JP2007261478A - 車両用制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スプリット路面において、急制動によりヨーモーメントが発生しても、車両をコントロールしやすくし、良好な制動力を発揮させる。
【解決手段】制動力調節装置10Bと操舵調節装置10Aとを制御部20により制御する。制御部20は、制動力調節装置を作動させて制動時の車輪のロックを抑制するアンチロックブレーキ制御を実行する。また、制御部20は、スプリット路面の走行中に制動に伴ってヨーモーメントが発生した場合に、ヨーモーメントを打ち消すべく高μ路側前輪をトーイン方向に操舵するとともに、低μ路側前輪の操舵方向を維持し、または車輪前後方向を対地速度方向へ操舵する。
【選択図】図7

Description

本発明は、車両の挙動を制御する車両用制御装置に関する。
左右の車輪が走行する路面の摩擦係数が異なる、いわゆるスプリット路面においては、車両を急制動させると高摩擦係数路面(本明細書において「高μ路」とする)側の車輪ばかりが制動力を発揮し、低摩擦係数路面(低μ路)側の車輪は十分な制動力を生じないことから、車体が高μ路側に旋回するヨーモーメントが発生する。
このヨーモーメントは、車輪のロック状態を防止するアンチロックブレーキ制御を行っている車両において特に発生しやすい。
このヨーモーメントを抑えるため、従来、左右の各車輪のうち高μ路側の車輪の制動力を適宜緩めて、左右の車輪の制動力の差を小さくすることが考えられている。
しかし、この対策によると、高μ路側の路面摩擦力を十分に利用できないという問題がある。
そのため、スプリット路面に起因するヨーモーメントの発生を抑えつつ制動力を確保するために、ヨーモーメントを相殺する方向に前輪または後輪を操舵させる制御を行う技術も考案されている(特許文献1参照)。
特開平1−156176号公報
ところで、特許文献1の発明においては、ヨーモーメントを相殺する修正操舵は前輪または後輪の少なくとも一方の左右車輪を対象としている。しかし、ヨーモーメントを相殺するために、例えば前の左右車輪を両方同じ方向に向けた場合には、低μ路側の車輪が十分な制動力を発揮できない場合があるという問題がある。
つまり、例えば左車輪が高μ路、右車輪が低μ路に載るようなスプリット路面を走行している場合、急制動を掛けると車両が左に旋回するようなヨーモーメントが発生する。これに対し、左右の前輪をともに右向きに操舵させると、左の前輪は右旋回のヨーモーメントを発生するのに役立つが、右の前輪は、低μ路上に載っていて右旋回のヨーモーメントの発生には役立たないため、少しでも制動力を発揮するのが望ましい。
ところが、右前車輪も左前車輪と同じように単に右、つまりトーアウト方向へ操舵してしまうと、右前車輪(タイヤ)に対し路面が流れる方向は、右前車輪の前後方向(転がるべき方向)に対し、斜めまたは横方向になってしまう。この点、タイヤは、前後方向の摩擦力がもっとも大きくなるように設計してあるのが通常であるので、路面が右前車輪に対し斜め方向に流れるのでは、タイヤの制動能力を最大限に発揮できないことになる。また、アンチロックブレーキ制御を行ったところで、低μ路側の車輪は横滑りしているため、せっかくのアンチロックブレーキ制御によっても最大限の摩擦力の確保ができなくなる。
そこで、本発明では、スプリット路面において急制動を掛けたときに、できるだけ制動力を発揮しつつ、車両を安定させる車両用制御装置を提供することを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明の車両制御用装置は、次の構成を有する。すなわち、各車輪の制動力を個別に調節可能な制動力調節装置と、車両の各車輪の操舵方向を個別に調節可能な操舵調節装置と、前記車両の運転状態に基づいて少なくとも前記制動力調節装置および前記操舵調節装置を制御する制御部とを備えた車両用制御装置であって、前記制御部は、前記制動力調節装置を作動させて制動時の車輪のロックを抑制する制御を実行するアンチロックブレーキ制御部と、スプリット路面の走行中に制動に伴ってヨーモーメントが発生した場合に、前記操舵調節装置を作動させて、前記ヨーモーメントを打ち消すべく高μ路側前輪をトーイン方向に操舵するとともに、低μ路側前輪の操舵方向を維持し、または車輪前後方向を対地速度方向へ操舵する前輪補正操舵部とを備える。
このように、スプリット路面の走行中にヨーモーメントが発生した場合、左右の前輪を個別に制御して、まず高μ路側前輪をトーイン方向、つまりヨーモーメントを打ち消す方向に操舵するため、ヨーモーメントによる車両の姿勢変化が抑制される。また、低μ路側前輪の操舵方向を維持し、または車輪前後方向を対地速度方向へ操舵するため、従来のように画一的にトーアウト方向へ操舵する場合に比べ、路面が低μ路側前輪の前後方向へ向けて移動、いわば流れるため、低μ路側前輪の摩擦力をできるだけ生かして、制動力を発揮することができる。特に、低μ路側前輪において行われるアンチロックブレーキ制御が、車輪と路面の摩擦係数が最も高くなるようなスリップ率になるように制御することで、ヨーモーメントで車両が旋回し始めている状態でも、最大限の摩擦力を発揮できる。なお、本明細書においては、車輪の位置において地面に対し車両が相対的に移動する方向を「対地速度方向」とする。
