JP2007277736A - 製紙用薬剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非イオン性界面活性剤(A)と、炭素数の異なる基を有する特定2種の特定比率のカチオン性界面活性剤(B)とを含有する製紙用薬剤組成物。
【選択図】なし
Description
本発明の非イオン性界面活性剤は、嵩高発現性の観点から、下記に定義される離水度が4%以上となるものから選択することが好ましい。
離水度(%)=(α0−α)/α0×100
α:非イオン性界面活性剤となる化合物をパルプ100重量部に対し5重量部添加して抄紙して得た湿潤シートの含水率
α0:非イオン性界面活性剤となる化合物をパルプに添加しないで抄紙して得た湿潤シートの含水率
〔離水度の測定方法〕
(A)使用パルプ
JIS P 8209のパルプ試験用手すき紙の調製法により調製した手すきパルプシートのハンター白色度(JIS P 8123)が80±5%であるブナ由来の広葉樹晒しパルプ(以後、LBKPという)を使用する。
(B)離水度の測定
(i)LBKPを、25±3℃で一定量をビーターにて離解そしてカナダ標準濾水度(JIS P 8121)で460±10mlに叩解してパルプ濃度が1.0重量%のLBKPスラリーを得る。
(ii)上記で求めたW、Wdから、(1)式により含水率α(%)を求める。
α(%)=(W−Wd)/W×100 (1)
また、非イオン性界面活性剤となる化合物を添加しないで同様にシートを調製し、同様にして求めた含水率をα0とする。
(iii)上記で求めた含水率α、α0から、下式(2)より離水度を求める。
離水度(%)=(α0−α)/α0×100 (2)
(Aii)下記一般式(A-1)〜(A-8)で表される化合物、及びこれらから誘導される脂肪酸アミド、脂肪酸アミドアミン、並びにこれらのこれらの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物、から選ばれる1又はそれ以上の化合物〔以下、(Aii)成分という〕
Y1,Y2:互いに同一又は相異なって、水素原子、R4、R6CO−、−(AO)n−COR3又は−(AO)n−H
AO:炭素数2〜4のアルキレンオキシ基
Y3:水素原子又は−COR6
R2,R3,R6,R9:炭素数7〜35のアルキル基、アルケニル基又はβ−ヒドロキシアルキル基
R4,R5:水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基
R7,R8:炭素数1〜3のアルキル基
R10:水素原子又はR9
n:1〜20の数で平均モル数
X-:陰イオン
R11:炭素数6〜24のアルキル基もしくはアルケニル基もしくはβ−ヒドロキシアルキル基、又は−(CH2CH2NH)n'H(ここでn’は2又は3)
R12:炭素数6〜24のアルキル基もしくはアルケニル基もしくはβ−ヒドロキシアルキル基、又は水素原子
である。〕
Rb1COO(EO)p(PO)qRb2 (B)
〔式中、Rb1は、炭素数8〜35のアルキル基又はアルケニル基又はβ−ヒドロキシアルキル基、Rb2は、炭素数1〜8のアルキル基又はアルケニル基又はβ−ヒドロキシアルキル基を示す。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドであり、p、qはそれぞれ平均付加モル数であり、pは0〜20の数、qは1〜20の数である。〕
本発明の製紙用薬剤組成物は、上記一般式(1)で表される陽イオン性界面活性剤から選ばれる化合物(B1)〔(B1)成分〕と上記一般式(2)で表される陽イオン性界面活性剤から選ばれる化合物(B2)〔(B2)成分〕を含有する。そして、(B1)成分と(B2)成分の合計量中の(B1)の比率が50〜95重量%の範囲であり、(B1)のR1bの炭素数(炭素数16)よりも(B2)のR5bの炭素数(炭素数18)の方が大きいという関係を満たす。
