JP2007273103A - プラズマディスプレイパネル及びそれを備えた画像表示装置 - Google Patents

プラズマディスプレイパネル及びそれを備えた画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】微弱リセット放電が適用出来る放電ガスを有する対向放電構造の表示パネルを実現し、これにより、コントラスト特性の良いかつ高発光効率のプラズマディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】He,Ne,Ar,Kr,Xeの内いずれか一種類のガス又はこれらの混合ガスを含む放電ガスに、さらに電子親和力が正である分子性ガスを0.001%から0.1%添加することにより、対向放電において、ゆっくりと電圧を上昇させ、放電空間に印加された電圧が放電開始電圧に達し、プラズマが成長し始める瞬間に、プラズマの成長を抑えるようにして、放電が一気に起るのを防ぎ、微弱リセット放電を可能とする。
【選択図】 図1

Description

本発明はプラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:以下、プラズマパネルまたはPDPとも称する)に関し、特に、明室コントラストを向上させ、かつ高効率を実現できるプラズマパネル構造とその駆動方法、および駆動装置を含めたプラズマディスプレイ装置に関する。
近年、大型かつ厚みに薄いカラー表示装置として、プラズマディスプレイ装置が期待されている。特に、表示放電を、同一基板上に設けられた電極間で発生させ、且つ交流駆動される、交流(AC)面内放電型PDPは、構造の単純さと高信頼性のため、もっとも実用化の進んでいる方式である。以下、従来技術のAC面内放電型PDPの実施形態を説明する。
図2は、一般的なAC面放電型PDPの構造の一部を示す分解斜視図の例である。図に示すPDPは、ガラス基板から成る前面基板21と背面基板28とを貼り合わせて一体化したものであり、赤(R)、緑(G)、青(B)の各蛍光体層32を背面基板28側に形成した反射型のPDPである。前面基板21は、背面基板28との対向面上に一定の距離を隔てて平行に形成される一対の維持放電電極(表示電極とも言う)を有する。この一対の維持放電電極は、透明な共通電極(以下、単に、X電極と称する。)(22-1、22-2……)と、透明な独立電極(以下、単に、Y電極または走査電極と称する。)(23-1、23-2……)で構成される。また、X電極(22-1、22-2……)には、透明電極の導電性を補うための不透明のXバス電極(24-1、24-2……)、またY電極(23-1、23-2……)には、Yバス電極(25-1、25-2……)が、図2の矢印D2の方向(行方向)に延長して設けられる。また、X電極(22-1、22-2……)、Y電極(23-1、23-2……)、Xバス電極(24-1、24-2……)およびYバス電極(25-1、25-2……)は、AC駆動のために放電から絶縁されている。すなわちこれらの電極は、一般に低融点ガラス層からなる、誘電体層26により被覆され、この誘電体層26は保護膜27により被覆されている。
背面基板28は、前面基板21との対向面上に、前面基板21のX電極(22-1、22-2……)およびY電極(23-1、23-2……)と直角に立体交差するアドレス電極(以下、単に、A電極と称する。)29を有し、このA電極29は、誘電体層30により被覆される。このA電極29は、図2の矢印D1方向(列方向)に延長して設けられる。この誘電体30上には、放電の広がりを防止(放電の領域を規定)するためにA電極29間を仕切る隔壁(リブ)31が設けられる。この隔壁31間の溝面を被覆する形で、赤、緑、青に発光する各蛍光体層32が、順次ストライプ状に塗布される。
図3は、図2中の矢印D2の方向から見たPDP断面構造を示す要部断面図であり、画素の最小単位である放電セル1個を示している。同図において、放電セルの境界は概略破線で示す位置である。33は放電空間を示し、プラズマを生成するための放電ガスが充填される。電極間に電圧を印加すると、放電ガスの電離によってプラズマ10が発生する。図3は、プラズマ10が発生している様子を模式的に示している。このプラズマからの紫外線が蛍光体32を励起して発光させ、蛍光体32からの発光は、前面基板21を透過して、それぞれの放電セルからの発光でディスプレイ画面を構成する。