前記した車両用制御装置においては、スプリット路面の走行中に制動に伴ってヨーモーメントが発生した場合に、前記操舵調節装置を作動させて、前記ヨーモーメントを打ち消すべく高μ路側後輪をトーアウト方向へ操舵するとともに、低μ路側後輪の操舵方向を維持し、または車輪前後方向を対地速度方向へ操舵する後輪補正操舵制御を実行する後輪補正操舵部を備えることが望ましい。
このように、後輪については、スプリット路面の走行中にヨーモーメントが発生した場合、高μ路側後輪をトーアウト方向へ操舵するため、ヨーモーメントによる車両の姿勢変化が抑制される。また、低μ路側後輪の操舵方向を維持し、または車輪前後方向を対地速度方向へ操舵するため、従来に比べて低μ路側後輪に対し路面が相対的に前後方向に移動するので、低μ路側後輪の摩擦力をできるだけ生かすことができる。
前記した車両用制御装置においては、前記後輪補正操舵部は、車両のヨーモーメントが所定の基準を上回った場合に前記後輪補正操舵制御を実行するのが望ましい。
発生したヨーモーメントが比較的小さい場合には、前輪のみが独立に操舵されるので、ヨーモーメントの抑制に伴う車両の姿勢変化が緩やかになる。つまり、搭乗者が違和感を覚えるのを和らげ、乗り心地を向上させることができる。
また、本発明の第2の観点からは、車両用制御装置は、次のように構成することができる。すなわち、各車輪の制動力を個別に調節可能な制動力調節装置と、車両の各車輪の操舵方向を個別に調節可能な操舵調節装置と、前記車両の運転状態に基づいて少なくとも前記制動力調節装置および前記操舵調節装置を制御する制御部とを備えた車両用制御装置であって、前記制御部は、前記制動力調節装置を作動させて制動時の車輪のロックを抑制する制御を実行するアンチロックブレーキ制御部と、スプリット路面の走行中に制動に伴ってヨーモーメントが発生した場合に、前記操舵調節装置を作動させて、前記ヨーモーメントを打ち消すべく高μ路側後輪をトーアウト方向に操舵するとともに、低μ路側後輪の操舵方向を維持し、または車輪前後方向を対地速度方向へ操舵する後輪補正操舵部とを備える。
このように、スプリット路面の走行中にヨーモーメントが発生した場合に、高μ路後輪がトーアウト方向へ向くので、車両の姿勢変化が抑制されるとともに、低μ路側後輪が維持され、またはその車輪前後方向が対地速度方向を向くことで、従来に比べて低μ路後輪の向きが路面の相対的移動方向に沿い、低μ路側後輪の摩擦力をできるだけ生かすことができる。
前記した車両用制御装置においては、前記低μ路側の車輪、つまり、低μ路側の前輪または後輪は、ブレーキ操作前の当該車輪の速度成分と、現在の当該車輪位置での回転速度成分とを合成した方向に向けて操舵されるのが望ましい。
このように操舵方向を決定することにより、低μ路側の車輪は、現在のその車輪の路面に対する移動方向(車輪に対し路面が相対的に流れる対地速度方向)にほぼ向くことになるので、タイヤの能力を生かして十分な摩擦力を発揮することができる。
前記した車両用制御装置においては、車両速度とヨーレートのうち少なくともいずれか一方に対応させて、制御対象となる低μ路側の車輪の操舵方向をあらかじめ記憶した記憶部を備え、前記記憶部の記憶している対応関係に基づき低μ路側の車輪を操舵することができる。
このようにあらかじめ記憶しておいたテーブルなどを参照して車輪の操舵方向を決定すれば、演算処理が容易で素早い制御が可能になる。
また、前記高μ路側の車輪、つまり、高μ路側の前輪または後輪は、ヨーレートが大きいほど補正操舵量が大きく制御するのが望ましい。
このようにヨーレートが大きいほど補正操舵量を大きくすることで、車両の姿勢を素早く元へ戻すことが可能である。
前記高μ路側の車輪は、ヨーレートの向きが反転する前の補正操舵量よりも反転した後の補正操舵量が小さく制御されるのが望ましい。このように、高μ路側の車輪の操舵によるコーナリングフォースが車両の振れを戻すカウンターヨーモーメントを発生し、振れが戻り始めたなら高μ路側の車輪の補正操舵量を小さくすることで、振れ戻しを抑制することができる。
本発明によれば、スプリット路面などにおいて、アンチロックブレーキ制御が働いて車体にヨーモーメントが発生したとしても、高μ路側の車輪でヨーモーメントを抑えつつ、低μ路側の車輪はできるだけ進行方向に向くよう操舵されるので、タイヤの能力を十分に発揮することができる。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
参照する図面において、図1は、実施形態に係る車両用制御装置を備えた車両の構成図であり、図2は、操舵調節装置の液圧回路図であり、図3は、制動力調節装置の液圧回路図である。
図1に示すように、車両用制御装置100は、車両CRの各車輪Tに付与する制動力を適宜制御するとともに、各車輪Tの操舵方向を制御して車両CRの挙動を安定化させる装置である。車両用制御装置100は、油路や各種部品が設けられ、操舵調節装置10Aおよび制動力調節装置10B(図2、図3参照)を構成する液圧ユニット10と、液圧ユニット10内の各種部品を適宜制御するための制御部20とを主に備えている。
各車輪Tには、それぞれ車輪ブレーキFL,RR,RL,FRが備えられ、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRには、マスタシリンダMから供給される液圧により制動力を発生するホイールシリンダWが備えられている。マスタシリンダMとホイールシリンダWとは、それぞれ液圧ユニット10に接続されている。そして、ブレーキペダルPの踏力に応じてマスタシリンダMで発生したブレーキ液圧が、制御部20および液圧ユニット10で制御された上でホイールシリンダWに供給されている。
