JP2007261931A - 水素製造装置および水素製造方法 - Google Patents

水素製造装置および水素製造方法 Download PDF

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俊樹 西林
Masanori Shimazaki
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裕 福井
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Abstract

【課題】水とヨウ化水素を共沸させることなく濃縮し、ヨウ化水素水溶液の濃縮工程に投入するエネルギーを可及的に低減して水素製造効率を向上させること。
【解決手段】水素製造装置は、ヨウ素、二酸化硫黄および水から硫酸水溶液およびヨウ化水素水溶液を生成するブンゼン反応装置2と、ヨウ化水素水溶液を濃縮した後にヨウ化水素を分解し、水素とブンゼン反応装置2へ供給するヨウ素とを得るヨウ化水素濃縮分解装置3と、硫酸水溶液を濃縮した後に硫酸を分解する硫酸濃縮分解装置4と、を備えた、水素製造装置1において、ヨウ化水素濃縮分解装置3には、冷凍により水を凍結させてヨウ化水素水溶液を濃縮するヨウ化水素冷却濃縮器9が設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、ヨウ素および二酸化硫黄を用いて水を熱分解することにより水素を製造する水素製造装置および水素製造方法に関するものである。
水を熱分解することによって水素を製造する方法として、IS(Iodine Sulfur)法が知られている(特許文献1参照)。IS法は、以下の3つの工程から構成されている。
I ブンゼン反応工程
ヨウ素、二酸化硫黄および水から硫酸水溶液およびヨウ化水素水溶液を生成する。
II ヨウ化水素濃縮分解工程
ブンゼン反応工程によって得られたヨウ化水素水溶液を濃縮した後に、ヨウ化水素を分解し、製品としての水素とブンゼン反応工程へ供給するヨウ素とを得る。
III 硫酸濃縮分解工程
ブンゼン反応装置によって得られた硫酸水溶液を濃縮した後に、硫酸を分解し、酸素とブンゼン反応工程へ供給する二酸化硫黄とを得る。この工程で得られる二酸化硫黄は、硫酸の分解により生成する三酸化硫黄をさらに三酸化硫黄分解工程によって分解することにより得られる。
上記 I〜IIIの3つの工程はそれぞれが接続され、閉サイクルとされている。
ブンゼン反応は発熱反応であるが、ヨウ化水素濃縮分解工程におけるヨウ化水素の分解反応、硫酸濃縮分解工程における硫酸の分解反応および硫酸の分解によって生成した三酸化硫黄の分解反応は吸熱反応とされる。したがって、IS法を実現する場合には、ヨウ化水素濃縮分解工程および硫酸濃縮分解工程に熱エネルギーを投入する必要がある。
また、ヨウ化水素濃縮分解工程においてヨウ化水素水溶液を濃縮する際に、ヨウ化水素と水とが共沸するので、単なる蒸留法では共沸点を越えてヨウ化水素を濃縮することが困難となる。そこで、ヨウ化水素水溶液を循環操作して共沸条件の下で濃縮する手法が行われる。しかし、循環操作を行えば、循環操作しない場合に比べて余分な熱エネルギーが必要となり、結果として投入エネルギーの低下を実現することができない。
このような蒸留法の問題を解決するために、特許文献1には、ヨウ化水素の濃縮工程において、ヨウ化水素水溶液を水選択透過膜で透過処理し、室温下で透過水を蒸発させることにより高温熱エネルギー使用量を軽減する技術が提案されている。しかしながら、室温で脱水操作をした場合にはヨウ素が析出することが考えられ、また、水が水蒸気となる蒸発潜熱によって下がった温度を、室温の熱源により水素製造プロセス温度である約100℃まで昇温させることは不可能である。そのため、ヨウ素が析出する温度以上を維持するための蒸発潜熱分の熱量を供給しなければならず、熱効率改善の課題が残る。
特開2004−107115号公報(図1)
したがって、製造された水素の高位発熱量をヨウ化水素濃縮分解工程および硫酸濃縮分解工程に投入した熱量で除した水素製造効率について、さらなる向上が望まれている。
本発明者は、IS法の熱収支を鋭意検討した結果、ヨウ化水素の濃縮工程において、共沸条件の下で濃縮する際の投入熱量の割合が非常に大きくなる傾向にあるため、水とヨウ化水素とを共沸条件とさせずに濃縮することが水素製造効率を引き上げる大きな要因になる可能性があることを見出した。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、水とヨウ化水素を共沸させることなく濃縮し、ヨウ化水素水溶液の濃縮工程に投入するエネルギーを可及的に低減して水素製造効率を向上させた水素製造装置および水素製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の水素製造装置および水素製造方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる水素製造装置は、ヨウ素、二酸化硫黄および水から硫酸水溶液およびヨウ化水素水溶液を生成するブンゼン反応装置と、前記ブンゼン反応装置によって得られたヨウ化水素水溶液を濃縮した後にヨウ化水素を分解し、製品としての水素と前記ブンゼン反応装置へ供給するヨウ素とを得るヨウ化水素濃縮分解装置と、前記ブンゼン反応装置によって得られた硫酸水溶液を濃縮した後に硫酸を分解し、酸素と前記ブンゼン反応装置へ供給する二酸化硫黄とを得る硫酸濃縮分解装置と、を備えた、水素製造装置において、前記ヨウ化水素濃縮分解装置には、冷凍により水を凍結させてヨウ化水素水溶液を濃縮する冷却器が設けられていることを特徴とする。
