JP2007263992A - 鍵駆動装置及び鍵盤楽器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鍵7が付勢手段23によってフレームに対してA方向に付勢され、負に帯電可能な板状部材を備える第1の電極17がフレームに固定され、正に帯電可能な板状部材を備える第2の電極19が鍵7の揺動に連動して移動するように設けられ、これら2つの電極17,19の板状部材の表面が相互に間隙を介して対向可能に配置され、第2の電極19の移動方向が板状部材の表面に沿う方向とされ、電圧印加手段33により2つの電極17,19間に電圧を印加して、2つの電極17,19間に作用する静電引力に基づいて鍵7をB方向に揺動させることを特徴とする鍵駆動装置1を提供する。
【選択図】図2
Description
従来の鍵駆動装置では、特許文献1のようにソレノイドを用いたものや、特許文献2のようにステッピングモータとギア機構とを組み合わせたものをアクチュエータとして使用している。したがって、上記演奏情報に応じてソレノイドやステッピングモータ等に駆動電圧や駆動信号を供給することで、各鍵が駆動されることになる。
また、上記従来の鍵駆動装置では、ソレノイドやステッピングモータとギア機構とを組み合わせたものをアクチュエータとして用いているため、大きな消費電力が必要になるという不具合を生じる。この不具合は、特に電池仕様の電子キーボードに適用することが困難になるという問題がある。
なお、ソレノイドを使用する場合にはソレノイドの温度が上昇するため、鍵を駆動するための回路の配線を傷めたり、楽器を構成するプラスチック部品を変形させる虞もある。
請求項1に係る発明は、フレームに対して揺動可能に支持された鍵を駆動する鍵駆動装置であって、前記鍵が、付勢手段によって前記フレームに対して前記鍵の揺動方向の一方に付勢され、正負の一方に帯電可能な板状部材を備える第1の電極が、前記フレームに固定され、正負の他方に帯電可能な板状部材を備える第2の電極が、前記鍵の揺動に連動して移動するように設けられ、これら2つの電極の前記板状部材の表面が、相互に間隙を介して対向可能に配置され、前記第2の電極の移動方向が、前記板状部材の表面に沿う方向とされ、電圧印加手段により前記2つの電極間に電圧を印加して、前記2つの電極間に作用する静電引力に基づいて前記鍵を他方の揺動方向に揺動させることを特徴とする鍵駆動装置を提案している。
なお、2つの電極間への電圧印加を止めた際には、鍵が付勢手段の付勢力により一方の揺動方向に揺動し、上記初期位置において停止することになる。
また、第2の電極を棒状部材の端部に設けることで、第2の電極の重量を大きくしなくても、棒状部材を介して鍵を一方の揺動方向に揺動させる付勢力を十分に得ることができる。
また、鍵が揺動範囲の途中に配置された状態においては、手指により鍵を押すことで揺動範囲の他端まで鍵を揺動させることができる。したがって、この発明に係る鍵駆動装置を複数の鍵を並べて配置した鍵盤楽器に搭載した場合には、静電引力により所定の鍵を揺動範囲の途中まで揺動させる動きで、手指で押すべき鍵を鍵盤楽器の演奏者に報知することが可能となる。すなわち、手指で押すべき鍵を演奏者に報知するガイド機能として鍵駆動装置を役立たせることができる。
また、静電引力を利用して鍵を駆動しているため、鍵の駆動に際して鍵駆動装置の発熱を抑えることができる。したがって、高熱によって鍵を駆動するための回路の配線が痛んだり、鍵盤楽器を構成するプラスチック部品が変形したりすることを容易に防止できる。
また、第2の電極の重量を大きくしなくても、棒状部材を介して鍵を一方の揺動方向に揺動させる付勢力を十分に得ることができるため、鍵駆動装置の軽量化を図ることができる。
この鍵駆動装置1は、鍵7の下方側に配置されると共にフレームに対して揺動可能に取り付けられた揺動レバー(棒状部材)13と、フレームと一体の固定部15に固定された第1の電極17と、揺動レバー13の後端(端部)13bに固定された第2の電極19と備えている。
そして、揺動レバー13の後端13bが規制部材21に当接した状態から、鍵7や揺動レバー13をA方向とは逆の揺動方向(B方向)に揺動させた際には、板バネ9の撓みや第2の電極19の自重によって鍵7や揺動レバー13をA方向に付勢する付勢力が発生することになる。すなわち、板バネ9、揺動レバー13及び第2の電極19によって鍵7をA方向に付勢する付勢手段23が構成されることになる。
なお、第1の電極17は、その先端がB方向に揺動された揺動レバー13の後端13b側に接触することで鍵7や揺動レバー13のB方向への揺動を規制する位置に配されており、規制部材21と共に鍵7や揺動レバー13の揺動範囲を規定する規制部材(第2の規制手段)として機能している。
電圧印加手段33は、2つの電極17,19に電気接続された電源35と、電源35から2つの電極17,19への通電を切り換えるスイッチ37とを備えている。電源35の正極は第2の電極19に接続され、電源35の負極は第1の電極17に接続されている。したがって、このスイッチ37をONにすることで電源35の電圧が2つの電極17,19間に印加されることになる。この状態においては、第1の電極17が負に帯電すると共に第2の電極19が正に帯電するため、これら2つの電極17,19間に静電引力が発生することになる。また、このスイッチ37をOFFにした際には、各電極17,19が接地され、放電されるようになっている。
