JP2007256440A - 画像加熱装置用の断熱カバー、及び画像加熱装置 - Google Patents

画像加熱装置用の断熱カバー、及び画像加熱装置 Download PDF

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Abstract

【課題】画像加熱装置用の断熱カバーとして、断熱材などを用いることなく、低コストでVOC発生量を低減させる。省エネとリサイクルを兼ねる環境に良いものを提供する。
【解決手段】画像加熱装置を断熱するための中空成形法により形成された断熱カバーであって、この断熱カバーの以下で定義される中空率が5(%)より大きく、且つ、樹脂部の肉厚が0.5mm以上であること。
【選択図】図2

Description

本発明は、記録材上の画像を加熱する画像加熱装置用の断熱カバー、及び画像加熱装置ようのに関する。
画像加熱装置としては、画像形成装置に搭載され、記録材上に未定着画像を定着する画像加熱定着装置や、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢度を増大させる光沢度増大装置等を挙げることができる。
複写機・ファクシミリ・プリンタ等の画像形成装置は、電子写真プロセス等により、紙・樹脂シート等の記録材上に未定着トナー像を形成する画像形成部と、そのトナー像を記録材上に永久固着像として定着する定着装置と、を有している。
従来より、定着装置としては、一般に、熱ローラ定着装置が用いられている。この定着装置は、内部にヒータを有し、アルミもしくは鉄等の芯金上に離型性樹脂層をコートされた定着ローラと、表面が弾性に富む加圧ローラを圧接させてニップを形成させている。そして、その両ローラを回転させ、未定着トナー像を形成させた記録材をニップに導入して挟持搬送させることにより、定着ローラの熱によりトナーを融解し、また定着ローラと加圧ローラ間の圧力で、融解したトナーを記録材に定着させるものがある。
定着ローラと加圧ローラの間には圧力をかけているため、ローラを回転させる際の負荷は大きく、そのために定着ローラ及び加圧ローラは通常軸受を用いて装置カバー(装置枠体、装置フレーム、定着フレーム)に対して回転可能に支持されている。
定着ローラは所定の定着温度例えば約150℃から200℃の高温に加熱温調あるいは保温されるので、定着装置外部への放熱があり、その放熱で画像形成装置内の雰囲気温度上昇する。また、画像形成装置の小型化に伴い、定着装置の熱が画像形成部の現像器やクリーニング器等の粉体トナー収容部に伝わり易い構成となっている。熱が過剰に伝わるとトナーが固まってしまうブロッキングが起きることが懸念される。
そこで、ファンを用いて画像形成装置内の熱気を排気して装置内雰囲気温度を約50℃以下に維持させるようにしたり、定着装置と画像形成部間に断熱材を入れたりしている。
また近年は、画像形成装置の消費電力の低減が強く求められており、その実現のためには、画像形成装置内で最も消費電力の高い定着装置の内部の熱が定着装置外部へ逃げないようにすることが非常に効果的である。
そこで、特許文献1には、定着ローラや加圧ローラを支持するための装置カバーを樹脂フレームにすることで、定着装置の放熱を抑え消費電力を低減した定着装置が記載されている。
また、特許文献2には、定着ローラもしくは加圧ローラ近傍に第1の断熱材を配置し、該第1の断熱材と距離を隔てて第2の断熱材を配置し、第1の断熱材と第2の断熱材を熱伝導率が低い中継部材で結合する。そして、第1及び第2の断熱材と中継部材で略密閉された空気層を形成し、定着装置内部で発せられる熱を定着装置外部へ伝導しにくくしている定着装置が記載されている。
また、特許文献3には、表面に多数の凹部を持つ支持部材上に、この凹部を覆うように熱反射部材を貼り付けることにより、熱反射部材による輻射効果と、空気層による断熱効果によって、断熱性を高めた定着装置が記載されている。
また、近年のブルーエンジェル等の環境規格において規定されている揮発性有機化合物(以下VOCと称す)や、環境意識向上により臭気、に対して注目され始めている。
定着装置が記録材を加熱すると、定着装置を構成している耐熱性の合成樹脂が高温化されるため、樹脂から、ほんのわずかではあるが、微量の揮発性有機化合物(以下VOCと称す)や臭気が発生することがあることが知られている。
特開2000−346719号公報 特開2000−187408号公報 特開平6−222697号公報
しかしながら、近年は、画像形成装置の更なる小型化が進み、定着装置と画像形成部間の距離もより短くなり、定着装置と画像形成部間の断熱がますます重要になってきている。
また、画像形成装置のエネルギー消費効率の更なる向上が求められており、そのためには画像形成装置内で最もエネルギーを消費する割合の高い定着装置の効率の向上、つまり、定着装置外部への熱の拡散を防ぐことがますます重要となってきている。
そのため、従来技術よりも更に、高い断熱効果、カバー強度、小型化、組立性、低コスト化、分解性等が求められている。
本発明は、この要望に応えるものである。
すなわち、本発明は、より高い断熱効果を有し、低コストで且つ強度を保ちながらVOC発生量を削減することができる画像加熱装置用の断熱カバーを提供するものである