冷却器により、水を凍結させてヨウ化水素水溶液を濃縮する冷凍濃縮を採用することとしたので、水とヨウ化水素との共沸条件によって濃縮の進行が妨げられることがない。したがって、蒸留法による共沸条件の下で濃縮する場合に比べて余分な熱エネルギーを必要としない。つまり、ヨウ化水素濃縮工程に投入するエネルギーを可及的に低減することができる。
また、請求項2にかかる水素製造装置は、前記冷却器に冷熱を送る冷凍機の熱源として、当該水素製造装置内の排熱を用いることを特徴とする。
冷凍機の熱源として、当該水素製造装置内の排熱を用いることとしたので、別途新たに熱源を設ける必要がない。したがって、冷凍機に投入されるエネルギーを低減することができる。これにより、蒸留法によって共沸条件の下で濃縮した場合に比べてヨウ化水素濃縮工程に投入するエネルギーを大幅に削減することができる。
用いられる排熱としては、例えば硫酸濃縮分解装置やヨウ化水素濃縮分解装置における排熱が用いられる。
また、請求項3にかかる水素製造装置は、前記冷却器による冷凍濃縮により生成した分離槽内の凍結物を該分離槽外へと搬送するコンベアと、該コンベアによって搬送された前記凍結物を融解させる融解槽と、該融解槽によって得られた水を前記ブンゼン反応装置へ返送する返送手段と、を備えていることを特徴とする。
コンベアにより、分離槽内の凍結物を融解槽に搬送し、この槽にて氷結した水を融解させる。これにより得られた水(液体)をブンゼン反応装置へと返送し、リサイクルさせることとした。これにより、水の使用量を低減させることができる。
また、請求項4にかかる水素製造装置は、前記融解槽の熱源として、当該水素製造装置内の排熱を用いることを特徴とする。
融解槽の熱源として、当該水素製造装置内の排熱を用いることとしたので、別途新たに熱源を設ける必要がない。したがって、融解槽に投入されるエネルギーを低減することができる。
用いられる排熱としては、例えば硫酸濃縮分解装置やヨウ化水素濃縮分解装置における排熱が用いられる。
また、請求項5にかかる水素製造装置は、前記冷却器の下流側には、共沸組成を超えた濃度のヨウ化水素水溶液をさらに濃縮する蒸留塔が設けられていることを特徴とする。
冷却器により、ヨウ化水素水溶液を冷凍濃縮して共沸点を超えさせ、その後は蒸留塔により、共沸組成を超えた濃度のヨウ化水素濃縮液をさらに濃縮することとしたので、共沸条件の下で蒸留法により濃縮する場合に比べて余分な熱エネルギーを必要としない。つまり、ヨウ化水素濃縮工程に投入するエネルギーを可及的に低減することができる。
さらに、請求項6にかかる水素製造装置は、前記蒸留塔の熱源として、当該水素製造装置内の排熱を用いることを特徴とする。
蒸留塔の熱源として、当該水素製造装置内の排熱を用いることとしたので、別途新たに熱源を設ける必要がない。したがって、蒸留塔に投入されるエネルギーを低減することができる。これにより、蒸留法によって共沸条件の下で濃縮した場合に比べて大幅に投入エネルギーを削減することができる。
用いられる排熱としては、例えば硫酸濃縮分解装置やヨウ化水素濃縮分解装置における排熱が用いられる。
また、請求項7にかかる水素製造装置は、前記冷却器の下流側に、共沸濃度を超えてヨウ化水素水溶液を濃縮する電気透析器または水分膜分離装置が設けられていることを特徴とする。
ヨウ化水素溶液を常圧条件下で冷凍濃縮すると、共沸濃度を超えない所定の濃度までは、水溶液側にヨウ化水素が濃縮される。一方、共沸濃度近傍では、HI・4HO等の水和物として、主に凍結物側にヨウ化水素が濃縮される。上記構成によれば、冷却器の下流側に設けた電気透析器または水分膜分離装置により、ヨウ化水素水溶液が共沸濃度を超えて濃縮されるので、冷却器による冷凍濃縮の段階では、ヨウ化水素水溶液を共沸濃度を超えて濃縮する必要がない。したがって、冷却器による冷凍濃縮を、水溶液側にヨウ化水素が濃縮される間の予備濃縮として用いることができる。この結果、冷却器によるヨウ化水素水溶液の回収対象を、濃縮過程の途中で水溶液から凍結物に変えることなく、ヨウ化水素水溶液の濃縮を進行させることが可能となる。
また、請求項8にかかる水素製造装置は、前記冷却器の上流側に、共沸濃度を超えてヨウ化水素水溶液を濃縮する電気透析器または水分膜分離装置が設けられていることを特徴とする。
冷却器の上流側に設けた電気透析器または水分膜分離装置により、ヨウ化水素水溶液が共沸濃度を超えて濃縮されるので、冷却器において、共沸濃度を超えた濃度のヨウ化水素水溶液をさらに冷凍濃縮することができる。この場合に、共沸濃度を超えた濃度のヨウ化水素水溶液は、冷凍濃縮することにより、HI・4HO等の水和物として、主に凍結物側にヨウ化水素が濃縮される。したがって、冷却器によるヨウ化水素水溶液の回収対象を、予め凍結物側に設定することができる。また、濃縮過程の途中で、回収対象を凍結物から水溶液に変えることなくヨウ化水素水溶液の濃縮を進行させることが可能となる。
また、請求項9にかかる水素製造方法は、ヨウ素、二酸化硫黄および水から硫酸水溶液およびヨウ化水素水溶液を生成するブンゼン反応工程と、前記ブンゼン反応装工程によって得られたヨウ化水素水溶液を濃縮した後にヨウ化水素を分解し、製品としての水素と前記ブンゼン反応工程へ供給するヨウ素とを得るヨウ化水素濃縮分解工程と、前記ブンゼン反応工程によって得られた硫酸水溶液を濃縮した後に硫酸を分解し、酸素と前記ブンゼン反応工程へ供給する二酸化硫黄とを得る硫酸濃縮分解工程と、を備えた、水素製造方法において、前記ヨウ化水素濃縮分解工程には、冷凍により水を凍結させてヨウ化水素水溶液を濃縮する冷却工程が設けられていることを特徴とする。
