JP2007268131A - 画像診断装置およびその処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 画像診断装置において、プローブのラジアル走査における回転を高速化した場合であっても、カテーテルの破損を回避できるようにすることを目的とする。
【解決手段】 カテーテルが接続される画像診断装置における情報処理方法であって、カテーテル内のプローブの軸方向移動走査における動作方向を検出する検出工程(ステップS701、702)と、体腔内の末梢方向に動作したことが検出された場合に、前記プローブの回転速度を変更するか否かを判断する判断工程(ステップS703)と、前記プローブのラジアル走査における回転速度を制御する制御工程と、を備え、前記制御工程は、前記判断工程において変更すると判断された場合に(ステップS704においてYesの場合に)、前記プローブの回転速度を減速させる(ステップS704)ことを特徴とする。
【選択図】 図7

Description

本発明は、画像診断装置に関するものである。
従来より、動脈硬化の診断やバルーンカテーテル、ステント等の高機能カテーテルによる血管内治療時の術前診断、あるいは術後の結果確認のために画像診断装置が広く使用されている。
画像診断装置の一例として、血管内超音波診断装置(IVUS:Intra Vascular Ultra Sound)が挙げられる。一般に血管内超音波診断装置は、血管内において超音波振動子をラジアル走査させ、体腔内の生体組織で反射された反射波(超音波エコー)を同じ超音波振動子で受信した後、増幅、検波等の処理を施し、生成された超音波エコーの強度に基づいて、血管の断面画像を描出するよう構成されている(例えば、特許文献1参照)。
また、血管内超音波診断装置の他、近年では、画像診断装置として光干渉断層診断装置(OCT:Optical Coherent Tomography)も利用されるようになってきている。光干渉断層診断装置は、先端に光学レンズ及び光学ミラーを取り付けた光ファイバーを内蔵したカテーテルを血管内に挿入し、光ファイバーの先端側に配置した光学ミラーをラジアル走査させながら、血管内に光を出射し、組織からの反射光をもとに血管の断面画像を描出するものである(例えば、特許文献2参照)。
更に、最近では、光干渉断層診断装置の改良型として、波長掃引利用の光干渉断層診断装置も利用されるようになってきている。
このように、画像診断装置には検出原理の異なる複数種類の装置があり、いずれもプローブをラジアル走査することで断面画像を抽出することを特徴としている。このため、いずれの装置においても、ラジアル走査を高速化し軸方向の走査速度を上げることにより、画像診断装置における診断時間を短くすることができるというメリットがある。
特開平6−343637号公報 特開2001−79007号公報
しかしながら、プローブを高速で回転させた場合、例えば、図9(a)のように、カテーテルの先端部が屈曲していた状態において、プローブを体腔内の末梢方向に動作させた場合に、図9(b)に示すように、プローブがカテーテルを突き破り、カテーテルを破損させたり、血管等への障害を与えたりすることがありえる。
一般に、診断時はプローブを手前側(体腔内の末梢方向と反対方向)に動作させながら診断を行うため、このような問題は発生しないが、断面画像をリアルタイムで確認しながら、測定開始位置を微調整するために、自動もしくは手動で末梢方向にプローブを動作させる場合がある。また、測定が完了した後に、再度測定を行うために、プローブを回転させたまま末梢方向最先端まで動作させることもある。プローブの回転を高速化した場合、体腔内の末梢方向に動作させた際にこのような問題が生じる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、画像診断装置において、プローブのラジアル走査における回転を高速化した場合であっても、カテーテルの破損を回避できるようにすることを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明に係る画像診断装置は以下のような構成を備える。即ち、
信号の送受信を繰り返すプローブを接続し、該プローブを体腔内において回転走査及び軸方向移動走査させることで、該プローブより体腔内での反射信号を取得し、該取得した反射信号に基づいて該体腔内の断面画像を形成・出力する画像診断装置であって、
前記プローブの軸方向移動走査における動作方向を検出する検出手段と、
前記プローブの回転走査における回転速度を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記検出手段において、体腔内の末梢方向に動作したことが検出された場合に、前記プローブの回転速度を変更するか否かを判断する判断手段を更に備え、該判断手段において変更すると判断された場合に、前記プローブの回転速度を変更することを特徴とする。
本発明によれば、画像診断装置において、プローブのラジアル走査における回転を高速化した場合であっても、カテーテルの破損を回避できるようになる。
以下、必要に応じて添付図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
1.血管内超音波診断装置の外観構成
図1は本発明の第1の実施形態にかかる血管内超音波診断装置(100)の外観構成を示す図である。
図1に示すように、血管内超音波診断装置(100)は、カテーテル部101と、スキャナ/プルバック部102と、操作制御装置103とを備え、スキャナ/プルバック部102と操作制御装置103とは、信号線104により接続されている。
カテーテル部101は、直接血管内に挿入され、超音波振動子(不図示)を用いて血管内部の状態を測定する。スキャナ/プルバック部102は、カテーテル部101内の超音波振動子のラジアル動作を規定する。
操作制御装置103は、血管内超音波診断を行うにあたり、各種設定値を入力するための機能や、測定により得られたデータを処理し、断面画像として表示するための機能を備える。
操作制御装置103において、111は本体制御部であり、測定により得られたデータを処理したり、処理結果を出力する。111−1はプリンタ/DVDレコーダであり、本体制御部111における処理結果を印刷したり、データとして記憶したりする。
112は操作パネルであり、ユーザは該操作パネル112を介して、各種設定値の入力を行う。113はLCDモニタであり、本体制御部111における処理結果を表示する。
2.血管内超音波診断装置の機能構成
図2は、図1に示した血管内超音波診断装置100の機能構成を示す図である。
同図に示すように、血管内超音波診断装置100は、カテーテル部101と、スキャナ/プルバック部102と、操作制御装置103とを備える。
カテーテル部101は、先端内部に超音波振動子ユニット201を備えており、超音波振動子ユニット201は、カテーテル部101の先端が血管内に挿入された状態で、超音波信号送受信器221より送信されたパルス波に基づいて、超音波を血管の断面方向に送信するとともに、その反射信号(エコー)を受信し、コネクタ部202及びロータリジョイント211を介して超音波エコー信号として超音波信号送受信器221に送信する。
