JP2007269741A - 抗菌性低刺激化粧料 - Google Patents

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Takayuki Asakura
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Abstract

【課題】抗菌活性の高く、安定性に優れ、皮膚に対し一次刺激性や感作性を示さず、抗菌性を有した化粧料の提供。
【解決手段】多価アルコール及び/又は多価アルコールのアルキルエーテルより選ばれた1種又は2種以上と脂肪酸プロピレングリコールとを組合せて配合させ、更には前記組合せ成分に加えて、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテルの1種又は2種以上を一定量配合することにより、飛躍的に抗菌活性を向上させ、しかも高い安全性を有する化粧料を得ることを可能とした。

Description

本発明は、抗菌活性の高く、安定性に優れ、皮膚に対し一次刺激性や感作性を示さず、抗菌性を有した成分を配合した化粧料に関する。
化粧料の多くが抗菌剤として、パラベン、2−フェノキシエタノールに依存しているが、パラベン、2−フェノキシエタノールに変わる防腐剤を望まれていた。
従来、化粧料は、パラベン、2−フェノキシエタノールを防腐剤として処方化してきたが、昨今、消費者の皮膚トラブルの多様化が進み、パラベン、2−フェノキシエタノールを配合できない化粧料も多くなっている。また、一般にパラベン、2−フェノキシエタノールを用いない抗菌性、静菌性を有した化粧料は、パラベンや2−フェノキシエタノールほどの抗菌活性、抗菌スペクトルを有しておらず、現状は、パラベン、2−フェノキシエタノールに変わる防腐剤が見つかっていないのが実情である。
特開2003−300813号公報 特開2004−331582号公報
本発明の課題は、パラベン、2−フェノキシエタノールを用いることなく、抗菌活性の高く、安定性に優れ、皮膚に対し一次刺激性や感作性を示さず、抗菌性を有した化粧料の提供である。
本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意研究の結果、多価アルコール及び/又は多価アルコールのアルキルエーテルと脂肪酸プロピレングリコールを組合せて配合することにより、飛躍的に抗菌活性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。更に、多価アルコール及び/又は多価アルコールのアルキルエーテルと脂肪酸プロピレングリコールに加え、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテルの1種又は2種以上を組合せることで相乗的に抗菌活性を向上させることを可能とした。
即ち、陽イオン性成分の中で、多価アルコール及び/又は多価アルコールと高分子との反応性が他の陽イオン性成分よりも低い塩化アルキルジアリルアンモニウム等のアルキルエーテルと脂肪酸プロピレングリコールとを特定量組合せ配合することにより、更には前記組合せ成分に加えてショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテルを組合せることにより抗菌活性が飛躍的に向上することを見出し、また、皮膚刺激性のみならず、使用時の刺すような痛み、ヒリヒリ感、チクチク感といった不快感もほとんどないことをも見出し発明を完成した。また、カビに対する抗菌性を更に、向上させるためには、塩化アルキルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体とノニオン界面活性剤を配合することで相乗的に抗菌活性を高めることが可能あり、前記成分を加えることにより、物理安定性及び安全性において、影響を与えることはない。
本発明により、安定性が良好で、かつ抗菌作用が相乗的に強化され、しかも皮膚刺激性のみならず、使用時の刺すような痛み,ヒリヒリ感,チクチク感といった不快感もほとんどない抗菌性化粧料を得ることができる。
発明実施の最良の形態
本発明に用いることができる多価アルコール及び/又は多価アルコールのアルキルエーテルは特に制限はなく、化粧品原料基準(薬事日報社)や化粧品種別許可基準(薬事日報社)に掲載の化粧品原料が例示でき、分子内に4個以下の水酸基を有するものが好ましく、特にエチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコールのモノ及びジアルキルエーテル、ブチレングリコール、プロピレングリコール,ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、カプリリルグリコールのモノ及びジアルキルエーテル、グリセリンのモノ,ジ及びトリアルキルエーテルが好ましい。
本発明に用いることができる多価アルコール及び/又は多価アルコールのアルキルエーテルの配合料は、有効であれば特に制限はなく、3.0重量%以上が好ましい。
本発明に用いることができる脂肪酸プロピレングリコールは特に制限はなく、化粧品原料基準(薬事日報社)や化粧品種別許可基準(薬事日報社)に掲載の化粧品原料が例示でき、脂肪酸の炭素数が6〜26のものが好ましく、特にモノステアリン酸プロピレングリコールが好ましい。
本発明に用いることができる脂肪酸プロピレングリコールの配合料は、有効であれば特に制限はなく、0.05重量%〜0.5重量%が好ましい。
本発明に用いることができるショ糖脂肪酸エステルは特に制限はなく、化粧品原料基準(薬事日報社)や化粧品種別許可基準(薬事日報社)に掲載の化粧品原料が例示でき、脂肪酸の炭素数が6〜20のものが好ましく、特にショ糖ステアリン酸エステルが好ましい。
本発明に用いることができるショ糖脂肪酸エステルの配合料は、有効であれば特に制限はなく、0.05重量%〜0.5重量%が好ましい。
本発明に用いることができるポリオキシエチレンアルキルエーテルは特に制限はなく、化粧品原料基準(薬事日報社)や化粧品種別許可基準(薬事日報社)に掲載の化粧品原料が例示でき、アルキル基の炭素数が8〜20のものが好ましく、更にはPOE基の数が8〜30のものが好ましく、ポリオキシエチレン(20E.O.)が例示できる。
本発明に用いることができるポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合料は、有効であれば特に制限はなく、0.05重量%〜0.5重量%が好ましい。
次に実施例を挙げ、本発明を説明する。先ず、化粧料に配合可能な高分子と塩化アルキルジアリルアンモニウムとの反応性について検証した。
化粧料に配合される高分子と塩化アルキルジアリルアンモニウムとの反応性を確認した。なお、塩化アルキルジアリルアンモニウムは、代表として、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体を用いた。
