JP2007270310A - 溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法 - Google Patents

溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高品質な溶融亜鉛系めっき鋼材を低コストで製造可能であるとともに、生産性を向上させることが可能な、溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法を提供する。
【解決手段】鋼材をめっき前に加熱する加熱工程と、加熱工程を経た鋼材を溶融金属めっき浴へ浸漬するめっき工程と、を備え、加熱工程が、酸素濃度500ppm以下の非酸化性又は弱酸化性雰囲気下で行われるとともに、加熱工程において、鋼材が550℃以上700℃以下の温度に加熱されることを特徴とする、フラックスを用いず一浴法にて鋼材にめっきを行う、溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法に関し、特に、高品質な溶融亜鉛系めっき鋼材を低コストで製造可能であるとともに、生産性を向上させることが可能な、溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法に関する。
鋼管や形鋼等の鋼材は、腐食されやすい環境で使用される場合、腐食を防ぐために亜鉛系めっきが施されることが多い。中でも、耐食性に優れたZn−Al−Mg系合金によりめっきされた鋼材が広く使用されている。このようなめっき鋼材は、あらかじめ溶融めっきが施された鋼板を成形、溶接することで鋼管や形鋼として製造されることが多い。しかし、めっき後に溶接がなされるこのような製造方法では、溶接時のめっき損傷により溶接部の耐食性が低下する。そのため、溶接後に別途、溶射等を施して溶接部を補修する必要があり、溶接部補修工程の増加によるコスト増及び生産性低下が問題となっている。
上記問題は、めっきを成形後に実施することで解決できる。成形後にめっきを施す方法として、例えば、特許文献1には、フラックスおよびそれを用いた溶融Zn−Al−Mg系合金めっき鋼材の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、フラックス処理等の前処理を終了した形鋼材類の溶融亜鉛めっき方法が開示されている。
一方、特許文献3には、二段めっき法で製造される高耐食性めっき鋼材およびその製造方法が開示されている。さらに、特許文献4には、硫酸塩水溶液等の酸性水溶液をめっき前処理液として用いる溶液処理工程を含む、溶融Zn−Al−Mg合金めっき鋼材の製造方法が開示されている。
特開2001−49414号公報 特開平1−301846号公報 特開2002−47548号公報 特開2006−9100号公報
しかし、特許文献1又は特許文献2に開示されているような、フラックスを用いる方法では、めっき密着性に劣り、曲げ加工の際等にめっきが剥離することがあるという問題があった。また、特許文献3に開示されているような二段めっき法では、2つのめっき浴が必要となるため、設備コストの負担が大きいという問題があった。さらに、特許文献4に開示されている技術では、めっき前処理工程として溶液処理工程が必要になるため、工程が増え、製造コストが増加し生産性が低下しやすいという問題があった。
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、高品質な溶融亜鉛系めっき鋼材を低コストで製造可能であるとともに、生産性を向上させることが可能な、溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を進めた結果、めっき前に鋼材を加熱する加熱工程において雰囲気酸素濃度及び加熱温度を適切に制御することで、前処理液を用いずに、外観良好かつめっき密着性に優れる溶融亜鉛系めっき鋼材を、低コストな一浴法で製造できることを見出した。
かくして本発明の態様では、鋼材をめっき前に加熱する加熱工程と、加熱工程を経た鋼材を溶融金属めっき浴へ浸漬するめっき工程と、を備え、加熱工程が、酸素濃度が500ppm以下の非酸化性又は弱酸化性雰囲気下で行われるとともに、加熱工程において、鋼材が550℃以上700℃以下の温度に加熱されることを特徴とする、フラックスを用いず一浴法にて鋼材にめっきを行う、溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法を提供して前記課題を解決する。