スキャナ/プルバック部102は、ロータリジョイント211、回転駆動装置212、直線駆動装置215を備える。カテーテル部101内の超音波振動子ユニット201は、非回転部と回転部との間を結合するロータリジョイント211により回動自在に取り付けられており、ラジアル走査モータ213により回転駆動される。超音波振動子ユニット201が血管内を円周方向に回動することで、血管内の所定の位置における断面画像の生成に必要な超音波エコー信号を検出することができる。
なお、ラジアル走査モータ213の動作は信号処理部225からモータ制御回路226を介して送信された制御信号に基づいて制御される。また、ラジアル走査モータの回転角度は、エンコーダ部214により検出される。エンコーダ部214において出力される出力パルスは、信号処理部225に入力され、表示用の信号の読み出しのタイミングに利用される。
スキャナ/プルバック部102は、更に、直線駆動装置215を備え、信号処理部225からの指示に基づいて、カテーテル部101の挿入方向(体腔内の末梢方向およびその反対方向)の動作(軸方向移動)を規定している。軸方向移動は、信号処理部225からの制御信号に基づいて、直線駆動モータ216が動作することにより実現される。また、軸方向移動の動作方向(体腔内の末梢方向またはその反対方向(手元方向))は、移動方向検出器217により検出され、検出結果は信号処理部225に入力される。
なお、ラジアル走査モータ213と直線駆動モータ216とは着脱可能に接続されていても、一体的に構成されていてもよい。また、直線駆動モータ216による軸方向移動は、ボールネジ等により実現することができる。また、移動方向検出器217は、例えば直線駆動モータ216にエンコーダを取り付けることにより実現できる。すなわち、直線駆動モータ216の回転方向を検出することにより軸方向移動の動作方向を検出することができる。
超音波信号送受信器221は、送信回路と受信回路とを備える(不図示)。送信回路は、信号処理部225から送信された制御信号に基づいて、カテーテル部101内の超音波振動子ユニット201に対してパルス波を送信する。
また、受信回路は、カテーテル部101内の超音波振動子ユニット201より超音波信号を受信する。受信された超音波信号はアンプ222により増幅される。
更に、A/D変換器224では、アンプ222より出力された超音波信号をサンプリングして、1ラインのデジタルデータ(超音波エコーデータ)を生成する。
A/D変換部224にて生成されたライン単位の超音波エコーデータは信号処理部225に入力される。信号処理部225では、超音波エコーデータを検波して、血管内の各位置での断面画像を形成し、所定のフレームレートでLCDモニタ227に出力する。
3.操作パネル112の構成
図8は、操作パネル112の構成の一例を示す図である。801はLCDモニタ操作部であり、LCDモニタ227上に表示される各種画面を操作するために用いる。804はトラックボールであり、LCDモニタ227上に表示されたポインタを操作する際に用いる。802、803はそれぞれ左右クリックボタンである。診断時の各種設定(回転速度)は、LCDモニタ操作部801を介して行われる。
811から815は、信号処理回路225において超音波エコーデータを処理する際の補正値を設定するための設定器である。811は、画像回転設定器であり、入力された超音波エコーデータに基づいて生成される断面画像を回転させる場合の回転量を設定する。812はガンマ補正設定器であり、ガンマ値を調整し色合わせを行う際に用いられる。813は濃度設定器であり、表示される断面画像の濃度を調整する。814はゲイン設定器であり、入力される超音波エコーデータのゲインを調整する。815はコントラスト設定器であり、表示される断面画像のコントラストを調整する。
821から824は、カテーテル部101の超音波振動子ユニット201を軸方向移動走査させる際に用いられるボタンである。821は前進ボタンであり、当該前進ボタン821を押圧している間、直線駆動モータ216が動作し、これによりカテーテル部101の超音波振動子ユニット201が体腔内の末梢方向に移動する(押圧が解除されると、動作を停止する)。822は後退ボタンであり、当該後退ボタン822を押圧している間、直線駆動モータ216が動作し、これによりカテーテル部101の超音波振動子ユニット201が体腔内の末梢方向と反対方向(手元方向)に移動する(押圧が解除されると、動作を停止する)。
823はスキャン開始ボタンであり、当該スキャン開始ボタン823を押圧すると、カテーテル部101の超音波振動子ユニット201が所定の回転速度で回転する。824はスキャン停止ボタンであり、当該スキャン停止ボタン824を押圧することにより、回転中の超音波振動子ユニット201が停止する。
831から836は、格納された断面画像をLCDモニタ227に表示する際に用いられるボタンである。833はPLAYボタンであり、格納された断面画像を所定のフレームレートでLCDモニタ227上に表示する際に用いる。831はSTOPボタンであり、断面画像の表示を停止する際に用いる。832はPAUSEボタンであり、所定のフレームレートで表示中の断面画像を一時停止する際に用いる。
834は表示中の断面画像を所定の位置(現在表示中の位置よりも前の位置)にスキップする際に用いられる。835は表示中の断面画像を所定の位置(現在表示中の位置よりも後ろの位置)にスキップする際に用いられる。
836は早送り/巻き戻しボタンであり、右回りにまわすことで、所定のフレームレートで表示中の断面画像を早送り表示する。また、左回りにまわすことで、所定のフレームレートで表示中の断面画像を巻き戻し表示する。
なお、上記操作パネル112では、超音波振動子ユニット201のラジアル走査を、軸方向移動と回転動作をそれぞれ実行させるための別個の操作ボタンを操作することにより実現することとしたが、本発明は特にこれに限られない。例えば、ラジアル走査を直接実現するための単独の操作ボタンが設けられていてもよい。また、軸方向移動は、操作ボタンを押下することにより実現してもよいし、スキャナ/プルバック部102を、手で直接前後に動かすようにしてもよい。なお、この場合でも、移動方向検出器217による軸方向移動の動作方向は検出されるものとする。
4.カテーテル部の構成
4.1 カテーテル部の全体構成
次にカテーテル部101の全体構成について図3を用いて説明する。
図3に示すように、カテーテル部101は、血管内に挿入される長尺のカテーテルシース301と、ユーザが操作するために血管内に挿入されずユーザの手元側に配置されるコネクタ302により構成される。シースの先端には、ガイドワイヤルーメン303が形成されており、カテーテルシース301は、ガイドワイヤルーメン303との接続部からコネクタ302との接続部にかけて連続する管腔として形成されている。
コネクタ302は、カテーテルシース301の基端に一体化して構成されたシースコネクタ302aと駆動シャフトの基端に設けられ、駆動シャフトを回転可能に保持するよう構成された駆動シャフトコネクタ302bとからなる。
シースコネクタ302aとカテーテルシース301の境界部には、耐キンクプロテクタ311が設けられている。これにより所定の剛性が保たれ、急激な変化による折れ曲がり(キンク)を防止することができる。また、駆動シャフトコネクタ302bには、カテーテルシース301の管腔内全体を超音波伝達液で満たすため、シリンジ(不図示)等の取り付けが可能な注入ポート312が備えられている。駆動シャフトコネクタ302bの基端は、スキャナ/プルバック部102と接続可能に構成されている。
