JP2007262202A - 硬化性樹脂組成物、硬化膜及び反射防止膜 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、硬化膜及び反射防止膜 Download PDF

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Tetsuya Yamamura
哲也 山村
Hitoshi Kato
仁史 加藤
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Abstract

【課題】低屈折率性、耐擦傷性、塗工性及び耐久性に優れた硬化膜を与える硬化性樹脂組成物及び反射防止膜を提供する。
【解決手段】(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体と、(B)成分(A)以外の、2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物と、(C)光重合開始剤を含有する、硬化性樹脂組成物であって、(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が、構造単位(a)、構造単位(b)及び構造単位(c)を含有し、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体中に占める、構造単位(a)、(b)及び(c)の合計量が80質量%以上であって、かつ、構造単位(a)、(b)及び(c)を、これらの合計100モル%に対して、(a) 40〜55モル%、(b) 2〜60モル%、及び(c) 25モル%未満の割合で含有することを特徴とする、硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体を用いた硬化性樹脂組成物、硬化膜及び反射防止膜に関する。より詳細には、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体を含む組成物を硬化させたときに、耐擦傷性、塗工性、及び耐久性に優れた硬化物が得られる硬化性樹脂組成物、及びそのような硬化物からなる低屈折率層を含む反射防止膜に関する。
液晶表示パネル、冷陰極線管パネル、プラズマディスプレー等の各種表示パネルにおいて、外光の映りを防止し、画質を向上させるために、低屈折率性、耐擦傷性、塗工性、及び耐久性に優れた硬化物からなる低屈折率層を含む反射防止膜が求められている。これら表示パネルにおいては、付着した指紋、埃等を除去するため表面をエタノール等を含侵したガーゼで拭くことが多く、耐擦傷性が求められている。特に、液晶表示パネルにおいては、反射防止膜は、偏光板と貼り合わせた状態で液晶ユニット上に設けられている。また、基材としては、例えば、トリアセチルセルロース等が用いられているが、このような基材を用いた反射防止膜では、偏光板と貼り合わせる際の密着性を増すために、通常、アルカリ水溶液でケン化を行う必要がある。従って、液晶表示パネルの用途においては、耐久性において、特に、耐アルカリ性に優れた反射防止膜が求められている。
反射防止膜の低屈折率層用材料として、例えば、水酸基含有含フッ素重合体を含む熱硬化性のフッ素樹脂系塗料が知られている(特許文献1〜3)。しかし、このようなフッ素樹脂系塗料では、塗膜を硬化させるために、水酸基含有含フッ素重合体と、メラミン樹脂等の硬化剤とを、酸触媒下、加熱して架橋させる必要があり、加熱条件によっては、硬化時間が過度に長くなったり、使用できる基材の種類が限定されてしまうという問題があった。また、得られた塗膜についても、耐候性には優れているものの、耐擦傷性や耐久性に乏しいという問題があった。
そこで、上記の問題点を解決するため、イソシアネート基と付加重合性不飽和基とを有する化合物と水酸基含有含フッ素重合体とを反応させて得られる不飽和基含有含フッ素重合体を含む活性エネルギー線硬化性の塗料用組成物が提案されている(特許文献4及び5)。
特開昭57−34107号公報 特開昭59−189108号公報 特開昭60−67518号公報 特公平6−35559号公報 特開2003−183322号公報
上記特許文献5に記載のエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体によれば、上述の低屈折率性及び耐久性を達成できるが、さらに低屈折率の材料が求められている。低屈折率化するためにフッ素含有率を高めようとした場合、上記特許文献5に記載のエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体の製造方法によっては、得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体のフッ素含有率には一定の限界があることがわかってきた。
即ち、上記特許文献5に記載の製造方法は、上記水酸基含有含フッ素共重合体を真空乾燥等により一旦固化させ、別の溶媒に再溶解した後、上記1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と反応させるものである(特許文献5、実施例を参照)。しかし、フッ素含有率の高い水酸基含有含フッ素共重合体の場合、これを一旦固化すると、溶媒に再溶解することができず、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物との反応を行うことができず、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を得ることができない。
水酸基含有含フッ素共重合体を一旦固化して、溶媒に再溶解していた理由は、未反応の重合開始剤及びモノマーを除去し、エチレン性不飽和基含有イソシアネート化合物を反応させる際、ゲル化ならびに不純物の生成を抑制するためである。
従って、本発明は、耐擦傷性、塗工性及び耐久性に優れ、かつ、フッ素含有率の高いエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を用いることにより、より低屈折率の硬化物を与える硬化性樹脂組成物、該組成物を硬化させて得られる硬化膜、及び反射防止膜を提供することを目的とする。
本発明によれば、以下の硬化性樹脂組成物、硬化膜及び反射防止膜が提供される。
1.(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体と、(B)成分(A)以外の、2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物と、(C)光重合開始剤を含有する、硬化性樹脂組成物であって、
該(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が、下記式(1)で表される構造単位(a)、下記式(2)で表される構造単位(b)及び下記式(3)で表される構造単位(c)を含有し、
該エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体中に占める、構造単位(a)、(b)及び(c)の合計量が80質量%以上であって、かつ、
構造単位(a)、(b)及び(c)を、これらの合計100モル%に対して、
(a) 40〜55モル%、
(b) 2〜60モル%、及び
(c) 25モル%未満
の割合で含有することを特徴とする、硬化性樹脂組成物。
構造単位(a):
Figure 2007262202
[式中、Rはフッ素原子、フルオロアルキル基又は−ORで表される基(Rはアルキル基又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
構造単位(b);
Figure 2007262202
[式中、Rは水素原子又はメチル基であり、R24は、下記式(6)又は(7)

Figure 2007262202
Figure 2007262202
(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、xは0〜2であり、yは0又は1である)で示される基を示す]
構造単位(c):
Figure 2007262202
[式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは−O(CHで表される基(Rはフルオロアルキル基を示し、xは0〜2である)を示す]
2.前記(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が、共重合体の全体量を100質量%としたときに、下記式(4)で表される構造単位(d)を、0.1〜10質量%含有する、1に記載の硬化性樹脂組成物。
構造単位(d):
Figure 2007262202
[式中、R及びR10は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す]
3.前記(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が、共重合体の全体量を100質量%としたときに、下記式(5)で表される構造単位(e)を1〜15質量%含有する、1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
構造単位(e):
Figure 2007262202
[式中、R19は乳化作用を有する基を示す]
4.シリカを主成分とする粒子を含有する、1〜3のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物。
5.上記1〜4のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜。
6.上記5に記載の硬化膜からなる層を有する、反射防止膜。
本発明の硬化性樹脂組成物によれば、屈折率の値が低いため、優れた反射防止効果を有し、塗工性、及び耐久性に優れる硬化膜が得られる。また、本発明の反射防止膜は、優れた反射防止効果を有するほか、耐擦傷性に優れている。
本発明の硬化性樹脂組成物、硬化膜及び反射防止膜の実施形態について、以下説明する。
[硬化性樹脂組成物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体、(B)成分(A)以外の、2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物、及び(C)光重合開始剤の各成分を含む。
(A)成分であるエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体は、通常、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、水酸基含有含フッ素共重合体とを反応させて得られる。
1.水酸基含有含フッ素共重合体
本発明のエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を製造するために用いられる水酸基含有含フッ素共重合体は、下記構造単位(a)、(b’)及び(c)を含有する水酸基含有含フッ素共重合体であって、該共重合体の質量中に占める、構造単位(a)、(b’)及び(c)の合計量が80質量%以上であり、かつ、構造単位(a)、(b’)及び(c)を、これらの合計100モル%に対して、構造単位(a)を40〜55モル%、構造単位(b’)を30〜60モル%、及び構造単位(c)を25モル%未満の割合で含有することを特徴とする。
構造単位(a)は、下記式(1)で示される。
Figure 2007262202
[式中、Rはフッ素原子、フルオロアルキル基又は−ORで表される基(Rはアルキル基又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
構造単位(b’)は、下記式(2’)で示される。
Figure 2007262202
[式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは、−O(CHOH又は−OCO(CHOHであり、xは0〜2である。]
構造単位(c)は、下記式(3)で示される。
Figure 2007262202
[式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは−O(CHで表される基(Rはフルオロアルキル基を示し、xは0〜2の数を示す)を示す]
本発明で用いられる水酸基含有含フッ素共重合体のフッ素含有率は、通常、50質量%以上であり、MIBKに対して25℃において5質量%以上の溶解度を有する。ここで、フッ素含有率とは、ポリマー全体の質量に対してフッ素原子が占める割合(質量%)をいう。また、本発明で用いられる水酸基含有含フッ素共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であることが好ましい。
以下、本発明で用いられる水酸基含有含フッ素共重合体の各構造単位について、説明する。
(1)構造単位(a)
式(1)において、R及びRのフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基等の炭素数1〜6のフルオロアルキル基が挙げられる。また、Rのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