冷却工程により、水を凍結させてヨウ化水素水溶液を濃縮する冷凍濃縮を採用することとしたので、水とヨウ化水素との共沸条件によって濃縮の進行が妨げられることがない。したがって、蒸留法による共沸条件の下で濃縮する場合に比べて余分な熱エネルギーを必要としない。つまり、ヨウ化水素濃縮工程に投入するエネルギーを可及的に低減することができる。
さらに、請求項10にかかる水素製造方法は、前記冷却工程の下流側には、共沸組成を超えた濃度のヨウ化水素水溶液をさらに濃縮する蒸留工程が設けられていることを特徴とする。
冷却工程により、ヨウ化水素水溶液を冷凍濃縮して共沸点を超えさせ、その後は蒸留工程により、共沸組成を超えた濃度のヨウ化水素濃縮液をさらに濃縮することとしたので、共沸条件の下で蒸留法により濃縮する場合に比べて余分な熱エネルギーを必要としない。つまり、ヨウ化水素濃縮工程に投入するエネルギーを可及的に低減することができる。
また、請求項11にかかる水素製造方法は、前記冷却工程の下流側に、共沸濃度を超えてヨウ化水素水溶液を濃縮する濃縮工程が設けられていることを特徴とする。
ヨウ化水素溶液を常温・常圧条件下で冷凍濃縮すると、共沸濃度を超えない所定の濃度までは、水溶液側にヨウ化水素が濃縮される。一方、共沸濃度近傍では、HI・4HO等の水和物として、主に凍結物側にヨウ化水素が濃縮される。上記構成によれば、冷却工程の下流側に設けた濃縮工程により、ヨウ化水素水溶液が共沸濃度を超えて濃縮されるので、冷却工程による冷凍濃縮の段階では、ヨウ化水素水溶液を共沸濃度を超えて濃縮する必要がない。したがって、冷却工程による冷凍濃縮を、水溶液側にヨウ化水素が濃縮される間の予備濃縮として用いることができる。この結果、冷却工程によるヨウ化水素水溶液の回収対象を、濃縮過程の途中で水溶液から凍結物に変えることなく、ヨウ化水素水溶液の濃縮を進行させることが可能となる。
また、請求12にかかる水素製造方法は、前記冷却工程の上流側に、共沸濃度を超えてヨウ化水素水溶液を濃縮する濃縮工程が設けられていることを特徴とする。
冷却工程の上流側に設けた濃縮工程により、共沸濃度を超えてヨウ化水素水溶液が濃縮されるので、冷却工程において、共沸濃度を超えた濃度のヨウ化水素水溶液をさらに冷凍濃縮することができる。この場合に、共沸濃度を超えた濃度のヨウ化水素水溶液は、冷凍濃縮することにより、HI・4HO等の水和物として、主に凍結物側にヨウ化水素が濃縮される。したがって、冷却工程によるヨウ化水素水溶液の回収対象を、予め凍結物側に設定することができる。また、濃縮過程の途中で、回収対象を凍結物から水溶液に変えることなくヨウ化水素水溶液の濃縮を進行させることができる。
本発明によれば、冷凍濃縮法により、水とヨウ化水素を共沸させることなくヨウ化水素水溶液を濃縮することとし、ヨウ化水素濃縮工程に投入するエネルギーを低減することとしたので、水素製造効率を向上させることができる。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1を用いて説明する。
図1には、水素製造装置1の概略構成が示されている。
水素製造装置1は、原料である水を熱分解によって分解し、製品である水素(さらには酸素)を製造するものである。水素製造装置1は、IS(Iodine Sulfur)法を採用しており、ブンゼン反応装置2と、ヨウ化水素濃縮分解装置3と、硫酸濃縮分解装置4とを備えている。
ヨウ化水素濃縮分解装置3および硫酸濃縮分解装置4へ供給される熱源としては、図示しない高温ガス炉の核熱が用いられる。すなわち、中間交換器10を介して得られる二次ヘリウムガスの顕熱を利用する。
中間熱交換器10は、高温ガス炉の核熱によって高温とされた一次ヘリウムガスと、水素製造装置1側に熱を与える二次ヘリウムガスとの間で熱交換を行わせるものである。中間熱交換器10には、一次ヘリウムガスが流れる一次側配管10aと、二次ヘリウムガスが流れる二次側配管10bとが接続されている。二次側配管10bを流れる二次ヘリウムガスは、中間熱交換器10において約880℃まで加熱され、その圧力は約4MPaとされる。
中間熱交換器10において加熱された二次ヘリウムガスは、後述する三酸化硫黄分解器17、硫酸分解器15及びヨウ化水素分解器11との間で熱交換を行う。
ブンゼン反応装置2は、ブンゼン反応器5と、二相分離器7とを備えている。
ブンゼン反応器5には、原料である水(HO)と、ヨウ化水素濃縮分解装置3から供給されるヨウ素(I)と、硫酸濃縮分解装置4から供給される二酸化硫黄(SO)が供給される。ブンゼン反応器5では、例えば0.1MPa(ゲージ圧),100℃の条件下で、下式によるブンゼン反応が行われ、ヨウ化水素水溶液および硫酸水溶液が生成される。なお、ブンゼン反応は発熱反応であるため、外部からエネルギーが投入されることはない。
SO(g)+I(L)+2HO→HSO(aq)+2HI(aq) ・・・(1)
二相分離器7では、ブンゼン反応器5において得られた硫酸水溶液およびヨウ化水素水溶液を分離する。二相分離器7内は、例えば0.1MPa(ゲージ圧),100℃の条件とされる。二相分離器7において分離されたヨウ化水素水溶液および硫酸水溶液は、それぞれ、ヨウ化水素濃縮分解装置3および硫酸濃縮分解装置4へと導かれる。
ヨウ化水素濃縮分解装置3は、ヨウ化水素冷却濃縮器9(冷却器)と、ヨウ化水素分解器11とを備えている。
ヨウ化水素冷却濃縮器9は、例えば0℃(厳密には水の凝固点降下を加味した温度)以下の条件下で、ヨウ化水素水溶液中の水分を冷凍することにより、ヨウ化水素水溶液を濃縮する。ヨウ化水素水溶液は、ヨウ化水素冷却濃縮器9において濃縮され、ヨウ化水素分解器11へと導かれる。ヨウ化水素冷却濃縮器9には、冷凍濃縮過程に必要な冷熱を得るための熱エネルギーが投入される。
ヨウ化水素分解器11は、例えば1MPa(ゲージ圧),450℃の条件下で、下式によるヨウ化水素の分解を行う。
2HI(g)→H(g)+I(g) ・・・(2)