4.2 カテーテル部の先端部の構成
次にカテーテル部101の先端部の構成について図4を用いて説明する。
図4において、カテーテルシース301の管腔内部には、超音波を送受信する超音波振動子ユニット401と、それを回転させるための駆動力を伝達する駆動シャフト402とを備えるイメージングコア403がカテーテルシース301のほぼ全長にわたって挿通されている。超音波振動子ユニット401は、超音波振動子401bとそれを保持するハウジング401aからなり、当該超音波振動子401bより体腔内組織に向けて超音波が送信されるとともに、当該超音波振動子401bにて体腔内組織からの反射波が受信される。
駆動シャフト402はコイル状に形成され、その内部には信号線が配され、超音波振動子401bからコネクタ302まで伸びている。
超音波振動子401bは矩形状あるいは円形状をしており、PZT等からなる圧電材の両面に、電極を蒸着することにより形成されている。超音波振動子401bは、駆動シャフト402が回転ムラを引き起こさないように、回転軸方向の中心付近に位置するよう設置されている。
ハウジング401aは、短い円筒状のパイプの一部に切り欠き部を有した形状をしており、素材としては、金属または硬質の樹脂が好適に用いられる。成形方法としては、パイプ状のものに切削加工、レーザ加工、プレス加工などの加工を施し、切り欠き部を形成する方法や、射出成形やMIM(金属粉末射出成形)などにより直接所望の形状を得る方法がある。ハウジング401aは、内部に超音波振動子401bを有し、基端側は駆動シャフト402と接続されている。また、先端側には短いコイル状の弾性部材404が設けられている。
弾性部材404はステンレス鋼線材をコイル状に形成したものであり、弾性部材404が先端側に配されることで、イメージングコア403の回転時の安定性が向上する。また、弾性部材404またはハウジング401の表面には金メッキが施されている。一般に、金は高いX線不透過性を有する金属であるため、当該金メッキにより、弾性部材404はカテーテルシース301が体腔内へ挿入された場合でも、X線撮像装置の映像下で造影される。これにより、ユーザは超音波振動子401bの位置を容易に知ることができる。
カテーテルシース301の先端部とガイドワイヤルーメン303との境界部には、プライミング作業で注入された超音波伝達液を外部に排出するための排出口405が設けられている。
406は補強コイルであり、カテーテルシース301の先端部分の急激な折れ曲がりを防止する目的で設けられている。
ガイドワイヤルーメン303は、ガイドワイヤが挿入可能な孔を有する。ガイドワイヤルーメン303は、予め体腔内に挿入され、カテーテルシース301を患部まで導くために使用される。
駆動シャフト402は、カテーテルシース301に対して回転及びスライド動作することが可能であり、柔軟で、かつ回転をよく伝達できる特性をもつ、例えば、ステンレス等の金属線からなる多重多層密着コイル等により構成されている。
駆動シャフト402の回転により管腔内は、360度観察可能となるが、更に広範囲を観察するには、駆動シャフト402を軸方向にスライドさせればよい。
図5は、駆動シャフト402をカテーテルシース301に対して相対的にスライドさせた様子を示す図である。同図に示すように、シースコネクタ302aは固定した状態で、駆動シャフトコネクタ302bを基端側に(矢印501方向に)スライドさせれば、内部の駆動シャフト402やその先端に固定された超音波振動子ユニット401が軸方向にスライドすることとなる。この軸方向のスライドは、ユーザが手動で行ってもよいし、電動で行っても良い。なお、駆動シャフトコネクタ302bの先端側には、高速回転する駆動シャフト402が露出しないように、保護内管502が設けられている。
5.血管内超音波診断時のカテーテル部101の動作
図6は血管内超音波診断時のカテーテル部101の動作を説明するための模式図である。図6(a)、(b)はそれぞれカテーテル部101が挿入された状態の血管の断面図および斜視図である。
図6(a)において、601はカテーテル部101が挿入された血管断面を示している。上述のように、カテーテル部101はその先端内部に超音波振動子401bが取り付けられており、ラジアル走査モータ213により矢印602方向に回転する。
超音波振動子401bからは、各回転角度にて超音波の送信/受信が行われる。ライン1、2、・・・1024は各回転角度における超音波の送信方向を示している。本実施形態では、超音波振動子401bが所定の血管断面(601)にて360度回動する間に、1024回の超音波の送信/受信が断続的に行われる。なお、360度回動する間における超音波の送信/受信回数は特にこれに限られず、任意に設定可能であるものとする。このように、超音波振動子(信号の送受信部)を回転させながら信号の送信/受信を繰り返すスキャン(走査)を、一般に「ラジアルスキャン(ラジアル走査、回転走査)」という。
このような超音波の送信/受信は、血管内を矢印603方向(図6(b))に進みながら行われる。
6.信号処理部225における処理
超音波振動子ユニット201が所定の回転速度で回転を開始すると、図7に示すフローチャートが開始する。
図7は、超音波振動子ユニット201が回転開始した場合の、信号処理部225における処理の流れを示すフローチャートである。
スキャン開始ボタン823の押圧信号を受けて処理が開始されると、ステップS701では、移動方向検出器217の出力信号に基づいて、超音波振動子ユニット201の軸方向移動があったか否かを判定する。軸方向移動がないと判定された場合には、軸方向移動が検知されるまで待機する。
ステップS701において、軸方向移動があったと判定された場合には、ステップS702に進む。ステップS702では、当該軸方向移動が、体腔内の末梢方向への動作であるか否かを判定する。体腔内の末梢方向への動作ではない(つまり、末梢方向と反対方向の動作である)と判定された場合には、ステップS701に戻る。
一方、当該軸方向移動が、体腔内の末梢方向への動作であると判定された場合には、ステップS703に進む。ステップS703では、超音波振動子ユニット201の回転速度が規定値以上であるか否かを判定する。超音波振動子ユニット201の回転速度は、スキャン開始ボタン823押圧前に操作パネル112を介して設定された設定値を参照することにより判定される(あるいは、エンコーダ部214の出力より回転速度の実測値を算出し、該実測値に基づいて判定してもよい)。なお、規定値としては、例えば1800rpmが設定されているものとする。
ステップS703において、超音波振動子ユニット201の回転速度が規定値を超えていないと判定された場合には、ステップS705に進む。一方、回転速度が規定値以上であると判定された場合、すなわち、回転速度の設定値が高速(例えば、3600rpm)に設定されていた場合には、ステップS704に進み、規定値以下になるよう減速指示をモータ制御回路226を介して回転駆動装置212に送信する。回転駆動装置212では、当該減速指示を受けて、超音波振動子ユニット201の回転速度が規定値以下になるように制御する。
ステップS705では、操作パネル112上の他の操作ボタンが押下されたか否かを判定する。ステップS705において他の操作ボタンが押下されていないと判定された場合には、押下されるまで待機する。一方、他の操作ボタンが押下されたと判定された場合には、図7に示す処理を終了する。
