JP2007276384A - インクジェットヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】湿気に起因する圧電体素子の特性低下が防止され、しかもインクの吐出性についても良好な吐出性が確保された、インクジェットヘッドを提供する。
【解決手段】ノズルプレート7と、ノズルプレート7上に設けられた第1圧力室9及びその側方に設けられた第2圧力室9と、第1圧力室9及び第2圧力室9上に設けられた振動板6と、振動板6上に設けられた下部電極12と、下部電極12上であって第1圧力室9の上方に設けられた第1圧電体膜13及び第1上部電極と、下部電極上であって前記第2圧力室の上方に設けられた第2圧電体膜13及び第2上部電極14と、少なくとも第1圧電体膜13、第1上部電極14、第2圧電体膜13及び第2上部電極14の側面を覆うように設けられた絶縁性保護膜15と、を備えたインクジェットヘッド1である。絶縁性保護膜15は、第1圧電体膜13と第2圧電体膜13との間に開口部16を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、インクを吐出するインクジェットヘッドに関する。
従来、インクジェット式プリンターなどに用いられるインクジェットヘッドとして、ヒーターを用いてインク溶媒を突沸させることによりインクを吐出させるサーマル方式(バブル方式)とピエゾ素子(圧電体素子)を用いたピエゾ方式(圧電方式)のものが知られている。ピエゾ方式のインクジェットヘッドは、インクを貯留する圧力室と、該圧力室に設けられて前記インクを吐出するためのノズルと、前記圧力室を構成する振動板と、該振動板上に設けられたアクチュエーターとしてのピエゾ素子(圧電体素子)とを備えたもので、ピエゾ素子における圧電体膜の変位によって振動板を変位させ、これにより圧力室内の内圧を変化させることで、圧力室内のインクを押し出し、吐出させる機構となっている。
ところで、ピエゾ方式のインクジェットヘッドにおいては、前記の圧力室と圧電体素子とが1:1に対応させられ、それぞれの圧力室毎にその吐出が独立して制御されるようになっており、このような圧力室と圧電体素子との組が多数備えられたことにより、ヘッドが構成されている。したがって、このインクジェットヘッドには圧電体素子が多数備えられているが、このように圧電体素子が多数形成されていると、個々の素子の側面の面積が大きくなる。そして、これが大気に露出すると、特に圧電体素子中の圧電体膜が大気中の湿気によって劣化し、圧電体素子の特性が低下してしまうといった問題があった。
そこで、このような問題を解決するため、従来、圧電体素子の上面及び側面を覆って絶縁体層を形成した構造のインクジェットヘッドが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−226071号公報
しかしながら、前記のインクジェットヘッドでは、圧電体膜の湿気による劣化、そしてこれに起因する圧電体素子の特性低下については防止できるものの、圧電体素子によるインクの吐出制御に関しては、特にインクの吐出性を損なうといった不都合が生じている。すなわち、インクジェットヘッドによるインクの吐出機構は、前述したように、圧電体素子における圧電体膜の変位によって振動板を変位させ、これにより圧力室内の内圧を変化させることでインクを吐出させる機構となっている。したがって、より良好な吐出性を確保するためには、圧電体膜の変位が規制されることなく起こる必要がある。しかし、前記のインクジェットヘッドでは、圧電体素子とその周辺が全て前記絶縁体層によって覆われているため、この絶縁体層によって圧電体膜の変位が規制され、結果的にインクの吐出性が損なわれてしまっているのである。
さらに、このインクジェットヘッドでは、圧電体素子間も前記絶縁体層によって覆われているため、例えば隣り合う圧電体素子どうしが異なる動作をする際、一方の圧電体素子の動作に伴う振動板の変位が、前記絶縁層を介して他方の圧電体素子の動作に伴う振動板の変位によって影響されてしまい、結果的に個々の圧電体素子によるインクの吐出性が損なわれてしまうことがあった。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、湿気に起因する圧電体素子の特性低下が防止され、しかもインクの吐出性についても良好な吐出性が確保された、インクジェットヘッドを提供することにある。
本発明のインクジェットヘッドは、ノズルプレートと、前記ノズルプレート上に設けられた第1圧力室と、前記ノズルプレート上であって前記第1圧力室の側方に設けられた第2圧力室と、前記第1圧力室及び前記第2圧力室上に設けられた振動板と、前記振動板上に設けられた下部電極と、前記下部電極上であって前記第1圧力室の上方に設けられた第1圧電体膜及び第1上部電極と、前記下部電極上であって前記第2圧力室の上方に設けられた第2圧電体膜及び第2上部電極と、少なくとも前記第1圧電体膜、前記第1上部電極、前記第2圧電体膜及び前記第2上部電極の側面を覆うように設けられた絶縁性保護膜と、を備え、前記絶縁性保護膜は、前記第1圧電体膜と前記第2圧電体膜との間に開口部を有することを特徴とする。