構造単位(a)は、含フッ素ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような含フッ素ビニル単量体としては、少なくとも1個の重合性不飽和二重結合と、少なくとも1個のフッ素原子とを有する化合物であれば特に制限されるものではない。このような例としてはテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン等のフルオロレフィン類;アルキルパーフルオロビニルエーテル又はアルコキシアルキルパーフルオロビニルエーテル類;パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)、パーフルオロ(イソブチルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類;パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらの中でも、ヘキサフルオロプロピレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)又はパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)がより好ましく、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)がさらに好ましく、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)が特に好ましい。
尚、構造単位(a)の含有率は、構造単位(a)、(b’)及び(c)の合計100モル%に対して、40〜55モル%である。この理由は、含有率が40モル%未満になると、含フッ素共重合体のフッ素含有率が40質量%に満たないため、本発明が意図するところのフッ素含有材料の光学的特徴である、低屈折率の発現が困難となる場合があるためであり、一方、含有率が55モル%を超える水酸基含有含フッ素共重合体は、そもそも構造単位(a)の構造上、構造単位(a)同士が重合しにくいため生じにくいが、この含有量を超えた場合には、水酸基含有含フッ素共重合体の有機溶剤への溶解性、透明性、又は基材への密着性が低下する場合がある。
また、このような理由により、構造単位(a)の含有率を、構造単位(a)、(b’)及び(c)の合計100モル%に対して、45〜50モル%とすることがさらに好ましい。
(2)構造単位(b’)
構造単位(b’)は、式(2’)で示される水酸基含有ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような水酸基含有ビニル単量体の例としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類、アリルアルコール等が挙げられる。
また、水酸基含有ビニル単量体としては、上記以外にも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を用いることができる。
尚、構造単位(b’)の含有率は、構造単位(a)、(b’)及び(c)の合計100モル%に対して、30〜60モル%である。この理由は、含有率が30モル%未満になると、水酸基含有含フッ素共重合体の有機溶剤への溶解性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が60モル%を超えると、水酸基含有含フッ素共重合体の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(b’)の含有率を、構造単位(a)、(b’)及び(c)の合計100モル%に対して、40〜50モル%とすることがより好ましい。
(3)構造単位(c)
構造単位(c)は、式(3)で示されるビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このようなビニル単量体の具体例としては、以下の構造式を有するものが挙げられる。
Figure 2007262202
(式中、R20は水素原子又はメチル基であり、xは0〜2である。また、上記式中、芳香環の中にFと記した基は、5つの水素の全てがフッ素原子で置換されていることを示す。)
尚、構造単位(c)の含有率を、構造単位(a)、(b’)及び(c)の合計100モル%に対して、25モル%未満である。この理由は、含有率が25モル%以上であると、水酸基含有含フッ素共重合体のフッ素含有率が低下するほか、透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(c)の含有率を、構造単位(a)、(b’)及び(c)の合計100モル%に対して、0〜25モル%未満とすることが好ましく、0〜10モル%未満とすることがさらに好ましい。
本発明で用いられる水酸基含有含フッ素共重合体中における、構造単位(a)、(b’)及び(c)の合計含有量は、該共重合体の質量の80質量%以上である。この理由は、含有量が80質量%未満となると、水酸基含有含フッ素共重合体のフッ素含有率が低下するため、低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
(4)構造単位(d)
前記水酸基含有含フッ素共重合体は、アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する下記構造単位(d)を含むことが好ましい。構造単位(d)を含むことにより、耐擦傷性が向上する。
(d)下記式(4)で表される構造単位。
Figure 2007262202
[式(4)中、R及びR10は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はアリール基を示す]
構造単位(d)を含むことにより、耐擦傷性が向上する。
また、本発明のエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体において、上記構単位(d)を下記式(4−1)で示される構造単位(d−1)の一部として含むことが好ましい。
構造単位(d−1):
Figure 2007262202
[式(4−1)中、R11〜R14は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、又はシアノ基を示し、R15〜R18は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はアリール基を示し、p、qは1〜6の数、s、tは0〜6の数、vは1〜200の数を示す。] 以下、構造単位(d)及び(d−1)について説明する。
式(4)において、R又はR10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が、ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基等の炭素数1〜4のフルオロアルキル基等が、アリール基としてはフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等がそれぞれ挙げられる。
構造単位(d)は、前記式(4)で表されるポリシロキサンセグメントを有するアゾ基含有ポリシロキサン化合物を用いることにより導入することができる。このようなアゾ基含有ポリシロキサン化合物の例としては、下記式(4−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007262202
[式(4−2)中、R11〜R14、R15〜R18、p、q、s、t、及びvは、上記式(4−1)と同じであり、zは1〜20の数である。]
式(4−2)で表される化合物を用いた場合には、構造単位(d)は、構造単位(d−1)の一部として水酸基含有含フッ素共重合体に含まれる。この場合、式(4−1)において、R11〜R14のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、R15〜R18のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が挙げられる。
本発明において、上記式(4−2)で表されるアゾ基含有ポリシロキサン化合物としては、下記式(4−3)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2007262202
[式(4−3)中、v及びzは、上記式(4−2)と同じである。]
式(4−3)で表される化合物の市販品としては、例えば、VPS1001(和光順約工業株式会社)が挙げられる。VPS1001は、数平均分子量が7〜9万、ポリシロキサン部分の分子量が約10,000の、上記式(4−3)で表されるアゾ基含有ポリジメチルシロキサンである。
本発明で用いられる水酸基含有含フッ素共重合体中における構造単位(d)の含有率は、水酸基含有含フッ素共重合体の全体量を100質量%としたときに、0.1〜10質量%とすることが好ましい。この理由は、含有率が10質量%を超えると、水酸基含有含フッ素共重合体の透明性に劣り、コート材として使用する際に、塗布時にハジキ等が発生し易くなる場合があるためである。また、含有率が0.1質量%以上であることが、耐擦傷性の向上のため、好ましい。
また、このような理由により、構造単位(d)の含有率を、水酸基含有含フッ素共重合体の全体量に対して、0.5〜5質量%とすることがさらに好ましい。同じ理由により、構造単位(e)の含有率は、その中に含まれる構造単位(d)の含有率を上記範囲にするよう決定することが望ましい。
(5)構造単位(e)
さらに、上記水酸基含有含フッ素共重合体は、下記構造単位(e)を含むことが好ましい。
(e)下記式(5)で表される構造単位。
Figure 2007262202
[式(5)中、R19は乳化作用を有する基を示す]
構造単位(e)を含むことにより、塗工性が向上する。
以下、構造単位(e)について説明する。
式(5)において、R19の乳化作用を有する基としては、疎水性基及び親水性基の双方を有し、かつ、親水性基がポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル構造である基が好ましい。
このような乳化作用を有する基の例としては下記式(5−1)で表される基が挙げられる。
Figure 2007262202
[式(5−1)中、nは1〜20の数、mは0〜4の数、uは3〜50の数を示す]
構造単位(e)は、反応性乳化剤を重合成分として用いることにより導入することができる。このような反応性乳化剤としては、下記式(5−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007262202
[式(5−2)中、n、m、及びuは、上記式(5−1)と同様である]
式(5−2)で表される化合物の市販品としては、例えば、NE−30(旭電化工業株式会社)が挙げられる。NE−30は、上記式(5−2)において、nが9、mが1、uが30であるノニオン性反応性乳化剤である。
尚、構造単位(e)の含有率を、水酸基含有含フッ素共重合体の全体量を100質量%としたときに、1〜15質量%とすることが好ましい。この理由は、含有率が1質量%以上になると、水酸基含有含フッ素共重合体の溶剤への溶解性が向上し、一方、含有率が15質量%以内であれば、硬化性樹脂組成物の粘着性が過度に増加せず、取り扱いが容易になり、コート材等に用いても耐湿性が低下しないためである。
また、このような理由により、構造単位(e)の含有率を、水酸基含有含フッ素共重合体の全体量に対して、1〜10質量%とするのがより好ましく、3〜7質量%とするのがさらに好ましい。
尚、本発明で用いられる水酸基含有含フッ素共重合体は、本発明のエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が目的とする特性を損なわない範囲で、上記構成単位(a)〜(e)の他に、各種官能基を含有する単量体を共重合することにより官能基を有する含フッ素共重合体を得ることができる。共重合される単量体の官能基としては、特に水酸基、エポキシ基が好ましい。水酸基を含有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類;アリルアルコール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル等を挙げることができる。またエポキシ基を含有する単量体としては、例えばビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、クロトン酸グリシジルエステル、マレイン酸メチルグリシジルエステル等を挙げることができる。これらの他の単量体は、単独でも2種以上の併用であってもよい。
前記共重合可能な他の単量体のうち、上記含フッ素共重合体の重合反応における収率を高める点から、アルキルビニルエーテル類、シクロアルキルビニルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類が好適に使用される。特に含フッ素共重合体中に共重合されるフッ素含有率を高める点で、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の低分子量単量体が好ましい。
さらに、本発明のエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を含む硬化性樹脂組成物の硬化後の塗膜の高硬度化、低屈折率化のためには、イソプロピルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ピバリン酸ビニル等の分岐状単量体の使用が有効である。
(6)分子量
水酸基含有含フッ素共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」という。)で、テトラヒドロフラン(以下「THF」という。)を溶剤として測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であることが好ましい。この理由は、数平均分子量が5,000未満になると、水酸基含有含フッ素共重合体の機械的強度が低下する場合があるためであり、一方、数平均分子量が500,000を超えると、これを用いて作製される硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、薄膜コーティングが困難となる場合がるためである。
