以下、本発明の具体的な実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る多機能装置の外観斜視図、図2は、本発明の一実施形態に係る多機能装置の内部構造を模式的に示す図、図3は、本発明の一実施形態に係る多機能装置のスキャナ部の内部構成を模式的に示す図、図4は、本発明の一実施形態に係る多機能装置のプリンタ部の内部構成を模式的に示す図、図5は、本発明の一実施形態に係るリフィルユニットの斜視図、図6は、本発明の一実施形態に係る開閉蓋およびリフィルユニットの断面図、図7は本発明の一実施形態における〜を示す図、図7(a)は、本発明の一実施形態に係る仕切壁の形状を模式的に示す図、図7(b)は、本発明の一実施形態に係る仕切壁の第一の変形例における形状を模式的に示す図、図7(c)は、本発明の一実施形態に係る仕切壁の第二の変形例における形状を模式的に示す図、図7(d)は、本発明の一実施形態に係る仕切壁の第三の変形例における形状を模式的に示す図、図7(e)は、本発明の一実施形態に係る仕切壁の第四の変形例における形状を模式的に示す図、図7(f)は、本発明の一実施形態に係る仕切壁の第五の変形例における形状を模式的に示す図、図8は、本発明の一実施形態に係るリフィルユニットのケースの正面図、図9(a)は、図5におけるVIII(a)−VIII(a)断面の構成を模式的に示す図、図9(b)は、図5におけるVIII(b)−VIII(b)断面の構成を模式的に示す図、図10は、本発明の一実施形態に係るリフィルユニットのユニット本体の要部側面図、図11は、本発明の一実施形態に係るリフィルユニットのユニット本体の断面図、図12は、本発明の一実施形態に係るリフィルユニットの扉の分解斜視図、図13は、本発明の一実施形態に係るリフィルユニットの扉の分解斜視図、図14は、図5におけるXIII−XIII断面図、図15は、図12における要部拡大図、図16は、本発明の一実施形態に係るリフィルユニットのロック部材およびロック解除レバーの動作を模式的に示す図、図17(a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係るリフィルユニットのロック部材およびロック解除レバーの動作を模式的に示す図、図18(a)は、本発明の一実施形態に係るリフィルユニットのロック解除レバーの変形例を示す斜視図、図18(b)は、本発明の一実施形態に係るリフィルユニットのロック部材およびロック解除レバーの変形例における動作を模式的に示す図、図19は、本発明の一実施形態に係るインクカートリッジの側面図、図20は、本発明の一実施形態に係るインクカートリッジの斜視図、図21(a)は、本発明の一実施形態に係るインクカートリッジ63の下部とケース75の下部との嵌合構造を示す図、図21(b)は、本発明の一実施形態に係るインクカートリッジ63と引出部材77との嵌合構造を示す図、図22は従来技術例におけるインクカートリッジ223およびカートリッジホルダ243の構成を示す概略図である。尚、以下に説明する具体的な装置等は、本発明の実施の形態の一例にすぎず、本発明の実施の形態が以下に詳述される具体例に限定されるものではないことは明白である。また、各図中には、前後、左右、上下の方向が示されているので、その方向に基づいて以下の説明はなされている。
本発明を実施するための最良の形態について以下に説明する。
多機能装置10は、下部にプリンタ部11を、上部にスキャナ部12を一体的に備えたMFD(Multi Function Device)であり、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能およびファクシミリ機能等の各種機能を有する。多機能装置10は、図示されていないコンピュータと主に接続されて、このコンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて、被記録媒体たる記録用紙に画像や文書を記録するものである。被記録媒体とは、画像や文書が記録される媒体であれば何れのものでもよく、用紙に限らず樹脂、布、金属、光記録媒体等も含まれる。また、多機能装置10は、デジタルカメラ等の外部機器と接続されてデジタルカメラから出力される画像データを記録用紙に記録することができる。さらに、多機能装置10は、後述されるスロット部61を備えており、このスロット部61にメモリカード等の各種記憶媒体が装填されることによってこの記憶媒体に記憶された画像データ等を記録用紙に記録することも可能である。
本実施形態に係る多機能装置10の特徴とするところは、上記プリンタ部11がインクジェット記録装置として構成されており、インク滴を吐出する記録ヘッドに供給されるインクを予め貯留しておくリフィルユニット70が装置前面側に備えられている点、およびこのリフィルユニット70は、コンパクトに設計され且つインクカートリッジの交換時に作業者がインクカートリッジの取出作業を容易に行うことができる点である。なお、本発明は、以下に説明される多機能装置10に組み込まれたリフィルユニット70として実現されており、したがって、多機能装置10の構成は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更され得ることは言うまでもない。
図2に示されるように、多機能装置10はプリンタ部11の上方にスキャナ部12を備えている。スキャナ部12には、FBS(Flatbed Scanner)として機能する原稿載置部(上筐体)13と、この原稿載置部13に対して開閉回動可能な原稿カバー15とが設けられている。原稿カバー15は原稿載置部13の後側に蝶番(図示せず)を介して開閉自在に取り付けられている。このため、原稿カバー15は、原稿載置部13に対して矢印16(図2参照)の方向に回動することによって開閉されるようになっている。原稿カバー15には、複数の原稿を自動的に読み取るための自動原稿搬送機構(ADF:Auto Document Feeder、以下「ADF」と称する。)14が備えられている。本実施形態では、原稿載置部13は、多機能装置10の筐体の一部(上筐体)として構成されており、原稿カバー15は、多機能装置10の上面の一部を構成している。
上筐体たる原稿載置部13は、スキャナ部12のフレームを兼ねている。図3に示されるように、この原稿載置部13の天面19にコンタクトガラス板20が設けられている。また、この原稿載置部13の内部に画像読取ユニット18が配設されている。原稿は、原稿カバー15とコンタクトガラス板20との間に配置される。画像読取ユニット18は、コンタクトガラス板20の下方をこのコンタクトガラス板20に沿って、すなわち、図1における左右方向に沿って移動することにより、上記原稿から画像を読み取る。
画像読取ユニット18は、CISユニット21と、ガイドシャフト22と、ローラユニット23と、図示されていないベルト駆動機構と、を備えている。本実施形態では、画像読取ユニット18は、等倍光学系のイメージセンサであるCIS(Contact Image Sensor)を備えているが、CISに代えてCCD(Charge Coupled Device)のような縮小光学系のイメージセンサが採用されてもよいことは勿論である。
CISユニット21は、細長直方体状の筐体43を備えており、この筐体43がキャリッジ24に嵌合支持されている。ガイドシャフト22は、図3における紙面に垂直な方向(図1における左右方向)に架設されている。このガイドシャフト22は、上記キャリッジ24の下端部25を貫通している。すなわち、CISユニット21は、このガイドシャフト22に支持されており、このガイドシャフト22に案内されながらスライドされる。上記ベルト駆動機構は、例えばモータにより駆動されるタイミングベルト(図示せず)を備えている。このタイミングベルトの一部が上記キャリッジ24の下端部25に連結されている。したがって、ベルト駆動機構が作動すると、キャリッジ24がタイミングベルトと共に移動し、その結果、CISユニット21がコンタクトガラス板20の下方を移動する。
上記ローラユニット23は、CISユニット21の両端部に設けられている。このローラユニット23は、コンタクトガラス板20の裏面26に当接している。そして、このローラユニット23は、キャリッジ24の移動に伴ってコンタクトガラス板20の裏面26をキャリッジ24の移動方向に沿って転動する。すなわち、このローラユニット23は、CISユニット21の円滑な移動を支援するものである。また、さらにローラユニット23は、CISユニット21とコンタクトガラス板20上に載置される原稿との距離を一定に保つスペーサとしての役割も果たしている。
図1に示されるように、原稿カバー15は、上記ADF14を備えている。このADF14は、原稿トレイ47から排紙トレイ46へ所定枚数までの原稿を連続搬送可能に構成されている。原稿を連続搬送するための機構は原稿カバー15に内蔵されている。なお、ADF14は既知の構造を有するものであるから、その詳しい説明は省略される。ただし、本実施形態において、このADF14は省略されていてもよい。
図2および図4に示されるように、プリンタ部11は、下筐体17によって構成されるフレームと、インクジェット記録ヘッド27(以下、単に「記録ヘッド27」と称される。)を有する画像記録部28とを備えている。すなわち、本実施形態では、プリンタ部11は、インクジェット記録装置として構成されている。
図4に示されるように、プリンタ部11は、上記リフィルユニット70を備えている。このリフィルユニット70は、図1に示されるように下筐体17の前方側、すなわち前面71側に内蔵されている。本実施形態では、リフィルユニット70は4つのインクカートリッジを収容保持することができる。各インクカートリッジには、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色のインクが貯留される。これらインクカートリッジに貯留された各色のインクは、インクチューブ(供給管)を介して上記記録ヘッド27へ供給されるように構成されている。なお、図4では、インクチューブの図示は省略されている。
図1に示されるように、プリンタ部11のフレームを構成する下筐体17は、上記前面71側に開閉蓋72を有している。この開閉蓋72は、この前面71の端部に設けられた開口73を開閉する。具体的には、開閉蓋72は、前方へ倒伏することによって上記開口73からリフィルユニット70を露出する姿勢と、上記開口73を閉じてリフィルユニット70を被覆して収容する姿勢との間で回動自在となっている。