図4は,図3におけるプラズマ10中の荷電粒子(正または負の電荷を持った粒子)の動きを模式的に示したものである。図4中の3は負の電荷を持った粒子(例えば電子),4は正の電荷を持った粒子(例えば正イオン),5は正壁電荷,6は負壁電荷を示す。これは,PDP駆動中のある時点での電荷の状態を表しているものであり,その電荷配置に特別な意味は無い。
図4には,例として,Y電極23-1に負の電圧を,A電極29とX電極22-1に(相対的に)正の電圧を印加して放電が発生,終了した模式図を表している。この結果,Y電極23-1とX電極22-1の間の放電を開始するための補助となる壁電荷の形成(これを書き込みと称す)が行なわれている。この状態でY電極23-1とX電極22-1の間に適当な逆の電荷を印加すると,誘電体層26(および保護膜27)を介して両電極の間の放電空間で放電が起こる。放電終了後Y電極23-1とX電極22-1の印加電圧を逆にすると,新たに放電が発生する。これを繰り返すことにより継続的に放電を形成できる。これを維持放電と呼ぶ。
図5は、図2に示したPDPに1枚の画を表示するのに要する1TVフィールド期間の動作を示す図である。図5(A)はタイムチャートである。(I)に示すように1TVフィールド期間40は複数の異なる発光回数を持つサブフィールド41乃至48に分割されている。各サブフィールド毎の発光と非発光の選択により階調を表現する。各サブフィールドは(II)に示すようにリセット期間49,発光セルを規定する書き込み放電期間50,維持放電期間51からなる。
図5(B)は,図5(A)の書き込み放電期間50においてA電極,X電極,及びY電極に印加される電圧波形を示す。波形52は書き込み放電期間50における1本のA電極に印加する電圧波形,波形53はX電極に印加する電圧波形,54,55はY電極のi番目と(i+1)番目に印加する電圧波形であり,それぞれの電圧をV0,V1,V2(V)とする。図5(B)にA電極に印加する電圧パルスの幅をτaとして示してある。図5(B)により,Y電極のi行目にスキャンパルス56が印加された時,A電極29との交点に位置するセルで書き込み放電が起こる。また,Y電極のi行目にスキャンパルス56が印加された時,A電極29がグラウンド電位(GND)であれば書き込み放電は起こらない。このように,書き込み放電期間50においてY電極にはスキャンパルスが1回印加され,A電極29にはスキャンパルスに対応して発光セルではV0,非発光セルではグラウンド電位となる。この書き込み放電が起こった放電セルでは,放電で生じた電荷が、Y電極を覆う誘電体層および保護膜の表面に形成される。この電荷によって発生する電界の助けによって後述する維持放電のオンオフを制御できる。すなわち,書き込み放電を起こした放電セルは発光セルとなり,それ以外は非発光セルとなる。
図5(C)は、図5(A)の維持放電期間51の間に維持放電電極であるX電極とY電極の間に一斉に印加される電圧パルスを示したものである。X電極には電圧波形58が,Y電極には電圧波形59が印加される。どちらも同じ極性の電圧V3(V)のパルスが交互に印加されることにより,X電極とY電極との間の相対電圧は反転を繰り返す。この間にX電極とY電極の間の放電ガス中で起こる放電を維持放電と称す。ここで維持放電はパルス的に交互に行なわれる。
また、特許文献1に示すように、リセット期間49において、ゆっくりと電圧を上昇させることにより微弱放電を起こさせるリセット方式も提案されている。
さらに、上記AC面内放電型PDPに加え、特許文献2に示すように対向放電PDPも提案されている。電極対向放電PDPは、表示放電を、対向する1対の基板に設けられた電極間で発生させるため、寿命を短くする事無く、輝度を向上させることが出来る。
特許第3394010号 特開2001―101973号公報
しかしながら、対向放電構造のパネルにおいて、リセット期間で、微弱放電を起こさせようとゆっくりと電圧を上昇させても、放電が一気に起こってしまい、従来の対向放電パネルでは微弱放電が実現出来ない。
本発明は、上記した事情に鑑みて成されたもので、その目的は、微弱リセット放電が適用出来る放電ガスを有する対向放電構造の表示パネルを提供することにある。
本書において開示される発明のうち、代表的なものの概要を説明すれば、下記の通りである。
(1) 対向配置された前面基板と背面基板の各々の内面側に少なくとも一つずつ形成されて、対向表示放電を行う一対の電極と、該一対の電極を少なくとも部分的に覆う誘電体膜と、He,Ne,Ar,Kr,Xeの内いずれか一種類のガス又はこれらの混合ガスを含む放電ガスと、該放電ガスの放電で発生する紫外線による励起で可視光を発光する蛍光膜とを、各々が少なくとも備えた複数個の放電セルと、該複数個の放電セルの間を区画する隔壁層とを備えており、前記放電ガスがさらに電子親和力が正である分子性ガスを含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