ステアリングSには、その操作角度(ステアリング操作角)を検出する操作角センサ93が設けられている。操作角センサ93は、制御部20に接続され、制御部20により液圧ユニット10を介して各車輪Tの操舵方向が制御される。各車輪TのナックルアームKは、例えば、液圧シリンダからなるアクチュエータ30により作動される。具体的には、アクチュエータ30のピストンロッド31がナックルアームKに接続され、ピストンロッド31の作動により、各車輪Tの操舵方向を調節することが可能となっている。
各アクチュエータ30は、液圧ユニット10に接続されている。液圧ユニット10は、後述するように制御部20からの指令により各アクチュエータ30に液圧を供給する。
制御部20には、車両CRの各車輪Tの車輪速度、詳細には車輪Tの回転速度を検出するための車輪速センサ91が接続されている。また、各アクチュエータ30には、内部のピストンの位置を操舵角SAの情報として検出する操舵角センサ92が備えられている。操舵角センサ92は、それぞれ制御部20へ接続されている。また、車両CRのヨーレートVを測定するヨーレートセンサ94が設けられ、制御部20に接続されている。ヨーレートセンサ94は、計算を用いてでもヨーレートVを取得できるものであればよく、横加速度センサや、ジャイロセンサであってもよい。また、ヨーレートセンサ94を設けない構成として、各車輪速センサ91の検出結果の履歴からヨーレートVを推定してもよい。
制御部20は、例えば、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、車輪速センサ91や操舵角センサ92からの入力と、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。
次に、操舵調節装置10Aとしての液圧ユニット10の一例について説明する。
図2に示すように、液圧ユニット10は、ポンプ14と、ポンプ14を駆動する電動モータ16と、ポンプ14が発生した液圧を蓄圧するアキュムレータ15とを備えている。アキュムレータ15に蓄圧された高圧液は、2つの3ポート3位置の電磁弁11a,11bを介して、アクチュエータ30の2つのシリンダ室に供給される。電磁弁11a,11bは、通常時においてアキュムレータ15からの液圧の伝達を遮断して車輪Tの操舵方向を保持しているが、制御部20からの指令により電磁弁11a,11bの状態を変えることで、アクチュエータ30のピストンロッド31を左右にスライドさせてナックルアームKを回動させることが可能になっている。車輪Tは、ナックルアームKの回動に応じて操舵方向が調節される。また、アクチュエータ30のシリンダ室から逃がされた作動液は、リザーバ13へ還流するよう配管されている。
次に、制動力調節装置10Bとしての液圧ユニット10の一例について説明する。
図3に示すように、液圧ユニット10は、マスタシリンダMと車輪ブレーキFL,RR,RL,FRとの間に配置されている。マスタシリンダMの二つの出力ポートM1,M2は、液圧ユニット10の入口ポート121に接続され、出口ポート122が、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに接続されている。そして、通常時は液圧ユニット10内の入口ポート121から出口ポート122までが連通した油路となっていることで、ブレーキペダルPの踏力が各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに伝達されるようになっている。
液圧ユニット10には、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに対応して四つの入口弁1、四つの出口弁2、および四つのチェック弁1aが設けられている。また、出力ポートM1,M2に対応した各出力液圧路81,82に対応して二つのリザーバ3、二つのポンプ4、二つのダンパ5、二つのオリフィス5aが設けられ、二つのポンプ4を駆動するための電動モータ6を備えている。
入口弁1は、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRとマスタシリンダMとの間に配置された常開型の電磁弁である。入口弁1は、通常時に開いていることで、マスタシリンダMから各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRへブレーキ液圧が伝達するのを許容している。また、入口弁1は、車輪Tがロックしそうになったときに制御部20により閉塞されることで、ブレーキペダルPから各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに伝達する液圧を遮断する。
出口弁2は、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRと各リザーバ3との間に配置された常閉型の電磁弁である。出口弁2は、通常時に閉塞されているが、車輪Tがロックしそうになったときに制御部20により開放されることで、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに加わるブレーキ液圧を各リザーバ3に逃がす。
