JP2007273923A - 電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 長寿命特性を有する電解コンデンサを提供する。
【解決手段】 本発明の電解コンデンサは、陽極電極箔と陰極電極箔とセパレータを巻回し、かつ電解液を含浸させてなるコンデンサ素子を外装ケースに収納してなる電解コンデンサにおいて、前記電解液として下記一般式(1)で示されるジシアナミドをアニオンとする塩を含む電解液を用い、電解液中の含水率を0.7wt%以下としているので、寿命特性が良好である。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明の電解コンデンサは、陽極電極箔と陰極電極箔とセパレータを巻回し、かつ電解液を含浸させてなるコンデンサ素子を外装ケースに収納してなる電解コンデンサにおいて、前記電解液として下記一般式(1)で示されるジシアナミドをアニオンとする塩を含む電解液を用い、電解液中の含水率を0.7wt%以下としているので、寿命特性が良好である。
【選択図】 なし
Description
本発明は電解コンデンサに関し、さらに詳しくは長寿命特性および低インピーダンス特性を有する電解コンデンサに関する。
電解コンデンサは、高純度のアルミニウム箔に化学的あるいは電気化学的にエッチング処理を施してアルミニウム箔表面を拡大させるとともに、このアルミニウム箔をアジピン酸水溶液等の化成液中にて化成処理して表面に酸化皮膜層を形成させた陽極電極箔と、エッチング処理のみを施した高純度のアルミニウム箔からなる陰極電極箔とを、マニラ紙等からなるセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。そして、このコンデンサ素子は電解コンデンサ駆動用の電解液を含浸した後、アルミニウム等からなる有底筒状の外装ケースに収納する。外装ケースの開口部には弾性ゴムからなる封口体を装着し、絞り加工により外装ケースを密封している。
ここで、コンデンサ素子に含浸される高電導度を有する電解コンデンサ駆動用の電解液として、γ−ブチロラクトンを溶媒とし、溶質として環状アミジン化合物を四級化したカチオンであるイミダゾリニウムカチオンをカチオン成分とし、フタル酸イオンなどの酸の共役塩基をアニオン成分とした塩、さらに高電導度特性を示す四弗化アルミニウムアニオンをアニオン成分とした塩を溶解させたものが用いられている。
一方、コンデンサの中では寿命特性に難点がある電解コンデンサに対しては長寿命化には強い要求がある。このような電解コンデンサの寿命の劣化は電解液の溶媒が封口部材を通して蒸散してしまうことが大きな要因となっている。そこで、不揮発性であるイオン性液体を電解コンデンサ用電解液として用いて長寿命化を図る試みがある(特許文献1)。
特開2005−353568号公報
しかしながら、このようなイオン性液体を電解コンデンサ用電解液として用いてみると寿命試験においてインピーダンスが上昇し、長寿命特性を得ることができないことが判明した。そこで、本発明は従来にない長寿命特性とともに高電導度特性を有する電解コンデンサ用電解液を提供することを目的とする。
本発明者らは、ジシアナミドをアニオンとするイオン性液体を用いた場合に、寿命特性が劣化する原因の究明を行った。その結果、電解コンデンサの製造工程で含まれる3wt%以下の水分によってジシアナミドアニオンの分解によるものと思われるが、ジシアナミドアニオンの減少によって電解液の電導度は低下し、寿命特性が劣化することが分かった。
そこで、この電導度の低下を抑制する検討を行った結果、電解コンデンサに含浸された電解液中の含水率を0.7wt%以下とすることにより、寿命試験中の電導度の低下が抑制されることが判明した。
すなわち、本発明の電解コンデンサは、陽極電極箔と陰極電極箔とセパレータを巻回し、かつ電解液を含浸させてなるコンデンサ素子を外装ケースに収納してなる電解コンデンサにおいて、前記電解液として下記一般式(1)で示されるジシアナミドをアニオンとする塩を含む電解液を用い、電解液中の含水率を0.7wt%以下とすることを特徴とする。
さらに、前記電解液において20〜80wt%のスルホランを含有すると寿命特性はより向上する。
また、75wt%以下のγ-ブチロラクトンを含有させると、四弗化アルミニウムをアニオンとする塩を含む電解液より高電導度を有する電解液が得られる。