また、このような理由により、水酸基含有含フッ素共重合体のポリスチレン換算数平均分子量を10,000〜300,000とするのがより好ましく、10,000〜100,000とするのがさらに好ましい。
(7)フッ素含有率
本発明で用いられる水酸基含有含フッ素共重合体のフッ素含有率は、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。フッ素含有率が45質量%以上であることにより、低反射率性等の光学特性が良好となる。水酸基含有含フッ素共重合体のフッ素含有率は、水酸基含有含フッ素共重合体中の、アリザリンコンプレクソン法で測定したフッ素原子の重量を、水酸基含有含フッ素共重合体の重量で除した%値である。
2.エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体
(A)成分であるエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体は、下記構造単位(a)、(b)及び(c)を含有するエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体であって、該含エチレン性不飽和基含有フッ素共重合体中に占める、構造単位(a)、(b)及び(c)の合計量が80質量%以上であり、かつ、構造単位(a)、(b)及び(c)を、これらの合計100モル%に対して、構造単位(a)を40〜55モル%、構造単位(b)を2〜60モル%、及び構造単位(c)を25モル%未満の割合で含有することを特徴とする。
このうち、構造単位(a)及び(c)は、前述の水酸基含有含フッ素共重合体の構造単位(a)及び(c)と同一であるが、構造単位(c)の含有量が、上記基準で25モル%未満であることが必要である。この理由は、構造単位(c)の含有量が10モル%以上の水酸基含有含フッ素共重合体は、一旦固化すると有機溶剤に再溶解し難いため、後述の製造方法1を用いてエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を製造することが難しくなるためであり、また、構造単位(c)の含有量が25モル%以上の水酸基含有含フッ素共重合体は、後述の製造方法2を用いて製造したエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が有機溶剤に溶解しがたいためである。このため、構造単位(c)の含有量は、20モル%以下であることが好ましい。
構造単位(b)は、下記式(2)で示される。構造単位(b)は、前述の水酸基含有含フッ素共重合体の構造単位(b’)が、後述の工程でアクリル酸等と反応して得られる構造単位である。
Figure 2007262202
[式中、Rは水素原子又はメチル基であり、R24は、下記式(6)又は(7)
Figure 2007262202
Figure 2007262202
(Rは、水素原子又はメチル基であり、xは0〜2であり、yは0又は1である)で示される基を示す]
エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体は、前述の水酸基含有含フッ素共重合体と同様にして、前述の構造単位(d)及び/又は(e)を含有することができる。エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体中における、構造単位(d)及び(e)の含有量は、前述の水酸基含有含フッ素共重合体の場合と同様である。
尚、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体は、本発明が目的とする特性を損なわない範囲で、上記構成単位の他に、任意の構成単位を含有することができる。エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体は、後述のように、水酸基含有含フッ素共重合体にエチレン性不飽和基を導入して製造するものであるので、これらの任意の構成単位は、水酸基含有含フッ素共重合体について前述したとおりである。
3.エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体の製造方法
(A)成分であるエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体は、通常、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、水酸基含有含フッ素共重合体とを反応させて得られる。両化合物を反応させる際、イソシアネート基/水酸基のモル比が0.1〜1.9の割合で反応させることが好ましい。
(1)1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物
1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物としては、分子内に、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基を含有している化合物であれば特に制限されるものではない。
尚、イソシアネート基を2個以上含有すると、水酸基含有含フッ素共重合体と反応させる際にゲル化を起こす可能性がある。
また、上記エチレン性不飽和基として、後述する硬化性樹脂組成物をより容易に硬化させることができることから、(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。
このような化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートの一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。また、これらの市販品としては、カレンズMOI、カレンズBEI等(昭和電工株式会社)が挙げられる。1個のイソシアネート基と2個以上のエチレン性不飽和基とを含有する化合物を用いることにより、樹脂成分との密着性に優れたエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を得ることができる。
尚、このような化合物は、ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて合成することもできる。
この場合、ジイソシアネートの例としては、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネ−ト、4,4’−ビフェニレンジイソシアネ−ト、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネ−ト、4−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト、水添ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネ−ト、2,5(又は6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらの中では、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが特に好ましい。
また、水酸基含有(メタ)アクリレートの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート等一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
尚、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、大阪有機化学(株)製 商品名 HEA、日本化薬(株)製 商品名 KAYARAD DPHA、PET−30、東亞合成(株)製 商品名 アロニックス M−215、M−233、M−305、M−400等として入手することができる。
ジイソシアネート及び水酸基含有多官能(メタ)アクリレートから合成する場合には、ジイソシアネート1モルに対し、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの添加量を1〜1.2モルとするのが好ましい。
このような化合物の合成方法としては、ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを一括で仕込んで反応させる方法、水酸基含有(メタ)アクリレート中にジイソシアネートを滴下して反応させる方法等を挙げることができる。
(2)エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体の製造方法
エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体は、前記水酸基含有含フッ素共重合体と、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物とを反応させることで製造できる。この反応は、水酸基含有含フッ素共重合体の重合液から水酸基含有含フッ素共重合体を分離した後に行ってもよいし、水酸基含有含フッ素共重合体の重合液中で行うこともできる。
より具体的には、下記製造方法1又は製造方法2を例示することができる。製造方法1は、水酸基含有含フッ素共重合体の重合液から水酸基含有含フッ素共重合体を分離した後に、再溶解した該水酸基含有含フッ素共重合体と、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物とを反応させるのに対して、製造方法2は、水酸基含有含フッ素共重合体の重合液中において、該水酸基含有含フッ素共重合体と、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物とを反応させる点で異なる。
製造方法1は、水酸基含有含フッ素共重合体中の構造単位(c)の含有量が、構造単位(a)、(b)及び(c)の合計100モル%に対して、10モル%未満である場合に好ましく適用でき、製造方法2は、中の構造単位(c)の上記含有量が、構造単位(c)の含有量が10モル%未満の場合でも10モル%以上20モル%以下の場合でも好ましく適用できる。その理由は、水酸基含有含フッ素共重合体中の構造単位(c)の上記含有量が、10モル%未満である場合には、水酸基含有含フッ素共重合体の有機溶剤に対する溶解性が高いために、水酸基含有含フッ素共重合体の重合液から水酸基含有含フッ素共重合体を分離した後に、有機溶剤に再溶解することができるのに対して、水酸基含有含フッ素共重合体中の構造単位(c)の上記含有量が、10モル%以上20モル%以下の場合には、水酸基含有含フッ素共重合体中の有機溶剤に対する溶解性が低下するため、水酸基含有含フッ素共重合体の重合液から水酸基含有含フッ素共重合体を分離しない方が安定した溶解状態を保つことができるからである。
[1]製造方法1
(1)水酸基含有含フッ素共重合体の重合液中に、有機溶剤1とを混合して、水酸基含有含フッ素共重合体を沈殿させ、回収する工程、
(2)該水酸基含有含フッ素共重合体を、有機溶剤1と異なる有機溶剤2に溶解させる工程、
(3)該水酸基含有含フッ素共重合体と、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物とを反応させて、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を合成する工程、
(4)該エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体の重合液と、有機溶剤1とを混合して、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を沈殿させ、回収する工程、
(5)該エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を、有機溶剤1と異なる有機溶剤2に溶解させる工程、
(6)該有機溶剤1を除去して、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が有機溶剤2に溶解した溶液を得る工程
を含むことを特徴とする。ただし、上記工程(2)で用いる有機溶剤1及び有機溶剤2は、上記工程(4)以下で用いる有機溶剤1及び有機溶剤2とそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
[2]製造方法2
(1)水酸基含有含フッ素共重合体の重合液中において、該水酸基含有含フッ素共重合体と、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物とを反応させて、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を合成する工程、
(2)該エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体の重合液と、有機溶剤1とを混合して、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を沈殿させ、回収する工程、
(3)該エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を、有機溶剤1と異なる有機溶剤2に溶解させる工程、
(4)該有機溶剤1を除去して、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が有機溶剤2に溶解した溶液を得る工程
