JP2007265732A - 電気と水素の供給システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高温作動型燃料電池(1)及び水素を消費する複数の需要家(2)より成るユニット(E)と、該ユニット(E)に対してメタンを主成分とする気体を供給するガス供給ライン(4)とを有し、該ガス供給ライン(4)は高温作動型燃料電池(1)に連通しており、高温作動型燃料電池(1)と複数の需要家(2)とは水素供給ライン(50、5)で接続されており、該水素供給ライン(50、5)には高温作動型燃料電池(1)で生成された水素が流過する。
【選択図】図1
Description
末端のユーザーにおいては、複数のユーザーでエリアを構成し、該エリアに環状の水素供給ラインを設け、環状の水素供給ラインによって、エリア内の各ユーザーへ水素を供給し、或いは、エリア内のユーザー間で水素を融通し合う様なシステムが好適であると考えられている。
そのため、水素を輸送する場合には、メタンの4倍流量程度を輸送する必要があり、輸送時の送圧はメタンの場合の4倍程度に加圧する必要がある。このことも、水素の長距離輸送を困難にする一因となっている。
図8において、全体を符号100で示す水素及び電力供給システム(以下、水素及び電力供給システムをシステムと略記する)は、水素を消費する複数の需要家2と、その複数の需要家2の一部(図8では2軒)に装備された固体高分子形燃料電池(PEFC)30と、前記複数の需要家2を結ぶ水素供給ライン5と、水素供給源90と、該水素供給源90と前記水素供給ライン5とを接続する水素供給本管50とを有している。
しかし、図8で示すシステムは、上述した水素の長距離輸送の問題を包含している。
しかし、システムに内蔵された改質器の改質効率が決して高くないために、PEFC30の全体発電効率(33%)も単体発電効率よりも低下する。
しかし、係る技術では、燃料電池同士で、オフガスを融通しあうことにより、エネルギを融通しあうことを目的とするものであり、上述した様な水素ガスの長距離輸送の問題その他を解決するものではない。
また、この場合(請求項2の場合)、前記水素を消費する複数の設備(需要家2)は該設備内に設けられた燃料電池(3)で発電した電力を消費することが出来ると共に、系統連系(8)により電力会社(発電所7)からの電力が供給可能に構成されているのが好ましい(請求項3)。
或いは、前記ユニット(エリアEm)を、例えば、マンション(10)その他の集合住宅で構成しても良い(図6、図7)。
ここで本発明では、水素がパイプライン等で搬送されるのではなく、メタンを主成分とする気体(例えば、天然ガス)がガス供給ライン(4)で搬送される。メタンを主成分とする気体(例えば、天然ガス)の長距離輸送については技術が確立しており、水素を長距離に亘って輸送する際における各種問題点は発生しない。
ここで、ユニット(エリアE)にて水素を生成するのは、高温作動型燃料電池(1:SOFC、MCFC)であり、メタンの改質と同じ手順で水素が生成される。
設備(2:需要家)の燃料電池が固体高分子形燃料電池(3:PEFC)である場合に、水素供給ライン(50、5)を介して高温作動型燃料電池(1:SOFC、MCFC)で生成された水素が供給されるので、設備(2:需要家)のPEFC(3)に改質器を別途用意する必要は無い。
すなわち、本発明によれば、PEFC(3)に水素が供給され、改質器を必要としないので、PEFC(3)の発電効率が向上する。
図示の実施形態では、高温作動型燃料電池として、固体酸化物形燃料電池(SOFC)が用いられている。
図1の第1実施形態では、電気と水素の供給システムは、ガス供給ライン(例えば、都市ガスライン)を介して需要家(ユーザー:設備)側へ都市ガス(メタンガス)を送り、ユーザー側で水素を発生させる実施形態である。
ここで、需要家(ユーザー)を、小口需要家と大口需要家に分け、以下、断りが無い限り、小口需要家を「需要家」、大口需要家を「大口需要家」、双方を指す場合「ユーザー」と記述する。
CH4+H2O→CO+3H2
そして、副産物のCOは、COシフトコンバーターにより、
CO+H2O→CO2+H2
という反応を行わしめ、或いは、COを選択的に酸化して(選択酸化)CO2とする。
或いは、プレッシャー スウィング アドソープション(PSA)によりCOを除去することも可能である。すなわち、圧力を付加して吸着剤にCOを吸着させ、その後、圧力を開放してCOを吸着状態から開放することも出来る。
そして、SOFCで発生した水素と電気とを複数の需要者で利用するためには、水素の配管網と、電気の供給網とを整備してやればよい。
SOFC1は、エリアE内の工場等の大口需要家20において、設置されている。
水素ライン5は水素供給本管50でSOFC1と接続されている。そして、SOFC1で生成された水素が水素供給本管50及び水素ライン5を流過して、エリアE内の全需要家2に供給される。
