以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明の一実施形態の組付状態解除阻止機構としてのロック機構11が採用された組付構造物としての遊技機用基板ケース10が示されている。この遊技機用基板ケース10は、第一の構成部材としてのケース本体12に対して第二の構成部材としての蓋部材14が組み付けられた構造とされており、これらケース本体12と蓋部材14の組付状態の解除がロック機構11によって阻止されて、その内部に制御基板16を収容した状態で、図示しない遊技機の裏側の適当な位置に取り付けられるようになっている。
より詳細には、ケース本体12は、ポリカーボネート(PC)等の透明な硬質の合成樹脂材料によって形成されており、図2乃至4に示されているように、全体として、底板18の外周縁部に沿って全周に亘って延びる周壁20が立設されて、上側に開口する開口部22が形成された構造とされている。
そこにおいて、本実施形態では、ケース本体12の長手方向(図2における左右方向)で対向位置せしめられた一対の長手方向対向壁部24,24のそれぞれに対して、上方に開口して長手方向対向壁部24の長手方向となるケース本体12の幅方向(図2における上下方向)に延びるガイド溝26が形成されている。
また、ケース本体12の幅方向一方(図2における下方)の側壁部には、複数(本実施形態では、八つ)の第二の筒部としてのケース側筒部28が一体形成されている。特に、本実施形態では、これら八つのケース側筒部28は、ケース本体12の長手方向中央を挟んで、長手方向一方の側と他方の側に、四つずつまとまって一つのグループを構成するようにして位置せしめられている。
そこにおいて、本実施形態では、各ケース側筒部28は有底円筒形状とされており、その周壁部分が、ケース本体12の幅方向一方の側壁部に対して、取付片30によって取り付けられている。これにより、各ケース側筒部28がケース本体12の外周縁部としての周壁20に対して一体形成されているのである。
また、本実施形態では、各ケース側筒部28の開口方向、即ち、各ケース側筒部28の中心軸線が延びる方向は、ケース本体12の開口部22の開口方向、即ち、底板18に対して略直交する方向に対して略平行とされている。
更にまた、本実施形態では、各ケース側筒部28の上方において、U字断面でケース側筒部28の開口方向(軸方向)に延びる下段収容部32が一体形成されている。そして、下段収容部32の底壁に形成された連通孔を通じて、下段収容部32内とケース側筒部28内が相互に連通せしめられている。
また、本実施形態では、各下段収容部32の上方において、コ字状断面でケース側筒部28の軸方向に延びる上段収容部34が一体形成されている。そして、上段収容部34の底壁に形成された切欠によって、上段収容部34内と下段収容部32内が相互に連通せしめられている。なお、本実施形態では、隣り合う二つの上段収容部34,34は、隣り合う方向に位置する側壁部、即ち、ケース本体12の幅方向に延びる側壁部を共有している。
このような構造とされたケース本体12に組み付けられる蓋部材14は、ケース本体12と同様に、ポリカーボネート(PC)等の透明な硬質の合成樹脂材料によって形成されており、図5乃至7に示されているように、全体として、天板36の外周縁部に沿って延びる周壁37が立設されて、下側に開口する開口部が形成された構造とされている。なお、本実施形態の天板36は、その幅方向(図5中の上下方向)中間部分において傾斜部分が設けられており、それによって、幅方向の両端において天板36から開口端までの距離が異ならされている。
また、蓋部材14の幅方向一方の側壁部には、複数(本実施形態では、八つ)の第一の筒部としての蓋側筒部38が一体形成されている。特に、本実施形態では、これら八つの蓋側筒部38は、蓋部材14の長手方向中央を挟んで、長手方向一方の側と他方の側に、四つずつまとまって一つのグループを構成するようにして位置せしめられている。
そこにおいて、本実施形態では、各蓋側筒部38は、矩形断面で開口する枠体乃至は筒体形状とされた上側収容部40の底壁に対して略一定の断面でストレートに延びる円筒形状とされた下側収容部42が同一中心軸上で軸方向下方に突設された構造とされており、これら上側収容部40と下側収容部42は、上側収容部40の底壁に形成された連通孔を通じて、相互に連通せしめられている。
