JP2007263222A - 固定式等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】 内輪の強度を確保しつつ、その内輪の軽量化を図り、作動角の高角化を容易に実現する。
【解決手段】 内球面12に複数のトラック溝14を形成した外輪10と、外球面22に外輪10のトラック溝14と対をなす複数のトラック溝24を形成した内輪20と、外輪10と内輪20の両トラック溝間に介在してトルクを伝達する複数のボール30と、外輪10の内球面12と内輪20の外球面22間に介在してボール30を保持するケージ40とを備え、ケージ40の外球面中心と内球面中心は継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットされ、ケージ40の縦断面において、外輪10の開口端側を厚肉にし、外輪10のトラック溝14を開口端に向けて拡径したテーパ状にすると共に、内輪20のトラック溝24を反開口端側に向けて拡径したテーパ状とし、内輪20のスプライン孔26の反開口端側周縁部に凹陥部28を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は固定式等速自在継手に関し、詳しくは、自動車や各種産業機械の動力伝達系において使用されるもので、駆動側と従動側の二軸間で作動角度変位のみを許容する固定式等速自在継手に関する。
近年、自動車の乗車空間拡大の観点からホイールベースを長くすることがあるが、それに伴って車両回転半径が大きくならないようにするため、自動車のドライブシャフト等の連結用継手として使用されている固定式等速自在継手の高角化による前輪の操舵角の増大が求められている。
一般的に、固定式等速自在継手は、図10に示すように内球面112に複数のトラック溝114を円周方向等間隔に軸方向に沿って開口端118に向けて形成した外側継手部材としての外輪110と、外球面122に外輪110のトラック溝114と対をなす複数のトラック溝124を円周方向等間隔に軸方向に沿って形成した内側継手部材としての内輪120と、外輪110のトラック溝114と内輪120のトラック溝124との間に介在してトルクを伝達する複数のボール130と、外輪110の内球面112と内輪120の外球面122との間に介在してボール130を保持するケージ140とを備えている。このケージ140の円周方向等間隔に、ボール130を収容したポケット146が形成されている。
前述した高角化のニーズに対する固定式等速自在継手としては、外輪110のトラック溝114の開口端側溝底を、その外輪110の開口端118に向けて直線的に拡径したテーパ状にすると共に、内輪120のトラック溝124の反開口端側溝底を、その外輪110の反開口端側に向けて直線的に拡径したテーパ状とすることにより、高角域の作動を実現している(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2001−153149号公報 特開2001−304282号公報 特開2001−349332号公報
ところで、図12(a)は、一般的な固定式等速自在継手の一種であるアンダーカットフリー型等速自在継手(UJ)における内輪220を示し、同図(b)は、前述した各特許文献1〜3に開示された固定式等速自在継手における内輪120を示す。
同図(a)に示す内輪220において、外球面222に形成されたトラック溝224は、外輪の開口端側に位置する円弧部分224aと、外輪の反開口端側に位置する直線部分224bとを有する。この直線部分224bは、内輪220の軸線と平行になっている。この内輪220の軸中心には、シャフトが挿入されるスプライン孔226が設けられており、このスプライン孔226における外輪の反開口端側には、シャフトを抜け止めするスナップリングが係止される段差部227が形成されている。
一方、同図(b)に示す内輪120において、外球面122に形成されたトラック溝124は、外輪110の開口端側に位置する円弧部分124aと、外輪110の反開口端側に位置する直線部分124bとを有する。この直線部分124bは、作動角の高角化を容易にするため、外輪110の反開口端側に向けて拡径するテーパ状になっている。この内輪120の軸中心には、シャフトが挿入されるスプライン孔126が設けられており、このスプライン孔126における外輪110の反開口端側には、シャフトを抜け止めするスナップリングが係止される段差部127が形成されている。