(2) (1)に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、前記放電ガスの体積粒子(原子、分子)密度をngとし、前記電子親和力が正である分子性ガスの体積粒子密度をnAとしたとき、前記放電ガスにおける、電子親和力が正である分子性ガスの組成比 nA/ngが0.001%乃至0.1%であることを特徴とする。
(3) (1)又は(2)に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、前記電子親和力が正である分子性ガスが、O、O、F、Cl、CH、CH、NH、NH、CN、HS、NO、NO、NO、SO、SO、SO、SFの内いずれか一種類のガス、またはこれらの混合ガスであることを特徴とする。
(4) (1)乃至(3)の何れかに記載のプラズマディスプレイパネルを用いた画像表示システム。
本発明の適用により、微弱リセット放電が適用出来る放電ガスを有する対向放電構造の表示パネルが実現出来、これにより、コントラスト特性が良く、かつ高発光効率のPDPを提供出来る。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、実施例を説明する全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明プラズマディスプレイパネルの実施の形態の分解斜視図である。前面基板21にスキャン電極34を矢印のa方向に形成し、それを誘電体26で覆い、その上に保護層27を形成する。これら、前面基板21、スキャン電極34、誘電体26、保護層27を一体に形成したものを前面板と称する。隔壁板36にはグリッド状の開口が設けられており、その開口の壁面には蛍光体32を塗布し、隔壁板36の上面にブラックマトリックス37を形成する。
図1は隔壁板36に円形のグリッド状の開口を設けた一例で、図6は隔壁板36に四角形のグリッド状の開口を設けた一例であり、グリッド状の開口はその他の形状でも良い。ブラックマトリックス37は、黒色物質からなり、各放電セルからの可視光を前面基板21の外に出射する窓部(開口)の境界を定めるとともに、窓部(開口)間の間隙を黒色物質で埋めるものである。隔壁板36は、前面基板21、背面基板28とほぼ同じ材質からなるガラス板で、サンドブラスト法、スクリーン印刷法、感光性リブ材を使う法、あるいは機械加工法などによって作製できる。ブラックマトリックス37は、ガラス材料に、顔料としてクロム、カーボンなどの金属を混ぜて作製できる。
背面基板28にデータ電極35を矢印のb方向に形成し、それを誘電体30で覆い、その上に保護層27を形成することによって、背面板を製造する。
図7は、図1及び図6中の矢印b方向から見たプラズマパネル組立て後の断面図(V-V’線断面図)である。隔壁板36にグリッド状の開口を設けて、放電空間33を形成する。この際、隔壁板36にグリッド状の開口の壁面を傾斜させ、前面板21側の開口を背面板28側の開口よりも広くとって、蛍光体32表面で発生する可視光を効率よく視野空間に取り出すようにしても良い(図示せず)。
プラズマパネルの組立ては、先ず上記前面基板21、背面基板28の周辺部にフリットガラス等(図示せず)を設け、対向するスキャン電極34とデータ電極35とが直交するように、前面基板21、隔壁板36、背面基板28の3層を張り合わせて気密封止する。次にプラズマパネル周辺部に設けたP管(ガスの給排気用)から残留不純物をガス化して除去後、真空排気し、放電ガスを導入し、P管を封止する。
対向するスキャン電極34とデータ電極35間に電圧を印加すると、放電ガスの電離によってプラズマが発生し、このプラズマからの紫外線が蛍光体32を励起して発光し、蛍光体32からの発光は、前面基板21を透過して、それぞれの放電セルからの発光でディスプレイ画面を構成する。
ここで、従来技術のAC面内放電方式では、放電電極間距離が約0.1 mmである。電極間距離を広くすると発光効率が向上することは知られているが、面内放電方式では、図2からもわかるように、電極間距離を広くするためには、面内方向に広げるしかないため、画素のセルピッチサイズを変えずに電極間距離を広げることは困難であった。しかしながら、対向放電放電方式を採用した場合には、放電電極間距離を、垂直方向に広げることが可能なため、画素のセルピッチサイズを変更することなく、0.2 mm以上に放電電極間距離を長くすることが出来、発光効率を向上させることが出来る。
