JP2007269967A - 天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置 - Google Patents

天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 天然ガスハイドレート生成プラントにおいて生成されたNGHスラリーから未反応水を除去する場合に、スラリー中の固形分に毛細管現象により随伴される未反応水を積極的に吸引するようにして排水を促進し、毛細管現象による未反応水の上昇を考慮する必要をなくして、高さを小さくできる脱水器を備えた脱水装置を提供する。
【解決手段】 脱水器11のクッションタンク部12と連通させた水位調整管17から排水ポンプ18で吸引して排水して、クッションタンク部12内から未反応水を吸引する。この吸引によりクッションタンク部12内が吸引され、脱水器11の内部と連通している水位調整管17内の水位とクッションタンク部12内の水位とをLdC19aで調整して、クッションタンク部12内側の負圧を保つようにして、脱水器11からの未反応水の除去を促進する。

【選択図】 図1

Description

この発明は、天然ガスを輸送や貯蔵に適した状態に生成する天然ガスハイドレート生成プラントに設置されている脱水装置に関する。
シベリアやカナダ、アラスカ等の凍土地帯や大陸周辺部における水深500m以下の海底下には、主成分がメタンである天然ガスハイドレート(NGH)が存在している。この天然ガスハイドレートは、メタン等のガス分子と水分子とから構成される低温高圧下で安定した水状固体物質あるいは包接水和物であり、二酸化炭素や大気汚染物質の排出量が少ないクリーンエネルギとして着目されている。
天然ガスからは一般に液化天然ガスが製造され、輸送・貯蔵されてエネルギーとして利用されているが、その製造や輸送・貯蔵は−162℃の極低温において行われている。これに対して天然ガスハイドレートは、常圧下において−20℃でほとんど分解せずに安定した性質を示し、固体として扱うことができる等の利点を備えている。このような性質から、世界中に存在している採算面等の理由から未開発の中小ガス田におけるガス資源を有効に利用することができる手段として、あるいは大ガス田からの近距離、小口輸送の場合等に天然ガスハイドレート方式を活用できる。
天然ガスハイドレート方式では、中小ガス田等のNGH出荷基地(地上又は海上)において、輸送や貯蔵に適したNGHペレットを生成し、輸送船や車両等によって所望のNGH受入基地まで輸送され、NGH受入基地では輸送されたNGHを貯蔵し、必要に応じてNGH再ガス化装置によってエネルギ源として利用することになる。図4は、前記NGH出荷基地におけるNGH生成プラントの構成を説明する概略を示す図である。天然ガス及び水を高圧反応容器からなる第1生成器3に給送して、低濃度のNGHスラリーを生成する。この低濃度スラリーを脱水器4に供給し、脱水する。脱水器4により脱水されたNGHは第2生成器5に供給され、再度天然ガスによりNGH中における天然ガス成分を高めて高濃度のNGHスラリーあるいはパウダーを生成する。この第2生成器5を通過した高濃度スラリーあるいはパウダーは、造粒器6に給送されて造粒され、適宜な大きさのNGHペレットに形成される。そして、常圧下でも分解しない温度まで冷却器7によって冷却され、ロータリポンプ8等によって給送されて貯蔵槽9に貯蔵される。
ところで、出願人は縦型移動層式の脱水器として、筒状の第1塔体と、第1塔体の上部に設けた水切り部と、この水切り部の外側に設けた脱水集合部と、前記水切り部の上部に設けた筒状の第2塔体により形成すると共に、前記水切り部に無数の貫通孔またはスリットを設けたガスハイドレート製造装置を提案している(特許文献1)。
特願2004−295060
前記特許文献1で提案された脱水器は、前記第1塔体の底部に供給されたガスハイドレートスラリーは、第1塔体内を上昇し、水切り部を形成している筒体の貫通孔から水のみが流出する。水が流出すると、ガスハイドレートは、塔上部に残ると共に、水切り部の部分にも蓄積され、ガスハイドレート層を形成する。そして、ガスハイドレートに同伴した水がガスハイドレート層を通過する際にガスハイドレートを上方に押し上げることから、脱液したガスハイドレート層を塔頂部から連続的に取り出すことができる、というものである。