また、下筐体17には、前面中央に開口42が設けられており、この開口42の内部に給紙トレイ29が配置される(図4参照)。この給紙トレイ29は開口24から多機能装置10の内部に対して挿抜可能に構成されている。図4に示されるように、給紙トレイ29から送り出された記録用紙は、後述の要領で画像が記録された後、上記給紙トレイ29の上方に設けられた排紙トレイ32に排出される。上記給紙トレイ29の奥側(図4において右側)に分離傾斜板30が配設されている。この分離傾斜板30は、給紙トレイ29に積載された記録用紙を分離して上方へ案内する。この分離傾斜板30から上方へ向かって用紙搬送路31が形成されている。用紙搬送路31は、上方へ延びた後に前方(図4において左方)へ湾曲し、多機能装置10の背面側から正面側へと延びている。さらに、この用紙搬送路31は、画像記録部28を通過して排紙トレイ32へ通じている。したがって、給紙トレイ29に収容された記録用紙は、用紙搬送路31により下方から上方へUターンするように案内されて画像記録部28に至る。この画像記録部28が用紙搬送路31を搬送される記録用紙に画像記録を行った後、この記録用紙が排紙トレイ32に排出される。なお、図1では、この排紙トレイ32および上記給紙トレイ29は多機能装置10から取り外された状態が示されている。
図4に示されるように、給紙トレイ29の上側に給紙ローラ34が設けられている。給紙ローラ34は、給紙トレイ29に積載された記録用紙を1枚ずつ分離して用紙搬送路31へ供給する。給紙ローラ34の構造は既知であって、本実施形態では、この給紙ローラ34は、給紙アーム35の先端に軸支されている。この給紙アーム35は、給紙トレイ29に接離可能に上下動することができる。給紙ローラ34は、図示されていない駆動伝達機構を介してモータと連結されている。この駆動伝達機構は、複数のギアが噛合されて構成され得る。そして、上記モータが作動することにより、その駆動力が給紙ローラ34に伝達され、給紙ローラ34が回転するようになっている。回転する給紙ローラ34は、上記記録用紙を用紙搬送路31へ送り出す。
給紙アーム35は、基端軸36に支持されており、この基端軸36の周りに回動可能となっている。これにより、給紙アーム35は、基端軸36を揺動中心として上下方向に揺動可能である。この給紙アーム35は、給紙トレイ29が装着された状態では、図示されていない給紙クラッチやバネ等により給紙トレイ29側に付勢されており、給紙トレイ29の挿抜時には、上側へ退避可能に構成されている。給紙アーム35が下側へ回動されることにより、その先端に軸支された給紙ローラ34が給紙トレイ29上の記録用紙の表面に圧接する。その状態で、給紙ローラ34が回転されると、給紙ローラ34のローラ面と記録用紙との間の摩擦力は、最上位置の記録用紙を上記分離傾斜板30へ送り出す。この送り出された記録用紙は、その先端が分離傾斜板30に当接して上方へ案内され、用紙搬送路31へ送り込まれる。なお、給紙ローラ34によって最上位置の記録用紙が送り出される際に、その直下の記録用紙が摩擦や静電気の作用によって共に送り出される場合がある。しかし、この記録用紙は分離傾斜板30に当接されることによって制止される。
用紙搬送路31は、画像記録部28等が配設されている箇所以外では、所定間隔で対向する外側ガイド面(図示せず)と内側ガイド面(図示せず)とにより区画形成されている。この多機能装置10では、外側ガイド面は、下筐体17により構成されるプリンタ部11のフレームの内壁面により構成されており、内側ガイド面は、このフレーム内に設けられたガイド部材の表面によって構成されている。また、特に用紙搬送路31が曲がっている箇所には、搬送コロが設けられていてもよい。同図では搬送コロが図示されていないが、搬送コロは、用紙搬送路31の幅方向(図4において紙面に垂直な方向)を回転中心軸方向として回転自在に設けられていてもよい。搬送コロは、そのローラ面が上記外側ガイド面又は内側ガイド面に露出するように取り付けられる。この搬送コロが設けられることにより、記録用紙は、用紙搬送路31が曲がっている箇所においてもガイド面に接触して円滑に搬送される。
上記画像記録部28は、用紙搬送路31が下方から上方へUターンした後の搬送方向下流側に設けられている。上記記録ヘッド27と対向してプラテン37が設けられている。搬送される記録用紙は、このプラテン37上に送られる。記録ヘッド27は、プラテン37上に配置された記録用紙にインク滴を吐出する。この記録ヘッド27は、図示されていないキャリッジに搭載されている。このキャリッジは、CR(キャリッジ)モータによって図4において紙面に垂直な方向に往復動される。記録ヘッド27の位置および往復動作は、図示されていないキャリッジ用エンコーダにより監視されている。記録ヘッド27は、往復動されつつ上記各色のインクをインク滴として上記記録用紙上に選択的に吐出し、これにより、この記録用紙に画像が記録される。
上記記録ヘッド27の用紙搬送路31の上流側に駆動ローラ39および押さえローラ38が設けられている。駆動ローラ39は、図示されていないLF(ラインフィード)モータにより回転駆動されるようになっている。これら駆動ローラ39および押さえローラ38は、用紙搬送路31を搬送される記録用紙を狭持し、駆動ローラ39が回転されることにより、記録用紙は用紙搬送路31の下流側へ送られ、プラテン37上に配置される。
上記記録ヘッド27の用紙搬送路31の下流側に排紙ローラ40および押さえローラ41が設けられている。排紙ローラ40は、上記駆動ローラ39を駆動するLFモータにより回転駆動されるようになっている。すなわち、排紙ローラ40は、図示されていない連動機構を介して駆動ローラ39と同期駆動されるようになっている。これら排紙ローラ40および押さえローラ41は、インク滴が吐出された記録用紙を狭持し、排紙ローラ40が回転されることにより、上記記録用紙は用紙搬送路31の下流側へ送られる。
上記押さえローラ38は、上記駆動ローラ39を所定の押圧力で押圧するように駆動ローラ39に対して弾性付勢されている。したがって、駆動ローラ39と押さえローラ38との間に記録用紙が進入した場合には、押さえローラ38は、記録用紙の厚み分だけ弾性的に退避しつつ駆動ローラ39と協働して記録用紙を狭持する。このように記録用紙が駆動ローラ39と押さえローラ38とによってニップされるので、駆動ローラ39の回転力は、確実に記録用紙へ伝達される。また、上記押さえローラ41も上記排紙ローラ40に対して同様に設けられている。ただし、本実施形態では、押さえローラ41は、記録済みの記録用紙に圧接されるので、記録用紙に記録された画像を劣化させないようにローラ面が拍車状に形成されている。
駆動ローラ39および押さえローラ38に狭持された記録用紙は、所定の改行幅でプラテン37上を間欠的に搬送される。記録ヘッド27は、記録用紙の改行ごとに往動および/又は復動され、記録用紙の先端側から順に画像記録を行う。画像記録が行われた記録用紙は、その先端側から排紙ローラ40および押さえローラ41に狭持される。すなわち、記録用紙は、その先端側を排紙ローラ40および押さえローラ41に、その後端側を駆動ローラ39および押さえローラ38に狭持された状態で所定の改行幅で間欠して搬送され、このように搬送されつつ記録ヘッド27によって画像の記録が行われる。記録用紙の所定領域に画像が記録された後は、排紙ローラ40が連続的に回転駆動され、排紙ローラ40および押さえローラ41により狭持された記録用紙は、排紙トレイ32へ排出される。
図1に示されるように、プリンタ部11のフレームを構成する下筐体17の上傾斜面に操作パネル45が取り付けられている。この操作パネル45は、使用者がプリンタ部11やスキャナ部12の操作等をするための装置であって、その上面44に各種操作キー56〜58および液晶表示部59等が設けられている。
図2に示されるように、この操作パネル45の下方(下筐体17の内部)に制御部を構成する制御基板54が配設されている。操作パネル45上に配置された各種操作キー56〜58は、図示されていないフラットケーブルを介して制御基板54と接続されている。この制御基板54からなる制御部は、上記各種操作キー56〜58からの指令を処理し、この多機能装置10の作動を制御する。
多機能装置10の使用者は、操作パネル45の各種操作キー56〜58を用いて所望の指令を入力する。多機能装置10は、この入力を受けて所定の動作を行う。前述のように、この多機能装置10にはパーソナルコンピュータ等が接続され得る。その場合、多機能装置10は、使用者による操作パネル45からの指示のほか、このパーソナルコンピュータからスキャナドライバやプリンタドライバ等を介して送信される指示によっても動作することが可能である。
図1に示されるように、多機能装置10の正面には上記スロット部61が配設されている。各種小型メモリカード等の記憶媒体がこのスロット部61に装着され得る。小型メモリカードは画像データを含む各種データを記憶することができる。小型メモリカードに画像データが記憶されている場合には、スロット部61に装填された小型メモリカードからこの画像データが読み出され、その画像データに関する情報(画像そのものや、画像データのサイズ、形式、作成日時等の情報)が液晶表示部59に表示される。そして、液晶表示部59に表示された任意の画像がプリンタ部11により記録用紙に記録される。このための入力は、上記操作パネル45から行われる。
次に、本発明の一実施形態に係るリフィルユニット70の構成が詳述される。
リフィルユニット70は、ユニット本体74を備えている。このユニット本体74は、インクカートリッジ63を収容し強固に保持することができる。ユニット本体74は、インクカートリッジ63が挿抜されるケース75と、ケース75に設けられた扉(扉部材)76と、扉76に設けられた引出部材77とを備えている(図5および図6参照)。
ケース75には、底板部80と、この底板部80の左右両側に立設された一対の側板部81と、各側板部81間に架け渡すように配置された天板部82とが備えられており、全体としてほぼ直方体状に形成されている(図5、図6および図8参照)。ケース75の内部には、インクカートリッジ63が収容保持される収容室78(保持部)が区画形成されている。本実施形態では、ケース75は、4つの収容室78を有し、各収容室78にインクカートリッジ63がそれぞれ挿抜されるようになっている。各インクカートリッジ63には、4色のインク(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)がその内部に1色ずつ貯留されている。各収容室78の内壁面形状は、インクカートリッジ63の外周面形状に対応して形成されている。このため、各インクカートリッジ63は、大きくがたつくことなく確実(強固)に各収容室78に保持される。
図6に示されるように、ケース75の前面79に開口88が設けられている。この開口88は、各収容室78に対応してそれぞれ設けられている。換言すれば、これら各開口88にそれぞれ連続してケース75内に上記各収容室78が設けられており、上記4つのインクカートリッジ63は、それぞれ、これら開口88を通じて前面79側から各収容室78に挿抜される。