本発明の製紙用薬剤組成物は、(A)成分、(B1)成分及び(B2)成分を配合してなるものである。本発明の製紙用薬剤組成物は、(A)成分と(B1)成分と(B2)成分とを、(A)の融点以上の温度、好ましくは反応系(反応液)の温度として50〜100℃で攪拌混合したあと、(A)成分の融点以下の温度まで冷却することで固体状の組成物を得ることができる。(B1)成分、(B2)成分が、製造に用いた水やアルコール等の溶媒を含んだ状態である場合、(A)成分との混合後、冷却しても固体状にならないときは、(A)成分と混合したあと、溶媒を除去する工程(例えば減圧による蒸留等)を経て固体状の組成物を得ることができる。また、(A)成分、(B1)成分、(B2)成分を別々に、若しくは(A)成分と(B)成分の混合物を、水または温水中へ添加し、(A)成分の融点以上の温度で全体が均一になるように攪拌混合することで液状(乳化液又は懸濁液)の組成物を得ることができる。(B1)成分と(B2)成分は別々に(A)成分と配合してもよいし、予め所定の割合で混合されたものを(A)成分と配合してもよい。
本発明の組成物は、得られる紙の特性を向上する観点から、パルプ調製工程、抄紙工程のパルプスラリー中に、均一にパルプ原料にブレンドできる場所へ添加することが好ましく、特に、パルプスラリーに添加することが好ましい。
表1に示す製紙用薬剤組成物を調製し、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
表1の(A)成分を80℃溶融状態で攪拌している中に(B)成分および(E)成分を添加して1時間混合したあと、25℃まで室温放置して得た。
(1)低温流動性
表1の組成物を、固形分濃度10重量%で、80℃で1時間攪拌乳化して乳化液を調製する。調製から表2に示す所定期間保存後の乳化液の低温での流動性を評価した。低温(10℃)流動性は、10℃の恒温槽で静置保存した乳化液の粘度をB型粘度計(12rpm/10℃)で測定し、その値が10000mPa・s以下のものを○、10000mPa・sを超えるものや分離等により正確な粘度を測定できないものを×とした。
(2)凝集物の有無
また、上記で調製した乳化液を10℃で30日保存した後、その100gを、100μmのメッシュでろ過、水道からの流水で5分間水洗し、メッシュ上に組成物が残らないものを○、メッシュ上に組成物が残るものを×として評価した。
(1)紙の製造条件
1重量%のLBKPパルプスラリーを、抄紙後のシートの坪量が80g/m2になるように量りとり、攪拌下、硫酸アルミニウム0.5重量%(対パルプ量)、カチオン化澱粉としてCato302(日本エヌエスシー(株)製)0.3重量%、アルキルケテンダイマーサイズ剤としてサイリーン−94(花王(株)製)0.2重量%、軽質炭酸カルシウムとしてホワイトンPC(白石工業(株)製)15重量%を順次添加した後、パルプ濃度0.5重量%に希釈した。
(A)成分が溶解する溶媒を用いて調湿後のシートから(A)成分を抽出し、GC(ガスクロマトグラフィ)にて定量する。
上記の紙の製造条件において、組成物の添加量を対パルプ0.5重量%として他は同様にして得たシートの坪量(g/m2)と厚み(μm)を測定し、次式:〔(坪量)/(厚み)〕により、緊度(d)(g/cm3)を求める。また、組成物を添加しないで同様に製造したシートの緊度(d0)を求める。これら緊度d、d0から、以下の式より嵩向上率を算出する。
嵩向上率(%)=〔(d0−d)/d0〕×100
d0:組成物無添加シートの緊度
d:組成物を添加して得られたシートの緊度
白水の泡立ちは、上記の紙の製造において発生した抄紙のろ液(白水)100gを有栓メスシリンダー(容量250mL)に入れ、30秒間激しく攪拌した後の泡量を次の5段階で評価した。
泡量が10mL未満:1
泡量が10mL以上20mL未満:2
泡量が20mL以上30mL未満:3
泡量が30mL以上40mL未満:4
泡量が40mL以上:5
表3の(A)成分を70℃の溶融状態で攪拌している中に(C)成分〔(C−1)及び(C−2)〕を添加して1時間混合したあと、さらに(D)成分を2時間かけて滴下混合し2時間熟成した。そのあと(E)成分を添加して80℃で1時間混合したあと、25℃まで室温放置して製紙用薬剤組成物を得た。それらを用いて実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
A=(1−(B+C−E(1−F/100))/D(1−F/100))×100 式1
A:(C)の反応率(%)
B:組成物の全アミン価(mgKOH/g)(分析値)
C:組成物の酸価(mgKOH/g)(分析値)
D:(D)成分配合前組成物の全アミン価(mgKOH/g)(分析値)
E:(D)成分配合前組成物の酸価(mgKOH/g)(分析値)
F:(D)成分の仕込み比率(重量%)
〔I〕酸価
(I-1)試薬
(I-1-1)混合溶剤
トルエン(1級)−エタノール(1級)混液(2+1、容量比)
上記混合溶剤に、1%フェノールフタレイン指示薬溶液を加え、使用直前に微紅色に中和する。
