JP2007259522A - 誘導性負荷駆動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】巻き線Lを有する電磁アクチュエータ20を駆動する誘導性負荷駆動制御装置10であって、巻き線Lの電圧Vaと電流Iaと検出された位置Pとを使って巻き線の抵抗値R(k)を電圧方程式(イ)から逐次演算して求め、求めた抵抗値から巻き線の抵抗の温度係数を用いて巻き線の温度を算出する抵抗・インダクタンス演算部15を備えた。
R(k)=[Va(k)-L[Ia(k)-Ia(k-1)]/T- Ke・dP/dt(k)]/Ia(k)・・・(イ)
Tはサンプリング周期、時刻t=kT時点(但しk=1,2,・・・,N)、Va(k),Ia(k),およびdP/dt(k)はkT時点の巻き線の各電圧、電流、および速度、Lは巻き線のインダクタンス、Keは誘起電圧定数で、誘起電圧eM(k)=Ke・dP/dt(k)である。
【選択図】図1
Description
これに対して、電動機の巻き線の温度を検出した温度信号と、電流検出器からの電流信号とに基づいて、各々設定値を超えた場合にインバータ装置のスイッチング素子の電流を制限するようにしたものもある(例えば、特許文献1参照)。
また、サーボモータに流れる電流値を使ってサーボモータの発熱量を算出し、モータの熱抵抗と熱容量に基づく熱モデルを適用してモータ温度を算出して、このモータ温度が設定温度を超えた時間が一定時間を超えた場合に、駆動制御装置の出力を停止するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
負荷の電流と電圧を検出して、電力が一定の基準値を超えた時、開閉手段を開動作して電流を遮断するものもある(例えば、特許文献3参照)。
また、特許文献2の過負荷保護方法では、温度検出器が不要であるが、熱モデルを使った演算が複雑で大きな処理能力が必要になるという問題があった。
また、いずれの方法も、負荷の冷却条件が変化した場合に過負荷保護検出条件の再設定が必要であり、負荷の巻き線の部分的な短絡などの異常は検出できないなどの問題もあった。
また、特許文献3記載の発明には、一度、過負荷保護動作し、短時間後、再起動すると、負荷の温度が十分下がらないまま上昇し、負荷の巻き線の絶縁不良や焼損を招くという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で信頼性の高い過負荷異常検出ができて、かつ負荷の巻き線の異常をも検出できるアクチュエータ等の誘導性負荷駆動制御装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、誘導性負荷駆動制御装置に係り、交流を整流し平滑する整流平滑部と整流平滑した電圧を交流に変換する電力変換部を有し、巻き線を有する電磁アクチュエータを前記電力変換部の出力で駆動する誘導性負荷駆動制御装置であって、前記電力変換部を制御するベースドライブ部と、該ベースドライブ部を制御するPWM(パルス幅変調)演算部とを備えた誘導性負荷駆動制御装置において、前記巻き線の電圧と前記巻き線の電流と検出された前記電磁アクチュエータの可動子の位置とを使って前記巻き線の抵抗値を電圧方程式から逐次演算して求め、求めた抵抗値から前記巻き線の抵抗の温度係数を用いて巻き線の温度を算出してこの算出した温度を基に前記ベースドライブ部を制御する抵抗・インダクタンス演算部を備えたことを特徴としている。
請求項2記載の発明は、誘導性負荷駆動制御装置に係り、巻き線を有する電磁石を駆動するリニアアンプを備えた誘導性負荷駆動制御装置において、前記巻き線の電圧と前記巻き線の電流とを使って前記巻き線の抵抗値を電圧方程式から逐次演算して求め、求めた抵抗値から前記巻き線の抵抗の温度係数を用いて巻き線の温度を算出してこの算出した温度を基に前記リニアアンプを制御する抵抗・インダクタンス演算部を備えたことを特徴としている。