ここで、同図(a)に示す内輪220と同図(b)に示す内輪120とを比較すると、同図(b)に示す内輪120では、作動角の高角化を容易にするため、トラック溝124の直線部分124bをテーパ状にしていることから、外輪110の反開口端側端部のトラック溝124での肉厚T(トラック溝底からスプライン孔内径までの厚み)が、同図(a)に示す内輪220における外輪の反開口端側端部のトラック溝224bでの肉厚t(トラック溝底からスプライン孔内径までの厚み)よりも大きく設定されている。
そのため、内輪120の強度を表す指標である最大作動角時(図11参照)における内輪120の内径部の最大応力値に十分余裕を持たせることができる。なお、内輪120の内径部とは、スナップリングが係止される段差部127近傍の部位を意味し、最大応力値に十分余裕を持たせることができるとは、同図(b)に示す内輪120の方がその内径部での応力集中が少ないことを意味する。
しかしながら、最大作動角時における内輪120の内径部の最大応力値に十分余裕を持たせることができる反面、外輪110の反開口端側端部のトラック溝124での肉厚Tが大きい分、内輪120の重量が大きくなってしまうという問題がある。
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、内輪の強度を確保しつつ、その内輪の軽量化を図り、作動角の高角化を容易に実現し得る固定式等速自在継手を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、内球面に複数のトラック溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って開口端に向けて形成した外側継手部材と、外球面に外側継手部材のトラック溝と対をなす複数のトラック溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って形成した内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材の両トラック溝間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内球面と内側継手部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備え、ケージの外球面中心と内球面中心は継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットされ、ケージの縦断面において、外側継手部材の開口端側を厚肉にすると共にその反開口端側を薄肉にし、外側継手部材のトラック溝の開口端側溝底を、開口端に向けて直線的に拡径したテーパ状にすると共に、内側継手部材のトラック溝の反開口端側溝底を、その反開口端側に向けて直線的に拡径したテーパ状とし、内側継手部材の反開口端側の軸孔周縁部に凹陥部を形成したことを特徴とする。
本発明では、内側継手部材の反開口端側の軸孔周縁部に凹陥部を形成したことにより、その内側継手部材の軽量化を容易に実現することができる。
また、凹陥部の内径dとボールの中心径Dとの比を、d/D≦0.72とすることが望ましい。このように設定すれば、内側継手部材の強度を表す指標である最大作動角時における内側継手部材の内径部の最大応力値に十分余裕を持たせることができ、内側継手部材の強度を容易に確保することができると共にその内側継手部材の軽量化が図れる。なお、この凹陥部の内径dとボールの中心径Dとの比が、d/D>0.72であると、内側継手部材の強度を確保することが困難となる。
本発明では、外側継手部材および内側継手部材の両トラック溝をテーパ状とすることにより、外側継手部材の外径を大きくすることなく、作動角の高角化を容易に実現する上で、外側継手部材の肉厚を薄くしてもその外側継手部材の強度および加工性を低下させないように、この固定式等速自在継手の内部諸元の中で、トラック溝をテーパ状にすることによる影響および傾向を検証し、前述のトラック溝のテーパ角度の最適値としてその上限値を12°に規定した。
