JP2007261895A - カーボンナノチューブの製造方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】粒子状固体触媒と炭素含有ガスとを連続供給しながらカーボンナノチューブを連続製造する場合、副生物発生量を低減して高品位のカーボンナノチューブの連続製造を可能にする製造方法及び装置を提供する。
【解決手段】炭素含有ガスと金属触媒を担体に担持させた粒子状固体触媒とを加熱下の反応域Aに連続導入して該粒子状固体触媒上にカーボンナノチューブを生成し、該粒子状固体触媒を連続的に回収する製造方法及び装置において、粒子状固体触媒の供給管14を反応域Aの内部まで挿入し、該供給管14により粒子状固体触媒を不活性ガスと共に移送して反応域内に導入する。
【選択図】 図1
【解決手段】炭素含有ガスと金属触媒を担体に担持させた粒子状固体触媒とを加熱下の反応域Aに連続導入して該粒子状固体触媒上にカーボンナノチューブを生成し、該粒子状固体触媒を連続的に回収する製造方法及び装置において、粒子状固体触媒の供給管14を反応域Aの内部まで挿入し、該供給管14により粒子状固体触媒を不活性ガスと共に移送して反応域内に導入する。
【選択図】 図1
Description
本発明はカーボンナノチューブの製造方法及び装置に関し、更に詳しくは、炭素含有ガスと粒子状固体触媒とを連続供給しながらカーボンナノチューブを連続製造するカーボンナノチューブの製造方法及び装置の改良に関する。
カーボンナノチューブは、高い機械的強度や高い導電性を有することから、その特性を利用する多くの用途の可能性が期待されている。このカーボンナノチューブの品質指標には、示差熱分析による炭素純度や、グラファイト化度の指標であるG/D比が採用されている。G/D比とは、共鳴ラマン散乱測定法の測定により得られるスペクトルで、1550〜1650cm-1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm-1の範囲内で最大のピーク強度をDとするとき、G/D比で表わした指標であり、Gはグラファイト構造に起因したピーク、Dはグラファイト構造の欠陥に起因したピークであって、グラファイト構造に欠陥が多いとG/D比は小さくなる。つまり、G/D比が大きいカーボンナノチューブほど、グラファイト層に欠陥が少なく、耐熱性、機械的強度、導電性に優れているといえる。
従来、カーボンナノチューブの製造方法として、アーク放電法、レーザー蒸発法、化学気相成長法などが知られているが、これらのうちでも化学気相成長法(CVD)は、カーボンナノチューブの有効な大量生産法として知られ、高温下で鉄、ニッケルなどの金属微粒子と原料である炭素含有ガスとを接触させてカーボンナノチューブ合成するものである。このCVD法は、金属粒子径を制御することにより、単層および2〜5層のカーボンナノチューブを選択的に合成することができることが知られ、その制御方法として担体の構造を利用して均一に金属触媒を担持させる方法(触媒CVD法)がある。この触媒CVD法において担体を用いた固体触媒は、カーボンナノチューブ合成の際、通常は粉末のままで使用される。
上記触媒CVD法の反応装置として、図3に示すような、いわゆる粒子1回通過型流動床反応装置が提案されている(特許文献1参照)。この粒子1回通過型流動床反応装置は、ヒーター32に囲まれた反応炉31が縦方向に設置され、その反応炉31の上部に粒子状固体触媒を貯留した触媒供給部33が供給管34を介して連結され、また排気管35が連結されており、他方、反応炉31の下部には、炭素含有ガスを供給する供給管36とカーボンナノチューブを合成済みの粒子状固体触媒を回収する回収管37が連結されている。この反応炉31に対して、上部の供給管34から粒子状固体触媒が連続的に導入される一方、下部の供給管36から炭素含有ガスが連続的に導入されて、反応域Aにおいて両者が交流接触することにより粒子状固体触媒上にカーボンナノチューブが合成され、それが回収管37から連続回収されるというものである。
しかし、特許文献1に記載の粒子1回通過型流動床反応装置により連続製造したカーボンナノチューブは、バッチ式製造法で合成したカーボンナノチューブに比べて、概してG/D比が低く、かつ走査型電子顕微鏡で観察すると外径が太くて100nm以上のカーボンナノファイバーを多く含み、副生成分が非常に多いため、利用可能な用途が制約されてしまうという問題がある。
WO03/066521 A1
本発明の目的は、粒子状固体触媒と炭素含有ガスとを連続供給しながらカーボンナノチューブを連続製造する場合、副生物発生量を低減して高品位のカーボンナノチューブの連続製造を可能にする製造方法及び装置を提供することにある。
上記目的を達成する本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、下記の構成からなることを特徴とする。