ここに、「非酸化性又は弱酸化性雰囲気」とは、ライン中に積極的に窒素ガス等の不活性ガスをパージして、酸素濃度を500ppm以下へ低下させた雰囲気をいう。溶融亜鉛めっきを行う上での純技術的な観点からは、積極的にライン中に水素を供給して還元性雰囲気を創出することも可能である。しかし、本発明の溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法では、主に対象とする鋼材が鋼管、形鋼等異型の鋼材である。このため、ラインの厳密なシールが困難であり、水素の使用は危険を伴うため、困難である場合が多い。そこで、本発明において、非酸化性又は弱酸化性雰囲気とするために用いられる不活性ガスは、窒素ガスであることが好ましい。さらに、「フラックスを用いず一浴法にて鋼材にめっきを行う」とは、いわゆる二段めっき法ではなく、フラックスを用いない一段階のどぶ漬け法により鋼材にめっきを施すことを意味する。なお、本発明の製造方法では、めっき工程後に、めっきを鋼材に固定化する工程(例えば、冷却工程等)を経て、溶融亜鉛系めっき鋼材が製造されるものとする。
このように構成すれば、加熱工程の酸素濃度が500ppm以下とされるので、鋼材表面への酸化皮膜の形成を抑制することができ、めっきがはじかれたような表面欠陥(いわゆる「不めっき」)の発生を防ぐことができる。それゆえ、補修工程が不要となり、生産性を向上させることができる。さらに、鋼材が550℃以上700℃以下に加熱されるので、製造コストの増加を抑制しつつ、不めっきの発生を防ぐことができる。加えて、一浴法にて鋼材にめっきが施されるので、製造工程の増加を抑制して製造コストの低減することができる。
上記態様において、溶融金属めっき浴が、Al:0.5〜20質量%、Mg:0.5〜6質量%を含有し、残部はZn及び不可避的不純物からなり、上記めっき工程における、溶融金属めっき浴の温度が、420℃以上520℃以下であることが好ましい。
このように構成すれば、溶融金属めっき浴(以下、「めっき浴」ということがある。)にAlが0.5〜20質量%含まれるので、めっき浴へのMgの溶解量を増加させることができ、めっき浴中のMgの酸化を防止することができる。さらに、めっき浴にMgが0.5〜6質量%含まれるので、溶融亜鉛系めっき鋼材の耐食性を向上させることができる。加えて、めっき浴の温度が420℃以上520℃以下とされるので、高品質な溶融亜鉛系めっき鋼材を低コストで製造できる。
また、上記態様において、溶融金属めっき浴へ侵入する際の鋼材の温度が、溶融金属めっき浴の温度以上であることが好ましい。
ここに、「溶融金属めっき浴へ侵入する際の鋼材の温度(以下、「侵入材温」ということがある。)」とは、加熱工程を通過した鋼材がめっき浴に侵入する時点での鋼材の表面温度を意味する。このため、侵入材温は、加熱工程で加熱された鋼材の温度とは、必ずしも同じにならない。
このように構成すれば、侵入材温がめっき浴の温度以上とされるので、不めっきの発生を抑制しつつ、被めっき材としての鋼材へのめっきの密着性(以下、「めっき密着性」という。)を向上させることができる。
さらに、上記態様において、鋼材は、鋼管または形鋼であることが好ましい。このように構成すれば、溶接部であっても優れた外観およびめっき密着性を有する鋼管、形鋼を、低コストで製造することができる。
本発明によれば、高品質な溶融亜鉛系めっき鋼材を低コストで製造可能であるとともに、生産性を向上させることが可能な、溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法を提供できる。
本発明の溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法は、加熱工程及びめっき工程を備え、本発明によれば、鋼に、高品質なめっきを低コストで施すことが可能になる。それゆえ、本発明を適用し得る被めっき材としては、鋼を素材とし、腐食環境で用いられる、鋼管や軽量H型鋼をはじめとする各種鋼材を挙げることができ、鋼材の成分、形状は特に限定されない。本発明を適用し得る被めっき材のさらに具体的な例としては、熱延鋼板、冷延鋼板、及び、熱延鋼板若しくは冷延鋼板を素材とする鋼管や軽量H型鋼等の各種鋼材、又は、スラブやビレットなどを直接熱間で成形した形鋼等、を挙げることができる。
以下、各工程の詳細について説明する。なお、以下の記載においては、特に断りが無い限り、記載中の%は質量%を表す。
1.加熱工程
1.1.鋼材の加熱温度