前述のように形成されたガスハイドレート層は、水分が除去されて固形分により形成されているが、固形分同士の間には間隙が存しているから、この間隙に水分が侵入している。しかも、この水分は毛細管現象によってこの間隙に案内されて上昇する。前記ガスハイドレートの固形分から水分を確実に除去した状態まで脱水するためには、毛細管現象により水分が上昇しない高さまで固形分が押し上げられる必要があるから、塔体の高さ、すなわち脱水器の高さが高くなってしまい、脱水器が大型化してしまう。なお、脱水器の高さを低くする場合には、脱水器から取り出されるガスハイドレートに随伴される水分が多くなり、次工程である第2生成器における生成に与える負荷が大きくなって、この第2生成器を大型化してしまうおそれがある。
そこで、この発明は、高さを大きくすることなく供給されたスラリーの水分を確実に除去して脱水効率をより高めることができる天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成するための技術的手段として、この発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置は、天然ガスを水と反応させて天然ガスハイドレートを生成する生成工程に後続し、生成されたスラリー状の天然ガスハイドレートから未反応の水を、脱水器内で固形分を未反応水に対して上昇させて浮遊させることにより除去する脱水工程のための天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置において、前記脱水器の側壁の適宜高さ位置に前記未反応水を通過させる分離部を設け、前記分離部の外側にクッションタンク部を設け、前記クッションタンク部内を脱水器内よりも負圧にすることを特徴としている。
前記脱水器へのスラリーの供給は脱水器の底部から行われ、スラリーが上昇しながらスラリー中の固形分は未反応の水による浮力を受けて、未反応水に浮遊することになる。このため、脱水器内では上部の固形分を主とした層と下部の水分を主とした層とに分離される。この下層を形成する未反応水は、前記分離部から排出されてクッションタンク部に流入する。このクッションタンク部内が脱水器よりも負圧とされているから、未反応水はクッションタンク部側に吸引される。これにより、脱水器内の未反応水の脱水器からの排出が促進される。また、脱水器内の未反応水が吸引されることにより、毛細管現象により上層の固形分中に取り込まれている未反応水も吸引され、毛細管現象による上昇が阻止されて、固形分に随伴される未反応水が減少する。
また、請求項2の発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置は、前記クッションタンク部と連通させた水位調整管を設け、前記水位調整管の上部と前記脱水器の上部とを連通させ、前記水位調整管の底部に排水ポンプの吸込側を接続させ、前記排水ポンプの吐出量を調整して、前記クッションタンク部内を脱水器内よりも負圧に調整することを特徴としている。
すなわち、クッションタンク内に流入した未反応水を排水ポンプで強制的に排出させることにより、クッションタンク内を負圧にするようにしたものである。排水ポンプによる排水量を調整することにより負圧の大きさを調整できるから、脱水器の内部と連通させた前記水位調整管の水位を制御することにより、脱水器内部とクッションタンク内との差圧を調整し、クッションタンク内を負圧に維持させる。
また、請求項3の発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置は、前記クッションタンク部にブロワの吸込側を接続し、前記ブロワでクッションタンク部内を吸引して脱水器内よりも負圧に調整することを特徴としている。
クッションタンク部内を、ブロワにより吸引することにより負圧にするようにしたものである。吸引されるクッションタンク内の気体には、ガスハイドレートを生成するゲストガスが含まれているため、前記ブロワの吐出側を脱水器と接続して循環させることが好ましい。あるいは、天然ガスハイドレート生成プラントの低圧系にこの気体を給送するようにしても構わない。なお、低圧系に給送する場合には、この低圧系の状態によってはブロワを使用しなくても十分に吸引できる場合もある。
また、請求項4の発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置は、前記脱水器の上部に、未反応水が分離したスラリー状の固形分を次工程に給送するスラリー排出手段を設け、未反応水に対して浮遊した前記スラリー状の固形分を、積極的に前記スラリー排出手段まで上昇させて給送するスラリー揚げ手段を備えていることを特徴としている。
