JP2007278241A - 内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関において、燃料性状が変更されても改質器における改質性能の低下を抑制して良好な改質ガスの生成を可能とする。
【解決手段】排気管25を流れる排気ガスの一部を分流する排気ガス分流管29を介して改質器27を接続すると共に、この排気ガス分流管29に第2インジェクタ30を装着し、この改質器27で生成された改質ガスを吸気管15に導入する改質ガス導入管31及び流量調整弁32を設け、燃料性状検出手段として空燃比センサ36を適用し、ECU33は、排気空燃比がリーン状態またはリッチ状態であるときに燃料性状が変更されたと判定し、このときに第2インジェクタ30による排気燃料噴射を停止する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料改質器を搭載した内燃機関に関し、特に、排気ガスの一部の還流ガスに燃料を供給した後に熱で改質して改質ガスを生成し、この改質ガスを吸気通路に供給するようにした内燃機関に関するものである。
従来、内燃機関の排気ガスの一部を取り出し、これを吸気通路に還流ガスとして供給し、この還流ガスを吸気に混合させることで燃焼時の最高温度を下げ、排気ガス中のNOxを低減する排気ガス再循環(EGR)システムがある。また、このEGRシステムを改良したシステムとして、近年、還流ガスに燃料の一部を加え、排気ガスに燃料が混合された混合ガスを排気ガスの熱を利用して加熱すると共に改質触媒を通すことで、この混合ガスに吸熱改質反応を行わせ、混合ガスから水素(H2)や一酸化炭素(CO)を含む改質ガスを生成し、このリフォーマガスを吸気通路に供給することにより、効率の良い排気熱の回収、燃費の向上を図ったものが提案されている。
このような内燃機関の排気リフォーマシステムとしては、下記特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された内燃機関の排気リフォーマシステムでは、吸気ポートに燃料噴射弁が設けられると共に、排気管から分岐した還流管に別の燃料噴射弁と燃料蒸発器と改質触媒とリフォーマガス制御弁が設けられており、通常時は、リフォーマガス制御弁を閉止し、吸気ポートに燃料を噴射して混合気を燃焼室に導入する一方、改質時は、リフォーマガス制御弁を開放し、還流管に燃料を噴射して改質触媒で生成したリフォーマガスを燃焼室に導入し、燃焼させるようにしている。
特開2004−092520号公報
上述した従来の内燃機関の排気リフォーマシステムにあっては、還流管に燃料を噴射し、排気ガスに燃料が混合された混合ガスを改質触媒で吸熱改質反応により改質ガスを生成し、この生成した改質ガスを燃焼室に導入している。ところで、近年、燃料として、ガソリンだけでなく、このガソリンにエタノールを混合した燃料を使用可能とした多様燃料車(FFV=Flexible Fuel Vehicles)が利用されている。このような多様燃料車に排気リフォーマシステムを適用すると、燃料性状が変更された直後は、排気ガスが一時的にリーン状態またはリッチ状態となり、改質器による改質性能が低下してしまう。
即ち、ガソリンとエタノールとでは、所定量あたりの発熱量が大きく相違する。そのため、燃料の含まれるエタノール量が増加する側に燃料性状が変更された場合、ガソリンに比べてエタノールの発熱量が少ないため、一時的にリーン状態となる。すると、このリーン状態にある排気ガスに燃料を供給し、排気ガスと燃料との混合ガスが改質器(改質触媒)に流入して改質されるが、このとき、排気ガスには酸素が過剰に含まれているため、この改質器にて、排気ガス中の燃料がこの過剰の酸素により酸化反応が促進され、改質器が加熱されてしまい、破損してしまうおそれがある。
一方、燃料の含まれるエタノール量が減少する側に燃料性状が変更された場合、ガソリンに比べてエタノールの発熱量が少ないため、一時的にリッチ状態となる。すると、このリッチ状態にある排気ガスに更に燃料を供給し、排気ガスと燃料との混合ガスが改質器(改質触媒)に流入して改質されると、排気ガス中の炭素(C)が触媒表面を覆うコーキングと称される問題が生じ、触媒性能が低下してしまう。
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、燃料性状が変更されても改質器における改質性能の低下を抑制して良好な改質ガスの生成を可能とした内燃機関を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の内燃機関は、外気を燃焼室に導入する吸気通路と、該吸気通路または前記燃焼室に複数種類の燃料を供給する第1燃料供給手段と、前記燃焼室から排出された排気ガスを外部に排出する排気通路と、該排気通路を流れる排気ガスの一部を分流する排気ガス分流通路と、該排気ガス分流通路に複数種類の燃料を供給する第2燃料供給手段と、該第2燃料供給手段から燃料が供給された前記排気ガス分流通路を流れる排気ガスを流入させて改質ガスを生成する改質器と、該改質器で生成された改質ガスを前記吸気通路に導入する改質ガス導入通路と、前記第1燃料供給手段及び第2燃料供給手段から供給される燃料の性状を検出する燃料性状検出手段と、該燃料性状検出手段が燃料性状の変更を検出したときに前記第2燃料供給手段による燃料の供給を停止する制御手段とを具えたことを特徴とするものである。