本出願人は、従来必要な基本性能である強度や耐久性を確保しながら、静的内部力解析、有限要素法(FEM)解析を用いて検討を進め、トラック溝のテーパ角度の範囲を絞り込んで最適設定した。そして、テーパ角度を変えたサンプルの評価結果と解析結果との整合性を確認した。
前述の構成において、ケージの外球面中心と内球面中心とのケージオフセット量fと、外側継手部材のトラック溝の曲率中心または内側継手部材のトラック溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比の値f/PCRが0.12以下であることが望ましい。このケージオフセット量fは、ケージの縦断面における肉厚差に関係するため、この点を考慮してケージオフセット量fを設定することが望ましい。
例えば、ケージオフセット量fを大きく設定することにより、外側継手部材の開口端側にケージの厚肉側を位置させるようにすれば、外側継手部材の開口端側のケージの肉厚を増大させて強度向上を図ることができる利点を有する。また、外側継手部材の開口端側のケージの肉厚を増大させることによって、作動角をとった時、外側継手部材の開口端から飛び出そうとするボールをケージで拘束することができる。
ただし、ケージオフセット量fが大きすぎると、ケージのポケット内におけるボールの周方向移動量が大きくなり、ボールの適正な運動を確保するため、ケージのポケットの周方向寸法を大きくする必要が生じるので、ケージの柱部が細くなり、強度面が問題となる。また、外側継手部材の反開口端側のケージの肉厚が小さくなり、強度面が問題となる。
以上より、ケージオフセット量fが過大であるのは好ましくなく、ケージオフセット量fを設ける意義と前述の強度面での問題との均衡を図り得る最適範囲が存在する。ただ、ケージオフセット量fの最適範囲は継手の大きさによって変わるので、継手の大きさを表わす基本寸法との関係において求める必要がある。そのため、ケージオフセット量fと、外側継手部材のトラック溝の曲率中心または内側継手部材のトラック溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比f/PCRを用いる。
そこで、前述の構成におけるケージオフセット量は、そのケージオフセット量fと、作動角0°時における外側継手部材のトラック溝の曲率中心または内側継手部材のトラック溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比f/PCRを0より大きく、かつ、0.12以下とすることが望ましい。
この比f/PCRが0.12より大きいと前述の強度面での問題がある。逆に、0以下であるとケージオフセット量fを設ける意義がなくなる。すなわち、ケージオフセット量fが0の場合、トラックオフセット量も0のため、オフセットが0となり、くさび角=0でボール(ケージ)位置が定まらず、作動性が著しく悪化することから、0以下の範囲では、その目的が達成できない。従って、ケージ強度の確保、耐久性の確保の点から、比f/PCRが0より大きく、かつ、0.12以下であることが、ケージオフセット量fの最適範囲である。
なお、本発明は、ボール数が6個あるいは8個である固定式等速自在継手に適用可能であるが、ボール数が8個の固定式等速自在継手に適用すれば、固定式等速自在継手のコンパクト化が図れる点で有効である。
本発明によれば、内側継手部材の反開口端側の軸孔周縁部に凹陥部を形成したことにより、内側継手部材の強度を表す指標である最大作動角時における内側継手部材の内径部の最大応力値に従来品と同等レベルで十分余裕を持たせることができ、内側継手部材の強度を容易に確保しつつ、その内側継手部材の軽量化が図れる。
その結果、内側継手部材の強度確保と共に軽量化が実現容易となり、作動角の高角化を容易に実現することができ、近年における自動車の乗車空間拡大の観点からホイールベースを長くする要望に対して、車両回転半径が大きくならないように前輪の操舵角の増大を容易に対応することができる。
本発明に係る固定式等速自在継手の実施形態を以下に詳述する。
図1に示す固定式等速自在継手は、外輪10と、内輪20と、ボール30と、ケージ40を主要な構成要素としている。この固定式等速自在継手によって連結すべき二軸、例えば従動側の回転軸(図示せず)を外輪10と結合し、駆動側の回転軸(図示せず)を結合して、両者が角度をなした状態でも等速でトルクを伝達するようになっている。なお、図1は外輪10の回転軸Xと内輪20の回転軸Yとがなす作動角θが0°の状態を示し、図3はその作動角θが最大の状態を示す。