特に、本実施形態では、各蓋側筒部38の開口方向(各蓋側筒部38の中心軸線が延びる方向)、即ち、上側収容部40と下側収容部42の開口方向(上側収容部40と下側収容部42の中心軸線が延びる方向)が、蓋部材14の開口方向、即ち、天板36に略直交する方向に対して略平行とされている。
このような構造とされた蓋側筒部38は、上側収容部40が一対の取付片44,44によって蓋部材14における幅方向一方の側壁部に取り付けられている。これにより、各蓋側筒部38が蓋部材14の外周縁部としての周壁37に対して一体形成されているのである。
続いて、上述の如き構造とされた蓋部材14を、ケース本体12に対して組み付ける方法について、説明する。先ず、蓋部材14の長手方向(図5における左右方向)で対向位置せしめられる一対の長手方向対向壁部46,46を、ケース本体12の長手方向両端に形成された一対のガイド溝26,26に嵌め入れる。その際、図8に示されているように、ケース本体12における各ガイド溝26内に設けられた係止片48,48は、蓋部材14における各長手方向対向壁部46に形成された係止用切欠50,50内に収容位置せしめられるようになっている。なお、本実施形態の係止片48,48は、それぞれ、各ガイド溝26の側壁部分に対して一体的に設けられている。
そこにおいて、本実施形態では、上述の如く、蓋部材14における一対の長手方向対向壁部46,46がケース本体12における一対のガイド溝26,26に嵌め入れられた状態で、ケース本体12の底板18と蓋部材14における天板36は、天板36における傾斜部分を除いて略平行とされている。
また、図面上では明示されていないが、本実施形態では、上述の如く、ケース本体12に設けられたガイド溝26,26に対して蓋部材14における長手方向対向壁部46,46を嵌め入れる前において、制御基板16は、そこに実装されているコネクタ52が蓋部材14に形成された窓54から外部に突出した状態で、蓋部材14に対してネジ止めされるようになっている。
なお、制御基板16は、所定の検査機関による検査の対象となる制御基板(具体的には、例えば、遊技機の作動を全体的に制御する主制御基板や、かかる主制御基板からの制御信号に基づいて賞媒体の払い出しを制御する払出制御基板)等である。
そして、上述の如き状態から係止片48,48が係止用切欠50,50に係止される方向、即ち、ケース本体12の開口部22を蓋部材14で覆蓋する方向(蓋を閉める方向)へと蓋部材14をケース本体12に対してスライド変位せしめることにより、図9に示されているように、係止片48,48が係止用切欠50,50に係止されるようになっている。因みに、本実施形態では、蓋部材14をケース本体12に対してスライド変位せしめる際において、天板36が底板18に対して平行移動せしめられるようになっている。
そして、上述の如く、蓋部材14がケース本体12に対してスライド変位せしめられることにより、ケース本体12に対して蓋部材14が組み付けられた状態となって、図1に示されているように、ケース本体12の開口部22が蓋部材14で覆蓋されることとなる。その結果、蓋部材14にネジ止めされた制御基板16が開口部22を通じてケース本体12に入れられることとなる。
なお、本実施形態では、上述の如く、ケース本体12の開口部22が蓋部材14で覆蓋された状態で、図1に示されているように、ケース本体12の幅方向他方の側壁部に形成された突起56が、蓋部材14における幅方向他方の側壁部に形成された挿通孔58に嵌め入れられるようになっている。
また、上述の如く、蓋部材14をケース本体12に対してスライド変位せしめることにより、図10に示されているように、蓋側筒部38における下側収容部42がケース側筒部28の上方に設けられた下段収容部32内に位置せしめられると共に、蓋側筒部38における上側収容部40が下段収容部32の上方に形成された上段収容部34内に位置せしめられるようになっている。
これにより、ケース本体12に対して蓋部材14が組み付けられた状態で、蓋側筒部38とケース側筒部28が、同一中心軸上に位置せしめられるようになっている。即ち、蓋部材14においてケース側筒部28に対応する位置に蓋側筒部38が設けられているのである。