請求項3記載の発明は、誘導性負荷駆動制御装置に係り、交流を整流し平滑する整流平滑部と整流平滑した電圧を交流に変換する電力変換部を有し、3相巻き線を有するサーボモータを前記電力変換部の出力で駆動する誘導性負荷駆動制御装置であって、前記電力変換部を制御するベースドライブ部と、該ベースドライブ部を制御するPWM(パルス幅変調)演算部とを備えた誘導性負荷駆動制御装置において、前記各相について前記巻き線の電圧と前記巻き線の電流と検出された前記サーボモータの出力軸の位置とを使って前記巻き線の抵抗値を電圧方程式から逐次演算して求め、求めた抵抗値から前記巻き線の抵抗の温度係数を用いて巻き線の温度を算出してこの算出した温度を基に前記ベースドライブ部を制御する抵抗・インダクタンス演算部を備えたことを特徴としている。
R(k)=[Va(k)-L[Ia(k)-Ia(k-1)]/T- Ke・dP/dt(k)]/Ia(k)・・・(イ)
ここで、Tはサンプリング周期、時刻t=kT時点(但しk=1,2,・・・,N)、Va(k),Ia(k),およびdP/dt(k)はkT時点の巻き線の各電圧、電流、および速度、Lは前記巻き線のインダクタンス、Keは誘起電圧定数で、誘起電圧eM(k)=Ke・dP/dt(k)である。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の誘導性負荷駆動制御装置において、温度θ0時の銅線の抵抗をR0とし、温度θx時の抵抗をRXとすると、温度θxを式(ロ)から求めることを特徴としている。
θx= RX・(234.5+θ0)/ R0-234.5 ・・・(ロ)
請求項6記載の発明は、請求項5記載の誘導性負荷駆動制御装置において、前記抵抗・インダクタンス演算部は前記巻線の温度θxが所定の温度を超えたとき、過熱状態と判断し、表示部に過熱の表示をするか又はアラーム警報を発することを特徴としている。
請求項7記載の発明は、請求項4又は5記載の誘導性負荷駆動制御装置において、前記抵抗・インダクタンス演算部は、式(ハ)から各時点の前記抵抗値とインダクタンス値をそれぞれ求め、
(a)+dR(k)と+dL(k)で巻線が加熱状態、
(b)−dR(k)と+dL(k)で巻線が放熱状態、
(c)+dR(k)と−dL(k)で巻線が部分短絡状態、
(d)−dR(k)と−dL(k)で巻線短絡状態、
と判断することを特徴としている。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の誘導性負荷駆動制御装置において、前記抵抗・インダクタンス演算部は前記巻線が部分短絡又は短絡状態と判断したとき、巻き線異常を表示部に表示をするか又はアラーム警報を発することを特徴としている。
また、請求項7−8記載の発明によると、巻き線のインダクタンスLと抵抗Rの増減から、Lが減少あるいは、LとRが共に減少した場合は巻き線の短絡、Lが通常の値でRが非常に高い場合は部分短絡等の判断を行うことで、巻き線の異常を検出することができる。
図1において、10は電磁アクチュエータを駆動する本発明に係る駆動制御装置、20は負荷である電磁アクチュエータの等価回路である。電磁アクチュエータの等価回路20は、電磁アクチュエータの抵抗R(給電線の抵抗Rr+電磁アクチュエータの巻き線の抵抗Rw)、インダクタンスL、誘起電圧eMで表している。
PWMサーボアンプである駆動制御装置10の出力電圧と出力電流は、電圧検出回路D.V16と電流検出回路D.I17で検出され、それぞれ低域濾波回路Vfil16f、Ifil17fによって高周波のキャリア成分が除去され、出力電圧Vaと出力電流Iaを得る。
抵抗・インダクタンス演算部R.L.C15に上記各出力電圧Va、出力電流Ia、速度dP/dtが入力され、サンプリング周期Tとすると時刻t=kT時点(但しk=1,2,・・・,N)の電圧Va、電流Ia、速度dP/dtをVa(k),Ia(k),dP/dt(k)として(図2のステップS21)、次の電圧方程式(1)を得る。
Va(k)=L[Ia(k)-Ia(k-1)]/T+R(k)・Ia(k)+Ke・dP/dt(k)・・・(1)
ここで、Keは誘起電圧定数で、eM(k)=Ke・dP/dt(k)である。
同様に、時刻t=(k+1)T時点では、