外側継手部材としての外輪10はマウス部16とステム部(図示せず)とからなり、ステム部にて従動側の回転軸とトルク伝達可能に結合する。マウス部16は一端にて開口した椀状で、その内球面12に、軸方向に延びた複数のトラック溝14が円周方向等間隔に形成されている。そのトラック溝14はマウス部16の開口端18まで延びている。
内側継手部材としての内輪20は、その外球面22に、軸方向に延びた複数のトラック溝24が円周方向等間隔に形成されている。そのトラック溝24は内輪20の軸方向に切り通されている。内輪20は駆動側の回転軸とトルク伝達可能に結合するためのスプライン孔26を有している。
外輪10のトラック溝14と内輪20のトラック溝24とは対をなし、各対のトラック溝14,24で構成されるトラックに1個ずつ、トルク伝達要素としてのボール30が転動可能に組み込んである。ボール30は外輪10のトラック溝14と内輪20のトラック溝24との間に介在してトルクを伝達する。
各ボール30はケージ40の円周方向に配設したポケット46内に収容されている。ボール30の数、換言すれば、トラック溝14,24の数は任意であるが、例を挙げるならば6あるいは8である。特に、ボールが8個の場合、コンパクトな等速自在継手を実現することができる。
ケージ40は外輪10と内輪20との間に摺動可能に介在し、外球面42にて外輪10の内球面12と接し、内球面44にて内輪20の外球面22と接する。外輪10の内球面12の曲率中心とケージ40の外球面42の曲率中心とは一致し、図2に符号Oで示している。同様に、内輪20の外球面22の曲率中心とケージ40の内球面44の曲率中心とは一致し、図2に符号Oで示している。なお、図面では、外輪10の内球面12とケージ40の外球面42との間、内輪20の外球面22とケージ40の内球面44との間のすきまが誇張して示している。
外輪10のトラック溝14は円弧部分14aと直線部分14bとからなり、円弧部分14aはマウス部16の奥側つまり反開口端側に位置し、直線部分14bは開口端側に位置する。そして、トラック溝14は、開口端側の溝底を、開口端18に向かって直線的に拡径するテーパ角度αのテーパ状としている。
内輪20のトラック溝24は円弧部分24aと直線部分24bとからなり、円弧部分24aは外輪10の開口端側に位置し、直線部分24bは反開口端側に位置する。そして、トラック溝24は、外輪10の奥側つまり反開口端側の溝底を、反開口端側に向かって直線的に拡径するテーパ角度αのテーパ状としている。
この継手では、大きな作動角θを取り得る構造とするため、図2に示すように、外輪10のトラック溝14の曲率中心Oは内球面12の中心Oに対して、内輪20のトラック溝24の曲率中心Oは外球面22の中心Oに対して、等距離Fだけ軸方向に逆向きにオフセットさせている(トラックオフセット)。同様に、ケージ40の外球面42の曲率中心Oと内球面44の曲率中心Oは、継手中心Oに対して等距離fだけ軸方向に逆向きにオフセットさせている(ケージオフセット)。
図3に示すように、外輪10の回転軸Xと内輪20の回転軸Yが0°以外のある作動角θをとったとき、両回転軸X,Yのなす角度θの二等分線に垂直な平面すなわち継手中心面P内にすべてのボール30があれば、ボール中心から両回転軸X,Yまでの距離が相等しく、したがって、両回転軸X,Y間で等角速度で回転運動の伝達が行われる。継手中心面Pと回転軸X,Yとの交点を継手中心Oと称する。固定式等速自在継手では、作動角θに関わりなく継手中心Oは固定されている。
この実施形態における内輪20は、図5に示すように外球面22に形成されたトラック溝24が外輪10の開口端側に位置する円弧部分24aと外輪10の反開口端側に位置する直線部分24bとを有し、その直線部分24bが作動角の高角化を容易にするために外輪10の反開口端側に向けて拡径するテーパ状となっている。また、この内輪20の軸中心には、シャフト50が挿入される軸孔としてのスプライン孔26が設けられており、このスプライン孔26における外輪10の反開口端側には、シャフト50を抜け止めするスナップリング60が係止される段差部27が形成されている。
