JP2007039669A - 硬化性樹脂組成物及びそれからなる硬化膜 - Google Patents

硬化性樹脂組成物及びそれからなる硬化膜 Download PDF

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Abstract

【課題】低屈折率層と高屈折率層を効率的に製造できる紫外線によって硬化しうる硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記成分:
(A)錫含有酸化インジウム粒子
(B)フッ素を40質量%以上含有するエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
(C)(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の溶解性が高い溶剤
(D)(A)錫含有酸化インジウム粒子の分散安定性が高く、かつ、(C)の溶剤と相溶性である溶剤を含み、かつ、(C)の溶剤の相対蒸発速度が、(D)の溶剤の相対蒸発速度よりも大きいことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【選択図】図3

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物及びそれからなる硬化膜に関し、特に、例えば、低屈折率層と高屈折率層等の、二層以上の多層構造を有する硬化膜を一の塗膜から形成することができる硬化性樹脂組成物及びそれからなる硬化膜に関する。
液晶表示パネル、冷陰極線管パネル、プラズマディスプレー等の各種表示パネルにおいて、外光の映りを防止し、画質を向上させるために、低屈折率性、耐擦傷性、塗工性、及び耐久性に優れた硬化物からなる低屈折率層を含む反射防止膜が求められている。これら表示パネルにおいては、付着した指紋、埃等を除去するため、その表面を、エタノール等を含侵したガーゼで拭くことが多く、耐擦傷性が求められている。特に、液晶表示パネルにおいては、反射防止膜は、偏光板と貼り合わせた状態で液晶ユニット上に設けられている。また、基材としては、例えば、トリアセチルセルロース等が用いられているが、このような基材を用いた反射防止膜では、偏光板と貼り合わせる際の密着性を増すために、通常、アルカリ水溶液でケン化を行う必要がある。従って、液晶表示パネルの用途においては、耐久性において、特に、耐アルカリ性に優れた反射防止膜が求められている。
反射防止膜の低屈折率層用材料として、例えば、水酸基含有含フッ素重合体を含むフッ素樹脂系塗料が知られており、特許文献1、特許文献2及び特許文献3等に開示されている。しかし、このようなフッ素樹脂系塗料では、塗膜を硬化させるために、水酸基含有含フッ素重合体と、メラミン樹脂等の硬化剤とを、酸触媒下、加熱して架橋させる必要があり、加熱条件によっては、硬化時間が過度に長くなったり、使用できる基材の種類が限定されてしまったりという問題があった。また、得られた塗膜についても、耐候性には優れているものの、耐擦傷性や耐久性に乏しいという問題があった。
そこで、上記の問題点を解決するため、特許文献4では、少なくとも1個のイソシアネート基と少なくとも1個の付加重合性不飽和基とを有するイソシアネート基含有不飽和化合物と水酸基含有含フッ素重合体とを、イソシアネート基の数/水酸基の数の比が0.01〜1.0の割合で反応させて得られる不飽和基含有含フッ素ビニル重合体を含む塗料用組成物が提案されている。
特開昭57−34107号公報 特開昭59−189108号公報 特開昭60−67518号公報 特公平6−35559号公報
これら従来のフッ素系材料による反射防止膜は、基材上に設けられた高屈折率層に、フッ素系材料からなる低屈折率層を形成する必要があり、これらの層を形成するための塗布工程を別々に設ける必要があった。
また、表層である低屈折率層の耐擦傷性が十分ではなかった。
本発明は、以上のような状況を背景としてなされたものであって、その目的は、低屈折率層と高屈折率層を効率的に製造できる紫外線によって硬化しうる硬化性樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、従来よりもさらに反射率が低く、透明性が高く、基材に対する密着性が大きく、優れた耐擦傷性を有し、しかも環境耐性に優れた硬化膜を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を行い、紫外線の照射によって硬化する高フッ素含量のエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体に、錫含有酸化インジウム粒子を配合し、かつ、特定の物性を有する2種類の溶剤を組み合わせた組成物を基材に塗布し、溶剤を蒸発させると、当該錫含有酸化インジウム粒子が高密度に存在する層又は当該ITO粒子が高密度に存在する層と当該錫含有酸化インジウム粒子が殆ど存在しない層との二以上の層に分離することを見出した。さらに、紫外線を照射して硬化させて得た硬化膜は、耐擦傷性、透明性に優れ、さらに耐候性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、下記の硬化性樹脂組成物、及びそれを硬化させてなる硬化膜を提供する。
[1]下記成分:
(A)錫含有酸化インジウム粒子
(B)フッ素を40質量%以上含有するエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
(C)(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の溶解性が高い溶剤
(D)(A)錫含有酸化インジウム粒子の分散安定性が高く、かつ、(C)の溶剤と相溶性である溶剤を含み、かつ、(C)の溶剤の相対蒸発速度が、(D)の溶剤の相対蒸発速度よりも大きいことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
[2]前記(A)錫含有酸化インジウム粒子が、錫含有酸化インジウムのイソプロパノール分散ゾル由来である上記[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
[3]前記(B)フッ素を40質量%以上含有するエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体が、
水酸基含有含フッ素重合体と、
水酸基と反応可能な官能基とエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、
を反応させて得られることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の硬化性樹脂組成物。
[4]前記水酸基含有含フッ素重合体が、フッ素重合体全体を100質量%としたときに、下記構造単位(a)5〜90質量%、(b)0.3〜90質量%及び(c)1〜65質量%を含んでなる上記[3]に記載の硬化性樹脂組成物。
(a)下記式(1)で表される構造単位
(b)下記式(2)で表される構造単位
(c)下記式(3)で表される構造単位
[式(1)中、Rはフッ素原子、フルオロアルキル基又は−ORで表される基(Rはアルキル基又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
[式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を、Rはアルキル基、−(CH2)−OR若しくは−OCORで表される基(Rはアルキル基又はフロロアルキル基を、xは0又は1の数を示す)、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基を示す]
[式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を、Rは−(CH−OR27又は−OCOR27で表される基(R27は水素原子、ヒドロキシアルキル基又はグリシジル基を、vは0〜2の数を示す)を示す]
[5]前記水酸基含有含フッ素重合体が、フッ素重合体全体を100質量%としたときに、さらに、アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する下記構造単位(d)0.1〜10質量%を含む上記[3]又は[4]に記載の硬化性樹脂組成物。
(d)下記一般式(4)で表される構造単位
[一般式(4)中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す]
[6]前記水酸基と反応可能な官能基が、イソシアネート基、カルボキシル基、酸ハライド基、酸無水物基よりなる群から選ばれる基である上記[3]〜[5]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[7](C)の溶剤は、(A)錫含有酸化インジウム粒子の分散安定性が低い溶剤であり、
(D)の溶剤は、(B)エチレン系不飽和基含有フッ素重合体の溶解性が低い溶剤であることを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[8]さらに、成分(E)2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物及び/又は1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[9]さらに、成分(F)光ラジカル重合開始剤を含むことを特徴とする上記[1]〜[8]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[10]上記[1]〜[9]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られ、2層以上の多層構造を有することを特徴とする硬化膜。