ステップS705において、例えば、前進ボタン821が押下された場合には、再度末梢方向への動作を行う。また、後退ボタン822が押下された場合には、末梢方向と反対方向への動作を行う。更に、スキャン開始ボタン823が押下された場合には、予め設定された回転速度(規定値以上の回転速度)に戻る。また、スキャン停止ボタン824が押下されると、規定値以下の回転速度で回転中の超音波振動子ユニット201の回転が停止する。
なお、上記説明において、ステップS704では、信号処理部225は回転速度を規定値以下にするための減速指示を回転駆動装置212に送信することとしたが、本発明は特にこれに限られず、回転を停止するための停止指示を送信するようにしてもよい。
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる血管内超音波診断装置によれば、プローブのラジアル走査における回転速度を高速化した場合であっても、カテーテル破損の恐れのある末梢方向への動作が行われた際には、回転速度をカテーテル破損の恐れのない速度まで減速(または停止)することとしたため、カテーテル破損を回避させることが可能となる。
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、血管内超音波診断装置において、超音波振動子のラジアル走査を高速化した場合の、信号処理部の処理について説明した。しかしながら、本発明は特に血管内超音波診断装置に限定されるものではなく、他の画像診断装置においても適用可能である。そこで、本実施形態では、光干渉断層診断装置に適用した場合について説明する。
1.光干渉断層診断装置の測定原理
はじめに光干渉断層診断装置の測定原理について簡単に説明する。一般に光は電磁波であるため、重畳させた場合に干渉するという性質を有する。干渉しやすいか干渉しにくいかの干渉性能はコヒーレンスとも呼ばれ、一般的な光干渉断層診断装置では、干渉性の低い低コヒーレンス光(低干渉性光)が利用される。
低コヒーレンス光は、横軸に時間、縦軸に電場をとった場合、図10(a)の1001、1002に示すように、ランダムな信号となる。同図における各々の山は波連と呼ばれ、波連は一つ一つが相互に独立な位相と振幅を持っている。このため、図10(a)のように同じ波連同士が重なった場合は(1001と1002)干渉して強めあう一方(1003参照)、わずかな時間遅れがあった場合には(図10(b)の1004と1005)、打ち消しあって、干渉が観測されなくなる(図10(b)の1006参照)。
光干渉断層診断装置は、かかる性質を利用したものであり、図11に装置の基本原理を示す。同図に示すように、低干渉性光源1101から出た光をビームスプリッタ1104で分割し、それぞれを参照ミラー1102と測定対象1103に向かわせる。このとき、測定対象側から戻ってくる反射光には、物体表面で反射した光や、物体内部の浅い位置で反射した光、物体内部の深部で反射した光など様々な位置からの反射光が含まれる。
しかし、入射光が低干渉性光であるため、干渉が観測される反射光は、ビームスプリッタ1104から参照ミラー1102までの距離をL、コヒーレンス長をΔLとすると、ビームスプリッタ1104からの距離がL+ΔL/2の位置に存在する反射面からの反射光のみとなる。
したがって、ビームスプリッタ1104から参照ミラー1102までの距離を変えれば、検出器1105ではその距離に対応した物体内反射面からの反射光のみを選択的に検出することができる。そして、各距離に応じた反射光の強度に基づいて、物体内部の構造情報を可視化することで断面画像を形成することができる。
2.光干渉断層診断装置の外観構成
光干渉断層診断装置の外観構成は、上記第1の実施形態において説明した血管内超音波診断装置(図1参照)と同様であるため、説明は省略する。
3.光干渉断層診断装置の機能構成
本実施形態にかかる光干渉断層診断装置(1200)の機能構成について図12を用いて説明する。
1209は超高輝度発光ダイオード等の低干渉性光源である。低干渉性光源1209は、その波長が1310nm程度で、その可干渉距離(コヒーレント長)が数μm〜10数μm程度であるような短い距離範囲でのみ干渉性を示す低干渉性光を出力する。
このため、この光を2つに分岐した後、再び混合した場合には分岐した点から混合した点までの2つの光路長の差が17μm程度の短い距離範囲内の場合には干渉光として検出され、それよりも光路長の差が大きい場合には干渉光が検出されない。
低干渉性光源1209の光は、第1のシングルモードファイバ1228の一端に入射され、先端面側に伝送される。第1のシングルモードファイバ1228は、途中の光カップラ部1208で第2のシングルモードファイバ1229と光学的に結合されている。従って、この光カップラ部1208で2つに分岐されて伝送される。
第1のシングルモードファイバ1228の光カップラ部1208より先端側には、非回転部と回転部との間を結合し、光を伝送する光ロータリジョイント1203が設けられている。
更に、光ロータリジョイント1203内の第3のシングルモードファイバ1230の先端には、光プローブのコネクタ部1202が着脱自在に接続されている。これにより光プローブ1201内に挿通され回転駆動可能な第4のシングルモードファイバ1231に、低干渉性光源1209からの光が伝送される。
伝送された光は、光プローブ1201の先端側から体腔内の生体組織側にラジアル走査しながら照射される。そして、生体組織側の表面あるいは内部で散乱した反射光の一部は光プローブ1201により取り込まれ、逆の光路を経て第1のシングルモードファイバ1228側に戻り、光カップラ部1208によりその一部が第2のシングルモードファイバ1229側に移り、第2のシングルモードファイバ1229の一端から光検出器(例えばフォトダイオード1210)に入射される。なお、光ロータリジョイント1203の回転部側は回転駆動装置1204のラジアル走査モータ1205により回転駆動される。また、ラジアル走査モータ1205の回転角度は、エンコーダ部1206により検出される。更に、光ロータリジョイント1203は、直線駆動装置1207を備え、信号処理部1214からの指示に基づいて、カテーテル部101の挿入方向(体腔内の末梢方向およびその反対方向)の動作(軸方向移動)を規定している。軸方向移動は、信号処理部1214からの制御信号に基づいて、直線駆動モータ1215が動作することにより実現される。また、軸方向移動の動作方向(体腔内の末梢方向またはその反対方向)は、移動方向検出器1230により検出され、検出結果は信号処理部1214に入力される。
なお、ラジアル走査モータ1205と直線駆動モータ1215とは着脱可能に接続されていても、一体的に構成されていてもよい。また、直線駆動モータ1215による軸方向移動は、ボールネジ等により実現することができる。また、移動方向検出器1230は、例えば直線駆動モータ1215にエンコーダを取り付けることにより実現できる。すなわち、直線駆動モータ1215の回転方向を検出することにより軸方向移動の動作方向を検出することができる。
また、第2のシングルモードファイバ1229の光カップラ部1208より先端側には、基準光の光路長を変える光路長の可変機構1216が設けてある。
この光路長の可変機構1216は生体組織の深さ方向の検査範囲に相当する光路長を高速に変化させる第1の光路長変化手段と、光プローブを交換して使用した場合の個々の光プローブの長さのばらつきを吸収できるように、その長さのバラツキに相当する光路長を変化させる第2の光路長変化手段とを備えている。
