JP2007276459A - 溶液製膜方法及び溶液製膜設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】固形化防止溶液の飛散によるフイルムの面状故障を回避し、生産効率の高い溶液製膜方法を提供する。
【解決手段】ノズル61aを流延ビード21aの前面側に配する。ノズル61aは、ドープの固定化を防止する溶液を供給する。流延ダイ30が、流延ドラム32上にドープを流出する。ドープは、流延ダイ30から流延ドラム32にかけて流延ビード21aを形成する。減圧チャンバ36が、流延ビード21aの背面側を減圧する。減圧チャンバ36の減圧により流延ビード21aの背面側には、減圧チャンバ36内に向かう気流が発生する。流延ビード21aの前面側では、溶液がノズル61aから壁面32bを伝い、流延ビード21aの両側端部21bに流れる。流延ビード21aは、この流延ビード21aの背面側に発生する気流を遮るため、両側端部21bに流れる溶液がこの気流により飛散することを防ぐ。
【選択図】図2

Description

本発明は、溶液製膜方法及び溶液製膜設備に関する。
ポリマーフィルム(以下、フィルムと称する)は、優れた光透過性や柔軟性および軽量薄膜化が可能であるなどの特長から光学機能性フイルムとして多岐に利用されている。中でも、セルロースアシレートなどを用いたセルロースエステル系フイルムは、強靭性や低複屈折率であることから、写真感光用フイルムをはじめとして、近年市場が拡大している液晶表示装置(以下、LCDと称する)などの表示装置の構成部材である偏光板の保護フイルムまたは光学補償フイルムなどの光学機能性フイルムとして用いられている。
主なフイルムの製造方法としては、溶融押出方法と溶液製膜方法とがある。溶融押出方法とは、ポリマーをそのまま加熱溶解させた後、押出機で押し出してフイルムを製造する方法であり、生産性が高く、設備コストも比較的低額であるなどの特徴を有する。しかし、膜厚精度を調整することが難しく、また、フイルム上に細かいスジ(ダイライン)ができるために、光学機能性フイルムへ使用することができるような高品質のフイルムを製造することが困難である。一方、溶液製膜方法は、溶融押出方法と比べて、光学等方性や厚み均一性に優れるとともに、含有異物の少ないフイルムを得ることができるため、表示装置などに用いられる光学機能性フイルムは、主に溶液製膜方法で製造されている。
この溶液製膜方法の概要について説明する。まず、セルローストリアセテートなどのポリマーをメチレンクロライドや酢酸メチルを主溶媒とする混合溶媒に溶解し、ドープを調製する。次に、このドープに所定の添加剤を混合し、流延ドープを調製する。第3に、流延ドープを流延ダイの流出口からキャスティングドラムやエンドレスバンドなどの走行する支持体上に流延する(以下、流延工程と称する)。このとき、流延ダイの流出口と支持体との間の流延ドープは、流延ビードを形成する。こうして、流延工程において、支持体上に流延膜が形成される。第4に、この支持体が所定の走行速度で流延膜を搬送する。そして、支持体上での冷却、或いは乾燥により自己支持性を有するものとなった流延膜を、支持体から湿潤フイルムとして剥ぎ取り、この湿潤フイルムを乾燥させる(以下、乾燥工程と称する)。最後に、湿潤フイルムを乾燥させたものをフイルムとして巻き取る。なお、この流延工程において、流延ダイの流出口の両端部における流延ドープの固形化を防止するために、固形化防止用溶液(以下、溶液と称する)を流延ビードの両端部に供給し(以下、この方法を液法と称する)、減圧チャンバを用いて流延ビードよりも支持体の走行方向上流側(以下、背面側と称する)を所定圧に減圧することにより、流延ドープと支持体表面と間の密着性を向上させ、支持体と流延膜との間に気泡などが混入することを防ぐことができる。
近年において、LCDや有機ELディスプレイなどの薄型表示装置の需要の急速な伸長に伴い、フイルムの製造方法である溶液製膜方法の製膜速度の高速化が強く望まれている。特許文献1では、液法に用いる溶液として、流延ドープの溶質に対する良溶媒と流延ドープの溶質に対する貧溶媒とを混合した混合液を用いることを提案している。そして、この貧溶媒の割合が少ない混合液を用いる場合には、混合液が供給された流延ビードの耳部がフレキシブルになるため、減圧チャンバの吸引風等に起因する流延ビードのバタツキを抑制可能となる。このため、特許文献1では、この液法は製膜速度の高速化に有効であると報じている。
特開2005−104148号公報
溶液製膜方法の製膜速度の高速化について、流延工程が律速であることは周知であり、流延工程における支持体の走行の高速化を図ることにより、製膜速度の高速化を行うことができる。しかしながら、支持体の走行の高速化(走行速度80m/分以上)に伴って、流延膜と流延ドラムの周面の密着性が低下する。この密着性の低下分を補うために、流延ビードの背面側をより減圧する必要がある。ところが、流延ビードの背面側を−100Pa以下に減圧した状態で溶液製膜方法を行うと、この減圧により溶液が飛散し、減圧チャンバや支持体などを経由して、流延膜に溶液が混入する。この飛散した溶液の流延膜への混入に起因して、流延膜の表面が変形し、結果として、フイルム表面の変形等の面状故障が多発した。
本発明者は、上記フイルムの面状故障の発生要因を鋭意検討した結果、減圧チャンバの減圧量の増加に伴って減圧チャンバ内に吸引された溶液が、減圧チャンバ内に設けられる遮風シール板や側壁、或いは支持体などを介して、流延ビードの製品部に飛散していたことに原因があることを突き止めた。
本発明は、上記問題を鑑み、フイルムの面状故障を回避しつつ、高速製膜を可能にする溶液製膜方法を提供することを目的とする。
本発明の溶液製膜方法は、走行する支持体上に、ダイを用いて、ポリマーと溶媒とを含むドープを流延し、前記ドープから流延膜を前記支持体上に形成し、前記支持体の前記走行方向から見て、前記ダイから前記支持体にかけて前記ドープが形成する流延ビードの上流側を減圧し、前記ドープの固形化を防止する固形化防止用溶液を、前記走行方向から見て、前記流延ビードの下流側から、前記流延ビードの側端部に供給することを特徴とする。
前記支持体の走行速度が80m/分以上であり、前記流延ビードの前記上流側を−100Pa以下に減圧することが好ましい。また、前記支持体は流延ドラムの周面であることが好ましい。
前記溶媒及び固形化防止用溶液の主成分が、前記ポリマーの良溶媒であることが好ましい。また、前記ポリマーはセルロースアシレートと環状ポリオレフィンとのうちいずれかを含むことが好ましい。なお、前記良溶媒は、メチレンクロライドまたは酢酸メチルを含むことが好ましい。
また、本発明の溶液製膜設備は、ポリマーと溶媒とを含むドープを流延するダイと、走行し、前記ダイから流出した前記ドープから流延膜を形成する支持体と、前記支持体の前記走行方向から見て、前記ダイから前記支持体にかけて前記ドープが形成する流延ビードの上流側を減圧する減圧チャンバと、前記ドープの固形化を防止する固形化防止用溶液を、前記走行方向から見て、前記流延ビードの下流側から、前記流延ビードの側端部へ供給する固形化防止用溶液供給手段とを備えることを特徴とする。
前記支持体の走行速度が80m/分以上であり、前記減圧チャンバが前記流延ビードの前記上流側を−100Pa以下に減圧することが好ましい。また、前記支持体が流延ドラムの周面であることが好ましい。
前記溶媒及び固形化防止用溶液の主成分が、前記ポリマーの良溶媒であることが好ましい。また、前記ポリマーはセルロースアシレートと環状ポリオレフィンとのうちいずれかを含むことが好ましい。なお、前記良溶媒は、メチレンクロライドまたは酢酸メチルを含むことが好ましい。
本発明の溶液製膜方法によれば、前記支持体の前記走行方向から見て、前記ダイから前記支持体にかけて前記ドープが形成する流延ビードの上流側を減圧し、前記ドープの固形化を防止する固形化防止用溶液を、前記走行方向から見て、前記流延ビードの下流側から、前記流延ビードの側端部に供給するため、流延ビードの背面側近傍から減圧チャンバに向かう気流が発生しても、流延ビードがこの気流を遮り、固形化防止用溶液が減圧チャンバ内に飛散することを防ぐことができる。特に、流延工程での支持体の走行速度が80m/分以上の高速製膜では、減圧チャンバの減圧度を−100Pa以下に減圧する必要があるため、本発明の効果がより顕著に発現する。すなわち、本発明により、歩留まりがよく、生産効率の高い溶液製膜を行うことができる。
また、本発明の溶液製膜設備によれば、前記支持体の前記走行方向から見て、前記ダイから前記支持体にかけて前記ドープが形成する流延ビードの上流側を減圧する減圧チャンバと、前記ドープの固形化を防止する固形化防止用溶液を、前記走行方向から見て、前記流延ビードの下流側から、前記流延ビードの側端部へ供給する固形化防止用溶液供給手段とを備えるため、流延ビードの背面側から減圧チャンバに向かう気流が発生しても、流延ビードがこの気流を遮り、固形化防止用溶液が減圧チャンバ内に飛散することを防ぐことができる。
以下に、本発明の実施態様について詳細に説明する。ただし、本発明はここに挙げる実施態様に限定されるものではない。
[溶液製膜方法]
図1に、本実施形態で用いるフイルム製造ライン10の概略図を示す。フイルム製造ライン10は、ストックタンク11と流延室12とピンテンタ13とクリップテンタ14と乾燥室15と冷却室16と巻取室17とを有する。
ストックタンク11には、モータ11aで回転する攪拌翼11bとジャケット11cとが備えられており、その内部にはフイルム20の原料となるドープ21が貯留されている。ストックタンク11は、常時、その外周面に設けられているジャケット11cにより、ドープ21の温度が略一定となるように調整される。攪拌翼11bの回転により、ポリマーなどの凝集が抑制され、ドープ21の品質が均質に保持されている。また、ストックタンク11の下流には、ポンプ25と濾過装置26とが備えられている。なお、ドープ21の調製方法に関しては、後で詳細に説明する。
流延室12には、ドープ21の流延口となる流延ダイ30と、支持体であるキャスティングドラム(以下、流延ドラムと称する)32と、流延ドラム32の周面32a近傍に配され、流延ドラム32から流延膜33を剥ぎ取る剥取ローラ34と、流延室12の内部温度を調整する温調設備35とが備えられている。また、減圧チャンバ36は、流延ダイ30と剥取ローラ34との間の流延ドラム32の周面32a近傍に配される。
流延ダイ30の先端には、ドープ21を流出する流出口30a(図2)を備える。流出口30aは、その下方に配置される流延ドラム32の周面32a上にドープ21を流延する。