なお、スイッチ37は、鍵駆動制御装置5から出力される信号に応じて開閉するように構成されている。
なお、上述した寸法で構成された第1の電極17及び第2の電極19について、2つの電極17,19間に、例えば1kVの電圧を印加した場合には、0.8N程度の静電引力が発生する。この静電引力の大きさは、鍵7や揺動レバー13を揺動させるには十分な大きさである。
すなわち、規制部材21により規制される鍵7の揺動範囲の一端から第1の電極17により規制される上記揺動範囲の他端まで鍵7を駆動する場合と比較して、2つの電極17,19間に印加される電圧の大きさを小さくすればよい。これにより、2つの電極17,19間に電圧が印加されている状態においては、鍵7がその揺動範囲の途中に位置することになる。
なお、発音制御装置49は、演奏情報発生装置3から出力される楽曲データの各楽音に対応する所定の波形データを音源45から読み出し、この波形データを上記楽曲データの発音タイミング情報、ノート情報やその他の情報に基づいて制御して発音装置47から出力させるようにも構成されている。すなわち、発音手段43においては、上記の押鍵検出装置41からの入力に代えて、演奏情報発生装置3から出力される楽曲データに基づいて楽音を発生することもできるようになっている。
図6に示すように、はじめに、演奏情報発生装置3が、発音タイミング情報やノート情報等を含む楽曲データを読み込み(ステップS1)、楽曲データの各楽音を鍵駆動制御装置5に出力する(ステップS2)。具体的には、楽曲データの発音タイミング情報に基づいて楽曲データの各楽音を鍵駆動制御装置5に出力する。次いで、鍵駆動制御装置5が、楽曲データのノート情報に基づいて上記各楽音の音高に対応する鍵7に取り付けられた鍵駆動装置1のスイッチ37をONにする信号を出力し、2つの電極17,19間に電圧を印加する(ステップS3)。この際には、2つの電極17,19間に作用する静電引力によって、上記楽音に対応する鍵7がその初期位置から付勢手段23の付勢力に抗してB方向に揺動する。
そして、鍵駆動制御装置5に出力すべき楽曲データの楽音が残っているかどうかを判定し(ステップS4)、出力すべき楽曲データが残っていると判定された場合には、再度ステップS2に戻り、演奏情報発生装置3が楽曲データの次の楽音を鍵駆動制御装置5に出力する。また、ステップS4において、楽曲データに出力すべき楽音が残っていないと判定された場合には、楽曲データに基づく鍵7の駆動を終了する。
したがって、演奏者が揺動範囲の途中に位置する鍵7を探して手指でさらに押し込むことで、はじめて押鍵検出装置41が動作し、この検出結果に基づいて発音装置47から鍵7に対応する波形データを出力されるため、楽曲の練習として用いることができる。すなわち、楽曲データにあわせて各鍵7をその揺動範囲の途中まで揺動させる動きを、楽曲データにあわせて手指で押すべき鍵7を鍵盤楽器の演奏者に報知するガイド機能として役立たせることができる。
また、静電引力を利用して鍵7を駆動しているため、鍵7の駆動に際して鍵駆動装置1の発熱を抑えることができる。したがって、高熱によって鍵7を駆動するための回路の配線が痛んだり、鍵盤楽器を構成するプラスチック部品が変形したりすることを容易に防止できる。
さらに、2つの電極17,19間に作用する静電引力により鍵7をその初期位置から揺動範囲の途中まで駆動する場合には、上記初期位置から第2の電極19によって規制される位置まで鍵7を駆動する場合と比較して、静電引力の大きさを小さくすることができる。すなわち、2つの電極17,19間に印加する電圧を小さくすることができるため、さらに省電力で鍵7を駆動することができる。
さらに、演奏者は楽曲データに応じた各鍵7の動きを手指で直接感じ取ることができるため、押すべき鍵7を視認してから手指で対応する鍵7を押す場合と比べて、鍵7を押す手指の反応速度を向上させることができる。また、視覚に頼らずに楽曲の練習が可能となるため、視力の弱い演奏者でも効率的に練習することができる。
このような動作を行う場合には、例えば、楽曲データに基づく鍵盤楽器での自動演奏が可能となる。
また、波形データは、楽曲データや押鍵検出装置41の検出結果に基づいて発音装置47から出力されるとしたが、これに限ることはなく、出力しないようにしても構わない。この場合には、周囲に迷惑をかけることなく楽曲の練習を行うことができる。
この場合には、演奏者が楽曲において押鍵するべき鍵7を1つずつ確認しながら楽曲の練習を行うことができるため、楽曲の演奏に不慣れな演奏者の練習に役立てることができる。
この場合には、演奏者の演奏速度にあわせて各楽音に対応する鍵7が揺動されるため、演奏者の演奏速度にばらつきがあっても効率よく楽曲の練習を行うことができる。