を含むことを特徴とする。
これらの製造方法は、特にフッ素含有率が50質量%以上、より好ましくは53質量%以上の水酸基含有含フッ素共重合体を用いてエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を製造するのに好適であるが、フッ素含有率が50質量%未満の水酸基含有含フッ素共重合体を用いる場合にも適用することができる。
以下、各工程について説明する。
[1]製造方法1
工程(1):
前記水酸基含有含フッ素共重合体の重合液とは、含フッ素ビニル単量体(構造単位(a)を構成する化合物)、ビニル単量体(構造単位(b’)を構成する化合物)、水酸基含有ビニル単量体(構造単位(c)を構成する化合物)、必要によりアゾ基含有ポリシロキサン化合物(構造単位(d)を構成する化合物)、反応性乳化剤(構造単位(f)を構成する化合物)を、各構成単位が前記所定の割合となるように混合して重合させて、水酸基含有含フッ素共重合体が形成されている反応液である。
水酸基含有含フッ素共重合体の重合時に用いる反応溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
上記の水酸基含有含フッ素共重合体の重合液と有機溶剤1とを混合し、水酸基含有含フッ素共重合体を沈殿させ、沈殿物を回収し、該溶媒によって膨潤した状態の水酸基含有含フッ素共重合体を重合液から分離する。本工程では、水酸基含有含フッ素共重合体をウエットな状態に保持し、固化させないことが必要である。
工程(1)で用いる有機溶剤1としては、水若しくはアルコールが好ましく、メタノール、イソプロパノール(IPA)、n−ブタノール(n−BuOH)、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が挙げられ、中でもメタノールが好ましい。
有機溶剤1の使用量は、添加する水酸基含有含フッ素共重合体が生成している重合液100質量部に対し、通常500〜5000質量部を使用する。
工程(2):
工程(1)で得た有機溶剤1で膨潤した状態の水酸基含有含フッ素共重合体に、有機溶剤2を加え、水酸基含有含フッ素共重合体を溶解させる。
工程(2)で用いる有機溶剤2としては、ケトン類が好ましく、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルアミルケトン(MAK)、アセトン、メチルプロピルケトン等が挙げられ、中でもメチルイソブチルケトン(MIBK)が好ましい。
有機溶剤2の添加量は、工程(1)で得た有機溶剤1で膨潤した状態の水酸基含有含フッ素共重合体100質量部に対し、通常100〜1000質量部の範囲内であり、好ましくは200〜900質量部の範囲内である。
尚、前記有機溶剤1を減圧留去等の手段で除去し、溶媒を置換して、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が有機溶剤2に溶解した溶液を得ることが好ましい。
工程(3):
上記の水酸基含有含フッ素共重合体の有機溶剤2の溶液に、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物を添加し、反応させることにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が合成される。
本工程において、反応液のゲル化等を防止するため、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール等が好ましい。
水酸基含有含フッ素共重合体と1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物との反応条件は、通常、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン−2−メチルトリエチレンアミン等のウレタン化触媒を反応原料の総量に対して0.01〜1質量%の量で用い、反応温度は通常、10〜90℃、特に30〜80℃で行うのが好ましい。
工程(4):
エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が生成している重合液と有機溶剤1とを混合し、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を沈殿させ、沈殿物を回収し、該溶媒によって膨潤した状態のエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を重合液から分離する。本工程では、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体をウエットな状態に保持し、固化させないことが必要である。
工程(4)で用いる有機溶剤1としては、水若しくはアルコールが好ましく、メタノール、イソプロパノール(IPA)、n−ブタノール(n−BuOH)、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が挙げられ、中でもメタノールが好ましい。
有機溶剤1の使用量は、添加するエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が生成している重合液100質量部に対し、通常500〜5000質量部を使用する。
工程(5):
工程(4)で得た有機溶剤1で膨潤した状態のエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体に、有機溶剤2を加え、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を溶解させる。
工程(5)で用いる有機溶剤2としては、ケトン類が好ましく、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルアミルケトン(MAK)、アセトン、メチルプロピルケトン等が挙げられ、中でもメチルイソブチルケトン(MIBK)が好ましい。
有機溶剤2の添加量は、工程(4)で得た有機溶剤1で膨潤した状態のエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体100質量部に対し、通常100〜1000質量部の範囲内であり、好ましくは200〜900質量部の範囲内である。
工程(6):
上記工程(5)で得られた溶液から、前記有機溶剤1を減圧留去等の手段で除去し、溶媒を置換して、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が有機溶剤2に溶解した溶液を得る。
本工程で得られたエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体の溶液は、そのまま、後述する硬化性樹脂組成物の構成成分として使用できる。
有機溶剤1を減圧留去する際の条件は、通常、温度30〜60℃、圧力100〜300hPaである。
[2]製造方法2
工程(1):
水酸基含有含フッ素共重合体の重合液に、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物を添加し、反応させることにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が合成される。
本工程における有機溶剤以外の反応条件は、製造方法1の工程(3)と同様である。
水酸基含有含フッ素共重合体を一旦固化させることなく、上記のように反応を行うことにより、フッ素含有率の高い水酸基含有含フッ素共重合体から、特許文献5に記載の方法では製造できなかったフッ素含有率の高いエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を製造することができる。本発明の製造方法により得られたエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体は、フッ素含有率が40質量%以上と高いにもかかわらず、MIBKに対する25℃における溶解度が10質量%以上と良好である。
工程(2)〜(4):
製造方法2の工程(2)〜(4)は、製造方法1の工程(4)〜(6)と、それぞれ同様である。
上記の製造方法1又は2によれば、フッ素含有率が38質量%以上、より好ましくは43質量%以上のエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が得られる。
(A)成分の添加量については、特に制限されるものではないが、通常、有機溶媒以外の組成物全量に対して3〜95質量%である。この理由は、添加量が3質量%未満となると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の屈折率が高くなり、十分な反射防止効果が得られない場合があるためであり、一方、添加量が95質量%を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の耐擦傷性が得られない場合があるためである。また、このような理由から、(A)成分の添加量を10〜90質量%とするのがより好ましく、30〜80質量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
4.(A)成分以外の成分
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述した(A)成分と下記の(B)〜(D)成分を含む。これらの成分のうち、(A)〜(C)成分は必須成分であり、好ましくは、(D)成分を含む。
(B)成分(A)以外の、2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物
(C)活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物(光重合開始剤)
(D)シリカを主成分とする粒子
(B)成分(A)以外の、2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物
2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物(以下、「多官能(メタ)アクリレート化合物」という。)は、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物及びそれを用いた反射防止膜の耐擦傷性を高めるために用いられる。
多官能(メタ)アクリレート化合物については、分子内に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であれば特に制限されるものではない。このような例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、「U−15HA」(商品名、新中村化学社製)等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。なお、これらのうち、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートおよびカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
(B)成分の添加量については、特に制限されるものではないが、通常、有機溶媒以外の組成物全量に対して1〜95質量%である。この理由は、添加量が1質量%未満となると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の耐擦傷性が得られない場合があるためであり、一方、添加量が95質量%を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の屈折率が高くなり、十分な反射防止効果が得られない場合があるためである。また、このような理由から、(B)成分の添加量を3〜80質量%とするのがより好ましく、5〜60質量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(C)活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物
活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物は、硬化性樹脂組成物を硬化させるために用いられる。
活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物(以下「光重合開始剤」という。)としては、活性種として、ラジカルを発生する光ラジカル発生剤等が挙げられる。なお、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線が挙げられる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が速く、しかも照射装置が比較的安価で、小型な観点から、紫外線を使用することが好ましい。
光重合開始剤の例としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジル、またはBTTBとキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリン、その他の色素増感剤との組み合わせなどを挙げることができる。これらの光重合開始剤のうち、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノンなどが好ましく、さらに好ましくは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノンなどを挙げることができる。
