JP2007256886A - 感光性組成物およびそれを用いた平版印刷原版 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スチレン単位と桂皮酸ビニル又はフェニルブタジエン酸ビニル単位との共重合体単位を有するアルカリ可溶性共重合体(A)、重合性化合物(B)、重合開始剤(C)、及び、赤外線吸収剤(D)を含有することを特徴とする感光性組成物である。
【選択図】なし
Description
この系は赤外吸収剤が吸収した光が熱に変換され、発生した熱により熱酸発生剤を分解させて酸を発生し、その後の加熱工程(プレヒート)で、発生した酸がレゾール樹脂を硬化させ、現像液に対する溶解性を減少させ、画像を得るものである。しかしながら、プレヒートによる非画像部の地汚れや現像不良が発生しやすく、また、加熱に関わる非効率性、非経済性が大きな問題点である。
従って、本発明の目的は、紫外線照射後または近赤外から赤外領域に発振波長を有する固体レーザーや半導体レーザーで照射後、アルカリ水溶液で現像可能なネガ型感光性組成物に関するものであり、感度のバラツキもなく、支持体との密着性や耐キズ性に優れ、バンディング現象もなく、高耐刷性を有し、更にオーバーコート層を必要としない感光性組成物および平版印刷原版を提供するものである。
(1)芳香族水酸基を有する単量体。例えば、N−(p−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、p−イソプロペニルフェノ−ル、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシフェニルアクリレ−ト、m−ヒドロキシフェニルアクリレ−ト、p−ヒドロキシフェニルアクリレ−ト、o−ヒドロキシフェニルメタクリレ−ト、m−ヒドロキシフェニルメタクリレ−ト、p−ヒドロキシフェニルメタクリレ−ト、N−(p−ヒドロキシフェニル)マレイミドなどが挙げられる。
(2)脂肪族水酸基を有する単量体。例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレ−ト、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレ−トなどが挙げられる。
(3)α,β−不飽和カルボン酸。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
(4)(置換)アルキルアクリレ−ト。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、グリシジルアクリレ−ト、ベンジルアクリレ−ト、フェニルカルバミン酸エチルアクリレ−トなどが挙げられる。なお、本明細書では「(置換)」は、「置換または非置換」を意味する。
(5)(置換)アルキルメタクリレ−ト。例えば、メチルメタクリレ−ト、エチルメタクリレ−ト、プロピルメタクリレ−ト、ブチルメタクリレ−ト、アミルメタクリレ−ト、ベンジルメタクリレ−ト、フェニルメタクリレ−ト、シクロヘキシルメタクリレ−ト、グリシジルメタクリレ−ト、フェニルカルバミン酸エチルメタクリレ−トなどが挙げられる。
(6)アクリルアミドまたはメタクリルアミド類。例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド、N−メチロ−ルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどが挙げられる。
(7)ウレタン(メタ)アクリレ−ト。例えばポリエ−テル型ウレタン(メタ)アクリレ−ト、ポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレ−トなどが挙げられる。
(8)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾ−ル、N−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
これらは、1種の化合物単独で用いてもよいし、(1)〜(8)の同じグループの化合物を2種以上組み合わせて、又は、異なるグループの化合物を2種以上組み合わせて用いてもよい。
以下に上記一般式(IV)で表される化合物の具体例(M−1)〜(M−7)を示すが、これらの具体例に限定されるものではない。
好ましい重合開始剤としては、(a)ビス(p−アミノフェノール−不飽和)ケトン、(b)トリフェニルフォスフィンまたはフォスフォニウム塩のような有機リン化合物、(c)メルカプト誘導体、(d)テトラゾニウム誘導体、(e)イミダゾール類、(f)カルボニル化合物、(g)過酸化物、(h)ハロゲン化化合物、(i)有機ホウ素塩、(j)増感色素などが挙げられ、特に有機ホウ素塩を含有することが好ましい。以下に、上記(a)〜(j)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものでない。
本発明の感光性組成物においては、感光性組成物の製造中或いは保存中において、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、即ち、重合性化合物(B)の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加量は、全組成物中の全固形分の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
また、本発明の感光性組成物を平版印刷原版に適用する場合には、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程でネガ型記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物中の全固形分に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