流延ダイ30の材質としては、析出硬化型のステンレス鋼が好ましく、その熱膨張率が2×10−5(℃−1)以下であることが好ましい。そして、電解質水溶液での強制腐食試験でSUS316製と略同等の耐腐食性を有するものも、この流延ダイ30の材質として用いることができ、さらに、ジクロロメタン、メタノール、水の混合液に3ヵ月浸漬しても気液界面にピッティング(孔開き)が生じない耐腐食性を有するものを用いられる。さらに、鋳造後1ヶ月以上経過したものを研削加工して流延ダイ30を作製することが好ましい。これにより流延ダイ30内をドープ21が一様に流れ、後述する流延膜にスジなどが生じることが防止される。流延ダイ30の接液面の仕上げ精度は、表面粗さで1μm以下、真直度はいずれの方向にも1μm/m以下であることが好ましい。流出口30a(図2)のスリットのクリアランスは、自動調整により0.5mm〜3.5mmの範囲で調整可能とされている。流延ダイ30のリップ先端の接液部の角部分について、そのRは全巾にわたり50μm以下とされている。また、流延ダイ30内部における剪断速度が1(1/秒)〜5000(1/秒)となるように調整されていることが好ましい。このような流延ダイ30を用いることにより、スジ及びムラのない流延膜33を流延ドラム32の周面32a上に形成することができる
流延ダイ30の幅は、特に限定されるものではないが、最終製品となるフイルムの幅の1.1倍〜2.0倍であることが好ましい。また、製膜中の温度が所定温度に保持されるように、この流延ダイ30に温調機(図示しない)を取り付けることが好ましい。また、流延ダイ30にはコートハンガー型のものを用いることが好ましい。さらに、厚み調整ボルト(ヒートボルト)を流延ダイ30の幅方向において所定の間隔で設け、ヒートボルトによる自動厚み調整機構が流延ダイ30に備えられていることがより好ましい。ヒートボルトは予め設定されるプログラムによりポンプ(高精度ギアポンプが好ましい)25の送液量に応じてプロファイルを設定し製膜を行うことが好ましい。また、フイルム製造ライン10中に図示しない厚み計(例えば、赤外線厚み計)のプロファイルに基づく調整プログラムによってフィードバック制御を行っても良い。流延エッジ部を除いて製品フイルムの幅方向の任意の2点の厚み差は1μm以内に調整し、幅方向厚みの最小値と最大値との差が3μm以下となるように調整することが好ましく、2μm以下に調整することがより好ましい。また、厚み精度は±1.5μm以下に調整されているものを用いることが好ましい。
流延ダイ30のリップ先端には、硬化膜が形成されていることがより好ましい。硬化膜の形成方法は、特に限定されるものではないが、セラミックスコーティング、ハードクロムメッキ、窒化処理方法などが挙げられる。硬化膜としてセラミックスを用いる場合には、研削でき気孔率が低く脆くなく耐腐食性が良く、かつ流延ダイ30と密着性が良く、ドープ21との密着性がないものが好ましい。具体的には、タングステン・カーバイド(WC),Al23,TiN,Cr23などが挙げられるが、なかでも特に好ましくはWCである。WCコーティングは、溶射法で行うことができる。
略円筒状または円柱形状に形成される流延ドラム32は、駆動装置によりその軸32bを中心に回転する。この駆動装置によって、流延ドラム32は、その周面32aは所定の走行方向Z1に所定速度(10〜300m/分)で回転する。流延ドラム32の周面32aは、クロムメッキ処理が施され、十分な耐腐食性と強度を有する。また、流延ドラム32の周面32aの温度を所望の温度に保つために、流延ドラム32に伝熱媒体循環装置37が取り付けられている。この伝熱媒体循環装置37にて所望の温度に保持されている伝熱媒体が、流延ドラム32内の伝熱媒体流路を通過することにより、流延ドラム32の周面32aの温度を所望の温度に保持できる。
図2のように、流延工程において、流延ダイ30は流延ドラム32の周面32aへドープ21(図1)を流延する。このとき、この流延ダイ30から流延されたドープ21(図1)は、流延ドラム32の周面32aにかけて、流延ビード21aを形成し、周面32a上のドープ21(図1)は流延膜33となる。この流延膜33は、流延ドラム32の回転によって走行方向Z1に所定の走行速度で搬送される。減圧チャンバ36は、流延ビード21aを安定させるために、この流延ビード21aの背面側を負圧にする。減圧チャンバ36は、−2000Pa〜−10Paの範囲で減圧することができる。図1のように、流延ドラム32上での冷却により自己支持性を備えた流延膜33は、剥取ローラ34によって、流延ドラム32から剥ぎ取られ、湿潤フイルム38となる。
なお、本明細書において、「流延ビード21aの背面側を−X(Pa)以下に減圧する」とは、支持体の走行方向下流側(以下、前面側と称する)よりX(Pa)以上低くなるように、背面側を減圧することをいう。
また、流延室12の内部温度は、温調設備35により所定の範囲内で略一定となるように調整される。流延室12の内部温度は、10℃以上30℃以下であることが好ましい。流延室12内には、蒸発している有機溶媒を凝縮回収するための凝縮器(コンデンサ)39と凝縮液化した溶媒を回収する回収装置40とが備えられている。凝縮器39で凝縮液化した有機溶媒は、回収装置40により回収される。その溶媒は再生装置で再生された後に、ドープ調製用溶媒として再利用される。回収装置40は、流延室12内の雰囲気に含まれる溶媒の飽和温度を−10℃以上10℃以下にすることが好ましい。
流延室12の下流には、湿潤フイルム38を乾燥させてフイルム20とするピンテンタ13と、このフイルム20を乾燥させながら延伸するクリップテンタ14とが設けられている。フイルム20は、クリップテンタ14の所定条件下の延伸処理によって、所望の光学特性が付与される。なお、ピンテンタ13は、固定手段として複数のピンを有する乾燥装置であり、クリップテンタ14は、把持手段としてクリップを有する乾燥装置である。なお、クリップテンタ14は省略しても良い。
クリップテンタ14の下流には耳切装置43が設けられている。この耳切装置43には、クラッシャ44が備えられており、ここで、フイルム20の両側端部は切断された後、クラッシャ44に送り込まれて粉砕される。粉砕されたフイルム細片は、原料ドープとして再利用される。
乾燥室15には、多数のローラ47と吸着回収装置48とが備えられている。さらに、乾燥室15に併設された冷却室16の下流には、強制除電装置(除電バー)49が設けられている。また、本実施形態では、強制除電装置49の下流側に、ナーリング付与ローラ50を設けている。巻取室17の内部には、巻取ローラ51とプレスローラ52とが備えられている。
図1及び図2に示すように、液法装置60は、ノズル61a、61bと、タンク62と、配管62a、62bとから構成される。ノズル61a及び61bは、流延ダイ30の前面側に配される。この前面側とは、流延ドラム32の周面32aの走行方向の下流側を指す。タンク62はドープ21の固形化を防止する溶液を格納する。タンク62には、溶液の温度を所定の範囲に保持する温調機(図示しない)が備えられる。配管62a及び62bは、それぞれノズル61a及び61bとタンク62とを接続する。更に、この配管62a及び62bには、バルブ、ポンプ、流量計などが備えられ、これらの操作によって所望量の溶液をタンク62からノズル61a、61bへ所定の流量で送り出すことができる。
この溶液を流延ビード21aの両側端部21b、リップ先端部及び外気が形成する三相接触線の周辺部付近に供給することが好ましい。この溶液を両側端部21bの片側それぞれに0.1mL/分以上1.0mL/分以下で供給することが、流延膜33中への異物混合を防止するために好ましい。なお、この溶液を供給するポンプとしては、脈動率が5%以下のものを用いることが好ましい。
このノズル61a及び61bの先端には、供給口61c(図2)を備える。また、ノズル61a及び61bの供給口61cは、流延ダイ30の前面側の壁面30bに接するように配されるため、タンク62から配管62a及び62bを介して送液される溶液は、この供給口61cから壁面30bを伝って、流出口30aから流出される流延ビード21aの両端部へ送液される。供給口61cの形状は、溶液が壁面30bに伝うような略円形に形成される。なお、図には、流延ダイ30の流出口30aの片端側に備えられるノズル61aを示しているが、これと同様にして、ノズル61b及び配管62bも、流出口30aの他端側に備えられる。なお、この溶液の生成方法等の詳細については後述する。
図3に示すように、減圧チャンバ36は上部70と下部71とから構成される。上部70は、中空部70aを有する略直方体に形成され、この中空部70aに接続する接続孔70bが上部70の上面に設けられる。また、上部70の底面には、中空部70aと接続する開口部70dが形成される。上部70の上面に設けられる接続孔70bには配管72が挿入される。この配管72は吸引装置73(図1)に接続する。
下部71は、上部シール板75、フロントシール板76、左右で一対のサイドシール板77、エンドシール板78により、中空部71dを有する箱型上に形成されており、上面に開口部71a、1つの側面に開口部71b、底面に開口部71cを有する。また、フロントシール板76と流延ダイ30との間には、両者の隙間を塞ぐパッキン(図示せず)が設けられる。
中空部71d内には、サイドシール板77と平行になるように、サイドシール板77側から中央側に向かって、複数の仕切り板85、86a、86bが配置されている。これら仕切り板85、86a、86bは、上部シール板75及びフロントシール板76に固定されて取り付けられている。また、仕切り板86a、86bの後端にはこれら仕切り板86a、86bの間隔を保持する保持板87が固定される。これら仕切り板85、86a、86bによって、中空部71d内の両端部における気流は、周面32aの走行方向と略逆向きになる。なお、仕切り板86bは、流延ビード21aの幅に応じて、適宜増減し、中空部71d内における気流を周面32aの走行方向Z1と略逆向きにすることが好ましい。
開口部70dと開口部71aとが密閉接続するように上部70と下部71とを嵌合することにより、減圧チャンバ36が形成される。また、減圧チャンバ36は、このパッキンが流延ダイ30に当接するように配置され、開口部71b、中空部71d及び70aからなる減圧ゾーンの隙間を無くす構成となっている。
吸引装置73(図1)の吸引により、この減圧チャンバ36の中空部70a、71dの内圧が所望の圧力まで減圧される。この減圧に伴って、減圧チャンバ36の開口部71b近傍も、中空部70a、71dと同様に所望の圧力に減圧される。こうして、減圧チャンバ36は、流延ビード21aの背面側を所望の圧力に減圧することができる(図2)。
図2及び図4に示すように、ノズル61a、61bは、各部との所定の間隔CL1及びCL2が確保される位置に配される。間隔CL1は、供給口61cの略中央部と流延ビード21a上の位置90との間隔である。位置90は、供給口61cの略中央部から略垂直に延びた線と交わる流延ビード21a上の交点、或いはこの交点の近傍の点である。間隔CL2は、流延膜33の幅方向における、供給口61cの略中央部と流延ビード21aの側端部21bとの間隔である。