上記ヨウ化水素分解反応は吸熱反応とされ、したがって、熱エネルギーが投入される。つまり、中間熱交換器10において加熱された二次ヘリウムガスが流通するガス配管13との熱交換によって(2)式のヨウ化水素分解反応が進行する。
ヨウ化水素分解器11において分解された水素は、製品として取り出される。また、ヨウ化水素分解器11において分解されたヨウ素は、ブンゼン反応器5へと導かれる。未反応のヨウ化水素は、ヨウ化水素冷却濃縮器9へと返送される。
硫酸濃縮分解装置4は、硫酸精製濃縮器14と、硫酸分解器15と、三酸化硫黄分解器17とを備えている。
硫酸精製濃縮器14は、例えば0.1MPa(ゲージ圧),100〜391℃の条件下で、硫酸を精製するとともに、硫酸水溶液を濃縮する。硫酸精製濃縮器14には、精製濃縮過程に必要な熱エネルギーが投入される。硫酸精製濃縮器14において硫酸水溶液から分離された水は、ブンゼン反応器5へと送られる。硫酸精製濃縮器14において精製濃縮された硫酸(液体)は、硫酸分解器15へと導かれる。
硫酸分解器15は、例えば2MPa(ゲージ圧),391〜527℃の条件下で、下式による硫酸の分解を行う。
SO(L)→H0(g)+SO(g) ・・・(3)
上記硫酸分解反応は吸熱反応とされ、したがって、熱エネルギーが投入される。つまり、中間熱交換器10において加熱された二次ヘリウムガスが流通するガス配管19との熱交換によって(3)式の硫酸分解反応が進行する。
硫酸分解器15において分解された三酸化硫黄と水蒸気は、三酸化硫黄分解器17へと導かれる。
三酸化硫黄分解器17は、例えば2MPa(ゲージ圧),527〜850℃の条件下で、下式による三酸化硫黄の分解を行う。
SO(g)→SO(g)+1/2O(g) ・・・(4)
上記三酸化硫黄分解反応は吸熱反応とされ、したがって、熱エネルギーが投入される。つまり、中間熱交換器10において加熱された二次ヘリウムガスが流通するガス配管20との熱交換によって(4)式の三酸化硫黄分解反応が進行する。図1に示されているように、三酸化硫黄分解器17には最も高い温度を導くために、中間熱交換器10において加熱された二次ヘリウムガスは最初に三酸化硫黄分解器17に導かれるようになっている。三酸化硫黄分解器17において熱交換を終えた二次ヘリウムガスは、硫酸分解器15及びヨウ化水素分解器11において熱交換を行う。
三酸化硫黄分解器17において生成した酸素は、製品として系外に取り出される。また、三酸化硫黄分解器17において生成した二酸化硫黄は、少量の水蒸気とともに、ブンゼン反応器5へと導かれる。
このように、本実施形態にかかる水素製造装置1によれば、原料として水をブンゼン反応装置2へ投入することにより、製品としての水素がヨウ化水素濃縮分解装置3から、また、酸素が硫酸濃縮分解装置4から得ることができる。
図2には、ヨウ化水素濃縮分解装置3に設けられたヨウ化水素冷却濃縮器9が示されている。
ブンゼン反応装置2から供給されたヨウ化水素水溶液はヨウ化水素冷却濃縮器9によって、冷凍により濃縮され、ヨウ化水素濃縮溶液(又はガス)となる。また、ヨウ化水素冷却濃縮器9で凍結した水は、例えば図示しないポンプ(返送手段)を用いてブンゼン反応装置2へと、リサイクル溶液として返送される。
なお、ブンゼン反応装置2から供給されたヨウ化水素水溶液には、ブンゼン反応装置2において未反応とされたヨウ素(I)も含まれている。
図3(a)には、ヨウ化水素濃縮分解装置3のヨウ化水素冷却濃縮器9と、凍結物と水溶液とを分離する分離槽30と、凍結物を融解する融解槽32と、ヨウ素を析出させ除去するヨウ素除去装置8とが、が示されている。
ヨウ化水素冷却濃縮器9は、この冷却器9に冷熱を供給するターボ冷凍機(冷凍機)34を備えている。
ターボ冷凍機34に与えられる熱源は、例えば、水素製造装置1内の排熱であるIS排熱利用高温蒸気が用いられる。ターボ冷凍機34の電動ターボ圧縮機の動力源として、この蒸気を利用した蒸気タービン36によって発電された電力が用いられる。
図3(b)には、凍結される前のヨウ化水素水溶液31とヨウ化水素冷却濃縮器9によって凍結された後のヨウ化水素水溶液33の概念図が示されている。
このように、ヨウ化水素水溶液は、未凍結状態ではヨウ化水素が水に溶け込んでいるが、凍結状態では水が凝固するので溶媒である水の相対量が減り、ヨウ化水素水溶液が濃縮されている。
ヨウ化水素冷却濃縮器9によって濃縮されたヨウ化水素水溶液および凍結物は、例えば図示しないポンプを用いて分離槽30へと送られ、この分離槽30においてヨウ化水素濃縮溶液と凍結物(氷)に分離される。
分離槽30には、支持体37によって下方から支持された衝突板39が設けられている。衝突板39は、コンベア38側が下方となるように傾斜されて配置されている。上方から供給されるヨウ化水素濃縮水溶液および凍結物は、衝突板39に衝突した後に、分離槽30内へと導かれる。凍結物は、衝突板39の傾斜に沿って下方へと導かれ、コンベア38上へと落下するようになっている。
分離槽30によって凍結物から分離されたヨウ化水素濃縮溶液は、分離槽30の下方から取り出され、ヨウ化水素分解器11(図1参照)へと導かれる。
上述のように、分離槽30は、ヨウ化水素冷却濃縮器9によって生成した凍結物を融解槽32へと搬送するコンベア38を備えている。このコンベア38の下端は、ヨウ化水素水溶液内に浸漬されており、凍結物を選択的に搬送するようになっている。
コンベア38によって、分離槽30から融解槽32へと搬送された凍結物は、この融解槽32にて融解される。
これにより得られた水(液体)は、例えば図示しないポンプを用いてブンゼン反応装置2(図1参照)へと、リサイクル溶液として返送される。このように、凍結物を融解して得た水をリサイクルして用いることとしたので、水の使用量を削減することができる。
