JP2007272251A - 光ファイババンドル - Google Patents
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Abstract
【課題】 波長150nm〜250nmの波長帯における耐紫外線特性が改善され、製造時に爆発等の危険性がなく容易かつ安価に製造できる光ファイババンドルを提供する。
【解決手段】 この光ファイババンドルは、シリカガラスを主成分とし、0.1〜2.0重量%のフッ素と、50重量ppm未満の塩素を有するコアとフッ素が添加されたシリカガラスからなるクラッドを有する光ファイバが複数本束ねられており、両端が光学的に透明な密閉容器に水素ないし重水素とともに封止され、容器の容積は、前記光ファイバのガラスの体積の10倍以下である。
【選択図】 図1
【解決手段】 この光ファイババンドルは、シリカガラスを主成分とし、0.1〜2.0重量%のフッ素と、50重量ppm未満の塩素を有するコアとフッ素が添加されたシリカガラスからなるクラッドを有する光ファイバが複数本束ねられており、両端が光学的に透明な密閉容器に水素ないし重水素とともに封止され、容器の容積は、前記光ファイバのガラスの体積の10倍以下である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、波長150nm〜250nmの紫外線伝送に伴う伝送損失の増加を低減する紫外線伝送用光ファイババンドルに関する。
重水素ランプ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、F2エキシマレーザが発する波長150nm〜250nmの紫外線は、フォトリソグラフィ、レーザ加工等の微細加工分野、あるいは、殺菌、消毒等の医療分野での利用が高まっている。この波長領域の紫外線を伝送する媒体として、紫外線伝送用光ファイバの研究開発が進んでいる。紫外線伝送に伴いガラスが劣化して伝送損失が増加するという問題がある。シリカガラスからなる光ファイバは、耐紫外線特性に優れるが、問題を完全に解消できてはいない。シリカガラスからなる光ファイバの紫外線領域での伝送損失の増加は、紫外線の照射によりシリカガラスに欠陥が生じ、光吸収が生じるためと考えられている。そこで、欠陥を水素原子で埋めて耐紫外線特性を改善する方法が行われている。
特許文献1には純粋石英コア−フッ素ドープ石英クラッドの光ファイバをステンレススチール(SUS)パイプ内に収容し、SUSパイプ内を5〜10kg/cm2の高圧の水素ガス雰囲気にしうるようにするとともに、SUSパイプの外側を発熱体でおおって水素ガス雰囲気を100〜150℃の高温に維持できる構造とし、紫外線伝送中または伝送後に光ファイバを高温高圧の水素雰囲気中に置くことが開示されている。特許文献2には、コアが純粋石英、クラッドがフッ素ドープ石英からなる光ファイバ母材を線引きし、線引き直後の高温の光ファイバを水素ガス雰囲気にさらすか、光ファイバを高温に維持された水素ガスにさらすことにより水素を光ファイバ内に多量に拡散させることが開示されている。
特許文献3、特許文献4には、石英ガラス物品に電磁波を照射してガラス欠陥を生じさせた後に水素ガスからなる雰囲気中に浸漬して、紫外線領域での光吸収の増加が実質的に発生しないようにする方法およびこのようにして製造されたガラス物品が開示されている。特許文献5には、クラッドの周囲に水素を蓄積できる微粒子を分散して分布できるように形成された包埋物を設けた石英ガラス光ファイバが開示されている。
石英系ガラス中に水素を含有させると、耐紫外線特性が改善されるが、水素分子はガラス中を容易に拡散してガラス外へ放出されるので、長期間に安定した特性を得ることが難しい。特許文献1の方法は、装置が大がかりになる問題がある。特許文献2、3および4の方法は有効であるが、紫外線により生成する欠陥が増加すると効果が薄れてくるため、強い紫外線を照射する装置での使用については改善の余地がある。特許文献5の方法は、樹脂や水素吸蔵合金等の水素含有材料を光ファイバに対して充分量封入する必要がある。光ファイババンドルでは数百〜数千本の光ファイバを束ねるため、大きな容器が必要となり、望ましくない。