このインクジェットヘッドによれば、前記圧電体素子に、その圧電体膜及び上部電極の側面を覆って絶縁性保護膜が設けられているので、特に圧電体素子中の圧電体膜の側面が絶縁性保護膜によって覆われるため、例えばこの圧電体膜が大気中の湿気によって劣化することが防止される。したがって、湿気に起因する圧電体素子の特性低下が防止されることにより、インクの吐出性についても良好な吐出性が確保される。
また、前記絶縁性保護膜には、隣り合う圧電体素子間、すなわち圧電体素子の側方に開口部が形成されているので、これによって絶縁性保護膜による圧電体膜の変位の規制が緩和され、インクの吐出性について良好な吐出性が確保される。
さらに、前記絶縁性保護膜には、前記開口部が圧電体素子間に形成されているので、例えば圧電体素子どうしが異なる動作をした際、一方の圧電体素子の動作に伴う振動板の変位が、前記絶縁性保護膜を介して他方の圧電体素子側に影響してしまうことが抑制される。すなわち、前記絶縁性保護膜は前記開口部によってその連続性が低められていることにより、前記一方の側の圧電体素子による変位が絶縁性保護膜を介して他方の側に伝わることがほとんどなく、したがって、前記変位が他方の圧電体素子側に影響してしまうことが抑制される。これにより、圧電体素子の独立性が確保され、個々の圧電体素子によるインクの吐出性が良好になる。
また、前記インクジェットヘッドにおいては、前記第1圧電体膜は、平面視した状態で前記第1圧力室の内側に配設されてなり、前記第1圧電体膜及び前記第1上部電極の側面を覆う前記絶縁性保護膜と、前記開口部との境界が、前記第1圧力室の直上に位置していることを特徴とする。
このようにすれば、絶縁性保護膜はその開口部が十分に広くなって隣り合う圧電体素子間での前記絶縁性保護膜の連続性が十分に低くなることにより、前記一方の側の圧電体素子による変位が絶縁性保護膜を介して他方の側に伝わることが確実に防止される。
また、前記インクジェットヘッドにおいては、前記絶縁性保護膜は、前記第1上部電極上に開口領域を有することを特徴とする。
このようにすれば、絶縁性保護膜による圧電体膜の変位の規制が緩和され、インクの吐出性について良好な吐出性が確保される。
また、前記インクジェットヘッドにおいては、前記絶縁性保護膜の前記開口部又は前記開口領域に樹脂層が設けられていることを特徴とする。
このようにすれば、前記樹脂層によって開口部や開口領域からの例えば湿気(水分)の浸入が防止され、したがって浸入した湿気が浸透・拡散して圧電体膜に到達し、これを劣化させてしまうといった不都合が防止される。よって、湿気に起因する圧電体素子の特性低下が防止され、これによりインクの吐出性についても良好な吐出性が確保される。すなわち、前記の開口部や開口領域から浸入した湿気(水分)は直接的には圧電体膜に接触せず、したがってこれをすぐに劣化させることはないものの、長期的に見れば、浸入した湿気が拡散して圧電体膜に到達し、これを劣化させてしまう。しかし、前記したように樹脂層が設けられているので、このような不都合が防止され、インクの吐出性についてもその長期信頼性が確保されるのである。
また、前記樹脂層は、樹脂からなることで例えば無機膜などに比べ柔軟性が高いことから、この樹脂層によって圧電体膜の変位が強く規制されることがなく、したがって前記したようにインクの良好な吐出性が確保される。
なお、前記樹脂層は、熱可塑性樹脂からなるのが好ましい。
このようにすれば、前記樹脂層を形成する樹脂を溶媒に溶解することで液状材料を形成し、この液状材料を前記開口部及び前記開口領域に配した後、溶媒を蒸発・除去することで樹脂層を形成できる。したがって、高温での熱処理を必要とすることなく比較的低温での熱処理により、樹脂層を形成することができることから、既に形成されている他の構成要素に対しての熱的ダメージを最小限に抑えることができる。
また、前記熱可塑性樹脂は、ポリイミドまたはポリフッ化ビニリデンであるのが好ましい。
ポリイミドやポリフッ化ビニリデンは耐湿性が高く比較的柔軟性も高いため、圧電体膜の変位を強く規制することなく、開口部や開口領域からの湿気(水分)の浸入を良好に防止することができる。
また、前記インクジェットヘッドにおいては、前記樹脂層が、該樹脂層を形成する液状材料が前記開口部及び前記開口領域に液滴吐出法で配されたことにより、形成されているのが好ましい。
このようにすれば、樹脂層の製造工程が容易になり、マスクなどが不要なため生産コストも安価になる。また、液滴吐出法によって絶縁性保護膜に囲まれた開口部内や開口領域内に液状材料を配するので、絶縁性保護膜が隔壁として機能することにより、開口部内や開口領域内に配した液状材料が外に流れ出ることがなく、したがって液状材料を浸み込ませるための受容層の形成などといった前処理が不要になり、直接樹脂層を形成することができるため生産性がより向上する。
以下、本発明を詳しく説明する。
図1は本発明のインクジェットヘッドの第1実施形態を示す組立斜視図、図2はこのインクジェットヘッドの要部を平面視した模式図、図3は図2におけるA−A線矢視断面図、図4は図2におけるB−B線矢視断面図である。
これらの図において符号1はインクジェットヘッドである。このインクジェットヘッド1は、インクジェット式プリンターなどに用いられるもので、図1に示すようにヘッドケース2にヘッド本体3を収容し、さらにヘッド本体3にフレキシブル基板4を接続して構成されたものである。ヘッド本体3は、流路形成基板5と、振動板6と、ノズルプレート7とを備えて構成されたものである。