本発明の内燃機関では、前記制御手段は、前記燃料性状検出手段が燃料性状の変更を検出したときに、前記第2燃料供給手段による燃料の供給を停止し、その後、燃料性状の変更に伴う燃料噴射量制御が完了したら、前記第2燃料供給手段による燃料の供給を再開することを特徴としている。
本発明の内燃機関では、前記改質ガス導入通路に開閉弁が設けられ、前記制御手段は、前記燃料性状検出手段が燃料性状の変更を検出したときに、前記第2燃料供給手段による燃料の供給を停止すると共に、前記開閉弁を閉止することを特徴としている。
本発明の内燃機関では、前記排気通路に空燃比センサまたは酸素センサが設けられ、前記燃料性状検出手段は、前記空燃比センサまたは前記酸素センサの検出結果に基づいて燃料の性状を検出することを特徴としている。
本発明の内燃機関では、前記改質ガス導入通路に開閉弁が設けられ、前記制御手段は、前記改質器に担持された改質触媒の床温が予め設定された所定の活性化温度以上であると判定したときに、前記第2燃料供給手段による燃料の供給を許可する一方、前記燃料性状検出手段が燃料性状の変更を検出したときには、前記改質器に担持された改質触媒の床温に拘らず前記開閉弁を閉止することを特徴としている。
本発明の内燃機関の制御装置によれば、排気通路を流れる排気ガスの一部を分流する排気ガス分流通路に複数種類の燃料を供給する第2燃料供給手段を設け、燃料が供給された排気ガスを流入させて改質ガスを生成する改質器を設け、この改質器で生成された改質ガスを吸気通路に導入する改質ガス導入通路を設け、第1、第2燃料供給手段から供給される燃料の性状を検出する燃料性状検出手段を設けると共に、燃料性状の変更を検出したときに第2燃料供給手段による燃料の供給を停止する制御手段を設けたので、燃料の性状が変更されたときには、排気ガスへの燃料の供給が停止されることで、改質触媒の高温化やコーキングの発生を抑制することで、改質器における改質性能の低下を抑制して良好な改質ガスの生成を可能とすることができる。
以下に、本発明に係る内燃機関の制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施例1に係る内燃機関を表す概略構成図、図2は、実施例1の内燃機関における燃料改質制御を表すフローチャートである。
実施例1の内燃機関は、燃料として、ガソリンだけでなく、このガソリンにエタノールを混合した燃料を使用可能とした多様燃料を使用可能な内燃機関であって、多様燃料車(FFV)に適用されるものである。
実施例1の内燃機関において、図1に示すように、この内燃機関としてのエンジン11はポート噴射式の4気筒型であって、図示しないが、シリンダブロック上にシリンダヘッドが締結されており、複数のシリンダボアにピストンがそれぞれ上下移動自在に嵌合している。そして、シリンダブロックの下部にクランクケースが締結され、このクランクケース内にクランクシャフトが回転自在に支持されており、各ピストンはコネクティングロッドを介してこのクランクシャフトにそれぞれ連結されている。
シリンダブロックとシリンダヘッドとピストンにより4つの気筒に対応して燃焼室12がそれぞれ構成されており、この各燃焼室12は、上部に吸気ポート13及び排気ポート14が対向してそれぞれ形成されており、この各吸気ポート13及び排気ポート14は、図示しない吸気弁及び排気弁によって開閉可能となっている。
そして、吸気管(吸気通路)15の下流端部がインテークマニホールド16を介して各吸気ポート13に連結されており、この吸気管15の上流端部にはエアクリーナ17が取付けられている。そして、このエアクリーナ17の下流側にスロットル弁18を有する電子スロットル装置19が設けられている。また、インテークマニホールド16には、各燃焼室12に対応した吸気ポート13に燃料を供給可能な第1インジェクタ(第1燃料供給手段)20が装着されている。この第1インジェクタ20は、燃料供給管21により燃料タンク22内の燃料ポンプ23に連結されている。なお、図示しないが、各燃焼室12には、混合気に着火する点火プラグが装着されている。
一方、各排気ポート14には、エキゾーストマニホールド24を介して排気管(排気通路)25が連結されており、この排気管25には、第1三元触媒26と改質器27と第2三元触媒28が装着されている。この三元触媒26,28は、排気ガス中に含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)の有害物質を同時に浄化処理することができるものであり、空燃比が理論空燃比(ストイキ、A/F≒14.7)近傍にあるときに、排気ガス中の有害物質を浄化することができる。また、この改質器27は、後述するように、排気ガスの一部に燃料を供給した後、その混合ガスを排気熱で改質して改質ガスを生成するものである。
ここで、改質器27について詳細に説明する。この改質器27は、排気管25に接続される筒体27aと、この筒体27a内に相互に連通する複数の部屋をもって配置されて内部に改質触媒(例えば、Co,Ni,Rh)が担持された改質室27bと、この筒体27a内に複数の改質室27bの間に形成されたガス挿通路27cとを有している。排気管25における改質器27の上流側に、排気ガス分流管(路排気ガス分流通路)29が分岐して設けられ、この排気ガス分流管29の下流側端部が改質器27における改質室27bの一端部に連結されている。そして、この排気ガス分流管29には、排気管25から排気ガス分流管29に分流された排気ガスの一部に対して燃料を噴射する第2インジェクタ(第2燃料供給手段)30が設けられている。この第2インジェクタ30は、第1インジェクタ20と同様に、燃料供給管21により燃料タンク22内の燃料ポンプ23に連結されている。