融解槽32に与えられる熱源は、例えばヨウ化水素濃縮装置3や硫酸濃縮分解装置4といった水素製造装置1自身の排熱が用いられる。
ヨウ化水素水溶液の温度が下がると、Iの溶解度が下がり、水溶液中のヨウ素が析出する。そこで、あらかじめ水溶液中のヨウ素を除去し、I濃度を低下させたヨウ化水素水溶液を、ヨウ化水素冷却濃縮器9に供給する。
この場合、ヨウ化水素冷却濃縮器9の上流側に配置されたヨウ素除去装置8によって、ヨウ化水素水溶液中のヨウ素を析出させ除去することで、I濃度を低下させる。
ヨウ素除去装置8は、容器の底面から上方に立設する壁体35によって、前室41と後室43とに分けられている。
ブンゼン反応装置2から供給されたヨウ化水素水溶液を、ヨウ素除去装置8の前室41へと供給し、水溶液を冷却することにより、水溶液中のヨウ素を固化させて前室41に析出させる。なお、水溶液を冷却するために供給される冷熱として、図3(a)に矢印で示すように、ヨウ化水素冷却濃縮器9で用いた熱媒(例えば、不凍液)が使用される。この熱媒は、ヨウ素除去装置8で使用された後、再びターボ冷凍機34へと送られて循環される。
前室41に析出したヨウ素は下方へと沈降し、上澄みのみが壁体35を越えて後室43へと移るので、後室43内の水溶液は、析出したヨウ素が除去されたヨウ化水素水溶液となる。これによりI濃度を低下させた後室43内のヨウ化水素水溶液は、ヨウ化水素冷却濃縮器9へと送られる。また、析出したヨウ素は、前室41の下方から一部の水溶液とともに取り出され、図示しないポンプによってブンゼン反応器5(図1参照)に送られて、原料の水とヨウ素として再利用される。
このように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
ヨウ化水素冷却濃縮器9により、水を凍結させてヨウ化水素水溶液を濃縮することとしたので、水とヨウ化水素との共沸条件によって濃縮の進行が妨げられることはない。したがって、蒸留法による共沸条件の下で濃縮する場合に比べて余分な熱エネルギーを必要としない。つまり、ヨウ化水素水溶液の濃縮工程に投入するエネルギーを可及的に低減することができ、結果として水素製造効率を向上させることができる。
また、ヨウ化水素冷却濃縮器9に冷熱を送るターボ冷凍機34の熱源として、IS排熱利用蒸気を用いることしたので、ヨウ化水素冷却濃縮器9に投入されるエネルギーを低減することができる。
同様に、融解槽32の熱源として、水素製造装置1内の排熱を用いることしたので、融解槽32に投入されるエネルギーを低減することができる。これにより、蒸留法によって共沸条件の下で濃縮した場合に比べてヨウ化水素濃縮工程に投入するエネルギーを大幅に削減することができる。
さらに、ヨウ素除去装置8により、あらかじめヨウ化水素水溶液中のヨウ素を析出させて、I濃度を低下させたヨウ化水素水溶液を冷凍濃縮するとともに、ヨウ素除去装置8に析出させたヨウ素をリサイクルして原料として用いることとしたので、冷凍濃縮の際に析出するヨウ素の量を減らし、あらかじめ析出させたヨウ素を有効利用することができる。
なお、ブンゼン反応装置2から供給されるヨウ化水素水溶液のI濃度が低い場合には、冷凍濃縮の際にヨウ素が析出する量が無視できる程度に少ないので、ヨウ素除去装置8を省略して、ヨウ化水素水溶液を直接ヨウ化水素冷却濃縮器9に供給することとしてもよい。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図4を用いて説明する。
図4には、ヨウ化水素濃縮分解装置3のヨウ化水素冷却濃縮器40が示されている。
ヨウ化水素冷却濃縮器40は、その下流側に共沸組成を超えた濃度のヨウ化水素水溶液を蒸留法によってさらに濃縮する蒸留塔42を備えている。
ブンゼン反応装置2から供給されたヨウ化水素水溶液は、ヨウ化水素冷却濃縮器40において、共沸濃度である16mol%(HI−H0)程度を超える濃度(例えば19mol%(HI−H0))まで濃縮される。
ヨウ化水素冷却濃縮器40によって共沸濃度を超えて濃縮されたヨウ化水素水溶液は、蒸留塔42へと導かれる。蒸留塔42では、蒸留法によりヨウ化水素水溶液がさらに濃縮され、ヨウ化水素濃縮溶液(又はガス)となる。また、ヨウ化水素冷却濃縮器40で凍結した水は、例えば図示しないポンプを用いてブンゼン反応装置2へと、リサイクル溶液として返送される(図3(a)参照)。蒸留塔42で生成した水も同様にリサイクル溶液として返送される。
なお、ヨウ化水素冷却濃縮器40によって濃縮されたヨウ化水素水溶液は共沸濃度を超えているので、水とヨウ化水素との共沸条件によって濃縮の進行が妨げられることはない。蒸留塔42の熱源は、例えばヨウ化水素濃縮分解装置3や硫酸濃縮分解装置4といった水素製造装置1自身の排熱が用いられる。
本実施形態の場合も、第一実施形態と同様に、ヨウ素除去装置8によってI濃度を低下させたヨウ化水素水溶液を、ヨウ化水素冷却濃縮器9に供給してもよい。
このように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
ヨウ化水素冷却濃縮器40により、ヨウ化水素水溶液を冷凍濃縮して共沸点を越えさせ、その後は蒸留塔42により、共沸組成を超えた濃度のヨウ化水素水溶液をさらに濃縮することとしたので、共沸条件の下で蒸留法により濃縮する場合に比べて余分な熱エネルギーを必要としない。したがって、蒸留塔42に投入するエネルギーを低減することができる。
また、ヨウ化水素冷却濃縮器40では、共沸濃度である16mol%(HI−H0)程度を超えた濃度まで濃縮すれば、その後は蒸留塔42で余分な熱エネルギーを必要とすることなく濃縮することができるので、ヨウ化水素冷却濃縮器40に投入するエネルギーを低減することができる。つまりヨウ化水素濃縮工程に投入するエネルギーを可及的に低減することができ、結果として水素製造効率を向上させることができる。