ここで、図12(b)に示すように、従来の内輪120は、作動角の高角化を容易にするため、トラック溝124の直線部分124bをテーパ状にしていることから、外輪の反開口端側端部のトラック溝124での肉厚T(トラック溝底からスプライン孔内径までの厚み)が大きく設定されていた。そのため、内輪120の強度を表す指標である最大作動角時における内輪120の内径部の最大応力値に十分余裕を持たせることができる。この内輪120の内径部とは、スナップリングが係止される段差部近傍の部位を意味し、最大応力値に十分余裕を持たせることができるとは、その内径部での応力集中が少ないことを意味する。
この実施形態では、最大作動角時における内輪20の内径部の最大応力値に十分余裕を持たせると共に内輪20の重量を削減するため、図5に示すように内輪20の反開口端側のスプライン孔26の周縁部に凹陥部28を形成する。このように内輪20の反開口端側のスプライン孔26の周縁部に凹陥部28を形成したことにより、その内輪20の軽量化を容易に実現することができる。
この凹陥部28の内径dとボール30の中心径D(PCD)との比はd/D≦0.72とする。このように設定すれば、内輪20の強度を表す指標である最大作動角時における内輪20の内径部の最大応力値に十分余裕を持たせることができ、内輪20の強度を容易に確保することができると共にその内輪20の軽量化が図れる。なお、この凹陥部28の内径dとボール30の中心径Dとの比がd/D>0.72であると、内輪20の強度を確保することが困難となる。
前述の凹陥部28は、図6(a)〜(e)に示す種々の形態のものが可能である。まず、同図(a)に示す形態の凹陥部28aは、内輪20の反開口端側のスプライン孔26の周縁部において、スナップリング60が係止される段差部27と連設されて軸方向と直交する方向に延びる第一のストレート面28aと、その第一のストレート面28aの最外端縁から軸方向と平行に延びる第二のストレート面28aとで構成された形状を有する。同図(b)に示す形態の凹陥部28bは、第一のストレート面28bと第二のストレート面28bとをR曲面28bで繋いだ形状を有する。
同図(c)に示す形態の凹陥部28cは、内輪20の反開口端側のスプライン孔26のい周縁部において、スプライン孔26の内径面から軸方向と直交する方向に対して傾斜して延びるテーパ面28cと、そのテーパ面28cの最外端縁から軸方向と平行に延びるストレート面28cとで構成された形状を有する。同図(d)に示す形態の凹陥部28dは、テーパ面28dとストレート面28dとをR曲面28dで繋いだ形状を有する。
同図(e)に示す形態の凹陥部28eは、内輪20の反開口端側のスプライン孔26の周縁部において、スナップリング60が係止される段差部27と連設されて軸方向と直交する方向に対して傾斜して延びるテーパ面28eで構成された形状を有する。
これら同図(a)〜(e)に示す各形態のうち、同図(a)(b)(e)の形態では、図5に示すようにシャフト50の軸端部に設けられた環状凹溝51にストッパリング60を嵌め込んだ状態でシャフト50を内輪20のスプライン孔26に圧入し、そのストッパリング60の弾性拡径により段差部27に係止させることでシャフト50を内輪20に対して抜け止めしている。
この段差部27では、ストッパリング60と干渉する当接面を軸方向に対して傾斜させることにより、ストッパリング60との干渉力の分力によりシャフト50と内輪20との軸方向ガタを低減すると共に、シャフト50を引き抜く際には、そのストッパリング60との干渉力の分力により、ストッパリング60を縮径させることにより、内輪20のスプライン孔26からシャフト50を抜脱可能としている。
このような段差部27の機能は、同図(c)(d)に示す形態では、ストッパリング60と干渉する当接面をテーパ面28c,28dとすることで発揮させることが可能である。その結果、同図(c)(d)に示す形態では、同図(a)(b)(e)に示すような段差部27を設ける必要がない。
また、同図(b)に示す形態の凹陥部28bでは、第一のストレート面28bと第二のストレート面28b間にR曲面28bを設け、同図(d)に示す形態の凹陥部28dでは、テーパ面28dとストレート面28d間にR曲面28dを設けることで、凹陥部28dでの内径d(図5参照)を大きく設定することが可能となり、より一層の内輪20の軽量化を実現できる。