次に、図1を用いて、フイルム製造ライン10によりフイルム20を製造する方法の一例を説明する。ストックタンク11では、ジャケット11cの内部に伝熱媒体を流すことによりドープ21の温度を25〜35℃に調整するとともに、攪拌翼11bの回転により常に均一化している。適宜適量のドープ21を、ポンプ25によりストックタンク11から濾過装置26に送り込み濾過することにより、ドープ21中の不純物を取り除く。
流延ドラム32は、駆動装置により走行方向Z1へ所定の走行速度(80m/分以上300m/分以下)で走行する。また、伝熱媒体循環装置37により、流延ドラム32の周面32aの温度は−10℃以上10℃以下の範囲内で略一定となるように調整されている。また、30℃以上35℃以下の範囲で保持されているドープ21を、流延ダイ30から流延ドラム32の周面32b上に流延する。ドープ21は、流延ドラム32の周面32b上で流延膜33を形成する。こうして、流延ドラム32の周面32b上では、流延膜33が冷却固化(ゲル化)され、流延膜33に自己支持性を持たせることができる。流延膜33の冷却が進行すると、結晶の基となる架橋点が形成されて流延膜33のゲル化が促進される。剥取ローラ34を用いて、ゲル化、及びゲル化の進行により自己支持性を有するものとなった流延膜33を、流延ドラム32から剥ぎ取って湿潤フイルム38を形成する。そして、剥取ローラ34はこの湿潤フイルム38をピンテンタ13に案内する。
ピンテンタ13では、多数のピンを湿潤フイルム38の両側端部に差し込み固定した後、この湿潤フイルム38を搬送する間に乾燥を促進させてフイルム20とする。そして、まだ溶媒を含んでいる状態のフイルム20をクリップテンタ14に送り込む。
クリップテンタ14では、チェーンの動きにより無端で走行する多数のクリップによりフイルム20の両側端部を挟持した後、このフイルム20を搬送する間に、乾燥を促進させる。このとき、対面するクリップの幅を拡げてフイルム20の幅方向に張力を付与することでフイルム20を延伸する。このように、フイルム20の幅方向への延伸処理により、フイルム20中の分子が配向し、フイルム20に所望のレターデーションを付与、或いは、フイルム20のレターデーションを調節することができる。
クリップテンタ14から送り出されたフイルム20は、耳切装置43によりの両側端部が切断される。両側端部が切断されたフイルム20は、乾燥室15と冷却室16とを経由し、巻取室17内の巻取ローラ51で巻き取られる。なお、耳切装置43によって切断された両側端部は、クラッシャ44により粉砕されて、ドープ調製用チップとなり再利用される。
巻取ローラ51に巻き取られるフイルム20は、長手方向(流延方向)に少なくとも100m以上とすることが好ましい。また、フイルム20の幅は600mm以上であることが好ましく、1400m以上2500m以下であることがより好ましい。また、本発明は、2500mmより大きい場合にも効果がある。フイルム20の厚みが15μm以上100μm以下の薄いフイルムを製造する際にも本発明は適用される。
図2のように、流延工程では、ドープ21が流延ダイ30の流出口30aから周面32aにかけて、流延ビード21aが形成される。減圧チャンバ36の開口部71bからの吸引により、流延ビード21aの背面側は、流延ビード21aの前面側に対し所定圧(−100Pa以下)まで減圧される。こうして、高速製膜下でも、流延膜33と流延ドラム32の周面32aとの密着性を維持することができる。減圧チャンバ36の減圧により、流延ビード21aの背面側近傍では、流延ビード21aの背面から減圧チャンバ36の開口部71bに向かう気流が発生する。
更に、流延工程では、30℃以上35℃以下に保持された溶液は、供給口61cから0.15ml/分以上0.22ml/分の流量で流出する。供給口61cから流出した溶液は、前面側の壁面30bを伝いながら、流出口30aの両端部へ到達する。流出口30aの両端部に到達した溶液は、流出口30a近傍の流延ビード21aの両側端部21b近傍に到達し、流延ビード21aと共に、流延ドラム32上へ流延される。流延ビード21aの背面側から減圧チャンバ36に向かう気流は、流延ダイ30や流延ビード21aによって遮られる。したがって、流出口30aから流出した溶液が減圧チャンバ36内等に飛散することを防ぐことができる。
また、このノズル61a、61bの供給口61cは、流延ダイ30及び流延ビード21aから所定の間隔CL1及びCL2が確保される位置に配される。こうして、流延ビード21aの背面側の両側端部21b近傍に発生する気流の巻き込みにより、ノズル61a、61bから送液される溶液が飛散することを防ぐことができる。すなわち、このような位置にノズル61a、61bを配することにより、溶液の減圧チャンバ36内部等への飛散に起因するフイルムの面状故障を回避することができる。
なお、間隔CL1は、5mm以下であることが好ましく、より好ましくは3mm以下である。間隔CL2は、1mm以上5mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以上3mm以下である。このような間隔CL1及びCL2を満たすようにノズル61a、61bを配することにより、フイルム表面の面状故障を回避しつつ、流延ビード21aの両側端部21bに溶液を供給し、流延ビード21aの両側端部21bの固化を防ぐことができる。
本発明の溶液製膜方法では、ドープを流延する際に、2種類以上のドープを同時に共流延させて積層させる同時積層共流延、または、複数のドープを逐次に共流延して積層させる逐次積層共流延を行うことができる。なお、両共流延を組み合わせてもよい。同時積層共流延を行う場合には、フィードブロックを取り付けた流延ダイを用いてもよいし、マルチマニホールド型の流延ダイを用いてもよい。ただし、共流延により多層からなるフイルムは、空気面側の層の厚さと支持体側の層の厚さとの少なくともいずれか一方が、フイルム全体の厚みの0.5〜30%であることが好ましい。また、同時積層共流延を行う場合には、ダイスリットから支持体にドープを流延する際に、高粘度ドープが低粘度ドープにより包み込まれることが好ましく、ダイスリットから支持体にかけて形成される流延ビードのうち、外界と接するドープが内部のドープよりもアルコールの組成比が大きいことが好ましい。
上記実施形態では、ノズル61aの供給口の形状は略円形に形成されると記載したが、これに限らず、長円や楕円形などその他の形でもよい。
本発明は、流延ドラム32の替わりに、回転ローラに掛け渡されて移動する流延バンドを用いる溶液製膜方法にも適用可能である。
以下、本発明においてドープ21を調製する際に使用する原料について説明する。
本実施形態では、ポリマーとしてセルロースアシレートを用いており、セルロースアシレートとしては、セルローストリアセテート(TAC)が特に好ましい。そして、セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基へのアシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものがより好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、AおよびBは、セルロースの水酸基中の水素原子に対するアシル基の置換度を表わし、Aはアセチル基の置換度、Bは炭素原子数が3〜22のアシル基の置換度である。なお、TACの90重量%以上が0.1〜4mmの粒子であることが好ましい。ただし、本発明に用いることができるポリマーは、セルロースアシレートに限定されるものではなく、セルロースアセテート、プロピオネート又はセルロースアセテートブチレートなどを含むポリマーを用いても、同等の効果を得ることができる。
(I) 2.5≦A+B≦3.0
(II) 0≦A≦3.0
(III) 0≦B≦2.9
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位,3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を炭素数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位,3位および6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化の場合を置換度1とする)を意味する。
全アシル化置換度、すなわち、DS2+DS3+DS6の値は、2.00〜3.00が好ましく、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)の値は、0.28以上が好ましく、より好ましくは0.30以上であり、特に好ましくは0.31〜0.34である。ここで、DS2は、グルコース単位における2位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合(以下、2位のアシル置換度と称する)であり、DS3は、グルコース単位における3位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合(以下、3位のアシル置換度と称する)であり、DS6は、グルコース単位において、6位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合(以下、6位のアシル置換度と称する)である。
本発明のセルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。2種類以上のアシル基を用いるときには、その1つがアセチル基であることが好ましい。2位,3位および6位の水酸基がアセチル基により置換されている度合いの総和をDSAとし、2位,3位および6位の水酸基がアセチル基以外のアシル基によって置換されている度合いの総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、2.22〜2.90であることが好ましく、特に好ましくは2.40〜2.88である。
また、DSBは0.30以上であることが好ましく、特に好ましくは0.7以上である。さらにDSBは、その20%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましく、より好ましくは25%以上であり、30%以上がさらに好ましく、特には33%以上であることが好ましい。さらに、セルロースアシレートの6位におけるDSA+DSBの値が0.75以上であり、さらに好ましくは、0.80以上であり、特には0.85以上であるセルロースアシレートも好ましく、これらのセルロースアシレートを用いることで、より溶解性に優れた溶液(ドープ)を作製することができる。特に、非塩素系有機溶媒を使用すると、優れた溶解性を示し、低粘度で濾過性に優れるドープを作製することができる。
セルロースアシレートの原料であるセルロースは、リンター綿,パルプ綿のどちらから得られたものでもよい。