そして、上述の如く、蓋側筒部38とケース側筒部28が同一中心軸線上に位置せしめられることにより、蓋側筒部38の内部空間39とケース側筒部28の内部空間27が後述するスプリングピン60の挿入を許容する位置にあることとなる。即ち、本実施形態では、ケース本体12に対して蓋部材14が組み付けられた状態で、蓋側筒部38とケース側筒部28が同一中心軸上に位置せしめられることにより、蓋側筒部38の内部空間39とケース側筒部28の内部空間27が繋がった状態とされているのである。
なお、本実施形態では、上述の如く、蓋側筒部38とケース側筒部28が同一中心軸線上に位置せしめられた状態で、蓋側筒部38における下側収容部42の下端面と下段収容部32の底面33との間には、隙間が形成されている。
また、本実施形態では、上述の如く、底板18に対して天板36が平行移動するようにして、蓋部材14がケース本体12に対してスライド変位せしめられることにより、蓋部材14がケース本体12に対して脱着されるようになっていることから、蓋部材14がケース本体12に対して組み付けられた状態で、蓋側筒部38とケース側筒部28の並ぶ方向、即ち、蓋側筒部38とケース側筒部28に共通の中心軸線が延びる方向が、蓋部材14のケース本体12に対するスライド方向に交差していることとなる。
そして、上述の如く、同一中心軸上に位置せしめられたケース側筒部28と蓋側筒部38に対して、スプリングピン60が嵌め入れられるようになっている。そこにおいて、本実施形態のスプリングピン60は、鉄鋼やばね鋼,ばね用ステンレス鋼等で形成されており、図11及び図12に示されているように、周方向の一部において軸方向に蛇行しながら延びる切り込み62が形成された筒形状とされている。なお、このようなスプリングピン60は、例えば、長手方向両端が鋸歯状に形成された板材を適当な機械や工具を用いて丸めること等によって、有利に形成される。また、本実施形態のスプリングピン60は、その軸方向両端の外側角部に対して、全周に亘って角取りが施されている。これにより、軸方向両端の何れの側からであっても、スプリングピン60のケース側筒部28と蓋側筒部38への嵌め入れが有利に行われるようになっている。
また、本実施形態では、このようなスプリングピン60に対して組付ピン64が取り付けられている。この組付ピン64は、ABS等の合成樹脂材によって形成されており、図13及び図14に示されているように、全体として矩形平板形状とされた板状片66の中央部分から厚さ方向一方の側に突出する挿入突起としての挿入軸68が一体形成された構造とされている。
なお、本実施形態では、板状片66の長手方向両端の下側角部に対して板状片66の幅方向全長に亘って角取りが施されている。これにより、後述する板状片66の上側収容部40内における上側開口から底壁への移動を有利に行うことが可能となる。
このような構造とされた組付ピン64は、図15に示されているように、スプリングピン60の軸方向一端61から挿入軸68が挿入されて固定されることにより、スプリングピン60に対して組み付けられている。このことから明らかなように、本実施形態では、スプリングピン60の軸方向一端61が先行端部とは反対側の端部とされているのである。
そこにおいて、本実施形態では、スプリングピン60に対して組付ピン64が組み付けられた状態で、組付ピン64における挿入軸68は、その突出端65がスプリングピン60内に位置せしめられた状態とされている。換言すると、スプリングピン60に対して軸方向一端61の開口から挿し込まれた挿入軸68の先端部としての突出端65は、スプリングピン60における軸方向他端63の開口から軸方向外方に突出しないようになっているのである。
また、図面上では明示されていないが、本実施形態では、上述の如く、スプリングピン60に組付ピン64が組み付けられた状態で、スプリングピン60の軸方向上方(組付ピン64が組み付けられた側)から見ると、組付ピン64における板状片66によって、スプリングピン60が覆い隠されるようになっている。
そして、上述の如く、組付ピン64が組み付けられたスプリングピン60は、図16に示されているように、組付ピン64が取り付けられていない軸方向他端63側から蓋側筒部38に挿入されて、蓋側筒部38に嵌められるようになっている。即ち、スプリングピン60を蓋側筒部38においてケース側筒部28とは反対側の開口から挿入して蓋側筒部38に嵌めるようになっているのである。また、このことから明らかなように、本実施形態では、スプリングピン60における軸方向他端63が先行端部とされている。