図10に示すように、光ファイバ11を複数本ルースに束ね、パイプ13に収容し、両端部を口金12で固定した光ファイババンドル14が知られている。光ファイババンドル14は、図11に示すように、光ファイバ用ガラス母材を線引きし光ファイバとし、この光ファイバを複数本束ね両端を互いに固定(バンドル化)し、パイプに収納することにより製造される。前記したような技術を複合し、パイプ内に光ファイババンドルを収容し、容器内を水素含有雰囲気としたうえで、容器を完全密封することが考えられる。しかし、容器内を水素含有雰囲気に保っておくことと、溶接・封着などの熱処理を伴う操作とを両立させなければならず、爆発等の危険性が大きい。
特開平6−034830号公報
特開平6−056457号公報
特開平11−029335号公報
特開平10−316445号公報
特開2000−214336号公報
本発明の目的は、光ファイバを水素含有雰囲気中に保持できて、波長150nm〜250nmにおける伝送損失の劣化を低減できる紫外線伝送用光ファイババンドルを提供することである。
目的を達成するため、シリカガラスを主成分とし、0.1〜2.0重量%のフッ素と、50重量ppm未満の塩素を有するコアとフッ素が添加されコアよりも屈折率が小さいシリカガラスからなるクラッドを有する光ファイバが複数本束ねられ容器に収納された光ファイババンドルが提供される。光ファイバは、両端に光学的に透明な窓材を有する密閉容器に水素ないし重水素とともに封止されており、容器の容積は、光ファイバのガラスの体積の10倍以下である。
本発明の実施形態が、以下において、図面を参照して説明される。図面は、説明を目的とし、発明の範囲を限定しようとするものではない。図面において、説明の重複を避けるため、同じ符号は同一部分を示す。図面中の寸法の比率は、必ずしも正確ではない。
本発明は、シリカガラスからなる光ファイバ中にあらかじめ水素を含有させておく。水素が光ファイバから脱離する前に、光ファイバを密閉可能な容器または管(以下容器と総称する)内に収納し、容器を封止する。こうすることで、水素雰囲気下で容器を封止する際の危険を回避する。光ファイバに含有させた水素は光ファイバから脱離しても容器内には止まるため、容器内は水素含有雰囲気となりガラス欠陥の生成を抑制できる。
図1は本発明の実施形態の一例である光ファイババンドル10を示す斜視図である。光ファイババンドル10は、図3に一例を示すような屈折率の高いコアと屈折率の低いクラッドからなる光ファイバ1と容器3とからなる。光ファイバ1は、多数本束ねられ、両端部でまとめて固定され、容器3の中にルースに収容されている。容器3の一端から紫外光を入射し、ファイバ中を透過した光を他端から出射するようになっている。図2A、および、図2Bは、光ファイババンドル10の端部の断面図である。口金2と容器3、また、口金2と窓封止材6は溶接部5、9で溶接され、窓封止材6に窓材7がガラス半田8で固定され、容器3は封止されている。
図4は光ファイババンドル10の製造フローを示す流れ図である。まず、公知の方法で製造した光ファイバ母材を線引きして光ファイバとする。つづいて、光ファイバを、温度60〜80℃、水素分圧5〜10atm(0.50〜1.01Pa)の雰囲気中に20〜100時間保持し、光ファイバ中に水素を含浸する。
光ファイバを構成するシリカガラスの中の飽和水素量は、水素分圧PH2、温度Tを用いて、式(1):
(飽和水素量)=S0×PH2 exp(−Es/RT) …(1)
で求めることができる(K. Noguchi et al., J. Lightwave Techn. Vol. LT-3, No. 2, pp. 236-243 (1985))。ここで、
S0=5.93×1016mol/(cm3・atm)、
Es=1.38×102J/mol、
R=8.314J/(mol・K)
である。式(1)より計算すると、シリカガラスを水素分圧100atmの雰囲気に置くと、1.2mol%の水素を導入できることになる。このように、光ファイバを構成するシリカガラスは、水素雰囲気中に保持しておくことで比較的多量の水素を含有できる。
(飽和水素量)=S0×PH2 exp(−Es/RT) …(1)
で求めることができる(K. Noguchi et al., J. Lightwave Techn. Vol. LT-3, No. 2, pp. 236-243 (1985))。ここで、
S0=5.93×1016mol/(cm3・atm)、
Es=1.38×102J/mol、
R=8.314J/(mol・K)
である。式(1)より計算すると、シリカガラスを水素分圧100atmの雰囲気に置くと、1.2mol%の水素を導入できることになる。このように、光ファイバを構成するシリカガラスは、水素雰囲気中に保持しておくことで比較的多量の水素を含有できる。