また、ケース75の後壁69には液位センサ用コネクタ86が設けられている(図6、図11および図14参照)。この液位センサ用コネクタ86には、液位センサ87(図19および図20参照)が接続されている。インクカートリッジ63が収容室78に収容されたときに、このインクカートリッジ63に設けられた液位検出部位に液位センサ87が嵌合し、インクカートリッジ63内の液位を検出可能に構成されている。なお、図19、図20ではインクカートリッジ63に液位センサ87が嵌合した状態が示されているが、実際には液位センサ87は液位センサ用コネクタ86に接続されており、ケース75の後壁69に固定されている。この液位センサ用コネクタ86は、上記制御部に接続されており、この制御部は、常に各インクカートリッジ63に貯留されているインクの残量を監視している。
図6に示されるように、上記底板部80の上面は、インクカートリッジ63が載置される載置面98を構成している。この載置面98の高さ位置は、インクカートリッジ63が上記収容室78に挿入された状態で、後述されるプッシュロッド85Aがインクカートリッジ63の空気導入弁85(空気導入口)を開放し、図示されていないインク供給管(インク供給針)がインクカートリッジ63のインク供給弁115(インク供給口)に挿入され、且つ上記インクカートリッジ63の液位検出部位に液位センサ87(図19および図20参照)が嵌合できるように設定されている。
図6に示されるように、上記天板部82からはリブ124が立設されており、これにより、ケース75の剛性が向上されている。また、天板部82には、後述するスイングアーム123が備えられている。
以下に図6、図8および図9を参照しながら、ケース75の内部の構成が詳述される。
ケース75は、ABS樹脂、アクリル樹脂(メチルメタアクリレート)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)等の合成樹脂組成物で構成されており、金型を用いて成形される成形品である。なお、金型を用いた成形には、例えば射出成形が一般的であるが、その他の成形手法であってもよい。また、金型としては専ら金属製のものが使用されるが、ケース75の成形に適合する金型であればガラス製や樹脂製、セラミック製など種々の金型が用いられる。
金型を用いた成形では、ケース75には、金型からの離型の容易のために所定の抜き勾配が形成される。本実施形態においては、ケース75が、図9および図11における後端近傍をパーティングラインとして成形される。従って、ケース75は、図9(a)および図11において前方向(図中の矢印P1の方向)に金型から引き抜かれるため、ケース75には、同図において後側から前側へ向けて1/2°〜2°程度の所定角度φで先細り形状に抜き勾配が形成されている。
ケース75は、上述されたように、底板部80と、この底板部80の左右両側に立設された一対の側板部81と、各側板部81間に架け渡すように配置された天板部82とを備えている(図8および図9(b)参照)。また、ケース75の内部には、ケース収容室78を区画するための仕切壁67が設けられている。
この仕切壁67は、図7(a)に示されるように、ケース75の側面側(図8および図9における左右方向)から見てほぼ矩形の板状に形成されており、ケース75に配置されるインクカートリッジ63の数に応じて配置されている。図9(a)および図9(b)に示されるように、仕切壁67は底板部80と天板部82に隣接し、後壁69を基端部として開口88の方向に形成されている。この仕切壁67は、側板部81と略平行であるようにそれぞれ設けられている。仕切壁67は案内部68を有し、この案内部68はそれぞれ天板部82に隣接して仕切壁67から開口88に向かって延設されている(図8および図9参照)。また、この案内部68は天板部82に向かってテーパー状に形成されている。更に、仕切壁67と底板部80との境界の角部および仕切壁67と天板部82との境界の角部には、ガイドレール137が凸設されている。このガイドレール137は、後壁69から開口88に向かって設けられている。これら底板部80、側板部81、天板部82、ガイドレール137、案内部68および仕切壁67は、射出成型によって一体的に形成される。
図9(a)に示されるように、仕切壁67および案内部68には、金型からの離型方向(図中の矢印P1の方向)に対して所定角度φ(例えば、1°)の抜き勾配が形成されているので、仕切壁67および案内部68の図中左右方向の厚みは、図中後方向から前方向に向かって薄くなっている。仕切壁67の先端部165は、仕切壁67の基端部(後壁69)に対して所定距離W1だけ開口88側に配置される。仕切壁67および案内部68がこのように配置されることによる作用効果については後に詳述される。
図10は、ユニット本体74の要部側面図であり、扉76の開閉とスイングアーム123の揺動との関係が模式的に示されている。スイングアーム123は、上述した通り、天板部82に備えられている(図10参照)。
このスイングアーム123は、図10に示されるように、全体として略L字状に形成されており、第1アーム125と第2アーム126とを有する。第1アーム125と第2アーム126との境界部に支持軸127が配置されている。この支持軸127が天板部82に回動自在に支持されていることにより、スイングアーム123はケース75に対して回動自在に構成されている。また、第1アーム125と天板部82との間に引張バネ128が取り付けられている。これにより、スイングアーム123は、図10において常時時計回り回動するように、すなわち同図において二点鎖線で示された姿勢となるように弾性付勢されている。スイングアーム123は、このように弾性的に付勢されているから、この弾性力に抗して反時計回りに力を受けることにより、実線で示された姿勢に変化することができる。このスイングアーム123は、後述されるようにインクカートリッジ63の上面122に設けられている凹部134の前側傾斜面135に係合することができるようになっている。従って、スイングアーム123が前側傾斜面135に係合した場合、スイングアーム123はインクカートリッジ63を上記収容室78から押し出す方向に付勢する。
図11は、上記扉76が開かれた状態でのユニット本体74の断面図である。また、図12および図13は、扉76の分解斜視図である。
上記扉76は、上記開口88を開閉する。この扉76は、各インクカートリッジ63の収容室73に対応する各開口88毎にそれぞれ設けられており、開口88を閉じることによりインクカートリッジの交換を不能とする姿勢(閉塞姿勢又は交換不能位置)と、開口88を開放することによりインクカートリッジの交換を可能とする姿勢(開放姿勢又は交換可能位置)との間で姿勢変化(回動変位)できる(図5参照)。扉76が閉塞姿勢となったときは、上記収容室78内にインクカートリッジ63が確実(強固)に保持され、扉76が開放姿勢となったときは、上記収容室78に対してインクカートリッジ63が容易に挿抜され得る。
図12および図13に示されるように、扉76は、扉本体89と、これに設けられた押圧保持部材90、ロック部材91(固定部材)およびロック解除レバー92(解除部材)とを備えており、これらは、それぞれ樹脂により成形されている。扉本体89は、細長矩形の板状に形成されており、この扉本体89の外形形状は、上記各開口88の形状に対応している。また、扉本体89の下端部93には回動軸部94が形成されている。この回動軸部94は、扉本体89と一体的に形成されている。この回動軸部94は、図6に示されるように、ケース75の前面79の下部に支持されている。具体的には、ケース75の底板部80の前端部に軸受部95が設けられており、この軸受部95に上記回動軸部94が回動自在に嵌め込まれている。これにより、扉本体89は、図5および図14に示されるように起立して上記開口88を閉塞することができ、また、図5および図6に示されるように倒伏して上記開口88を開放することができる。また、本実施形態においては、軸受部95はケース75の底板部80の前端部に設けられているが、これに限られるものではなく、ケース75を支持する筐体に軸受部95が設けられていてもよい。
扉本体89の下端部93に上記引出部材77が設けられている。この引出部材77は、扉本体89と一体的に形成されている。この引出部材77は、略L字状に形成されており、延設部96と屈曲部97とを有する。延設部96は上記下端部93に連続して設けられている。図6に示されるように、延設部96は、扉76が閉塞姿勢となった状態で、上記下端部93から後方に延びている。また、屈曲部97は、上記延設部96の後端に連続し、略90°の角度をなして扉本体89の延設方向に沿って延びている。扉76が閉塞姿勢となったときは、上記屈曲部97の先端は、上記載置面98よりも上方に突出している。扉本体89は、上記回動軸部94を回転中心として回動し、これにより、上記L字状に形成された引出部材77も図6および図11に示されるように上記回動軸部94を中心にして回動する。後に詳述されるが、このように引出部材77が回動されることにより、収容室78に収容されているインクカートリッジ63が収容室78から引き出されるようになっている。
図11に示されるように、上記扉76が開放姿勢へと変化する際に、上記引出部材77の屈曲部97が回動軸部94を図中Q方向に回動する。このとき、屈曲部97が回動することによって、その外壁面110は、略垂直に起立した状態から(図14参照)略水平な状態に変化する(図6参照)。引出部材77の延設部96の長さは所定の寸法に設定されており、このため、屈曲部97が回動されたときは、その外壁面110は、ケース75の載置面98よりも若干上方に、すなわち、上記載置面98の略延長上に位置し且つ前後方向に延びる。そして、この外壁面110は、上記扉76が開放姿勢であるときに、インクカートリッジ63を上記収容室78内の載置面98上へ案内するガイド面として機能する。すなわち、上記引出部材77は、インクカートリッジ63を上記収容室78から引き出すための部材として機能することに加えて、インクカートリッジ63を上記収容室78へ挿入する際の案内部材としても機能する。
本実施形態では、各扉本体89のそれぞれに2つの引出部材77が設けられている。すなわち、各引出部材77は、図13に示されるように、扉本体89の幅方向に対向配置されている。このように一対の引出部材77が配置されることにより、一対の引出部材77は、インクカートリッジ63を幅方向に挟み込んで支持するようになっている。また、本実施形態では、各引出部材77の間隔(幅方向寸法)d1(図12参照)は、インクカートリッジ63の幅方向寸法d2(図20参照)よりも小さく設定されている。このように寸法d1、d2が定められることによる作用効果については、後述される。