チェック弁1aは、各入口弁1に並列に接続されている。このチェック弁1aは、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FR側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流入のみを許容する弁であり、ブレーキペダルPからの入力が解除された場合に入口弁1を閉じた状態にしたときにおいても、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FR側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流れを許容する。
リザーバ3は、各出口弁2が開放されることによって逃がされるブレーキ液を吸収する機能を有している。
ポンプ4は、リザーバ3で吸収されているブレーキ液を吸入し、そのブレーキ液をダンパ5やオリフィス5aを介してマスタシリンダMへ戻す機能を有している。これにより、リザーバ3によるブレーキ液圧の吸収によって減圧された各出力液圧路81,82の圧力状態が回復される。
入口弁1および出口弁2は、制御部20により開閉状態が制御されることで、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRのホイールシリンダWにおける液圧を制御する。例えば、入口弁1が開、出口弁2が閉となる通常状態では、ブレーキペダルPを踏んでいれば、マスタシリンダMからの液圧がそのままホイールシリンダWへ伝達して増圧状態となり、入口弁1が閉、出口弁2が開となれば、ホイールシリンダWからリザーバ3側へブレーキ液が流出して減圧状態となり、入口弁1と出口弁2が共に閉となれば、ホイールシリンダWの液圧が保持される。制御部20は、各ホイールシリンダWで目標とするブレーキ液圧に応じて、これらの3つの状態を切り換えるべく、各入口弁1および各出口弁2に制御信号を出力する。
図4は、制御部のブロック構成図である。
図4に示すように、制御部20は、記憶部21と、アンチロックブレーキ制御部22と、操舵制御部23とを有する。制御部20は、車輪速センサ91、操舵角センサ92、操作角センサ93およびヨーレートセンサ94から入力される各情報に基づき、液圧ユニット10内の各電磁弁11a,11bおよび電動モータ16などを駆動する信号を出力するように構成されている。なお、例示したセンサ類からの情報以外にも、制御の精度を向上させるため気温や湿度など、適宜必要な情報を制御部20に入力してもよい。
記憶部21は、アンチロックブレーキ制御部22および操舵制御部23の演算に用いるテーブルや、車輪速、ヨーレートV、ヨーモーメントなどの車両CRの各物理量の履歴などを記憶する部分である。
アンチロックブレーキ制御部22は、目標スリップ率設定部22a、スリップ率演算部22b、ブレーキ制御量演算部22cおよび駆動部22dを備えて構成されている。
目標スリップ率設定部22aは、状況に応じて、トラクションの伝達率が良いとされるスリップ率SLの目標値を設定する部分である。例えば、目標スリップ率SLは30%などと設定される。目標スリップ率SLは、ステアリング操作角や、車輪速度、気温などに応じて、適宜な値を設定するとよい。
スリップ率演算部22bは、車輪速センサ91が検出した車輪速度から算出された車両速度VCRと、各車輪Tの速度Vとから、スリップ率SLを算出する。スリップ率SLは、
SL=(VCR−V)/VCR×100(%)
により算出することができる。
ブレーキ制御量演算部22cは、目標スリップ率SLと現時点のスリップ率SLとから車輪ブレーキFL,RR,RL,FRの制御量、具体的には、ホイールシリンダWを制御する量を決定する。
例えば、スリップ率SLが、所定値より小さい場合には、アンチロックブレーキ制御をする必要がないから、ブレーキ制御量を「0(ゼロ)」とすることができる。
また、一旦スリップ率SLが所定値を超えた場合には、スリップ率SLが目標スリップ率SLに近づくように、目標スリップ率SLとスリップ率SLの差や割合に応じてブレーキ制御量を決定することができる。つまり、各車輪ブレーキFL,RR,RL,FRに対応するホイールシリンダWに付与するブレーキ液圧の保持または減圧・増圧とその動作量を決定する。
駆動部22dは、ブレーキ制御量演算部22cが算出したブレーキ制御量に基づいて、液圧ユニット10を駆動する信号を出力する部分である。すなわち、ブレーキ液圧の減圧、保持、増圧に対応させて予め記憶部21に記憶しておいた各入口弁1、出口弁2および電動モータ6の動作パターンを読み出し、制御信号として出力する。
操舵制御部23は、目標操舵角演算部23a、補正判定部23b、補正操舵量演算部23c、操舵量演算部23dおよび駆動部23eを備えて構成されている。図4において、補正判定部23bおよび補正操舵量演算部23cを合わせた補正操舵部A(破線で囲んだ部分)は、前輪補正操舵部および後輪補正操舵部に相当する。
目標操舵角演算部23aは、ステアリング操作角から、各車輪Tの操舵方向(本明細書において「操舵角」ともいう。)を求める部分である。具体的には、ステアリング操作角から旋回半径を計算し、旋回半径に応じて左右の前輪の目標の操舵方向(目標操舵角SA)を算出する。この目標操舵角SAの算出は、ステアリング操作角と左右前輪の操舵角SAとを一対一に対応させたテーブルを参照して求めてもよいし、車両CRの旋回中心を推定して、幾何学的に算出してもよい。