[11]前記(A)錫含有酸化インジウム粒子が高密度に存在する1以上の層と、前記(A)錫含有酸化インジウム粒子が実質的に存在しない1以下の層からなる二層以上の層構造を有することを特徴とする上記[10]に記載の硬化膜。
本発明の硬化性樹脂組成物は、一の塗膜から、低屈折率層及び高屈折率層等の、任意の二層以上の多層構造を有する硬化膜を形成することができるため、多層構造を有する硬化膜の製造工程を簡略化できる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、加水分解が関与する熱による硬化反応を行わないため、環境耐性(耐湿熱性等)に優れた硬化膜を提供することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、特に、反射防止膜、選択透過膜フィルター等の光学材料の形成に有利に用いることができ、また、フッ素含量が高いことを利用して、耐候性が要求される基材に対する塗料用材料、耐候フィルム用材料、コーティング用材料、その他として好適に使用することができる。しかも、当該硬化膜は、基材に対する密着性に優れ、耐擦傷性が高く、帯電防止性能を有し、良好な反射防止効果を付与することから、反射防止膜として極めて有用であり、各種の表示装置に適用することにより、その視認性を向上させることができる。
さらに、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体のフッ素含量を上昇させたことにより、得られる積層体の反射率を向上させることができる。
また、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体への反応性界面活性剤の導入を行わないことにより、錫含有酸化インジウム粒子のロット間の差異による層分離特性の変動(層分離したり、しなかったり)を改善できる。
以下、本発明の硬化性樹脂組成物、その硬化膜及び積層体について具体的に説明する。
I.硬化性樹脂組成物
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)錫含有酸化インジウム粒子、(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体と、(C)(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の溶解性が高い溶剤(速揮発溶剤)と、(D)(A)錫含有酸化インジウム粒子の分散安定性が高く、かつ、(C)の溶剤と相溶性である溶剤(遅揮発溶剤)とを含有することを特徴とする。
1.本発明の硬化性樹脂組成物の各構成成分について具体的に説明する。
(A)錫含有酸化インジウム粒子
本発明に用いられる錫含有酸化インジウム粒子(A)は、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜を高屈折にすることができる。
本発明で用いる錫含有酸化インジウム粒子(A)は、イソプロパノール(以下、「IPA」ということがある)、又は、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「PGME」ということがある)の分散液であることが好ましい。錫含有酸化インジウム粒子(A)の溶剤分散液は、1種単独で、又は粒子濃度の異なる2種以上を組み合わせて用いることができる。
錫含有酸化インジウム粒子(A)のIPA分散液の市販品としては、例えば、JX1002−ITV(触媒化成工業(株)製、IPA:20質量%分散液)、JX1003−ITV(触媒化成工業(株)製、PGME:20質量%分散液)、NID−20(富士化学(株)製、IPA:20質量%分散液)等が挙げられる。
錫含有酸化インジウム粒子(A)の数平均粒子径は、電子顕微鏡法による測定で、0.001μm〜2μmが好ましく、0.001μm〜0.2μmがさらに好ましく、0.001μm〜0.1μmが特に好ましい。数平均粒子径が2μmを越えると、硬化物としたときの透明性が低下したり、被膜としたときの表面状態が悪化したりする傾向がある。また、粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類を添加してもよい。粒子形状が棒状(アスペクト比が1を超えて10以下の形状を言う)の場合には、短径を粒子径とした。
錫含有酸化インジウム粒子(A)の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状(アスペクト比が1を超えて10以下の形状を言う)、板状、繊維状、又は不定形状であり、好ましくは、球状である。
錫含有酸化インジウム粒子(A)の形態は、乾燥状態の粉末、若しくは水又は有機溶剤で分散した状態で用いることができる。特に、硬化物に優れた透明性が要求される用途においては錫含有酸化インジウム粒子の分散液の利用が好ましい。
錫含有酸化インジウム粒子((A)成分)の硬化性樹脂組成物中における配合(含有)量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、10〜90質量%の範囲内であることが好ましく、20〜80質量%の範囲であることがより好ましく、30〜70質量%の範囲であることがより好ましい。10質量%未満であると、硬化膜の硬度が不十分であるか、又は高屈折率な層が得られないことがある。90質量%を超えると、成膜性が不十分となることがある。尚、錫含有酸化インジウム粒子((A)成分)の量は、固形分を意味し、錫含有酸化インジウム粒子((A)成分)が分散液の形態で用いられるときは、その配合量には分散媒の量を含まない。
(D)フッ素を40質量%以上含有するエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
本発明で使用されるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、水酸基含有含フッ素重合体と、水酸基と反応可能な官能基とエチレン性不飽和基とを含有する化合物とを反応させて得られる。ここで、水酸基と反応可能な官能基とエチレン性不飽和基とを含有する化合物としては、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物、或いは、エチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物又はその誘導体が挙げられる。
本発明で用いられるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、フッ素含量が通常、40質量%以上であり、45質量%以上であることが好ましい。フッ素含量が40質量%以上であると、より低屈折率な硬化膜を得ることができる。フッ素含有量は、13C−NMRにより重合体の組成分析を行い、求めた組成から計算することができる。
(1)水酸基含有含フッ素重合体
水酸基含有含フッ素重合体は、下記構造単位(a)5〜90質量%、(b)0.3〜90質量%及び(c)1〜65質量%を含んでなることが好ましい。
(a)下記一般式(1)で表される構造単位。
(b)下記一般式(2)で表される構造単位。
(c)下記一般式(3)で表される構造単位。
このように構成することにより、低屈折率性、耐擦傷性、塗工性、及び耐久性に優れた塗膜を得ることができる。
[一般式(1)中、R1はフッ素原子、フルオロアルキル基、又は−OR2で表される基(R2はアルキル基、又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
[一般式(2)中、R3は水素原子又はメチル基を、R4はアルキル基、−(CH2)x−OR5若しくは−OCOR5で表される基(R5はアルキル基又はフルオロアルキル基を、xは0又は1の数を示す)、カルボキシル基、又はアルコキシカルボニル基を示す]
[一般式(3)中、R6は水素原子又はメチル基を、R7は−(CH−OR27又は−OCOR27で表される基(R27は水素原子、ヒドロキシアルキル基又はグリシジル基を、vは0〜2の数を示す)を示す]
(1)構造単位(a)
一般式(1)において、R1及びR2のフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基等の炭素数1〜6のフルオロアルキル基が挙げられる。また、R2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
構造単位(a)は、含フッ素ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような含フッ素ビニル単量体としては、少なくとも1個の重合性不飽和二重結合と、少なくとも1個のフッ素原子とを有する化合物であれば特に制限されるものではない。このような例としてはテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン等のフルオロレフィン類;アルキルパーフルオロビニルエーテル又はアルコキシアルキルパーフルオロビニルエーテル類;パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)、パーフルオロ(イソブチルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類;パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらの中でも、ヘキサフルオロプロピレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)又はパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)がより好ましい。
