
まずは、本発明の方法によって撥液膜が形成されたノズルプレートを具備するインクジェット式記録ヘッドの構造について説明する。なお、図1は、インクジェット式記録ヘッドの概略斜視図であり、図2は、その断面図である。
図示したインクジェット式記録ヘッド1は、いわゆる静電駆動方式のヘッドであり、キャビティ基板10と、このキャビティ基板10の両面にそれぞれ接合されるノズルプレート20及び電極基板30とで構成されている。
キャビティ基板10は、例えば、面方位(100)又は(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方面側に開口する圧力室(キャビティ)11がその幅方向に複数並設されている。また、本実施形態では、図2に示すように、キャビティ基板10には、複数の圧力室11が並設された列が2列形成されている。さらに、キャビティ基板10には、各列の圧力室11に共通するインク室となる共通インク室12が形成されており、この共通インク室12は、後述するインク供給路を介して各圧力室11に連通されている。また、共通インク室12の底壁には、共通インク室12にインクを供給するためのインク供給孔13が形成されている。また、キャビティ基板10には、共通インク室12の外側に、後述する個別電極に接続される個別端子部を露出させるための貫通孔14が形成されている。
なお、各圧力室11の底壁は、圧力室11内に圧力変化を生じさせるための振動板15として機能し、且つこの振動板15を変位させる静電気力を発生させるための共通電極としての役割を兼ねている。そして、キャビティ基板10の貫通孔14近傍には、ノズルプレート20の後述する露出孔内に露出されて図示しない駆動配線が接続される共通端子部16が形成されている。
ノズルプレート20は、キャビティ基板10と同様に、面方位(100)又は(110)のシリコン単結晶基板からなり、各圧力室11に連通する複数のノズル21が形成されている。そして、このノズルプレート20は、キャビティ基板10の開口面側に接合され、圧力室11及び共通インク室12の一方の面を形成している。また、ノズルプレート20のキャビティ基板10とは反対側の面には、ノズル21に対応する領域に亘って厚さ方向の一部を除去したノズル段差部22が形成されている。
ここで、各ノズル21は、インク滴が吐出される側に設けられてノズル段差部22内に開口する略円形の小径部21aと、小径部21aよりも大きい径を有し小径部21aと圧力室11とを連通する大径部21bとからなる。そして、全てのノズル21(小径部21a)は、このノズル段差部22内に開口しており、本実施形態では、このノズル段差部22内のノズルプレート20の表面がノズル面となる。
また、このノズルプレート20のキャビティ基板10との接合面には、圧力室11と共通インク室12との境界に対応する領域に、これら各圧力室11と共通インク室12とを連通するインク供給路23が形成されている。また、ノズルプレート20には、共通インク室12の外側に対応する位置に、キャビティ基板10の貫通孔14に連通し、後述する個別端子部と共に共通端子部16を露出させる露出孔24が形成されている。
このノズルプレート20の表面、本実施形態では、ノズル段差部22内には、例えば、フッ素含有シランカップリング化合物等からなる撥液性材料からなる撥液膜25が形成されている。これにより、ノズルプレート20の表面(ノズル面)へのインク滴の付着を抑えている。
一方、電極基板30は、シリコン単結晶基板に近い熱膨張率を有する、例えば、ホウ珪酸ガラス等のガラス基板からなり、キャビティ基板10の振動板15側の面に接合されている。この電極基板30の振動板15に対向する領域には、各圧力室11に対応して凹部31が形成されている。また、電極基板30には、キャビティ基板10のインク供給孔13に対応する位置には、このインク供給孔13に連通するインク導入孔32が形成されている。そして、図示しないインクタンクからこのインク導入孔32及びインク供給孔13を介して共通インク室12にインクが充填されるようになっている。
また、各凹部31には、振動板15を変位させる静電気力を発生させるための個別電極33が、振動板15との間に所定の間隔を確保した状態でそれぞれ配置されている。また、凹部31内には、キャビティ基板10の貫通孔14に対向する領域に、図示しない駆動配線が接続される個別端子部34が形成されており、この個別端子部34と各個別電極33とはリード電極35によって接続されている。なお、図示しないが、これら各個別電極33及びリード電極35は絶縁膜によって封止され、また個別端子部34と共通端子部16との間には、接続配線を介して駆動電圧パルスを印加するための発振回路が接続されている。