本発明におけるセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特に限定はされない。例えば、セルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどが挙げられ、それぞれ、さらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などが挙げられる。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくは、プロピオニル基、ブタノイル基である。
ドープを調製する溶媒としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、メチレンクロライド,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)およびエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。なお、本発明においてドープとは、ポリマーを溶媒に溶解または分散させることで得られるポリマー溶液または分散液を意味している。
上記のハロゲン化炭化水素の中でも、炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、メチレンクロライドが最も好ましく用いられる。TACの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フイルムの機械的強度および光学特性などの物性の観点から、メチレンクロライドの他に炭素原子数1〜5のアルコールを1種ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶媒全体に対して2〜25重量%が好ましく、より好ましくは、5〜20重量%である。アルコールとしては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノールなどが挙げられるが、メタノール,エタノール,n−ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
最近、環境に対する影響を最小限に抑えることを目的に、メチレンクロライドを使用しない溶媒組成も検討されている。この場合には、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル、炭素数1〜12のアルコールが好ましく、これらを適宜混合して用いる場合もある。例えば、酢酸メチル,アセトン,エタノール,n−ブタノールの混合溶媒が挙げられる。これらのエーテル、ケトン,エステルおよびアルコールは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン,エステルおよびアルコールの官能基(すなわち、−O−,−CO−,−COO−および−OH)のいずれかを2つ以上有する化合物も溶媒として用いることができる。
セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号の[0140]段落から[0195]段落に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。また、溶媒および可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤(UV剤),光学異方性コントロール剤,レターデーション制御剤,染料,マット剤,剥離剤,剥離促進剤などの添加剤についても、同じく特開2005−104148号の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
流延ダイ、減圧室、支持体などの構造、共流延、剥離法、延伸、各工程の乾燥条件、ハンドリング方法、カール、平面性矯正後の巻取方法から、溶媒回収方法、フイルム回収方法まで、特開2005−104148号の[0617]段落から[0889]段落に詳しく記述されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
(環状ポリオレフィン)
上記実施形態では、ドープ21を調製する際に使用する原料として、セルロースアシレートを用いると記載したが、本発明は、これに限らず、環状ポリオレフィンを用いても良い。以下、本発明のポリマーとして用いることのできる環状ポリオレフィンについて説明する。
本発明における環状ポリオレフィンとは、環状オレフィン構造を有する重合体であり、その例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(1)〜(4)の各水素化物などがある。本発明に好ましい重合体は、下記化2で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体環状ポリオレフィン、及び、化1で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上をさらに含んでなる付加(共)重合体環状ポリオレフィンである。また、化3で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体も好適に使用することができる。
Figure 2007276459
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化1〜化3における各式において、mは0〜4の整数を表す。R〜Rは、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基、X〜X、Y〜Yは水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CHCOOR11、−(CHOCOR12、−(CHNCO、−(CHNO、−(CHCN、−(CHCONR1314、−(CHNR1314、−(CHOZ、−(CHW、または、XとYあるいはXとYあるいはXとYから構成された(−CO)O、(−CO)NR15を示す。なお、R11〜R15は、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基またはハロゲンで置換された炭化水素基、WはSiR16 3−p (R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子−OCOR16または−OR16、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。
〜X、Y〜Yの置換基に分極性の大きい官能基を導入することにより、光学フイルムの厚さ方向レターデーション(Rth)を大きくすることができるとともに、面内レターデーション(Re)の発現性を大きくすることができる。Re、Rth発現性の大きなフイルムは、フイルム製造過程でフイルムを延伸することにより、Re値、Rth値を大きくすることができる。
ノルボルネン系付加(共)重合体は、特開平10−7732号、特表2002−504184号、US2004229157A1号、WO2004/070463A1号等の各公報に開示されており、ノルボルネン系多環状不飽和化合物同士を付加重合することによって得られる。また、必要に応じ、ノルボルネン系多環状不飽和化合物と、次のようなジエン化合物とを付加重合して得ることもできる。ジエン化合物としては、共役ジエン、非共役ジエン、線状ジエンの各化合物等がある。共役ジエン化合物としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレンを例示することができる。非共役ジエン化合物としてはエチリデンノルボルネンを例示することができる。線状ジエン化合物としてはアクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、酢酸ビニル、塩化ビニルを例示することができる。ノルボルネン系付加(共)重合体は、三井化学(株)よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)が互いに異なる複数のグレードがある。それらは例えばAPL8008T(Tg70℃)、APL6013T(Tg125℃)、APL6015T(Tg145℃)などである。また、ポリプラスチックス(株)よりTOPAS8007、同6013、同6015などのペレットが製品として発売されている。さらに、Ferrania社よりAppear3000が発売されている。
ノルボルネン系重合体水素化物は、特開平1−240517号、特開平7−196736号、特開昭60−26024号、特開昭62−19801号、特開2003‐1159767号、特開2004‐309979号等の各公報に開示されているように、多環状不飽和化合物を付加重合あるいはメタセシス開環重合したのち水素添加することにより作られる。本発明に用いるノルボルネン系重合体において、R〜Rは水素原子または−CHが好ましく、X及びYは水素原子、Cl、−COOCHが好ましく、その他の基は適宜選択される。このノルボルネン系樹脂は、JSR(株)からアートン(Arton)GあるいはアートンFという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250あるいはゼオネックス280という商品名で市販されており、本発明では以上のものをフイルムとすることができる。
[溶媒]
環状ポリオレフィンが溶解することができるもの、すなわち良溶媒であれば、溶媒は特に限定されない。好ましい例として、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素系化合物、炭素原子数が3〜12の鎖状炭化水素、環状炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、ケトン、エーテルから選ばれる化合物が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。炭素原子数が3〜12の鎖状炭化水素類の例としては、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカンなどが挙げられる。炭素原子数が3〜12の環状炭化水素類としてはシクロペンタン、シクロヘキサン及びその誘導体が挙げられる。炭素原子数が3〜12の芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエステルの例としては、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトンの例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテルの例としては、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールが挙げられる。2種類以上の官能基を有する有機溶剤の例としては、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノールが挙げられる。有機溶剤の好ましい沸点は35℃以上かつ150℃以下である。なお、本発明においては、乾燥性、粘度等のドープ物性調節のために、2種以上の化合物の混合物を溶剤として用いることができ、さらに、混合物を溶媒として用いるときには、その混合物にいわゆる貧溶媒が添加されていてもよい。