さらに、ヨウ化水素冷却濃縮器40に冷熱を送るターボ冷凍機34の熱源として、IS排熱利用蒸気を利用して蒸気タービン36で発電させた電力を用いることしたので、ヨウ化水素冷却濃縮器40に投入されるエネルギーを低減することができる(図3(a)参照)。
同様に、蒸留塔42の熱源として、例えばヨウ化水素濃縮装置3や硫酸濃縮分解装置4といった水素製造装置1自身の排熱を用いることしたので、投入されるエネルギーを低減することができる。これにより、蒸留法によって共沸条件の下で濃縮した場合に比べてヨウ化水素濃縮工程に投入するエネルギーを大幅に削減することができる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る水素製造装置50について、図5〜図8を用いて説明する。
図5に示すように、本実施形態に係る水素製造装置50は、ヨウ化水素冷却濃縮器40と蒸留塔42との間に、電気透析器52を備えている点で、第二実施形態と異なる。
以下、第二実施形態に係る水素製造装置と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
ヨウ化水素冷却濃縮器40は、ブンゼン反応装置2から供給されたヨウ化水素水溶液を、所定の濃度まで予備濃縮する。
具体的に、図6にヨウ化水素水溶液の温度(℃)とHI重量(%)との関係を示して説明する。
同図において、縦軸はヨウ化水素水溶液の温度(℃)を示し、横軸はHI重量(%)を示している。
常温・常圧条件下で、ヨウ化水素水溶液を冷凍濃縮すると、同図に示されるように、HI重量(%)が約50%付近を境に、HI重量(%)が低い場合、すなわち、ヨウ化水素水溶液の濃度が低い場合は、ヨウ化水素が含まれない氷が析出する(図中、A参照)。したがって、図3(b)に示すように、水溶液側にヨウ化水素が濃縮される。
一方、HI重量(%)が高い場合、すなわち、ヨウ化水素水溶液の濃度が高い場合は、HI・4HO(図6のB参照),HI・3HO(図6のC参照),HI・2HO(図6のD参照)等の水和物が形成される。すなわち、濃度が高いヨウ化水素水溶液は、図7に示すように、未凍結状態では、ヨウ化水素が水溶液中に溶け込んでいる(図中、符号31参照)が、凍結状態では、水和物として、主に凍結物側にヨウ化水素が濃縮される(図中、符号33´参照)。
ヨウ化水素冷却濃縮器40は、このようなヨウ化水素水溶液の性質に基づき、水溶液側にヨウ化水素が濃縮される間(図6のA参照)において、ヨウ化水素水溶液の濃縮を進行させ、その後は、濃縮したヨウ化水素水溶液を電気透析器52へと送るようになっている。
電気透析器52は、ヨウ化水素冷却濃縮器40にて予備濃縮されたヨウ化水素水溶液を、さらに濃縮する。
図8に、電気透析器52の詳細を示す。
電気透析器52は、陽極室Aと陰極室Bとを仕切る陽イオン交換膜54と、陽極室Aに設置される陽極56と、陰極室Bに設置される陰極58とを備えている。
電気透析器52は、陽極56と、陰極58との間に電圧をかけることにより、ヨウ化水素水溶液を電気分解するようになっている。
陽イオン交換膜54は、陽極室A側の陽イオンを、陰極室B側へ選択的に透過する。
陽極56では、電気分解の際に酸化反応が起こり、陰極58では、電気分解の際に還元反応が起こるようになっている。
なお、第一実施形態において述べたように、ブンゼン反応装置2から供給されるヨウ化水素水溶液には、ブンゼン反応装置2において未反応とされたヨウ素(I)も含まれているので、図8において、電気透析器52に供給されるヨウ化水素水溶液は、HI−I−HO混合液となっている。
陽極室Aおよび陰極室Bには、それぞれHI−I−HO混合液が供給される。陽極56と陰極58との間に電圧をかけると、HI−I−HO混合液が電気分解されて、陽イオン交換膜54により分離される。陽極56では、イオン化したHIのIがIに酸化され、陰極58では、IがIに還元される。このとき、陽極室Aの溶液(以下、単に「陽極液」という。)中のイオン化したHIのHが、陽イオン交換膜54を透過して、陰極室Bの溶液(以下、単に「陰極液」という。)へ移動する。このHは、陰極液においてIと結合することにより、HIとなる。その結果、陽極液においては、HI成分が希釈され、I成分が濃縮される。一方、陰極液においては、HI成分が濃縮され、I成分が希釈される。
すなわち、陰極室Bにおいて、ヨウ化水素の濃度が高められてヨウ化水素水溶液が濃縮されるとともに、ヨウ素が除去されるようになっている。
電気透析器52は、このような構成により、ヨウ化水素水溶液を共沸濃度を超えて濃縮し、共沸濃度を超えたヨウ化水素水溶液を、蒸留塔42へと送るようになっている。
次に、このように構成された本実施形態に係る水素製造装置50の作用について説明する。
ブンゼン反応装置2から送られるヨウ化水素水溶液は、図5に示すように、先ず、ヨウ化水素冷却濃縮器40に供給される。ヨウ化水素冷却濃縮器40では、水溶液側にヨウ素が濃縮する間(図6のA参照)において、ヨウ化水素水溶液が冷凍濃縮により予備濃縮される。
予備濃縮されたヨウ化水素水溶液は、電気透析器52へ送られる。
電気透析器52では、図8に示す陰極室Bにおいて、ヨウ化水素の濃度が高められ、共沸濃度を超える濃度までヨウ化水素水溶液が濃縮される。このヨウ化水素水溶液は、電気透析器52から取り出されて、蒸留塔42へ送られる。
蒸留塔42へ送られたヨウ化水素水溶液は、共沸濃度を超えて濃縮されているので、蒸留塔42において、共沸条件によって濃縮の進行が妨げられることなく、さらに濃縮を進行させることができる。