そして、このようなインクジェット式記録ヘッド1では、発振回路によって個別電極33と振動板15(キャビティ基板10)との間に駆動電圧を印加すると、これら個別電極33と振動板15との隙間に発生する静電気力によって振動板15が個別電極33側に撓み変形して、圧力室11の容積が拡大し、駆動電圧の印加を解除すると、振動板15が元の状態に復帰し、圧力室11の容積が収縮する。そして、このとき発生する圧力室11内の圧力変化によって、圧力室11内のインクの一部が、ノズル21からインク滴として吐出される。
以下、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法を一例として、本願発明に係る撥液膜の形成方法について図3〜図6を参照して説明する。
本実施形態では、図3(a)に示すように、まず、上述したノズル21を有するノズルプレート20が複数一体的に形成されたノズルプレート用ウェハ200と、圧力室11等を有するキャビティ基板10が複数一体的に形成されたキャビティ基板用ウェハ100と、個別電極33等が設けられた電極基板30が複数一体的に形成された電極基板用ウェハ300とをそれぞれ用意し、キャビティ基板用ウェハ100の両面に、ノズルプレート用ウェハ200と電極基板用ウェハ300とをそれぞれ接合してウェハ積層体400を形成する。
次に、図3(b)に示すように、ノズルプレート用ウェハ200のノズル面、本実施形態では、ノズル段差部22内に、蒸着法によって撥液膜25となる蒸着膜205を形成する。なお、「撥液膜」とは、撥水性と撥油性を同時に備えた膜のことを指す。例えば、本実施形態では、撥液材料として、フッ素含有シランカップリング化合物(バラックコート:東京製品開発研究所製)を真空蒸着することによって蒸着膜205を約70nmの厚さで形成している。なお、このような蒸着膜205を形成する前に、ノズルプレート用ウェハ200の表面をUV洗浄するようにしてもよい。
次に、本発明では、この蒸着膜205に所定時間だけ紫外線を照射する照射工程を実施している。これにより、蒸着膜205を硬化させ、蒸着膜205の緻密な膜の厚さを増加させている。ノズルプレート用ウェハ200上に蒸着法によって形成した蒸着膜205の下層部は、ノズルプレート用ウェハ(シリコンウェハ)200と共有結合して「緻密な膜」となっているが、それ以外の部分は分子間結合力による結合力で保持された「疎な膜」となっている。そして、このような蒸着膜205に紫外線を照射すると、蒸着膜205内における結合力が高まり「緻密な膜」の厚さが実質的に増加する。そして、詳しくは後述するが、本発明ではこの照射工程における蒸着膜205への紫外線の照射時間を適正に管理し、これにより常に良好な撥液膜25を形成できるようにしている。
次に、図4(a)に示すように、ノズル段差部22の幅となるように、所定の粘着剤からなる粘着層51を有する粘着テープ50を切り出して用意し、この粘着テープ50をノズル段差部22内の蒸着膜205上に貼り付ける。そして、この粘着テープ50を蒸着膜205と完全に密着させる。なお、この粘着テープ50は、特に限定されず、例えば、紫外線硬化型の粘着剤からなる粘着層51を有するダイシングテープ、すなわち、一般的に使用されている紫外線剥離型のダイシングテープ等を用いればよい。
次に、図4(b)に示すように、ノズルプレート用ウェハ200の大きさとなるように切り出した粘着層71を有する保護テープ70を用意し、この保護テープ70をウェハ積層体400の両面に貼り付ける。すなわち、粘着テープ50の上からウェハ積層体400の表面(ノズルプレート用ウェハ200の表面)に保護テープ70を貼り付け、また同様に、ウェハ積層体400の裏面(電極基板用ウェハ300の表面)にも保護テープ70を貼り付ける。なお、ここで使用する保護テープ70としては、粘着テープ50と同様に、一般的に使用されている紫外線剥離型のダイシングテープを用いることができる。
そして、このように粘着テープ50及び保護テープ70を貼り付けた状態でウェハ積層体400を、例えば、図5に一点鎖線で示す切断ラインに沿って切断することにより、個々のインクジェット式記録ヘッド1を切り出す。なお、切り出されたインクジェット式記録ヘッド1は、ノズル段差部22に粘着テープ50が貼り付けられると共に、表面には保護テープ70が貼り付けられた状態である。
その後、各インクジェット式記録ヘッド1の表面に貼り付けられている保護テープ70に、本実施形態では紫外線を照射して粘着層71の粘着力を低下させる。そして、ノズルプレート用ウェハ200及び電極基板用ウェハ300のそれぞれから、保護テープ70と粘着テープ50とを同時に剥離する(剥離工程)。