尚、構造単位(a)の含有率は、水酸基含有含フッ素重合体の全体量を100質量%としたときに、5〜90質量%とすることが好ましい。この理由は、含有率が5質量%未満になると、含フッ素重合体のフッ素含有率が低く、本発明が意図するところのフッ素含有材料の光学的特徴である、低屈折率の発現が困難となる場合があるためであり、一方、含有率が90質量%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性、透明性、又は基材への密着性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(a)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、10〜70質量%とするのがより好ましく、15〜60質量%とするのがさらに好ましい。
(2)構造単位(b)
一般式(2)において、R4又はR5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ラウリル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、Rのアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ、Rのフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、2−(トリフルオロメチル)エチル基、2−(パーフルオロエチル)エチル基、2−(パーフルオロプロピル)エチル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、2−(パーフルオロペンチル)エチル基、2−(パーフルオロヘキシル)エチル基、2−(パーフルオロオクチル)エチル基、2−(パーフルオロノニル)エチル基、2−(パーフルオロデシル)エチル基等が挙げられる。
構造単位(b)は、上述の置換基を有するビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このようなビニル単量体の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル若しくはシクロアルキルビニルエーテル類;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル等のアリルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;及び以下の構造式を有するものが挙げられる。
(式中、R28は水素原子又はメチル基であり、wは0〜2の数を表す。)
これらは一種単独又は二種以上の組み合わせで使用できる。
尚、構造単位(b)の含有率は、水酸基含有含フッ素重合体の全体量を100質量%としたときに、0.3〜90質量%とすることが好ましい。この理由は、含有率が0.3質量%未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が90質量%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(b)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、0.4〜70質量%とするのがより好ましく、0.5〜60質量%とするのがさらに好ましい。
(3)構造単位(c)
一般式(3)において、R27のヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基等が挙げられる。
構造単位(c)は、水酸基含有ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような水酸基含有ビニル単量体の例としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類、アリルアルコール等が挙げられる。
また、水酸基含有ビニル単量体としては、上記以外にも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を用いることができる。
また、本発明においては、加水分解により水酸基を生成することから、グリシジル基も水酸基を含有するものとみなす。グリシジル基を含有する単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレートを用いることができる。
尚、構造単位(c)の含有率は、水酸基含有含フッ素重合体の全体量を100質量%としたときに、1〜65質量%とすることが好ましい。この理由は、含有率が1.0質量%未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が65質量%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(c)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、1〜45質量%とするのがより好ましく、1〜30質量%とするのがさらに好ましい。
(4)構造単位(d)及び構造単位(e)
前記水酸基含有含フッ素重合体は、アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する下記構造単位(d)0.1〜10質量%を含むことが好ましい。
(d)下記一般式(4)で表される構造単位。
[一般式(4)中、R8及びR9は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はアリール基を示す]
構造単位(d)を含むことにより、耐擦傷性が向上する。
また、本発明のエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体において、上記構単位(d)を下記構造単位(e)の一部として含むことが好ましい。
(e)前記一般式(6)で表される構造単位。
[一般式(6)中、R11〜R14は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、又はシアノ基を示し、R15〜R18は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はアリール基を示し、p、qは1〜6の数、s、tは0〜6の数、yは1〜200の数を示す。]
以下、構造単位(d)及び(e)について説明する。
一般式(4)において、R8又はR9のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が、ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基等の炭素数1〜4のフルオロアルキル基等が、アリール基としてはフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等がそれぞれ挙げられる。
構造単位(d)は、前記一般式(4)で表されるポリシロキサンセグメントを有するアゾ基含有ポリシロキサン化合物を用いることにより導入することができる。このようなアゾ基含有ポリシロキサン化合物の例としては、下記一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
[一般式(7)中、R11〜R14、R15〜R18、p、q、s、t、及びyは、上記一般式(6)と同じであり、zは1〜20の数である。]
一般式(7)で表される化合物を用いた場合には、構造単位(d)は、構造単位(e)の一部として水酸基含有含フッ素重合体に含まれる。この場合、一般式(7)において、R11〜R14のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、R15〜R18のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が挙げられる。
本発明において、上記一般式(7)で表されるアゾ基含有ポリシロキサン化合物としては、下記一般式(8)で表される化合物が特に好ましい。
[一般式(8)中、y及びzは、上記一般式(7)と同じである。]
尚、構造単位(d)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量を100質量%としたときに、0.1〜10質量%とすることが好ましい。この理由は、含有率が0.1質量%未満になると、硬化後の塗膜の表面滑り性が低下し、塗膜の耐擦傷性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が10質量%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性に劣り、コート材として使用する際に、塗布時にハジキ等が発生し易くなる場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(d)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、0.1〜5質量%とするのがより好ましく、0.1〜4質量%とするのがさらに好ましい。同じ理由により、構造単位(e)の含有率は、その中に含まれる構造単位(d)の含有率を上記範囲にするよう決定することが望ましい。
(5)構造単位(f)
さらに、上記水酸基含有含フッ素重合体は、水酸基含有含フッ素重合体の全体量を100質量%としたときに、下記構造単位(f)0.1〜30質量%を含んでもよい。
(f)下記一般式(5)で表される構造単位。
[一般式(5)中、R10は乳化作用を有する基を示す]
構造単位(f)を含むことにより、塗工性が向上する。
但し、(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体が構造単位(f)を含む場合、本発明の硬化性樹脂組成物を基材等に塗布して形成される塗布層が、(A)錫含有酸化インジウム粒子が高密度に存在する1以上の層と、(A)錫含有酸化インジウム粒子が実質的に存在しない1以下の層とに分離するという特性(層分離性)が不確実となることがあるため、確実な層分離を期待する場合には構造単位(f)の導入は好ましくない。