光重合開始剤の添加量は特に制限されるものではないが、有機溶媒以外の組成物全量に対して、0.01〜20質量%とするのが好ましい。この理由は、添加量が0.01質量%未満となると、硬化反応が不十分となり耐擦傷性、アルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。一方、光重合開始剤の添加量が20質量%を超えると、硬化物の屈折率が増加し反射防止効果が低下する場合があるためである。また、このような理由から、光重合開始剤の添加量を、有機溶媒以外の組成物全量に対して、0.05〜15質量%とすることがより好ましく、0.1〜15質量%とすることがさらに好ましい。
また、光重合開始剤に加えて、熱により活性種を発生する化合物熱により活性種を発生する化合物(以下「熱重合開始剤」という。)を併用することもできる。熱重合開始剤としては、活性種として、ラジカルを発生する熱ラジカル発生剤等が挙げられる。
熱ラジカル発生剤の例としては、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチル−オキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルパーアセテート、クミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等の一種単独または二種以上の組み合わせを挙げることができる。
熱重合開始剤の添加量についても特に制限されるものではないが、有機溶媒以外の組成物全量に対して、0.01〜20質量%とするのが好ましい。この理由は、添加量が0.01質量%未満となると、硬化反応が不十分となり耐擦傷性、アルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。一方、光重合開始剤の添加量が20質量%を超えると、硬化物の屈折率が増加し反射防止効果が低下する場合があるためである。また、このような理由から、有機溶媒以外の組成物全量に対して、熱重合開始剤の添加量を0.05〜15質量%とするのがより好ましく、0.1〜15質量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(D)シリカを主成分とする粒子
(1)シリカを主成分とする粒子
本発明の硬化性樹脂組成物には、当該硬化性樹脂組成物の硬化物の耐擦傷性、特にスチールウール耐性を改善する目的でシリカを主成分とする粒子を配合することが好ましい。このシリカを主成分とする粒子としては、公知のものを使用することができ、また、その形状も、球状であれば通常のコロイダルシリカに限らず中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わないが、組成物の屈折率を低減させる観点から中空粒子や多孔質粒子が好ましく、特に中空粒子が好ましい。また、球状に限らず、不定形の粒子であっても良い。動的光散乱法で求めた数平均粒子径が1〜100nm、固形分が10〜40質量%、pHが2.0〜6.5のコロイダルシリカが好ましい。
また、分散媒は、水あるいは有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類等の有機溶剤を挙げることができ、これらの中で、アルコール類及びケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独で、又は2種以上混合して分散媒として使用することができる。
シリカを主成分とする粒子の市販品としては、例えば、日産化学工業(株)製のスノーテックスO(動的光散乱法で求めた数平均粒子径7nm、固形分20質量%、pH2.7)、スノーテックスOL(動的光散乱法で求めた数平均粒子径:15nm、固形分:20質量%、pH2.5)等を挙げることができる。
また、コロイダルシリカ表面に化学修飾等の表面処理を行ったものを使用することができ、例えば分子中に1以上のアルキル基を有する加水分解性ケイ素化合物又はその加水分解物を含有するもの等を反応させることができる。このような加水分解性ケイ素化合物としては、トリメチルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、1,1,1―トリメトキシ−2,2,2−トリメチル−ジシラン、ヘキサメチル−1,3−ジシロキサン、1,1,1―トリメトキシ−3,3,3−トリメチル−1,3−ジシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−ジメチルメトキシシリル−ポリジメチルシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−トリメトキシシリル−ポリジメチルシロキサンヘキサメチル−1,3−ジシラザン等を挙げることができる。また、分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物を使用することもできる。分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物は、例えば反応性基としてNH基を有するものとして、尿素プロピルトリメトキシシラン、N―(2−アミノエチル)―3―アミノプロピルトリメトキシシラン等、OH基を有するものとして、ビス(2−ヒドロキシエチル)―3アミノトリプロピルメトキシシラン等、イソシアネート基を有するものとして3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等、チオシアネート基を有するものとして3−チオシアネートプロピルトリメトキシシラン等、エポキシ基を有するものとして(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等、チオール基を有するものとして、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。好ましい化合物として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
シリカを主成分とする粒子は、重合性不飽和基を含む有機化合物(以下、「特定有機化合物」ということがある。)によって表面処理がなされたものであることが好ましい。かかる表面処理により、本発明の組成物を硬化せしめた硬化物の耐擦傷性がアルカリ性水溶液に浸漬後も劣化しにくくなる。
(2)特定有機化合物
本発明に用いられる特定有機化合物は、分子内に重合性不飽和基含む重合性の化合物である。この化合物は、分子内に、さらに下記式(8)に示す基を含む化合物であること及び分子内にシラノ−ル基を有する化合物又は加水分解によってシラノ−ル基を生成する化合物であることが好ましい。
Figure 2007262202
[式(8)中、XはNH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、YはO又はSを示す。]
(i)重合性不飽和基
特定有機化合物に含まれる重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエ−ト基、アクリルアミド基を好適例として挙げることができる。
(ii)式(8)に示す基
特定有機化合物は、分子内に前記式(8)に示す基をさらに含むものであることが好ましい。前記式(11)に示す基[−X−C(=Y)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1とを併用することが好ましい。
(iii)シラノ−ル基又は加水分解によってシラノ−ル基を生成する基
特定有機化合物は、分子内にシラノール基を有する化合物(以下、「シラノール基含有化合物」ということがある)又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物(以下、「シラノール基生成化合物」ということがある)であることが好ましい。このようなシラノール基生成化合物としては、ケイ素原子上にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等を有する化合物を挙げることができるが、ケイ素原子上にアルコキシ基又はアリールオキシ基を含む化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
(iv)好ましい態様
特定有機化合物の好ましい具体例としては、例えば、下記式(9)に示す化合物を挙げることができる。
Figure 2007262202
25、R26は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアリール基であり、aは1、2又は3の数を示す。
25、R26の例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。
[(R25O)a26 3-aSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
27は炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。そのような有機基としては例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。これらのうち好ましい例は、メチレン、プロピレン、シクロヘキシレン、フェニレン等である。
また、R28は2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。例えば、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合、さらには前記式(8)に示す基を含むこともできる。
29は(b+1)価の有機基であり、好ましくは鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Zは活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。例えば、アクリロイル(オキシ)基、メタアクリロイル(オキシ)基、ビニル(オキシ)基、プロペニル(オキシ)基、ブタジエニル(オキシ)基、スチリル(オキシ)基、エチニル(オキシ)基、シンナモイル(オキシ)基、マレエート基、アクリルアミド基、メタアクリルアミド基等を挙げることができる。これらの中でアクリロイル(オキシ)基及びメタアクリロイル(オキシ)基が好ましい。また、bは好ましくは1〜20の正の整数であり、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
(3)特定有機化合物によるシリカを主成とする粒子(以下、粒子ともいう。)の表面処理方法
特定有機化合物による粒子の表面処理方法としては特に制限はないが、特定有機化合物と粒子とを混合し、加熱、攪拌処理することにより製造することも可能である。尚、特定有機化合物が有するシラノール基生成部位と、粒子とを効率よく結合させるため、反応は水の存在下で行われることが好ましい。ただし、特定有機化合物がシラノール基を有している場合は水はなくてもよい。従って、粒子及び特定有機化合物を少なくとも混合する操作を含む方法により表面処理できる。
粒子と特定有機化合物の反応量は、粒子及び特定有機化合物の合計を100質量%として、好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは1質量%以上である。0.01質量%未満であると、組成物中における粒子の分散性が十分でなく、得られる硬化物の透明性、耐擦傷性が十分でなくなる場合がある。
以下、特定有機化合物として、前記式(9)に示すアルコキシシリル基含有化合物(アルコキシシラン化合物)を例にとり、表面処理方法をさらに詳細に説明する。
表面処理時においてアルコキシシラン化合物の加水分解で消費される水の量は、1分子中のケイ素上のアルコキシ基の少なくとも1個が加水分解される量であればよい。好ましくは加水分解の際に添加、又は存在する水の量は、ケイ素上の全アルコキシ基のモル数に対し3分の1以上であり、さらに好ましくは全アルコキシ基のモル数の2分の1以上3倍未満である。
表面処理時においては、前記アルコキシシラン化合物を別途加水分解操作に付した後、これと粉体粒子又は粒子の溶剤分散ゾルを混合し、加熱、攪拌操作を行う方法;前記アルコキシシラン化合物の加水分解を粒子の存在下で行う方法;又は、他の成分、例えば、重合開始剤等の存在下、粒子の表面処理を行う方法等を選ぶことができる。この中では、前記アルコキシシラン化合物の加水分解を粒子の存在下で行う方法が好ましい。表面処理時、その温度は、好ましくは0℃以上150℃以下であり、さらに好ましくは20℃以上100℃以下である。また、処理時間は通常5分から24時間の範囲である。
粒子として溶剤分散ゾルを用いる場合、溶剤分散ゾルと、特定有機化合物とを少なくとも混合することにより製造することができる。ここで、反応初期の均一性を確保し、反応を円滑に進行させる目的で、水と均一に相溶する有機溶剤を添加してもよい。
尚、粒子に結合したアルコキシシラン化合物の量は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の重量減少%の恒量値として、空気中で110℃から800℃までの熱重量分析により求めることができる。
(D)シリカを主成分とする粒子の樹脂組成物中における配合量は、有機溶媒以外の組成物全量に対して通常1〜90質量%配合され、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がさらに好ましく、20〜60質量%が特に好ましい。5質量%未満であると、硬化物としたときの硬度が不十分となることがあり、90質量%を超えると、硬化しない(膜にならない)ことがある。尚、粒子の量は、固形分を意味し、粒子が溶剤分散ゾルの形態で用いられるときは、その配合量には溶剤の量を含まない。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに下記の(E)〜(G)成分を含むことが好ましい。