また、ヘッド本体3には、その振動板6側に、図2に示すように多数の圧電体素子(ピエゾ素子)8が並列した状態に形成されている。これら圧電体素子8は、後述する圧力室の平面形状に対応して、その平面形状が細長い矩形状に形成されている。また、圧電体素子8は、図3、図4に示すように、前記流路形成基板5に形成された圧力室9と1:1に対応して、それぞれ圧力室9の直上に配設されている。
圧力室9は、インクを貯留する部位であり、シリコン基板からなる流路形成基板5を上下に貫通して形成された空間である。そして、前記したようにその底面(下面)側がノズルプレート7に覆われ、後述するようにその上面側が振動板6に覆われたことにより、ノズル孔、インク供給口以外は閉じられた状態に形成されている。このような構成によって圧力室9は、後述するようにインク供給口からインクが供給され、ノズル孔からインクを吐出するようになっている。
このような圧力室9は、図1に示したように、二列に整列した状態で多数配設されており、図3、図4に示したようにその底面側がノズルプレート7によって覆われ、閉じられている。ノズルプレート7に形成された多数のノズル10は、それぞれ圧力室9内に連通する位置に配置され、かつ二列に整列した状態で配置されている。
なお、図1では、簡略化して圧力室9を14個×2列で示したが、実際には、前述したように多数の圧電体素子8に対応して、圧力室9も多数個形成されている。また、本実施例では2列で示しているが、必ずしも2列である必要はない。一列内で必要なノズル数、チップサイズ、必要な総ノズル数等を考慮し、都度適当な列数にすればよい。一般に列数を減らし、チップサイズを小型化すれば圧電体素子8や圧力室9の歩留まりは向上するが、ヘッドにチップを組み込む工程での煩雑さは増える。
このような圧力室9は、図1、図4に示すように、圧力室9の配列方向に沿って形成された連通部11により連通している。そして、連通部11にはこれに連通してリザーバ(図示せず)が設けられ、このリザーバにはインク供給口(図示せず)が形成されている。このような構成のもとに圧力室9には、インクジェットヘッド1とは別に設けられたインクタンク(図示せず)より、チューブ(図示せず)を介して前記インク導入口にインクが供給され、さらにリザーバ、連通部11を経てインクが供給されるようになっている。
また、この圧力室9は、図3、図4に示すように、前記ノズルプレート7と反対の側の面に振動板6が接合したことにより、その上部側が閉じられている。振動板6は、圧電体素子8の駆動によって変位(撓曲)し、圧力室9の内圧を変化させるものである。ここで、振動板6は、図3に示すように隣り合う圧力室9、9間において連続した状態に形成されている。しかし、後述するようにこの振動板6を振動させる(撓ませる)ための圧電体素子8は、基本的に個々が独立して動作するようになっていることにより、振動板6は、動作した圧電体素子8の直下に位置する部分のみが振動する(撓む)ようになっている。
このような振動板6は、酸化珪素(SiO等のSiOx)からなる第1膜6aと、酸化ジルコニウム(ZrO等のZrOx)からなる第2膜6bとの積層膜からなっている。すなわち、圧力室9側に第1膜6aが配設され、その上に第2膜6bが配設されたことにより、これら積層膜によって振動板6が構成されている。また、この振動板6は、厚さが例えば1〜2μm程度に形成されている。
振動板6の上には、前記圧電体素子8が形成されている。圧電体素子8は、前述したように圧力室9に1:1に対応して配設されたもので、二列に整列した圧力室9のそれぞれの直上に配置され、したがってこれら圧電体素子8も二列に整列したものとなっている。この圧電体素子8は、下部電極12と圧電体膜13と上部電極14とから構成されている。
下部電極12は、本例では前記振動板6上の全面に形成されたもので、厚さが例えば0.2μm程度の白金等によって形成されている。この下部電極12は、振動板6上の全面に形成されたことにより、圧電体素子8の駆動によって振動板6とともに変位するようになっている。すなわち、この下部電極12は、圧電体素子8の構成要素であるとともに、振動板6と同じ機能をも発揮するようになっている。なお、本例において下部電極12は、図2に示したように複数の圧電体素子8の共通電極となっている。
圧電体膜13は、図3、図4に示すように、厚さが例えば1μm程度のPZT(Pb(Zr,Ti)O)等によって形成されたものであり、上部電極14は、厚さが例えば0.1μm程度の白金等によって形成されたものである。これら圧電体膜13と上部電極14とは、下部電極12と異なり、圧電体素子8毎に独立して島状に形成されている。このような構成のもとに圧電体素子8は、それぞれ独立して駆動するようになっている。
ここで、このように圧電体素子8を独立して駆動させる圧電体膜13と上部電極14とは、該圧電体素子8に対応する圧力室9に対して、図3に示すように少なくともその長辺側が、平面視した状態で前記圧力室9の内側に配設されている。また、圧電体膜13、上部電極14の短辺側についても、図4に示すように平面視した状態で前記圧力室9の内側に配設されているのが望ましい。このような構成によって圧力室9は、平面視した状態でその直上部の一部が、圧電体膜13に覆われないようになっている。