図5、図6および図10〜14に示されるように、押圧保持部材90は、扉本体89の内側面に取り付けられている。押圧保持部材90の両側面に爪146が設けられており、扉本体89に爪収容部147が設けられている。上記爪146は、押圧保持部材90の側面に突設されている。上記爪収容部147は、扉本体89の前後方向に延びる溝から構成されている。上記爪146は、上記爪収容部147にスライド自在に嵌め込まれており、したがって押圧保持部材90は、扉本体89に対して前後方向に進退可能に支持されている(図12および図13参照)。すなわち、押圧保持部材90は、扉本体89の内面から隆起した突出姿勢(図6参照)と、この姿勢から扉本体89側へ退避した退避姿勢(図14参照)との間で変位することができる。図12および図13に示されるように、押圧保持部材90と扉本体89との間にコイルバネ99が介在されている。したがって、押圧保持部材90は、図6に示されるように常時突出姿勢となるように弾性付勢されている。
この押圧保持部材90は、図14および図15に示されるように、扉76が閉塞姿勢となったときにインクカートリッジ63の前面に当接し、インクカートリッジ63によって相対的に押圧されることによって退避姿勢側へ変位する。このため、インクカートリッジ63は、押圧保持部材90を介してコイルバネ99の弾性力を受けて後方へ押しつけられることになるから、インクカートリッジ63がケース75に対して位置決めされた状態で確実(強固)に保持される。したがって、インクカートリッジ63のインク供給弁115からのインクの漏れが確実に防止される。
本実施形態では、押圧保持部材90は平板状に形成されている。この押圧保持部材90の壁面84(扉76が閉塞姿勢となったときにインクカートリッジ63の前面と対向する面)は平坦面に形成されており、図5および図13に示されるように、この壁面84に一対の突条141、142が形成されている。したがって、扉76が閉塞姿勢となったときは、これら突条141、142がインクカートリッジ63の前面に当接し押圧する。この突条141、142は、扉76の幅方向に所定の間隔をあけて配置されている。このため、扉76が閉塞姿勢となったときは、押圧保持部材90は、インクカートリッジ63の接合部143(図20および図21参照)と接触することなく、上記突条141、142が接合部143の両側に接触することになる。
図12および図13に示されるように、ロック部材91は、扉本体89の上端部に取り付けられている。ロック部材91は、主軸部132と、主軸部132の上端に連続してケース75の内側に向かって突出する鍵部133と、主軸部132の下端に連続してロック部材91の表面91Aから突出する座部109(当接部)とを有する。ロック部材91が扉本体89に嵌め込まれたときは、座部109は扉本体89の外側面105から突出する(図14〜16参照)。また、図15に示されるように、ロック部材91には、ロック部材91を表面91Aから裏面91Bに貫通する貫通溝104が設けられている。また、この貫通溝104から退避溝157が鍵部133の下面158から鍵部133の内部に延設されている。この貫通溝104に、後述する三角リブ152が挿脱される。貫通溝104および退避溝157は、上下方向に所定長さだけ延びる溝から構成されている(図12および図13参照)。
ロック部材91は、扉本体89に対して上下方向に進退可能に支持されている。扉本体89の上端部にスライドレール101が上下方向に延設されている。また、ロック部材91の主軸部132に上下方向に延びるスライド溝102が設けられている(図12および図13参照)。このスライド溝102に上記スライドレール101が挿入されており、これにより、ロック部材91が上下にスライド自在となっている。
上記主軸部132の両側面に爪144が設けられている。これら爪144は、主軸部132の外側へ突出している。ロック部材91が扉本体89に嵌め込まれたときは、上記爪144が扉本体89に設けられた爪収容部145に収容される(図5および図13参照)。この爪収容部145は、上下方向に所定長さだけ延びる溝から構成されている。したがって、ロック部材91が上方あるいは下方へスライドすると、上記爪144が上記爪収容部145の内壁面に当接し、これにより、ロック部材91の上下方向へのスライドが規制される。
上記爪収容部145を構成する溝の長さが所定寸法に設定されることにより、ロック部材91のスライド範囲が規定される。ロック部材91が扉本体89に対して上方へスライドし、上記爪144が上記爪収容部145の内壁面の上縁に当接すると、ロック部材91は、扉本体89の上端から上方に突出した姿勢となる(図16参照)。本明細書において、ロック部材91が上記爪収容部145の内壁面の上縁に当接する位置は、「突出位置S」とされる。また、ロック部材91が扉本体89に対して下方へスライドし、上記爪144が上記爪収容部145の内壁面の底縁に当接すると、ロック部材91は、扉本体89の内側に退避する姿勢となる。本明細書において、ロック部材91が上記爪収容部145の底縁に当接する位置は、「退避位置T」とされる(図16参照)。
図13に示されるように、ロック部材91と扉本体89との間にコイルバネ100(弾性部材)が介在されている。したがって、ロック部材91は、常時扉本体89から上方に突出するように、すなわち、上記突出位置Sへ変位する方向に弾性付勢されている。
図12および図13に示されるように、ロック解除レバー92は、矩形の板状に形成されている。ロック解除レバー92の裏面92Bには三角リブ152が設けられ、表面92Aには凸部153(突出部材)が設けられている。また、上面151から第1係合突起159および第2係合突起160が立設されている。第1係合突起159はロック解除レバー92の表面92Aから、上述の凸部153より更に突出して設けられている。また、第1係合突起159は、ロック解除レバー92の表面92A側に突出する曲線形状であるように形成されており、ロック解除レバー92の表面92Aから、上述の凸部153より更に突出して設けられている。第1係合突起159と凸部153との間には凹部163が形成されている。このように第1係合突起159および凸部153の突出量が定められることによる作用効果については、後述される。
凸部153は、下方向(図12中における下方向)に向かって開放された凹の字形状であるように裏面92Bから突設されており、裏面92Bの下端部108を囲むように構成されている。
三角リブ152はロック解除レバー92の裏面92Bの左右方向における中心線から裏面92Bと垂直であるように立設された板状の部材であり、三角リブ152の先端部154には、図12および図13における下方から上方に向かって傾斜した傾斜面が形成されている。ロック解除レバー92は、扉本体89の外側面105の上方に取り付けられる。
図12および図13に示されるように、本実施形態では、扉本体89は、ロック解除レバー92を収容する収納部150を備えている。この収納部150は、扉本体89に設けられた凹部からなり、後述のようにロック解除レバー92が変位したときにこのロック解除レバー92が収納部150に嵌め込まれるようになっている。
ロック解除レバー92の下端部に支持ピン106が設けられている。一方、扉本体89は、ピン支持孔107が設けられている。このピン支持孔107に上記支持ピン106が嵌合されており、これにより、ロック解除レバー92は、支持ピン106を回動中心として回動自在となっている。具体的には、図15および図16に示されるように、ロック解除レバー92は、起立することによって扉本体89の外側面105と略平行となる姿勢(以下、収納位置Cと称する)と、略45°(degree)に傾斜した姿勢(以下、中立位置Nと称する)と、さらに、略水平に倒伏した姿勢(以下、倒伏位置Oと称する。)との間で自由に回動変位することができるようになっている(図15および図16参照)。
なお、ロック解除レバー92の上面151に矢印が表示ないし刻成されている。これにより、ロック解除レバー92の操作方向が瞭然である。また、ロック解除レバー92の上面151から第1係合突起159および第2係合突起160が立設されている。第1係合突起159は指の形状に沿うように、ロック解除レバー92の表面92A側に突出する曲線形状であるように形成されている。このように第1係合突起159および第2係合突起160が配置されることによる作用効果については、後述される。
本実施形態では、ロック部材91およびロック解除レバー92が扉本体89に嵌め込まれた状態で、ロック解除レバー92が収納位置Cに配置されているとき、三角リブ152は貫通溝104に挿入され、三角リブ152の先端部154がロック部材91の裏面91Bから突出した状態となる。また、ロック解除レバー92が中立位置Nおよび倒伏位置Oであるとき、三角リブ152は貫通溝104から抜脱される(図15および図16参照)。
また、図15および図16に示されるように、ロック解除レバー92が収納位置C、中立位置Nおよび倒伏位置Oのいずれの位置にあっても、扉本体89の外側面105から、凸部153は座部109(当接部)より突出して配置される。このように凸部153および座部109(当接部)が配置されることによる作用効果については、後述される。
以下に、図17(a)〜(d)を参照しながら扉76が開放姿勢から閉塞姿勢へと変化されるときの、ロック部材91の動作が説明される。ただし、ロック解除レバー92は収納位置Cに配置されているとする。図17に示されるように、ロック部材91の鍵部133の上面103は、下方へ傾斜した傾斜面と、この傾斜面から一段下がって(図12および図13における下方向)形成された段部103Cと、からなる。上記傾斜面は頂部から中腹にかけて形成された緩斜面103Bと、中腹から麓にかけて形成された急斜面103Aと、によって構成されている。また、急斜面103Aと緩斜面103Bとは、急斜面103Aから緩斜面103Bへと傾きが徐々に小さくなる連続した曲面であるように構成されている。ロック部材91の鍵部133の上面103がこのように形成されることによる作用効果については、後述される。
ロック解除レバー92の下端部108(所定部)は、ロック部材91およびロック解除レバー92が扉本体89に嵌め込まれた状態において、ロック部材91が突出位置Sに配置され、ロック解除レバー92が収納位置Cに配置されているとき、上記座部109(当接部)と当接するように形成されている(図12〜図16参照)。この下端部108は、ロック解除レバー92の位置が変化したときにロック部材91を上下にスライドさせるための連動カムを構成している(図14〜図16参照)。後に詳述されるが、連動カム108が設けられることにより、ロック解除レバー92が収納位置Cから中立位置Nを経て倒伏位置Oまで回動された際には、上記ロック部材91は、上記突出位置Sから上記中間位置Mを経て上記退避位置Tまでスライドするようになっている(図16参照)。換言すれば、ロック部材91が突出位置Sにあるときは、ロック解除レバー92は収納位置Cに配置される。また、上述のように扉76が完全に閉じられ、上記ロック部材91が、中間位置Mにあるときは、ロック解除レバー92は、収納位置Cと中立位置Nとの間で自由に変位することができる。このとき、ロック解除レバー92は、自重によって常時中立位置Nに変位するように、その重心位置が設定されている。