つまり、同図(a)(c)に示す形態の凹陥部28a,28cでは、ストレート面28aとストレート面28aの繋ぎ部分、テーパ面28cとストレート面28cの繋ぎ部分が角張っていることから、その部分での応力集中により内輪20の強度を確保することが困難となる可能性があるため、凹陥部28a,28cでの内径を大きく設定することが困難となるおそれがある。これに対して、同図(b)(d)に示す形態の凹陥部28b,28dでは、ストレート面28bとストレート面28bをR曲面28bで繋ぎ、テーパ面28dとストレート面28dをR曲面28dで繋いでいることから、その繋ぎ部分での応力集中を緩和することができるので、内輪20の強度を確保することが容易となり、凹陥部28b,28dでの内径を大きく設定することが容易となる。
対をなす外輪10のトラック溝14と内輪20のトラック溝24とで構成されるトラックは、外輪10のマウス部16の奥側から開口端側に向かって径方向間隔が徐々に拡大する楔状を呈している。そして、継手が作動角θをとった状態でトルクを伝達するとき、図2に白抜き矢印で示すように、楔状のトラックの狭い方から広い方へボール30を押し出そうとする力が作用する。この力によってボール30からケージ40のポケット46の壁面に作用する荷重をポケット荷重と呼ぶ。
外輪10と内輪20が最大作動角θをとったとき、ポケット荷重により外輪10のマウス部16の開口端18からボール30が飛び出すことを防止するため、ケージ40のポケット46で拘束できるようにケージオフセット量fを従来のものよりも大きく設定する。すなわち、ケージオフセット量をf、ボール30の中心軌跡半径値、すなわち、作動角0°時における外輪10のトラック溝14の曲率中心Oまたは内輪20のトラック溝24の曲率中心Oとボール30の中心Oとを結ぶ線分の長さをPCRとした場合、f/PCRが0より大きく、かつ、0.12以下となるように設定する。
このように、外輪10および内輪20の両トラック溝14,24をテーパ状とすれば、最大作動角の高角化と共に、外輪10のトラック溝14におけるボール30との接触長さを確保することができるので、外輪10と内輪20との間で安定したトルク伝達を確保することができる。また、作動角をとった時にボール30が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)(図3および図4参照)のトラック荷重およびポケット荷重を低減することができるので、外輪10と内輪20の高角域での作動において有利である。ここで、トラック荷重とは、接触するボール30からトラック溝14,24が受ける荷重を意味する。
また、ケージ40の外球面42は外輪10の内球面12に接触案内され、ケージ40の内球面44は内輪20の外球面22に接触案内され、トルク伝達時にケージ40と外輪10または内輪20との間で球面力が作用するが、その球面力の最大値を低減することができ、継手内部での発熱を抑制できる。さらに、鍛造型が抜き易いことから冷間鍛造による加工性がよく、製造コストの低減も図れる。
外輪10および内輪20の両トラック溝14,24をテーパ状とすることにより、前述したトラック荷重、ポケット荷重および球面力からなる内部力の影響および傾向を検証し、有限要素法(FEM)解析を実施することで、トラック溝14,24のテーパ角度α(図1および図2参照)の範囲を絞り込んで最適設定した。
まず、トラック溝14,24のテーパ角度αを大きくすることによる内部力(トラック荷重、ポケット荷重および球面力)の傾向は、表1のとおりである。なお、表1において、ボール30が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)と内部力が最大値となるボール30の位相、つまり、ボール30が最も奥に入る位相(位相角φ=180°付近)について検証した(図3および図4参照)。また、球面力の変動幅とは、球面力の最大値と最小値との差を意味する。
Figure 2007263222
表1から明らかなようにテーパ角度αを大きくすると、ポケット荷重の最大値が大きくなるが、ボール30が最も奥に入る位相(位相角φ=180°付近)で外輪10の肉厚を大きく、また、ケージオフセット量を大きくしてケージ40の肉厚を大きくすることにより強度を確保することができるので問題にはならない。