以下、構造単位(f)について説明する。
一般式(5)において、R10の乳化作用を有する基としては、疎水性基及び親水性基の双方を有し、かつ、親水性基がポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル構造である基が好ましい。
このような乳化作用を有する基の例としては下記一般式(9)で表される基が挙げられる。
[一般式(9)中、nは1〜20の数、mは0〜4の数、uは3〜50の数を示す]
構造単位(f)は、反応性乳化剤を重合成分として用いることにより導入することができる。このような反応性乳化剤としては、下記一般式(10)で表される化合物が挙げられる。
[一般式(10)中、n、m、及びuは、上記一般式(9)と同様である]
尚、構造単位(f)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量を100質量%としたときに、0.1〜30質量%とすることが好ましい。この理由は、含有率が0.1質量%以上になると、水酸基含有含フッ素重合体の溶剤への溶解性が向上し、一方、含有率が30質量%以内であれば、硬化性樹脂組成物の粘着性が過度に増加せず、取り扱いが容易になり、コート材等に用いても耐湿性が低下しないためである。
また、このような理由により、構造単位(f)の含有率を、水酸基含有含フッ素重合体の全体量に対して、0.1〜25質量%とするのがより好ましく、1〜20質量%とするのがさらに好ましい。
(6)分子量
水酸基含有含フッ素重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」という。)で、テトラヒドロフラン(以下「THF」という。)を溶剤として測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であることが好ましい。この理由は、数平均分子量が5,000未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の機械的強度が低下する場合があるためであり、一方、数平均分子量が500,000を超えると、後述する硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、薄膜コーティングが困難となる場合がるためである。
また、このような理由により、水酸基含有含フッ素重合体のポリスチレン換算数平均分子量を10,000〜300,000とするのがより好ましく、10,000〜100,000とするのがさらに好ましい。
(2)1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物
1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物としては、分子内に、1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を含有している化合物であれば特に制限されるものではない。
尚、イソシアネート基を2個以上含有すると、水酸基含有含フッ素重合体と反応させる際にゲル化を起こす可能性がある。
また、上記エチレン性不飽和基として、後述する硬化性樹脂組成物をより容易に硬化させることができることから、(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。
このような化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートの一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
尚、このような化合物は、ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて合成することもできる。
この場合、ジイソシアネートの例としては、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、1,3−キシリレンジイソシアネ−ト、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネ−ト、4,4’−ビフェニレンジイソシアネ−ト、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ−ト、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネ−ト、4−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト、水添ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネ−ト、2,5(又は2,6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらの中では、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが特に好ましい。
また、水酸基含有(メタ)アクリレートの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート等一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
尚、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、大阪有機化学(株)製 商品名 HEA、日本化薬(株)製 商品名 KAYARAD DPHA、PET−30、東亞合成(株)製 商品名 アロニックス M−215、M−233、M−305、M−400等として入手することができる。
ジイソシアネート及び水酸基含有多官能(メタ)アクリレートから合成する場合には、ジイソシアネート1モルに対し、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの添加量を1〜1.2モルとするのが好ましい。
このような化合物の合成方法としては、ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを一括で仕込んで反応させる方法、水酸基含有(メタ)アクリレート中にジイソシアネートを滴下して反応させる方法等を挙げることができる。
(3)エチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物又はその誘導体
エチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物又はその誘導体としては、エチレン性不飽和基とカルボン酸を分子内に有する化合物、又はその酸ハライド、酸無水物等で、水酸基含有含フッ素重合体とエステルを形成する化合物であれば特に制限されるものではない。
また、上記エチレン性不飽和基として、硬化性樹脂組成物をより容易に硬化させることができることから、(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。
このような化合物としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸ブロミド、無水(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
(4)反応モル比
本発明のエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、上述した、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、水酸基含有含フッ素重合体とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が0.1〜1.9の割合で反応させることが好ましい。この理由は、モル比が0.1未満になると耐擦傷性及び耐久性が低下する場合があるためであり、一方、モル比が1.9を超えると、硬化性樹脂組成物の塗膜のアルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、イソシアネート基/水酸基のモル比を、0.3〜1.5とするのが好ましく、0.5〜1.5とするのがより好ましい。
同様の理由で、エチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物又はその誘導体と、水酸基含有含フッ素重合体とを、エチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物又はその誘導体/水酸基のモル比を0.1〜1.9の割合で反応させることが好ましい。但し、カルボン酸誘導体が酸無水物である場合は、1分子で2個の水酸基と反応することが可能であるため、エチレン性不飽和基含有カルボン酸化合物の酸無水物/水酸基のモル比を0.05〜0.95の割合とすることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物における、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(B)の添加量については、特に制限されるものではないが、有機溶剤以外の組成物全量に対して通常1〜80質量%である。この理由は、添加量が1質量%未満となると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の屈折率が高くなり、十分な反射防止効果が得られない場合があるためであり、一方、添加量が80質量%を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の耐擦傷性が得られない場合があるためである。