また、上述の如くスプリングピン60が蓋側筒部38に挿入された状態下において、本実施形態では、スプリングピン60の軸方向一端61、即ち、スプリングピン60において組付ピン64が組み付けられたほうの端は、蓋側筒部38における上側収容部40内に位置せしめられている。また、スプリングピン60の軸方向一端61側に組み付けられた組付ピン64における板状片66は、蓋側筒部38における上側収容部40に収容位置せしめられている。
そこにおいて、本実施形態では、板状片66が上側収容部40に収容位置せしめられた状態で、板状片66の上面67、即ち、板状片66における挿入軸68が突出しているほうとは反対側の面が、蓋側筒部38における上側収容部40の上端面69、即ち、蓋側筒部38におけるケース側筒部28のほうとは反対側の開口端面と略同じ高さに位置せしめられている。
また、上述の如く、スプリングピン60が蓋側筒部38に嵌め入れられた状態で、スプリングピン60の軸方向他端63は、蓋側筒部38における下側収容部42内に位置せしめられている。このことから明らかなように、スプリングピン60の軸方向他端63と、スプリングピン60に挿通固定された挿入軸68の突出端65は、ケース側筒部28における蓋側筒部38側の開口端面としての下段収容部32の底面33よりも蓋側筒部38側に位置せしめられており、ケース側筒部28の内部空間27内に位置していないのである。
そして、本実施形態では、上述の如く、スプリングピン60が蓋側筒部38に嵌め入れられることにより、スプリングピン60における下側収容部42に嵌め入れられている部分に対して、スプリングピン60を締める力が作用することとなる。これにより、スプリングピン60が元の形状に戻ろうとする力(復元力)が下側収容部42に作用することとなる。その結果、スプリングピン60における下側収容部42に嵌め入れられている部分の外周面が下側収容部42の内周面に押し当てられることとなり、スプリングピン60における下側収容部42に嵌め入れられている部分の外周面と下側収容部42の内周面との間にスプリングピン60の軸方向への変位を妨げる方向に摩擦力が発生することとなる。
従って、本実施形態では、スプリングピン60における下側収容部42に嵌め入れられている部分の外周面と下側収容部42の内周面との間に発生する静止摩擦力に基づいて、上述の如きスプリングピン60の蓋側筒部38への収容状態が実現されるようになっている。
すなわち、本実施形態では、スプリングピン60における下側収容部42に嵌め入れられている部分の外周面と下側収容部42の内周面との間に発生する静止摩擦力により、上述の如く、スプリングピン60が蓋側筒部38に収容されて、その軸方向両端61,63が蓋側筒部38の内部空間39内に位置せしめられると共に、板状片66が蓋側筒部38の内部空間39内に位置せしめられた状態が、ケース本体12と蓋部材14の組付状態の解除を許容する準備状態とされているのである。
そして、上述の如く、スプリングピン60が下側収容部42に嵌め入れられた状態からスプリングピン60を摩擦力に抗して更に嵌め入れることにより、図17に示されているように、スプリングピン60が蓋側筒部38とケース側筒部28とに跨って挿入された状態となり、スプリングピン60の軸方向一端61が蓋側筒部38の内部空間39内に位置せしめられる一方、スプリングピン60の軸方向他端63がケース側筒部28の内部空間27内に位置せしめられることとなる。その結果、ケース本体12に対する蓋部材14の組付状態解除方向としての開蓋方向へのスライド変位が、蓋側筒部38とケース側筒部28とに跨って挿入されたスプリングピン60によって阻止されて、ケース本体12と蓋部材14が固定された固定状態が実現されることとなる。
そこにおいて、本実施形態では、上述の如く、スプリングピン60が蓋側筒部38とケース側筒部28とに跨って挿入された状態で、スプリングピン60における下側収容部42に嵌め入れられている部分だけに対して、スプリングピン60を軸直角方向に締める力が作用するようになっている。即ち、本実施形態では、スプリングピン60の軸方向変位を阻止する摩擦力が、スプリングピン60における下側収容部42に嵌め入れられている部分のみに及ぼされるようになっており、その結果、スプリングピン60が蓋側筒部38(下側収容部42)だけに嵌められて固定されているのである。