加熱工程における、鋼材の加熱温度は、後述するめっき工程で鋼材に不めっきが発生することを抑制するという観点から、550℃以上とする。一方、高温に加熱しても鋼材はめっきされるが、加熱コストの増加、及び、鋼材の寸法精度低下を抑制するという観点から、鋼材の加熱温度は700℃以下とする。
1.2.雰囲気の酸素濃度
加熱工程において、鋼材表面に酸化皮膜が形成されることを抑制するという観点から、加熱工程における雰囲気の酸素濃度は500ppm以下の非酸化性又は弱酸化性雰囲気とする。加熱工程において、鋼材表面に酸化皮膜が形成されると、後述するめっき工程で鋼材に不めっきが発生するため、好ましくない。
2.めっき工程
2.1.めっき浴のAl濃度
めっき浴へのMg溶解量を大きくし、めっき浴中でのMgの酸化を防止する等の理由から、めっき浴にAlが添加される。後述するように、不可避的不純物を含む亜鉛めっき浴に0.5%以上のMgが含まれると、めっきされた鋼材の耐食性が向上するため、めっき浴には0.5%以上のMgを添加することが好ましく、かかる量のMgをめっき浴中に溶解させるには、めっき浴のAl濃度(以下、単に「Al濃度」と記述することがある。)を0.5%以上とすることが好ましい。一方、多量のAlを添加すると、めっき浴面にAlドロスが発生し、めっき浴を経た鋼材の外観が悪化するため、Al濃度は20%以下とすることが好ましい。より好ましくは、2%以上15%以下である。
2.2.めっき浴のMg濃度
めっきされた鋼材の耐食性を向上させることを目的として、めっき浴にMgが添加される。当該耐食性向上効果は、Mg濃度が0.5%以上である場合に発揮される。一方、多量のMgを添加すると、めっき浴面にMg酸化物ドロスが発生し、めっき浴を経た鋼材の外観が悪化するのみならず、耐食性向上効果も飽和するため、めっき浴のMg濃度(以下、単に「Mg濃度」と記述することがある。)は6%以下とすることが好ましい。より好ましくは、1%以上5%以下である。
2.3.めっき浴の温度
不めっきの発生を抑制し、良好なめっき密着性を有するめっきを形成させる等の観点から、めっき浴の温度(以下において、「めっき浴温」と記述することがある。)は420℃以上とすることが好ましい。一方、めっき浴が高温であっても鋼材はめっきされるが、めっき浴におけるドロス発生量の増大、温度維持に必要とされるエネルギーの増大、及び、めっきポットの劣化等を防止する等の観点から、めっき浴の温度は520℃以下とすることが好ましい。
2.4.侵入材温
めっき工程における、不めっきの発生を抑制し、良好なめっき密着性を有するめっきを形成させる等の観点から、侵入材温は、めっき浴の温度以上とすることが好ましい。
以下、実施例によって、本発明をさらに詳しく説明する。
C:0.05%、Mn:0.15%を含有する、厚さ1.6mm、幅80mm、長さ200mmの低炭素熱間圧延鋼板を複数採取し、室温の18%塩酸で酸洗することにより、スケールを除去した。そして、実験中の鋼材温度の測定、及び、温度制御を目的として、スケールを除去された鋼板に熱電対を溶接した。測定した温度はチャート記録計で記録した。
その後、熱電対が溶接された鋼板を赤外炉へ入れ、所定の酸素濃度に調節された窒素雰囲気の下、熱電対で測定された鋼板温度が所定の加熱温度となるように、加熱した。酸素濃度は10〜1000ppmの範囲、加熱温度は300〜700℃の範囲、昇温温度は毎秒10℃とした。
所定の温度へと加熱された鋼板は、昇温過程を終えた赤外炉内に保持されることによって放冷され、めっき浴へと侵入させるべき温度になった時点で、鋼板を所定量のAl及びMgを含むめっき浴へ侵入させた。鋼板のめっき浴への侵入を目視で確認し、その時刻における鋼板の温度をチャート記録計から読み取り、これを侵入材温とした。侵入材温は、380℃以上、加熱温度以下の範囲とし、めっき浴侵入時における雰囲気酸素濃度は10〜1000ppmの範囲とした。めっき浴温度は400〜500℃の範囲とした。
上記条件で作製しためっき鋼板の外観及びめっき密着性について、以下のように評価を行った。なお、以下の評価を、評価の良い順に並べると、「○○○」、「○○」、「○」、「×」(または「−」)となり、「×」(または「−」)を不合格、「○○○」、「○○」、及び、「○」を合格とした。
(1)外観
目視にて外観の良否を判定した。
○○○:不めっき及びドロスが認められず、めっき表面の光沢が一様である。
○○:不めっき及びドロスは認められないが、めっき表面の光沢に縞状の不均一な模様が認められる。
○:不めっき若しくはドロスがわずかに認められる、又は、めっき表面に凹凸が認められる。
×:不めっきが多い。
(2)めっき密着性