図14〜図16に示されるように、ロック解除レバー92の連動カム108は、ロック部材91の座部109(当接部)に当接している。扉76が完全に閉じられた状態(図14に示される状態)では、ロック解除レバー92は、その自重によってさらに図中の矢印Rの方向に回転しようとする。すなわち、ロック解除レバー92は、連動カム108を介してロック部材91をさらに下方へ押圧する方向に回転しようとする。しかし、ロック部材91が上記コイルバネ100によって常時上方へ弾性付勢されているから、ロック解除レバー92の自重の作用のみによってロック部材91が変位されることはなく、ロック部材91は、上記中間位置Mに維持される。
ただし、図15および図16に示されるように、このロック解除レバー92がさらに図中の矢印Rの方向に強制的に回動された場合、例えば、インクカートリッジ63を交換しようとする作業者がロック解除レバー92を操作して回動した場合には、このロック解除レバー92は倒伏位置Oまで回動変位される。図16に示されるように、ロック解除レバー92が倒伏位置Oまで変位すると、上記連動カム108が上記支持ピン106を中心にして回動変位し、ロック部材91の座部109(当接部)を押し下げる。これにより、ロック部材91は、図示されないコイルバネ100の弾性力に抗して下方へ移動し、退避位置Tへと変位する。換言すれば、上記ロック部材91が退避位置Tにあるときは、ロック解除レバー92は、収納位置Cと倒伏位置Oとの間で自由に変位することができる。但し、上述の通り、このときロック解除レバー92は、設定された重心位置により、常時倒伏位置Oに変位する。また、ロック部材91が退避位置Tへ変位すれば、扉76のロックが解除され、この扉76は、閉塞姿勢から開放姿勢へと変化することができる。
なお、また、インクカートリッジ63は上述されたように、押圧保持部材90によって上記収容室78へ収納される方向に弾性付勢されている。また、インクカートリッジ63は上述されたように、インクカートリッジ63の背面114に設けられたプッシュロッド85Aによって上記収容室78から押し出される方向に付勢されている。すなわち、プッシュロッド85Aおよび押圧保持部材90による付勢力によって、インクカートリッジ63は、扉76に対して、この扉76を開放姿勢へと変化させる方向に相対的に付勢力を与える。よって、ロック部材91が退避位置Tへ変位すれば、扉76はこの付勢力によって閉塞姿勢から開放姿勢へ変化される。換言すれば、この扉76が閉塞姿勢であるときに、作業者は、ロック解除レバー92を収納位置Cから倒伏位置Oまで変位させる動作を行うだけで、扉76を容易に開放することができる。また、ロック解除レバー92の上面151から第1係合突起159および第2係合突起160が立設されており、第1係合突起159は指の形状に沿うような曲線形状であるように形成されている。これにより、作業者がロック解除レバー92を操作するときに、作業者の指の位置が第一係合突起159および第二係合突起160によって固定されるので、作業者はロック解除レバー92を容易に操作することができる。また、ロック解除レバー92が倒伏位置Oまで変位されたとき、作業者の指は三角リブ152および第二係合突起160に係合される。よって、作業者はロック解除レバー92を確実に操作することができ、且つ、扉76がプッシュロッド85Aおよび押圧保持部材90による付勢力をもって作業者の指に衝突することが防止される。詳細には、ロック解除レバー92が倒伏位置Oまで変位されると、扉76の回動方向とロック解除レバー92の表面92Aとがほぼ垂直に配置される。すなわち、扉76が閉塞姿勢から開放姿勢へ変化する力が、ロック解除レバー92を操作する作業者の指にかかりやすい配置となる。しかし、三角リブ152が設けられていることによって、作業者の指とロック解除レバー92との当接面積が増加する。よって、作業者は指でロック解除レバー92を確実に支えることができ、扉76がプッシュロッド85Aおよび押圧保持部材90による付勢力をもって作業者の指に衝突することが防止されるのである。
また、ロック部材91は、常時上記コイルバネ100による弾性力を受けているから、ロック解除レバー92に作用する回動力がなくなれば、すなわち、作業者がロック解除レバー92から手を離せば、ロック部材91は、扉本体89から最も突出した姿勢となる。このとき、ロック解除レバー92は、上記収納位置Cまで強制的に変位される。すなわち、図11に示されるように、扉76が開放姿勢にあるときは、ロック解除レバー92は扉本体89に収容された姿勢となる。したがって、図1、図5、図11に示されるように、インクカートリッジ63を交換する場合には、ロック解除レバー92が扉本体89内に収容された状態となるため、扉76がほぼ水平状態となるまで回動軸部94を回動の中心として回動できる。よって、作業者は容易にインクカートリッジ63を交換できる。また、図8に示されるように、ロック解除レバー92に設けられた第1係合突起159および凸部153が、開放されている開閉蓋72の内壁面に当接することによって、ロック解除レバー92は上下方向に位置決めされる。すなわち、ロック解除レバー92に設けられた三角リブ152は、ロック部材91の裏面91Bから突出された状態に保持される。またこのとき、三角リブ152の傾斜面161の延長線Lはロック部材91の鍵部133と交わらないように配置される。よって、作業者によってインクカートリッジ63が収容室78から取り出されるとき、インクカートリッジ63は傾斜面161に沿って移動され、鍵部133の図11における上方を通過する。すなわち、インクカートリッジ63は鍵部133に引っかかることなくスムーズに取り出される。また、上記鍵部133は、図12および図13における上方から見て、主軸部132の上端を底辺とする二等辺三角形形状であるように形成されている。よって、インクカートリッジ63が傾斜面161に沿って移動され、鍵部133の図11における上方を通過するときに、左右(図5における左右方向)に傾いた場合であっても、インクカートリッジ63は鍵部133に引っかかることなくスムーズに取り出される。
また、上記押圧保持部材90の壁面84に設けられている2つの突条141、142は、後述する屈曲部97間のガイド部と協働して、インクカートリッジ63を収容室78に収容する際のガイドとしても作用する。すなわち、インクカートリッジ63が収容室78に挿入されるときは、作業者はインクカートリッジ63の底面を突条141、142上に乗せると共にインクカートリッジ63の先端部分を屈曲部97間に載置し、そのままインクカートリッジ63を収容室78方向へ押し込めばよい。
多機能装置10が通常の使用状態であるときは、リフィルユニット70の扉76が閉じられ、ロック解除レバー92が上記中立位置Nに配置されている。したがって、図1に示されるように、インクカートリッジの交換時において開閉蓋72が開かれたときは、ロック解除レバー92は、上記作業者側に傾倒している。このため、上記作業者は、ロック解除レバー92を容易に操作することができるという利点がある。また、この状態において、ロック解除レバー92は上記作業者から目視可能であるように配置されている。このため、上記作業者はしゃがむなどの無理な姿勢をとることなく、ロック解除レバー92を操作し、インクカートリッジ63を収容室78から取り出すことができる。
ところで、図1に示されるようにリフィルユニット70が多機能装置10の前面71に配置されていることから、ロック解除レバー92が上記中立位置Nに配置されていれば、すなわち前面側に傾倒していれば、リフィルユニット70を収容するために広いスペースが多機能装置10内に確保される必要がある。したがって、リフィルユニット70は、上記開口73周縁よりも内奥に配置される必要があり、そのため、多機能装置10の外形寸法が大きくなってしまうおそれがある。
しかし、本実施形態では、ロック解除レバー92は、扉76がケース75に対して 閉塞姿勢にあるときは、上記中立位置Nと上記収納位置Cとの間で自由に回動することができるので、リフィルユニット70は、上記開口73の周縁近傍に配置され得る。リフィルユニット70がこの開口73の周縁に配置されたとしても、上記開閉蓋72が閉じられる際にこの開閉蓋72の内壁面が上記ロック解除レバー92に当接し、ロック解除レバー92は、この開閉蓋72に押されながら上記収納位置Cへ変位するからである。したがって、本実施形態では、多機能装置10のコンパクト設計が可能である。また、上記開閉蓋72が閉じられた状態で、ロック解除レバー92は上記収納位置Cに保持される。この状態で、三角リブ152はインクカートリッジ63に当接するので、インクカートリッジ63の動きが規制される。よって、インクカートリッジ63が収容室78に収容された状態で、多機能装置10が移動されたとしても、インクカートリッジ63がずれることを防止することができる。すなわち、インクカートリッジ63のインク供給弁115からのインクの漏れが確実に防止される。
以下に、図19および図20を参照しながら、インクカートリッジ63の構成について詳述される。
インクカートリッジ63は、前述のように予めインクを貯留しておくためのものであり、インクカートリッジは、カートリッジ本体111と、これに内蔵されたインクの保持手段としてのインク保持体(図示せず)とを備えている本実施形態では、リフィルユニット70が4つのインクカートリッジ63を収容するようになっているので、各インクカートリッジ63には、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色のインクがそれぞれ貯留されている。ただし、各インクカートリッジ63の構造は、図1や図5から明らかなように、ブラックインクを貯留するインクカートリッジ63のみが他のインク色のインクカートリッジ63に比べて僅かに厚み方向に大きく構成されている。これは、一般的に言ってブラックインクの需要が最も多く、大量に消費されるからである。なお、ブラック以外の色のインクを貯留するインクカートリッジ63の構造は、すべて同様である。
カートリッジ本体111は、樹脂から構成されている。本実施形態では、カートリッジ本体111は全体として薄肉の直方体状に形成されており、内部にインクが収容されるインク収容空間が区画されている。このカートリッジ本体111は、2つのトレイ状の部材112、113から構成されており、これら2つの部材112、113が溶着その他の既知の固着手段によって接合されてなる。なお、カートリッジ本体111が接合されることによって、上記接合部143が形成されている。