脱水器から次工程へ給送されるスラリーには、極力水分が含まれていないものが好ましく、このため、スラリー排出手段は脱水器の上部に配することが好ましい。他方、クッションタンク内を負圧にするため、脱水されたスラリーは脱水器の上部に至らなくてもある程度の水分が除去されている。すなわち、スラリー排出手段の高さ位置とスラリーの固形分が浮遊する位置のと間に差が存することになる場合があり、このため浮遊しているスラリーをスラリー揚げ手段でスラリー排出手段まで持ち上げるようにしたものである。
また、請求項5の発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置は、前記スラリー揚げ手段は、螺旋状のスクレーパーからなることを特徴としている。
前記スラリー揚げ手段を螺旋状のスクレーパーとしたものである。すなわち、掻き揚げ板をリボン状に螺旋状の旋回させながら昇降させることにより、液面に浮遊しているスラリーをスラリー排出手段まで搬送するようにしてある。
また、請求項6の発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置は、前記脱水器の上部にゲストガスを供給させ、前記スラリー揚げ手段により上昇させられる前記スラリー状の固形分にこのゲストガスを反応させるようにしたことを特徴としている。
すなわち、前記揚げ手段によって搬送されている状態でも、水分が落下して脱水されているが、さらにゲストガスと反応させてNGHの濃度を高めるようにしたものである。
また、請求項7の発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱圧装置は、前記脱水器と第1生成器とを結合させ、前記第1生成器で生成された天然ガスハイドレートのスラリーを前記脱水器に給送し、脱水器で除去された未反応水を前記第1生成器に供給し、脱水器で発生した未反応ガスを前記第1生成器に供給することを特徴としている。
脱水器において未反応水を吸引することにより、未反応水が毛細管現象によって固形分に随伴されることがなくなるため、脱水器の高さを小さくできることになり、この脱水器に第1生成器を結合させたものである。
また、請求項8の発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置は、前記脱水器を上側に、前記第1生成器を下側にしてを結合させたことを特徴としている。
前記第1生成器と脱水器とを結合させた構造とする場合、NGHスラリーを上方から下方へ給送するようにすれば、給送のための動力を削減できるから、脱水器の上側に第1生成器を配して結合するようにしたものである。
この発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置によれば、未反応水が天然ガスハイドレートのスラリーの固形分に対して毛細管現象によって吸い上げられることを阻止するから、スラリーからの水分の除去を促進し、脱水器から次工程へ給送されるスラリー中の天然ガスハイドレートの濃度を高めることができる。したがって、天然ガスハイドレート生成プラントの生成効率を向上させると共に、エネルギ効率の高い天然ガスハイドレートを生成することができる。
また、請求項2の発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置によれば、未反応水を前記排水ポンプで吸引することによりクッションタンク内部を脱水器の内圧に対して負圧にするようにしたため、排水量に対するクッションタンク部内の容積変化が小さいから、減圧量の変化が小さく、微調整する場合に適している。
また、請求項3の発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置によれば、クッションタンク部内を吸引して減圧させることにより脱水器の内圧に対して負圧となるから、簡単な構造により確実にクッションタンク内部を負圧にすることができる。
そして、ブロワによるクッションタンク部内の気体の吸引と、排水ポンプによる排水量の調整とを組み合わせることにより、より容易にクッションタンク部内の圧力の調整を行うことができ、しかも、所望の圧力への調整をより正確に行うことができる。
また、請求項4の発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置によれば、前記スラリー揚げ手段により浮遊しているスラリーの固形分をスラリー排出手段まで持ち上げることができるようにしたから、液面に浮遊している固形分を確実にスラリー排出手段に供給することができる。