また、改質器27改質室27bの他端部には、この改質器27で生成された改質ガスを吸気管15に導入する改質ガス導入管(改質ガス導入通路)31の一端部が接続されており、この改質ガス導入管31の他端部は、吸気管15における電子スロットル装置19の下流側に連結されている。そして、この改質ガス導入管31には、吸気管15に導入する改質ガス量を制御する流量調整弁32が装着されている。また、排気管25における改質器27の上流側と下流側は、ガス挿通路27cにより連通されている。
なお、本実施例のエンジン11では、第1インジェクタ20により吸気ポート13を流れる吸気に対して燃料噴射したり、第2インジェクタ30により排気ガス分流管29を流れる排気ガスに対して燃料を噴射するものであり、第1インジェクタ20による燃料噴射を吸気燃料噴射、第2インジェクタ30による燃料噴射を排気燃料噴射と称して区別する。
従って、流量調整弁32が開放された状態では、排気管25を流れる排気ガスの一部が排気ガス分流管29に分流され、この排気ガスに対して、第2インジェクタ30が燃料噴射(排気燃料噴射)を行う。この場合、排気ガスは酸素を含んでおり、燃料と酸素を含む排気ガスとが混合した混合ガスは、改質器27の改質室27bに流れ、排気管25から改質器27のガス挿通路27cを流れる排気ガスの熱により加熱される。すると、この混合ガスは蒸発が促進されて気化すると共に、この気化した混合ガスが吸熱反応を起こして改質され、水素や一酸化炭素などを含む改質ガスが生成される。
例えば、排気ガスが「7.6CO2+6.8H2O+40.8N2」で、そのガソリン燃料が「C7.613.6」である場合の吸熱反応は、
1.56(7.6CO2+6.8H2O+40.8N2)+3(C7.613.6)+984.8kcal→31H2+34.7CO+63.6N2
で表される。即ち、このときの吸熱反応によれば、3モルのガソリン燃料から31モルの水素ガスと34.7モルの一酸化炭素ガスが生成される。
改質器27で生成された改質ガスは、改質室27bから改質ガス導入管31に流れ、流量調整弁32の開度によりその供給量が調整され、吸気管15を流れる吸気に対して供給される。そして、吸気と改質ガスとが混合した混合気がインテークマニホールド16から吸気ポート13を通って燃焼室12に導入され、点火プラグにより着火して爆発し、排気弁の開放時に、排気ガスが排気ポート14から排気管25に排出される。この場合、改質ガスが水素を含んでいるため、燃焼室12での燃焼効率が良く、燃費を向上することができると共に、NOxの発生を抑制して排気浄化効率を向上することができる。
車両には電子制御ユニット(ECU)33が搭載されており、このECU33は、第1インジェクタ20、第2インジェクタ30、点火プラグなどを駆動制御することで、燃料噴射量、噴射時期、点火時期などを制御可能となっている。即ち、吸気管15の上流側にはエアフローセンサ34が装着されており、計測した吸入空気量をECU33に出力している。また、電子スロットル装置19はスロットルポジションセンサを有しており、現在のスロットル開度をECU33に出力している。更に、クランク角センサ35は、検出した各気筒のクランク角度をECU33に出力し、このECU33は検出したクランク角度に基づいて各気筒における吸気、圧縮、膨張(爆発)、排気の各行程を判別すると共に、エンジン回転数を算出している。また、排気管25における第1三元触媒26の上流側には空燃比センサ36が装着されており、計測した排気空燃比(A/F)をECU33に出力している。
従って、ECU33は、検出した吸入空気量、スロットル開度(または、アクセル開度)、エンジン回転数などのエンジン運転状態に基づいて、全体の燃料噴射量、噴射時期、点火時期などを決定している。この場合、全体の燃料噴射量とは、第1インジェクタ20及び第2インジェクタ30が噴射する燃料噴射量の合計である。また、ECU33は、排気空燃比(A/F)をフィードバックしており、この排気空燃比がストイキとなるように燃料噴射量を補正している。
また、ECU33は、第2インジェクタ30や流量調整弁32などを駆動制御することで、吸気管15に導入する改質ガス量を制御可能となっている。即ち、改質器27の改質室27bには、庄温センサ37が設けられており、現在の改質室27bの温度(庄温)をECU33に出力している。
従って、ECU33は、検出した改質器27の庄温に基づいてこの改質器27が活性温度にあるかどうかを判定する。また、ECU33は、エンジン回転数とエンジン負荷(例えば、スロットル開度)に基づいて吸気管15に還流可能な排気ガス量の上限値を算出する。そして、ECU33は、改質器27の温度が活性温度以上にあると判定したときには、吸気管15に還流可能な排気ガス量に基づいて吸気管15に導入可能な改質ガス量を算出し、流量調整弁32の開度を設定すると共に、第2インジェクタ30による排気燃料噴射量を設定する。この場合、吸入空気量やエンジン回転数などに基づいて算出された全体の燃料噴射量から、ここで設定された第2インジェクタ30による排気燃料噴射量を減算することで、第1インジェクタ20が噴射する吸気燃料噴射量が設定される。