カートリッジ本体111の背面114に上記空気導入弁85が設けられている。この空気導入弁85から図中後方に向けてプッシュロッド85Aが突設されている。本実施形態では、この空気導入弁85の内奥部にチェック弁が配置されている。すなわち、プッシュロッド85Aはチェック弁によってインクカートリッジ63の背面114から突出する方向に付勢された状態となっている。インクカートリッジ63が上記ケース75に収容されると、上記空気導入弁85に設けられたプッシュロッド85Aが後壁69に当接され、インクカートリッジ63の内部に後退される。また、図示されていないインク供給管がインクカートリッジ63のインク供給弁115に挿入される。
プッシュロッド85Aがインクカートリッジ63の内部に後退されることによって、上記チェック弁が開かれ、空気が空気導入弁85を通じてインクカートリッジ63の内部と連通できるようになり、インクカートリッジ63内のインクが円滑に上記記録ヘッド27側へ送られる。
さらに、上記背面114に液位検出部位が設けられている。上述されたように、ケース75の後壁69には液位センサ用コネクタ86が設けられている(図6、図11および図14参照)。この液位センサ用コネクタ86には、液位センサ87(図19および図20参照)が接続されている。インクカートリッジ63が収容室78に収容されたときに、このインクカートリッジ63に設けられた液位検出部位に液位センサ87が嵌合し、インクカートリッジ63内の液位を検出可能に構成されている。この液位検出部位と液位センサ87の構造は特に限定されるものではなく、既知のセンサが採用され得る。
カートリッジ本体111の下面155に嵌合溝116が設けられている。嵌合溝116は、図20に示されるように、カートリッジ本体111の側面と底面との境界の角部に凹設されている。この嵌合溝116は、同図に示されるように、カートリッジ本体111の長手方向に延びている。本実施形態では、この嵌合溝116は、カートリッジ本体111の左右両側に対象に設けられている(図5参照)。図19に示されるように、この嵌合溝116は、カートリッジ本体111の背面114に開口し、この背面114に連続して前面117側へ延びる浅溝部118と、この浅溝部118に連続し、溝深さ(同図において上下方向の寸法)が漸次大きくなる境界溝部119と、さらに、この境界溝部119に連続する深溝部120とを有する。この深溝部120は、カートリッジ本体111の前面117に連続しておらず、そのため、深溝部120の上記前面117側に端面121が形成されている。換言すれば、嵌合溝116は、インクカートリッジ63がケース75に挿抜される方向に延びており、カートリッジ本体111の背面114に連なるが、前面117とは連なっておらず、上下方向に延びる端面121を有する。そして、この端面121に、上記引出部材77の屈曲部97の先端が後述のように当接されるようになっている。
カートリッジ本体111の上面122にも溝149が設けられている。この溝149は、図20に示されるように、カートリッジ本体111の側面と上面122との境界の角部に凹設されている。この溝149は、同図に示されるように、カートリッジ本体111の長手方向に延びており、カートリッジ本体111の前面117および背面114に連なっている。この溝149とカートリッジ本体111の側面との境界には曲面131が形成されている。さらに、カートリッジ本体111の上面122に凹部134が設けられている。この凹部134は、ほぼV字状に形成されており、前側傾斜面135と後側傾斜面136とを備えている。図6および図10に示されるように、インクカートリッジ63が収容されるケース75に上記スイングアーム123が設けられており、このスイングアーム123は、引張バネ128によって常時時計回りに弾性的に回動付勢されている。
上記ケース75にインクカートリッジ63が挿入されると、図10に示されるように、まず、カートリッジ本体111の上面後端部148がスイングアーム123の第2アーム126に当接する。そのままインクカートリッジ63がケース75に挿入されると、スイングアーム123は反時計回りに回動して同図の実線で示された姿勢となる。さらにインクカートリッジ63が挿入されると、スイングアーム123は、上記後側傾斜面136に案内されつつ時計回りに回動し、上記凹部134に嵌め込まれる。さらにインクカートリッジ63がケース75に収容されると、スイングアーム126の第2アーム126が上記前側傾斜面135に案内されつつ再び反時計回りに回動して同図の実線で示された姿勢となる。さらに、インクカートリッジ63がケース75に挿入されることによって、インクカートリッジ63がスイングアーム123に対して相対的にスライドし、同図の実線で示された位置よりもさらに後側に所定距離だけ移動した位置に配置されると、このインクカートリッジ63は、ケース75に完全に収容される。この場合の所定距離とは、図11に示される距離L1である。
図21(a)に示されるように、インクカートリッジ63がケース75に収容されたときは、ケース75に設けられたガイドレール137がインクカートリッジ63の嵌合溝116に嵌め込まれる。なお、インクカートリッジ63がケース75に収容されたときは、ケース75の天板部82側に設けられたガイドレール137もインクカートリッジ63の上面122側に設けられた溝149に嵌め込まれる。このとき、インクカートリッジ63の下面155は、底板部80上に載置される。これにより、インクカートリッジ63がケース75に位置決めされた状態で収容保持される(図6参照)。また、インクカートリッジ63がケース75に収容されるときは、図21(b)に示されるように、インクカートリッジ63の下面155が扉本体89上に載置され、引出部材77の屈曲部97が嵌合溝116内に進入する。また、インクカートリッジ63がケース75内に収容されている状態から扉76が開かれる際には、図6および図10に示されるように引出部材77が回動し、上記屈曲部97が嵌合溝116の端面121を前方に引っ張る。
本実施形態に係る多機能装置10では、使用済みのインクカートリッジが次の要領で交換される。
まず、インクカートリッジ63がケース75に収容された状態で扉76が閉じられているときは、図14に示されるように、ロック部材91が突出位置S側へスライドしてケース75の上縁部130(圧接部)と当接している。すなわち、ロック部材91が中間位置Mに変位し、この扉76が閉塞姿勢にロックされている。扉76が閉塞姿勢にあるときは、上記ロック解除レバー92は、前述のように中立位置Nから収納位置Cへ自在に変位することができる。このとき、開閉蓋72が閉じられると、この開閉蓋72の内壁面が上記ロック解除レバー92に、詳細には第1係合突起159および凸部153に当接し、完全に開閉蓋72が閉じられると、ロック解除レバー92は、この開閉蓋72に押されながら上記収納位置Cへ変位する。すなわち、開閉扉72が閉じられることによってリフィルユニット70の外形寸法が小さくなる。したがって、本実施形態では、多機能装置10のコンパクト設計が可能である。また、開閉蓋72が閉じられることによって、ロック解除レバー92がこの開閉蓋72に押されながら上記収納位置Cへ変位し、三角リブ152がインクカートリッジ63に極めて近い位置に配置される。これにより、本実施形態に係る多機能装置10にインクカートリッジ63が装着されたままの状態でこの多機能装置10が移動される場合であっても、インクカートリッジ63は安定して収容室78内に保持される。詳細には、三角リブ152はインクカートリッジ63に極めて近い位置に配置されるので、インクカートリッジ63が収容室78内で移動しようとすると、インクカートリッジ63は三角リブ153に当接されて、その移動を規制されるのである。よって、多機能装置10がインクカートリッジ63が収容室78内に収容された状態で移動される場合であっても、インクカートリッジ63が前後に移動することが防止される。したがって、インクカートリッジ63のインク供給弁115からのインクの漏れが確実に防止される。
インクカートリッジ63を多機能装置10から取り出すためには、図1に示されるように、作業者は、まず開閉蓋72を開放する。これにより、多機能装置10の前面にリフィルユニット70が露出する。本実施形態では、前述のように、開閉蓋72が開放されるとリフィルユニット70のロック解除レバー92が収納位置Cから中立位置Nに変位し、同図に示されるように多機能装置10の前面側に傾倒する。ロック解除レバー92が中立位置Nにあるときは、このロック解除レバー92がケース75の前面79から離れる側に傾倒しているから、作業者にとってロック解除レバー92を容易に操作することができる。また、ロック解除レバー92の上面151から第1係合突起159および第2係合突起160が立設されており、第1係合突起159は指の形状に沿うような曲線形状であるように形成されている。これにより、作業者の指の位置が第一係合突起159および第二係合突起160によって固定されるので、作業者はロック解除レバー92を容易に操作することができる。すなわち、作業者は、上記ケース75の前面79から手前側に傾倒したロック解除レバー92に容易に指を掛けることができ、これを簡単に倒伏位置Oへ回動させることができる。また、開閉蓋72が開かれ、リフィルユニット70の扉76が閉じられ、ロック解除レバー92が上記中立位置Nに配置されている状態で、上記作業者が多機能装置10の前に立った状態で上記作業者から目視可能であるように配置されている。このため、上記作業者はしゃがむなどの無理な姿勢をとることなく、ロック解除レバー92を操作し、インクカートリッジ63を収容室78から取り出すことができる。また、ロック解除レバー92の上面151に矢印が表示ないし刻成されている。これにより、ロック解除レバー92の操作方向が瞭然である。