これら圧電体素子8上には、これらを覆って絶縁性保護膜15が形成されている。絶縁性保護膜15は、耐湿性の高い絶縁材料からなるもので、例えばAlやSiOからなるものである。本実施形態では、Alによって形成されている。この絶縁性保護膜15は、圧電体素子8の上面と側面、すなわち上部電極14の上面と、圧電体膜13及び上部電極12の側面とを覆って形成されたもので、特に圧電体素子8中の圧電体膜13の側面を覆ってこれを封止したものである。なお、下部電極12は、前述したように前記振動板6上の全面に形成されていることにより、絶縁性保護膜15によってその上面の一部は覆われるものの、その側面を覆われてはいない。しかし、圧電体素子8は、これを島状に独立させる圧電体膜13と上部電極12とが絶縁性保護膜15によってその側面が覆われることにより、圧電体素子8は、実質的にその側面が絶縁性保護膜15によって覆われているものとする。
この絶縁性保護膜15には、図3に示すように隣り合う圧電体素子8、8間において、該絶縁性保護膜15の下地である下部電極12を露出させる開口部16が形成されている。ここで、下部電極12も圧電体素子8の構成要素ではあるものの、本実施形態では、独立した駆動をなさせるための圧電体膜13と上部電極14とを、実質的な圧電体素子としている。したがって、前記開口部16は、各圧電体素子8、8を実施的に構成する圧電体膜13と上部電極14との積層体間に、形成されたものとなっている。
この開口部16は、図2に示すように、二列に整列した方向での隣り合う圧電体素子8、8(圧電体膜13、13)間、すなわち圧電体素子8、8(圧電体膜13、13)の長辺間を開口しており、これによってこれら圧電体素子8、8(圧電体膜13、13)間での絶縁性保護膜15の連続性を低めている。なお、この開口部16については、圧電体素子8、8(圧電体膜13、13)間にて溝状に形成し、これら圧電体素子8、8(圧電体膜13、13)間で絶縁性保護膜15を不連続にさせるように形成してもよい。
また、この開口部16は、図3に示すように、前記圧電体膜13の長辺側における開口縁16a、すなわち該開口部16と前記絶縁性保護膜15との境界が、前記圧力室9の直上に位置するように形成されている。つまり、前述したように圧力室9は、平面視した状態でその直上部の一部が圧電体膜13に覆われないようになっているが、前記開口縁16a(境界)は、この圧電体膜13に覆われない部分に位置させられているのである。そして、このような構成によって圧力室9は、その直上部の一部が前記開口部16内に位置させられている。
また、絶縁性保護膜15には、図4に示すように前記開口部16とは別に、前記上部電極14に通じるコンタクトホール17が形成されている。
そして、この絶縁性保護膜15上には、前記コンタクトホール17を介して、前記上部電極14に電気的に接続する配線18が形成されている。
また、このように圧電体素子8、絶縁性保護膜15、配線18等が形成された領域上には、封止板19が貼設されており、これによって本実施形態のヘッド本体3が構成されている。この封止板19は、圧電体素子部を保護する機能と、駆動制御用ICチップを配置することによる配線基板としての機能と、CMPをする際のウェハー支持基板の役割を果たすことができるようになっている。なお、本実施形態では、封止板19に直接制御用ICを設けることなく、図1に示したように前記配線18から封止板19を経由してフレキシブル基板4を外付けし、このフレキシブル基板4に圧電体素子8の駆動を制御する半導体装置(IC)を設けるようにしている。
このような構成からなるインクジェットヘッド1にあっては、圧電体素子8に通電すると、圧電体膜13が圧電効果によってひずみ、変位することで外側に撓曲する。すると、下部電極12と振動板6とが圧電体膜13と一体になって同時に変位し、外側(封止板19側)へ撓曲することで、圧力室9内の容積を増大させ、内圧を低くする。
このようにして圧力室9内の容積が増大し、内圧が低下すると、連通部11を介して接続するリザーバ(図示せず)内にインクが充填されている場合には、増大した容積分に相当するインクが、リザーバから連通部11を介して圧力室9内に流入する。
そして、このような状態から圧電体素子8へそれまでと逆の電位を通電すると、圧力室9側に振動板6が撓むことにより圧力室9内の体積が減少し、内圧が高まる。これによってインクは、ノズル10から液滴となって吐出される。
また、前記リザーバには、前述したようにインクジェットヘッド1とは別に設けられたインクタンク(図示せず)より、チューブ(図示せず)を介してインクが供給されるようになっている。
次に、このような構成からなるインクジェットヘッド1の製造方法に基づき、本発明のインクジェットヘッドの製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態では、まず、図5(a)に示すようにシリコン基板20を用意する。そして、このシリコン基板20を熱酸化処理することにより、その表層部に酸化珪素(SiO)からなる第1膜6aを形成する。続いて、この第1膜6a上にスパッタ法でジルコニウム(Zr)を成膜する。次いで、これを熱酸化処理することにより、ジルコニウム膜から酸化ジルコニウム(ZrO)膜を形成し、これによって図5(b)に示すように、酸化珪素膜(第1膜6a)と酸化ジルコニア膜(第2膜6b)との積層膜からなる振動板6を形成する。なお、酸化ジルコニア膜は、振動板6の膜圧、剛性の調整と、この上部に形成する白金電極膜(下部電極12)の配向制御と、さらに上層のPZT(圧電体膜13)からの鉛の拡散が酸化珪素膜(第1膜6a)まで広がらないように止める拡散バリア層の役割を果たしている。振動板6の膜厚、剛性の調整の機能については、酸化珪素膜(第1膜6a)だけでも可能であり、電極成膜プロセスによる白金膜(下部電極12)の配向制御や、下部電極12による鉛拡散の防止が可能であれば、必ずしも酸化ジルコニア膜は必要ではない。