更に、本発明の感光性組成物には、その着色を目的として染料若しくは顔料などを添加してもよい。これにより、本発明の感光性組成物を平版印刷原版に適用した場合、印刷版としての製版後の視認性や、画像濃度測定機適正といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、顔料、染料の使用が好ましい。例えば顔料として、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどが挙げられる。染料としては、ロイコ色素や油溶性染料または塩基性染料が好ましい。具体的には、クリスタルバイオレット、マラカイトグリ−ン、ビクトリアブル−、メチレンブルー、エチルバイオレット、ローダミンB、ビクトリアピュアブルーBOH(保土ケ谷化学工業株式会社製)、オイルブルー613(オリエント化学工業株式会社製)、オイルグリーン等が好ましい。着色剤としての顔料または染料の添加量は、感光性組成物の全固形分に対して約0.5〜約50質量%が好ましい。0.5質量%以上であると、画像形成層の着色が十分で画像が見やすくなり、50質量%以下であると、現像後の非画像部に着色剤の残渣が残りにくくなるので好ましい。
本発明の感光性組成物には更に目的に応じて、フォスフィン、ホスホネート、ホスファイト等の酸素除去剤や還元剤、退色防止剤、界面活性剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防黴剤、帯電防止剤やその他種々の特性を付与する添加剤を希釈溶剤等と混合して使用してもよい。
可塑剤としては、例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸トリブチル等が用いられる。
本発明の平版印刷原版は、支持体上に、本発明の感光性組成物を含むネガ型記録層(感光層)を有することを特徴とする。また、必要に応じて、中間層(下塗り層)あるいはオーバーコート層等の他の層を更に有していてもよい。
合成例1:共重合体溶液1の合成
コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた500mlの4つ口丸底フラスコに、スチレン20g、桂皮酸ビニル40g、メタクリル酸5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト15g、メチルアクリレート20g、シクロヘキサノン100g添加し、窒素ガス雰囲気中で80〜85℃に加熱攪拌し、さらに、重合開始剤として2、2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.4g加え、6時間攪拌続ける。その後、反応溶液を冷却した後、シクロヘキサノンを用いて希釈し、30質量%樹脂溶液(共重体溶液1)を得た。この樹脂の酸価は50mgKOH/g、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量は約40,000であった。
コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた500mlの4つ口丸底フラスコに、スチレン20g、シンナミリデン酢酸ビニル40g、メタクリル酸5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト15g、メチルアクリレート20g、シクロヘキサノン100g添加し、窒素ガス雰囲気中で80〜85℃に加熱攪拌し、さらに、重合開始剤として2、2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.4g加え、6時間攪拌続ける。その後、反応溶液を冷却した後、シクロヘキサノンを用いて希釈し、30質量%樹脂溶液(共重体溶液2)を得た。この樹脂の酸価は40mgKOH/g、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量は約30,000であった。
コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた500mlの4つ口丸底フラスコに、p−アセトキシスチレン20g、桂皮酸ビニル40g、メタクリル酸5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト15g、メチルアクリレート20g、シクロヘキサノン100g添加し、窒素ガス雰囲気中で80〜85℃に加熱攪拌し、さらに、重合開始剤として2、2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.4g加え、6時間攪拌続ける。その後、反応溶液を冷却した後、シクロヘキサノンを用いて希釈し、30質量%樹脂溶液(共重体溶液3)を得た。この樹脂の酸価は50mgKOH/g、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量は約40,000であった。
厚さ0.30mmのアルミニウム板(材質1050)をアルカリ脱脂した後、パーミストンの水懸濁液をかけながらナイロンブラシで表面を研磨し、その後よく水で洗浄した。次いで、70℃、15質量%の水酸化ナトリウム水溶液を5秒間かけ流し、表面を3g/m2エッチングした後、さらに水洗を行い、次いで、1N塩酸およびアルミニウムイオン(20g/L)からなる電解液中で200クーロン/dm2で電解研磨を行った。引き続き水洗した後、70℃、15質量%の水酸化ナトリウム水溶液で表面を再度エッチングし、水洗を行った後、30℃の15%硫酸水溶液中で陽極酸化処理を行なって、2.0g/m2の陽極酸化皮膜を形成させた。水洗した後、Aケイ酸カリウム5質量%水溶液で、70℃、10秒間浸漬処理し、水洗、乾燥した。
次に、下記組成のような感光液[A−1]、[A−2]、[A−3]を用いて、上記アルミニウム板上に塗布し、乾燥させて、実施例1〜3にかかる平版印刷原版[A−1]、[A−2]、[A−3]を作製した。この時の塗布量は乾燥質量で2.0g/m2であった。
共重合体(A)…共重合体溶液1(26.7g)
重合性化合物(B)…ウレタンアクリレート(新中村化学工業製UA−6100)
(2.0g)
重合開始剤(C)…トリフェニルフォスフィン(0.3g)
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4、5−ジフェニルイ
ミダゾール二量体(0.3g)