ところで、本実施例のエンジン11は、燃料として、ガソリンだけでなく、このガソリンにエタノールを混合した燃料を使用可能であり、燃料タンク22に補給される燃料は、それまで使用していた燃料とその性状が同じものであるとは限らない。そのため、本実施例では、燃料性状検出手段として空燃比センサ36及びECU33を適用し、ECU33は、この空燃比センサ36が計測した排気空燃比をフィードバックし、この排気空燃比がストイキからリーン側またはリッチ側にずれたときに燃料性状が変更されたことを判別し、変更された燃料性状に合わせて学習制御し、全体の燃料噴射量を補正している。
しかし、本実施例のエンジン11では、排気管25から分岐した排気ガス分流管29に改質器27が連結されると共に、この排気ガス分流管29に第2インジェクタ30が設けられており、空燃比が一時的に変動した排気ガスに対して燃料が噴射され、その混合ガスが改質器27に流入することとなり、改質器27による改質性能が低下してしまう。
即ち、ガソリンにおける所定量あたりの発熱量は、エタノールにおける所定量あたりの発熱量より大きいため、燃料の含まれるエタノール量が増加する側に燃料性状が変更された場合、排気空燃比が一時的にリーン状態となる。そして、このリーン状態にある排気ガスに燃料が供給された混合ガスが改質器27に流入すると、混合ガス中の燃料が過剰の酸素により酸化反応が促進され、改質器27が加熱されて破損するおそれがある。
また、燃料の含まれるエタノール量が減少する側に燃料性状が変更された場合、排気空燃比が一時的にリッチ状態となる。そして、このリッチ状態にある排気ガスに更に燃料が供給された混合ガスが改質器27に流入すると、排気ガス中の炭素(C)が改質室27bに担持された改質触媒の表面を覆うコーキングと称される問題が生じてしまう。
そこで、本実施例では、制御手段としてのECU33は、空燃比センサ36が計測した排気空燃比に基づいて燃料性状の変更を検出したときには、第2インジェクタ30による燃料噴射を停止するようにしている。そして、ECU33は、その後、燃料性状の変更に伴う燃料噴射量制御が完了したら、第2インジェクタ30による燃料噴射を再開するようにしている。そのため、燃料性状が変更されて排気空燃比が一時的にリーン状態となっても、改質器27に流入する排気ガスに燃料が噴射されないため、改質器27の加熱が抑制され、また、排気空燃比が一時的にリッチ状態となっても、改質器27に流入する排気ガスに燃料が噴射されないため、排気ガス中の炭素量は少なく、改質触媒のコーキングが抑制される。
ここで、実施例1の内燃機関における燃料改質制御を図2のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
本実施例の内燃機関における燃料改質制御おいて、図2に示すように、ステップS11にて、ECU33は、改質器27が予め設定された所定の燃料改質開始条件を満たしているかどうかを判定する。具体的には、改質器27における改質室27bの床温、つまり、庄温センサ37が検出した触媒庄温が予め設定された所定の活性温度(例えば、600℃)に達しているかどうかを判定する。ここで、改質器27における改質室27bの触媒庄温が所定の活性温度に達していると判定されたら、ステップS12に移行する。
ステップS12にて、ECU33は、空燃比センサ36が計測した排気空燃比に基づいて、この排気空燃比がストイキ状態にあるかどうかを判定する。つまり、空燃比センサ36が計測した排気空燃比が、理論空燃比(A/F≒14.7)よりも大きければ、空燃比が希薄であることからリーン状態と判定し、理論空燃比(A/F≒14.7)よりも小さければ、空燃比が濃厚であり、リッチ状態と判定する。なお、理論空燃比を中心とした所定のストイキ領域を設定し、計測した排気空燃比がこのストイキ空燃比領域を外れたときに、排気空燃比がリーン状態またはリッチ状態と判定してもよい。
そして、このステップS12にて、現在の排気空燃比がストイキであると判定されたら、ステップS13に移行し、第2インジェクタ30による排気燃料噴射を実行する。この場合、ECU33は、エンジン回転数や吸入空気量などから全体の燃料噴射量を算出する一方、エンジン回転数やスロットル開度(エンジン負荷)などから吸気管15に還流可能な最大の排気ガス量を算出し、この最大の排気ガス量と改質器27の触媒庄温などから吸気管15に導入可能な改質ガス量を算出し、流量調整弁32の開度を設定する。そして、改質器27の触媒床温と、改質ガス導入管31を通して吸気管15に導入される改質ガス量に基づいて第2インジェクタ30が噴射する排気燃料噴射量を設定する。また、全体の燃料噴射量から、この第2インジェクタ30による排気燃料噴射量を減算することで、第1インジェクタ20が噴射する吸気燃料噴射量を設定する。
そのため、エンジン11の排気管25に排出された排気ガスは、改質器27のガス挿通路27cを流通して三元触媒28に流入すると共に、排気ガスの一部が排気ガス分流管29に分流され、この排気ガスに対して第2インジェクタ30から所定量の燃料が噴射され、燃料と排気ガスとの混合ガスが改質器27の改質室27bに流入する。すると、改質室27bに流入した混合ガスは、ガス挿通路27cを流れる排気ガスの熱により加熱され、吸熱反応を起こして改質され、水素や一酸化炭素などを含む改質ガスが生成される。このとき、排気燃料噴射量が改質器27の触媒床温や改質ガス量に基づいて適正に調整されることから、良質の改質ガスが生成される。