次いで、前記振動板6上にスパッタ法等の気相法によって白金を成膜し、図5(c)に示すように下部電極12を形成する。白金電極膜の製法としては、前記スパッタ法に限らず、蒸着法などの気相プロセスやめっき法のような液相プロセスでも可能である。なお、この下部電極12を成膜するに先立ち、振動板6の酸化ジルコニア膜(第2膜6b)との間に接着層(図示せず)を形成する。接着層としては、一般にはTiOxが用いられるが、ZrOx等を用いることもできる。
また、本実施形態では下部電極12として白金を用いているが、Irなどの金属や導電性酸化物電極、例えばSrRuOやLaNiOなどを用いることもできる。下部電極12には電極としての機能の他に、上部に形成する圧電体膜13の配向制御の機能も必要である。特に、(100)配向させたペロブスカイト構造の酸化物電極は、PZT(圧電体膜13)の配向制御にもっとも都合がよい。
次いで、下部電極12上に、図5(d)に示すようにゾルゲル法等の液相法によってPZTからなる圧電体層13aを形成する。ここで、ゾルゲル法による圧電体層13aの形成方法としては、まず、PZTを構成する金属元素、すなわちPb、Zr、Tiを含有する化合物、例えばアルコキシド等の有機化合物を溶媒(分散媒)に溶解(分散)し、得られた溶液(分散液)を公知の塗布法で前記下部電極12上に配し、その後、焼成することによって圧電体層13aを得る、といった手法が採用される。なお、ゾルゲル法以外の手法として、例えばスパッタ法やCVD法、MOCVD法等の気相法や水熱合成法のような液相プロセスにより、圧電体層13aを形成するようにしてもよい。
次いで、圧電体層13a上にスパッタ法等の気相法によって白金を成膜し、図6(a)に示すように上部電極層14aを形成する。なお、上部電極層14aの成膜方法についても、下部電極12と同様に、めっき等の液相法も採用可能であり、また必ずしも白金である必要はない。
このようにして下部電極12上に圧電体層13a及び上部電極層14aを形成したら、公知のレジスト技術、露光・現像技術によってレジストパターン(図示せず)を形成する。そして、このレジストパターンをマスクにして反応性イオンエッチング(RIE)等のドライエッチングを行い、上部電極層14a及び圧電体層13aをパターニングすることにより、図6(b)に示すように上部電極14及び圧電体膜13を形成する。これにより、圧電体素子8が得られる。
次いで、図6(c)に示すように前記シリコン基板20上に、スパッタ法等によって圧電体素子8を覆って絶縁性保護膜15を形成する。なお、この絶縁性保護膜15は、前述したように主に圧電体膜13を外部環境(特に湿度)から保護するものであり、駆動時の圧電体素子8の撓みを妨げないよう、機能を果たせる範囲内で可能な限り薄く形成するのが好ましい。
次いで、前記絶縁性保護膜15を覆ってレジスト層(図示せず)を形成し、さらにこのレジスト層を、露光・現像することによってパターニングする。そして、このレジストパターンをマスクにして前記絶縁性保護膜15をエッチングすることにより、図6(d)に示すように隣り合う圧電体素子8、8間に下部電極12を露出させる開口部16と、上部電極14に通じるコンタクトホール17(図4参照)とを形成する。
ここで、一般に半導体チップの層間絶縁膜に形成したコンタクトホールの場合、アスペクト比が大きいため、タングステンプラグ等を形成する必要がある。ところが、本実施形態では前記層間絶縁膜にあたる絶縁性保護膜15の膜厚が100nm程度と薄く、またコンタクト径も数ミクロン以上となることから、コンタクトホール17のアスペクト比が極めて小さい。このため、プラグを形成する必要なく、このコンタクトホール17を形成した後、後述するように直接配線19を形成することが可能になる。
次いで、絶縁性保護膜15上にAl、Au等の配線材料を成膜して配線層(図示せず)を形成する。続いて、公知のレジスト技術、露光・現像技術、エッチング技術によって配線層をパターニングすることにより、図4に示したように前記上部電極14に電気的に接続する配線18を形成する。
次いで、必要に応じて前記配線18を覆う層間絶縁膜等(図示せず)を形成し、さらにシリコン基板20上の全面に、図3、図4に示したように封止板19を接着等によって貼設する。
次いで、シリコン基板20の底面側、すなわち圧電体素子8を形成した側と反対の側を、必要に応じて化学機械研磨法(CMP法)で研磨し、所望の厚さにする。
続いて、このシリコン基板20の底面側に公知の手法によってレジストパターン(図示せず)を形成し、さらにこのレジストパターンをマスクにしてシリコン基板20をエッチングし、圧力室9や連通部11等を加工・形成するとともに、これらを形成することでシリコン基板20を流路形成基板5とする。このような圧力室9の形成のための加工法(エッチング法)としては、シリコン基板20としてSi(110)基板を用い、これをKOHにより異方性エッチングするといった手法が好適に採用される。