なお、電気透析器52の陽極室Aでは、液体状態でヨウ素が生成する。このヨウ素は、一部の水溶液とともに取り出され、図示しないポンプによって、ブンゼン反応器5(図1参照)にリサイクル溶液として送られて、原料の水とヨウ素として再利用されることとしてもよい。このようにすることで、リサイクル溶液には、ヨウ素が液体状態で含まれており、固化したヨウ素が存在しないので、リサイクル溶液を容易に利用することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る水素製造装置50によれば、電気透析器52により、ヨウ化水素水溶液が共沸濃度を超えた濃度まで濃縮されるので、共沸条件の下で蒸留法により濃縮する場合に比べて余分な熱エネルギーを必要としない。したがって、蒸留塔42に投入するエネルギーを低減することができる。また、ヨウ化水素冷却濃縮器40による冷凍濃縮の段階では、ヨウ化水素水溶液を共沸濃度を超えて濃縮する必要がない。したがって、ヨウ化水素冷却濃縮器40による冷凍濃縮を、水溶液側にヨウ化水素が濃縮される予備濃縮として用いることができる。この結果、ヨウ化水素冷却濃縮器40によるヨウ化水素水溶液の回収対象を、濃縮過程の途中で水溶液から凍結物に変えることなく、ヨウ化水素水溶液の濃縮を進行させることが可能となる。
なお、本実施形態は、以下のように変形することができる。
例えば、本実施形態においては、電気透析器52を例示して説明したが、これに代えて、図9に示す水分膜分離装置62を採用することとしてもよい。
水分膜分離装置62は、図9に示すように、水選択透過膜64によって、ヨウ化水素水溶液供給室66と透過室68とを仕切られている。水選択透過膜64は、固体高分子イオン交換膜であるナフィオン膜(「ナフィオン」はデュポン株式会社の登録商標)を用いることとしてもよい。ナフィオン膜は、蒸気や液相から容易に水を吸収する性質を持ち、主に水を透過して、ヨウ化水素をほとんど透過しない。
ヨウ化水素冷却濃縮器40から送られたヨウ化水素水溶液は、水分膜分離装置62のヨウ化水素水溶液供給室66に供給され、水選択透過膜64によって水分膜分離される。これにより、ヨウ化水素水溶液は、ヨウ化水素が濃縮される。一方、水選択透過膜64を透過した水は、透過室68に乾燥ガスを流通させることで蒸発され、湿りガスとして排気される。
このようにすることで、水分膜分離装置62により、ヨウ化水素冷却濃縮器40にて濃縮されたヨウ化水素水溶液を、さらに共沸濃度を超えて濃縮することができる。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態に係る水素製造装置70について、図10〜図12を用いて説明する。
本実施形態に係る水素製造装置70は、図10に示すように、ヨウ化水素冷却濃縮器40の上流側に、電気透析器72を備えている点で、第三実施形態と異なる。
以下、第三実施形態に係る水素製造装置と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
電気透析器72は、ブンゼン反応装置2から供給されたヨウ化水素水溶液を濃縮する。なお、図11に示すように、電気透析器72の上流側にヨウ素除去装置8を備えることとしてもよい。なお、図11において、第一実施形態に係る水素製造装置1と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
電気透析器72は、ヨウ化水素水溶液を共沸濃度を超えた濃度まで濃縮し、このヨウ化水素水溶液をヨウ化水素冷却濃縮器40へ送るようになっている。
ヨウ化水素冷却濃縮器40は、共沸濃度を超えたヨウ化水素水溶液をさらに濃縮する。
図12に、ヨウ化水素水溶液の沸点(℃)とHI重量(%)との関係を示す。図中、縦軸は沸点(℃)を示し、横軸はHI重量(%)を示している。ヨウ化水素水溶液は、同図に示されるように、常温・常圧条件下において、温度が126.5℃のとき、沸点が最高点となり(図中、E参照)、この状態では、HIを56.7%含んでいる。このように、ヨウ化水素水溶液は、常温・常圧条件下において、共沸濃度が56.7%であり、本実施形態が適用される高圧高温環境下においては、共沸濃度は50%以下とはならないと考えられる。
また、図6に示されるように、共沸濃度の56.7%を超えた濃度のヨウ化水素水溶液は、冷凍濃縮すると、図中B,C,Dに示される水和物が形成されて、主に凍結物側にヨウ化水素が濃縮される。
ヨウ化水素冷却濃縮器40は、このようなヨウ化水素水溶液の性質に基づき、図11に示すように、水和物を含む凍結物(以下、単に「濃縮凍結物」という。)が回収されて蒸留塔42へ送られるようになっている。
具体的には、コンベア38によって分離槽30から融解槽32へと搬送された濃縮凍結物は、この融解槽32にて融解され、濃縮したヨウ化水素水溶液となる。これにより得られたヨウ化水素水溶液は、例えば図示しないポンプを用いて蒸留塔42へと導かれる。
一方、分離層30によって、濃縮凍結物から分離された水溶液(以下、単に「希薄水溶液」という。)は、分離槽30の下方から取り出されるようになっている。この希薄水溶液は、図示しないポンプを用いて、リサイクル溶液としてブンゼン反応装置2へと返送される。
このように構成された本実施形態の水素製造装置70によれば、ヨウ化水素冷却濃縮器40の上流側に設けた電気透析器72により、ヨウ化水素水溶液が共沸濃度を超えて濃縮されるので、共沸条件の下で蒸留法により濃縮する場合に比べて余分な熱エネルギーを必要としない。したがって、蒸留塔42に投入するエネルギーを低減することができる。また、ヨウ化水素冷凍濃縮器40において、ヨウ化水素の水和物を含む凍結物から、濃縮されたヨウ化水素水溶液を得ることができる。したがって、ヨウ化水素冷凍濃縮器40による回収対象を、濃縮過程の途中で凍結物から水溶液に変更することなく、ヨウ化水素水溶液の濃縮を進行させることができる。