そして、このように粘着テープ50を剥離すると、図6に示すように、粘着テープ50と共に蒸着膜205の一部が粘着テープ50に付着して剥離される。これにより、所定厚さ、例えば、5nm以下の撥液膜25が形成される。すなわち、粘着テープ50をノズルプレート20から剥離すると、このノズルプレート20に形成されていた蒸着膜205は、ノズルプレート20の表面に密着性の高い緻密な膜を残しながら、疎な膜が分離されて粘着テープ50と共に剥離される。その結果、ノズルプレート20の表面には、緻密な膜のみからなる極めて良好な撥液膜25が形成される。
ただし、上述した照射工程における蒸着膜205への紫外線の照射時間によっては、剥離工程において蒸着膜205が良好に剥離されず、全体又は部分的に蒸着膜205が厚く残ってしまい、撥液膜25を良好に形成することができない虞がある。具体的には、上述した照射工程における蒸着膜205への紫外線の照射時間が短すぎると、蒸着膜205内における結合力が十分に高まらないため、粘着テープ50と共に蒸着膜205を剥離させて撥液膜25を形成しても、撥液膜25の上層部分に全体に亘って上述した疎な膜が残る「全体膜残り」が発生してしまう。そして、このような「全体膜残り」のある撥液膜25に付着したインクをワイピング動作によって除去すると、ワイパによって撥液膜25が凝集してしまう虞がある。一方、蒸着膜205への紫外線の照射時間が長すぎると、蒸着膜205内における結合力が強くなり過ぎてしまい、撥液膜25が部分的に厚く残る「部分膜残り」が発生することがある。そして、このように撥液膜25に「部分膜残り」があると、ワイピング動作を実施しても撥液膜25に付着しているインクを良好に除去することができない虞がある。
ここで、ノズルプレート上に蒸着膜を形成した複数のサンプルを作製し、各サンプルの蒸着膜に対して紫外線を照射したときの蒸着膜の「膜残り」(「全体膜残り」又は「部分膜残り」)の発生率を調べた結果を図7に示す。なお、照射時間を3分、5分、7分、9分とした以外は同一条件で、蒸着膜に紫外線を照射している。図7に示すように、この試験では、蒸着膜に対する紫外線の照射時間が3分である場合には「全体膜残り」が発生し、照射時間が7分以上であると「部分膜残り」が発生していた。この結果からも分かるように、蒸着膜に対する紫外線の照射時間は、短すぎても長すぎても「膜残り」が発生する要因となる。
このため、本発明では照射工程において、蒸着膜205に紫外線を所定時間だけ照射するようにしている。すなわち、蒸着膜に対する紫外線の照射時間を適正に管理するようにしている。これにより、膜残りのない撥液膜25を所望の厚さで良好に形成することができる。この紫外線の照射時間は、蒸着膜205の材料等の各種条件を考慮して適宜決定さればよいが、紫外線の積算光量に基づいて管理することが好ましい。蒸着膜205(撥液膜25)の「膜残り」が発生するか否かは、紫外線の光量(照度)と照射時間から算出される積算光量によって決まるからである。例えば、上述したフッ素含有シランカップリング化合物からなる蒸着膜205に、照度20(mW/cm2)の紫外線を照射する場合、その積算光量が4377〜7794(mJ/cm2)の範囲であると、上記「膜残り」が発生しない。このため、紫外線の照度が20(mW/cm2)である場合、紫外線の照射時間をおよそ3分40秒〜6分20秒の範囲となるように管理する。なお、光源が劣化してきている場合には、その点も考慮に入れて紫外線の照射時間を管理する必要がある。また蒸着膜205を良好に硬化させるためには、照射する紫外線の波長が300nm以下であることが好ましい。
このように照射工程において蒸着膜205に紫外線を照射する時間を適正に管理し、その後に剥離工程を実施することにより、「膜残り」のない良好な撥液膜25を所望の厚さで形成することができる。すなわち、緻密な膜からなり耐摩耗性に優れた撥液膜25を形成することができる。そして、このような撥液膜25がノズルプレート20の表面に設けられていることで、シリコンからなるノズルプレート20の表面(撥液膜25)にインクが付着した場合でもこのインクを良好に除去することができ、インク滴の飛行曲がり等による印刷品質の低下を防止することができる。
また照射工程における紫外線の照射時間は、紫外線照射による蒸着膜205の膜厚の減少量に基づいて管理するようにしてもよい。蒸着膜205の膜厚は、紫外線照射による硬化に伴ってその膜厚が徐々に減少する。例えば、図8に示すように、紫外線の照射時間が長くなるにつれて蒸着膜205の膜厚はほぼ一定の割合で減少する。このため、照射工程では、紫外線照射による蒸着膜205の減少量が所定範囲の値となる時間だけ、蒸着膜に紫外線を照射するようにしてもよい。