その後、流路形成基板5(シリコン基板20)の底面側に、従来と同様にしてノズルプレート7を接着等で貼設し、図3に示したヘッド本体3を得る。そして、図1に示したように形成したヘッド本体3にフレキシブル基板4を接続し、さらにヘッドケース2に収容することにより、本実施形態のインクジェットヘッド1を得る。
このようにして得られたインクジェットヘッド1は、インクジェット式のプリンターや、工業用のインクジェット装置などに用いられる。
このような構成のインクジェットヘッド1にあっては、耐湿性の絶縁性保護膜15によって特に圧電体素子8中の圧電体膜13の側面が覆われているため、この圧電体膜13が大気中の湿気によって劣化し、これに起因して圧電体素子8の特性が低下してしまうことが防止される。したがって、インクの吐出性についても良好な吐出性が確保される。
また、前記絶縁性保護膜15には、隣り合う圧電体素子8、8間、すなわち圧電体素子8の側方に下地を露出させる開口部16が形成されているので、これによって絶縁性保護膜15による圧電体膜13の変位の規制が緩和され、インクの吐出性について良好な吐出性が確保される。
さらに、前記開口部16が、隣り合う圧電体素子8、8間において下部電極12を露出させて形成されているので、例えば隣り合う圧電体素子8、8どうしが異なる動作をした際、一方の圧電体素子8の動作に伴う振動板6の変位が、前記絶縁性保護膜15を介して他方の圧電体素子8側に影響してしまうことが抑制される。すなわち、前記絶縁性保護膜15は前記開口部16によってその連続性が低められていることにより、前記一方の側の圧電体素子8による変位が絶縁性保護膜15を介して他方の側に伝わることがほとんどなく、したがって、前記変位が他方の圧電体素子8側に影響してしまうことが抑制される。これにより、圧電体素子8の独立性が確保され、個々の圧電体素子によるインクの吐出性が良好になる。
(実験例)
次に、前記構成からなるインクジェットヘッド1の、絶縁性保護膜15の開口部16における開口縁16a(境界)の位置と、振動板6の撓み量(変位量)について実験した結果を説明する。
図7は実験結果を説明するための図であって、図7上部はインクジェットヘッド1の側断面要部を模式的に示す図、図7下部は実験結果を示すグラフである。また、図7上部における各符号は、図3に示した符号と同一であり、9は圧力室、6aは振動板6の第1膜、6bは第2膜、12は下部電極、13は圧電体膜、14は上部電極、15は絶縁性保護膜を示している。また、絶縁性保護膜15における開口部16は示していないものの、その開口縁16a(境界)の位置が、開口部の開口幅の半分となる抜き幅となり、図7下部における横軸に対応している。なお、図7下部における横軸の原点は、隣り合う圧電体素子8、8(圧電体膜13、13)間の中心点を示している。
また、図7下部における縦軸は、絶縁性保護膜15に開口部16が形成されていないとき(図7中において横軸が原点にあるとき)の振動板6の変位量(撓み量)を100とした場合の、振動板6の変位量(撓み量)の増加率(%)を示している。さらに、この図7下部におけるカーブPは、前記開口部16の開口縁16aが図7上部に対応して変化したときの、振動板6の変位量(撓み量)の変化を示している。
図7下部におけるカーブQは、前記開口部16の開口縁16aが図7上部に対応して変化したときの、振動板6の共振周波数の変化を示している。
なお、このカーブQに対応する図7下部の縦軸は、絶縁性保護膜15に開口部16が形成されていないとき(図7中において横軸が原点にあるとき)の振動板6の共振周波数を100とした場合の、振動板6の共振周波数の増加率(%)を示している。
図7に示したように、圧電体素子8、8間における開口部16の幅が広くなり、その開口縁16a(境界)が圧電体素子8の圧電体膜13に近づくに連れ、振動板6の変位量の増加率が高まることが分かった。特に、このような変位量の増加は、開口端16aが圧力室9の直上に位置する範囲で顕著となった。したがって、絶縁性保護膜15による圧電体膜13の変位の規制を緩和し、インクの吐出性を向上するためには、前記開口部16の開口縁16aが圧力室9の直上に位置しているのが、好ましいことが分かった。
ヘッドのコンプライアンス(剛性)は系の共振周波数に影響し、これがヘッド駆動波形を制約する。すなわち共振周波数以上の周波数を持つ波形を駆動波形として用いることはできない。したがって系の剛性が変わることはインクの吐出特性に影響する。本構造ではコンプライアンスについて開口部16の幅(開口縁16の位置)にほとんど影響を受けないことが分かった。したがって、絶縁性保護膜15に開口部16を形成しても、開口部16を形成しないときと同様の共振周波数を実現することができ、圧電体素子8による吐出制御を行うことができることが確認された。
次に、本発明のインクジェットヘッドの第2実施形態を、図2に対応する図8(a)と図3に対応する図8(b)とを参照して説明する。
図8(a)、(b)は本発明のインクジェットヘッドの第2実施形態を示す図であり、図8(a)、(b)中符号30はインクジェットヘッドである。このインクジェットヘッド30が図2、図3に示したインクジェットヘッド1と異なるところは、絶縁性保護膜15に、圧電体素子8の上面を露出させる開口領域31が形成されている点と、この開口領域31内、及び前記開口部16内に、耐湿性の樹脂層32が形成されている点にある。