また、本実施形態では、図16に示されている状態から更にスプリングピン60を嵌め入れる際において、スプリングピン60に固定された組付ピン64における板状片66の長手方向両端が、上側収容部40における長手方向(図7や図16における左右方向)で対向位置せしめられる一対の対向壁部70,70に対して摺動せしめられるようになっている。
そこにおいて、本実施形態では、一対の対向壁部70,70の対向面間距離が、上側収容部40の上側開口から底壁へと行くに従って次第に短くなるようにされている。これにより、スプリングピン60に固定された組付ピン64における板状片66の長手方向両端は、上側収容部40の底壁側に行くに従って次第に上側収容部40の上側開口側への反りが大きくなるようになっている。
そして、本実施形態では、板状片66が上側収容部40の底壁に到達すると、板状片66の長手方向両端部のそれぞれが、上側収容部40の上側開口側に反った状態から元の状態に戻ると共に、各対向壁部70の底壁付近に形成された開口穴72に入り込むようになっている。その結果、板状片66の長手方向両端部のそれぞれが、各対向壁部70に形成された開口穴72の内周面74(特に、スプリングピン60の挿入方向とは反対側に位置する上側開口側の面)に係止されることにより、組付ピン64の上側収容部40の上側開口側への変位、延いては、スプリングピン60の軸方向上方への変位(抜け方向への変位)が阻止されることとなる。
なお、本実施形態では、スプリングピン60が蓋側筒部38に嵌め入れられて、板状片66の上面67が蓋側筒部38の上端面69と同じ高さに位置せしめられた状態下において、図18に示されているように、板状片66における幅方向両端と上側収容部40との間に隙間が形成されるようになっている。
特に、本実施形態では、図面上では必ずしも明らかではないが、板状片66の上面67が蓋側筒部38(上側収容部40)の上端面69と同じ高さに位置せしめられた状態から板状片66の長手方向両端のそれぞれが開口穴72,72に入り込むまでの間において、板状片66における幅方向両端と上側収容部40との間に隙間が形成されるようになっている。これにより、スプリングピン60が蓋側筒部38とケース側筒部28とに跨って挿入された状態に至るまでの間において、板状片66の長手方向両端のみが上側収容部40の上側開口側に反るようになっている。その結果、スプリングピン60が蓋側筒部38に嵌め入れられた状態からスプリングピン60が蓋側筒部38とケース側筒部28とに跨って挿入された状態に至るまでの抵抗を小さくすることが可能となる。
上述の説明から明らかなように、本実施形態では、本実施形態では、ケース本体12に対して一体形成されたケース側筒部28と、蓋部材14に対して一体形成された蓋側筒部38と、これらケース側筒部28と蓋側筒部38とに跨って挿入されるスプリングピン60と、板状片66と、挿入軸68とを含んで、ロック機構11が構成されている。
また、図面上では明示されていないが、本実施形態では、四つのロック機構11が集まることで構成されたロック機構グループ76のうち、何れか一つのロック機構11においてのみ、図17に示されているように、スプリングピン60がケース側筒部28と蓋側筒部38とに跨って挿入された状態、即ち、組付状態解除阻止機能が発揮された状態とされている一方、その他のロック機構11の全てにおいて、図16に示されているように、スプリングピン60が蓋側筒部38のみに嵌め入れられて、スプリングピン60の軸方向他端63がケース側筒部28の内部空間27内に至っていない状態、即ち、組付状態解除阻止機能が発揮されていない準備状態とされている。
このような構造とされたロック機構11においては、ケース本体12に対して蓋部材14が組み付けられた状態で、ケース本体12に対する蓋部材14のスライド変位方向に交差する方向に延びる中心軸線上に位置せしめられた蓋側筒部38(下側収容部42)とケース側筒部28とに跨って挿入されるスプリングピン60が、蓋側筒部38における下側収容部42に嵌められて固定されていることから、ケース本体12に対する蓋部材14の開蓋方向へのスライド変位がスプリングピン60によって阻止されることとなり、その結果、ケース本体12と蓋部材14の固定状態、延いては、組付状態が実現されるようになっている。