例えば、上述したようにフッ素含有シランカップリング化合物からなる蒸着膜205に照度20(mW/cm2)の紫外線を照射して紫外線の照射時間をおよそ3分40秒〜6分20秒の範囲となるように管理した場合、蒸着膜の減少量はおよそ100〜127(Å)となる(図8参照)。このことから、照射工程において、例えば、蒸着膜205の減少量を測定しながら蒸着膜205に紫外線を照射し、蒸着膜205の減少量が100〜127(Å)の範囲(照度20(mW/cm2)の場合)となった時点で紫外線の照射を停止するようにしてもよい。
勿論、このように蒸着膜205の膜厚の減少量に基づいて紫外線の照射時間を管理するようにしても、膜残りのない良好な撥液膜25を形成することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、静電駆動方式のインクジェット式記録ヘッドを一例として本発明を説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、圧電素子の変位によってインク滴を吐出させる方式、あるいは、発熱素子等によってインクを加熱することでインク滴を吐出させる方式等、あらゆる方式のインクジェット式記録ヘッドに採用することができる。また、本発明は、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドだけでなく、他のあらゆる液滴を吐出する液体噴射ヘッドにも採用することができる。他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。さらに、本発明は、液体噴射ヘッドだけでなく、基板上に撥液膜を有するあらゆる装置の製造方法に適用できることは言うまでもない。
一実施形態に係る記録ヘッドの概略斜視図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの断面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す概略斜視図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す概略斜視図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す平面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す拡大断面図である。 紫外線照射時間と膜残り発生率との関係を示すグラフである。 紫外線照射時間と蒸着膜の膜厚の減少量との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 インクジェット式記録ヘッド、 10 キャビティ基板、 15 振動板、 20 ノズルプレート、 21 ノズル、 22 ノズル段差部、 25 撥液膜、 30 電極基板、 50 粘着テープ、 51 粘着層、 70 保護テープ、 100 キャビティ基板用ウェハ、 200 ノズルプレート用ウェハ、 205 蒸着膜、 300 電極基板用ウェハ

Claims (5)

  1. 基板上に蒸着法により撥液性を有する材料からなる蒸着膜を形成する蒸着工程と、前記蒸着膜に紫外線を所定時間だけ照射して当該蒸着膜を硬化させる照射工程と、前記蒸着膜上に粘着テープを貼り付けた後この粘着テープと共に前記蒸着膜の一部を剥離して前記基板上に所定厚さの撥液膜を形成する剥離工程とを有することを特徴とする撥液膜の形成方法。
  2. 前記照射工程では、前記蒸着膜に照射される紫外線の積算光量が所定範囲となる時間だけ、当該蒸着膜に紫外線を照射することを特徴とする請求項1に記載の撥液膜の形成方法。
  3. 前記照射工程では、紫外線照射による前記蒸着膜の減少量が所定範囲となる時間だけ、当該蒸着膜に紫外線を照射することを特徴とする請求項1又は2に記載の撥液膜の形成方法。
  4. 前記蒸着工程では前記蒸着膜を70nm以上の厚さで形成し、前記剥離工程では厚さが5nm以下の撥液膜を形成することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の撥液膜の形成方法。
  5. 前記蒸着膜に照射する紫外線の波長が300nm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の撥液膜の形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015034118A1 (ko) * 2013-09-09 2015-03-12 Yoo Bong Young 실리콘 기판의 표면 박리 방법

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