まず、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体の1重量%水溶液を、表1中の成分の2重量%水溶液に滴下し、室温で7日間放置後の反応性を目視にて確認した実施例1及び比較例1の結果を表1に示す。なお、比較例として同様にカチオン成分である塩化ステアリルトリメチルアンモニウムにて実施した。
Figure 2007269741
表1の実施例1及び比較例1の結果から、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体が、陽イオン成分でありながら比較的反応性が低く、物理安定性に多大な影響を及ぼさないことを示している。
実施例2〜実施例6について、詳細を説明する。塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体の抗菌活性を検証した。多価アルコール及び/又は多価アルコールのアルキルエーテルについては、化粧料で配合頻度の高いブチレングリコールとし、脂肪酸プロピレングリコールは、ステアリン酸プロピレングリコールにて、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖パルミチン酸エステルと、ショ糖ステアリン酸エステルに、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、ポリオキシエチレン(20E.O.)セチルエーテルにて検証した。表2により詳細に説明する。まず、本発明に係る成分の抗菌活性として、実施例2〜実施例5の処方を表2に示す。これらは、表2中(1)〜(6)の各成分を順次(7)に添加し、均一に混合して調製する。
Figure 2007269741
次に、比較例2〜比較例7にて成分単体及び、組み合わせによる抗菌活性について検証した。まず、本発明に係る成分の抗菌活性として、比較例1〜比較例3の処方を表2に示す。これらは、表3中(1)〜(7)の各成分を順次(8)に添加し、均一に混合して調製する。
Figure 2007269741
実施例2〜実施例5、及び比較例2〜比較例7について、抗菌活性効果を表4に示す。細菌として、大腸菌(Escherichia coli),黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus),緑濃菌(Pseudomonas aeruginosa)、を、真菌としてカンジダ(Candida
albicans),黒カビ(Aspergillus niger)を用い、試料1g当たり細菌は10個,真菌は10個を植菌し、細菌は37℃、真菌は25℃でそれぞれ培養して、1週間毎の生菌数を測定した。結果は表5において、細菌については2週目、真菌については4週目までに生菌が認められなかった場合を―、細菌については2週目、真菌については4週目までに生菌が認められた場合を+として示した。
Figure 2007269741
表4の結果から、実施例2〜実施例5において、抗菌活性が高いことが判明した。また、比較例の結果から、ブチレングリコール、塩化ジメチルジアリル・トリメチル共重合体、及びステアリン酸プロピレングリコールでは、抗菌スペクトルが狭いことが判明した。つまり、ブチレングリコール、塩化ジメチルジアリル・トリメチル共重合体、及びステアリン酸プロピレングリコールとショ糖パルミチン酸エステル・ショ糖ステアリン酸エステル及び/又はポリオキシエチレン(20E.O.)セチルエーテルを併用することで相乗効果を発揮し、抗菌活性が飛躍的に向上することが判明した。この結果を用いて実際に化粧水の処方に配合し、抗菌活性について評価した。
次に、本発明に係る化粧水である実施例6の処方を、表5に示す。これらは次のようにして調製する。(1)〜(8)の油相成分を混合,75℃に加熱し溶解し、常温に冷却する。一方、(9)〜(13)の水相成分を混合し、これに前記油相を添加して拡販混合する。
Figure 2007269741
実施例6について、抗菌活性効果を表6に示す。細菌として、大腸菌(Escherichia coli),黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus),緑濃菌(Pseudomonas aeruginosa)、を、真菌としてカンジダ(Candida
albicans),黒カビ(Aspergillus niger)を用い、試料1g当たり細菌は10個,真菌は10個を植菌し、細菌は37℃、真菌は25℃でそれぞれ培養して、1週間毎の生菌数を測定した。結果は表5において、細菌については2週目、真菌については4週目までに生菌が認められなかった場合を―、細菌については2週目、真菌については4週目までに生菌が認められた場合を+として示した。
Figure 2007269741
表6の結果から、抗菌活性が高く、抗菌スペクトルが広いことが分かる。このことから、ブチレングリコール、塩化ジメチルジアリル・トリメチル共重合体、及びステアリン酸プロピレングリコールでは、抗菌スペクトルが狭いことが判明した。つまり、ブチレングリコール、塩化ジメチルジアリル・トリメチル共重合体、及びステアリン酸プロピレングリコールとショ糖パルミチン酸エステル・ショ糖ステアリン酸エステル及び/又はポリオキシエチレン(20E.O.)セチルエーテルを併用することで抗菌性を保持した化粧料を提供できることを提案する。
温度条件として、5℃、20℃、37℃、60℃、室温にて確認した。析出や分離を確認しなかった場合を―、析出や分離を確認した場合を+とし、安定性結果を表7に示した。
Figure 2007269741
表7の結果から、析出、分離が見られないことから、処方へ安定配合可能である。
使用時の不快感の評価
パネラー20名を用いて、塗布後30秒から1分間の間に感じる、刺すような痛み,ヒリヒリ感,チクチク感といった不快感について評価させた。評価結果は、「非常に強く感じる;5点」,「やや強く感じる;4点」,「感じる;3点」,「少し感じる;2点」,「微妙に感じる;1点」,「感じない;0点」として評価した。合わせて、不快感について評価させた。評価結果は20名の平均値にて表8に示した。この際にも、実施例6を試験に用いた。
Figure 2007269741
表8において、本発明の実施例6については、使用時の不快感も微妙にある程度である。
従って、本発明は、一次刺激性の皮膚刺激はもとより、皮膚への感作性も殆どないことが明らかになった。
本発明の多価アルコール及び/又は多価アルコールのアルキルエーテルより選ばれた1種又は2種以上と脂肪酸プロピレングリコールより選ばれた1種又は2種以上とを配合し、更には、前記組合せ成分に加えてショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテルをした化粧料は、抗菌活性が飛躍的に向上し、しかも、皮膚刺激性のみならず、使用時の刺すような痛み、ヒリヒリ感、チクチク感といった不快感もほとんどないため、広く化粧料に応用が期待できる。