溶媒に添加する貧溶媒として、使用するポリマー種により適宜選択することができる。例えば、良溶媒として塩素系有機溶剤を使用する場合には、アルコールを好適に使用することができる。アルコールとしては、直鎖、分枝、環状のいずれの構造を有していてもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールは、第一級〜第三級のいずれのものであってもよい。アルコールの例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが含まれる。なお、アルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。貧溶媒のなかでも特に1価のアルコールは、剥離抵抗の低減効果があり、好ましく使用することができる。選択する良溶剤によって特に好ましいアルコールは変化するが、乾燥負荷を考慮すると、沸点が120℃以下のアルコールが好ましく、炭素数が1〜6の1価アルコールがさらに好ましく、炭素数1〜4のアルコールが特に好ましく使用することができる。環状ポリオレフィンのドープを作成する上で特に好ましい混合溶剤は、ジクロロメタンを主溶剤とし、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールあるいはブタノールから選ばれる1種以上のアルコールを貧溶媒にする組み合わせである。
[添加剤及びその他のフイルム成分]
環状ポリオレフィンのドープには、用途に応じた種々の添加剤及びその他のフイルム成分を加えることができる。添加剤としては、(1)劣化防止剤、(2)紫外線防止剤、(3)レターデーション(光学異方性)調節剤、(4)剥離促進剤、(5)可塑剤、(6)赤外吸収剤、(7)微粒子等が挙げられる。添加剤は、固体でも油状物でもよく、すなわち、その融点や沸点によって特に限定されるものではない。例えば、融点が20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合使用、同様に劣化防止剤の混合使用等も可能である。赤外吸収剤(赤外吸収染料)としては、例えば特開平2001−194522号公報に記載されており、それらは本発明でも使用することができる。またその添加するタイミングは環状ポリオレフィンのドープ製造工程中のいずれの工程でも良いし、またはドープ製造工程の最後に添加剤の添加工程を加えて添加をしてもよい。各添加剤の添加量は、所望の機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、多層構造の環状ポリオレフィンフィルムを製造する場合には、各層毎に添加物の種類や添加量を変えてもよい。
(1)劣化防止剤
本発明では、ドープに、公知の劣化防止剤(酸化防止剤)を添加することができ、フェノール系やヒドロキノン系の酸化防止剤がある。例としては、2,6−ジ−t−ブチル,4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。その他の例としては、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系の酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤の添加量は、環状ポリオレフィン100重量部に対して、0.05〜5.0重量部が好ましい。
(2)紫外線吸収剤
得られるフイルムを偏光板に用いる場合や液晶と共に使用する場合に、偏光板や液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤がドープに添加されることが好ましい。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ、良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、ヒンダードフェノール系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。
ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、環状ポリオレフィンに対する重量割合を1ppm〜1.0%とすることが好ましく、10〜1000ppmとすることがさらに好ましい。
(3)レターデーション調節剤
フイルムが所定のレターデーション値を発現するように、芳香族環を少なくとも2つ有する化合物をレターデーション調節剤として用いることができる。レターデーション調節剤を使用する場合には、環状ポリオレフィン100重量部に対して0.05〜20重量部の範囲の割合で使用することが好ましく、0.1〜10重量部の範囲の割合で使用することがより好ましく、0.2〜5重量部の範囲の割合で使用することがさらに好ましく、0.5〜2重量部の範囲の割合で使用することが最も好ましい。なお、2種類以上のレターデーション調節剤を併用してもよい。なお、レターデーション調節剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有する化合物であることが好ましく、可視領域には実質的に吸収能を有していない化合物であることが好ましい。
レターデーション調節剤の「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が好ましく、特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。具体的には、例えば特開2001−166144号公報に開示される化合物が好ましく用いられる。
レターデーション調節剤が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合、(c)連結基を介して結合する場合の3つのタイプに分類することができ、いずれの結合関係を有する化合物であってもよい。なお、芳香族環の結合のため、スピロ結合は形成できないことは言うまでもない。
(a)の縮合環、つまり、2つ以上の芳香族環の縮合環の例としては、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が挙げられる。中でも、ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、2つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。2以上の単結合で2つの芳香族環を結合して、2つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、上記(b)の単結合と同様に、2つの芳香族環の炭素原子間を結合するものであることが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−、またはこれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
上記の芳香族環および連結基は、置換基を有していてもよい。この置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基、非芳香族性複素環基が挙げられる。
アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基を有していてもよく、その置換基の例としては、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基がある。アルキル基(置換アルキル基を含む)の例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチルおよび2−ジエチルアミノエチル等の各基が含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は2〜8の範囲が好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、鎖状アルケニル基の中でも直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基の中にさらに置換基が含まれていてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリル、1−ヘキセニルがある。アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、鎖状アルキニル基の中でも直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基の中にさらに置換基が含まれていてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニルおよび1−ヘキシニルがある。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイル、ブタノイルが含まれる。脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、アルコキシ基等の置換基を有するいわゆる置換アルコキシ基であってもよい。アルコキシ基(置換アルコキシ基を含む)の例としては、メトキシ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシ等の各基が含まれる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルの各基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例としては、メトキシカルボニルアミノ及びエトキシカルボニルアミノの各基がある。