また、このような理由から、(E)成分の添加量を2〜70質量%とするのがより好ましく、3〜60質量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(C)(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の溶解性が高い溶剤(速揮発溶剤)
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる(C)速揮発溶剤は、上記(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の溶解性が高い溶剤である。ここで、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の溶解性が高いとは、(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体を50質量%となるよう各溶剤に添加して、室温8時間攪拌したときに、目視で均一な溶液となることをいう。溶解性が低いとは、このとき目視で均一な溶液にならないことをいう。そして、(C)速揮発溶剤の相対蒸発速度は、後述の(D)遅揮発溶剤の相対蒸発速度よりも大きいことが必要である。ここで、「相対蒸発速度」とは、酢酸ブチルが90質量%蒸発するのに要する時間を基準とする蒸発速度の相対値をいい、詳細は、TECHNIQUES OF CHEMISTRY VOL.2 ORGANIC SOLVENTS Physical Properties and methods of purification 4th ed. (Interscience Publishers, Inc. 1986 page 62)に記載されているとおりである。また、(C)速揮発溶剤は、上記(A)錫含有酸化インジウム粒子((A)成分の粒子)に対する分散安定性が低いことが好ましい。(C)速揮発溶剤は、相対蒸発速度が(D)よりも大きく、(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体に対する溶解性が高いことにより、本発明の硬化性樹脂組成物を、基材に塗布し、溶剤(C)及び(D)を蒸発させる過程で、(A)成分の粒子を偏在化させることができる。
本発明で(C)速揮発溶剤として用いることができる溶剤としては、相対蒸発速度が概ね1.7以上の溶剤であり、具体的には、メチルエチルケトン(MEK;相対蒸発速度3.8)、イソプロパノール(IPA;1.7)、メチルイソブチルケトン(MIBK;相対蒸発速度1.6)、アセトン、メチルプロピルケトン等が挙げられる。
(D)(A)錫含有酸化インジウム粒子の分散安定性が高く、かつ、(C)の溶剤と相溶性である溶剤(遅揮発溶剤)
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる(D)遅揮発溶剤は、上記(A)錫含有酸化インジウム粒子((A)成分の粒子)の分散安定性が高い溶剤である。ここで、(A)成分の粒子の分散安定性が高いとは、(A)成分の粒子のイソプロパノール分散液にガラス板を浸漬して(A)成分の粒子をガラス壁に付着させ、その(A)成分の粒子が付着したガラス板を各溶剤に浸漬した場合に、(A)成分の粒子が該溶剤中に目視で均一に分散することをいう。分散安定性が低いとは、このとき目視で均一に分散していないことをいう。また、(D)遅揮発溶剤は、上記(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の溶解性が低いことが好ましい。
本発明で(D)遅揮発溶剤として用いることができる溶剤としては、メタノール(相対蒸発速度2.1)、イソプロパノール(IPA;1.7)、n−ブタノール(n−BuOH;0.5)、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。得られる硬化膜の光学特性(ヘイズ、反射率)及び表面抵抗を向上させる点で、(D)遅揮発溶剤には、特にプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を含むことが好ましい。
本発明で用いる(C)速揮発溶剤及び/又は(D)遅揮発溶剤は、通常、上記(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の製造に用いた溶剤をそのまま用いることができる。
本発明で用いる(C)速揮発溶剤と(D)遅揮発溶剤は、相溶性であることが必要である。相溶性は、本発明の組成物の具体的構成において、(C)速揮発溶剤と(D)遅揮発溶剤が分離しない程度の相溶性があれば足りる。
ここで、選択された溶剤が、本発明で用いる(C)速揮発溶剤又は(D)遅揮発溶剤のいずれに該当するかは、選択された複数の溶剤種の間で相対的に決まるものであり、それ故、相対蒸発速度が1.7のイソプロパノールは、(C)速揮発溶剤として用いられることもあれば、(D)遅揮発溶剤として用いられることもある。
硬化性樹脂組成物中の溶剤(C)及び(D)以外の成分総量100質量部に対し、溶剤(C)及び溶剤(D)の合計量は、通常300〜5000質量部、好ましくは300〜4000質量部、より好ましくは300〜3000質量部を用いる。溶剤(C)と溶剤(D)の配合比は、1:99〜99:1の範囲で任意に選択することができる。
(E)少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物、及び/又は、少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物(以下、「硬化性化合物」と総称することがある)
少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物(E−1)は、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物及びそれを用いた反射防止膜の耐擦傷性を高めるために用いられる。
少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物(E−2)は、硬化性樹脂組成物の屈折率を低下させるために用いられる。
化合物(E−1)については、分子内に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であれば特に制限されるものではない。このような例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、「U−15HA」(商品名、新中村化学社製)、「HDP-M20」(商品名、根上工業(株)社製)等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。尚、これらのうち、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、「U−15HA」、「HDP-M20」(商品名、根上工業(株)社製)が特に好ましい。
化合物(E−2)については、少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物であれば特に制限されるものではない。このような例として、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物中における成分(E)の含有量については、特に制限されるものではないが、有機溶剤を除く組成物全量100質量%に対して、通常5〜80質量%である。この理由は、添加量が5質量%未満となると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の耐擦傷性が得られない場合があるためであり、一方、添加量が80質量%を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の屈折率が高くなり、十分な反射防止効果が得られない場合があるためである。また、このような理由から、成分(E)の添加量を5〜70質量%とするのがより好ましく、5〜50質量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(F)光ラジカル重合開始剤
本発明の硬化性樹脂組成物においては、必要に応じて、放射線(光)照射により活性ラジカル種を発生させる(F)光ラジカル重合開始剤(放射線(光)重合開始剤)を配合することができる。
放射線(光)重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
放射線(光)重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 商品名:イルガキュア 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア 1116、1173、BASF社製 商品名:ルシリン TPO、UCB社製 商品名:ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製 商品名:エザキュアー KIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等を挙げることができる。
本発明において必要に応じて用いられる光ラジカル重合開始剤(F)の配合量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、0.01〜10質量%配合することが好ましく、0.1〜10質量%が、さらに好ましい。0.01質量%未満であると、硬化物としたときの硬度が不十分となることがあり、10質量%を超えると、硬化物としたときに内部(下層)まで硬化しないことがある。
(G)その他の成分
本発明の硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料、溶剤(C)及び(D)以外の溶剤等を適宜配合できる。
2.硬化性樹脂組成物の製造方法
本発明の組成物は、次のようにして製造できる。