第2のシングルモードファイバ1229の先端に対向して、この先端とともに1軸ステージ1220上に取り付けられ、矢印1223に示す方向に移動自在のコリメートレンズ1221を介して、グレーティング1219が配置されている。また、このグレーティング1219(回折格子)と対応するレンズ1218を介して微小角度回動可能なガルバノメータ1217が第1の光路長変化手段として取り付けられている。このガルバノメータミラー1217はガルバノメータコントローラ1224により、矢印1222方向に高速に回転される。
ガルバノメータミラー1217はガルバノメータのミラーにより光を反射させるものであり、参照ミラーとして機能するガルバノメータに交流の駆動信号を印加することによりその可動部分に採りうけたミラーを高速に回転させるよう構成されている。
つまり、ガルバノメータコントローラ1224より、ガルバノメータに対して駆動信号が印加され、該駆動信号により矢印1222方向に高速に回転することで、基準光の光路長が、生体組織の深さ方向の検査範囲に相当する光路長だけ高速に変化することとなる。この光路差の変化の一周期が一ライン分の干渉光を取得する周期となる。
一方、1軸ステージ1220は光プローブ1201を交換した場合に、光プローブの光路長のバラツキを吸収できるだけの光路長の可変範囲を有する第2の光路長変化手段を形成する。さらに、1軸ステージ1220はオフセットを調整する調整手段としての機能も備えている。例えば、光プローブ1201の先端が生体組織の表面に密着していない場合でも、1軸ステージ1220により光路長を微小変化させることにより、生体組織の表面位置から干渉する状態に設定することが可能となる。
光路長の可変機構1216で光路長が変えられた光は第2のシングルモードファイバ1229の途中に設けた光カップラ部1208で第1のシングルモードファイバ1538側から漏れた光と混合されて、フォトダイオード1210にて受光される。
フォトダイオード1210にて受光された光は光電変換され、アンプ1211により増幅された後、復調器1212に入力される。この復調器1212では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力はA/D変換器1213に入力される。
A/D変換器1213では、干渉光信号を200ポイント分サンプリングして1ラインのデジタルデータ(干渉光データ)を生成する。サンプリング周波数は、光路長の1走査の時間を200で除した値である。
A/D変換器1213で生成されたライン単位の干渉光データは、信号処理部1214に入力される。この信号処理部1214では深度方向の干渉光データをビデオ信号に変換することにより、血管内の各位置での断面画像を形成し、所定のフレームレートでLCDモニタ1227に出力する。
なお、信号処理部1214は位置制御装置1226と接続されている。信号処理部1214は位置制御装置1226を介して1軸ステージ1220の位置の制御を行う。また、信号処理部1214はモータ制御回路1225と接続され、ラジアル走査モータ1205の回転駆動を制御する。
また、信号処理部1214は、参照ミラー(ガルバノメータミラー)の光路長の走査を制御するガルバノメータコントローラ1224と接続され、ガルバノメータコントローラ1224は信号処理部1214へ駆動信号を出力し、モータ制御装置1225はこの駆動信号に基づいてガルバノメータコントローラ1224と同期をとる。
4.カテーテル部の構成
カテーテル部101の全体構成は、上記第1の実施形態において説明した血管内超音波診断装置のカテーテル部の構成と同じであるため説明は省略し、カテーテル部101の先端部の構成の相違点について、図13を用いて説明する。
図13は、本実施形態にかかる光干渉断層診断装置1200のカテーテル部101の先端部の構成を示す図である。
図13において、カテーテルシース301の管腔内部には、低干渉性光を照射/受光する光プローブ1301が設けられている。光プローブ1301は、側方照射のためのプリズムまたはミラー1301bが設けられている。光プローブ1301は、プリズムまたはミラー1301bとそれを保持するハウジング1301aからなり、プリズムまたはミラー1301bより体腔内組織にむけて低干渉性光が照射されるとともに、当該プリズムまたはミラー1301bにて体腔内からの反射光を受ける。
また、駆動シャフト402の内部には、光ファイバが配され、ハウジング1301aからコネクタ部1202まで伸びている。なお、本実施形態における光干渉断層診断装置においては、事前の生理食塩水の注入(プライミング作業)は必ずしも必要でないため、カテーテルシース301の先端部とガイドワイヤルーメン303との境界部に形成されるプライミング用の排出口405はなくても良い。
5.信号処理部1214における処理
光プローブ1201が所定の回転速度で回転を開始すると、図14に示すフローチャートが開始する。
図14は、光プローブ1201が回転開始した場合の、信号処理部1214における処理の流れを示すフローチャートである。
スキャン開始ボタン823の押圧信号を受けて処理が開始されると、ステップS1401では、移動方向検出器1230の出力信号に基づいて光プローブ1201の軸方向移動があったか否かを判定する。軸方向移動がないと判定された場合には、軸方向移動が検知されるまで待機する。
ステップS1401において、軸方向移動があったと判定された場合には、ステップS1402に進む。ステップS1402では、当該軸方向移動が、体腔内の末梢方向への動作であるか否かを判定する。体腔内の末梢方向への動作ではない(つまり、末梢方向と反対方向の手元側への動作である)と判定された場合には、ステップS1401に戻る。
一方、当該軸方向移動が、体腔内の末梢方向への動作であると判定された場合には、ステップS1403に進む。ステップS1403では、光プローブ1201の回転速度が規定値以上であるか否かを判定する。光プローブ1201の回転速度は、スキャン開始ボタン823押圧前に操作パネル112を介して設定された設定値を参照することにより判定される(あるいは、エンコーダ部1206の出力より回転速度の実測値を算出し、該実測値に基づいて判定してもよい)。なお、規定値としては、例えば1800rpmが設定されているものとする。
ステップS1403において、光プローブ1201の回転速度が規定値を超えていないと判定された場合には、ステップS1405へ進む。一方、回転速度が規定値以上であると判定された場合、すなわち、回転速度の設定値が高速(例えば、3600rpm)に設定されていた場合には、ステップS1404に進み、規定値以下になるよう減速指示をモータ制御回路1225を介して回転駆動装置1204に送信する。回転駆動装置1204では、当該減速指示を受けて、光プローブ1201の回転速度が規定値以下になるように制御する。
ステップS1405では、操作パネル112上の操作ボタンが押下されたか否かを判定する。ステップS1405において操作ボタンが押下されていないと判定された場合には、押下されるまで待機する。一方、操作ボタンが押下されたと判定された場合には、図14に示す処理を終了する。