アルキルチオ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例としては、メチルチオ、エチルチオおよびオクチルチオの各基が挙げられる。アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例としては、メタンスルホニル基及びエタンスルホニル基が挙げられる。脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例としては、アセトアミド基が挙げられる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例としては、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、n−オクタンスルホンアミドの各基が挙げられる。脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノの各基が挙げられる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例としては、メチルカルバモイル基およびジエチルカルバモイル基が挙げられる。脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例としては、メチルスルファモイル基及びジエチルスルファモイル基が挙げられる。脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例としては、メチルウレイド基が挙げられる。
非芳香族性複素環基の例としては、ピペリジノ基及びびモルホリノ基が挙げられる。レターデーション調節剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。
レターデーション調節剤としては、1,3,5−トリアジン環を含む化合物の他に、直線的な分子構造を有する棒状化合物も好ましく用いることができる。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析または分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、主鎖の構成する角度が140度以上であることを意味する。
少なくとも二つの芳香族環を有する棒状化合物としては、下記一般式(IV)で表される化合物が好ましい。
一般式(IV): Ar−L−Ar
上記一般式(IV)において、Ar及びArは、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。アリール基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさらに好ましい。芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
一般式(IV)において、Lは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる基から選ばれる二価の連結基である。アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜8であり、最も好ましくは1〜6である。
アルケニレン基及びアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。アルケニレン基およびアルキニレン基の炭素原子数は、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜8であり、さらに好ましくは2〜6であり、さらに好ましくは2〜4であり、最も好ましくは2(ビニレンまたはエチニレン)である。アリーレン基は、炭素原子数は6〜20であることが好ましく、より好ましくは6〜16であり、さらに好ましくは6〜12である。一般式(IV)の分子構造において、Lとこれを挟むAr及びArとが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。
棒状化合物としては、下記一般式(V)で表される化合物がさらに好ましい。
一般式(V):Ar−L−X−L−Ar
上記一般式(V)において、ArおよびArは、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例は、一般式(IV)のArおよびArと同様である。
一般式(V)において、LおよびLは、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−及びこれらの組み合わせからなる基より選ばれる二価の連結基である。アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは1〜6であり、さらに好ましくは1〜4であり、1または2(つまり、メチレンまたはエチレン)であることが最も好ましい。L及びLは、−O−CO−または−CO−O−であることが特に好ましい。一般式(V)において、Xは、1,4−シクロへキシレン、ビニレンまたはエチニレンである。溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。レターデーション発現剤の添加量は、環状ポリオレフィンに対して0.1〜30重量%であることが好ましく、0.5〜20重量%であることがさらに好ましい。
(4)剥離促進剤
環状ポリオレフィンフィルムの剥離抵抗を小さくする添加促進剤としては、いわゆる界面活性剤に、効果の顕著なものが多くみつかっている。好ましい添加促進剤としては燐酸エステル系の界面活性剤、カルボン酸またはカルボン酸塩系の界面活性剤、スルホン酸またはスルホン酸塩系の界面活性剤、硫酸エステル系の界面活性剤が挙げられる。また、上記界面活性剤の炭化水素鎖に結合している水素原子の一部をフッ素原子に置換したフッ素系界面活性剤も有効である。以下に剥離促進剤を例示する。
RZ−1 C17O−P(=O)−(OH)
RZ−2 C1225O−P(=O)−(OK)
RZ−3 C1225OCHCHO−P(=O)−(OK)
RZ−4 C1531(OCHCHO−P(=O)−(OK)
RZ−5 {C1225O(CHCHO)−P(=O)−OH
RZ−6 {C1835(OCHCHO}−P(=O)−ONH
RZ−7 (t−C−C−OCHCHO−P(=O)−(OK)
RZ−8 (iso−C19 −C−O−(CHCHO)−P(=O)−(OK)(OH)
RZ−9 C1225SONa
RZ−10 C1225OSONa
RZ−11 C1733COOH
RZ−12 C1733COOH・N(CHCHOH)
RZ−13 iso−C17−C−O−(CHCHO)−(CHSONa
RZ−14 (iso−C19−O−(CHCHO)−(CHSONa
RZ−15 トリイソプロピルナフタレンスルフォン酸ナトリウム
RZ−16 トリ−t−ブチルナフタレンスルフォン酸ナトリウム
RZ−17 C17 33CON(CH)CHCHSONa
RZ−18 C12 25−CSO・NH
剥離剤の添加量は環状ポリオレフィンに対して0.05〜5重量%が好ましく、0.1〜2重量%がさらに好ましく、0.1〜0.5重量%が最も好ましい。
(5)可塑剤
環状ポリオレフィンは、一般的に、セルロースアセテートと比較して柔軟性に乏しく、フイルムとされてこれに曲げ応力やせん断応力がかけられると、フイルムに割れ等が生じ易い。また、得られたフイルムを光学製品に用いるために加工する際に、切断等をするとその切断部にひびが入りやすく、切り屑が発生しやすい。発生した切り屑は、フイルムを汚染し、光学製品の光学的欠陥の原因となっていた。そこで、この問題点を改良するために、可塑剤をドープに添加することができる。可塑剤の具体例としては、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、正リン酸エステル系、酢酸エステル系、ポリエステル・エポキシ化エステル系、リシノール酸エステル系、ポリオレフィン系、ポリエチレングリコール系の各化合物を挙げることができる。
使用することができる可塑剤としては、常温常圧下で、液状でありかつ沸点が200℃以上の化合物が好ましい。具体的な化合物名としては、以下を例示することができる。
脂肪族二塩基酸エステル系としては、例えばジオクチルアジペート(230℃/760mmHg(略101kPa))、ジブチルアジペート(145℃/4mmHg(略0.532kPa))、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(335℃/760mmHg(略101kPa))、ジブチルジグリコールアジペート(230〜240℃/2mmHg(略0.266kPa))、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート(220〜245℃/4mmHg(略0.532kPa))、ジ−2−エチルヘキシルセバケート(377℃/760mmHg(略101kPa))等が挙げられる。フタル酸エステル系としては、例えば、ジエチルフタレート(298℃/760mmHg(略101kPa))、ジヘプチルフタレート(235〜245℃/10mmHg(略1.33kPa))、ジ−n−オクチルフタレート(210℃/760mmHg(略101kPa))、ジイソデシルフタレート(420℃/760mmHg(略101kPa))等が挙げられる。また、ポリオレフィン系としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン等のパラフィンワックス類(平均分子量330〜600、融点45〜80℃)、流動パラフィン類(JIS規格 K2231ISOVG8、同VG15、同VG32、同VG68、同VG100等)、パラフィンペレット類(融点56〜58℃、58〜60℃、60〜62℃等)、塩化パラフィン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリイソブテン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、スクアラン等が挙げられる。
可塑剤の添加量は、環状ポリオレフィンに対して0.5〜40.0重量%、好ましくは1.0重量%〜30.0重量%、より好ましくは3.0%〜20.0重量%である。可塑剤の添加量が0.5重量%よりも少ないと可塑効果が不十分で、加工適性が向上しない。また、40重量%よりも多いと長時間経った場合に、可塑剤が分離溶出する場合が有り、光学的ムラ、他部品の汚染等が発生し、好ましくない。
(7)微粒子
上記の各種環状ポリオレフィンに微粒子を添加することにより、添加しない場合よりもフイルム表面の動摩擦係数を低くしてフイルムをハンドリングする時にフイルムに加わる応力を低減することができる。本発明で使用できる微粒子としては、特に限定されず、有機あるいは無機の各化合物の微粒子を使用することができる。
微粒子として使用することができる無機化合物としては、ケイ素を含む化合物、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロングチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等が好ましく、ケイ素を含む無機化合物や金属酸化物がさらに好ましい。フイルムの濁度を低減できるという観点からは二酸化ケイ素が特に好ましい。二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上、すべて日本アエロジル(株)製)等の商品名の市販品が使用可能である。酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル(株)製)等の商品名の市販品が使用可能である。