図1において、エリアE内にはSOFC1を設置した大口需要家20に加えて、その他の大口需要家21が存在する。この大口需要家21は、SOFC1もPEFC3も備えておらず、水素は消費しないが、大量の電量を消費する。大口需要者21には、電力供給ライン61によってSOFC1が発電した電力が供給される。
その結果、需要家2は自家用のPEFC3で発電した電力により電力負荷を賄うことが出来ると共に、系統連携8により電力会社(発電所)7からの電力が供給可能となっている。
需要家2のPEFC3には、共用のSOFC1からの水素ライン5を介して水素が供給されるので、個々のPEFC3については、改質器が不要となる。
これに対して、水素を直接PEFCに供給すると、発電効率が40%を超え、火力発電の発電効率を上回ることが出来る。そのため、需要家2のPEFC3に水素を直接供給する図1の第1実施形態によれば、従来技術では達成できない程度の、高い発電効率(40%)を達成することが出来る。
エリア内の全ての需要家、例えば一般家庭を含む小口需要家2の各々について、SOFC1は設けられていない。
換言すれば、単一のSOFC1と、当該SOFC1で賄える程度の水素需要家2とにより、上述したエリアE(ユニット)は構成されているのである。
図1では図示の簡略化のため、発電所7はエリアEの近接部に設けられている様に表現されている。しかし、実際には、発電所7は山間部の様に、当該エリアEから遠隔の地にある。
図1において、都市ガスライン4は、水素を長距離輸送するには困難な程度に長距離のラインである。その様な長距離のラインであっても、天然ガスの輸送は可能である。
SOFC(固体酸化物型燃料電池)1は、プロパン、エタンの様に炭素数の多い物質は直接改質できないが、メタンであれば、燃料電池内部で改質が可能である。
そのため、SOFCに供給する以前の段階で、燃料ガスを事前に改質(予備改質)することにより、プロパン、エタンのように炭素数の多い燃料ガスをメタンにする反応を行う。
C2H6+H2O→CH4+2H2+CO
C2H6やC3H8が存在するガスについては、O2が不足すると、或る温度以上では炭素が析出してしまう。炭素が析出すると、燃料電池の破損や、配管の閉塞と言ったトラブルが生じる。そのため、予備改質では、少なくとも、CH4までの反応を進行させている。
明確には図示されていないが、SOFC1には、上述した様な予備改質を行う機構が設けられている。
図1の第1実施形態では、PEFC3を所有する需要家2には、SOFC1から水素供給本管50、水素ライン5を介して水素のみを供給しており、SOFC1から需要家2へは電気は供給していない。電力ライン61を介してSOFC1から電力を供給されるのは、PEFC3を有しない大口需要家21のみである。換言すれば、図1の第1実施形態では、SOFC1から電力と水素の双方を供給される需要家は存在しない。
図2の第2実施形態では、全ての需要家2は電力ライン6で環状に接続されており、電力ライン6とSOFC1とが電力供給ライン60で接続されている。その結果、電力供給ライン60及び電力ライン6を介して、全ての需要家2にSOFC1で発電された電力が供給される。
それと共に、水素供給本管50及び水素ライン5を介して、全ての需要家2にSOFC1で生成された水素が供給される。
図2の第2実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図1の第1実施形態と同様である。
図2の第2実施形態においては、各需要家における基本的な電力負荷、すなわちエリアE全体の電力負荷は、基本的にはSOFC1の発電で賄うが、基本的な電力負荷を超えた分(電力負荷)については、PEFC3で対応している。
しかし、エリアE全体の水素需要量が増加した場合において、SOFC1の水素生成量を急激に変動させることは難しい。
そのように構成することにより、SOFC1における水素生成量を変動すること無く、エリアE全体における水素需要の急増に対処している。
図3の第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、図2の第2実施形態と同様である。
図1の実施形態では、PEFC3を備えた各需要家2において、必要な電力は、各家庭のPEFC3及び発電所7から供給されている。また、図2、図3の各実施形態では、各需要家2における電力は、SOFC1、発電所7、各家庭のPEFC3により供給されている。
全ての需要家2に対して、SOFC1で発電された電力が、電力供給ライン60と電力ライン6とを介して供給される。
ここで、PEFC3の発電出力が余剰な需要家2と、PEFC3の発電出力が不足している需要家2が存在する場合には、余剰な発電出力が電力ライン6を介して電力需要に対して発電出力が不足しているPEFC3の需要家2へ供給する事が出来る。