なお、車両CRの車両速度VCRに応じて後輪を前輪と同相または逆相に制御する4WS制御を行うため、前輪と同様に、左右の後輪の目標操舵角を算出してもよい。
補正判定部23bは、スプリット路面において急制動を掛けることで車両CRにヨーモーメントが発生したかどうかを判定し、発生したと判定した場合には、補正操舵量演算部23cに操舵補正の指令をする部分である。
具体的には、マスタシリンダMのブレーキ液圧(マスタシリンダ圧)などからブレーキ操作の有無を判断する。そして、急制動の操作があった場合には、ヨーモーメントの大きさをヨーレートVなどから推定し、ステアリング操作角および車両速度VCRから求まる通常のヨーモーメントと比較して、大きなヨーモーメントが発生していた場合には、スプリット路面での急制動により車両CRが旋回し始めたと判定する。
なお、マスタシリンダ圧は、液圧ユニット10内の所定の箇所の圧力を検出することで取得することができる。また、ブレーキ操作の有無は、ブレーキランプのスイッチの情報を取得して判断することができる。さらに、ブレーキペダルPに操作量を検出するセンサを設けておき、ブレーキ操作量の大きさ、速さから急制動の有無まで判断してもよい。
補正操舵量演算部23cは、補正判定部23bが、スプリット路面での急制動によるヨーモーメントの発生を判定した場合に、各車輪Tの補正操舵量を算出する部分である。
補正操舵量演算部23cは、ヨーモーメントが所定の基準を上回っていない場合には、前輪のみの補正操舵量を算出し、上回っている場合には、前輪と後輪の補正操舵量を算出する。
補正操舵量dθを算出する際には、後述するいずれの算出方法を用いるにしても、高μ路側前輪については、トーイン方向に操舵補正される。このことにより、スプリット路面での急制動に伴い発生したヨーモーメントを打ち消すカウンターヨーモーメントを発生させることができ、車両CRの進行方向を元通りに回復させることができる。
そして、低μ路側前輪については、ヨーモーメント発生前の操舵方向を維持するか、車輪前後方向を当該車両位置における対地速度方向に向けるように操舵補正される。このことにより、従来と比較して、低μ路側前輪がその位置での車両CRの進行方向(対地速度方向)、言い換えると、車輪Tに対して路面が移動する方向へ向くように操舵されるので、車輪Tの摩擦力をできるだけ生かして、良好な制動力を発揮することができる。また、車輪Tの向きが路面の動きに沿うことから車輪が路面に追従しやすくなるので、アンチロックブレーキ制御を行うことで、運転者による車両CRのコントロールがしやすくなる。
高μ路側後輪については、トーアウト方向に操舵補正される。このことにより、スプリット路面での急制動に伴い発生したヨーモーメントを打ち消すカウンターヨーモーメントを発生することができ、車両CRの進行方向を元通りに回復させることができる。
そして、低μ路側後輪については、ヨーモーメント発生前の操舵方向を維持するか、車輪前後方向を当該車両位置における対地速度方向に向けるように操舵補正される。このことにより、従来と比較して、低μ路側後輪がその位置での車両CRの進行方向、言い換えると、車輪Tに対して路面が移動する方向(対地速度方向)へ向くように操舵されるので、車輪Tの摩擦力をできるだけ生かして、良好な制動力を発揮することができる。また、車輪Tの向きが路面の動きに沿うことから、アンチロックブレーキ制御を行うことで、運転者による車両CRのコントロールがしやすくなる。
具体的な補正操舵量dθの算出について、まず、前輪を前提として説明する。
補正操舵量演算部23cは、ヨーモーメントの大きさ、厳密にはステアリング操作による通常のヨーモーメントを超えて発生した分のヨーモーメントの大きさに応じて各車輪Tの補正操舵量dθを算出する。なお、特許請求の範囲にいうヨーモーメントは、この超過分のヨーモーメントをいう。また、補正操舵量dθは、ステアリング操作角から決まる通常の車輪Tの操舵角SAを基準として、スプリット路での車両CRの姿勢変化を修正するために操舵する量(角度)をいう。
補正操舵量dθの算出にあたっては、まず、検出されたヨーレートから、高μ路側と低μ路側の車輪を区別する。
そして、高μ路側の車輪の補正操舵に際しては、次のような方法を採ることができる。
例えば、図5に示すように、ヨーレートV(またはヨーモーメント)と各輪の補正操舵量dθの関係を記憶部21に記憶しておき、この関係を参照して補正操舵量を算出することができる。この関係は、ヨーレートVが大きいほど補正操舵量dθを大きくしておくとよい。このような関係とすることで、車両CRが大きく振れたときほど速く姿勢を回復させるように大きなカウンターヨーモーメントを発生させることができる。
また、ヨーレートVと補正操舵量dθの関係は、比例させるよりは、ヨーレートVが大きくなるほど補正操舵量dθの増加率を小さくするのが好ましい。このような関係とすることで、過度なカウンターヨーモーメントの発生を防止して、車両CRの振れ戻しを防止できる。また、運転者の操作に違和感を与えにくくなる。
さらに、車両速度VCRと、補正操舵量dθの関係を記憶しておいて、車両速度VCRに応じて補正操舵量dθを算出してもよい。例えば、図6に示すように、車両速度VCRが大きいほど、補正操舵量dθの値が小さくなるように設定しておけば、車両速度VCRが高いときの急操舵を防止して、車両CRの姿勢を安定化させることができる。