一方、ガラス中での水素分子拡散係数は、温度Tを用いて、式(2):
水素拡散係数=D0 exp(−Ed/RT) …(2)
で与えられる。ここで、
D0=14.2×10−4cm2/s
Ed=10.8kcal/mol
である。光ファイババンドル用の光ファイバ外径は、約125〜180μmと細いので、温度100℃の水素雰囲気中に24〜50時間程度と比較的短時間光ファイバを浸漬することにより、ガラス中の水素分子濃度は飽和し、多量の水素をガラス中に含有させることができる。
水素拡散係数=D0 exp(−Ed/RT) …(2)
で与えられる。ここで、
D0=14.2×10−4cm2/s
Ed=10.8kcal/mol
である。光ファイババンドル用の光ファイバ外径は、約125〜180μmと細いので、温度100℃の水素雰囲気中に24〜50時間程度と比較的短時間光ファイバを浸漬することにより、ガラス中の水素分子濃度は飽和し、多量の水素をガラス中に含有させることができる。
光ファイバ内に含浸された水素は、水素雰囲気から光ファイバを取り出すと、しだいにガラス中から外部に脱離する。本発明においては、この脱離の前の水素を多量に含有する多数の光ファイバを、バンドル化し、容器内に収納し、容器を密封処理する。水素含浸とバンドル化との順序を変え(バンドル化後に、水素ないし重水素を含浸させる工程を行ってもよい。)ガラス中に水素が含有された状態のまま容器を密封するので、容器内に水素を閉じ込めることが可能となる。
密閉された容器内の水素分圧は、(ガラスファイバに含有された水素の標準状態での体積)/(容器体積)で定義される。容器の容積を光ファイバのガラス部分の体積の10倍以下とすれば、容器内の水素分圧が、紫外線照射で生じる欠陥を埋めることができる値以上となり、紫外線の伝送に伴なう損失の増加を抑えることができる。一方、光ファイバを容器内にルースに収納しなければならないので、容器の容積は光ファイバのガラス部分の体積の1.5倍以上あることが必要である。
光ファイババンドル10を製造するのに用いる光ファイバは、紫外線領域での透過率が大きいシリカ系ガラスからなるコアを有するものが望ましく、線引き直後の透過率が大きく、紫外線照射による透過率の減少が少ないものほど好ましい。とくに、ガラスの紫外線劣化の要因となる劣化前駆体と考えられているSi−Si型欠陥の含有量が少ない光ファイバが望ましい。波長245nmに現れるSi−Si型欠陥に由来する吸収の損失が、水素ないし重水素を含浸させる工程前で4dB/m未満である光ファイバが望ましい。
このように欠陥が少ない光ファイバは、フッ素を添加したシリカガラスやOH基を高濃度に添加したシリカガラスから得られる。水素ないし重水素を含浸させる工程前のコアは、100〜1500重量ppmのOH基またはOD基と、50重量ppm未満の塩素を有しているのが望ましい。あるいは、水素ないし重水素を含浸させる工程前のコアは、0.1〜2.0重量%のフッ素と、50重量ppm未満の塩素を有しているのが望ましい。とくにフッ素を添加したシリカガラスは波長200nm未満において、Si−OHによる吸収も少ない。したがって、コアおよびクラッドがフッ素を添加したシリカガラスからなる光ファイバは、本発明にとくに好適である。
水素ないし重水素を含浸させる工程後の光ファイバは、5×1018分子/cm3以上の水素ないし重水素を有することが望ましい。これは、紫外光の照射により生成する欠陥の量が1×1018分子/cm3程度であり、欠陥を消去するのに5×1018分子/cm3程度の水素ないし重水素が必要だからである。
封止する工程後の容器内の水素ないし重水素ガス分圧が0.03atm以上となるように、光ファイバのガラスの体積、光ファイバ中の水素ないし重水素の含有量、および、容器の容積を選択すると、紫外線劣化防止効果を得るために好ましい。光ファイバ容器内水素分圧は、5atmあれば充分である。また、コアは、100〜1500重量ppmのOH基またはOD基と、50重量ppm未満の塩素を有しているのが望ましい。あるいは、コアは、0.1〜2.0重量%のフッ素と、50重量ppm未満の塩素を有しているのが望ましい。
表1に、式(1)を用い、水素含浸工程での水素分圧、温度をパラメータとして、水素含浸工程での光ファイバ中の飽和水素量(図5A)、密封処理後の容器内の水素分圧と光ファイバ中の飽和水素量(図5B)を計算した例を示す。すべての条件で、光ファイバのガラス外径は125μm、光ファイバの本数は480本(光ファイバのガラス部分の体積は5.89mm2)、容器内径は7mm(容器の容積は32.594mm)である。また、体積1cm3のシリカガラスは、2.208×1022molである。100℃、3atmの水素雰囲気中で含浸処理を行えば、光ファイバの中に欠陥を埋めるのに充分な水素を導入することができる。