n−ブチル−トリフェニルホウ素−テトラブチルアンモニウ
ム錯体(1.0g)
赤外線吸収剤(D)…下記に示すシアニン系化合物(G)(0.2g)
着色剤…オイルブルー613(0.3g)
溶媒…ジオキサン(30g)
シクロヘキサノン(30g)
共重合体(A)…共重合体溶液2(26.7g)
重合性化合物(B)…エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレ−ト(新中村化学工
業製NKエステルA−9300)(2.0g)
重合開始剤(C)…トリフェニルフォスフィン(0.3g)
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4、5−ジフェニル
イミダゾール二量体(0.3g)
n−ブチル−トリフェニルホウ素−テトラブチルアンモニ
ウム錯体(1.0g)
赤外線吸収剤(D)…上記に示すシアニン系化合物(G)(0.2g)
着色剤…オイルブルー613(0.3g)
溶媒…ジオキサン(30g)
シクロヘキサノン(30g)
共重合体(A)…共重合体溶液3(26.7g)
重合性化合物(B)…エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレ−ト(新中村化学工
業製NKエステルA−9300)(2.0g)
重合開始剤(C)…トリフェニルフォスフィン(0.3g)
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4、5−ジフェニル
イミダゾール二量体(0.3g)
n−ブチル−トリフェニルホウ素−テトラブチルアンモニ
ウム錯体(1.0g)
赤外線吸収剤(D)…上記に示すシアニン系化合物(G)(0.2g)
着色剤…オイルブルー613(0.3g)
溶媒…ジオキサン(30g)
シクロヘキサノン(30g)
下記組成のような比較用感光液[B−1]を用いて、上記アルミニウム板上に塗布し、乾燥させて、比較例1にかかる平版印刷原版[B−1]を作製した。この時の塗布量は乾燥質量で2.0g/m2であった。
比較用感光液[B−1]
重合体(A)…重合体(P−1)(8.0g)
重合性化合物(B)…上述化合物(M−1)(2.0g)
重合開始剤(C)…トリフェニルフォスフィン(0.3g)
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4、5−ジフェニル
イミダゾール二量体(0.3g)
n−ブチル−トリフェニルホウ素−テトラブチルアンモニ
ウム錯体(1.6g)
赤外線吸収剤(D)…上記に示すシアニン系化合物(G)(0.2g)
着色剤…10%フタロシアニン顔料分散液(1.5g)
溶媒…ジオキサン(30g)
シクロヘキサノン(30g)
なお、上記重合体(P−1)は、特開2001−290271号公報合成例1の方法により合成した重合体である。
下記組成のような有機ホウ素塩を除いた比較用感光液[B−2]を用いて、上記アルミニウム板上に塗布し、乾燥させて、比較例2にかかる平版印刷原版[B−2]を作製した。この時の塗布量は乾燥質量で2.0g/m2であった。
比較用感光液[B−2]
重合体(A)…共重合体溶液1(26.7g)
重合性化合物(B)…エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレ−ト(新中村化学工
業製NKエステルA−9300)(2.0g)
重合開始剤(C)…トリフェニルフォスフィン(0.3g)
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4、5−ジフェニル
イミダゾール二量体(0.3g)
2−メルカプトベンゾチアゾール(1.0g)
赤外線吸収剤(D)…上記に示すシアニン系化合物(G)(0.2g)
着色剤…オイルブルー613(0.3g)
溶媒…ジオキサン(30g)
シクロヘキサノン(30g)
上記各印刷版を、波長830nmの半導体レーザー(クレオ社製:TrendSetter 400QTM)を用いて、段階的に露光量を変化させて露光し、下記組成現像液の1:1に希釈液を仕込んだ自動現像機(Raptor 85 Thermal(Glunz & Jensen社製))にて、液温30℃、現像時間12秒で現像し、50%網点再現が得られ、なお且つ画像が完全ベタとして残るのに必要な最低露光量を感度として評価した。結果を下記表1に示す。
トリエタノールアミン 40g
炭酸ソーダ 4g
ブチルナフタレンスルホン酸 200g
フェニルグリコール 60g
水で1000mlに調整
上記各印刷版を、上記の半導体レーザーを用いて、画像が完全ベタとして残るのに必要な最低露光量にて露光し、上記と同じ方法で現像し、画像部を水洗しながらスポンジで擦り、画像の欠落程度、キズの付き易さを目視した。その結果を下記表1に示す。評価基準は以下の通りである。○:キズも画像の欠落も発生しない。△:スポンジのコスリ状にキズが発生し、その部分の画像の欠落が発生する。×:画像が全て欠落し、画像にならない。
上記各印刷版を、上記の半導体レーザーを用いて、各版でベタ部が完全ベタになる最低露光量でベタ部と網点部を照射した後、上記と同じ方法で現像して各印刷版を得た。次いで、3オンスのPrisco3451Uと1.5オンスのAlkalessA6000を1ガロンの水に混合してなるPrisco社製 湿し水を用い、オフセットインキ(大日本インキ化学工業株式会社製、Fグロス墨)で、上質紙に印刷し、3%の網点が欠落するまでの刷り枚数を数えた。その結果を下記表1に示す。
上記最低露光量にて露光し現像した際、漏れ光あるいは版の位置決めのためのフォーカスレーザー光(650nm付近の光)による筋状のかぶり(バンディング)を確認した。バンディングが明瞭に認められる場合を×とし、全くバンディングが発生していない場合を○とした。その結果を下記表1に示す。
上記最低露光量の1.5倍の露光量にて露光したほかは上記感度の評価と同じ現像条件にて現像した際、筋状のかぶり(バンディング)を確認した。バンディングが明瞭に認められる場合を×とし、全くバンディングが発生していない場合を○とした。その結果を下記表1に示す。
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