1.炭素含有ガスと金属触媒を担体に担持させた粒子状固体触媒とを加熱下の反応域に連続導入して該粒子状固体触媒上にカーボンナノチューブを生成し、該粒子状固体触媒をカーボンナノチューブと共に連続的に回収するカーボンナノチューブの製造方法において、前記粒子状固体触媒の供給管を前記反応域の内部まで挿入し、該供給管により前記粒子状固体触媒を不活性ガスと共に移送して前記反応域内に導入することを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
2.前記反応域の温度を500〜100℃の範囲にする前記1に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
3.前記供給管を前記反応域の上部から中間部まで垂下させ、該中間部から前記粒子状固体触媒を分散吐出すると共に、前記反応域の下部から前記炭素含有ガスを導入する前記1又は2に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
4.前記粒子状固体触媒を予め不活性ガス雰囲気下で焼成し、前記反応域に導入するまで不活性ガス下に密閉管理する前記1又は2に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
5.前記金属触媒の担体が、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、珪酸塩、珪藻土、アルミノシリケート、ゼオライト、活性炭、グラファイトの群から選ばれた少なくとも1種である前記1〜4のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
6.前記金属触媒が、3〜12族の金属から選ばれた少なくとも1種である前記1〜5のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
また、上記目的を達成する本発明のカーボンナノチューブの製造装置は、下記の構成からなることを特徴とする。
7.炭素含有ガスと金属触媒を担体に担持させた粒子状固体触媒とを加熱下の反応域に連続導入して該粒子状固体触媒上にカーボンナノチューブを生成し、該粒子状固体触媒をカーボンナノチューブと共に連続的に回収するカーボンナノチューブの製造装置において、前記粒子状固体触媒の供給管を前記反応域の内部まで挿入したことを特徴とするカーボンナノチューブの製造装置。
8.前記粒子状固体触媒の供給管を前記反応域の上部から中間部まで垂下させ、前記反応域の下部に前記炭素含有ガスの供給管を開口させた前記7に記載のカーボンナノチューブの製造装置。
本発明によれば、炭素含有ガスと金属触媒を担体に担持させた粒子状固体触媒とを加熱下に接触させてカーボンナノチューブを連続生成する製造方法及び装置において、粒子状固体触媒の供給管を反応域の内部まで挿入するようにしているので、粒子状固体触媒を不活性ガスと共に供給管で移送しながら反応域に導入すると、その供給管を粒子状固体触媒が不活性ガスと共に通過する間に金属触媒の微粒子が不活性ガス下で液化し、反応域に導入後にその液化状態で炭素含有ガスと接触するようにすることができ、それによってカーボンナノチューブの副生成物の生成量を抑制し、バッチ式製造法並みの径が細くて高品位のカーボンナノチューブを製造することが可能になる。
以下、本発明について、図に示す実施形態を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明のカーボンナノチューブの製造方法を実施するための製造装置の一例を示す。カーボンナノチューブ製造装置は、石英管などで円管状に形成された反応炉1を縦型に設置し、その反応炉1の中間部はヒーター2で囲まれて反応域Aを形成している。反応炉1の上部には、粒子状固体触媒を収納した密閉型触媒供給器3が供給管4を介して接続され、その供給管4の供給端は反応炉1内に設けられた別の供給管14に連結されている。密閉型触媒供給器3には、予め後述の図2に例示するような焼成装置で不活性ガス下に焼成された粒子状固体触媒が収納され、不活性ガス下に管理されている。また、反応炉1の上部には、反応後の排ガス排気用の排出管5が連結されている。
図1は、本発明のカーボンナノチューブの製造方法を実施するための製造装置の一例を示す。カーボンナノチューブ製造装置は、石英管などで円管状に形成された反応炉1を縦型に設置し、その反応炉1の中間部はヒーター2で囲まれて反応域Aを形成している。反応炉1の上部には、粒子状固体触媒を収納した密閉型触媒供給器3が供給管4を介して接続され、その供給管4の供給端は反応炉1内に設けられた別の供給管14に連結されている。密閉型触媒供給器3には、予め後述の図2に例示するような焼成装置で不活性ガス下に焼成された粒子状固体触媒が収納され、不活性ガス下に管理されている。また、反応炉1の上部には、反応後の排ガス排気用の排出管5が連結されている。