また、請求項5の発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置によれば、簡単な構造で確実にスラリーをスラリー排出手段まで搬送することができる。
また、請求項6の発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱圧装置によれば、水分が除去された固形分がさらにゲストガスと反応することになるから、より高濃度のNGHスラリーを生成することができる。
また、請求項7の発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱圧装置によれば、脱水器と第1生成器とを合わせた高さとなっても、第1生成器の設置スペースを必要としなから、天然ガスハイドレート生成プラントの設備の小型化を図ることができる。しかも、第1生成器と脱水器との間のスラリー給送のための配管等を短縮できるから、さらに設置スペースの削減を図ることができる。
また、請求項8の発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置によれば、第1生成器から脱水器へのスラリーの給送を下方へ向かわせて行えるから、給送のための動力を削減でき設備コストを低減させることができる。
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置を具体的に説明する。
図1には、第1実施形態に係る脱水装置10が示されている。天然ガスハイドレート(NGH)の生成は0℃以上で操作できるように、高圧下で行われるようにしてあり、脱水装置10の主体となる脱水器11は、内圧が30〜70atmに耐える圧力容器で構成されている。この脱水器11には、前記第1生成器3で天然ガスと水とを反応させて生成されたNGHスラリーSが給送ポンプ3aによって底部から供給される。脱水器11の胴部の外側にはクッションタンク部12が設けられており、このクッションタンク部12が設けられた胴部の壁体は、網材や小孔や小幅のスリット等が形成されたパンチングメタル等によって分離板12aとされている。供給されたNGHスラリーSに随伴された未反応水はこの分離板12aを通過してクッションタンク部12に流れ込むようにしてある。また、脱水器11の内部には適宜本数の導入管13が設けられており、この導入管13の下端部とクッションタンク部12の下部とが連通されている。また、導入管13の管壁には多数の小孔が形成されており、前記分離板12aと同様に、この小孔を通過して未反応水が導入管13に流れ込み、下端部からクッションタンク部12に導入されるようにしてある。さらに、この導入管13の上部とクッションタンク部12の上部とが連通管13aによって連通されている。なお、この導入管13は脱水器11の内径が大きい場合に設けられてあれば、未反応水の排水面積が増加するので脱水処理に要する時間を短縮できるので好ましく、脱水器11の内径が小さい場合にはこの導水管13を設けなくても構わない。
脱水器11の上端部近傍には、スラリー排出手段としての例えばスクリューコンベヤ15が設けられている。そして、脱水器11に供給されたNGHスラリーSの液面となる高さよりも上側とこのスクリューコンベヤ15との間にスラリー揚げ手段としての螺旋状スクレーパー16が設けられており、液面に浮遊したNGHスラリーSの固形分がこの螺旋状スクレーパー16によって持ち上げられてスクリューコンベヤ15まで搬送されるようにしてある。
脱水器11の側方には水位調整管17が設けられており、この水位調整管17の下端部と前記クッションタンク部12の下端部とに水用連絡管17aが接続され、この水用連絡管17aを介してクッションタンク部12の液体層と水位調整管17の液体層とが連通されている。また、水位調整管17の上部と脱水器11の上部とに気体用連絡管17bが接続され、この気体用連絡管17bを介して水位調整管17の上部と脱水器11の上部とが連通されている。この水位調整管17の下部に、排水ポンプ18の吸込側に接続された吸込管18aが接続されている。前記クッションタンク部12と水位調整管17と間にこれらの内容物である水位の差を調整する水位差制御装置(LdC)18が設けられ、その出力信号が水位を調整する水位制御装置(LC)19bに入力され、このLC19bの出力信号によって、前記排水ポンプ18の吐出側に接続された吐出管18bに設けられている調整弁20の開度が調整されて、排水ポンプ18の吐出量が調整されるようにしてある。