図5においては、複数のエリア(図示では2つのエリア)E1、E2について、図4で説明したようなマイクログリッドが形成されている。
SOFC1−1からエリアE1への水素供給本管50−1と、SOFC1−2からエリアE−2への水素供給本管50−2は、共に、水素貯蔵装置9を経由して、各々のエリアにおける水素ライン5に接続されている。
図6、図7の第5実施形態では、図1〜図5の各実施形態におけるエリアE、E1、E2が、集合住宅(例えばマンション)となっている。
図6、図7において、マンション10がエリアEmであり、マンション10の各部屋(各家庭)が需要者2である。そして、SOFC1により、各需要者2に水素及び/又は電力を供給して、電力需要を賄っている。
もちろん、図7で示す様に、PEFC3を設置している部屋においては、PEFC3の燃料として水素を消費することとなる。
マンション10の全戸の需要家2がエリアEmを構成しており、マンション10の一部にはSOFC1が設置されている。
SOFC1にはガス供給ライン(都市ガスライン)4が接続されており、SOFC1は供給された都市ガスによって、発電を行うと共に、水素を生成している。
また、エリアEmの全需要家2に対して、SOFC1が発電した電力を供給するための電力供給ライン6が接続されている。
全需要家2にはSOFC1の発電出力が供給される。それと共に、水素ライン5が配管されている一部の需要家2に対しては、各種燃焼機器で消費される燃料としての水素が、SOFC1から水素ライン5を介して供給されるのである。
それと共に、図7の場合には、全需要家2には、SOFC1から水素供給ライン5が接続されている。なお、図7において、水素供給ライン5が接続されていない部屋が設けられているが、これは図示の簡略化のためであり、全ての部屋に水素供給ラインが接続されている。
そして、全ての部屋に水素供給ライン5を介して水素が供給される。供給された水素は、PEFC3を有する部屋ではその燃料として消費される。PEFC3を設置していない部屋では、供給された水素は各種燃焼機器の燃料として使用される。
図7において、SOFC1で発電した電力を、電力供給ライン6を介して全ての部屋に供給することも可能である。
従って、図6、図7の第5実施形態において、負荷変動に対する追随性が良好ではないSOFC1であっても、マンション10全体の電力負荷を賄うことが可能となる(いわゆる「アグリゲーション」)。
或いは、図7で示すように、マンション10の共用部15における電力負荷も比較的変動が少ないことが予想されるので、SOFC1の発電出力で賄う様に構成することも可能である(「アグリゲーション」の変形)。
例えば、図示の実施形態では、各エリアにおいて水素を生成する燃料電池は固体酸化物形燃料電池(SOFC)であるが、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)であっても良い。
2・・・需要家(小口需要家)
3・・・固体高分子形燃料電池/PEFC
4・・・ガス供給ライン/都市ガスライン
5・・・水素供給ライン/水素ライン
6・・・電力供給ライン/電力ライン
7・・・電力会社/発電所
8・・・系統連携/電力供給ライン
9・・・水素貯蔵装置/水素バッファ
10・・・マンション
15・・・共用部
Em・・・ユニット/エリア
Claims (5)
- 高温作動型燃料電池及び水素を消費する複数の設備より成るユニットと、該ユニットに対してメタンを主成分とする気体を供給するガス供給ラインとを有し、該ガス供給ラインは高温作動型燃料電池に連通しており、高温作動型燃料電池と複数の設備とは水素供給ラインで接続されており、該水素供給ラインには高温作動型燃料電池で生成された水素が流過することを特徴とする電気と水素の供給システム。
- 前記水素を消費する複数の設備には燃料電池が含まれていることを特徴とする請求項1の電気と水素の供給システム。
- 前記水素を消費する複数の設備は該設備内に設けられた燃料電池で発電した電力を消費することが出来ると共に、系統連系により電力会社からの電力が供給可能に構成されている請求項2の電気と水素の供給システム。
- 高温作動型燃料電池と前記水素を消費する複数の設備とは電力供給ラインで接続されており、水素供給ラインを介して高温作動型燃料電池から前記水素を消費する複数の設備へ水素が供給されると共に、電力供給ラインを介して高温作動型燃料電池で発電された電力が前記水素を消費する複数の設備へ供給される様に構成されている請求項1〜3の何れか1項の電気と水素の供給システム。
- 前記水素供給ラインには水素貯蔵装置が設けられている請求項1〜4の何れか1項の電気と水素の供給システム。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20121204 |