(I-2-1)試料10gを、200ml三角フラスコにはかりとる。
(I-2-2)約30mLの混合溶剤を、加え溶解(注1)する。
(I-2-3)0.1mol/Lアルコール性水酸化カリウム標準溶液で滴定する。
終点は、微紅色が30秒間続いたところとする。(注1)
(注1)終点の決定が不明瞭な場合は、電位差滴定で求める。
酸価は、以下の計算式により求める。酸価が10未満のときは有効数字二桁まで、また、10以上のときは有効数字三桁に丸める。
f:アルコール性水酸化カリウム標準溶液のファクター
K:5.611(0.1mol/Lアルコール性水酸化カリウム標準溶液)
28.05(0.5mol/Lアルコール性水酸化カリウム標準溶液)
(II-1)試薬
(II-1-1)ブロムクレゾールグリーン指示薬溶液(BCG指示薬溶液):ブロムクレゾールグリーン(特級)0.2gにエタノール(1級)100mLを加え溶解させる。
(II-1-2)中性溶剤:エタノール(1級)1LにBCG指示薬溶液10mLを加え溶解させる。更に希アルコール性水酸化カリウム又は塩酸で中和する。
(II-1-3)0.2mol/Lアルコール性塩酸標準溶液
[調製]
塩酸(特級)17.5mLをエタノール(1級)に溶解して1Lとし、4〜5日放置した後標定する。
[標定]
炭酸ナトリウム(標準試薬)約0.1gを100mL三角フラスコにはかり、水約30mL加えて溶解する。BPB指示薬溶液*2〜3滴を加え、0.2mol/Lアルコール性塩酸標準溶液で滴定する(炭酸ナトリウムは、550〜650℃で1時間強熱する)。
*BPB指示薬溶液ブロムフェノールブルー0.1gにエタノール90mLを加え、更に水を加えて100mLとする。
(1)試料(注1)2gを、100mL三角フラスコにはかりとる。
(2)中性溶剤約30mLを加え溶解(注2)する。
(3)0.2mol/Lアルコール性塩酸標準溶液で滴定する。終点は青色から黄色に変わった点とする。
(注1)試料は、空気中の炭酸ガスを吸収しやすいので空気との接触をできるだけさける。
(注2)融点の高い試料は、加温溶解する。完全に溶解しない場合はトルエン等を加えて溶解する。
全アミン価は、以下の計算式により求める。全アミン価は、小数点以下一桁に丸める。
f:0.2mol/Lアルコール性塩酸標準溶液のファクター
Claims (9)
- 非イオン性界面活性剤(A)、下記一般式(1)で表される陽イオン性界面活性剤(B1)及び下記一般式(2)で表される陽イオン性界面活性剤(B2)を配合してなり、(B1)と(B2)の合計量中の(B1)の比率が50〜95重量%の範囲である、製紙用薬剤組成物。
(式中、R1bは炭素数16のアルキル基、炭素数16のアルケニル基又は炭素数16のβ−ヒドロキシアルキル基であり、R2bは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルケニル基又は炭素数1〜8のβ−ヒドロキシアルキル基であり、R3b及びR4bは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のβ−ヒドロキシアルキル基、ベンジル基、又は式:−(A1O)n1−Z1(ここでA1Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、Z1は水素原子又は炭素数1〜24のアシル基であり、n1は平均付加モル数であり、1〜50の数である)で表される基であり、X1 -は対イオンである。)
(式中、R5bは炭素数18のアルキル基、炭素数18のアルケニル基又は炭素数18のβ−ヒドロキシアルキル基であり、R6bは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルケニル基又は炭素数1〜8のβ−ヒドロキシアルキル基であり、R7b及びR8bは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のβ−ヒドロキシアルキル基、ベンジル基、又は式:−(A2O)n2−Z2(ここでA2Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、Z2は水素原子又は炭素数1〜24のアシル基であり、n2は平均付加モル数であり、1〜50の数である)で表される基であり、X2 -は対イオンである。) - (A)と、(B1)及び(B2)との重量比(A)/〔(B1)+(B2)〕が99/1〜40/60である請求項1記載の製紙用薬剤組成物。