(E)有機溶媒
また、硬化性樹脂組成物中には、さらに有機溶媒を添加することが好ましい。このように有機溶媒を添加することにより、薄膜の反射防止膜を均一に形成することができる。このような有機溶媒としては、メチルイソブチルケトン(以下「MIBK」という場合がある。)、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、t−ブタノール、イソプロパノール等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
有機溶媒の添加量についても特に制限されるものではないが、有機溶媒以外の組成物全量100質量部に対し、100〜100,000質量部とするのが好ましい。この理由は、添加量が100質量部未満となると、硬化性樹脂組成物の粘度調整が困難となる場合があるためであり、一方、添加量が100,000質量部を超えると、硬化性樹脂組成物の保存安定性が低下したり、あるいは粘度が低下しすぎて取り扱いが困難となる場合があるためである。
(F)その他の成分
本発明の硬化性樹脂組成物には、さらに、1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する含フッ素化合物(以下、「含フッ素(メタ)アクリレート化合物」という)を添加することもできる。含フッ素(メタ)アクリレート化合物は、硬化性樹脂組成物の屈折率を低下させるために用いられる。含フッ素(メタ)アクリレート化合物としては、含フッ素(メタ)アクリレートモノマーと、(A)成分以外のエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
(A)成分以外のエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体としては、(A)成分に該当せず、上記溶媒に対する溶解性を有していれば、特に限定されないが、例えば、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(FPVE)とエチルビニルエーテル(EVE)とヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)とを含有する共重合体を2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと反応させて得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体等を挙げることができる。 (F)成分として、(A)成分を製造するために用いられる水酸基含有含フッ素共重合体と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートとを反応させて得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体を配合することにより、耐擦傷性を改善することができる。この場合、特に、(A)成分のエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が、構造単位(d)及び(e)を含有していない場合であっても、耐擦傷性を顕著に改善することができる。ここで、(A)成分を製造するために用いられる水酸基含有含フッ素共重合体は、前記構造単位(a)、(b)及び(c)を含有する水酸基含有含フッ素共重合体であって、該共重合体の質量中に占める、構造単位(a)、(b)及び(c)の合計量が80質量%以上であり、かつ、構造単位(a)、(b)及び(c)を、これらの合計100モル%に対して、構造単位(a)を40〜55モル%、構造単位(b)を30〜60モル%、及び構造単位(c)を0〜20モル%の割合で含有する水酸基含有含フッ素共重合体である。
(F)含フッ素(メタ)アクリレート化合物の配合量は特に制限されるものではないが、有機溶剤を除く組成物全量に対して、通常、0〜40質量%であり、好ましくは、0〜30質量%である。40質量%を越えると、(A)成分の配合量が低下するため、硬化膜の屈折率が増大する場合がある。
(G)添加剤
硬化性樹脂組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、ラジカル性光重合開始剤、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、無機充填剤、顔料、染料等の添加剤をさらに含有させることも好ましい。
5.調製方法
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分及び/又は(D)成分、又は必要に応じて上記(E)〜(G)成分をそれぞれ添加して、室温または加熱条件下で混合することにより調製することができる。具体的には、ミキサ、ニーダー、ボールミル、三本ロール等の混合機を用いて、調製することができる。ただし、加熱条件下で混合する場合には、熱重合開始剤の分解開始温度以下で行うことが好ましい。
[硬化膜]
本発明の硬化膜は、上述した硬化性樹脂組成物を基材上等で硬化することにより作製できる。
硬化性樹脂組成物の硬化条件については、特に制限されるものではないが、例えば活性エネルギー線を用いた場合、露光量を0.01〜10J/cm2の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、露光量が0.01J/cm2 未満となると、硬化不良が生じる場合があるためであり、一方、露光量が10J/cm2 を超えると、硬化時間が過度に長くなる場合があるためである。また、このような理由により、露光量を0.1〜5J/cm2 の範囲内の値とするのがより好ましく、0.3〜3J/cm2の範囲内の値とするのがより好ましい。
また、硬化性樹脂組成物を、加熱して硬化させる場合には、30〜200℃の範囲内の温度で、1〜180分間加熱するのが好ましい。このように加熱することにより、基材等を損傷することなく、より効率的に耐擦傷性に優れた反射防止膜を得ることができる。また、このような理由から、50〜180℃の範囲内の温度で、2〜120分間加熱するのがより好ましく、80〜150℃の範囲内の温度で、5〜60分間加熱するのがさらに好ましい。
[反射防止膜]
以下、本発明の反射防止膜について説明する。本発明の反射防止膜は、上記硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物からなる低屈折率層を含む。さらに、本発明の反射防止膜は、低屈折率層の下に、高屈折率層、ハードコート層、及び基材を含むことができる。図1に、かかる反射防止膜10を示す。図1に示すように、基材12の上に、ハードコート層14、高屈折率層16および低屈折率層18が積層されている。このとき、基材12の上に、ハードコート層14を設けずに、直接、高屈折率層16を形成してもよい。また、高屈折率層16と低屈折率層18の間、又は高屈折率層16とハードコート層14の間に、さらに、中屈折率層(図示せず。)を設けてもよい。
(1)低屈折率層
低屈折率層は、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物から構成される。硬化性樹脂組成物の構成等については、上述の通りであるため、ここでの具体的な説明は省略するものとし、以下、低屈折率層の屈折率及び厚さについて説明する。
(i)屈折率
硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の屈折率(Na−D線の屈折率、測定温度25℃)、すなわち、低屈折率膜の屈折率を1.45以下とすることが好ましい。この理由は、低屈折率膜の屈折率が1.45を超えると、高屈折率膜と組み合わせた場合に、反射防止効果が著しく低下する場合があるためである。したがって、低屈折率膜の屈折率を1.44以下とするのがより好ましく、1.43以下とするのがさらに好ましい。なお、低屈折率膜を複数層設ける場合には、そのうちの少なくとも一層が上述した範囲内の屈折率の値を有していれば良く、したがって、その他の低屈折率膜は1.45を超えた値であってもよい。
また、低屈折率層を設ける場合、より優れた反射防止効果が得られることから、高屈折率層との間の屈折率差を0.05以上の値とするのが好ましい。この理由は、低屈折率層と、高屈折率層との間の屈折率差が0.05未満の値となると、これらの反射防止膜層での相乗効果が得られず、却って反射防止効果が低下する場合があるためである。したがって、低屈折率層と、高屈折率層との間の屈折率差を0.1〜0.5の範囲内の値とするのがより好ましく、0.15〜0.5の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(ii)厚さ
また、低屈折率層の厚さについても特に制限されるものではないが、例えば、50〜300nmであることが好ましい。この理由は、低屈折率層の厚さが50nm未満となると、下地としての高屈折率膜に対する密着力が低下する場合があるためであり、一方、厚さが300nmを超えると、光干渉が生じて反射防止効果が低下する場合があるためである。したがって、低屈折率層の厚さを50〜250nmとするのがより好ましく、60〜200nmとするのがさらに好ましい。なお、より高い反射防止性を得るために、低屈折率層を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを50〜300nmとすれば良い。
(2)高屈折率層
高屈折率層を形成するための硬化性組成物としては、特に制限されるものでないが、被膜形成成分として、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、シアネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シロキサン樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせを含むことが好ましい。これらの樹脂であれば、高屈折率層として、強固な薄膜を形成することができ、結果として、反射防止膜の耐擦傷性を著しく向上させることができるためである。しかしながら、通常、これらの樹脂単独での屈折率は1.45〜1.62であり、高い反射防止性能を得るには十分で無い場合がある。そのため、高屈折率の無機粒子、例えば金属酸化物粒子を配合することがより好ましい。また、硬化形態としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化できる硬化性組成物を用いることができるが、より好適には生産性の良好な紫外線硬化性組成物が用いられる。
高屈折率層の厚さは特に制限されるものではないが、例えば、50〜30,000nmであることが好ましい。この理由は、高屈折率層の厚さが50nm未満となると、低屈折率層と組み合わせた場合に、反射防止効果や基材に対する密着力が低下する場合があるためであり、一方、厚さが30,000nmを超えると、光干渉が生じて逆に反射防止効果が低下する場合があるためである。したがって、高屈折率層の厚さを50〜1,000nmとするのがより好ましく、60〜500nmとするのがさらに好ましい。また、より高い反射防止性を得るために、高屈折率層を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを50〜30,000nmとすれば良い。なお、高屈折率層と基材との間にハードコート層を設ける場合には、高屈折率層の厚さを50〜300nmとすることができる。
(3)ハードコート層
本発明の反射防止膜に用いるハードコート層の構成材料については特に制限されるものでない。このような材料としては、シロキサン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などの一種単独または二種以上の組み合わせを挙げることができる。
また、ハードコート層の厚さについても特に制限されるものではないが、1〜50μmとするのが好ましく、5〜10μmとするのがより好ましい。この理由は、ハードコート層の厚さが1μm未満となると、反射防止膜の基材に対する密着力を向上させることができない場合があるためであり、一方、厚さが50μmを超えると、均一に形成するのが困難となる場合があるためである。
(4)基材
本発明の反射防止膜に用いる基材の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ガラス、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)等からなる基材を挙げることができる。これらの基材を含む反射防止膜とすることにより、カメラのレンズ部、テレビ(CRT)の画面表示部、あるいは液晶表示装置におけるカラーフィルター等の広範な反射防止膜の利用分野において、優れた反射防止効果を得ることができる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
合成例1:水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)の製造
内容積3.0Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル1500g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(FPVE)506.1g、(パーフルオロオクチル)エチルビニルエーテル93.3g、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)150.7g、過酸化ラウロイル3.8gを仕込み、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いで昇温を開始し、70℃で20時間攪拌下に反応を継続後、オートクレーブを水冷し、反応を停止させた。