デュポン衝撃試験後、テープ剥離試験を行い、めっき剥離の有無を評価した。デュポン衝撃試験の条件は、ポンチ径:6mm、及び、受けダイス径:12mmとし、質量1.6kgの錘を400mmの高さから自由落下させた。
○○○:めっき剥離が全く認められない。
○○:めっきの剥離は認められるが、その剥離状態は母材鋼板の露出にまで至っておらず、薄いめっきが存在している状態のものが僅かに認められる程度である。
○:めっきの剥離は認められるが、その剥離状態はめっきの剥離により母材鋼板の露出にまで至っているものが僅かに認められる程度である。
−:不めっきのため測定不能。
加熱工程における鋼板の加熱温度(鋼材温度)の影響について調べた、試番1〜27の結果を、表1にあわせて示す。
Figure 2007270310
表1より、加熱温度が500℃以下(試番1〜15)では不めっきが多いが、550℃以上(試番16〜27)では不めっきの発生が抑制されることが確認された。
加熱工程における雰囲気酸素濃度の影響について調べた、試番28〜39の結果を、表2にあわせて示す。
Figure 2007270310
表2より、加熱工程における雰囲気酸素濃度が500ppm以下の場合(試番28〜30)には、不めっきの発生が抑制されるが、同濃度が1000ppm以上(試番31〜39)になると不めっきが多く発生することが確認された。また、加熱工程における雰囲気酸素濃度及びめっき浴侵入時における雰囲気酸素濃度(以下、これらをまとめて単に「雰囲気酸素濃度」という。)の条件のみが異なる、表1に示される試番22〜24と表2に示される試番28〜30との比較により、雰囲気酸素濃度を低減することで、外観美麗な鋼板を作製することが可能になることが確認された。
加熱工程における鋼板の加熱温度及び雰囲気酸素濃度のほか、さらに、Al濃度及びMg濃度の影響について調べた、試番40〜67の結果を、表3にあわせて示す。
Figure 2007270310
表3より、Al濃度、又は、Al濃度及びMg濃度が上記のより好ましい範囲(Al:2%以上15%以下、Mg:1%以上5%以下。以下において、「好ましい範囲」という。)を越えると(試番61〜63、及び、試番65〜67)、Al濃度及びMg濃度が上記好ましい範囲内である場合(試番53〜55、及び、試番57〜59)と比較して、鋼板の外観がやや劣化することが確認された。また、Al濃度をMg濃度の1/3(試番49〜51)にすると、Al濃度をMg濃度以上とした場合(試番41〜43、及び、試番45〜47)と比較して、鋼板の外観がやや劣化することが確認された。これは、めっき浴において、Mg量に対するAl量が所定値以下になると、Mg酸化物ドロスが発生する虞があることに起因していると考えられる。
加熱工程における鋼板の加熱温度及び雰囲気酸素濃度、並びに、Al濃度及びMg濃度のほか、さらに、侵入材温の影響について調べた、試番68〜82の結果を、表4にあわせて示す。
Figure 2007270310
表1、表4より、加熱温度を550℃以上700℃以下、雰囲気酸素濃度を500ppm以下である10ppm、Al濃度を上記好ましい範囲に含まれる3.5%、及び、Mg濃度を上記好ましい範囲に含まれる3.0%とし、さらに、侵入材温をめっき浴温以上(試番68〜82)にすると、侵入材温がめっき浴温未満である場合(試番16〜27)と比較して、鋼板の外観及びめっき密着性が向上することが確認された。
めっき浴温、侵入材温、及び、雰囲気酸素濃度の影響について調べた、試番83〜94の結果を、表5にあわせて示す。
Figure 2007270310
表4、表5に示される、試番71及び試番83、試番73及び試番85、並びに、試番69、75、81及び試番87の比較により、表4の条件からめっき浴温及び侵入材温を上記好ましい温度範囲外へと低下させると、鋼板の外観及びめっき密着性がやや劣化することが確認された。さらに、試番72及び試番84、試番74及び試番86、並びに、試番70、76、82及び試番88の比較により、表4の条件からめっき浴温のみを上記好ましい温度範囲外へと低下させても、鋼板の外観及びめっき密着性がやや劣化することが確認された。
一方、表2、表5に示される、試番28及び試番89、試番28及び試番90、試番29及び試番91、試番29及び試番92、試番30及び試番93、並びに、試番30及び試番94の比較により、侵入材温がめっき浴温以上となるように表2の条件を変更することで、鋼板の外観及びめっき密着性が向上することが確認された。