上記反応炉1内の供給管14は、反応炉1の上部から下方へ垂下するように延長し、下端を反応域Aに臨ませている。その供給管14の下端には、密閉型触媒供給器3から供給管4を介して搬送された粒子状固体触媒を反応域A内に吐出分散するためのノズル8が取り付けられている。また、反応炉1の下部には、炭素含有ガスを供給する供給管6が連結され、またカーボンナノチューブを合成済みの粒子状固体触媒を回収する回収管7が連結されている。
図2は、上記密閉型触媒供給器3に収納する前の粒子状固体触媒を不活性ガス雰囲気下に焼成するための焼成装置を例示する。この焼成装置は、石英管で構成された焼成炉21の周囲にヒーター22を配置し、その内部の中央部に石英焼結板23を具備している。焼成炉21の下部には、不活性ガスの供給管24が連結され、上部には排ガスの排出管25と、焼成後の粒子状固体触媒を風送する抜出し管26が連結されている。
この焼成装置により、粒子状固体触媒Bを石英焼結板23の上に載せ、ヒーター22で加熱しながら不活性ガスを供給管24から供給することにより、粒状固体触媒Bを不活性ガス雰囲気下に焼成することができる。焼成後は、風送により焼成済み触媒を抜出し管26から取り出すことができる。
図1の本発明の製造装置を使用して行うカーボンナノチューブの製造方法は、まず、予め反応炉1を不活性ガスで置換し、ヒーター2により反応域Aを、例えば500〜1000℃の反応温度まで加熱して保持する。次いで、この不活性ガスに置換された反応炉1の中に、規定量の炭素含有ガスを供給管6から、また規定量の粒子状固体触媒を密閉型触媒供給器3から供給管4、14を介してそれぞれ連続的に供給し、反応炉内で向流接触させることにより粒子状固体触媒上にカーボンナノチューブを合成する。そして、このようにカーボンナノチューブを合成した粒子状固体触媒は連続的に回収管7から回収される。
このときの合成反応のための粒子状固体触媒は、密閉式の粉体計量器を介して不活性ガスに同伴させ、反応炉1の内部まで挿入した供給管14を通して反応域Aまで供給する。炭素含有ガスの供給速度、すなわち線速としては、粒子状固体触媒に工業的に十分量のカーボンナノチューブが合成される滞留時間になるように調整する。粒子状固体触媒の供給量は、炭素含有ガスの炭素持ち込み量から適当な供給量を決定する。つまり、炭素含有ガスの未反応率が工業的に意味のある範囲になるように適正化する。これらは、固体触媒の終末速度に起因するものであるから、担体の種類、金属触媒の担持量によりそれぞれ異なった条件が採られる。
上述のようにして得られるカーボンナノチューブは、外径が100nm以下、好ましくは80nm以下であり、さらに好ましくは50nm以下にすることができる。
本発明において粒子状の固体触媒は、固体担体の表面に金属触媒の粒子を担持したものであれば特に限定されない。固体担体としては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、珪酸塩、珪藻土、アルミノシリケート、ゼオライト、活性炭、グラファイトなどが挙げられる。これらの中でも、金属触媒を均一に担持できる点でゼオライト、酸化マグネシウムが好ましい。
ゼオライトとしては、結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタノシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、あるいは結晶性メタアルミノフォスフェートなどが好ましく使用される。また、酸化マグネシウムは、より多くの金属が担持できる点で、カサ密度の小さいものが好ましく、具体的には、カサ密度が0.16g/cm3 以下のものが好ましい。
固体担体に対する金属触媒の担持量としては、0.1重量%〜10.0重量%が好ましく、より好ましくは0.5重量%〜5.0重量%がよい。このような金属触媒の担持量により、細い直径のカーボンナノチューブを制御しやすくすることができる。
金属触媒の種類としては、特に限定されるものではないが、好ましくは3〜12族の金属がよく、特に好ましくは、5〜11族の金属がよい。これらの中でも、V,Mo,Fe,Co,Ni,Pd,Pt,Rh、W、Cuが特に好ましく、さらに好ましくは、Fe,Co,Niがよい。
担体に担持させる金属触媒は1種類だけであっても、2種類以上であってもよいが、好ましくは、2種類以上を担持させる方がよい。2種類以上の金属を担持させる場合としては、Co,Ni,Pd,Pt,Rhと他の金属との組み合わせが好ましく、特に好ましくは、CoとFe,Ni,V,Mo,Pdの群の1種以上とを組み合わせるのがよい。