錫含有酸化インジウム粒子分散液((A)成分)、エチレン性不飽和基含有フッ素重合体((B)成分)、エチレン性不飽和基含有フッ素重合体の溶解性が高い溶剤((C)溶剤)、及び、錫含有酸化インジウム粒子の分散安定性が高くかつ(C)の溶剤と相溶性である溶剤((D)溶剤)、必要に応じて、多官能(メタ)アクリレート((E)成分)、放射線(光)重合開始剤((F)成分)等を攪拌機付きの反応容器に入れ35℃〜45℃で2時間攪拌し本発明の硬化性樹脂組成物とする。
溶剤を最初の粒子分散液に使用した溶剤(α)と異なる種類の溶剤(β)に置換する場合は、粒子分散液の溶剤(α)の質量に対して1.0倍の溶剤(β)も加え同様の条件で攪拌する。次にこの組成液を、ロータリーエバポレーターを用いて固形分濃度50%となる質量まで減圧濃縮し本発明の組成物とする。
3.硬化性樹脂組成物の塗布(コーティング)方法
本発明の硬化性樹脂組成物は反射防止膜や被覆材の用途に好適であり、反射防止や被覆の対象となる基材としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよく、コーティング方法は、通常のコーティング方法、例えばディッピングコート、スプレーコート、フローコート、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。これらのコーティングによる塗膜の厚さは、乾燥、硬化後、通常0.1〜400μmであり、好ましくは、1〜200μmである。
4.硬化性樹脂組成物の硬化方法
本発明の硬化性樹脂組成物は、放射線(光)によって硬化させることができる。その線源としては、組成物をコーティング後短時間で硬化させることができるものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線源として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。また、アルファ線、ベータ線及びガンマ線の線源として、例えば、60Co等の核分裂物質を挙げることができ、ガンマ線については加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独で又は2種以上を同時に又は一定期間をおいて照射することができる。
活性エネルギー線を用いた場合、露光量を0.01〜10J/cmの範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、露光量が0.01J/cm未満となると、硬化不良が生じる場合があるためであり、一方、露光量が10J/cmを超えると、硬化時間が過度に長くなる場合があるためである。また、このような理由により、露光量を0.1〜5J/cmの範囲内の値とするのがより好ましく、0.3〜3J/cmの範囲内の値とするのがより好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化反応は、窒素等の嫌気的条件下において行う必要がある。その理由は酸素によりラジカル重合が阻害される結果、硬化反応が不十分となるからである。
II.硬化膜
本発明の硬化膜は、上記本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られ、2層以上の多層構造を有することを特徴とする。特に、上記(A)錫含有酸化インジウム粒子((A)成分の粒子)が高密度に存在する1以上の層と、上記(A)成分の粒子が実質的に存在しない1以下の層からなる二層以上の層構造を有していることが好ましい。
本発明の硬化膜は、前記硬化性樹脂組成物を種々の基材、例えば、プラスチック基材にコーティングして硬化させることにより得ることができる。具体的には、組成物をコーティングし、好ましくは、0〜200℃で揮発成分を乾燥させた後、上述の、放射線で硬化処理を行うことにより被覆成形体として得ることができる。そのような場合、好ましい紫外線の照射光量は0.01〜10J/cmであり、より好ましくは、0.1〜2J/cmである。また、好ましい電子線の照射条件は、加圧電圧は10〜300KV、電子密度は0.02〜0.30mA/cmであり、電子線照射量は1〜10Mradである。
硬化性樹脂組成物を塗布後、組成物中の溶剤(C)及び溶剤(D)が蒸発して乾燥する過程において、(A)成分の粒子が塗布下地側(隣接層との境界付近)又はその反対側に偏在化する。そのため、硬化膜の一方の界面付近では、(A)成分の粒子が高密度で存在し、硬化膜の他方の界面付近では、(A)成分の粒子が実質的に存在しないため、低屈折率の樹脂層が形成される。従って、硬化性樹脂組成物からなる一の塗膜を硬化させることにより、実質的に二層以上の層構造を有する硬化膜が得られる。これらの分離して形成される各層は、例えば、得られた膜の断面を電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。(A)成分の粒子が高密度に存在する層とは、(A)成分の粒子が集合している部分を指す概念であり、実質的に(A)成分の粒子を主成分として構成された層であるが、層内部に(B)成分等が共存する場合がある。他方、(A)成分の粒子が実質的に存在しない層とは、(A)成分の粒子が存在しない部分を指す概念であるが、本発明の効果を損なわない範囲で(A)成分の粒子が若干含まれていてもよい。この層は、実質的に(B)成分と(E)成分の硬化物等の(A)成分の粒子以外の成分から構成された層である。本発明の硬化膜は、多くの場合、(A)成分の粒子が高密度に存在する層と(A)成分の粒子が実質的に存在しない層がそれぞれ連続した層を形成した二層構造を有する。基材にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(易接着層を有するPET樹脂を含む)等を用いた場合、通常は、基材である層、(A)成分の粒子が高密度に存在する層、(A)成分の粒子が実質的に存在しない層が、この順番に隣接して形成される。
ここで、二層以上の層構造とは、「(A)成分の粒子が高密度に存在する層」と、「(A)成分の粒子が実質的に存在しない層」の両者を共に含む2以上の層からなる場合もあり、また、二以上の「錫含有酸化インジウム粒子が高密度に存在する層」のみからなる場合がある。
本発明の硬化性樹脂組成物中の(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、熱硬化性樹脂(例えば、メラミン化合物)に比べて屈折率が低く、反射防止膜の低屈折率層として好ましい光学的特性を有している。そして、(A)錫含有酸化インジウム粒子として、透明性が高く、かつ導電性に優れた錫含有酸化インジウム粒子のIPA分散液を用いることにより、さらに優れた光学特性及び帯電防止性を有する反射防止膜を形成することができる。
本発明の硬化膜は、高硬度であるとともに、耐擦傷性並びに基材及び基材や低屈折率層等の隣接層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る特徴を有している。また、硬化反応に熱を用いないため、熱硬化反応で生じる加水分解反応を伴わないので、得られる硬化膜は耐湿熱性に優れている。従って、本発明の硬化膜は、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜等に特に好適に用いられる。
屈折率の変化の程度は、(A)成分の含有量、(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の含有量、組成、及び(E)成分(硬化性化合物)の含有量、種類等により調整できる。
また、硬化膜の低屈折率部分における屈折率は、例えば、1.20〜1.55であり、高屈折率部分における屈折率は、1.50〜2.20である。
III.積層体
本発明の硬化性樹脂組成物から得られる二層以上の層構造を有する硬化膜を、積層構造の一部として積層体を得ることができる。積層体を構成する基材層以外の任意の二以上の隣接層は、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化膜として製造することができる。
積層体は、例えば、基材が透明基材の場合には、最外層(基材から最も遠い層)に低屈折率層を設けることにより、優れた反射防止膜となる。積層体は、反射防止膜の他にも、例えば、レンズ、選択透過膜フィルター等の光学用部品に使用できる。
反射防止膜の具体的層構成は、特に限定されるものではない。通常は、基材上に、少なくとも、高屈折率膜、及び低屈折率膜をこの順に積層することにより反射防止機能を持たせたものである。積層体の層構成の一部には、この他にも、ハードコート層、帯電防止層等を含めることができる。本発明の硬化性樹脂組成物を硬化することによって得られる硬化膜は、一の工程によって、基材の上に、高屈折率層及び低屈折率層を形成できるため、製造工程の簡略化ができる。
本発明の硬化膜は、通常、高屈折率層及び低屈折率層の二層からなり、これを基材上に形成することによって、反射防止膜として好適な積層体を形成することができる。このような積層体の典型例である反射防止膜を図1に示す。基材10上に、ハードコート層12を設け、その上に本発明の硬化性樹脂組成物を塗布し硬化させることにより、高屈折率層14及び低屈折率層16が形成される。
反射防止膜は、これら以外の層をさらに有していてもよく、例えば、高屈折率膜と低屈折率膜の組み合わせを複数個設けて広い波長範囲の光に対して比較的均一な反射率特性を有するいわゆるワイドバンドの反射防止膜としてもよく、帯電防止層を設けてもよい。
基材としては特に制限はないが、反射防止膜として用いる場合には、例えば前述の、プラスチック(PET、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)等を挙げることができる。
上記本発明の硬化性樹脂組成物を基材上に塗布し、UV硬化させて得られた本発明の硬化物は、耐擦傷性(スチールウール耐性)、ヘイズに優れ、高硬度である。