本実施形態のインクジェットヘッド30において、その絶縁性保護膜15には、圧電体素子8の上面、すなわち上部電極14の上面上に、絶縁性保護膜15に囲まれてなる開口領域31が形成されている。この開口領域31は、上部電極14の上面において、その外周部のみを覆う絶縁性保護膜15に囲まれて形成されたもので、その内部に圧電体素子8の上部電極14の上面を露出させるように形成されたものである。
また、この開口領域31内には、露出する上部電極14の上面を覆って耐湿性の樹脂層32が形成されており、さらに前記開口部16内にも、露出する下部電極12を覆って樹脂層32が形成されている。これら樹脂層32は、本実施形態では熱可塑性の樹脂によって形成されたもので、具体的にはポリイミド(PI)やポリフッ化ビニリデン(PVdF)、さらには他のフッ素系樹脂などによって形成されたものである。なお、この樹脂層32における耐湿性とは、湿気(水分)に対して変質し難い性質であるとともに、湿気(水分)を透過(透湿)させ難い性質であることを意味している。
このような構成のインクジェット30を形成するに際し、前記開口領域31を形成するには、前記第1実施形態において、図6(d)に示したように絶縁性保護膜15をエッチングして開口部16とコンタクトホール17とを形成する際、開口領域31も同じ工程で形成するようにする。すなわち、前記絶縁性保護膜15を覆ってレジスト層(図示せず)を形成し、さらにこのレジスト層を露光・現像することでパターニングし、レジストパターンを形成する際、前記開口領域31にも対応した形状にレジストパターンを形成する。そして、このレジストパターンをマスクにして前記絶縁性保護膜15をエッチングすることにより、図8(b)に示したように開口部16とコンタクトホール17と開口領域31とを同工程で形成するのである。
そして、前記開口部16内及び開口領域31内に樹脂層32を形成するには、まず、これら開口部16内及び開口領域31内に、図9(a)に示すように前記樹脂層32の形成材料である液状材料32aを、インクジェット法(液滴吐出法)で配する。ここで、液状材料32aは前記樹脂層32を構成する樹脂、例えばポリイミドやポリフッ化ビニリデンを適宜な溶媒で溶解してなるものである。このとき、開口部16内及び開口領域31内に液状材料32aをインクジェット法で配するようにしているので、これら開口部16内及び開口領域31を囲む絶縁性保護膜15が隔壁として機能することにより、開口部16内及び開口領域31内に配した液状材料32aが外に流れ出ることが防止されている。したがって、液状材料32aを浸み込ませるために受容層を形成するなどといった前処理を行う必要がなく、直接開口部16内及び開口領域31内に液状材料32aを配し、樹脂層32を形成することができるようになっている。
そして、このように液状材料32aを配した後、これを例えば100℃程度の低温で加熱し乾燥することにより、図9(b)に示すように開口部16内及び開口領域31内にそれぞれ樹脂層32を形成する。このとき、樹脂層32を構成する樹脂として、前記したように熱可塑性樹脂を用いているので、この樹脂を溶媒に溶解してなる液状材料32aをインクジェット法で配した後、前記したように100℃程度の低温で加熱・乾燥して溶媒を蒸発・除去することにより、樹脂層32を形成することができる。
このような構成のインクジェットヘッド30にあっては、前記インクジェットヘッド1と同様に、絶縁性保護膜15によって圧電体膜13が大気中の湿気により劣化することが防止されていることから、インクの吐出性についても良好な吐出性が確保される。
また、前記絶縁性保護膜15に開口部16が形成されているので、これによって絶縁性保護膜15による圧電体膜13の変位の規制が緩和され、インクの吐出性について良好な吐出性が確保される。
さらに、隣り合う圧電体素子8、8間に前記開口部16が形成されているので、例えば隣り合う圧電体素子8、8どうしが異なる動作をした際、一方の圧電体素子8の動作に伴う振動板6の変位が、前記絶縁性保護膜15を介して他方の圧電体素子8側に影響してしまうことが抑制される。よって、圧電体素子8の独立性が確保され、個々の圧電体素子によるインクの吐出性が良好になる。
また、前記絶縁性保護膜15に開口領域31が形成されているので、これによっても絶縁性保護膜15による圧電体膜13の変位の規制が十分に緩和され、したがって、良好なインク吐出性が確実に得られる。
また、開口部15、開口領域31に形成された樹脂層32は、樹脂からなることで例えば無機膜などに比べ柔軟性が高いことから、この樹脂層32によって圧電体膜13の変位が強く規制されることもなく、したがって、前述したように良好なインク吐出性が確実に得られる。
さらに、開口部16内及び開口領域31内に耐湿性の樹脂層32が形成されているので、この樹脂層32によって開口部16や開口領域31から下地側への湿気(水分)の浸入が防止され、湿気に起因する圧電体素子8の特性低下が長期的にも防止される。したがって、圧電体素子8の特性低下が防止されることにより、インクの吐出性についてもその長期信頼性が確保される。
また、液状材料32aがインクジェット法(液滴吐出法)で配されることによって樹脂層32が形成されているので、その製造工程が容易になり、マスクなどが不要なため生産コストも安価になる。また、インクジェット法によって絶縁性保護膜15に囲まれた開口部16や開口領域31内に前記液状材料32aが配されるので、絶縁性保護膜15が隔壁として機能することにより、開口部16や開口領域31内に配した液状材料が外に流れ出ることがなく、したがって液状材料を浸み込ませるための受容層の形成などといった前処理が不要になり、直接樹脂層32を形成することができるため、生産性がより向上する。