- 非イオン性界面活性剤(A)、下記一般式(3)で表されるアミン化合物(C1)、下記一般式(4)で表されるアミン化合物(C2)、及び該アミン化合物の4級化剤(D)を配合してなる製紙用薬剤組成物であって、前記(C1)及び(C2)が前記(D)により4級化されており、(C1)の(D)による4級化物(X)と(C2)の(D)による4級化物(Y)の合計量中の(X)の設計比率が50〜95重量%の範囲である、製紙用薬剤組成物。
(式中、R1cは炭素数16のアルキル基、炭素数16のアルケニル基又は炭素数16のβ−ヒドロキシアルキル基であり、R2c及びR3cは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のβ−ヒドロキシアルキル基、ベンジル基、又は式:−(A3O)n3−Z3(ここでA3Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、Z3は水素原子又は炭素数1〜24のアシル基であり、n3は平均付加モル数であり、1〜50の数である)で表される基である。)
(式中、R4cは炭素数18のアルキル基、炭素数18のアルケニル基又は炭素数18のβ−ヒドロキシアルキル基であり、R5c及びR6cは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のβ−ヒドロキシアルキル基、ベンジル基、又は式:−(A4O)n4−Z4(ここでA4Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、Z4は水素原子又は炭素数1〜24のアシル基であり、n4は平均付加モル数であり、1〜50の数である)で表される基である。) - (A)と、(X)及び(Y)との設計比率が、(A)/〔(X)+(Y)〕重量比で99/1〜40/60である請求項3記載の製紙用薬剤組成物。
- (C1)と(C2)を、これらをそれぞれ80重量%以上含有するアミン化合物の混合物として用いる、請求項3又は4記載の製紙用薬剤組成物。
- 非イオン性界面活性剤(A)、下記一般式(1)で表される陽イオン性界面活性剤(B1)及び下記一般式(2)で表される陽イオン性界面活性剤(B2)を含有し、(B1)と(B2)の合計量中の(B1)の比率が50〜95重量%の範囲である、製紙用薬剤組成物。
(式中、R1bは炭素数16のアルキル基、炭素数16のアルケニル基又は炭素数16のβ−ヒドロキシアルキル基であり、R2bは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルケニル基又は炭素数1〜8のβ−ヒドロキシアルキル基であり、R3b及びR4bは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のβ−ヒドロキシアルキル基、ベンジル基、又は式:−(A1O)n1−Z1(ここでA1Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、Z1は水素原子又は炭素数1〜24のアシル基であり、n1は平均付加モル数であり、1〜50の数である)で表される基であり、X1 -は対イオンである。)
(式中、R5bは炭素数18のアルキル基、炭素数18のアルケニル基又は炭素数18のβ−ヒドロキシアルキル基であり、R6bは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルケニル基又は炭素数1〜8のβ−ヒドロキシアルキル基であり、R7b及びR8bは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のβ−ヒドロキシアルキル基、ベンジル基、又は式:−(A2O)n2−Z2(ここでA2Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、Z2は水素原子又は炭素数1〜24のアシル基であり、n2は平均付加モル数であり、1〜50の数である)で表される基であり、X2 -は対イオンである。) - 形態が乳化液又は懸濁液である請求項1〜6いずれか記載の製紙用薬剤組成物。
- 請求項1〜7いずれか記載の製紙用薬剤組成物をパルプスラリーに添加する紙の製造方法。
- 請求項8記載の紙の製造方法により得られた紙。
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