そこにおいて、蓋側筒部38とケース側筒部28とに跨って挿入されるスプリングピン60は、周方向の一部で分断された筒形状とされて、軸直角方向にばね作用を生ぜしめるようになっていることから、スプリングピン60が蓋側筒部38とケース側筒部28とに跨って挿入された状態で、下側収容部42(蓋側筒部38)によって及ぼされる、スプリングピン60を締める力の反力が、下側収容部42(蓋側筒部38)に及ぼされるようになっている。
これにより、スプリングピン60における下側収容部42(蓋側筒部38)に嵌め入れられている部分の外周面と下側収容部42(蓋側筒部38)の内周面との間においてスプリングピン60の軸方向への変位を妨げる方向に作用する摩擦力が発生することとなる。
従って、上述の如き構造とされたロック機構11においては、蓋側筒部38に成形時の寸法誤差があったり、遊技機用基板ケース10の周辺温度の変化に起因して、蓋側筒部38に変形があったとしても、ケース本体12と蓋部材14の安定した固定状態、延いては、組付状態を有利に実現することが可能となり、その結果、ケース本体12に対する蓋部材14の開蓋方向へのスライド変位、即ち、ケース本体12と蓋部材14の組付状態の解除を有利に阻止することが可能となる。
そこにおいて、スプリングピン60が下側収容部42(蓋側筒部38)とケース側筒部28とに跨って挿入された状態で、板状片66の長手方向両端のそれぞれが、開口穴72,72に嵌め込まれるようになっていることから、スプリングピン60が軸方向上方、即ち、挿入方向とは反対側の方向となる抜け方向に変位しようとした場合に、板状片66の長手方向両端のそれぞれが、開口穴72の内周面74に対してスプリングピン60の挿入方向とは反対側の面に係止され得ることとなる。これにより、例えば、ケース側筒部28の底壁に穴を開ける等して、スプリングピン60を挿入方向とは反対の方向に押し戻そうとしても、板状片66の長手方向の各端部が開口穴72の内周面74に対して係止されることにより、スプリングピン60の挿入方向とは反対側の方向への変位を阻止することが可能となる。その結果、ケース本体12と蓋部材14の安定した固定状態、延いては、組付状態を一層有利に実現することが可能となり、ケース本体12と蓋部材14の組付状態の解除を一層有利に阻止することが可能となる。
また、本実施形態では、スプリングピン60に固定された組付ピン64における板状片66をスプリングピン60の軸方向上方から見た場合に、板状片66がスプリングピン60を覆い隠すようになっていることから、スプリングピン60を嵌め入れる際に力を加えることが出来る面積を有利に確保することが可能となり、その結果、スプリングピン60の嵌め入れ作業の作業効率を向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態では、挿入軸68が板状片66の中央部分に突出形成されていることから、スプリングピン60が蓋側筒部38とケース側筒部28とに跨って挿入されるまでの過程における板状片66の長手方向両端の反りを実現することが可能となる。
更にまた、本実施形態では、ケース側筒部28が有底円筒形状とされていることから、ケース側筒部28の底壁に穴を開ける等しない限り、スプリングピン60がケース側筒部28の側から引きぬけないようになっており、しかも、スプリングピン60と蓋側筒部38における下側収容部42との間において、スプリングピン60の引き抜き方向に対して逆らう方向に摩擦力が働くようになっていることから、スプリングピン60の引き抜きを有利に阻止することが可能となり、その結果、ケース本体12と蓋部材14の固定状態、延いては、組付状態の更なる安定化を図ることが可能となり、ケース本体12と蓋部材14の組付状態の解除をより一層有利に阻止することが可能となる。