また、脱水器11にはゲストガスとしてメタンリッチガスを供給するためのガス供給管21が、固形分が多く含まれる上層の近傍に接続されており、必要に応じてメタンリッチガスが供給されるようにしてある。また、脱水器11の上部には未反応のゲストガスを排出するためのガス排出管22が接続されている。
以上により構成された第1実施形態に係る脱水装置10について、その作用を以下に説明する。
前記第1生成器3で生成されて前記給送ポンプ3aにより脱水器11に供給された低濃度のNGHスラリーSは、この脱水器11内を上昇する流れを生じさせる。NGHスラリーSは上昇しながら、このNGHスラリーSに含まれる固形分が未反応水による浮力を受けて浮上し、脱水器11内で固形分により上層が、未反応水により下層が、それぞれ形成された状態となる。そして、下層の未反応水は、前記分離板12aを通過してクッションタンク部12に流れ込む。そして、前記クッションタンク部12は前記水位調整管17と連通しているから、クッションタンク部12内の未反応水は水位調整管17を経由し、この水位調整管17から前記排水ポンプ18で吸引されて脱水装置10外へ排出される。なお、排出された未反応水は、前工程の第1生成器3やその他必要な工程に供給される。
水位調整管17内が排水ポンプ18によって吸引されると、水位調整管17の内部が吸引され、クッションタンク部12内が吸引される。このため、クッションタンク部12内が脱水器11の内圧に対して負圧となり、脱水器11内の未反応水を吸引する。これにより、未反応水の上層にある固形分の間隙内に毛細管現象によって固形分に随伴されている未反応水が、毛細管現象による力に抗して吸引されて、上層の固形分からの脱水を促進させることになる。また、水位調整管17の内部は脱水器11の上部と連通させてあるから、これらの部分の内圧は等しい状態となり、この水位調整管17内とクッションタンク部12内の水位を所定の状態に調整することにより、クッションタンク部12と脱水器11のそれぞれの内圧の差が所定の大きさに調整される。また、水位調整管17から前記排水ポンプ18で吸引しているため、この吸込量を調整することにより、前記LdC19aによってクッションタンク部12内の水位と水位調整管17内の水位との差を制御し、その出力で水位調整管17の水位を調整するよう、前記調整弁20の開度を変更して排水ポンプ18の吐出量を調整している。
そして、脱水器11内で上層を形成するNGHスラリーSの固形分は前記螺旋状スクレーパー16によって持ち上げられて前記スクリューコンベヤ15まで搬送され、このスクリューコンベヤ15によって次工程、例えば前記第2生成器5に給送される。
前記螺旋状スクレーパー16による搬送途中では、NGHスラリーS中の水分が落下してNGHスラリーS中の天然ガス濃度が高められる。さらに、脱水器11の上部に配された前記ガス供給管21からメタンリッチガスが供給されると、前記螺旋状スクレーパー16により搬送されているNGHスラリーSの固形分がメタンリッチガスと反応する。このため、NGHスラリーSの天然ガス濃度がさらに高められ、より濃度が高められたNGHスラリーSを次工程へ給送することができる。また、未反応のメタンリッチガスは前記ガス排出管22から排出されて、脱水器11の内圧が所定の大きさとなるように調整されている。なお、排出された未反応のメタンリッチガスは、例えば前工程の第1生成器3に供給されたり、あるいは前記ガス供給管21から脱水器11に供給するよう循環させることもできる。
次に、図2に示す第2実施形態に係る脱水装置30について説明する。なお、第1実施形態に係る脱水装置10と同一の部位については同一の符号を付してある。この第2実施形態では、排水ポンプ18の吸込側は、クッションタンク部12の底部と吸込管18aによって接続されている。排水ポンプ18の吐出側に接続された吐出管18bには調整弁20が設けられており、クッションタンク部12内の水位を調整する水位制御装置(LC)19cの出力信号により開度が調整される。また、クッションタンク部12の上部にブロワ31の吸込側が接続されており、このブロワ31の吐出側が調整弁32を介して脱水器11の上部に接続されて、クッションタンク部12内の気体が脱水器11に給送されるようにしてある。そして、脱水器11の内圧とクッションタンク部12の内圧との差が、差圧制御装置(PdC)33により調整されるよう、このPdC33の出力信号により前記調整弁32の開度が調整されるようにしてある。なお、前記ブロワ31の吐出側は、調整弁32を介した後に、脱水器11に接続せずに、他の工程における低圧系に接続しても構わない。なお、低圧系に接続する場合には、低圧系からの吸引を受けるため、前記ブロワ31を配する必要がない場合もある。