反応液の温度が室温に達した後、オートクレーブを開放し、反応液を回収後、メタノール/水混合溶液(混合重量比80/20)30kgに反応液を滴下した。沈殿物を取り出し、40℃にて減圧乾燥を行い水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)を得た。
合成例2:水酸基含有含フッ素共重合体(A−2)の製造
内容積3.0Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル1500g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(FPVE)506.1g、(パーフルオロオクチル)エチルビニルエーテル93.2g、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)150.7g、過酸化ラウロイル4g、VPS1001を、22.5g、NE−30を37.5gを仕込み、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いで昇温を開始し、70℃で20時間攪拌下に反応を継続後、オートクレーブを水冷し、反応を停止させた。
反応液の温度が室温に達した後、オートクレーブを開放し、反応液を回収後、メタノール/水混合溶液(混合重量比95/5)30kgに反応液を滴下した。沈殿物を取り出し、40℃にて減圧乾燥を行い水酸基含有含フッ素共重合体(A−2)を得た。
ここで、VPS1001は、数平均分子量が7〜9万、ポリシロキサン部分の分子量が約10,000の、上記式(4−3)で表されるアゾ基含有ポリジメチルシロキサンである。NE−30は、上記式(5−2)において、nが9、mが1、uが30であるノニオン性反応性乳化剤である。
合成例3:水酸基含有含フッ素共重合体(A−3)の製造
表1に示す単量体及び溶剤を、表1に記載の仕込み質量(g)で用いた以外は合成例1と同様にして水酸基含有含フッ素共重合体を得た。生成した水酸基含有含フッ素共重合体を、水酸基含有含フッ素共重合体A−3という。
合成例4:水酸基含有含フッ素共重合体(A−4)の製造
内容積3.0Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル1500g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(FPVE)459.2g、(パーフルオロオクチル)エチルビニルエーテル169.3g、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)121.6g、過酸化ラウロイル3.8g、VPS1001を、22.5gを仕込み、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いで昇温を開始し、70℃で20時間攪拌下に反応を継続後、オートクレーブを水冷し、反応を停止させた。
反応液の温度が室温に達した後、オートクレーブを開放、反応液を回収し、水酸基含有含フッ素共重合体溶液(A−4)を得た。
合成例5、6:水酸基含有含フッ素共重合体溶液(A−5)、(A−6)の製造
表1に示す単量体及び溶剤を、表1に記載の仕込み質量(g)で用いた以外は合成例4と同様にして水酸基含有含フッ素共重合体溶液を得た。生成した水酸基含有含フッ素共重合体溶液を、それぞれ水酸基含有含フッ素共重合体A−5、A−6という。
Figure 2007262202
表1中の略号は下記のものを示す。
FPVE:パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)
HEVE:ヒドロキシエチルビニルエーテル
VPS1001:式(4−3)で表されるアゾ基含有ポリジメチルシロキサン;和光純薬工業株式会社製
NE−30:式(5−2)において、nが9、mが1、uが30であるノニオン性反応性乳化剤;旭電化工業株式会社製
MIBK:メチルイソブチルケトン
合成例7:エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体溶液(B−1)の製造
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量3リットルのセパラブルフラスコに、合成例1で得られた水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)を100gと、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.02g及び、溶剤としてMIBKを766.2g及び、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを35.2g添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.3gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を乾燥空気下にて継続し、水酸基含有含フッ素共重合体(A−1)と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートとの反応溶液(B−1)(固形分濃度20質量%)を得た。得られたエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体の組成分析を13C−NMRにより行い、組成から求めたフッ素含有率は、42質量%であった。
合成例8,9:エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体溶液(B−2、B−3)の製造
表2に示す単量体及び溶剤を、表2に記載の仕込み質量(g)で用いた以外は実施例1と同様にしてエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体溶液を得た。生成したエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体溶液を、それぞれエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体溶液(B−2)、(B−3)という。
合成例10:エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体溶液(B−4)の製造
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量3リットルのセパラブルフラスコに、合成例4で得られた水酸基含有含フッ素共重合体溶液(A−4)を810gと重合禁止剤としてp−メトキシフェノールを0.1g仕込み、78℃で5時間攪拌を行った後、氷浴を用い20℃まで冷却した。次に、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.05g及び、溶剤として酢酸エチルを1469g及び、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート78.2gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.7gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を乾燥空気下にて継続し、水酸基含有含フッ素共重合体A−4と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートとの反応物b−4を得た。次に、得られた反応物を、電磁攪拌機を備えた容量40Lのステンレス製容器に仕込んだメタノール20kg中に攪拌しながら滴下後、2時間静置を行い、反応物b−4を沈殿させた。沈殿物を溶剤(メタノールと酢酸エチルの混合溶剤)から分離し、溶剤によって膨潤した状態の反応物330gを得た。この反応物及び1280gのMIBKを、電磁攪拌機を備えた容量3リットルのセパラブルフラスコに仕込み、溶液が均一になるまで攪拌したあと、3Lのナス型フラスコに仕込み、エバポレーターを用い、温度40℃、圧力150hPaの条件下にて、残留するメタノール、酢酸エチルを留去した。固形分含量が20%になるようにMIBKを追加することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体(B−4)のMIBK溶液を得た。
水酸基含有含フッ素共重合体(A−4)と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートとの反応における各成分の配合量を表2に示す。また、得られたエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体のNMRチャートを図1に示す。
合成例11,12:エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体溶液(B−5、B−6)の製造
表2に示す単量体及び溶剤を、表2に記載の仕込み質量(g)で用いた以外は実施例4と同様にしてエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体溶液を得た。生成したエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体溶液を、それぞれエチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体溶液(B−5)、(B−6)という。
Figure 2007262202
比較合成例1:水酸基含有含フッ素共重合体(F−1)の製造
合成例1において、(c)成分である(パーフルオロオクチル)エチルビニルエーテルに代えて、エチルビニルエーテル(EVE)を使用して共重合体を作製した。
具体的に、内容積2.0Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル400g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(FPVE)53.2g、エチルビニルエーテル(EVE)64.9g、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)8.8g、過酸化ラウロイル1.00g、VPS1001 6.0g及びNE−30 20.0gを仕込み、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いで昇温を開始し、70℃で20時間攪拌下に反応を継続後、オートクレーブを水冷し、反応を停止させた。
反応液の温度が室温に達した後、オートクレーブを開放し、反応液を回収後、メタノール/水混合溶液(混合重量比95/5)30kgに反応液を滴下した。沈殿物を取り出し、40℃にて減圧乾燥を行い水酸基含有含フッ素共重合体(F−1)を得た。
水酸基含有含フッ素共重合体(F−1)中に占める、構造単位(a)、(b)及び(c)の合計量は40質量%であり、構造単位(a)、(b)及び(c)の含有量は、これらの合計100モル%に対して、それぞれ、67モル%、33モル%及び0モル%であった。
比較合成例2:エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(F−2)の合成
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、比較合成例1で得られた水酸基含有含フッ素重合体(F−1)を50.0g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びMIBK370gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。次いで、この系に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを15.1gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.1gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(F−2)のMIBK溶液を得た。
製造例1:ハードコート層用組成物の調製
紫外線を遮蔽した容器中において、リン含有酸化錫分散液(触媒化成工業(株)製 ELCOM JX−1001PTV、分散溶媒 プロピレングリコールモノメチルエーテル、リン含有酸化錫30質量%、平均一次粒子径20nm、分散剤2.17質量%含有)80部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製 商品名 KAYARAD DPHA)15.6部、ビス(アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(新中村化学工業製 NKエステル A−DCP:「トリシクロデカンジイルジメタノールジアクリレート」)15.6部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 イルガキュア184、313nmにおけるモル吸光係数:80L/mol・cm)4.5部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル50部、を50℃で2時間攪拌することで均一な溶液のハードコート層用組成物を得た。このハードコート層用組成物をアルミ皿に2g秤量後、140℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、35質量%であった。