ステップS1405において、例えば、前進ボタン821が押下された場合には、再度末梢方向への動作を行う。また、後退ボタン822が押下された場合には、末梢方向と反対方向への動作を行う。更に、スキャン開始ボタン823が押下された場合には、予め設定された回転速度(規定値以上の回転速度)に戻る。また、スキャン停止ボタン824が押下されると、規定値以下の回転速度で回転中の光プローブ1201の回転が停止する。
なお、上記説明において、ステップS1404では、信号処理部1214は回転速度を規定値以下にするためのの減速指示を回転駆動装置1204に送信することとしたが、本発明は特にこれに限られず、回転を停止するための停止指示を送信するようにしてもよい。
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる光干渉断層診断装置によれば、プローブのラジアル走査における回転速度を高速化した場合であっても、カテーテル破損の恐れのある末梢方向への動作が行われた際には、回転速度をカテーテル破損の恐れのない速度まで減速(または停止)することとしたため、カテーテル破損を回避させることが可能となる。
[第3の実施形態]
上記第2の実施形態では、光干渉断層診断装置に適用した場合について説明したが、本発明は、これに限られず波長掃引利用の光干渉断層診断装置に適用しても良い。以下、波長掃引利用の光干渉断層診断装置に適用した場合について説明する。
1.波長掃引利用の光干渉断層診断装置の測定原理
はじめに波長掃引利用の光干渉断層診断装置の測定原理について簡単に説明する。なお、波長掃引利用の光干渉断層診断装置は、上記第3の実施形態において説明した光干渉断層診断装置の測定原理(図10、図11)と光干渉を利用する点において基本的に同じである。そこで、ここでは光干渉断層診断装置との相違点を中心に説明する。
光干渉断層診断装置との測定原理上の相違点は光源にあり、第1にコヒーレント長が異なる。つまり、光干渉断層診断装置の光源は、コヒーレント長が10μm〜20μm程度の低干渉性光を用いるのに対して、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の光源には、コヒーレント長が4〜10mm程度のものが用いられる。
これは、光干渉断層診断装置の場合、生体組織の深さ方向の検査範囲は、参照ミラーの可動範囲に依存するのに対して、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、生体組織の深さ方向の検査範囲は、コヒーレント長に依存するからである。そして、血管等の生体組織の深さ方向の全範囲を網羅するために、波長掃引利用の光干渉断層診断装置では、コヒーレント長の比較的長い光源が用いられる。
光源の第2の相違点は、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、異なる波長を持つ光が連続的に照射される点にある。
上記第2の実施形態にかかる光干渉断層診断装置の場合、生体組織の深さ方向の各点からの反射光の抽出は、参照ミラーの移動により実現し、測定対象の深さ方向の分解能は、照射する光のコヒーレント長に依存していた。
これに対して、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、連続的に波長を変化させた光を照射し、生体組織の深さ方向の各点からの反射光の強度は、干渉光の周波数成分の違いに基づいて行うことを特徴としている。
一般的に、掃引する光の周波数(波長の逆数)を下式(式1)に示す時間関数として考えると、干渉光の強度は下式(式2)に示す時間関数として表現できる。このとき、Δxは参照光と対象光の光路差を示し、Δfは単位時間における周波数の変化率を示すものである。また、A、B、Cは定数を示す。
(式1)f(t)=fα+Δft
(式2)I(t)=A+Bcos(CΔx(fα+Δft))
式2からわかるように、干渉光強度I(t)の時間変化の周波数成分は光路差Δxと波長掃引の周波数変化Δfで表される。したがって、干渉光の周波数成分がわかれば、光路差ごとの干渉光強度がわかることになる。
これにより、1ライン分の信号を取得するのに要する時間が短くなり、また、描出深度を深くすることができる。
図15は、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の基本原理を示す図である。同図において光源1501は、Swept Laserである。
光源1501より順次出力された異なる周波数を有する光は、ビームスプリッタ1504で分割され、それぞれを参照ミラー1502と測定対象1503に向かう。このとき測定対象1503側から戻ってくる反射光には、物体表面での反射光や、物体内部の浅い位置で反射した光、物体内部の深部で反射した光など様々な位置からの反射光が含まれる。
上述のように、検出器1505において、観測された干渉光を周波数分解することで、測定対象の深さ方向の特定の位置での構造情報を可視化することが可能となる。この結果、断面画像を形成することができる。
なお、光源1501より出力される光は、コヒーレント長が4〜10mm程度あるため、測定対象の深さ方向の検査範囲が全て網羅できるため、参照ミラーを動作させる必要は無く、参照ミラー1502は一定の距離に固定して配されることとなる。
このように参照ミラーを機械的に動かす必要がないので、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、光干渉断層診断装置と比べて1ライン分の信号を取得するのに要する時間が短くなり、フレームレートを上げることができる。光干渉断層診断装置における最大フレームレートが15fr/sであるのに対し、波長掃引利用の光干渉断層診断装置のフレームレートは30〜200fr/s程度である。
もともと光干渉断層診断装置や波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、血球成分への光の吸収を避け、良好な画像を取得するために、診断時には血液を排除しなければならない。このため、フレームレートが低いと血液を排除しておく時間を長くしなければならず、臨床上問題がある。これに対して、波長掃引利用の光干渉断層診断装置の場合、数秒間の血液排除で血管の軸方向に30mm以上の画像を取得することができるため、臨床上の問題を低減させることができるというメリットがある。
2.波長掃引利用の光干渉断層診断装置の機能構成
図16は、波長掃引利用の光干渉断層診断装置1600の機能構成を示す図である。以下、上記第3の実施形態において図12を用いて説明した光干渉断層診断装置との相違点を中心に説明する。
1608は光源であり、Swept Laserが用いられる。Swept Laser1608は、SOA1616(semiconductor optical amplifier)とリング状に結合された光ファイバ2217とポリゴンスキャニングフィルタ(1608b)よりなる、Extended−cavity Laserの一種である。
SOA1616から出力された光が、光ファイバ1617を進み、ポリゴンスキャニングフィルタ1608bに入り、ここで波長選択された光が、SOA1616で増幅され、最終的にcoupler1614から出力される。
ポリゴンスキャニングフィルタ1608bは、光を分光する回折格子1612とポリゴンミラー1609との組み合わせで波長を選択する。回折格子1612により分光された光を2枚のレンズ(1610、1611)によりポリゴンミラー1609の表面に集光させる。これによりポリゴンミラー1609と直交する波長の光のみ同一の光路を戻り、ポリゴンスキャニングフィルタ1608bから出力されるため、ミラーを回転させることで、波長の時間掃引を行う。