固体担体に対して金属触媒を担持させる方法は特に限定されない。例えば、担持したい金属の塩(触媒成分)を溶解させた例えばエタノール溶液なとの非水溶液中又は水溶液中に固体担体を含浸し、充分に分散混合した後に乾燥させ、担体上に触媒成分を担持させる方法(含浸法)を用いることができる。その他の方法として、平衡吸着法、イオン交換法などを挙げることができる。
触媒成分の種類としては特に限定されないが、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩などの無機酸塩、エチレンジアミン4酢酸錯体やアセチルアセトナート錯体のような錯塩、金属のハロゲン化物、有機錯塩などが用いられる。触媒成分を担持させた固体触媒は、その後、不活性ガス雰囲気下にカーボンナノチューブの合成温度(500℃から1000℃)で焼成する。本発明のカーボンナノチューブの製造方法に使用するときは、この焼成済みの粒子状固体触媒を、焼成後においても生成反応に使用するまで不活性ガス下で管理する。
原料ガスに用いる炭素含有ガスとしては、カーボンナノチューブ形成反応条件下で気体である炭化水素類、アルコールなどを使用することができ、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロピレン、イソプロピレン、n−ブタン、ブタジエン、1−ブテン、2−ブテン、2−メチルプロパン、n−ペンタン、2−メチルブタン、1−ペンテン、2−ペンテン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、n−ヘキサン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2,2,3−トルメチルブタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロオクタン、1,1−ジメチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1−オクテン、2−メチルペプタン、3−メチルペプタン、4−メチルペプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、n−ノナン、イソプロピルシクロヘキサン、1−ノネン、プロピルシクロヘキサン、2,3−ジメチルヘプタン、n−デカン、ブチルシクロヘキサン、シクロデカン、1−デセン、ピネン、ピナン、リモネン、メタン、n−ウンデカン、1−ウンデセン、n−ドデカン、シクロドデセン、1−ドデセン、n−トリデカン、1−トリデセン、n−テトラデカン、1−テトラデセン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、エイコサン、ドコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ペプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ビニルトルエン、メシチレン、プソイドクメン、スチレン、クメン、ビニルスチレン又はこれらの混合物が挙げることができる。
原料となる炭素含有ガスは、窒素、アルゴン、水素、ヘリウムなどの不活性ガスとの混合物を用いることができる。このように炭素含有ガスと不活性ガスの併用は、炭素化合物の濃度をコントロールしたり、キャリアガスとしての効果があることから好ましい。
これらのガスが固体触媒に供給される際のガス組成として、工業的には炭素含有ガスのガス濃度は高い程好ましいが、炭素源の種類によって適正値がある。つまり、反応性の高いアセチレンガスを使用する時など、数十容量%の濃度で用いると、熱分解によるロスおよび、カーボンナノチューブの合成品に多くのアモルファス成分を含むことから、1〜10容量%の間で使用される。逆に、反応性の低いメタンなどでは数十から100容量%のガスが用いられる。
上述した炭素含有ガスと粒子状固体触媒とを加熱条件下に接触させると、粒子状固体触媒上にカーボンナノチューブを生成することができる。加熱温度としては、500〜1000℃が好ましく、より好ましくは550〜950℃であり、さらに好ましくは600〜850℃である。
本発明のカーボンナノチューブの製造方法では、炭素含有ガスと焼成済みの粒子状固体触媒を加熱条件下で接触させてカーボンナノチューブを生成させるとき、粒子状固体触媒を直接反応域に供給するのではなく、反応域上部から内部の合成域にまで挿入した供給管(内管)の中を不活性ガスと共に通過させ、しかる後はじめてカーボンナノチューブの合成域に供給する。つまり、反応域の内部に挿入した供給管(内管)を粒子状固体触媒が不活性ガスと共に通過する間に、粒子状固体触媒上の活性金属の固体微粒子が不活性ガス下で液化し、その液化した金属触媒が炭素含有ガスと接触してカーボンナノチューブを合成させるようにしている。