Va(k+1)=L[Ia(k+1)-Ia(k)]/T+R(k+1)・Ia(k+1)+Ke・dP/dt(k+1)・・・(1)’
式(1)から式(2)を得る。(図2のステップS22)
R(k)=[Va(k)-L[Ia(k)-Ia(k-1)]/T- Ke・dP/dt(k)]/Ia(k)・・・(2)
式(2)は、サンプリング周期T毎に抵抗・インダクタンス演算部15で演算される。式(2)で求めた抵抗R(k)は、給電線の抵抗Rrを含むが、電磁アクチュエータの巻き線の抵抗Rwに対して、
給電線の抵抗Rrが無視できる場合は、Rw(k)=R(k)・・・(3)
給電線の抵抗Rrが無視できない場合は、Rw(k)=R(k)- Rr・・・(3)’
とする。
式(3)’は、給電線は温度上昇が小さくほぼ一定である、即ちRr=定数(既知)としている。
RX= R0・(234.5+θx)/(234.5+θ0)・・・(4)
これから
θx= RX・(234.5+θ0)/ R0-234.5 ・・・(5)
となる。
温度θ0時の銅線の抵抗R0は、既知として式(3),または (3)’のRw(k)を、RXとして式(5)からθx即ち、アクチュエータの巻き線温度θwが得られる(図2のステップS23)。
このθwが、アクチュエータの絶縁階級あるいは巻き線の温度仕様による限界温度θLを超えると(図2のステップS24)、従来の過負荷保護動作である出力の遮断とOL(オーバーロード)の表示を行なう(図2のステップS25)。
温度θxと抵抗RXは、線形であるので限界温度(許容温度)θLの代わりに限界抵抗RLを使って、過負荷保護動作の判定をしてもよい(図2のステップS25)。
更に、R(k)=R(k+1)として求めた抵抗は、短時間では、変化しないと見なされるが、一定時間後、即ちT/=m・T毎に新しい値に更新される。ここで、mは、正の整数である。
R(k)=[Va(k)-L[Ia(k)-Ia(k-1)]/T]/Ia(k) ・・・(7)
の式を演算する(図4のステップS42)。
そして、R(k)>RL(限界抵抗)の判断を行い(図4のステップS43)、
真ならば、過負荷の判定をして、出力の遮断とOL(オーバーロード)を表示し(図4のステップS44)、一方、偽ならばステップS45へ進む。
図において、50はサーボモータを駆動する本発明に係る駆動制御装置、60は負荷であるサーボモータの等価回路である。サーボモータの等価回路60は、サーボモータの巻き線の抵抗Rw、インダクタンスL、誘起電圧eMで表している。駆動制御装置50の出力電圧と出力電流は、電圧検出回路56と電流検出回路57で検出され、それぞれ低域濾波回路56f、57fによって高周波のキャリア成分が除去され、出力電圧Vaと出力電流Iaを得る。
一方、サーボモータ60の出力軸には位置検出器60aが搭載されていて、この位置検出器60aによって出力軸の位置Pが検出され、検出された位置Pは速度演算部58で微分されて速度dP/dtを得る。
抵抗・インダクタンス演算部55に各相(U相、V相、W相)についてそれぞれの相電圧Va、相電流Iaと速度dP/dtが入力され、サンプリング周期Tとすると時刻t=kT時点(但しk=1,2,・・・,N)の相電圧Va、相電流Ia、速度dP/dtをVa(k),Ia(k),dP/dt(k)として、各相毎に上記の電圧方程式(1)を得る。
サーボモータ(等価回路)60の場合は、実施例2の電磁石とは違って、誘起電圧eMを考慮しなければならない。従って、3相のU相・V相・W相それぞれ毎に、式(1)〜式(3)又は式(3)’を、抵抗・インダクタンス演算部55で演算し、各相の抵抗R(k)をRLと比較を行い、R(k)>RL(限界抵抗)なら過負荷と判断し、その結果、出力の遮断をしかつOL(オーバーロード)を表示する。
過負荷でない時には、引きつづいて、式(6)を各相について演算し、一定時間に増減する割合dL(k)とdR(k)の大きさを、移動平均によって求め、表1に従って、巻き線の状態を判断し、これを表示部59に表示する。
また、表示部59への表示に加えて、あるいはこれに代えて、表示内容を音声で報知するようにしてもよい。
15、35、55 抵抗・インダクタンス演算部R.L.C