ポリゴンミラー1609は、例えば、32面体のミラーが使用され、回転数が50000rpm程度である。ポリゴンミラー1609と回折格子1612とを組み合わせたユニークな波長掃引方式により、高速、高出力の波長掃引が可能である。
Coupler1614から出力されたSwept Laser1608の光は、第1のシングルモードファイバ1630の一端に入射され、先端面側に伝送される。第1のシングルモードファイバ1630は、途中の光カップラ部1626で第2のシングルモードファイバ1631と光学的に結合されている。従って、この光カップラ部1626で2つに分岐されて伝送される。
第1のシングルモードファイバ1630の光カップラ部1626より先端側には、非回転部と回転部との間を結合し、光を伝送する光ロータリジョイント1603が設けられている。
更に、光ロータリジョイント1603内の第3のシングルモードファイバ1632の先端には、光プローブ1601のコネクタ部1602が着脱自在に接続されている。これにより光プローブ1601内に挿通され回転駆動可能な第4のシングルモードファイバ1633に、光源1608からの光が伝送される。
伝送された光は、光プローブ1601の先端側から体腔内の生体組織側にラジアル走査しながら照射される。そして、生体組織側の表面あるいは内部で散乱した反射光の一部に光プローブ1601により取り込まれ、逆の光路を経て第1のシングルモードファイバ1630側に戻る。さらに、光カップラ部1626によりその一部が第2のシングルモードファイバ1631側に移り、第2のシングルモードファイバ1631の一端から光検出器(例えばフォトダイオード1619)に入射される。なお、光ロータリジョイント1603の回転部側は回転駆動装置1604のラジアル走査モータ1605により回転駆動される。また、ラジアル走査モータ1605の回転角度は、エンコーダ部1606により検出される。更に、光ロータリジョイント1603は、直線駆動装置1607を備え、信号処理部1623からの指示に基づいて、カテーテル部101の挿入方向(軸方向)の動作を規定している。軸方向移動は、信号処理部1623からの制御信号に基づいて、直線駆動モータ1634が動作することにより実現される。また、軸方向移動の動作方向(体腔内の末梢方向またはその反対方向)は、移動方向検出器1635により検出され、検出結果は信号処理部1623に入力される。
なお、ラジアル走査モータ1605と直線駆動モータ1634とは着脱可能に接続されていても、一体的に構成されていてもよい。また、直線駆動モータ1634による軸方向移動は、ボールネジ等により実現することができる。また、移動方向検出器1635は、例えば直線駆動モータ1634にエンコーダを取り付けることにより実現できる。すなわち、直線駆動モータ1634の回転方向を検出することにより軸方向移動の動作方向を検出することができる。
また、第2のシングルモードファイバ1631の光カップラ部1626より先端側には、基準光の光路長を微調整する光路長の可変機構1625が設けてある。
この光路長の可変機構1625は光プローブを交換して使用した場合の個々の光プローブの長さのばらつきを吸収できるように、その長さのバラツキに相当する光路長を変化させる光路長変化手段を備えている。
第2のシングルモードファイバ1631およびコリメートレンズ1626は、その光軸方向に矢印1633で示すように移動自在な1軸ステージ1632上に設けられ、光路長変化手段を形成している。
具体的には、1軸ステージ1632は光プローブ1601を交換した場合に、光プローブの光路長のバラツキを吸収できるだけの光路長の可変範囲を有する光路長変化手段を形成する。さらに、1軸ステージ1632はオフセットを調整する調整手段としての機能も備えている。例えば、光プローブ1601の先端が生体組織の表面に密着していない場合でも、1軸ステージにより光路長を微小変化させることにより、生体組織の表面位置から干渉する状態に設定することが可能となる。
光路長の可変機構1625で光路長が微調整された光は第2のシングルモードファイバ1631の途中に設けた光カップラ部1626で第1のシングルモードファイバ1626側から漏れた光と混合されて、フォトダイオード1619にて受光される。
フォトダイオード1619にて受光された光は光電変換され、アンプ1620により増幅された後、復調器1621に入力される。この復調器1621では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力はA/D変換器1622に入力される。
A/D変換器1622では、干渉光信号を180MHzで2048ポイント分サンプリングして、1ラインのデジタルデータ(干渉光データ)を生成する。なお、サンプリング周波数を180MHzとしたのは、波長掃引の繰り返し周波数を40kHzにした場合に、波長掃引の周期(12.5μsec)の90%程度を2048点のデジタルデータとして抽出することを前提としたものであり、特にこれに限定されるものではない。
A/D変換器1622にて生成されたライン単位の干渉光データは、信号処理部1623に入力される。この信号処理部1623では干渉光データをFFT(高速フーリエ変換)により周波数分解して深さ方向のデータを生成し、これを座標変換することにより、血管内の各位置での断面画像を形成し、所定のフレームレートでLCDモニタ1627に出力する。
なお、信号処理部1623は位置制御装置1634と接続されている。信号処理部1623は位置制御装置1634を介して1軸ステージ1632の位置の制御を行う。また、信号処理部1623はモータ制御回路1624と接続され、断面画像を形成する際のビデオ同期信号に同期して内部のメモリに該断面画像を格納する。
また、このモータ制御回路1624のビデオ同期信号は、回転駆動装置1604にも送られ、回転駆動装置1604はビデオ同期信号に同期した駆動信号を出力する。
3.カテーテル部の構成
カテーテル部101の全体構成ならびに先端部の構成は、上記第2の実施形態において図13を用いて説明した光干渉断層診断装置のカテーテル部と同様であるため、ここでは説明を省略する。
4.信号処理部1623における処理
光プローブ1601が所定の回転速度で回転を開始すると、図17に示すフローチャートが開始する。
図17は、光プローブ1601が回転開始した場合の、信号処理部1623における処理の流れを示すフローチャートである。
スキャン開始ボタン823の押圧信号を受けて処理が開始されると、ステップS1701では、移動方向検出器1635の出力信号に基づいて光プローブ1601の軸方向移動があったか否かを判定する。軸方向移動がないと判定された場合には、軸方向移動が検知されるまで待機する。
ステップS1701において、軸方向移動があったと判定された場合には、ステップS1702に進む。ステップS1702では、当該軸方向移動が、体腔内の末梢方向への動作であるか否かを判定する。体腔内の末梢方向への動作ではない(つまり、末梢方向と反対方向の手元側への動作である)と判定された場合には、ステップS1701に戻る。