積層体は、耐擦傷性及びヘイズに優れ、かつ耐湿熱性に優れるため、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜として特に好適に用いられる。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に限定されるものではない。また、実施例中、各成分の配合量は特に記載のない限り、「部」は質量部を、「%」は質量%を意味している。
製造例1:水酸基含有含フッ素重合体(b−1)の製造
内容積1.5Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル800g、1−ビニロキシ−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデカン165.5g、エチルビニルエーテル16.2g、ヒドロキシエチルビニルエーテル49.5g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンとして「VPS−1001」(和光純薬工業株式会社製)12.0g及び過酸化ラウロイル2.0gを加え、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いでヘキサフルオロプロピレン202.6gを加え、昇温を開始した。70℃の攪拌下で反応を継続し、20時間後に水冷し反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオートクレーブを開放し、固形分濃度22%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い264gの含フッ素重合体(b−1)を得た。
製造例2:エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(Fポリマー1)の製造
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、製造例1で得られた水酸基含有含フッ素重合体(b−1)を63.00g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びMIBK442gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体(b−1)がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。次いで、この系に、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート15.01gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチル錫ジラウレート0.16gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(Fポリマー1)のMIBK溶液を得た。この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15%であった。
得られたFポリマー1の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算数平均分子量は29,600であり、フッ素含量は49質量%であった。
製造例3:水酸基含有含フッ素重合体(b−2)の製造
内容積1.5Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル500g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)43.2g、エチルビニルエーテル41.2g、ヒドロキシエチルビニルエーテル21.5g、ノニオン性反応性乳化剤として「アデカリアソープNE−30」(旭電化工業株式会社製)40.5g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンとして「VPS−1001」(和光純薬工業株式会社製)6.0g及び過酸化ラウロイル1.25gを加え、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いでヘキサフルオロプロピレン97.4gを加え、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3×10Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が1.7×10Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオートクレーブを開放し、固形分濃度26.4%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い220gの水酸基含有含フッ素重合体(b−2)を得た。
製造例4:エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(Fポリマー2)の製造
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、製造例3で得られた水酸基含有含フッ素重合体(b−2)を50.0g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びMIBK374gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体(b−2)がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。次いで、この系に、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート16.0gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.1gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(Fポリマー2)のMIBK溶液を得た。この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15.0%であった。
得られたFポリマー2の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算数平均分子量は43,000であり、フッ素含量は35質量%であった。
実施例1
硬化性樹脂組成物1の調製
ITO粒子ゾル260g(NID−20、富士化学製ITO分散液(イソプロピルアルコール(IPA)溶液)、粒子として52.0g)、製造例2で得られたエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(Fポリマー1)215.5g(エチレン性不飽和基含有フッ素重合体として32.3g)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SR−399E、日本化薬社製)17.1g、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、光ラジカル重合開始剤)2.56g、メチルエチルケトン206g、メチルイソブチルケトン186g、イソプロパノール23g、ノルマルブタノール45g、メチルアミルケトン45gを加え攪拌した。得られた硬化性樹脂組成物の固形分濃度は10.4%であった。配合した溶剤比を表1に示す。
尚、ロットの異なる3種類のITO分散液を用いて、3つの硬化性樹脂組成物サンプルを作製した。
実施例2〜4及び比較例1、2
硬化性樹脂組成物2〜6の調製
各固形成分を表1に示す割合で配合した以外は実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物2〜6を得た。このとき、実施例1と同様表1と同じ溶剤比となる様に溶剤を配合した。また、硬化性樹脂組成物2〜6についても、ロットの異なる3種類のITO分散液を用いて、各3種の硬化性樹脂組成物サンプルを作製した。
また、上記実施例1〜4及び比較例1、2で製造した硬化性樹脂組成物1〜6(各3種のサンプルを使用)を用いて、それぞれ3つの硬化膜サンプルを作製し、硬化膜の特性を評価した。硬化膜の製造方法は、下記のとおりである。
シリカ粒子ゾル(メチルエチルケトンシリカゾル、日産化学工業(株)製MEK−ST、数平均粒子径0.022μm、シリカ濃度30%)98.6g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.1g、IRGACURE907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)1.2g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)33.2g、シクロヘキサノン7gを混合攪拌し、シリカ粒子含有ハードコート層用組成物を得た。このシリカ粒子含有ハードコート層用組成物を、ワイヤーバーコータ(#12)を用いて、トリアセチルセルロースフィルム(富士写真フイルム(株)製、膜厚80μm)に塗工した後、オーブン中80℃で2分間乾燥した。続いて、空気下、高圧水銀ランプを用いて、0.3J/cmの光照射条件で紫外線を照射することにより、ハードコート層を形成した。ハードコート層の膜厚を触針式膜厚計にて測定したところ5μmであった。
得られたハードコート層の上に、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて、上記実施例1〜4及び比較例1、2で得られた硬化性樹脂組成物を塗工した後、オーブン中80℃で2分間乾燥した。続いて、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプを用いて、0.9J/cmの光照射条件で紫外線を照射することにより、膜厚が0.2μmの硬化膜層を形成した。