ここで、複数個の放電セルの一つによって占められる空間を、前面基板21へ投影して得られる面積をS1とし、各放電セルの一つからの可視光を前面基板21の外に射出する前面基板21における窓部の面積をS2ととしたとき、S2/S1を開口率とする。通常、一般的なAC面内放電方式では開口率は0.45以上であるが、さらに開口率を少なくすることが出来ればより深い黒色を表現することが可能となり、コントラストが向上する。本実施の形態における対向放電方式においては、隔壁板36のグリッド状の開口を狭くし、開口率を0.4 以下に設定することが可能である。この際、AC面内放電方式のように電極間距離を変えることなく実現出来ることはその構造上明白である。これによりコントラストを向上させることが出来る。
以上より、本実施の形態における対向放電方式PDPでは発光効率およびコントラストを向上させることが出来る。
次に本実施の形態の動作原理を説明する。AC型PDPにおけるリセット期間の役割は、前のサブフィールドで残っている放電の履歴を消し、全ての放電セルの壁電荷を同じ状態に揃え、かつその状態を制御することである。これにより、その後に続く書き込み期間において、画像表示のための放電セル選択を行い、維持放電期間において画像の表示を行う。
リセット期間において、上記役割を果たすことが出来れば、リセット放電における放電の強さは問題にならない。しかしながら、リセット期間で強い放電を起こした場合、放電によって生じた光が原因となり、黒色を表示させたときに、深い黒が表示出来なくなり、ディスプレイのコントラストの悪化を招く。そこでリセット放電は、可能な限り弱い微弱な放電とする必要があり、電圧を徐々に増加させることにより、微弱な放電を作り出している。一般に面放電型ACPDPにおいてはこのような駆動が用いられていることもある。
しかしながら、対向放電構造のパネルにおいて、リセット期間で、微弱放電を起こさせようとゆっくりと電圧を上昇させても、放電が一気に起こってしまい、従来の対向放電パネルでは微弱放電が実現出来ない。
面放電構造においてこのような微弱放電が実現出来るのは次の理由による。面放電の場合には、電極間距離が短い上に、電極間で対向する先端部のみ電界の強さが最も強く、電極面全体で平行に均一な電界を形成していない。そのため、放電開始電圧に達した部位で放電を開始すると、プラズマが成長し始める瞬間に反対の電荷をもった荷電粒子が電極に付着すると同時に壁電荷を形成し、電極に印加された電圧による電界を打ち消すように働く。従って、大きな放電には至らず、微弱リセット放電が実現出来ると考えられる。ただし、面放電の場合であっても、リセット電圧の印加時間を短く、急激に印加すると、微弱リセット放電は起こらずに一気に大きな放電に移行してしまう。
そこで本実施の形態では、対向放電において微弱リセットを実現させるため以下のようにした。対向放電において、ゆっくりと電圧を上昇させ、放電空間に印加された電圧が放電開始電圧に達し、プラズマが成長し始める瞬間に、プラズマの成長を抑えるようにして、放電が一気に起るのを防ぐようにする。すなわち、放電ガスに電子親和力が正である分子性ガスを添加することにより、プラズマが成長し始める瞬間に、プラズマの成長を抑えこめば良い。これにより放電が一気に起こるのを防ぐことが出来る。
放電ガスは、放電電圧、放電電流、電子温度、電子密度、イオン密度等、プラズマの状態により、プラズマの形成過程を大きく左右する。
プラズマの成長について述べる。電極間に電圧を印加すると、放電空間内に偶発的に発生した最初の電子は、放電空間の電界に従って電離を繰り返して電子密度、イオン密度を増やしつつ陽極に達し、後に残った正イオンは陰極に移動して2次電子を放出し、2次電子が再び電離を行いつつ陽極に向かう。この電離倍増と2次電子放出を繰り返すことによりプラズマが成長する。
ここで、放電ガスに電子親和力が正である分子性ガスを添加することにより、電子の増加を抑制することが出来る。
電子親和力(Electron Affinity)は分子が電子と結合して陰イオンを形成する際に放出されるエネルギーとして定義される。Mを分子、e-を電子、Eをエネルギーとすると、以下に示せる。
M + e = M + E
電子親和力が正の値(E>0)であれば、電子を受け取った状態の方が安定である。すなわち電子親和力が正の分子は電子を吸着させ易い。この電子親和力が正の分子の効果により、プラズマが成長する過程において電子の増加を抑制することが出来る。