一方、当該軸方向移動が、体腔内の末梢方向への動作であると判定された場合には、ステップS1703に進む。ステップS1703では、光プローブ1601の回転速度が規定値以上であるか否かを判定する。光プローブ1601の回転速度は、スキャン開始ボタン823押圧前に操作パネル112を介して設定された回転速度の設定値を参照することにより判定される(あるいは、エンコーダ部1606の出力より回転速度の実測値を算出し、該実測値に基づいて判定してもよい)。なお、規定値としては、例えば1800rpmが設定されているものとする。
ステップS1703において、光プローブ1601の回転速度が規定値を超えていないと判定された場合には、ステップS1705に進む。一方、回転速度が規定値以上であると判定された場合、すなわち、回転速度の設定値が高速(例えば、3600rpm)に設定されていた場合には、ステップS1704に進み、規定値以下になるよう減速指示をモータ制御回路1624を介して回転駆動装置1604に送信する。回転駆動装置1604では、当該減速指示を受けて、光プローブ1601の回転速度が規定値以下になるように制御する。
ステップS1705では、操作パネル112上の操作ボタンが押下されたか否かを判定する。ステップS1705において操作ボタンが押下されていないと判定された場合には、押下されるまで待機する。一方、操作ボタンが押下されたと判定された場合には、図17に示す処理を終了する。
ステップS1705において、例えば、前進ボタン821が押下された場合には、再度末梢方向への動作を行う。また、後退ボタン822が押下された場合には、末梢方向と反対方向への動作を行う。更に、スキャン開始ボタン823が押下された場合には、予め設定された回転速度(規定値以上の回転速度)に戻る。また、スキャン停止ボタン824が押下されると、規定値以下の回転速度で回転中の光プローブ1601の回転が停止する。
なお、上記説明において、ステップS1704では、信号処理部1623は回転速度を規定値以下にするための減速指示を回転駆動装置1604に送信することとしたが、本発明は特にこれに限られず、回転を停止するための停止指示を送信するようにしてもよい。
以上の説明から明らかなように、本実施形態にかかる波長掃引利用の光干渉断層診断装置によれば、プローブのラジアル走査における回転速度を高速化した場合であっても、カテーテル破損の恐れのある末梢方向への動作が行われた際には、回転速度をカテーテル破損の恐れのない速度まで減速(または停止)することとしたため、カテーテル破損を回避させることが可能となる。
血管内超音波診断装置の外観構成を示す図である。 血管内超音波診断装置の機能構成を示す図である。 血管内超音波診断装置のカテーテル部の全体構成を示す図である。 血管内超音波診断装置のカテーテル部の先端部の構成を示す図である。 カテーテル部において駆動シャフトをカテーテルシースに対して相対的にスライドさせた様子を示す図である。 血管内超音波診断時のカテーテル部の動作を説明するための模式図である。 超音波振動子が回転開始した場合の、信号処理部における処理の流れを示すフローチャートである。 操作パネルの構成を示す図である。 プローブを高速回転させた場合の問題点を表した図である。 光干渉断層診断装置の測定原理を説明するための図である。 光干渉断層診断装置の基本原理を説明するための図である。 光干渉断層診断装置の機能構成を示す図である。 光干渉断層診断装置のカテーテル部の先端部の構成を示す図である。 光プローブが回転開始した場合の、信号処理部における処理の流れを示すフローチャートである。 波長掃引利用の光干渉断層診断装置の基本原理を示す図である。 波長掃引利用の光干渉断層診断装置の機能構成を示す図である。 光プローブが回転開始した場合の、信号処理部における処理の流れを示すフローチャートである。

Claims (11)

  1. 信号の送受信を繰り返すプローブを接続し、該プローブを体腔内において回転走査及び軸方向移動走査させることで、該プローブより体腔内での反射信号を取得し、該取得した反射信号に基づいて該体腔内の断面画像を形成・出力する画像診断装置であって、
    前記プローブの軸方向移動走査における動作方向を検出する検出手段と、
    前記プローブの回転走査における回転速度を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、
    前記検出手段において、体腔内の末梢方向に動作したことが検出された場合に、前記プローブの回転速度を変更するか否かを判断する判断手段を更に備え、該判断手段において変更すると判断された場合に、前記プローブの回転速度を変更することを特徴とする画像診断装置。
  2. 前記制御手段は、前記判断手段において前記プローブの回転速度を変更すると判断された場合に、前記プローブの回転を減速させることを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
  3. 前記制御手段は、前記判断手段において前記プローブの回転速度を変更すると判断された場合に、前記プローブの回転を停止させることを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
  4. 前記判断手段は、前記検出手段において体腔内の末梢方向に動作したことが検出された場合であって、検出時の回転速度が規定値以上であった場合に、前記プローブの回転速度を変更すると判断することを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
  5. 前記制御手段は、前記プローブの回転速度を少なくとも前記規定値以下に減速させることを特徴とする請求項4に記載の画像診断装置。
  6. 前記制御手段は、前記プローブの回転を停止させることを特徴とする請求項4に記載の画像診断装置。
  7. 前記プローブは光を出力する光源に接続され、該光の送受信が可能であり、該プローブより取得された体腔内での反射光と、該光源より出力され光学ミラーにおいて反射された反射光との干渉光に基づいて前記体腔内の断面画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
  8. 前記プローブは超音波振動子を備え、超音波の送受信が可能であり、前記反射信号は超音波信号であることを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
  9. 信号の送受信を繰り返すプローブを接続し、該プローブを体腔内において回転走査及び軸方向移動走査させることで、該プローブより体腔内での反射信号を取得し、該取得した反射信号に基づいて該体腔内の断面画像を形成・出力する画像診断装置における情報処理方法であって、
    前記プローブの軸方向移動走査における動作方向を検出する検出工程と、
    前記検出工程において体腔内の末梢方向に動作したことが検出された場合に、前記プローブの回転速度を変更するか否かを判断する判断工程と、
    前記プローブのラジアル走査における回転速度を制御する制御工程と、を備え、
    前記制御工程は、
    前記判断工程において変更すると判断された場合に、前記プローブの回転速度を変更することを特徴とする情報処理方法。
  10. 請求項9に記載の情報処理方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラムを格納した記憶媒体。
  11. 請求項9に記載の情報処理方法をコンピュータによって実現させるための制御プログラム。
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