この第2実施形態に係る脱水装置30では、前記ブロワ31によってクッションタンク部12内が減圧され、脱水器11の内圧に対して負圧となるように調整される。したがって、脱水器11内部の未反応水がクッションタンク部12内に吸引されることになり、固形分の間隙による毛細管現象により上昇しようとする力に抗して、固形分に随伴されている未反応水が吸引されることになる。このため、固形分から未反応水が除去されて、NGHスラリーSの濃度が高められる。
以上説明した第1実施形態と第2実施形態のそれぞれに係る脱水装置10、30では、クッションタンク部12内を負圧にするために、第1実施形態では前記排水ポンプ18の吸込作用を利用し、第2実施形態では前記ブロワ31の吸込作用を利用して行う構造として説明したが、クッションタンク部12内を脱水器11の内圧よりも負圧にするために、これら排水ポンプ18の作用による構造とブロワ31の作用による構造とを組み合わせた構造とすることもできる。この構造による場合では、ブロワ31により大く減圧させ、排水ポンプ18により微調整を行うようにすることができる。
図3には、この発明の第3実施形態に係る脱水装置40を示してある。この第3実施形態に係る脱水装置40は、前記第1生成器3と脱水器とを結合させた構造としたものである。図3に示す実施形態では、前記第1実施形態に係る脱水装置10と第1生成器3とを結合した場合の構造を示しており、第1実施形態に係る脱水装置10に相当する部分の各部位について、第1実施形態のものと同一の符号を付してある。これら第1生成器3と脱水装置10の脱水器11とはいずれも内圧が30〜70atmの耐圧容器であり、上段に第1生成器3の生成槽41が下段に脱水器11が配されて一体結合されている。生成槽41には冷却ゲストガスとしての天然ガスがゲストガス供給管42を通して供給され、この天然ガスと反応させるための水が水供給管43を通して供給されるようにしてある。また、生成槽41内に供給されたゲストガスと水とを攪拌する攪拌装置44が設けられている。
前記水供給管43には前記排水ポンプ18の吐出側を接続させてもよく、脱水器11内のNGHスラリーSから分離された未反応水が水供給管43で、別途供給される水と混合されて生成槽41に供給されるようにすることもできる。また、脱水器11内の気体は水位調整管17の気体と共に、ガス供給管45から生成槽41の上部に供給されている。生成槽41内で生成されたNGHスラリーSは垂直搬送が可能なスラリーポンプ46によって脱水器11の下部に給送されるようにしてある。なお、スラリーポンプ46は、NGHスラリーSを搬送するのに適したポンプを別途配設してもよい。
すなわち、生成槽41では天然ガスと水とが反応してNGH(天然ガスハイドレート)が生成される。この生成されたNGHは未だ多量の水分を含んだスラリー状をしており、前記スラリーポンプ46によって脱水器11に供給される。この脱水器11では、排水ポンプ18の吸引力を受けて、毛細管現象により受ける力に抗して固形分の間隙に存する未反応水が吸引されるから、固形分における水分濃度を低下させてNGHスラリーS中のNGH濃度が高められる。
また、第1生成器3を脱水器11を第2実施形態に係る脱水器40に結合させた構造とすることもでき、さらに、前述したように、排水ポンプ18とブロワ31とを組み合わせてクッションタンク部12内の減圧を行う構造とすることもできる。
この発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置では、脱水器内の未反応水の排水側を負圧として吸引して排水させるから、上層に浮遊する固形分中に毛細管現象によって随伴された未反応水を積極的に除去でき、このため、毛細管現象により上昇する未反応水の位置が高くならず、脱水器の高さを小さくして小型化を図ることができる。このため、天然ガスハイドレート生成プラントの設備規模を小さくでき、より天然ガスハイドレート方式の活用を促進する。