本発明により、容器内にかなり高圧の水素を封入することもできる。外径125μmの光ファイバを、20℃、400atmの水素雰囲気中に20日間程度放置した後、内径7mmのSUS製パイプを容器として500本の光ファイバを収納・封止すると、管内のH2分圧は、容器内で7.5atmにもなる。このときのガラスファイバ中のH2濃度は1000ppmにもなるので、予想されるガラス欠陥形成量1ppmに対し1000倍も過剰な量とすることができる。このような加圧状態に置く場合は、容器の密閉構造をこの圧力に耐えるものとする必要がある。
より実用的な例として、水素を100℃、5atmの水素雰囲気で飽和させた光ファイバ500本を、内径7mmのSUS製パイプ内に収納して密封する。このとき管内の水素分圧は0.04〜0.05atmとなる。ガラス内の水素濃度は5〜6ppmと、欠陥形成量に対して約5倍のマージンをとることができる。
また、別の手法例として、25℃、100atmの水素雰囲気中に20日放置し、水素をガラスファイバ中に約1mol%の濃度で飽和させる。その後、25℃で3日大気中で放置し、水素濃度を初期値の15%程度まで低減させる。その後、ファイバを先の例と同様のSUS製パイプ内に収納して密封する方式もある。この時、管内の水素分圧は0.25〜0.30atmとなる。ガラス中の水素濃度は、30〜35ppmになり、想定される欠陥形成量に対し、20倍以上のマージンを持つことが出来る。このように、一旦高濃度に水素分子を飽和させて、所定量の水素を除去する工程を付加する場合、密封管への収納作業やバンドル化作業を水素除去の間に行うことが出来るので、作業効率が良い利点がある。
本発明に用いる密封可能な容器としては、たとえば金属製でかつ可撓性を有する容器が挙げられる。容器形状は任意であるが、たとえば管状のものを使用する。金属材質としては、SUS、銅、アルミニウムが挙げられる。
光ファイババンドルを収納した後に容器を密封する手段としては、使用波長で透明な部分を有し、かつ水素ガスに対し密閉性を有する窓材を、図2A、または、図2Bに示すように光ファイババンドルの両端部に設けて容器内を封止する。窓材の内部透過率(表面反射の影響を除外したバルクの透過率)は、99%以上あるのが望ましい。また、窓材は、シリカガラス、フッ化カルシウム、酸化アルミニウムより選択され、厚みが0.5mm以上あるのが望ましい。これにより、光の透過性と容器内の密閉封止を実現できる。実施形態では、光ファイバを水素に含浸する場合を中心に説明したが、重水素を用いても、時間と温度を少々調整するだけで、同様の効果が得られる。
光ファイバ母材を線引きして、コアにフッ素が1重量%添加されたシリカガラス(純シリカガラスの屈折率を基準にした比屈折率差Δ=−0.27%)、クラッドにフッ素が4重量%添加されたシリカガラス(Δ=−1.2%)、コア径112μm、クラッド径125μmの光ファイバを得た。この光ファイバを80℃、水素5atm、60時間の条件で水素含浸処理した。光ファイバを500本束ね、長さ1mの光ファイババンドルとし、SUS製パイプ内に収容した。このパイプは可撓性を有する。容器の密封には図2A、または、図2Bに示すように、シリカガラスからなる窓材をパイプの両端部に設け、容器、口金、窓封止部材を溶接により密封した。得られた光ファイババンドルは、光ファイバ中の水素の濃度が7mol ppm以上であった。
つぎに、光ファイババンドルの入射端部から、ArFエキシマレーザ(波長193nm)をパワー5mJ/ショットで108ショット照射し、波長193nmにおける光ファイババンドルの透過率の変化を測定した。結果を図6Aに示す。また光ファイババンドルの180〜300nmにおける初期透過率と、ArFエキシマレーザを108ショット照射後の透過率とを図6Bに示す。実施例1の光ファイババンドルは波長193nmでの透過率変化が5%以内であり、波長215nmにおける吸収も3〜4%生じているだけであり、耐紫外線特性が非常に優れる。
比較例