以上のように、本発明のジシアナミドをアニオンとする塩を含む電解液を用い、電解液中の含水率を0.7wt%以下とした電解コンデンサは、従来にない長寿命特性を有する。さらに、前記電解液に20〜80wt%のスルホランを含有すると寿命特性はより向上する。また前記電解液に75wt%以下のγ-ブチロラクトンを含有すると、高電導度特性および低温特性を有することができる。
本発明の電解コンデンサは以下のようにして作製する。陽極電極箔と陰極電極箔をセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。また陽極電極箔、陰極電極箔には陽極引出し手段及び陰極引出し手段であるリード線がそれぞれ接続されている。これらのリード線はそれぞれの箔と接続する接続部と接続部と連続した丸棒部、及び丸棒部に溶接された外部接続部より構成されている。
陽極電極箔は、純度99%以上のアルミニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエッチングして拡面処理した後、アジピン酸アンモニウム等の水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜層を形成したものを用いる。
そして、電解液を含浸したコンデンサ素子を有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケースに収納し、外装ケースの開口端部に、リード線を導出する貫通孔を有する封口体を挿入し、さらに外装ケースの端部を加締めることにより電解コンデンサの封口を行う。
本発明の電解コンデンサ中の電解液の含水率は0.7wt%以下であるが、このましくは0.5wt%さらに好ましくは0.3wt%以下である。この範囲を越えると寿命特性が低下する。
さらに、本発明に用いる電解液にスルホランを含有すると寿命特性はより向上するが、含有量は電解液中、20〜80wt%、好ましくは30〜70wt%である。この範囲内では、寿命試験後のインピーダンス特性が良好である。さらに、低温特性が向上し、寿命試験後の静電容量変化が低減する。また、20〜50wt%の範囲では初期のインピーダンス特性、低温特性が良好である。なお、スルホランの含有率が20wt%未満では、所望の寿命特性を得ることができなかったものの、インピーダンス特性は良好であった。
さらに、前記電解液は、γ-ブチロラクトンを含むものであるが、含有量は電解液中、75wt%以下、好ましくは20〜70wt%である。この範囲の下限以上では高電導度が得られ、上限以下では低温特性が向上する。また、20wt%以下であると寿命特性が向上する。
本発明に用いる電解液にスルホラン、γ-ブチロラクトンを含有することができるが、これらの溶媒の他に以下の溶媒を用いることができる。すなわち、プロトン性極性溶媒、非プロトン性溶媒、及びこれらの混合物を用いることができる。プロトン性極性溶媒としては、一価アルコール類(エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類およびオキシアルコール化合物類(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメトキシプロパノール等)などが挙げられる。また、非プロトン性の極性溶媒としては、アミド系(N−メチルホルムアミド、N,N─ジメチルホルムアミド、N─エチルホルムアミド、N,N─ジエチルホルムアミド、N─メチルアセトアミド、N,N─ジメチルアセトアミド、N─エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクトン類(δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン等)、スルホラン系(3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等)、環状アミド系(N─メチル─2─ピロリドン等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、スルホキシド系(ジメチルスルホキシド等)などが代表として挙げられる。
本発明の電解コンデンサ用電解液は、ジシアナミドをアニオンとする塩を用いるものであるが、イオン性液体となるカチオンとしては、下記式で示される非対称のカチオンを用いることができる。
R1、R2はアルキル基、好ましくは、R1がメチル基、R2がエチル基、ブチル基
R1〜R4はアルキル基、好ましくは、R1がペンチル基でR2〜R4がエチル基、R1がヘキシル基でR2〜R4がエチル基またはブチル基