この発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置の第1の実施形態を示す図で、脱水器内の未反応水を排水ポンプにより負圧を生成して吸引する方式による構造を示す概略図である。 この発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置の第2の実施形態を示す図で、脱水器内の未反応水をブロワにより負圧を生成して吸引する方式による構造を示す概略図である。 この発明に係る天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置の第3の実施形態を示す図で、第1生成器と組み合わせた構造を説明する概略図である。 天然ガスハイドレート生成プラントの構成の一例を説明するブロック図である。
符号の説明
3 第1生成器
3a 給送ポンプ
10 脱水装置
11 脱水器
12 クッションタンク部
12a 分離板
13 導入管
15 スクリューコンベヤ(スラリー排出手段)
16 螺旋状スクレーパー(スラリー揚げ手段)
17 水位調整管
17a 水用連絡管
17b 気体用連絡管
18 排水ポンプ
19a LDC(水位差制御装置)
19b LC(水位制御装置)
20 調整弁
30 脱水装置
31 ブロワ
32 調整弁
33 差圧制御装置(PdC)
40 脱水装置
41 生成槽
42 ゲストガス供給管
43 水供給管
44 攪拌装置
45 ガス供給管
46 スラリーポンプ
S NGHスラリー

Claims (8)

  1. 天然ガスを水と反応させて天然ガスハイドレートを生成する生成工程に後続し、生成されたスラリー状の天然ガスハイドレートから未反応の水を、脱水器内で固形分を未反応水に対して上昇させて浮遊させることにより除去する脱水工程のための天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置において、
    前記脱水器の側壁の適宜高さ位置に前記未反応水を通過させる分離部を設け、
    前記分離部の外側にクッションタンク部を設け、
    前記クッションタンク部内を脱水器内よりも負圧にすることを特徴とする天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置。
  2. 前記クッションタンク部と連通させた水位調整管を設け、
    前記水位調整管の上部と前記脱水器の上部とを連通させ、
    前記水位調整管の底部に排水ポンプの吸込側を接続させ、
    前記排水ポンプの吐出量を調整して、前記クッションタンク部内を脱水器内よりも負圧に調整することを特徴とする請求項1に記載の天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置。
  3. 前記クッションタンク部にブロワの吸込側を接続し、前記ブロワでクッションタンク部内を吸引して脱水器内よりも負圧に調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置。
  4. 前記脱水器の上部に、未反応水が分離したスラリー状の固形分を次工程に給送するスラリー排出手段を設け、
    未反応水に対して浮遊した前記スラリー状の固形分を、積極的に前記スラリー排出手段まで上昇させて給送するスラリー揚げ手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置。
  5. 前記スラリー揚げ手段は、螺旋状のスクレーパーからなることを特徴とする請求項4に記載の天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置。
  6. 前記脱水器の上部にゲストガスを供給させ、前記スラリー揚げ手段により上昇させられる前記スラリー状の固形分にこのゲストガスを反応させるようにしたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱圧装置。
  7. 前記脱水器と第1生成器とを結合させ、
    前記第1生成器で生成された天然ガスハイドレートのスラリーを前記脱水器に給送し、
    脱水器で除去された未反応水を前記第1生成器に供給し、
    脱水器で発生した未反応ガスを前記第1生成器に供給することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置。
  8. 前記脱水器を上側に、前記第1生成器を下側にしてを結合させたことを特徴とする請求項7に記載の天然ガスハイドレート生成プラントにおける脱圧装置。
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