表1に電子親和力が正の分子およびその電子親和力の値をまとめたものを示す。
Figure 2007273103
ここで放電ガス中の組成比は次のように定義および測定される。放電ガスの体積粒子(原子、分子)密度をngとし、放電ガス中のある成分粒子(原子、分子)の体積粒子密度をnAとし、放電ガス中のある成分粒子(原子、分子)の組成比を nA/ngと定義する。
上記定義は,物理法則に従い次のように表現され,また測定することができる。すなわち、放電ガスの全圧力をPgとし、放電ガス中のある成分粒子(原子、分子)の分圧力PAとすると、放電ガス中のある成分粒子(原子、分子)の組成比は PA/Pgと表現出来る。全圧力は圧力計で測定することが可能である。また各成分の分圧力および全圧力は,例えば質量分析器によりガス成分を分析することにより測定可能である。
放電ガスの主たる成分は、He,Ne,Ar,Kr,Xeの希ガスの内いずれか一種類のガス、またはこれらの混合ガスから形成され、電子親和力が正の分子性ガスはこれらの放電ガスに微量添加されるのが望ましい。それは以下の理由による。蛍光体を励起し、PDPを発光させるための紫外線は、主に上記希ガスから発生した紫外線を利用しており、希ガスの減少に伴いこれらの紫外線の発生量も減少し、PDPを十分に明るく発光させることが出来なくなるからである。また以下で述べるように、電子親和力が正の分子性ガスを多く添加し過ぎると、放電電圧が急激に増大してしまうため、PDPの駆動に支障を来たすからである。また電子親和力が正の分子性ガスを微量添加するだけで、プラズマが成長する過程における電子の増加を抑える役割は十分に果たされる。
上記対向放電構造のパネルおいて、Ne(92%)-Xe(8%)放電ガスに、Oをそれぞれ、0.001%、0.01%、0.1%、0.2%添加し、全圧力を650hPaとしたパネルをそれぞれ作成した。同様に、Ne(92%)-Xe(8%)放電ガスに、SFをそれぞれ、0.001%、0.01%、0.1%、0.2%添加し、全圧力を650hPaとしたパネルをそれぞれ作成した。また基準として、分子性ガスを全く加えないNe(92%)-Xe(8%)放電ガスで、全圧力を650hPaとしたパネルも作成した。
上記それぞれのパネルを駆動回路に接続し、スキャン電極34、データ電極35に駆動電圧を印加した。
上記、作成したそれぞれのパネルにおいて、放電電圧を調べた結果を図8に示す。OまたはSFのそれぞれにおいて、組成比の増大とともに電圧が増大し、それぞれ、組成比が0.1%を超えたところから急激に電圧が増大し始める。
またはSFガスをそれぞれ0.2%加えたパネルでは放電電圧が高くなりすぎてしまい、微弱放電を起こさせる効果よりも、電圧が上昇する効果の方が大きくなり過ぎて、PDPの駆動に支障を来たしてしまう。
電圧が上昇する理由としては以下の二つが考えられる。電子親和力が正の分子性ガスを多く放電ガスに加えると、(1)プラズマの成長過程において、電離倍増と2次電子放出によって生じた電子が、多量にある電子親和力が正の分子性ガスに捕獲されてしまい、更なる電離倍増が阻害され、電圧を大きく上昇させないと放電が成長しない。(2)電子親和力が正の分子性ガスが保護膜27の表面に多量に吸着してしまい、陰極における2次電子放出を妨げるため、放電電圧が上昇してしまう。以上の結果より電子親和力が正の分子性ガスの組成比は0.1%以下が望ましい。
次に、電子親和力が正の分子性ガスを加えないパネルと、OまたはSFを0.001%加えたパネルの放電電圧を比較した結果、3つのパネルの放電電圧は同じであった。ここで、微量ガスの添加量の調整は圧力計を用いてガスの分圧力を調整することにより行うが、分圧力の調整は、0.001%が限界であり、それ以下の濃度の設定は圧力計の限界を超えるため、不可能である。さらに、それ以下の微量ガスを添加したパネルを作成したとしても、ガス分析および質量分析において組成比を確認することが困難である。以上より、電子親和力が正の分子性ガスの組成比は0.001%以上が望ましい。
従って、放電ガスに微量添加される電子親和力が正の分子性ガスの組成比は0.001%以上、0.1%以下が望ましい。
Ne(92%)-Xe(8%)放電ガスに、OまたはSFをそれぞれ、0.001%、0.01%、0.1%、加えたパネルを用いて、リセット期間における微弱放電の評価を行った。微弱放電を起こさせようとゆっくりと電圧を上昇させた結果、上記分子性ガスを加えたパネルは、放電が一気に起こることは無く、微弱な放電を起こすことが出来た。