この粒子状固体触媒の液化現象は、従来のバッチ式のカーボンナノチューブの合成法における固体触媒と同様である。つまり、従来のバッチ式の合成法では、不活性ガス雰囲気下で固体触媒をカーボンナノチューブ合成温度まで昇温し、その後、炭素含有ガスと所定時間接触させてカーボンナノチューブを合成する。不活性ガス雰囲気下で昇温する間に担体に担持された触媒成分が分解し、酸化されることなく担体上に活性金属の液体微粒子が形成され、その液体微粒子が炭素源と接触してカーボンナノチューブが合成される工程を経るからである。
一方、内管がない従来の連続製造方法の場合は、粒子状固体触媒上の金属微粒子は、液体に相変化する期間中も多くの炭素含有ガス、および高温下での炭素分解物(タール)と接触することになる。金属触媒はカーボンナノチューブと同程度の径で、非常に失活し易いものであるので、この間にカーボンナノチューブを合成する多くの金属粒子が失活してしまい、カーボンナノファイバーを合成する活性の低い大きな金属粒子が残存することになる。
本発明では、粒子状固体触媒が反応域内の供給管を降下する間に、バッチ式反応の場合と同じように不活性ガス雰囲気下で昇温し、金属触媒が液化された状態にした後、炭素含有ガスと接触させてカーボンナノチューブを合成するので、バッチ式反応の場合と同様に副生成物の少ない高品質のカーボンナノチューブを合成することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は例示のために示すものであって、いかなる意味においても、本発明を限定的に解釈するものとして使用してはならない。
[参考例1:担体への金属塩の担持]
トリフルオロ酢酸鉄(日本化学産業株式会社製)1.5g、トリフルオロ酢酸コバルト(日本化学産業株式会社製)15gを500mlナス型フラスコに取り、エタノール(試薬1級)300CCを加えて溶解させた。次に、チタノシリケート型ゼオライト粉末(NEケムキャット社製TS−1)100gを加えエタノール溶媒に分散させた後、超音波洗浄機で30分処理した。その後、40℃恒温下、アスピレータを減圧源としたエバポレーターでエタノールを脱溶媒し、ゼオライト表面に触媒成分であるトリフルオロ酢酸鉄、トリフルオロ酢酸コバルトを担持した。
トリフルオロ酢酸鉄(日本化学産業株式会社製)1.5g、トリフルオロ酢酸コバルト(日本化学産業株式会社製)15gを500mlナス型フラスコに取り、エタノール(試薬1級)300CCを加えて溶解させた。次に、チタノシリケート型ゼオライト粉末(NEケムキャット社製TS−1)100gを加えエタノール溶媒に分散させた後、超音波洗浄機で30分処理した。その後、40℃恒温下、アスピレータを減圧源としたエバポレーターでエタノールを脱溶媒し、ゼオライト表面に触媒成分であるトリフルオロ酢酸鉄、トリフルオロ酢酸コバルトを担持した。
この操作を10バッチ繰り返し、触媒成分を担持した担体(焼成前の固体触媒)約1kgを得た。
[参考例2:固体触媒の焼成]
図2に示す焼成装置に参考例1で調製した固体触媒50gを取り、電気炉中に設置してアルゴンガスを100cc/分で供給開始した。その後、温度を800℃に加熱した(昇温時間30分)。800℃に到達した後30分保持した後、温度を室温まで冷却した。
図2に示す焼成装置に参考例1で調製した固体触媒50gを取り、電気炉中に設置してアルゴンガスを100cc/分で供給開始した。その後、温度を800℃に加熱した(昇温時間30分)。800℃に到達した後30分保持した後、温度を室温まで冷却した。
冷却後、焼成器を加熱器から取り外し、触媒を風送する管を経由し、焼成済み触媒を予め不活性ガスで満たされた密閉型触媒供給機(三協パイオテク株式会社製マイクロフィーダ−MFLV−1VD)のポッパーに充填した。この操作を4回繰り返し、触媒供給器ホッパー内に約200gの焼成済み固体触媒を充填した。
比較例
図3に示すカーボンナノチューブ製造装置を使用して、下記の条件でカーボンナノチューブを合成した。反応炉31の内径は64mm、長さは1900mmである。
図3に示すカーボンナノチューブ製造装置を使用して、下記の条件でカーボンナノチューブを合成した。反応炉31の内径は64mm、長さは1900mmである。
反応炉31に供給管36からアルゴンを200cc/分で導入し、その状態で800℃まで昇温した。次いで、昇温後の温度を保持した状態で、供給管36からの供給をアセチレン5体積%、アルゴン95体積%のガス組成に調整したガスに切り替え、2000cc/分で反応炉31に供給開始した。その後、マイクロフィーダーでアルゴンガスを200cc/分で供給開始すると共に、マイクロフィーダーを起動させて参考例2で作成した粒子状固体触媒を0.3g/分の速度で連続的に反応炉31に供給開始した。そして、初期流動を考慮して、反応開始から5分後から15分までの反応済みの粒子状固体触媒を採取した。