<硬化膜の評価>
(1)層分離性
得られた硬化膜の断面を顕微鏡で観察し、二層に分離しているか否かを評価した。評価基準は次のとおりである。下記評価基準の典型例を図2に示す。
○:二層に分離している(硬化膜が、基材側のITO粒子が高密度に存在する層(高屈折率層)と、空気側のITO粒子が実質的に存在しない層(低屈折率層)とに分かれている)。
△:二層分離しているが、分離界面が平滑でないため、局所的に二層分離しない部分が生じている。
×:二層に分離していない。
尚、比較例の組成物の層分離性は、用いたITO粒子分散液のロットに依って、層分離するものと層分離しないものがあり、安定した結果が得られないため、「○〜×」、「△〜×」と表記した。
(2)ヘイズ
得られた積層体における濁度(Haze値)を、カラーヘーズメーター(スガ試験機(株)製)を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。
(3)表面抵抗(Ω/□)
得られた硬化膜の表面抵抗(Ω/□)をハイレジスタンスメーター(ヒューレット・パッカード社製 HP4330)を用い、主電極径26mmΦ、印加電圧100Vで測定した。
(4)反射率
得られた反射防止用積層体の反射率を、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長340〜700nmの範囲で反射率を測定して評価した。具体的には、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における反射防止用積層体(反射防止膜)の反射率を測定し、そのうち波長550nmにおける光の反射率を求めた。
(5)スチールウール耐性
硬化膜のスチールウール耐性テストを次に示す方法で実施した。即ち、スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)社製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重1000gの条件で10回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で、以下の基準で確認した。
○:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
△:硬化膜に細い傷が認められる。
×:硬化膜の一部に剥離が生じ、又は硬化膜の表面に筋状の傷が発生した。
表1中の略称等は、下記のものを示す。
NID−20:富士化学製 ITO分散液(IPA:20質量%分散液)
JX−1002ITV:触媒化成工業製 ITO分散液(IPA:20質量%分散液)
SR−399E:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート;日本化薬製
NKオリゴ U−6HA:6官能ウレタンアクリレート;新中村化学工業製
NKオリゴ U−15HA:15官能ウレタンアクリレート;新中村化学工業製
イルガキュア369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製
MEK:メチルエチルケトン
MIBK:メチルイソブチルケトン
IPA:イソプロパノール
MAK:メチルアミルケトン
n−BuOH:n−ブタノール
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
表1の結果から、フッ素含量の高いエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体を用いた実施例では、層分離性が良好で、反射率も低く、耐擦傷性にも優れていることがわかる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、一の塗膜から、基材上に2層以上の多層構造を有する硬化膜を形成することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物、その硬化物は、例えば、プラスチック光学部品、タッチパネル、フィルム型液晶素子、プラスチック容器、建築内装材としての床材、壁材、人工大理石等の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コーティング材;フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜;各種基材の接着剤、シーリング材;印刷インクのバインダー材等として、特に反射防止膜として好適に用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物から形成される硬化膜を含む反射防止膜の典型例を示す図である。 層分離性の評価基準の典型例を示す電子顕微鏡像である。 二層分離している本発明の硬化膜断面の典型例(実施例4の硬化膜)を示す電子顕微鏡像である。
符号の説明
1:反射防止膜積層体
10:基材
12:ハードコート層
14:高屈折率層
16:低屈折率層

Claims (11)

  1. 下記成分:
    (A)錫含有酸化インジウム粒子
    (B)フッ素を40質量%以上含有するエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
    (C)(B)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の溶解性が高い溶剤
    (D)(A)錫含有酸化インジウム粒子の分散安定性が高く、かつ、(C)の溶剤と相溶性である溶剤を含み、かつ、(C)の溶剤の相対蒸発速度が、(D)の溶剤の相対蒸発速度よりも大きいことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(A)錫含有酸化インジウム粒子が、錫含有酸化インジウムのイソプロパノール分散ゾル由来である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(B)フッ素を40質量%以上含有するエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体が、
    水酸基含有含フッ素重合体と、
    水酸基と反応可能な官能基とエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、
    を反応させて得られることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記水酸基含有含フッ素重合体が、フッ素重合体全体を100質量%としたときに、下記構造単位(a)5〜90質量%、(b)0.3〜90質量%及び(c)1〜65質量%を含んでなる請求項3に記載の硬化性樹脂組成物。
    (a)下記式(1)で表される構造単位
    (b)下記式(2)で表される構造単位
    (c)下記式(3)で表される構造単位
    [式(1)中、Rはフッ素原子、フルオロアルキル基又は−ORで表される基(Rはアルキル基又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
    [式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を、Rはアルキル基、−(CH2)−OR若しくは−OCORで表される基(Rはアルキル基又はフロロアルキル基を、xは0又は1の数を示す)、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基を示す]
    [式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を、Rは−(CH−OR27又は−OCOR27で表される基(R27は水素原子、ヒドロキシアルキル基又はグリシジル基を、vは0〜2の数を示す)を示す]
  5. 前記水酸基含有含フッ素重合体が、フッ素重合体全体を100質量%としたときに、さらに、アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する下記構造単位(d)0.1〜10質量%を含む請求項3又は4に記載の硬化性樹脂組成物。
    (d)下記一般式(4)で表される構造単位
    [一般式(4)中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す]
  6. 前記水酸基と反応可能な官能基が、イソシアネート基、カルボキシル基、酸ハライド基、酸無水物基よりなる群から選ばれる基である請求項3〜5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. (C)の溶剤は、(A)錫含有酸化インジウム粒子の分散安定性が低い溶剤であり、
    (D)の溶剤は、(B)エチレン系不飽和基含有フッ素重合体の溶解性が低い溶剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. さらに、成分(E)2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物及び/又は1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. さらに、成分(F)光ラジカル重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られ、2層以上の多層構造を有することを特徴とする硬化膜。
  11. 前記(A)錫含有酸化インジウム粒子が高密度に存在する1以上の層と、前記(A)錫含有酸化インジウム粒子が実質的に存在しない1以下の層からなる二層以上の層構造を有することを特徴とする請求項10に記載の硬化膜。

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