また、補正操舵量dθは、車両CRに発生した振れが増加傾向にあるときと、減少傾向にあるときとで、異なる値を採るようにしてもよい。
例えば、車両の振れが増加傾向にあるときは、求めた補正操舵量dθをそのまま用い、減少傾向にあるときは、求めた補正操舵量dθに1より小さい定数α(0<α<1)を乗じて、新たな補正操舵量dθを得るように構成することができる。振れの増加傾向と減少傾向とは、ヨーレートの向きの反転、すなわち、ヨーレートの符号が入れ替わったかどうかで判定することができる。
このように車両CRの振れが減少傾向のときに小さい補正操舵量dθをとるように設定することで、車両CRの姿勢の変化が回復し始めたら、操舵補正を少なくして車両CRの振れ戻しを抑制することが可能となる。
また、低μ路側の車輪Tの補正操舵量dθを求める場合には、次の方法を採ることができる。
まず、高μ路側の車輪Tと同じように、図5に示すように、ヨーレートV(またはヨーモーメント)と各輪の補正操舵量dθの関係を記憶部21に記憶しておき、この関係(θ2,θ3)を参照して補正操舵量dθを算出することができる。
また、低μ路側の車輪Tの補正操舵量dθを求める他の方法としては、ブレーキ操作前の車輪Tの速度成分と、現在の当該車輪Tの位置での車両CRの回転速度成分とを合成した方向に向けて操舵しても良い。
例えば、図7(a)に示すように、車両CRの低μ路側前輪の補正操舵量dθ(=θ2)を求める場合、次のようにして求めることができる。まず、予め記憶しておいた、または各車輪Tに掛かる車重から推定した車両CRの重心位置Gと、ヨーレートVとから、低μ路側前輪の位置での車両CRの回転速度成分ω1を求める。次に、記憶部21に記憶していた車両速度VCRの履歴から、急制動前の車両速度VCRを参照し、元の操舵方向に向いた低μ路側前輪の速度成分VCR1とする。そして、この速度成分VCR1と回転速度成分ω1とを合成して速度ベクトルV1(対地速度)を求め、速度ベクトルV1の方向を、その車輪Tが路面に対し進行している方向と推定する。つまり、速度ベクトルV1の方向を、その車輪Tを操舵すべき方向(θ2)と決定することができる。
ヨーモーメントが所定の基準より大きい場合には、前輪のみならず、後輪についても同様の方法で補正操舵量dθ(図7(a)のθ3,θ4)を求める。
補正操舵量演算部23cが出力した補正操舵量dθは、目標操舵角演算部23aが出力した目標操舵角SAに加算され、操舵量演算部23dに入力される。
操舵量演算部23dは、入力された目標操舵角SAと、操舵角センサ92で検出した操舵角SAとの差や割合から、各車輪Tの操舵量STを求める部分である。求められた操舵量STは、駆動部23eへ出力される。
駆動部23eは、入力された操舵量STに基づき、各車輪Tの操舵方向を調節すべく、液圧ユニット10内の電磁弁11a,11bや電動モータ16などを作動させる信号を出力する部分である。具体的には、操舵量STの符号および大きさに応じて電磁弁11a,11bや電動モータ16を作動させることで、アクチュエータ30が駆動され、各車輪Tが操舵される。
以上のような車両用制御装置100の動作について、図9および図10を参照しながら説明する。図9は、実施形態に係る車両用制御装置の全体的な処理を示すフローチャートであり、図10は、操舵補正処理を示すフローチャートである。なお、アンチロックブレーキ制御の動作は、従来と同様であるので、フローチャートを用いた詳細な説明は省略する。
図9に示すように、車両用制御装置100は、常時、操作角センサ93により、ステアリングSの操作方向と操作量(ステアリング操作角)を検出する(ステップS1)。そして、目標操舵角演算部23aは、ステアリングSの操作方向と操作量から旋回半径を算出する(ステップS2)。次に、目標操舵角演算部23aは、算出した旋回半径に応じて左右の前輪の目標操舵角SAを算出する(ステップS3)。
そして、補正判定部23bにより、スプリット路面での急制動でヨーモーメントが発生したかどうかが判断される。この判断は、ブレーキ操作と、ヨーモーメントの監視により行う。まず、ブレーキ操作があるか否かが判断され、無かった場合には(ステップS4,No)、操舵量演算部23dが目標操舵角SAと検出した操舵角SAの差から各車輪Tの操舵量STを算出する(ステップS9)。そして、駆動部23eが操舵量STに応じて各アクチュエータ30を制御することで(ステップS9)、各車輪Tが操舵される。そして、車両速度、ヨーモーメントなどを時系列に記憶部21へ記憶する(ステップS10)。
一方、ブレーキ操作があった場合には(ステップS4,Yes)、さらに、ステアリング操作に相関しないヨーモーメントが検出されたかどうか判断する。ここでステアリング操作から想定されるヨーモーメントを超えるヨーモーメントが検出されない場合(ステップS5,No)、スプリット路面でのヨーモーメント発生とは判定せずに、ステップS9へ進む。一方、ステアリング操作から想定されるヨーモーメントを超えるヨーモーメントが検出された場合には(ステップS5,Yes)、前輪の操舵量補正処理(ステップS6、詳細は後述)を行う。そして、ヨーモーメント(または同等の意味を持つヨーレートVなど。以下同じ。)が基準値を上回るのであれば(ステップS7,Yes)、後輪の操舵量補正処理(ステップS8、詳細は後述)を行い、ステップS9に進んで各車輪Tの操舵を実行する。ヨーモーメントが基準値を上回らない場合には(ステップS7,No)、後輪の操舵量補正処理を行わずにステップS9に進む。そして、操舵量の演算(ステップS9)、操舵量に応じたアクチュエータの制御(ステップS10)、車両速度、ヨーモーメントの記憶(ステップS10)をした後、ステップS1から処理を繰り返す。