なお、本実施形態においては、電気透析器72を例示して説明したが、これに代えて、水分膜分離装置を採用することとしてもよい。
なお、上述した各実施形態では、圧力や温度の条件を具体的に示したが、これらはあくまでも一例であって、本発明がこれらの数値に限定されるものではない。
また、ヨウ化水素冷却濃縮器40の下流側に設けられた蒸留塔42は、本実施形態のように1つに限定されるものではなく、2以上であっても良い。
本発明の第一実施形態にかかる水素製造装置を示した概略構成図である。 ヨウ化水素濃縮分解装置に設けられたヨウ化水素冷却濃縮器を示した概略図である。 (a)はヨウ化水素冷却濃縮器、分離槽、融解槽およびヨウ素除去装置を 示した概略図であり、(b)は凍結前後のヨウ化水素水溶液を概念的に示した図である。 本発明の第二実施形態にかかる水素製造装置のヨウ化水素冷却濃縮器周りを示した概略図である。 本発明の第三実施形態にかかる水素製造装置のヨウ化水素冷却濃縮器周りを示した概略図である。 ヨウ化水素水溶液の温度(℃)とHI重量(%)との関係を示した図である。 凍結前後のヨウ化水素水溶液を概念的に示した図である。 図5に示す水素製造装置の電気透析器を示した該略図である。 第三実施形態の変形例にかかる水素製造装置の水分膜分離装置を示した概略図である 本発明の第四実施形態にかかる水素製造装置のヨウ化水素冷却濃縮器周りを示した概略図である。 図10に示す水素製造装置のヨウ化水素冷却濃縮器、分離槽、融解槽およびヨウ素除去装置を示した概略図である。 ヨウ化水素水溶液の沸点(℃)とHI重量(%)との関係を示した図である。
符号の説明
1 水素製造装置
2 ブンゼン反応装置
3 ヨウ化水素濃縮分解装置
4 硫酸濃縮分解装置
8 ヨウ素除去装置
9 ヨウ化水素冷却濃縮器(冷却器)
30 分離槽
32 融解槽
38 コンベア
42 蒸留塔

Claims (12)

  1. ヨウ素、二酸化硫黄および水から硫酸水溶液およびヨウ化水素水溶液を生成するブンゼン反応装置と、
    前記ブンゼン反応装置によって得られたヨウ化水素水溶液を濃縮した後にヨウ化水素を分解し、製品としての水素と前記ブンゼン反応装置へ供給するヨウ素とを得るヨウ化水素濃縮分解装置と、
    前記ブンゼン反応装置によって得られた硫酸水溶液を濃縮した後に硫酸を分解し、酸素と前記ブンゼン反応装置へ供給する二酸化硫黄とを得る硫酸濃縮分解装置と、を備えた、水素製造装置において、
    前記ヨウ化水素濃縮分解装置には、冷凍により水を凍結させてヨウ化水素水溶液を濃縮する冷却器が設けられていることを特徴とする水素製造装置。
  2. 前記冷却器に冷熱を送る冷凍機の熱源として、当該水素製造装置内の排熱を用いることを特徴とする請求項1記載の水素製造装置。
  3. 前記冷却器による冷凍濃縮により生成した分離槽内の凍結物を該分離槽外へと搬送するコンベアと、
    該コンベアによって搬送された前記凍結物を融解させる融解槽と、
    該融解槽によって得られた水を前記ブンゼン反応装置へ返送する返送手段と、
    を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素製造装置。
  4. 前記融解槽の熱源として、当該水素製造装置内の排熱を用いることを特徴とする請求項3記載の水素製造装置。
  5. 前記冷却器の下流側には、共沸組成を超えた濃度のヨウ化水素水溶液をさらに濃縮する蒸留塔が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水素製造装置。
  6. 前記蒸留塔の熱源として、当該水素製造装置内の排熱を用いることを特徴とする請求項5記載の水素製造装置。
  7. 前記冷却器の下流側には、共沸濃度を超えてヨウ化水素水溶液を濃縮する電気透析器または水分膜分離装置が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の水素製造装置。
  8. 前記冷却器の上流側には、共沸濃度を超えてヨウ化水素水溶液を濃縮する電気透析器または水分膜分離装置が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の水素製造装置。
  9. ヨウ素、二酸化硫黄および水から硫酸水溶液およびヨウ化水素水溶液を生成するブンゼン反応工程と、
    前記ブンゼン反応装工程によって得られたヨウ化水素水溶液を濃縮した後にヨウ化水素を分解し、製品としての水素と前記ブンゼン反応工程へ供給するヨウ素とを得るヨウ化水素濃縮分解工程と、
    前記ブンゼン反応工程によって得られた硫酸水溶液を濃縮した後に硫酸を分解し、酸素と前記ブンゼン反応工程へ供給する二酸化硫黄とを得る硫酸濃縮分解工程と、を備えた、水素製造方法において、
    前記ヨウ化水素濃縮分解工程には、冷凍により水を凍結させてヨウ化水素水溶液を濃縮する冷却工程が設けられていることを特徴とする水素製造方法。
  10. 前記冷却工程の下流側には、共沸組成を超えた濃度のヨウ化水素水溶液をさらに濃縮する蒸留工程が設けられていることを特徴とする請求項9記載の水素製造方法。
  11. 前記冷却工程の下流側には、共沸濃度を超えてヨウ化水素水溶液を濃縮する濃縮工程が設けられていることを特徴とする請求項9又は10に記載の水素製造方法。
  12. 前記冷却工程の上流側には、共沸濃度を超えてヨウ化水素水溶液を濃縮する濃縮工程が設けられていることを特徴とする請求項9又は10に記載の水素製造方法。
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