この状態で作業者は、リフィルユニット70の扉76を開く。具体的には、作業者はロック解除レバー92、詳細には第1係合突起159および第二係合突起160に指を掛けて手前側(図6、図14に示される矢印R方向)に押し下げ、このロック解除レバー92を倒伏位置Oへと変位させる。このとき、作業者の指は三角リブ152および第二係合突起160に係合される。よって、作業者はロック解除レバー92を確実に操作することができ、扉76がスイングアーム123および押圧保持部材90による付勢力をもって作業者の指に衝突することが防止される。詳細には、ロック解除レバー92が倒伏位置Oまで変位されると、扉76の回動方向とロック解除レバー92の表面92Aとがほぼ垂直に配置される。すなわち、扉76が閉塞姿勢から開放姿勢へ変化する力が、ロック解除レバー92を操作する作業者の指にかかりやすい配置となる。しかし、三角リブ152が設けられていることによって、作業者の指とロック解除レバー92との当接面積が増加する。よって、作業者は指でロック解除レバー92を確実に支えることができ、扉76がスイングアーム123および押圧保持部材90による付勢力をもって作業者の指に衝突することが防止されるのである。このようにして、扉76のロック部材91が下方へスライドされ、このロック部材91の鍵部133がケース75のロック部材嵌合孔(被係合部)83から外れる(図15参照)。作業者は、このロック解除レバー92をそのまま手前側へ引っ張ることによって、図1に示されるように扉76を開くことができる。また、本実施形態においては、ロック部材嵌合孔83はケース75に設けられているが、これに限られるものではなく、ケース75を支持する筐体にロック部材嵌合孔83が設けられていてもよい。
扉76が開かれ、作業者の指がロック解除レバー92から離れると、前述のようにロック部材91が突出位置Sへ変位し、これに伴ってロック解除レバー92が収納位置Cへ変位する。ロック解除レバー92が収納位置Cへ変位することによって、このロック解除レバー92は、扉本体89の収納部150に嵌め込まれる。そして、扉76が完全に解放されると、図10に示されるように、ロック解除レバー92の第1係合突起159および凸部153が開閉蓋72(図1および図6参照)に当接し、これにより、扉76が略水平となる。その結果、インクカートリッジ63をケース75に対して挿抜する作業が一層簡単になる。また、図8に示されるように、ロック解除レバー92に設けられた第1係合突起159および凸部153が、開放されている開閉蓋72の内壁面に当接することによって、ロック解除レバー92は上下方向に位置決めされる。すなわち、ロック解除レバー92に設けられた三角リブ152は、ロック部材91の裏面91Bから突出された状態に保持される。また、この状態において、三角リブ152の傾斜面161の延長線Lはロック部材91の鍵部133と交わらないように配置される。よって、作業者によってインクカートリッジ63が収容室78から取り出されるとき、インクカートリッジ63は傾斜面161に沿って移動され、鍵部133の図11における上方を通過する。すなわち、インクカートリッジ63は鍵部133に引っかかることなくスムーズに取り出される。また、上記鍵部133は、図12および図13における上方から見て、主軸部132の上端を底辺とする二等辺三角形形状であるように形成されている。よって、インクカートリッジ63が傾斜面161に沿って移動され、鍵部133の図11における上方を通過するときに、左右(図5における左右方向)に傾いた場合であっても、インクカートリッジ63は鍵部133に引っかかることなくスムーズに取り出される。
本実施形態では、扉76は、ロック部材91をスライド可能な状態で保持している。具体的には、扉本体89のスライドレール101がロック部材91のスライドを案内する。したがって、ロック部材91は、円滑にスライドすることができるという利点がある。また、ロック部材91は、コイルバネ100によって常時突出位置S側へ付勢されているから、扉76が閉じられると直ちにロック部材91が突出位置S側へスライドし、中間位置Mでケース75に当接する。そして、ロック部材91が中間位置Mにあるときは、ロック部材91は、一定の弾性力をコイルバネ100から受けつつこの中間位置Mに保持されることになるから、ロック部材91がケース75に確実に係合し、扉76が閉塞姿勢にロックされる。したがって、インクカートリッジの交換作業、特に扉76を閉めてインクカートリッジ63をケース75に収容する作業が一層簡単で確実なものとなる。
また、本実施形態では、図17に示されるように、ロック解除レバー92が連動カム108を備えており、この連動カム108がロック解除レバー92の回動に連動させてロック部材91を変位させる。したがって、ロック部材91を変位させる構造がきわめて簡単であり、その結果、ケース75の外形寸法ひいてはリフィルユニット70の外形寸法が小さくなるという利点がある。
また、ロック部材91とロック解除レバー92とが連動することにより、ロック部材91が突出位置Sにあるときは、ロック解除レバー92は、コイルバネ100に付勢されて自動的に収納位置Cへ変位する。したがって、扉76が開かれて、そのまま扉76が倒伏された場合であってもこの扉76が略水平な姿勢となる。扉76が略水平な状態で開放されると、前述のように、インクカートリッジ63の挿脱作業が容易になる。また、図8に示されるように、ロック解除レバー92に設けられた第1係合突起159および凸部153が、開放されている開閉蓋72の内壁面に当接することによって、ロック解除レバー92は上下方向に位置決めされる。すなわち、ロック解除レバー92に設けられた三角リブ152は、ロック部材91の裏面91Bから突出された状態に保持される。さらに、この状態において、三角リブ152の傾斜面161の延長線Lはロック部材91の鍵部133と交わらないように配置される。よって、作業者によってインクカートリッジ63が収容室78から取り出されるとき、インクカートリッジ63は傾斜面161に沿って安定して移動され、鍵部133の図11における上方を通過する。すなわち、インクカートリッジ63は鍵部133に引っかかることなくスムーズに取り出される。また、上記鍵部133は、図12および図13における上方から見て、主軸部132の上端を底辺とする二等辺三角形形状であるように形成されている。よって、インクカートリッジ63が傾斜面161に沿って移動され、鍵部133の図11における上方を通過するときに、左右(図5における左右方向)に傾いた場合であっても、インクカートリッジ63は鍵部133に引っかかることなくスムーズに取り出される。
この扉76が閉塞姿勢から開放姿勢へと変化する際に、図6に示されるように、引出部材77が回動軸部94を中心に回動し、屈曲部97がインクカートリッジ63の端面121に当接し図中左側へ(図1において正面手前側へ)押圧する。これにより、インクカートリッジ63は、開口88側へ掻き出されるように所定の距離L1だけケース75の開口88から手前側に引き出される。したがって、作業者は、このインクカートリッジ63を容易に把持することができ、開口88から簡単に引っ張り出すことが可能である。
次に、新品のインクカートリッジ63が上記開口88からケース75の収容室78へ挿入される。このとき、扉76が開放姿勢となっており、上記収容室78へ挿入されるべきインクカートリッジ63は、予め上記引出部材77の屈曲部97の外壁面110上に載置される。インクカートリッジ63はこの外壁面110およびケース75の内部に設けられた案内部68に案内されつつ上記収容室78へ挿入される。特に本実施形態では、扉76に上記押圧保持部材90が設けられているから、新品のインクカートリッジ63は、一旦この押圧保持部材90の壁面84に設けられている突条141、142上に載置され、この突条141、142に沿ってスライドされつつ上記屈曲部97の外壁面110上を案内される。また、案内部68は上記仕切壁67から延設されているので、新品のインクカートリッジ63が斜めに挿入された場合であっても、このインクカートリッジ63の曲面131が案内部68に当接され、インクカートリッジ63の進路が補正されて、インクカートリッジ63の後端が側板部81と仕切壁67との間、もしくは2枚の仕切壁67の間に収容される。すなわち、作業者は仕切壁67の位置を意識することなく、インクカートリッジ63を上記収容室78の正しい位置に挿入することができる。また、案内部68は天板部82に向かってテーパー状に形成されている。よって、インクカートリッジ63は案内部68に沿って挿入方向にスムーズに移動されることができる。また、本実施形態では、仕切壁67の前後方向の寸法W1は、上記距離(L1+L2)より僅かに大きくなるように設定されている。上記距離(L1+L2)は扉76が開かれ、インクカートリッジ63がケース75の開口88から押し出される距離である。よって、上述のように距離(L1+L2)と寸法W1が設定されることによって、作業者がインクカートリッジ63を手で挿入できる範囲でインクカートリッジ63の後端が側板部81と仕切壁67との間、もしくは2枚の仕切壁67の間に配置される。すなわち、作業者はインクカートリッジ63の後端が側板部81と仕切壁67との間、もしくは2枚の仕切壁67の間に配置された後に扉76を開放姿勢から閉塞姿勢へと変化させることができる。よって、インクカートリッジ63を上記収容室78の正しい位置に挿入することができる。この状態で、作業者は、再び扉76を閉塞姿勢へと変化させる。このとき、ロック解除レバー92は収納位置Cに配置されている状態である。ロック解除レバー92の表面92Aからは上述されたように凸部153および第1係合突起159が突出して設けられており、第1係合突起159と凸部153との間には凹部163が形成されている。凸部153が設けられていることによって、作業者は扉76を閉塞位置へと変化させるためにはどの部位を押圧したらよいかということを感覚的に認識することができる。扉76が作業者によって閉塞姿勢へと回動変化されると、インクカートリッジ63の前面117に上記押圧保持部材90が当接される。これによって、インクカートリッジ63はケース75の収容室78のさらに内奥側へ移動され、このインクカートリッジ63の背面114の空気導入弁85に設けられたプッシュロッド85Aが後壁69に当接される。扉76がさらに閉塞姿勢へと回動変化されると、ロック部材91の鍵部133の上面103の急斜面103Aと上縁部130とが当接される。このときプッシュロッド85Aはインクカートリッジ63の内部に所定量後退される。急斜面103Aと上縁部130とが当接された状態で扉76がさらに閉塞姿勢へと回動変化されると、上縁部130が急斜面103Aに沿って上面103の中腹を経て緩斜面103Bへと相対的に移動される。これと同時に、上面103が上縁部130に押圧されることによってロック部材91が扉本体89の内側へ退避する。この間に、プッシュロッド85Aがインクカートリッジ63の内部にさらに所定量後退されることによって、空気が空気導入弁85を通じてインクカートリッジ63の内部へ進入し、インク供給弁115とインク供給管(図示せず)とが連結される。また、さらに扉76が閉塞姿勢へと回動されると、上縁部130が緩斜面103Bに沿って上面103の頂部を経て段部103Cへと相対的に移動される。上縁部130が段部103Cへと移動されると、ロック部材91がコイルバネ100の付勢力によって再び扉本体89から突出し、鍵部133がロック部材嵌合孔83に嵌合されて扉76が閉塞姿勢に保持される。上述されたように、急斜面103Aと緩斜面103Bとは、急斜面103Aから緩斜面103Bへと傾きが徐々にに小さくなる連続した曲面であるように構成されている。したがって、作業者が扉76を閉塞位置へと変化させようとする押圧力が一定であるとき、扉76が回動される速度は、上記傾きの変化にしたがって変化する。すなわち、扉76が回動される速度は、上縁部130が急斜面103Aに沿って上面103の中腹を経て緩斜面103Bへと相対的に移動されるにしたがって速くなる。空気導入弁85が開放されてから、インク供給弁115とインク供給管(図示せず)とが連結されるまでの間、上縁部130は急斜面103Aに沿って移動する。すなわち、上縁部130が緩斜面103Bに沿って移動される場合に比して、扉76はゆっくりと閉塞位置へと移動されるので、空気が空気導入弁85を通じてインクカートリッジ63の内部へ十分に進入した後にインク供給弁115とインク供給管(図示せず)とが連結される。よって、空気が記録ヘッド27側からインクカートリッジ63側へと流入することが防止されるので、記録ヘッド27およびインク供給管の内部に気泡が発生することが防止される。