次に、テーパ角度αの上限値を決定するために、有限要素法(FEM)解析を実施した。テーパ角度αが大きくなれば、ボール30が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)では内部力(トラック荷重およびポケット荷重)が小さくなり、強度的に有利になるが、外輪10の開口端18でありその肉厚が小さくなるため、トラック溝14に発生する応力値を継手強度に換算して傾向を確認した。その結果は、図7に示すとおりである。同図に示す特性から明らかなようにテーパ角度αが12.9°で継手強度が必要強度を下回ることから、テーパ角度αの最適範囲としてその上限値を12°として規定した。
なお、前述の実施形態では、トラックオフセットを設けた場合について例示したが、そのトラックオフセットを設けずにトラックオフセット量Fを0にしてもよい。トラックオフセットを設けていると、外輪10のトラック溝14の円弧部分14aがその奥側に向けて浅くなることから、作動角をとった時にトラック溝14の最奥部に位置するボール30の乗り上げが生じる可能性がある。
そこで、外輪10のトラック溝14の曲率中心Oをその内球面12の曲率中心Oに一致させ、かつ、内輪20のトラック溝24の曲率中心Oをその外球面22の曲率中心Oに一致させてトラックオフセット量Fを0とすることにより、外輪10のトラック溝14の円弧部分14aが奥側に向けて浅くなることがなく均一な深さとなることから、作動角をとった時にトラック溝14の最奥部に位置するボール30の乗り上げを抑制することができる。
トラックオフセット量F、ケージオフセット量f、テーパ角度αの各因子を変動させて内部力解析を行った結果を次に述べる。ここで、トラックオフセットについては、高角域に入っても許容負荷トルクが落ちない超高角固定式等速自在継手の特性を考慮してトラックオフセット量F=0すなわち「トラックオフセットなし」とした。ケージオフセットについては、内部力の観点からはできるだけ小さい方がよいが、継手の機能確保のためにはある程度ケージオフセットをつけなくてはならないことから、0≦f/PCR≦0.150で変動させた。テーパ角度αについては、0°から12°までの範囲で変動させた。
ケージオフセット量f=0(f/PCR=0)ならば、テーパ角度αが1.1°以上のとき、ボール30が最も飛び出そうとする位相(0°位相)のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。一方、テーパ角度α=12°ならば、ケージオフセット量f=3.94(f/PCR=0.114)以下のとき、ボール30が最も飛び出そうとする位相(0°位相)のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。
つまり、ケージオフセット量fとテーパ角度αとの関係が図8の斜線領域内に設定されていれば、ボール30が最も飛び出そうとする位相(0°位相)のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。ここで、図8は内部力解析により算出したデータに基づいて作図したもので、横軸がテーパ角度α(deg)、縦軸がf/PCRを表している。
これより、ボール30が最も飛び出そうとする位相(0°位相)に負荷される荷重を極力小さくし、より高角作動域において有利となる内部仕様は次のようになる。
トラックオフセット:なし
ケージオフセット量f:0<f/PCR≦0.12
テーパ角度α:1°≦α≦12°
また、この実施形態では、ボール30が最も飛び出そうとする位相(0°位相)における荷重が低減する一方、ピークの荷重は従来の等速自在継手と比較して大きくなることから、強度を確保するため、ケージ40の厚肉部41を外輪10の開口端側に向けた配置とするのが好ましい。
前述の内部仕様で寸法を設定した本発明による固定式等速自在継手(実施例)と従来の固定式等速自在継手(比較例)について、最大作動角時のボール30が最も飛び出そうとする位相(0°位相)におけるトラック荷重およびポケット荷重を算出したところ、結果は図9に示すとおりであった。同図より、比較例に対して実施例が、トラック荷重とポケット荷重のいずれも8割以上減少していることが分かる。