R1〜R4はアルキル基、好ましくは、R1がプロピル基、ブチル基、またはヘキシル基でR2がメチル基
R1〜R4はアルキル基、好ましくは、R1〜R3がヘキシル基でR2がデシル基
なかでも、電導度、漏液特性の良好な1−エチル−3−メチルイミダゾリウムがもっとも好適である。
また、電解コンデンサの寿命特性を安定化する目的で、ニトロフェノール、ニトロ安息香酸、ニトロアセトフェノン、ニトロベンジルアルコール、2−(ニトロフェノキシ)エタノール、ニトロアニソール、ニトロフェネトール、ニトロトルエン、ジニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合物、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、酸性リン酸エステル化合物等のリン系化合物を添加することができる。
また、電解コンデンサの安全性向上を目的として、電解液の耐電圧向上を図ることができる非イオン性界面活性剤、多価アルコールと酸化エチレン及び/または酸化プロピレンを付加重合して得られるポリオキシアルキレン多価アルコールエーテル化合物、ポリビニルアルコールを添加することもできる。
また、本発明の電解コンデンサ用電解液に、硼酸、多糖類(マンニット、ソルビット、ペンタエリスリトールなど)、硼酸と多糖類との錯化合物、コロイダルシリカ等を添加することによって、さらに耐電圧の向上をはかることができる。
また、漏れ電流の低減の目的で、オキシカルボン酸化合物等を添加することができる。
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明する。コンデンサ素子は陽極電極箔と陰極電極箔をセパレータを介して巻回して形成する。また陽極電極箔、陰極電極箔には陽極引出し用のリード線、陰極引出し用のリード線がそれぞれ接続されている。
これらのリード線は、電極箔に当接する接続部とこの接続部と一体に形成した丸棒部、および丸棒部の先端に固着した外部接続部からなる。また、接続部および丸棒部は99%のアルミニウム、外部接続部は銅メッキ鉄鋼線(以下CP線という)からなる。このリード線の、少なくとも丸棒部の表面には、リン酸アンモニウム水溶液による化成処理により酸化アルミニウムからなる陽極酸化皮膜が形成されている。このリード線は、接続部においてそれぞれステッチや超音波溶接等の手段により両極電極箔に電気的に接続されている。
陽極電極箔は、純度99.9%のアルミニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエッチングして拡面処理した後、アジピン酸アンモニウムの水溶液中で化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜層を形成したものを用いる。
そして、電解液を含浸したコンデンサ素子を、有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケースに収納し、外装ケースの開口部に封口体を装着するとともに、外装ケースの端部に絞り加工を施して外装ケースを密封する。封口体は、リード線をそれぞれ導出する貫通孔を備えている。
以上のように構成した電解コンデンサの定格は、35WV−47μFである。
ここで用いた電解コンデンサ用電解液の組成および電解コンデンサに含有された電解液中の含水率と、電解コンデンサの特性を(表1)に示す。
AlF4:1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム四弗化アルミニウム
TMS:スルホラン
GBL:γ-ブチロラクトン
(表1)からわかるように、含水率が0.3wt%、0.6wt%の実施例4,5は含水率が0.8wt%の比較例より寿命特性は良好である。また、スルホランを含む実施例1〜3の寿命特性はさらに良好である。
Claims (3)
- 陽極電極箔と陰極電極箔とセパレータを巻回し、かつ電解液を含浸させてなるコンデンサ素子を外装ケースに収納してなる電解コンデンサにおいて、前記電解液として下記一般式(1)で示されるジシアナミドをアニオンとする塩を含む電解液を用い、電解液中の含水率を0.7wt%以下とした電解コンデンサ。
- 20〜80wt%のスルホランを含有する電解液を用いた請求項1記載の電解コンデンサ。
- 75wt%の以下のγ-ブチロラクトンを含有する電解液を用いた請求項2記載の電解コンデンサ。
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