次に、操舵量補正処理について、図10を参照しながら説明する。操舵量補正処理は、前輪、後輪とも補正操舵量dθを決定するときに参照するデータや使用する値が異なる以外は同じ処理をするので、まとめて説明する。
まず、補正操舵量演算部23cは、ヨーレートセンサ94からヨーレートVを取得する(ステップS21)。
次に、補正操舵量演算部23cは、ヨーモーメントの大きさに応じて高μ路側車輪の補正操舵量dθを算出する(ステップS22)。このとき、前輪であれば、補正操舵量dθをトーイン方向に設定し、後輪であれば、補正操舵量dθをトーアウト方向に設定する。
そして、補正操舵量演算部23cは、ヨーレートの向き(符号)が反転したか否か判断し、反転前であれば(ステップS23,No)、算出した補正操舵量dθをそのまま用い、反転後であれば(ステップS23,Yes)、算出した補正操舵量dθをα(但し、0<α<1)倍する(ステップS24)。
次に、補正操舵量演算部23cは、低μ路側車輪の位置での進行方向を推定する(ステップS25)。この推定は、例えば図7(a)に示したように、急制動前の車輪Tの速度成分VCR1と、現時点の車輪位置での回転速度成分ω1とを合成して行うことができる。
次に、この推定した低μ路側車輪の位置での進行方向に基づき、低μ路側車輪の補正操舵量dθを算出する(ステップS26)。このとき、前輪であれば、補正操舵量dθは、通常トーイン方向に設定され、後輪であればトーアウト方向に設定される。もっとも、前記した低μ路側車輪の位置での進行方向の推定を省略して、単に低μ路側前輪および低μ路側後輪の操舵方向を維持してもよい。
そして、補正操舵量演算部23cは、目標操舵角STに求めた補正操舵量dθを加算する(ステップS27)。
このような一連の処理により、図7(a)のように左半分が高μ路、右半分が低μ路のスプリット路面で低速直進していた車両CRが、急制動することでアンチロックブレーキ制御がなされるとともに、ヨーモーメントが発生しはじめると、前輪は、高μ路側の左車輪がトーイン方向へ、低μ路側の右車輪が進行方向へ向こうとする結果、トーイン方向へ操舵される。そして、ヨーモーメントが所定の基準値を上回っている場合には、後輪のうち、高μ路側の左車輪がトーアウト方向へ、低μ路側の右車輪が進行方向へ向こうとする結果、トーアウト方向へ操舵される。
この結果、図7(b)に示すように、高μ路側の車輪Tは、高いトラクションにより車両CRの姿勢を元へ戻そうとするカウンターヨーモーメントを発生する。そして、低μ路側の車輪Tは、その進行方向へ向き、かつアンチロックブレーキ制御がなされていることで、極力高いトラクションを発生する範囲で路面に追従し、車両CRのコントロールが可能となる。また、車輪Tは、路面の移動方向に転動することから、タイヤの性能を最大限に発揮することができる。
一方、車両CRが高速で走行していた時にスプリット路面でヨーモーメントが発生し、本実施形態の制御がなされると、図8に示すような状態になる。
図8に示すように、高速で走行していた場合には、急制動前の低μ路側前輪(右前車輪)Tの速度成分VCR1が大きいため、車両CRが左にある程度旋回した後では、右前の車輪Tの位置では、車両CRに対し地面が流れる方向は、車両CRに対しわずかに左の後方向となる。言い換えると、対地速度方向は、車両CRに対しわずかに右前方向となる。そこで、回転速度成分ω1と速度成分VCR1を合成した速度成分V1の方向に右前の車輪Tの前後方向を向けると、その車輪は、若干トーアウト方向へ向くことになる。
このように高速時においては、回転速度成分ω1に比較して直進の速度成分V1が大きいため、車両の旋回量によっては、低μ側前輪がトーアウト方向を向くこともある。
このとき、低μ側後輪も同様に操舵され、図8に示した例では、若干トーアウト方向を向く。
以上のように、本実施形態の車両用制御装置100によれば、高μ路側の前輪をトーイン方向に補正操舵して車両CRの姿勢を回復させるとともに、低μ路側の前輪も、路面の相対的移動方向に沿う方向へ操舵するので、低μ路側の前輪が路面に追従し、タイヤの能力を引き出すことができる。また、車両CRのコントロールがしやすくなる。
また、発生したヨーモーメントが大きい場合には、後輪も同様に、高μ路側をトーアウト方向に補正操舵して車両CRの姿勢を回復させるとともに、低μ路側の車輪Tを路面の相対的移動方向に沿う方向へ操舵するので、同車輪Tの性能を引き出すことができる。
さらに、車両CRのヨーモーメントの向きが反転したら、補正操舵量を小さくするので、車両CRの振れ戻しを抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、適宜変更して実施することができる。
例えば、実施形態におけるステアリングSと各車輪Tは、機械的に接続しない場合を例にしたが、ステアリングSと各車輪Tとを機械的に接続するかどうかは任意である。例えば、ステアリングSの操作は、機械的に車輪Tに伝えられるようにされた上で、各車輪Tの操舵方向を微調整するように、ステアリング機構の一部にアクチュエータを組み込むように構成してもよい。