また、本実施形態では、スプリングピン60が蓋側筒部38だけに嵌め入れられた状態を維持することが、スプリングピン60における下側収容部42に嵌め入れられている部分の外周面と下側収容部42の内周面との間に発生する静止摩擦力に基づいて実現されるようになっていることから、ケース本体12と蓋部材14の組付状態解除阻止機能が発揮されていないロック機構11を構成する蓋側筒部38を巧く利用することにより、ケース本体12と蓋部材14の組付状態解除阻止機能が発揮されていないロック機構11において、これから使用されるスプリングピン60、即ち、これからケース側筒部28と蓋側筒部38とに跨って挿入されるスプリングピン60を有利に配設することが可能となる。その結果、ケース本体12と蓋部材14の組付状態解除阻止機能が発揮されていないロック機構11において将来使用されるスプリングピン60の配設スペースを有利に確保することが可能となる。
そこにおいて、スプリングピン60の準備状態では、スプリングピン60に固定された組付ピン64における板状片66が蓋側筒部38における上側収容部40内に収容されていることから、板状片66を手掛かりにしてスプリングピン60を蓋側筒部38(下側収容部42)から引き抜く不正行為を有利に阻止することが可能となる。
特に、本実施形態では、上述の如きスプリングピン60の準備状態下において、板状片66の上面67が蓋側筒部38の上端面69と同じ高さに位置せしめられていることから、板状片66を手掛かりにしてスプリングピン60を引き抜く不正行為を一層有利に阻止することが可能となる。
また、本実施形態では、スプリングピン60が下側収容部42(蓋側筒部38)のみに対して嵌められて固定されるようになっていることから、蓋側筒部38を蓋部材14の周壁37に連結している取付片44,44をニッパー等で切断することにより、蓋側筒部38を蓋部材14から分離するだけで、スプリングピン60をケース側筒部28から容易に抜き取ることが可能となる。その結果、ロック機構11が破壊された痕跡を残しつつ、遊技機用基板ケース10の開蓋作業を速やかに行うことが可能となる。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記実施形態におけるスプリングピン60の軸方向端部外側の角部に対する角取りは、必ずしも必要なものではない。また、前記実施形態における下段収容部32と上段収容部34は、必ずしも必要なものではない。
また、スプリングピンにおける周方向で分断されている部分は、前記実施形態のように、蛇行している必要はなく、真っ直ぐ延びていても良い。更に、スプリングピンは、板材を一周以上に巻いた構造であっても良い。
更にまた、周方向で分断された筒状のスプリングピンに対して、スプリングピンの形成材料よりも硬度が低い材料で形成された挿入部材を挿入固定しても良い。これにより、スプリングピンにおいて周方向で分断されている部分の離隔距離を有利に確保することが可能となり、その結果、スプリングピンの軸直角方向へのばね作用を有利に得ることが可能となる。なお、挿入部材の形成材料としては、例えば、硬質ゴムやシリコーン,セラミックス,ウレタン等が採用される。
また、スプリングピン60は、蓋側筒部38とケース側筒部28の両方に嵌めて固定されるようになっていても良い。
また、前記実施形態において、下側収容部42の内径寸法が軸方向上端から軸方向下端に行くに従って次第に小さくされていても良い。これにより、スプリングピン60の嵌め入れ作業を有利に実現することが可能となる。
また、板状片の板面に直交する方向から見た形状は、円形や楕円形,多角形等が何れも採用され得る。
さらに、制御基板16は、蓋部材14に対してネジ止めされる必要はなく、制御基板16の適当な位置に形成された穴に対して蓋部材14に設けられた突起を挿し込むことにより、蓋部材14に対して位置決めされているだけであっても良い。
更にまた、前記実施形態では、不正行為防止の観点から遊技機用基板ケースに採用されているロック機構について説明したが、本発明は、ただ単に、第一の構成部材に対して第二の構成部材を組付固定するための手段として採用することも、勿論可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
10:遊技機用基板ケース,11:ロック機構,12:ケース本体,14:蓋部材,28:ケース側筒部,33:底面,38:蓋側筒部,60:スプリングピン,61:軸方向一端,63:軸方向他端,65:突出端,66:板状片,68:挿入軸,72:開口穴,74:内周面