上記採取した粒子状固体触媒を、熱重量測定装置(TGA)により熱分析測定をした結果、炭素重量は7重量%であった。また、日本電子データム(株)操作電子顕微鏡JSM−630INFで生成物を観察したところ、外径が100nm以上の節立ったカーボンファイバーが主成分であった。またラマン分析を行ったところ、G/D比は1であった。
実施例
図1に示す製造装置を使用して、下記の条件でカーボンナノチューブを合成した。反応炉1の内径は64mm、長さは1900mmであり、反応炉の内部に挿入する供給管を設けた以外は、比較例の装置と同じにした。
図1に示す製造装置を使用して、下記の条件でカーボンナノチューブを合成した。反応炉1の内径は64mm、長さは1900mmであり、反応炉の内部に挿入する供給管を設けた以外は、比較例の装置と同じにした。
反応炉1に供給管6から200cc/分でアルゴンを導入し、その状態で800℃まで昇温した。昇温後の温度を保持した状態で、供給管6からの供給をアセチレン5体積%、アルゴン95体積%のガス組成に調整したガスに切り替え、2000cc/分で反応炉1に供給開始した後、供給管14からマイクロフィーダーで200cc/分のアルゴンガスを供給開始すると共に、マイクロフィーダーを起動させて参考例2で作成した固体触媒を0.3g/分の速度で連続的に反応炉1に供給開始した。そして、初期流動を考慮し、反応開始から5分後から15分までの反応済みの粒子状固体触媒を採取した。
上記採取した粒子状固体触媒を熱重量測定装置(TGA)により熱分析測定をした結果、炭素重量は6重量%であった。また、日本電子データム(株)操作電子顕微鏡JSM−630INFで生成物を観察したところ、外径が20nm以下のカーボンナノチューブが主成分であった。また、ラマン分析を行ったところ、G/D比は7であった。
1 反応炉
2 ヒーター
3 密閉型触媒供給器
4,14(粒子状固体触媒の)供給管
5 排出管
6(炭素含有ガスの)供給管
7 回収管
2 ヒーター
3 密閉型触媒供給器
4,14(粒子状固体触媒の)供給管
5 排出管
6(炭素含有ガスの)供給管
7 回収管
Claims (8)
- 炭素含有ガスと金属触媒を担体に担持させた粒子状固体触媒とを加熱下の反応域に連続導入して該粒子状固体触媒上にカーボンナノチューブを生成し、該粒子状固体触媒を連続的に回収するカーボンナノチューブの製造方法において、
前記粒子状固体触媒の供給管を前記反応域の内部まで挿入し、該供給管により前記粒子状固体触媒を不活性ガスと共に移送して前記反応域内に導入することを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。 - 前記反応域の温度を500〜100℃の範囲にする請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
- 前記供給管を前記反応域の上部から中間部まで垂下させ、該中間部から前記粒子状固体触媒を分散吐出すると共に、前記反応域の下部から前記炭素含有ガスを導入する請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
- 前記粒子状固体触媒を予め不活性ガス雰囲気下で焼成し、前記反応域に導入するまで不活性ガス下に密閉管理する請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
- 前記金属触媒の担体が、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、珪酸塩、珪藻土、アルミノシリケート、ゼオライト、活性炭、グラファイトの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
- 前記金属触媒が、3〜12族の金属から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
- 炭素含有ガスと金属触媒を担体に担持させた粒子状固体触媒とを加熱下の反応域に連続導入して該粒子状固体触媒上にカーボンナノチューブを生成し、該粒子状固体触媒を連続的に回収するカーボンナノチューブの製造装置において、
前記粒子状固体触媒の供給管を前記反応域の内部まで挿入したことを特徴とするカーボンナノチューブの製造装置。 - 前記粒子状固体触媒の供給管を前記反応域の上部から中間部まで垂下させ、前記反応域の下部に前記炭素含有ガスの供給管を開口させた請求項7に記載のカーボンナノチューブの製造装置。
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- 2006-03-29 JP JP2006090400A patent/JP2007261895A/ja active Pending
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