また、凸部153と、凹部163と、第1係合突起159とが上述されたような位置関係で配置されることによって、指の形状に沿った形状が形成される。すなわち、作業者の指はこれら凸部153、凹部163および第一係合突起159に係合され、作業者が扉76を閉塞位置へと変化させようとする押圧力が効率よく扉76に伝達される。よって、作業者は少ない力で容易に扉76を閉塞位置へと変化させることができる。また、第1係合突起159は、ロック解除レバー92の表面92Aから、上述の凸部153より更に突出して設けられているので、指が第1係合突起159に確実に係止される。よって、使用者は確実に扉76を閉塞位置へと変化させることができる。さらに、ロック解除レバー92が収納位置C、中立位置Nおよび倒伏位置Oのいずれの位置にあっても、扉本体89の外側面105から、凸部153は座部109(当接部)より突出して配置されている。よって、作業者の指が座部109に触れることが防止される。すなわち、作業者の指が座部109に触れることによって、ロック部材91の上下運動が妨げられられることが防止される。よって、使用者は確実に扉76を閉塞位置へと変化させることができる。また、凸部153には突条162が設けられているので、作業者が扉76を閉塞位置へと変化させるときに、扉76のどの部位を押圧したらよいかということを、感覚的に認識することができる。さらに、突条162が設けられていることによって、作業者が扉76を閉塞位置へと変化させるときに扉76から作業者の指が滑ることを防止できる。よって、作業者が扉76を閉塞位置へと変化させようとする押圧力が効率よく扉76に伝達される。
ただし、凸部153の形状は、上記形状に限定されるものではなく、図18(a)および(b)に示されるように、ロック解除レバー92の凸部153から延設して、座部109(当接部)を完全に覆うことができる覆部200が設けられていてもよい。覆部200が設けられることによって、作業者の指が座部109に触れることがより確実に防止される。すなわち、作業者の指が座部109に触れることがないので、ロック部材91の上下運動が妨げられることがない。よって、ロック部材91の鍵部133がケース75に設けられたロック部材嵌合孔83に確実に嵌め込まれる。
扉76が閉塞姿勢へと変化する際に、上記押圧保持部材90がインクカートリッジ63の前面117に当接し、扉76が完全に閉塞姿勢となったときは、上記押圧保持部材90がこのインクカートリッジをケース75の収容室78の内奥側へ弾性付勢する。同時に、上記ロック部材91の鍵部133がケース75に設けられたロック部材嵌合孔83に嵌め込まれ、この扉76が閉塞姿勢に保持される。このとき、開閉蓋72が閉じられると、この開閉蓋72の内壁面が上記ロック解除レバー92に、詳細には第1係合突起159および凸部153に当接し、ロック解除レバー92がこの開閉蓋72に押されて上記収納位置Cに保持される。同時に三角リブ152がインクカートリッジ63に極めて近い位置に配置される。よって、本実施形態に係る多機能装置10にインクカートリッジ63が装着されたままの状態でこの多機能装置10が移動される場合であっても、インクカートリッジ63は安定して収容室78内に保持される。詳細には、三角リブ152はインクカートリッジ63に極めて近い位置に配置されるので、インクカートリッジ63が収容室78内で移動しようとすると、インクカートリッジ63は三角リブ153に当接されて、その移動を規制されるのである。
なお、本実施形態に係る多機能装置10では、さらに次のような作用効果が奏される。
本実施形態では、作業者がリフィルユニット70の扉76を開けるだけで、使用済みのインクカートリッジが自動的に引き出され、しかも、この扉76が開けられたままで、作業者は容易に新品のインクカートリッジをケース75に収容することができる。すなわち、インクカートリッジの交換作業がきわめて簡単である。
また、本実施形態では、図10に示されるように、ケース75の天板部82にスイングアーム123が設けられており、インクカートリッジ63がケース75から上記距離L1だけ引き出された状態では、上記スイングアーム123が前側傾斜面135を押圧する。すなわち、このスイングアーム123を介して引張バネ128の弾性力がカートリッジ本体111の前側傾斜面135に作用し、インクカートリッジ63は、上記開口88側へ弾性付勢される。したがって、前述のように上記扉76が開かれ、インクカートリッジ63が上記引出部材77によってケース75の開口88から引き出されると、同時に、上記スイングアーム123が同図において時計方向に回動し、上記前側傾斜面135を上記開口88側へ押す。これにより、スイングアーム123は、上記前側傾斜面135と上記後側傾斜面136との間に形成された凹部134に嵌り込み、スイングアーム123の第2アーム126が上記後側傾斜面136に当接する。つまり、スイングアーム123は、上記凹部134内に保持されることになる。
スイングアーム123が回動して上記凹部134内に嵌り込むことにより、インクカートリッジ63は、さらに距離L2だけケース75から押し出される。したがって、インクカートリッジ63は、上記開口88から上記距離(L1+L2)だけ押し出されることになるから、作業者は、使用済みのインクカートリッジ63をきわめて簡単に把持することができ、一層簡単にケース75から取り出すことができるという利点がある。
さらに、本実施形態では、一対の引出部材77が設けられており、これらが収容室78に配置されたインクカートリッジ63を幅方向に挟み込む(図21参照)。このため、インクカートリッジ63は、引出部材77によって幅方向に位置決めされなら上記開口88から引き出される。しかも、このとき、図10および図11に示されるように、引出部材77の屈曲部97は、インクカートリッジ63が載置される載置面98に滑らかに連続するように略水平に配置されるので、新品のインクカートリッジが上記開口88から収容室78へ挿入される際に、この新品のインクカートリッジは、一旦屈曲部97の外壁面110に載置されるだけで確実に引出部材77に支持され、そのまま上記載置面98上に案内される。したがって、作業者は、なお一層容易にインクカートリッジの交換作業を行うことができる。
加えて、各引出部材77は、インクカートリッジ63に凹設された嵌合溝116に嵌め込まれるが、一対の引出部材77の幅方向寸法d1(図12参照)がインクカートリッジ63の幅寸法d2(図20参照)よりも小さく設定されていることから、上記引出部材77は、インクカートリッジ63から突出することがない。上記寸法d1が上記寸法d2以下に設定されることによって、上記扉76がコンパクトに設計され、その結果、リフィルユニット70の小型化ひいては多機能装置10の小型化が実現される。
特に本実施形態では、リフィルユニット70が多機能装置10の前面71に配置され、しかも作業者は、リフィルユニット70の前面側からインクカートリッジ63を挿抜することができるので、インクカートリッジ63の交換作業が一層簡単になる。また、図11に示されるように、扉76が開放姿勢に変化する際に上記引出部材77の屈曲部97が回動してインクカートリッジ63の端面121を押圧することにより、このインクカートリッジ63がケース75から引き出されると共に、この屈曲部97がそのまま新品のインクカートリッジをケース75内に挿入するための案内部材を構成する。つまり、上記引出部材77が上記案内部材を兼ねることとなり、その結果、インクカートリッジ63の交換作業がなお一層簡単になる。
また、本実施形態では、仕切壁67の先端部165は上記基端部(後壁69)から開口88に向かって距離W1の位置に配置されている。よって、この基端部(後壁69)における左右方向の外形寸法を小さくした場合であっても、抜き勾配の影響が少ないので、先端部165の厚みが十分に確保される。すなわち、先端部165の強度を十分に確保しつつ、且つ、リフィルユニット70の左右方向の外形寸法を小さくすることができるので、多機能装置10のコンパクト設計が可能である。また、仕切壁67の上記先端部165は、後壁69、天板部82および底板部80の付近に配置される。これら後壁69、天板部82および底板部80は金型を用いてケース78が成形されるときに樹脂の大きな流路となるので、端部165に確実に樹脂が装填され、容易に強度の高い仕切壁67および案内部68が形成される。
さらに、本実施形態では、仕切壁67から延設して案内部68が設けられているが、たとえば、図7(c)に示されるように、先端部165は曲線によって構成されていても、上述された構成によって得られる効果と同様の効果を得ることができる。また、図7(b)および図7(d)に示されるように、案内部68が天板部82側と底板部80側とに設けられていてもよい。このように構成されることによって、曲面131Aおよび曲面131Bがそれぞれ案内部68に当接されるので、インクカートリッジ63は、案内部68に沿って挿入方向により一層スムーズに移動することができる。また、図7(e)および図7(f)に示されるように、案内部68が仕切壁67から開口88付近まで延設して設けられていてもよい。このように構成されることによって、インクカートリッジ63の背面が開口88付近に挿入された状態で、曲面131Aおよび曲面131Bがそれぞれ案内部68に当接されるので、カートリッジ63の後端が一層確実に側板部81と仕切壁67との間、もしくは2枚の仕切壁67の間に配置される。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
また、本発明は、多機能型の画像記録装置ばかりでなく、単機能型の画像記録装置についても適用できることはいうまでもなく、その場合にも、上記同様の作用、効果を奏することができるものである。