以上より、対向放電構造のパネルにおいて、リセット期間における微弱放電発生にはOまたはSFを0.001%から0.1%の範囲で加えることが有効であることがわかった。
さらに、電子親和力が正の分子は、OまたはSFに代表されるように、電子を吸着させる性質を持っており、この効果により、プラズマが成長する過程において電子の増加を抑制することが出来るので、電子親和力が正の分子を、0.001%から0.1%の範囲で加えることが有効であることは言うまでも無い。
図9は、以上説明した本発明の実施の形態で示したPDPを用いたプラズマディスプレイ装置およびこれに映像源を接続した画像表示システムを示す一例である。駆動電源(駆動回路とも呼ぶ)は,映像源からの表示画面の信号を受取り,これをPDPの駆動信号に変換してPDPを駆動する。
本発明の一実施例によるPDPの一部を示す分解斜視図である。 従来構造のAC面内放電方式PDP構造の一部を示す分解斜視図である。 図2のPDP構造の断面図である。 図3に示すプラズマ10中にある荷電粒子の動きを模式的に示した図である。 PDPに1枚の画を表示する1TVフィールド期間の動作を示した図である。 本発明の他の一実施例によるPDPの一部を示す分解斜視図である。 図1及び図6のPDPを組み立てた状態におけるV-V’線断面図である。 またはSFの組成比を変化させたときの放電電圧の変化を示す図である。 PDPを用いた画像表示システムを示した図である。
符号の説明
3…負の電荷を持った粒子(例えば電子),4…正の電荷を持った粒子(例えば正イオン),5…正壁電荷,6…負壁電荷,10…プラズマ,21…前面ガラス基板,22-1,22-2…X電極,23-1,23-2…Y電極,24-1,24-2…Xバス電極,25-1,25-2…Yバス電極,26…誘電体層,27…保護膜,28…背面ガラス基板,29…A電極,30…誘電体層,31…隔壁(リブ),32…蛍光体,33…放電空間,34…スキャン電極,35…データ電極,36…隔壁板,37…ブラックマトリックス,40…TVフィールド,41乃至48…サブフィールド,49…リセット期間,50…書き込み放電期間,51…維持放電期間,52…1本のA電極に印加する電圧波形,53…X電極に印加する電圧波形,54…Y電極のi番目に印加する電圧波形,55…Y電極のi+1番目に印加する電圧波形,56…Y電極のi行目に印加されるスキャンパルス,57…Y電極のi+1行目に印加されるスキャンパルス,58…X電極に印加される電圧波形,59…Y電極に印加される電圧波形,100…プラズマディスプレイパネルまたはPDP,101…駆動回路,102…プラズマディスプレイ装置(画像表示装置),103…映像源,104…画像表示システム。

Claims (4)

  1. 対向配置された前面基板と背面基板の各々の内面側に少なくとも一つずつ形成されて、対向表示放電を行う一対の電極と、該一対の電極を少なくとも部分的に覆う誘電体膜と、He,Ne,Ar,Kr,Xeの内いずれか一種類のガス又はこれらの混合ガスを含む放電ガスと、該放電ガスの放電で発生する紫外線による励起で可視光を発光する蛍光膜とを、各々が少なくとも備えた複数個の放電セルと、
    該複数個の放電セルの間を区画する隔壁層とを備えており、
    前記放電ガスがさらに電子親和力が正である分子性ガスを含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、前記放電ガスの体積粒子(原子、分子)密度をngとし、前記電子親和力が正である分子性ガスの体積粒子密度をnAとしたとき、前記放電ガスにおける、電子親和力が正である分子性ガスの組成比 nA/ngが0.001%乃至0.1%であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  3. 請求項1又は2に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、前記電子親和力が正である分子性ガスが、O、O、F、Cl、CH、CH、NH、NH、CN、HS、NO、NO、NO、SO、SO、SO、SFの内いずれか一種類のガス、またはこれらの混合ガスであることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載のプラズマディスプレイパネルを用いた画像表示システム。
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