そして、この改質室27bで生成された改質ガスは、改質ガス導入管31に流れ、流量調整弁32の開度によりその供給量が調整され、吸気管15を流れる吸気に対して供給される。すると、吸気と改質ガスとが混合した混合気がインテークマニホールド16から吸気ポート13を通って燃焼室12に導入され、点火プラグにより着火して爆発して良好な燃焼を可能とすることができ、排気弁の開放時に、排気ガスが排気ポート14から排気管25に排出される。この場合、改質ガスに水素や一酸化炭素が含まれているため、燃焼室12での燃焼効率が良く、多量の排気ガスを還流させることができ、燃費を向上することができる。また、排気ガスに含まれる二酸化炭素などを燃焼室12に戻して再燃焼させることができると共に、燃焼温度を低下することでNOxの発生を抑制することができ、排気浄化効率を向上することができる。
一方、ステップS11にて、ECU33が、改質器27における改質室27bの触媒庄温が所定の活性温度に達していないと判定したら、ステップS14に移行し、第2インジェクタ30による排気燃料噴射を停止する。このとき、ECU33は、エンジン回転数や吸入空気量などから算出した全体の燃料噴射量を、第1インジェクタ20が噴射する吸気燃料噴射量として設定する。そのため、エンジン11の排気管25に排出された排気ガスの一部が排気ガス分流管29に分流され、改質器27の改質室27bを通過した後、改質ガス導入管31に流れ、流量調整弁32の開度によりその供給量が調整され、EGRガスとして吸気管15を流れる吸気に供給される。すると、吸気とEGRガスとが混合した混合気がインテークマニホールド16から吸気ポート13を通って燃焼室12に導入され、点火プラグにより着火して爆発して良好な燃焼を可能とすることができ、排気弁の開放時に、排気ガスが排気ポート14から排気管25に排出される。
この場合、改質器27における改質室27bの触媒庄温が所定の活性温度に達していないときは、排気ガス分流管29を流れる排気ガスに燃料が噴射されないため、吸気管15への未燃ガスの流入を防止することができると共に、排気ガスをEGRガスとして吸気管15に還流することから、このEGRガスに含まれる二酸化炭素などを燃焼室12に戻して再燃焼させることで、燃焼温度を低下してNOxの発生を抑制することができる。
また、ステップS12にて、ECU33が、空燃比センサ36が計測した排気空燃比がストイキではなく、リーン状態またはリッチ状態と判定したら、ステップS15に移行し、第2インジェクタ30による排気燃料噴射を停止する。即ち、ECU33は、排気空燃比がリーンまたはリッチであるときは、燃料性状が変更されたものと推定し、排気燃料噴射をやめる。このとき、ECU33は、前述したように、エンジン回転数や吸入空気量などから算出した全体の燃料噴射量を、第1インジェクタ20が噴射する吸気燃料噴射量として設定する。そのため、エンジン11の排気管25に排出された排気ガスの一部は、排気ガス分流管29、改質器27の改質室27b、改質ガス導入管31、流量調整弁32を介してEGRガスとして吸気管15を流れる吸気に供給される。
この場合、改質器27における改質室27bの触媒庄温が所定の活性温度に達していても、排気空燃比がリーンまたはリッチであるため、排気ガス分流管29を流れる排気ガスに対して燃料を噴射しない。即ち、燃料性状が変更されて排気空燃比が一時的にリーン状態となった場合、このリーン状態の排気ガスに燃料を噴射すると、混合ガス中の燃料が過剰の酸素により酸化反応が促進され、改質器27が加熱されて破損してしまう。また、燃料性状が変更されて排気空燃比が一時的にリッチ状態となった場合、このリッチ状態の排気ガスに燃料を噴射すると、排気ガス中の炭素が改質触媒の表面を覆うコーキングが発生してしまう。つまり、排気空燃比がリーンまたはリッチのときに、排気燃料噴射を実行しないことで、改質器27の破損やコーキングを防止することができる。
そして、ステップS15にて、第2インジェクタ30による排気燃料噴射を停止した後、ステップS16にて、ECU33は、燃料性状の変更に伴う燃料噴射量制御が完了したかどうかを判定する。即ち、排気空燃比がリーン状態またはリッチ状態となって、ECU33が燃料性状が変更されたものと判断したら、排気空燃比がストイキとなるように全体の燃料噴射量を補正する学習制御を実行する。そして、ここで、ECU33による燃料噴射量の学習制御が完了し、排気空燃比がストイキとなったら、ステップS13に移行し、第2インジェクタ30による燃料噴射を再開する。
このように実施例1の内燃機関にあっては、排気管25を流れる排気ガスの一部を分流する排気ガス分流管29を介して改質器27を接続すると共に、この排気ガス分流管29に第2インジェクタ30を装着し、この改質器27で生成された改質ガスを吸気管15に導入する改質ガス導入管31及び流量調整弁32を設け、燃料性状検出手段として空燃比センサ36を適用し、ECU33は、排気空燃比がリーン状態またはリッチ状態であるときに燃料性状が変更されたと判定し、このときに第2インジェクタ30による排気燃料噴射を停止するようにしている。
従って、排気空燃比の変動により燃料の性状が変更されたと推定したときには、第2インジェクタ30による排気燃料噴射を停止することで、リーン状態またはリッチ状態にある排気ガスへの燃料の供給が停止され、改質器27における改質触媒の高温化による破損やコーキングの発生を抑制することができる。その結果、改質器27における改質性能の低下を抑制して良好な改質ガスの生成を可能とすることができる。
そして、第2インジェクタ30による排気燃料噴射を停止した後、燃料性状の変更による燃料噴射量を学習補正制御が完了したら、第2インジェクタ30による燃料噴射を再開するようにしている。従って、排気空燃比がストイキとなったら、直ちに、排気燃料噴射を実行して改質器27による改質ガスの生成を再開することができ、良好な改質ガスを早期に吸気管15に導入可能とすることができる。