他方、表4、表5に示される、試番71及び試番89、試番72及び試番90、試番73及び試番91、試番74及び試番92、試番75及び試番93、並びに、試番76及び試番94の比較により、雰囲気酸素濃度を上記雰囲気酸素濃度の濃度範囲の上限(試番89〜94)とすると、雰囲気酸素濃度を同濃度範囲内でより低く設定した場合(試番71〜76)よりも、鋼板の外観及びめっき密着性がやや劣化することが確認された。
加熱温度、Al濃度及びMg濃度、並びに、侵入材温の影響について調べた、試番95〜150の結果を、試番95〜118については表6に、試番119〜150については表7に、それぞれ示す。
Figure 2007270310
Figure 2007270310
表4に示される試番71〜76と、表6に示される試番97〜102、105〜110、113〜118、121〜126、129〜134、137〜142、及び、145〜150との比較により、加熱温度及び雰囲気酸素濃度を本発明の範囲内に設定するとともに、めっき浴温及び侵入材温を上記好ましい温度に設定した場合、Al濃度及びMg濃度を上記好ましい範囲に設定すると(試番105〜110、及び、113〜118)、良好な外観及びめっき密着性を有する鋼板を作製可能であることが確認された。さらに、この場合、Al濃度及びMg濃度を、ともに、上記好ましい範囲の下限値に満たない0.5%としても(試番97〜102)、良好な外観及びめっき密着性を有する鋼板を作製可能であることが確認された。これに対し、Mg濃度を上記好ましい範囲に設定しAl濃度を上記好ましい範囲の上限を超えて設定する(試番129〜134)、Al濃度及びMg濃度をともに上記好ましい範囲の上限を超えて設定する(試番121〜126)、Al濃度を上記好ましい範囲に設定しMg濃度を上記好ましい範囲の下限未満に設定する(試番137〜142)、あるいは、Al濃度をMg濃度の1/3とする(試番145〜150)と、試番105〜110、113〜118と比較して、鋼板の外観がやや劣化することが確認された。
一方、表3に示される試番41〜43、45〜47、49〜51、53〜55、57〜59、61〜63、及び、65〜67と、表6に示される試番97〜102、105〜110、及び、113〜118、並びに、表7に示される試番121〜126、129〜134、137〜142、及び、145〜150との比較によれば、めっき浴温未満であった侵入材温を、めっき浴温以上とすることで、鋼板の外観及びめっき密着性が向上することが確認された。なお、表3、表6及び表7に示されるように、加熱温度を500℃にすると、Al濃度、Mg濃度、及び、侵入材温の条件を上記好ましい範囲に設定しても不めっきが発生し、外観及びめっき密着性に劣る鋼板となった。したがって、表3、表6及び表7の結果から、加熱温度を500℃よりも高温とすることの必要性が確認された。

Claims (4)

  1. 鋼材をめっき前に加熱する加熱工程と、前記加熱工程を経た鋼材を溶融金属めっき浴へ浸漬するめっき工程と、を備え、
    前記加熱工程が、酸素濃度が500ppm以下の非酸化性又は弱酸化性雰囲気下で行われるとともに、前記加熱工程において、前記鋼材が550℃以上700℃以下の温度に加熱されることを特徴とする、
    フラックスを用いず一浴法にて前記鋼材にめっきを行う、溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法。
  2. 前記溶融金属めっき浴が、Al:0.5〜20質量%、Mg:0.5〜6質量%を含有し、残部はZn及び不可避的不純物からなり、
    前記めっき工程における、前記溶融金属めっき浴の温度が、420℃以上520℃以下であることを特徴とする、請求項1に記載の溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法。
  3. 前記溶融金属めっき浴へ侵入する際の前記鋼材の温度が、前記溶融金属めっき浴の温度以上であることを特徴とする、請求項2に記載の溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法。
  4. 前記鋼材が、鋼管または形鋼であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶融亜鉛系めっき鋼材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109868952A (zh) * 2017-12-02 2019-06-11 鹤山市鸿图铁艺实业有限公司 一种护栏用金属管的制造工艺

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