微粒子として使用することができる有機化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンカーボネート、澱粉等がある。これらの粉砕分級物も使用することができる。また、懸濁重合法で合成した高分子化合物、スプレードライ法あるいは分散法等により球型にした高分子化合物も用いることができる。
これらの微粒子の1次平均粒子径は、フイルムのヘイズを低く抑えるという観点から、好ましくは1〜20000nmであり、より好ましくは1〜10000nmでありさらに好ましくは2〜1000nmであり、特に好ましくは5〜500nmである。微粒子の1次平均粒子径は、透過型電子顕微鏡による粒子の平均粒径から求められる。購入した微粒子は凝集していることが多く、使用の前に公知の方法で予め分散することが好ましい。分散により二次粒子径を200〜1500nmにすることが好ましく、300〜1000nmにすることがさらに好ましい。
微粒子の添加量は環状ポリオレフィン100重量部に対して0.01〜0.3重量部が好ましく、0.05〜0.2重量部がさらに好ましく、0.08〜0.12重量部が最も好ましい。
微粒子を添加した環状ポリオレフィンフィルムの好ましいヘイズの範囲は2.0%以下であり、さらに好ましい範囲は1.2%以下であり、特に好ましくは0.5%以下である。微粒子を添加した環状ポリオレフィンフィルムの好ましい動摩擦係数は0.8以下であり、特に好ましくは0.5以下である。動摩擦係数は、JISやASTMが規定する方法に従い、鋼球を用いて測定することができる。ヘイズは日本電色工業(株)製1001DP型ヘイズ計を用いて測定することができる。
次に、本発明におけるドープ21の固定化防止用溶液の詳細について説明する。ビード21aの側端部21bに供給する溶液としては、ドープの溶質(ポリマー)に対する良溶媒、または良溶媒(ポリマー)に貧溶媒を混合した混合液が用いられる。また、貧溶媒を良溶媒に混合する場合、混合する全貧溶媒合計の割合を全溶液に対して20重量%未満、好ましくは13重量%以下とするとよい。なお、良溶媒及び貧溶媒は、上述した実施の形態に限定するものではない。また、溶液は、用いるドープに含まれる良溶媒や貧溶媒と同一の成分が含まれることが好ましい。
(良溶媒)
ポリマーとしてセルロースアシレートを用いる場合、ポリマーの良溶媒成分としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)を用いること好ましい。これらの中でも、炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素を用いることがより好ましく、ジクロロメタンを用いることが最も好ましい。
(貧溶媒)
ポリマーとしてセルロースアシレートを用いる場合、ポリマーの貧溶媒成分としては、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)やケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)を用いることが好ましい。これらの中でも、炭素原子数1〜12のアルコールを用いることがより好ましく、メタノールを用いることが最も好ましい。なお、溶液を構成する良溶媒や貧溶媒としては、複数の化合物を混合した混合物を用いてもよい。
(貧溶媒と良溶媒)
ある液体化合物がポリマーの良溶媒であるか貧溶媒であるかは、ポリマーが全重量の5重量%となるように当該液体化合物とポリマーとを混合し、不溶解物がある場合は、当該液体化合物は貧溶媒であり、不溶解物がない場合は、当該液体化合物は良溶媒であると判断する。
次に、本発明の実施例1について説明する。フイルム製造に使用したポリマー溶液(ドープ)の調製に際しての配合を下記に示す。
[組成]
ドープ21の調製に用いた化合物の処方を下記に示す。
セルローストリアセテート(置換度2.8) 89.3重量%
可塑剤A(トリフェニルフォスフェート) 7.1重量%
可塑剤B(ビフェニルジフェニルフォスフェート) 3.6重量%
の組成比からなる固形分(溶質)を
ジクロロメタン 87重量%
メタノール 12重量%
n−ブタノール 1重量%
からなる混合溶媒に適宜添加し、攪拌溶解してドープ21を調製した。なお、ドープ21の固形分濃度は19.3重量%になるように調整した。ドープ21を濾紙(東洋濾紙(株)製,#63LB)にて濾過後さらに焼結金属フィルタ(日本精線(株)製06N,公称孔径10μm)で濾過し、さらにメッシュフイルタで濾過した後にストックタンク11に入れた。
[セルローストリアセテート]
なお、ここで使用したセルローストリアセテートは、残存酢酸量が0.1重量%以下であり、Ca含有率が58ppm、Mg含有率が42ppm、Fe含有率が0.5ppmであり、遊離酢酸40ppm、さらに硫酸イオンを15ppm含むものであった。また6位水酸基の水素に対するアセチル基の置換度は0.91であった。また、全アセチル基中の32.5%が6位の水酸基の水素が置換されたアセチル基であった。また、このTACをアセトンで抽出したアセトン抽出分は8重量%であり、その重量平均分子量/数平均分子量比は2.5であった。また、得られたTACのイエローインデックスは1.7であり、ヘイズは0.08、透明度は93.5%であった。このTACは、綿から採取したセルロースを原料として合成されたものである。以下の説明において、これを綿原料TACと称する。
[ドープの調製]
ドープ製造ライン(図示しない)を用いてドープ21を調製した。攪拌羽根を有する4000Lのステンレス製溶解タンクで前記複数の溶媒を混合してよく攪拌し、混合溶媒とした。なお、溶媒の各原料としては、すべてその含水率が0.5重量%以下のものを使用した。次に、TACのフレーク状粉体をホッパから徐々に添加した。TAC粉末は、溶解タンクに投入されて、最初は5m/秒の周速で攪拌するディゾルバータイプの偏芯攪拌機及び中心軸にアンカー翼を有する攪拌機を周速1m/秒で攪拌する条件下で30分間分散した。分散開始時の温度は25℃であり、最終到達温度は48℃となった。さらに、予め調製された添加剤溶液を添加剤タンクからバルブで送液量を調整して、全体が2000kgとなるようにした。添加剤溶液の分散を終了した後に、高速攪拌は停止した。そして、攪拌機のアンカー翼の周速を0.5m/秒としてさらに100分間攪拌し、TACフレークを膨潤させて膨潤液を得た。膨潤終了までは窒素ガスにより溶解タンク内を0.12MPaになるように加圧した。この際の溶解タンクの内部は、酸素濃度が2vol%未満であり防爆上で問題のない状態を保った。また膨潤液中の水分量は0.3重量%であった。
膨潤液を溶解タンクからポンプを用いてジャケット付配管に送液した。ジャケット付き配管で膨潤液を50℃まで加熱して、更に2MPaの加圧下で90℃まで加熱し、完全溶解した。このときの加熱時間は15分であった。次に溶解された液を温調機で36℃まで温度を下げ、公称孔径8μmの濾材を有する濾過装置を通過させドープ(以下、濃縮前ドープと称する)を得た。この際、濾過装置における1次側圧力は1.5MPa、2次側圧力を1.2MPaとした。高温にさらされるフィルタ、ハウジング及び配管はハステロイ(商品名)合金製で耐食性の優れたものを利用し保温加熱用の伝熱媒体を流通させるジャケットを備えたものを使用した。
このようにして得られた濃縮前ドープを80℃で常圧とされたフラッシュ装置内でフラッシュ蒸発させて、蒸発した溶媒を凝縮器で回収した。フラッシュ後のドープ21の固形分濃度は、21.8重量%となった。なお、凝縮された溶媒はドープ調製用溶媒として再利用すべく回収装置で回収した。その後に再生装置で再生した後に溶媒タンク11に送液した。回収装置,再生装置では、蒸留や脱水を行った。フラッシュ装置のフラッシュタンクには攪拌軸にアンカー翼を備えた攪拌機(図示しない)を設け、その攪拌機により周速0.5m/秒でフラッシュされたドープを攪拌して脱泡を行った。このフラッシュタンク内のドープの温度は25℃であり、タンク内におけるドープの平均滞留時間は50分であった。このドープ21を採取して25℃で測定した剪断粘度は、剪断速度10(秒−1)で450Pa・sであった。
次に、このドープ21に弱い超音波を照射することにより泡抜きを実施した。その後、ポンプを用いて1.5MPaに加圧した状態で、濾過装置を通過させた。濾過装置では、最初公称孔径10μmの焼結繊維金属フィルタを通過させ、ついで同じく10μmの焼結繊維フィルタを通過させた。それぞれの1次側圧力は1.5MPa,1.2MPaであり、2次側圧力は1.0MPa,0.8MPaであった。濾過後のドープ温度を36℃に調整して2000Lのステンレス製ストックタンク内にドープ21を送液して貯蔵した。ストックタンク11では、周速0.3m/秒の攪拌機11bの回転により、ドープ21の常時攪拌を行った。なお、濃縮前ドープからドープを調製する際に、ドープ接液部には、腐食などの問題は全く生じなかった。
フイルム製造ライン10を用いて、上述したドープ21からフイルム20をつくった。ギアポンプ25は、インバーターモータによりその1次側を増圧する機能を有しており、1次側の圧力が0.8MPaになるようにフィードバック制御を行い送液した。ギアポンプ25は容積効率99.2%、流出量の変動率0.5%以下の性能であるものを用いた。また、流出圧力は1.5MPaであった。図示しない制御部の制御の下、ギアポンプ25は、ストックタンク11のドープ21を、濾過装置26を介して、流延ダイ30へ送った。濾過装置26ではドープ21を濾過した。
流延ダイ30に備えられる温調機により、製膜中における流延ダイ30と配管との温度は略36℃に保温した。流延ダイ30は、コートハンガータイプのダイを用いた。流延ダイ30には、厚み調整ボルトが20mmピッチに設けられており、ヒートボルトによる自動厚み調整機構を具備しているものを使用した。このヒートボルトは、予め設定したプログラムによりギアポンプ25の送液量に応じたプロファイルを設定することもでき、フイルム製造ライン10に設置した赤外線厚み計(図示しない)のプロファイルに基づいた調整プログラムによってフィードバック制御も可能な性能を有するものを用いた。端部20mmを除いたフイルムにおいては、50mm離れた任意の2点の厚み差は1μm以内であり、幅方向における厚みのばらつきが3μm/m以下となるように調整した。また、全体厚みは±1.5%以下に調整した。
流延ダイ30の形成材料として、熱膨張率が2×10−5(℃−1)以下の析出硬化型のステンレス鋼を用いた。これは、電解質水溶液での強制腐食試験でSUS316製と略同等の耐腐食性を有するものであった。また、ジクロロメタン,メタノール,水の混合液に3ヶ月浸漬しても気液界面にピッティング(孔開き)が生じない耐腐食性を有していた。流延ダイ30の接液面の仕上げ精度は表面粗さで1μm以下、真直度はいずれの方向にも1μm/m以下であり、スリットのクリアランスは1.5mmに調整した。流延ダイ30のリップ先端の接液部の角部分については、Rはスリット全巾に亘り50μm以下になるように加工されているものを用いた。流延ダイ30内部での流延ドープ51の剪断速度は1(1/秒)〜5000(1/秒)の範囲であった。また、流延ダイ30のリップ先端には、溶射法によりWC(タングステンカーバイト)コーティングをおこない硬化膜を設けた。