また、樹脂層32を構成する樹脂として、前記したように熱可塑性樹脂を用いているので、この樹脂を溶媒に溶解してなる液状材料32aをインクジェット法で配した後、前記したように100℃程度の低温で加熱・乾燥して溶媒を蒸発・除去することにより、樹脂層32が形成される。したがって、既に形成されている他の構成要素に対しての熱的ダメージが最小限に抑えられる。
なお、このような構成からなるインクジェットヘッド30と、開口部16、開口領域31を形成しただけで、これらの内部に樹脂層32を形成しない構造のインクジェットヘッド(図示せず)とについて、それぞれ、前記実験例と同様の実験を行った。その結果、いずれのインクジェットヘッドも、インクジェットヘッド1と同様の傾向が得られ、特に、開口部16の開口端16a(境界)が圧力室9の直上に位置する範囲で、振動板6の変位量の増加が顕著となった。したがって、このような構造のインクジェットヘッドにあっても、絶縁性保護膜15による圧電体膜13の変位の規制を緩和し、インクの吐出性を向上するためには、前記開口部16の開口縁16aが圧力室9の直上に位置しているのが、好ましいことが分かった。
また、特に開口部16、開口領域31を形成しただけで、これらの内部に樹脂層32を形成しない構造のインクジェットヘッドでは、前記インクジェットヘッド1に比較して、変位量(撓み量)の増加傾向がより顕著になり、増加率も高くなった。したがって、開口部16だけでなく開口領域31も形成することにより、絶縁性保護膜15による圧電体膜13の変位の規制をより緩和することができ、これによってインクの吐出性をより向上させ得ることが分かった。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、前記第2実施形態において、開口部16及び開口領域31の両方に樹脂層32を形成しなくてもよく、また、これらのいずれか一方のみに樹脂層32を形成するようにしてもよい。
本発明のインクジェットヘッドの第1実施形態の分解斜視図である。 図1に示したインクジェットヘッドの要部を平面視した模式図である。 図2におけるA−A線矢視断面図である。 図2におけるB−B線矢視断面図である。 (a)〜(d)は図1に示したインクジェットヘッドの製造工程図である。 (a)〜(d)は図1に示したインクジェットヘッドの製造工程図である。 実験例の模式図と実験結果を示すグラフとを合わせた説明図である。 本発明のインクジェットヘッドの第2実施形態の要部側断面図である。 (a)、(b)は図8に示したインクジェットヘッドの製造工程図である。
符号の説明
1、30…インクジェットヘッド、6…振動板、7…ノズルプレート、8…圧電体素子、9…圧力室(第1圧力室、第2圧力室)、10…ノズル、12…下部電極、13…圧電体膜(第1圧電体膜、第2圧電体膜)、14…上部電極(第1上部電極、第2上部電極)、15…絶縁性保護膜、16…開口部、16a…開口端(境界)、20…シリコン基板、31…開口領域、32…樹脂層、32a…液状材料

Claims (6)

  1. ノズルプレートと、
    前記ノズルプレート上に設けられた第1圧力室と、
    前記ノズルプレート上であって前記第1圧力室の側方に設けられた第2圧力室と、
    前記第1圧力室及び前記第2圧力室上に設けられた振動板と、
    前記振動板上に設けられた下部電極と、
    前記下部電極上であって前記第1圧力室の上方に設けられた第1圧電体膜及び第1上部電極と、
    前記下部電極上であって前記第2圧力室の上方に設けられた第2圧電体膜及び第2上部電極と、
    少なくとも前記第1圧電体膜、前記第1上部電極、前記第2圧電体膜及び前記第2上部電極の側面を覆うように設けられた絶縁性保護膜と、を備え、
    前記絶縁性保護膜は、前記第1圧電体膜と前記第2圧電体膜との間に開口部を有することを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記第1圧電体膜は、平面視した状態で前記第1圧力室の内側に配設されてなり、
    前記第1圧電体膜及び前記第1上部電極の側面を覆う前記絶縁性保護膜と、前記開口部との境界が、前記第1圧力室の直上に位置していることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記絶縁性保護膜は、前記第1上部電極上に開口領域を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記絶縁性保護膜の前記開口部又は前記開口領域に樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項3記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記樹脂層は、熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項4記載のインクジェットヘッド。
  6. 前記熱可塑性樹脂は、ポリイミドまたはポリフッ化ビニリデンであることを特徴とする請求項5記載のインクジェットヘッド。
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