前記実施形態においては、前輪を補正操舵するのを前提としていたが、後輪のみを補正操舵するように構成することもできる。
また、前記実施形態においては、便宜上、液圧ユニット10は、アンチロックブレーキ制御と操舵制御の両方が一つのユニットとして構成される例を説明したが、これらは別体でもよいし、それぞれ電動装置を利用するなど液圧の装置でなくても構わない。
さらに、前記実施形態においては、4輪の自動車を前提に説明したが、前2輪、後4輪の自動車などに対しても同様に適用することができる。
実施形態に係る車両用制御装置を備えた車両の構成図である。 操舵調節装置の液圧回路図である。 制動力調節装置の液圧回路図である。 制御部のブロック図である。 ヨーレートと補正操舵量の関係を示す図である。 車両速度と補正操舵量の関係を示す図である。 (a)は、低速時にスプリット路面でヨーモーメントが発生したときの車両の状態を示す図であり、(b)は、低速時にスプリット路面で車両が旋回し、本実施形態の制御がなされたときの状態を示す図である。 高速時にスプリット路面でヨーモーメントが発生し、本実施形態の制御がなされたときの状態を示す図である。 実施形態に係る車両用制御装置の全体的な処理を示すフローチャートである。 操舵補正処理を示すフローチャートである。
符号の説明
10 液圧ユニット
20 制御部
21 記憶部
22 アンチロックブレーキ制御部
23 操舵制御部
23a 目標操舵角演算部
23b 補正判定部
23c 補正操舵量演算部
23d 操舵量演算部
23e 駆動部
31 ピストンロッド
91 車輪速センサ
92 操舵角センサ
93 操作角センサ
94 ヨーレートセンサ
100 車両用制御装置
CR 車両
T 車輪

Claims (8)

  1. 各車輪の制動力を個別に調節可能な制動力調節装置と、
    車両の各車輪の操舵方向を個別に調節可能な操舵調節装置と、
    前記車両の運転状態に基づいて少なくとも前記制動力調節装置および前記操舵調節装置を制御する制御部とを備えた車両用制御装置であって、
    前記制御部は、
    前記制動力調節装置を作動させて制動時の車輪のロックを抑制する制御を実行するアンチロックブレーキ制御部と
    スプリット路面の走行中にブレーキ操作による制動に伴ってヨーモーメントが発生した場合に、前記操舵調節装置を作動させて、前記ヨーモーメントを打ち消すべく高μ路側前輪をトーイン方向に操舵するとともに、低μ路側前輪の操舵方向を維持し、または車輪前後方向を対地速度方向へ操舵する前輪補正操舵部とを備えることを特徴とする車両用制御装置。
  2. スプリット路面の走行中にブレーキ操作による制動に伴ってヨーモーメントが発生した場合に、前記操舵調節装置を作動させて、前記ヨーモーメントを打ち消すべく高μ路側後輪をトーアウト方向へ操舵するとともに、低μ路側後輪の操舵方向を維持し、または車輪前後方向を対地速度方向へ操舵する後輪補正操舵制御を実行する後輪補正操舵部を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
  3. 前記後輪補正操舵部は、車両のヨーモーメントが所定の基準を上回った場合に前記後輪補正操舵制御を実行することを特徴とする請求項2に記載の車両用制御装置。
  4. 各車輪の制動力を個別に調節可能な制動力調節装置と、
    車両の各車輪の操舵方向を個別に調節可能な操舵調節装置と、
    前記車両の運転状態に基づいて少なくとも前記制動力調節装置および前記操舵調節装置を制御する制御部とを備えた車両用制御装置であって、
    前記制御部は、
    前記制動力調節装置を作動させて制動時の車輪のロックを抑制する制御を実行するアンチロックブレーキ制御部と
    スプリット路面の走行中にブレーキ操作による制動に伴ってヨーモーメントが発生した場合に、前記操舵調節装置を作動させて、前記ヨーモーメントを打ち消すべく高μ路側後輪をトーアウト方向に操舵するとともに、低μ路側後輪の操舵方向を維持し、または車輪前後方向を対地速度方向へ操舵する後輪補正操舵部とを備えることを特徴とする車両用制御装置。
  5. 前記低μ路側の車輪は、前記ブレーキ操作前の当該車輪の速度成分と、現在の当該車輪位置での回転速度成分とを合成した方向に向けて操舵されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
  6. 車両速度とヨーレートのうち少なくともいずれか一方に対応させて、制御対象となる低μ路側の車輪の操舵方向をあらかじめ記憶した記憶部を備え、前記記憶部の記憶している対応関係に基づき低μ路側の車輪を操舵することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
  7. 前記高μ路側の車輪は、ヨーレートが大きいほど補正操舵量が大きく制御されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
  8. 前記高μ路側の車輪は、ヨーレートの向きが反転する前の補正操舵量よりも反転した後の補正操舵量が小さく制御されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
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