支持体として円筒状の流延ドラム32として利用した。流延ドラム32の周面32aにはクロムメッキ及び鏡面加工処理が施され、周面32aの表面粗さは0.05μm以下であった。その材質はSUS316製であり、十分な耐腐食性と強度を有するものを用いた。流延ドラム32は、図示しない制御部の制御の下、軸32bの駆動により回転した。流延速度、すなわち、周面32bの走行方向における速度は、略80m/分とした。このときに、流延ドラム32の速度変動を0.5%以下とした。また1回転の幅方向の蛇行が、1.5mm以下に制限されるように流延ドラム32の両端位置を検出して制御した。流延ダイ30の直下におけるダイリップ先端と流延ドラム32との上下方向の位置変動は200μm以下にした。流延ドラム32は、風圧変動抑制手段(図示しない)を有した流延室12内に設置した。
流延ドラム32は、周面32aの温度T1の調整を行うことができるように、内部に伝熱媒体を送液できるものを用いた。伝熱媒体循環装置37は、流延ドラム32に伝熱媒体を流した。流延直前の周面32a中央部の温度は0℃であり、周面32aの両側端の温度差は6℃以下であった。なお、流延ドラム32には、表面欠陥がないものが好ましく、30μm以上のピンホールは皆無であり、10μm〜30μmのピンホールは1個/m2以下、10μm未満のピンホールは2個/m2以下であるものを用いた。
流延ドラム32上での乾燥雰囲気における酸素濃度は5vol%に保持した。なお、この酸素濃度を5vol%に保持するために空気を窒素ガスで置換した。また、流延室12内の溶媒を凝縮回収するために、凝縮器(コンデンサ)39を設け、その出口温度を−3℃に設定した。流延ダイ30近傍の静圧変動は、±1Pa以下に抑制した。
また、流延ダイ30の1次側(周面32aの走行方向上流側)に、流延ビード21aの背面側を減圧するための減圧チャンバ36を設置した。この減圧チャンバ36の減圧度は、流延ビードの前面側と背面側とで1Pa〜5000Paの圧力差が生じるように調整され、この減圧度の調整は周面32aの走行速度に応じてなされる。その際に、流延ビード21aの長さが20mm〜50mmとなるように流延ビードの両面側の圧力差を設定した。減圧チャンバ36の内部温度を所定の温度で一定にするためにジャケット(図示しない)を取り付けた。そのジャケット内には35℃に調整された伝熱媒体を供給した。また、減圧チャンバ36は、流延部周囲のガスの凝縮温度よりも高い温度に設定できる機構を具備したものを用いた。流出口30aにおけるビードの前面部、背面部にはラビリンスパッキン(図示しない)を設けた。
また、ジクロロメタンが50重量%、n−ブタノールが50重量%の混合溶媒Aをつくり、これを溶液として用いた。この混合溶媒Aを液法装置60のタンク62に貯留し、溶液の温度を20℃以上30℃以下の範囲に保持した。
ドープ21の固形化を防止する溶液を供給するノズル61a、61bを流延ダイ30の両端に配した。供給口61cと位置90との間隔CL1が2mmに、流延膜33の幅方向における供給口61cと流延ビード21aの側端部21bとの間隔CL2が2mmになるように、ノズル61a、61bをそれぞれ配した。
フイルム製造ライン10において、流延ダイ32から周面32a上に、ドープ21を乾燥厚み80μmで流延し、流延膜33を形成した。流出口30aから周面32aにかけて流延ビード21aが形成された。減圧チャンバ36により、流延ビード21aの背面側を所定の減圧値で減圧した。液法装置61は、流延ビード21aの両端部へ溶液を供給した。
流延室12内で気化した溶媒化合物は−3℃の凝縮器39で凝縮液化して回収装置40で回収した。回収された溶媒は、水分量が0.5%以下となるように調整した。また、溶媒が除去された乾燥風は、再度加熱して乾燥風として再利用した。自己支持性を有する流延膜33を、剥取ローラ34により剥ぎ取り、湿潤フイルム38を得た。剥取不良を抑制するために流延ドラム32の速度に対して剥取速度(剥取ローラドロー)は100.1%〜110%の範囲で適切に調整した。湿潤フイルム55をパスローラ63の2本のローラを介して搬送し、ピンテンタ64に送った。このパスローラ63では送風機から60℃の乾燥風を湿潤フイルム55に送風した。ピンテンタ13及びクリップテンタ14にて、この湿潤フイルム38を所定の残留溶媒量(5重量%以下)まで乾燥し、フイルム20を得た。本実施例において、4種類の減圧値(流延ビード21aの前面側に対し−100Pa、−150Pa、−200Pa、−300Pa)について、それぞれ溶液製膜方法を行った。いずれの減圧値の場合においても、溶液は流延ビード21aへ飛散せず、溶液の飛散に起因するフイルム20の面状故障は発生しなかった。
<比較例1>
実施例1において、間隔CL1が略0mmになるようにノズル61a、61bを配した。それ以外は、実施例1と同様の条件で溶液製膜方法を行った。このとき、いずれの減圧値の場合においても、溶液が流延ドープ21aへ飛散し、溶液の飛散に起因するフイルムの面状故障が発生した。
<比較例2>
実施例1において、間隔CL2が略0mmになるようにノズル61a、61bを配した。それ以外は、実施例1と同様の条件で溶液製膜方法を行った。このとき、いずれの減圧値の場合においても、溶液が流延ドープ21aへ飛散し、溶液の飛散に起因するフイルムの面状故障が発生した。
<比較例3>
供給口61cが流延ビード21aの両側端部21aに対向するように、ノズル61a、61bを流延ダイ30の両側端にそれぞれ配したこと以外は、実施例1と同様にして溶液製膜方法を行った。減圧チャンバ36による減圧値は、それぞれ、−100Pa、−120Pa、−150Paであったが、いずれのケースにおいても溶液が流延ドープ21aへ飛散し、溶液の飛散に起因するフイルムの面状故障が発生した。特に、減圧値が−150Paであるとき、この面状故障の程度が最も大きかった。
実施例1と比較例3との結果より、流延ビード21aの前面側から溶液を供給する場合に、減圧により発生する気流により、溶液が減圧チャンバ等に飛散することを回避することができる。また、実施例1と比較例1及び比較例2との結果から、CL1、CL2が所定の範囲になるようにノズル61a、61bを配するとときに、溶液が減圧により発生する気流に巻き込まれず、溶液が減圧チャンバ等に飛散することを回避することができる。
低速(支持体の走行速度が80m/分未満)の溶液製膜において、流延ビード21aの側面側から溶液を供給しても、減圧度が低いため、減圧による溶液飛散の問題は発生しない。しかしながら、支持体の走行速度が高速(80m/分以上)の場合に、減圧度を大きくせざるを得ず、その結果、減圧による溶液飛散が新たな問題となる。特に、この減圧度が−300Pa以下であるときは、溶液飛散が著しくなるため本願発明の効果がより顕著なものとなる。したがって、本発明によれば、フイルムの面状故障を誘発する溶液飛散の防止しつつ、生産効率よくフイルムをつくることができる。
フイルム製造ラインの概要を示す説明図である。 流延工程における流延ダイの流出口近傍を拡大した側面図である。 減圧チャンバの概要を示す斜視図である。 流延工程における流延ダイの流出口近傍を、流延ドープの走行方向下流側から上流側に向かってみたときの正面図である。
符号の説明
10 フイルム製造ライン
21 ドープ
21a 流延ビード
21b 側端部
30 流延ダイ
30a 流出口
32 流延ドラム
33 流延膜
36 減圧チャンバ
60 液法装置
61b、61b ノズル
61c 供給口
72 配管
73 吸引装置
90 位置
CL1〜CL2 間隔

Claims (12)

  1. 走行する支持体上に、ダイを用いて、ポリマーと溶媒とを含むドープを流延し、
    前記ドープから流延膜を前記支持体上に形成し、
    前記支持体の前記走行方向から見て、前記ダイから前記支持体にかけて前記ドープが形成する流延ビードの上流側を減圧し、
    前記ドープの固形化を防止する固形化防止用溶液を、前記走行方向から見て、前記流延ビードの下流側から、前記流延ビードの側端部に供給することを特徴とする溶液製膜方法。
  2. 前記支持体の走行速度が80m/分以上であり、
    前記流延ビードの前記上流側を−100Pa以下に減圧することを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法。
  3. 前記支持体は流延ドラムの周面であることを特徴とする請求項1または2記載の溶液製膜方法。
  4. 前記溶媒及び固形化防止用溶液の主成分が、前記ポリマーの良溶媒であることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の溶液製膜方法。
  5. 前記ポリマーはセルロースアシレートと環状ポリオレフィンとのうちいずれかを含むことを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の溶液製膜方法。
  6. 前記良溶媒は、メチレンクロライドまたは酢酸メチルを含むことを特徴とする請求項4または5記載の溶液製膜方法。
  7. ポリマーと溶媒とを含むドープを流延するダイと、
    走行し、前記ダイから流出した前記ドープから流延膜を形成する支持体と、
    前記支持体の前記走行方向から見て、前記ダイから前記支持体にかけて前記ドープが形成する流延ビードの上流側を減圧する減圧チャンバと、
    前記ドープの固形化を防止する固形化防止用溶液を、前記走行方向から見て、前記流延ビードの下流側から、前記流延ビードの側端部へ供給する固形化防止用溶液供給手段とを備えることを特徴とする溶液製膜設備。
  8. 前記支持体の走行速度が80m/分以上であり、
    前記減圧チャンバが前記流延ビードの前記上流側を−100Pa以下に減圧することを特徴とする請求項7記載の溶液製膜設備。
  9. 前記支持体が流延ドラムの周面であることを特徴とする請求項7または8記載の溶液製膜設備。
  10. 前記溶媒及び固形化防止用溶液の主成分が、前記ポリマーの良溶媒であることを特徴とする請求項7ないし9のうちいずれか1項記載の溶液製膜設備。
  11. 前記ポリマーはセルロースアシレートと環状ポリオレフィンとのうちいずれかを含むことを特徴とする請求項7ないし10のうちいずれか1項記載の溶液製膜設備。
  12. 前記良溶媒は、メチレンクロライドまたは酢酸メチルを含むことを特徴とする請求項10または11記載の溶液製膜設備。
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