図3は、本発明の実施例2に係る内燃機関を表す概略構成図、図4は、実施例2の内燃機関における燃料改質制御を表すフローチャートである。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例2の内燃機関において、図3に示すように、エンジン11の各排気ポート14には、エキゾーストマニホールド24を介して排気管25が連結されており、この排気管25には、第1三元触媒26と改質器27と第2三元触媒28が装着されている。この改質器27は、筒体27aと改質触媒が担持された改質室27bとガス挿通路27cとを有している。そして、排気管25から分岐した排気ガス分流管29の下流側端部がこの改質器27における改質室27bの一端部に連結されており、この排気ガス分流管29には第2インジェクタ30が設けられている。
改質器27改質室27bの他端部には、この改質器27で生成された改質ガスを吸気管15に導入する改質ガス導入管31の一端部が接続され、この改質ガス導入管31の他端部は、吸気管15に連結されており、この改質ガス導入管31には、吸気管15に導入する改質ガス量を制御する流量調整弁32が装着されている。
また、改質器27の改質室27bには、庄温センサ37が設けられており、現在の改質室27bの庄温をECU33に出力しており、ECU33は、庄温センサ37が計測した改質室27bの庄温に基づいて第2インジェクタ30や流量調整弁32などを駆動制御することで、吸気管15に導入する改質ガス量を制御している。
そして、本実施例では、改質器27から吸気管15に至る改質ガス導入管31に、流量調整弁32よりも下流側、つまり、改質器27側に位置して開閉弁38が設けられ、ECU33はこの開閉弁38を開閉制御可能となっている。即ち、このECU33は、空燃比センサ36が計測した排気空燃比に基づいて燃料性状の変更を検出したときに、第2インジェクタ30による燃料噴射を停止すると共に、開閉弁38を作動して改質ガス導入管31を閉止するようにしている。そして、ECU33は、その後、燃料性状の変更に伴う燃料噴射量制御が完了したら、第2インジェクタ30による燃料噴射を再開すると共に、開閉弁38を作動して改質ガス導入管31を開放するようにしている。
ここで、実施例2の内燃機関における燃料改質制御を図4のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
本実施例の内燃機関における燃料改質制御において、図4に示すように、ステップS21にて、ECU33は、改質器27が予め設定された所定の燃料改質開始条件を満たしているかどうかを判定する。具体的には、改質器27における改質室27bの床温、つまり、庄温センサ37が検出した触媒庄温が予め設定された所定の活性温度(例えば、600℃)に達しているかどうかを判定する。ここで、改質器27における改質室27bの触媒庄温が所定の活性温度に達していると判定されたら、ステップS22に移行する。
ステップS22にて、ECU33は、空燃比センサ36が計測した排気空燃比に基づいて、この排気空燃比がストイキ状態にあるかどうかを判定する。つまり、空燃比センサ36が計測した排気空燃比が、理論空燃比よりも大きければリーン状態と判定し、理論空燃比よりも小さければリッチ状態と判定する。
そして、このステップS22にて、現在の排気空燃比がストイキであると判定されたら、ステップS23に移行し、第2インジェクタ30による排気燃料噴射を実行する。この場合、ECU33は、エンジン回転数や吸入空気量などから全体の燃料噴射量を算出する一方、エンジン回転数やスロットル開度(エンジン負荷)などから吸気管15に還流可能な最大の排気ガス量を算出し、この最大の排気ガス量と改質器27の触媒庄温などから吸気管15に導入可能な改質ガス量を算出し、流量調整弁32の開度を設定する。そして、改質器27の触媒床温と、改質ガス導入管31を通して吸気管15に導入される改質ガス量に基づいて第2インジェクタ30が噴射する排気燃料噴射量を設定する。また、全体の燃料噴射量から、この第2インジェクタ30による排気燃料噴射量を減算することで、第1インジェクタ20が噴射する吸気燃料噴射量を設定する。
そのため、エンジン11の排気管25に排出された排気ガスは、改質器27のガス挿通路27cを流通して三元触媒27に流入すると共に、排気ガスの一部が排気ガス分流管29に分流され、この排気ガスに対して第2インジェクタ30から所定量の燃料が噴射され、燃料と排気ガスとの混合ガスが改質器27の改質室27bに流入する。すると、改質室27bに流入した混合ガスは、ガス挿通路27cを流れる排気ガスの熱により加熱され、吸熱反応を起こして改質され、水素や一酸化炭素などを含む改質ガスが生成される。このとき、排気燃料噴射量が改質器27の触媒床温や改質ガス量に基づいて適正に調整されることから、良質の改質ガスが生成される。
そして、この改質室27bで生成された改質ガスは、改質ガス導入管31に流れ、流量調整弁32の開度によりその供給量が調整され、吸気管15を流れる吸気に対して供給される。すると、吸気と改質ガスとが混合した混合気がインテークマニホールド16から吸気ポート13を通って燃焼室12に導入され、点火プラグにより着火して爆発して良好な燃焼を可能とすることができ、排気弁の開放時に、排気ガスが排気ポート14から排気管25に排出される。この場合、改質ガスに水素や一酸化炭素が含まれているため、燃焼室12での燃焼効率が良く、多量の排気ガスを還流させることができ、燃費を向上することができる。また、排気ガスに含まれる二酸化炭素などを燃焼室12に戻して再燃焼させることができると共に、燃焼温度を低下することでNOxの発生を抑制することができ、排気浄化効率を向上することができる。