Claims (7)

  1. 多価アルコール及び/又は多価アルコールのアルキルエーテルより選ばれた1種又は2種以上と脂肪酸プロピレングリコールの1種又は2種以上より選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする化粧料。
  2. 多価アルコール及び/又は多価アルコールのアルキルエーテルより選ばれた1種又は2種以上と脂肪酸プロピレングリコールの1種又は2種以上より選ばれる1種又は2種以上とショ糖脂肪酸エステルの1種又は2種以上を含有することを特徴とする化粧料
  3. 多価アルコール及び/又は多価アルコールのアルキルエーテルより選ばれた1種又は2種以上と脂肪酸プロピレングリコールの1種又は2種以上より選ばれる1種又は2種以上とポリオキシエチレンアルキルエーテルの1種又は2種以上を含有することを特徴とする化粧料。
  4. 多価アルコールの1種又は2種以上が、分子内に4個以下の水酸基を有するものから選ばれることを特徴とする請求項1〜請求項3に記載の化粧料。
  5. 脂肪酸プロピレングリコールの脂肪酸の炭素数が6〜26であることを特徴とする請求項1〜請求項3に記載の化粧料。
  6. ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素数が6〜20より選ばれることを特徴とする請求項2に記載の化粧料。
  7. ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル基の炭素数が8〜20より選ばれることを特徴とする請求項3に記載の化粧料。
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