実施例1と同様の光ファイバについて、図11の流れ図が示すように、水素含浸工程を省略した以外は実施例1と同様にして光ファイババンドルを作製し、実施例1と同様の条件でArFエキシマレーザを照射した。波長193nmにおける透過率とショット数の関係を図7Aに、初期透過率と1×108ショット照射後の180〜300nmにおける透過率を測定した結果を図7Bに示す。比較例の光ファイババンドルは、波長193nmでの透過率が20%以上低下し、波長215nmおよび200nm以下における損失が発生していて、耐紫外線特性が劣る。
実施例1と同様の光ファイバについて、図11の流れ図が示すように、水素含浸工程を省略した以外は実施例1と同様にして光ファイババンドルを作製し、実施例1と同様の条件でArFエキシマレーザを照射した。波長193nmにおける透過率とショット数の関係を図7Aに、初期透過率と1×108ショット照射後の180〜300nmにおける透過率を測定した結果を図7Bに示す。比較例の光ファイババンドルは、波長193nmでの透過率が20%以上低下し、波長215nmおよび200nm以下における損失が発生していて、耐紫外線特性が劣る。
コアがシリカガラス、クラッドがフッ素添加シリカガラスからなる、コア径が112μm、クラッド径が125μmの光ファイバであって、初期透過損失が2dB/m、4dB/m、6dB/mであるものをそれぞれ500本用意し、実施例1と同様の工程で光ファイババンドルを作製した。各光ファイババンドルの容器内の水素分圧は、5体積%であった。各光ファイババンドルについて、実施例1と同様にArFエキシマレーザを照射した。それぞれの透過率を測定した結果を図8に示す。初期伝送損失が4dB/m未満の光ファイバを用いて本発明を適用した光ファイババンドルにおいて、耐紫外線特性が非常に良好であった。
コアがOH基を0.1重量%添加されたシリカガラス(Δ=−0.01%)、クラッドがフッ素を4.4重量%添加されたシリカガラス(Δ=−1.2%)からなり、コア径が112μm、クラッド径が125μmの光ファイバについて、実施例1と同様にして光ファイババンドルとしArFエキシマレーザ光を照射した。光ファイババンドルの180〜300nmにおける初期透過率と、ArFエキシマレーザを108ショット照射後の透過率とを測定した結果を図9に示す。OH基添加シリカガラスコアに紫外線が照射されると、化学式(a)、(b)で示される反応が生じる。
式(a)の反応で波長190nmおよび260nm帯の吸収が形成され、式(b)の反応で波長215nm帯の吸収が生成する。このため、図9に示す200nm以上の波長で2つのピークを持つ特性を示した。OH基添加シリカガラスに本発明を適用するよりも、フッ素添加シリカガラスに本発明を適用するほうが、得られる光ファイババンドルの特性上好ましい。
本発明によると、光ファイババンドルを容器内に収容し密閉する際に、容器内を水素雰囲気で満たす必要がない。その結果、密閉作業を容易に安全に行うことができ、製造工程を簡略にできコストの低減が可能となる。また、本発明の紫外線伝送用光ファイババンドルは耐紫外線特性が改善しているので、紫外線照射劣化による伝送損失増が低減され、たとえばArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ(波長247nm)の紫外線を用いる半導体製造装置や医療装置、分析装置での光伝送に、非常に好適である。
Claims (4)
- シリカガラスを主成分とし、0.1〜2.0重量%のフッ素と、50重量ppm未満の塩素を有するコアとフッ素が添加され前記コアよりも屈折率が小さいシリカガラスからなるクラッドを有する光ファイバが複数本束ねられ容器に収納された光ファイババンドルであって、
前記光ファイバは、両端が光学的に透明な密閉容器に水素ないし重水素とともに封止されており、
前記容器の容積は、前記光ファイのガラスの体積の10倍以下である光ファイババンドル。 - 請求項1に記載の光ファイババンドルであって、
前記水素ないし重水素の分圧は0.03atm以上である光ファイババンドル。 - 請求項1に記載の光ファイババンドルであって、
前記容器端部に、前記光ファイババンドルの使用波長における内部透過率が99%以上であり、かつ水素ないし重水素ガスに対して密閉性を有する窓材を有する光ファイババンドル。 - 請求項3に記載の光ファイババンドルであって、
前記窓材は、シリカガラス、フッ化カルシウム、酸化アルミニウムより選択され、厚みが0.5mm以上である光ファイババンドル。
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
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