一方、ステップS21にて、ECU33が、改質器27における改質室27bの触媒庄温が所定の活性温度に達していないと判定したら、ステップS24に移行し、第2インジェクタ30による排気燃料噴射を停止する。このとき、ECU33は、エンジン回転数や吸入空気量などから算出した全体の燃料噴射量を、第1インジェクタ20が噴射する吸気燃料噴射量として設定する。そのため、エンジン11の排気管25に排出された排気ガスの一部が排気ガス分流管29に分流され、改質器27の改質室27bを通過した後、改質ガス導入管31に流れ、流量調整弁32の開度によりその供給量が調整され、EGRガスとして吸気管15を流れる吸気に供給される。この場合、改質器27における改質室27bの触媒庄温が所定の活性温度に達していないときは、排気ガス分流管29を流れる排気ガスに燃料が噴射されないため、吸気管15への未燃ガスの流入を防止することができると共に、排気ガスをEGRガスとして吸気管15に還流することから、このEGRガスに含まれる二酸化炭素などを燃焼室12に戻して再燃焼させることで、燃焼温度を低下してNOxの発生を抑制することができる。
また、ステップS22にて、ECU33が、空燃比センサ36が計測した排気空燃比がストイキではなく、リーン状態またはリッチ状態と判定したら、ステップS25に移行し、第2インジェクタ30による排気燃料噴射を停止した後、ステップS26にて、開閉弁38により改質ガス導入管31を閉止する。即ち、ECU33は、排気空燃比がリーンまたはリッチであるときは、燃料性状が変更されたものと推定し、排気燃料噴射をやめると共に、改質ガス導入管31による改質ガスの吸気管15への導入をやめる。このとき、ECU33は、前述したように、エンジン回転数や吸入空気量などから算出した全体の燃料噴射量を、第1インジェクタ20が噴射する吸気燃料噴射量として設定する。そのため、エンジン11の排気管25に排出された排気ガスの一部が改質ガス導入管31を通して吸気管15に供給されることはない。
この場合、改質器27における改質室27bの触媒庄温が所定の活性温度に達していても、排気空燃比がリーンまたはリッチであるため、排気ガス分流管29を流れる排気ガスに対して燃料を噴射しない。即ち、燃料性状が変更されて排気空燃比が一時的にリーン状態となった場合、このリーン状態の排気ガスに燃料を噴射すると、混合ガス中の燃料が過剰の酸素により酸化反応が促進され、改質器27が加熱されて破損してしまう。また、燃料性状が変更されて排気空燃比が一時的にリッチ状態となった場合、このリッチ状態の排気ガスに燃料を噴射すると、排気ガス中の炭素が改質触媒の表面を覆うコーキングが発生してしまう。つまり、排気空燃比がリーンまたはリッチのときに、排気燃料噴射を実行しないことで、改質器27の破損やコーキングを防止することができる。
また、燃料性状が変更された場合、燃焼室12での燃焼状態も不安定となっており、この状態で二酸化炭素を含むEGRガスを吸気管15に戻し、混合気として燃焼室12に供給すると、燃焼状態が更に不安定となって失火に至るおそれもある。つまり、燃料性状が変更されたときに、EGRガスを吸気管15に戻さないことで、燃焼室12における燃焼不安定化を抑制して失火を防止することができる。
そして、ステップS25にて、第2インジェクタ30による排気燃料噴射を停止すると共に、ステップS26にて、開閉弁38により改質ガス導入管31を閉止した後、ステップS27にて、ECU33は、燃料性状の変更に伴う燃料噴射量制御が完了したかどうかを判定する。即ち、排気空燃比がリーン状態またはリッチ状態となって、ECU33が燃料性状が変更されたものと判断したら、排気空燃比がストイキとなるように全体の燃料噴射量を補正する学習制御を実行する。そして、ここで、ECU33による燃料噴射量の学習制御が完了し、排気空燃比がストイキとなったら、ステップS28にて、開閉弁38により改質ガス導入管31を開放した後、ステップS23にて、第2インジェクタ30による燃料噴射を再開する。
このように実施例2の内燃機関にあっては、排気管25を流れる排気ガスの一部を分流する排気ガス分流管29を介して改質器27を接続すると共に、この排気ガス分流管29に第2インジェクタ30を装着し、この改質器27で生成された改質ガスを吸気管15に導入する改質ガス導入管31を設け、この改質ガス導入管31に流量調整弁32及び開閉弁38を設け、ECU33は、排気空燃比がリーン状態またはリッチ状態であるときに燃料性状が変更されたと判定し、このときに第2インジェクタ30による排気燃料噴射を停止すると共に、開閉弁38により改質ガス導入管31を閉止するようにしている。
従って、排気空燃比の変動により燃料の性状が変更されたと推定したときには、第2インジェクタ30による排気燃料噴射を停止することで、リーン状態またはリッチ状態にある排気ガスへの燃料の供給が停止され、改質器27における改質触媒の高温化による破損やコーキングの発生を抑制することができる。その結果、改質器27における改質性能の低下を抑制して良好な改質ガスの生成を可能とすることができる。
また、排気空燃比の変動により燃料の性状が変更されたと推定したときには、開閉弁38により改質ガス導入管31を閉止することで、燃焼が不安定となっている燃焼室12への二酸化炭素を含むEGRガスの供給が停止され、燃焼室12における更なる燃焼不安定化を抑制して失火を防止することができる。