さらに、付勢手段23は、板バネ9、揺動レバー13及び第2の電極19により構成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくともこれらの一方により構成されていればよい。すなわち、付勢手段23の付勢力は、例えば、板バネ9の弾性力のみとしてもよいし、第2の電極19の自重のみとしても構わない。
すなわち、第2の電極19は、例えば図8,9に示すように、鍵7の前端7aの下方側に固定されるとしても構わない。この構成の鍵駆動装置51においては、第1の電極17も鍵7の下方側に配置すればよい。この構成の場合には、上記実施形態と同様に、第1の電極17が鍵7のB方向への揺動を規制する規制部材(第2の規制手段)として機能することになる。また、この構成においては、例えば、鍵7の上方側に規制部材21を配置しておくことで、規制部材21及び上記第1の電極17により鍵7の揺動範囲が規定されることになる。なお、この構成においては、鍵7をA方向に付勢する板バネ9の付勢力によって鍵7が規制部材21に当接することになる。
この構成の場合には、第1の電極17を上記実施形態と同様の付勢手段23として用いることはできないが、揺動レバー13が不要となるため、鍵駆動装置51の構成を簡略化して鍵盤楽器の小型化や軽量化、及び製造コストの削減を図ることができる。
なお、この構成においては、第1の電極17も延出ロッド63の上方側に配置すればよい。この構成の場合には、上記実施形態と同様に、第1の電極17が鍵7のB方向への揺動を規制する規制部材(第2の規制手段)として機能することになる。また、この構成においては、例えば、延出ロッド63の下方側に規制部材21を配置しておくことで、規制部材21及び上記第1の電極17により鍵7の揺動範囲が規定されることになる。
上記構成の場合には、上記実施形態と同様の効果を奏する。
さらに、各電極17,19を構成する各板状部材25,27の表面25a,27aには、シリコン酸化膜29が形成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも絶縁体からなるコーティング膜が形成されていればよい。また、上記コーティング膜を形成しなくてもよく、2つの電極17,19を噛み合わせた状態で少なくとも各板状部材25,27の表面25a,27a間に間隙が形成されていればよい。
また、鍵駆動装置1は、電子音を発音する発音手段43を備える鍵盤楽器に搭載されるとしたが、これに限ることはなく、ハンマーで弦を打つグランドピアノやアップライトピアノに搭載されるとしても構わない。
Claims (6)
- フレームに対して揺動可能に支持された鍵を駆動する鍵駆動装置であって、
前記鍵が、付勢手段によって前記フレームに対して前記鍵の揺動方向の一方に付勢され、
正負の一方に帯電可能な板状部材を備える第1の電極が、前記フレームに固定され、
正負の他方に帯電可能な板状部材を備える第2の電極が、前記鍵の揺動に連動して移動するように設けられ、
これら2つの電極の前記板状部材の表面が、相互に間隙を介して対向可能に配置され、
前記第2の電極の移動方向が、前記板状部材の表面に沿う方向とされ、
電圧印加手段により前記2つの電極間に電圧を印加して、前記2つの電極間に作用する静電引力に基づいて前記鍵を他方の揺動方向に揺動させることを特徴とする鍵駆動装置。 - 前記第1の電極及び前記第2の電極が、相互に噛み合わせ可能となるように、それぞれ複数の前記板状部材をその厚さ方向に配列して櫛歯状に構成されることを特徴とする請求項1に記載の鍵駆動装置。
- 前記鍵の揺動に連動して前記フレームに対して支点を中心に揺動する棒状部材が設けられ、
前記付勢手段が、前記棒状部材と、該棒状部材の端部に固定されて自重により前記鍵を前記一方の揺動方向に付勢する前記第2の電極により構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鍵駆動装置。 - 前記鍵の一方の揺動方向への揺動を規制する第1の規制手段、及び、前記鍵の他方の揺動方向への揺動を規制する第2の規制手段が設けられると共に、これら2つの規制手段により前記鍵の揺動範囲が規定され、
前記2つの電極間に電圧が印加された状態において、前記鍵が前記揺動範囲の途中に位置するように、前記付勢手段の付勢力と前記静電引力とを均衡させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の鍵駆動装置。 - フレームに対して揺動可能に支持された鍵を複数並べて配置した鍵盤楽器であって、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の鍵駆動装置と、
自動演奏用の楽曲データを発生する演奏情報発生装置と、
前記楽曲データに基づいて選択された前記鍵に対応する前記2つの電極間への電圧印加状態を切り換える信号を前記電圧印加手段に出力する鍵駆動制御装置とを備えることを特徴とする鍵盤楽器。 - 前記楽曲データに基づいて前記鍵の駆動に同期するように楽音を発生する発音手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の鍵盤楽器。
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