製造例2:硬化膜物性評価用ハードコート層付き基材フィルムの製造
製造例1で得られたハードコート層用組成物を、ワイヤーバーコータ#12を用いて、ARTONフィルムG7810(JSR(株)製ノルボルネン樹脂フィルム、膜厚188μm)上に塗工し、オーブン中、80℃、3分間の条件で乾燥した。次いで、大気中、メタルハライドランプを用いて、1J/cmの光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、ハードコート層付き基材フィルムを作製した。ハードコート層の膜厚を触針式表面形状測定器により測定したところ、3μmであった。
製造例3:アルコキシシラン(1)の製造
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.8部、ジブチルスズジラウレート0.2部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート20.6部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間攪拌した。これにペンタエリスリトールトリアクリレート71.4部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱攪拌することでアルコキシシラン(1)を得た。
生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550カイザ−の吸収ピ−ク及びイソシアネ−ト基に特徴的な2260カイザ−の吸収ピ−クが消失し、新たに、[−O−C(=O)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基中のカルボニルに特徴的な1660カイザ−のピ−ク及びアクリロイル基に特徴的な1720カイザ−のピ−クが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロイル基と[−S−C(=O)−NH−]基、[−O−C(=O)−NH−]基を共に有するアルコキシシラン(1)が生成していることを示した。
製造例4:重合性不飽和基を有する有機化合物が結合した反応性シリカ粒子ゾル(D−1)の製造
シリカ粒子ゾル(メチルエチルケトンシリカゾル、日産化学工業(株)製MEK−ST−L、数平均粒子径0.05μm、シリカ濃度30%)143g(シリカ粒子として43g)、製造例3で製造したアルコキシシラン(1)の溶液2.8g、蒸留水0.1g、p−ヒドロキノンモノメチルエーテル0.01gを混合し、65℃で加熱攪拌した。4時間後、オルト蟻酸メチルエステル1.0g添加し、さらに1時間加熱することで、固形分31%の反応性シリカ粒子ゾル(D−1)を得た。
製造例5:(B)成分である下記式(10)で示される化合物の製造
Figure 2007262202

[式中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。]
攪拌機付きの容器内のイソホロンジイソシアネート18.8部と、ジブチル錫ジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)93部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1質量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)を含むことを確認した。
以上により、前記式(10)で示される化合物が75部得られたほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート37部が混在していた。
以下、本発明の硬化性樹脂組成物の調製例を実施例1〜7及び比較例1〜2に示す。
実施例1〜7及び比較例1〜2
表3に従って各成分を攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、23℃にて1時間攪拌し均一な硬化性樹脂組成物を得た。また、製造例1と同様にして固形含有量を求めた。
Figure 2007262202
表3中の成分名は、下記の通りである。
イルガキュア907;2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製
FM0725;アクリロイル変性ポリジメチルシロキサン:チッソ株式会社
フローレンAC901;アクリルビニルエーテルポリマーとポリアルキルシロキサンの混合物:共栄社化学株式会社
MIBK;メチルイソブチルケトン
評価
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の屈折率、耐擦傷性及び塗工性を下記に示す測定法により測定した。得られた結果を表3に示す。
(1)[硬化膜の評価]
(1−1)屈折率
各硬化性樹脂組成物をスピンコーターによりシリコンウェハー上に、乾燥後の厚さが約0.1μmとなるように塗布後、窒素下、高圧水銀ランプを用いて、0.5mJ/cmの光照射条件で紫外線を照射して硬化させた。得られた硬化物について、エリプソメーターを用いて25℃での波長589nmにおける屈折率(n 25)を測定した。
(2)[反射防止膜の評価]
(2−1)反射率
得られた各評価用試料の反射率を、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長340〜700nmの範囲で反射率を測定して評価した。具体的には、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における反射防止積層体(反射防止膜)の反射率を測定し、下記評価基準に従って評価した。
○:反射率が1.5%未満である。
×:反射率が1.5%以上である。
(2−2)耐擦傷性1(スチールウール耐性)
スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)社製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、各評価用試料の表面を荷重200gの条件で10回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で確認し、下記表か基準に従って評価した。
◎:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
○:硬化膜に細い傷が認められる。
△硬化膜に傷が認められる。
×:硬化膜の一部に剥離が認められる。
(2−3)耐擦傷性2(布擦り耐性)
製造例2で得られたハードコート付フィルム上に、各硬化性樹脂組成物を、ワイヤーバーコータ#3を用いて塗工し、オーブン中、80℃、1分間の条件で乾燥した。次いで、窒素雰囲気下で、メタルハライドランプを用いて、1J/cmの光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、低屈折率層を形成させて反射防止積層体を作製した。
作製した評価用試料の表面を、エタノールを染み込ませたセルロース製不織布(商品名ベンコット、旭化成工業(株))を用いて往復200回手で擦り、評価用試料表面の耐擦傷性を目視にて確認し、下記表か基準に従って評価した。
◎:評価用試料表面が無傷。
○:評価用試料表面に細かい傷がついている。
△:評価用試料表面に傷がついている。
×:塗膜の剥離が見られる。
(2−4)湿熱環境下保管後の耐擦傷性(布擦り耐性)
上記の評価用試料を、80℃、95%RHの条件下で1週間静置後、その表面を、エタノールを染み込ませたセルロース製不織布(商品名ベンコット、旭化成工業(株))を用いて往復200回手で擦り、評価用試料表面の耐久性を目視にて確認し、下記表か基準に従って評価した。
◎:評価用試料表面が無傷。
○:評価用試料表面に細かい傷がついている。
△:評価用試料表面に傷がついている。
×:塗膜の剥離が見られる。
(2−5)アルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性(布擦り耐性)
上記の評価用試料を、25℃の2N水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬し、蒸留水にて洗浄し風乾後、その表面を、エタノールを染み込ませたセルロース製不織布(商品名ベンコット、旭化成工業(株))を用いて往復200回手で擦り、評価用試料表面のアルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性を目視にて確認し、下記評価基準に従って評価した。
◎:評価用試料表面が無傷。
○:評価用試料表面に細かい傷がついている。
△:評価用試料表面に傷がついている。
×:塗膜の剥離が見られる。
(3)[組成物の評価]
(3−1)塗工性
製造例2で作製したハードコート付フィルム上に、各硬化性樹脂組成物を、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて塗工し、オーブン中、80℃で1分間乾燥し、塗膜を形成した。次いで、窒素下、高圧水銀ランプを用いて、1J/cmの光照射条件で紫外線を照射し、評価用試料を作製した。得られた塗膜の表面を目視にて確認し、下記評価基準に従って評価した。
◎:塗膜全体に欠陥が見られず均一な塗膜
○:塗膜の一部に欠陥が見られるがほぼ均一な塗膜
△:塗膜の一部に欠陥が見られ、塗膜ムラが見られる
×:塗膜一面に欠陥が見られる
本発明の硬化性樹脂組成物は、耐擦傷性、塗工性及び耐久性に優れ、特に反射防止膜として有用である。
本発明の一実施形態による反射防止膜の断面図である。
符号の説明
10 反射防止膜
12 基材
16 高屈折率層
18 低屈折率層

Claims (6)

  1. (A)エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体と、
    (B)成分(A)以外の、2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物と、
    (C)光重合開始剤を含有する、硬化性樹脂組成物であって、
    該(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が、下記式(1)で表される構造単位(a)、下記式(2)で表される構造単位(b)及び下記式(3)で表される構造単位(c)を含有し、
    該エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体中に占める、構造単位(a)、(b)及び(c)の合計量が80質量%以上であって、かつ、
    構造単位(a)、(b)及び(c)を、これらの合計100モル%に対して、
    (a) 40〜55モル%、
    (b) 2〜60モル%、及び
    (c) 25モル%未満
    の割合で含有することを特徴とする、硬化性樹脂組成物。
    構造単位(a):
    Figure 2007262202
    [式中、Rはフッ素原子、フルオロアルキル基又は−ORで表される基(Rはアルキル基又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
    構造単位(b);
    Figure 2007262202
    [式中、Rは水素原子又はメチル基であり、R24は、下記式(6)又は(7)

    Figure 2007262202
    Figure 2007262202
    (式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、xは0〜2であり、yは0又は1である)で示される基を示す]
    構造単位(c):
    Figure 2007262202
    [式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは−O(CHで表される基(Rはフルオロアルキル基を示し、xは0〜2である)を示す]
  2. 前記(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が、共重合体の全体量を100質量%としたときに、下記式(4)で表される構造単位(d)を、0.1〜10質量%含有する、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
    構造単位(d):
    Figure 2007262202
    [式中、R及びR10は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す]
  3. 前記(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素共重合体が、共重合体の全体量を100質量%としたときに、下記式(5)で表される構造単位(e)を1〜15質量%含有する、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
    構造単位(e):
    Figure 2007262202
    [式中、R19は乳化作用を有する基を示す]
  4. シリカを主成分とする粒子を含有する、請求項1〜3のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜。
  6. 請求項5に記載の硬化膜からなる層を有する、反射防止膜。
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