なお、この実施例2では、排気空燃比がストイキではないときに、改質ガス導入管31を閉止するための開閉弁38を別途設けたが、流量調整弁32を適用してもよい。
また、実施例2では、改質器27における改質室27bの触媒庄温が所定の活性温度に達しており、排気空燃比がストイキではないと判定したら、第2インジェクタ30による排気燃料噴射を停止すると共に、開閉弁38により改質ガス導入管31を閉止するようにしたが、改質器27における改質室27bの触媒庄温に拘らず、排気空燃比がストイキではなく、燃料性状が変更されたと推定したら、開閉弁38により改質ガス導入管31を閉止するようにしてもよい。即ち、エンジン11の始動直後や軽負荷運転状態のときには、改質器27における触媒庄温が低く、EGRガスを吸気管15に導入している状態で、燃料性状が変更されると、燃焼が不安定となってしまう。そのため、このときに、吸気管15へのEGRガスの導入を停止することで、燃焼室12における燃焼不安定化を抑制することができる。
また、上述した実施例では、燃料性状検出手段として空燃比センサ36を適用したが、第1三元触媒26の上流側と下流側に酸素センサをそれぞれ設け、各酸素センサが検出した排気ガス中の酸素濃度により排気空燃比を推定し、燃料の性状を推定するようにしてもよい。
更に、上述した実施例では、改質器27における改質室27bの改質触媒の床温を庄温センサ36により計測したが、エンジン回転数、吸入空気量、アクセル開度などのエンジン運転状態に基づいて推定してもとめてもよい。また、吸気管15に導入される改質ガス量をエンジン回転数、アクセル開度、触媒庄温などのエンジン運転状態に基づいて算出したが、改質ガス導入管31における流量調整弁32の開度から算出したり、改質ガス導入管31における流量調整弁32より下流側に流量計を設けて計測してもよい。
以上のように、本発明に係る内燃機関は、燃料性状が変更されたときには排気ガスへの燃料供給を停止して改質器の破損やコーキングの発生を抑制するものであり、いずれの内燃機関にも有用である。
本発明の実施例1に係る内燃機関を表す概略構成図である。 実施例1の内燃機関における燃料改質制御を表すフローチャートである。 本発明の実施例2に係る内燃機関を表す概略構成図である。 実施例2の内燃機関における燃料改質制御を表すフローチャートである。
符号の説明
11 エンジン(内燃機関)
12 燃焼室
13 吸気ポート
14 排気ポート
15 吸気管(吸気通路)
19 電子スロットル装置
20 第1インジェクタ(第1燃料供給手段)
25 排気管(排気通路)
26,28 三元触媒
27 改質器
27a 筒体
27b 改質室
27c ガス挿通路
29 排気ガス分流管(排気ガス分流通路)
30 第2インジェクタ(第2燃料供給手段)
31 改質ガス導入管(改質ガス導入通路)
32 流量調整弁
33 電子制御ユニット、ECU(燃料性状検出手段、制御手段)
34 エアフローセンサ
35 クランク角センサ
36 空燃比センサ(燃料性状検出手段)
37 床温センサ
38 開閉弁

Claims (5)

  1. 外気を燃焼室に導入する吸気通路と、該吸気通路または前記燃焼室に複数種類の燃料を供給する第1燃料供給手段と、前記燃焼室から排出された排気ガスを外部に排出する排気通路と、該排気通路を流れる排気ガスの一部を分流する排気ガス分流通路と、該排気ガス分流通路に複数種類の燃料を供給する第2燃料供給手段と、該第2燃料供給手段から燃料が供給された前記排気ガス分流通路を流れる排気ガスを流入させて改質ガスを生成する改質器と、該改質器で生成された改質ガスを前記吸気通路に導入する改質ガス導入通路と、前記第1燃料供給手段及び第2燃料供給手段から供給される燃料の性状を検出する燃料性状検出手段と、該燃料性状検出手段が燃料性状の変更を検出したときに前記第2燃料供給手段による燃料の供給を停止する制御手段とを具えたことを特徴とする内燃機関。
  2. 請求項1に記載の内燃機関において、前記制御手段は、前記燃料性状検出手段が燃料性状の変更を検出したときに、前記第2燃料供給手段による燃料の供給を停止し、その後、燃料性状の変更に伴う燃料噴射量制御が完了したら、前記第2燃料供給手段による燃料の供給を再開することを特徴とする内燃機関。
  3. 請求項1または2に記載の内燃機関において、前記改質ガス導入通路に開閉弁が設けられ、前記制御手段は、前記燃料性状検出手段が燃料性状の変更を検出したときに、前記第2燃料供給手段による燃料の供給を停止すると共に、前記開閉弁を閉止することを特徴とする内燃機関。
  4. 請求項1から3のいずれか一つに記載の内燃機関において、前記排気通路に空燃比センサまたは酸素センサが設けられ、前記燃料性状検出手段は、前記空燃比センサまたは前記酸素センサの検出結果に基づいて燃料の性状を検出することを特徴とする内燃機関。
  5. 請求項1に記載の内燃機関において、前記改質ガス導入通路に開閉弁が設けられ、前記制御手段は、前記改質器に担持された改質触媒の床温が予め設定された所定の活性化温度以上であると判定したときに、前記第2燃料供給手段による燃料の供給を許可する一方、前記燃料性状検出手段が燃料性状の変更を検出したときには、前記改質器に担持された改質触媒の床温に拘らず前記開閉弁を閉止することを特徴とする内燃機関。
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