16、36、56 電圧検出回路D.V
16f、56f 電圧信号用低域フィルタ回路Vfil
17、37、57 電流検出回路D.I
17f、57f 電流信号用低域フィルタ回路Ifil
18、38、58 速度演算部S.C
20 電磁アクチュエータの等価回路
21、60a位置検出器D.P
40 電磁石の等価回路
60 サーボモータの等価回路
eM 誘起電圧
Ia 出力電流
L インダクタンス
R 電磁アクチュエータの抵抗
Rr 給電線の抵抗
Rw 巻き線抵抗
RL (温度)限界抵抗
T サンプル周期
Va 出力電圧
Claims (8)
- 交流を整流し平滑する整流平滑部と整流平滑した電圧を交流に変換する電力変換部を有し、巻き線を有する電磁アクチュエータを前記電力変換部の出力で駆動する誘導性負荷駆動制御装置であって、前記電力変換部を制御するベースドライブ部と、該ベースドライブ部を制御するPWM(パルス幅変調)演算部とを備えた誘導性負荷駆動制御装置において、前記巻き線の電圧と前記巻き線の電流と検出された前記電磁アクチュエータの可動子の位置とを使って前記巻き線の抵抗値を電圧方程式から逐次演算して求め、求めた抵抗値から前記巻き線の抵抗の温度係数を用いて巻き線の温度を算出してこの算出した温度を基に前記ベースドライブ部を制御する抵抗・インダクタンス演算部を備えたことを特徴とする誘導性負荷駆動制御装置。
- 巻き線を有する電磁石を駆動するリニアアンプを備えた誘導性負荷駆動制御装置において、前記巻き線の電圧と前記巻き線の電流とを使って前記巻き線の抵抗値を電圧方程式から逐次演算して求め、求めた抵抗値から前記巻き線の抵抗の温度係数を用いて巻き線の温度を算出してこの算出した温度を基に前記リニアアンプを制御する抵抗・インダクタンス演算部を備えたことを特徴とする誘導性負荷駆動制御装置。
- 交流を整流し平滑する整流平滑部と整流平滑した電圧を交流に変換する電力変換部を有し、3相巻き線を有するサーボモータを前記電力変換部の出力で駆動する誘導性負荷駆動制御装置であって、前記電力変換部を制御するベースドライブ部と、該ベースドライブ部を制御するPWM(パルス幅変調)演算部とを備えた誘導性負荷駆動制御装置において、前記各相について前記巻き線の電圧と前記巻き線の電流と検出された前記サーボモータの出力軸の位置とを使って前記巻き線の抵抗値を電圧方程式から逐次演算して求め、求めた抵抗値から前記巻き線の抵抗の温度係数を用いて巻き線の温度を算出してこの算出した温度を基に前記ベースドライブ部を制御する抵抗・インダクタンス演算部を備えたことを特徴とする誘導性負荷駆動制御装置。
- 前記求める抵抗値R(k)は、式(イ)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の誘導性負荷駆動制御装置。
R(k)=[Va(k)-L[Ia(k)-Ia(k-1)]/T- Ke・dP/dt(k)]/Ia(k)・・・(イ)
ここで、Tはサンプリング周期、時刻t=kT時点(但しk=1,2,・・・,N)、Va(k),Ia(k),およびdP/dt(k)はkT時点の巻き線の各電圧、電流、および速度、Lは前記巻き線のインダクタンス、Keは誘起電圧定数で、誘起電圧eM(k)=Ke・dP/dt(k)である。 - 温度θ0時の銅線の抵抗をR0とし、温度θx時の抵抗をRXとすると、温度θxは式(ロ)から求めることを特徴とする請求項4記載の誘導性負荷駆動制御装置。
θx= RX・(234.5+θ0)/ R0-234.5 ・・・(ロ) - 前記抵抗・インダクタンス演算部は前記巻線の温度θxが所定の温度を超えたとき、過熱状態と判断し、表示部に過熱の表示をするか又はアラーム警報を発することを特徴とする請求項5記載の誘導性負荷駆動制御装置。
- 前記抵抗・インダクタンス演算部は前記巻線が部分短絡又は短絡状態と判断したとき、巻き線異常を表示部に表示をするか又はアラーム警報を発することを特徴とする請求項7記載の誘導性負荷駆動制御装置。
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