本発明に係る固定式等速自在継手の実施形態を示す断面図である。 図1の等速自在継手において、ケージオフセットおよびトラックオフセット等の内部諸元を説明するための図である。 図1の等速自在継手において、外輪に対して内輪が最大作動角をとった状態を示す断面図である。 ケージに収容されたボールの位相を示す断面図である。 図1の等速自在継手における内輪にシャフトをスプライン嵌合により連結し、スナップリングで抜け止めした状態を示す要部拡大断面図である。 (a)〜(e)は内輪のスプライン孔の周縁部に形成した凹陥部の各種形態を示す要部断面図である。 トラック溝のテーパ角度に対する継手強度の関係を示す特性図である。 トラック溝のテーパ角度とf/PCRとの関係を示す特性図である。 最大作動角時における基本トルク負荷時の0°位相荷重を示す特性図である。 固定式等速自在継手の従来例を示す断面図である。 図10の等速自在継手において、外輪に対して内輪が最大作動角をとった状態を示す断面図である。 (a)はアンダーカットフリー型等速自在継手(UJ)における内輪を示す要部断面図、(b)は図10の等速自在継手における内輪を示す要部断面図である。
符号の説明
10 外側継手部材(外輪)
12 外側継手部材(外輪)の内球面
14 外側継手部材(外輪)のトラック溝
20 内側継手部材(内輪)
22 内側継手部材(内輪)の外球面
24 内側継手部材(内輪)のトラック溝
26 軸孔(スプライン孔)
28 凹陥部
28a〜28e 凹陥部
30 ボール
40 ケージ
46 ポケット
f ケージオフセット量
F トラックオフセット量
外側継手部材(外輪)のトラック溝の曲率中心
内側継手部材(内輪)のトラック溝の曲率中心
ケージの内球面中心
ケージの外球面中心
ボールの中心
α トラック溝のテーパ角度

Claims (5)

  1. 内球面に複数のトラック溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って開口端に向けて形成した外側継手部材と、外球面に前記外側継手部材のトラック溝と対をなす複数のトラック溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って形成した内側継手部材と、前記外側継手部材と内側継手部材の両トラック溝間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内球面と内側継手部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備え、
    前記ケージの外球面中心と内球面中心は継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットされ、ケージの縦断面において、外側継手部材の開口端側を厚肉にすると共にその反開口端側を薄肉にし、
    前記外側継手部材のトラック溝の開口端側溝底を、前記開口端に向けて直線的に拡径したテーパ状にすると共に、前記内側継手部材のトラック溝の反開口端側溝底を、その反開口端側に向けて直線的に拡径したテーパ状とし、
    前記内側継手部材の前記反開口端側の軸孔周縁部に凹陥部を形成したことを特徴とする固定式等速自在継手。
  2. 前記凹陥部の内径dとボールの中心径Dとの比を、d/D≦0.72とした請求項1に記載の固定式等速自在継手。
  3. 前記外側継手部材および内側継手部材の両トラック溝のテーパ角度の上限値を12°とした請求項1又は2に記載の固定式等速自在継手。
  4. 前記ケージの外球面中心と内球面中心とのケージオフセット量fと、作動角0°時における外側継手部材のトラック溝の曲率中心または内側継手部材のトラック溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比の値f/PCRが0より大きく、かつ、0.12以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の固定式等速自在継手。
  5. 前記ボールの個数を8個とした請求項1〜4のいずれか一項に記載の固定式等速自在継手。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101319694B (zh) * 2008-03-28 2010-06-02 陆耘 钢球十字均布球笼全封闭万向节

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