また、本発明は、上記に加えて、更に省エネ性能を高めた、廃棄環境下で自然環境に対する悪影響の少ない画像加熱装置用の断熱カバーを提供するものである。
上記の目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置用の断熱カバーの代表的な構成は、画像加熱装置を断熱するための中空成形法により形成された断熱カバーであって、この断熱カバーの以下で定義される中空率が5(%)より大きく、且つ、樹脂部の肉厚が0.5mm以上であることを特徴とする。
中空率(%)={((成形体の中空部を含む全体積)−(成形体の樹脂部の体積))/(成形体の中空部を含む全体積)}×100(%)
上記の構成により、カバー自体を断熱材として使用しながら、且つ強度も確保できることが可能となる。すなわち、より高い断熱効果を有し、低コストで且つ強度を保ちながらVOC発生量を削減することができる画像加熱装置用の断熱カバーが得られる。
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(1)画像形成装置
図1は本発明に従う断熱カバーを有する画像加熱装置を定着装置として搭載した画像形成装置の一例の概略構成を示す縦断面図である。この画像形成装置は電子写真方式の複合機能機であり、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置として機能する。
Aは画像形成装置の画像出力部(デジタルプリンタ部)、Bは画像形成部Aの上部に配設した画像読取部(デジタルリーダ部)である。
画像読取部Bにおいて、1はプラテンガラス(原稿台ガラス)であり、このガラス1上に本や厚紙等のブック原稿やシート状原稿を原稿面を下側にして所定の基準に合わせて載置し、その上に原稿圧板2を被せて押圧状態にする。コントロルパネル(不図示)上の読取り開始キーを押すと、走査系光源3a及びミラー台3bがガラス1の下面に沿って矢印方向にそれぞれ所定の制御速度にて移動駆動される。これにより、ガラス1上の原稿の下向き画像面が走査露光され、原稿面の画像情報が固体撮像素子ユニット(CCDアレイ)3cにより光電読取りされる。
なお、上記において、原稿圧板2の代わりに、自動原稿送り装置(ADF、RDF)を搭載して、シート状原稿をプラテンガラス1に対して自動的に給排送できる。自動原稿送り装置に原稿をセットした場合には、走査系光源3a及びミラー台3bは実線示の位置に停止しており、セットされた原稿が1枚ずつ分離され、ガラス1を挟んで走査系光源3a上を通過しながら原稿面の画像情報が流し読み読みされる。
固体撮像素子ユニット3cにより光電読取りされた原稿の画像情報は画像出力部Aの制御ユニット4に伝送されて画像処理部で所定の画像処理が施される。制御ユニット4は、画像出力部A内及び画像読取部B内の各負荷の駆動、センサ類の情報収集解析、コントロルパネルや外部機器(パーソナルコンピュータ・相手方ファクシミリ装置等)とのデータの交換等の役割を担っている。すなわち、画像形成装置は全てこの制御ユニット4によって統括的にコントロールされる。
制御ユニット4は、画像形成装置が複写機モードにされている場合は、上記のように画像読取部Bから伝送されて画像処理部で所定の画像処理を施した画像信号を画像出力部Aのレーザースキャナ5に伝送する。
また、制御ユニット4は、画像形成装置がファクシミリ送信モードにされている場合は、上記のように画像読取部Bから伝送されて画像処理部で所定の画像処理を施した画像信号を相手方ファクシミリ装置に伝送する。
また、制御ユニット4は、外部機器であるパーソナルコンピュータ等からの出力信号が入力したときは、画像形成装置をプリンタモードにして、その出力信号をレーザースキャナ5に入力する。
また、制御ユニット4は、外部機器である相手方ファクシミリ装置からの送信信号が入力したときは、画像形成装置をファクシミリ受信モードにして、その送信信号をレーザースキャナ5に入力する。
すなわち、この画像形成装置は、レーザースキャナ5に、画像読取部Bからの原稿読取処理信号を入力すれば複写機として機能し、パーソナルコンピュータ等の出力信号を入力すればプリンタとして機能する。また、他機のファクシミリ装置からの送信信号をレーザスキャナ5に入力したり、画像読取部Bからの原稿読信号を他機のファクシミリ装置に送信すれば、ファクシミリ装置として機能する。
画像出力部Aにおいて、6はドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)である。この感光ドラム6は矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動され、その回転過程で、感光ドラム周面が一次帯電器7により所定の極性・電位に一様に帯電処理される。
その一様帯電処理面に対して、レーザースキャナ5により、該スキャナに伝送された画像情報信号に対応して変調されたレーザー光による走査露光Lがなされる。これにより、回転する感光ドラム6の面に、走査露光した画像情報パターンに対応した静電潜像が形成される。その静電潜像が現像器8によりトナー像として反転現像または正規現像される。
そして、そのトナー像が、感光ドラム6と転写帯電器9との対向部である転写部において、この転写部へ、給送ユニット11または手差し給紙部12から所定の制御タイミングで給紙された記録材(以下、シートと記す)Pに順次に転写される。
給送ユニット11は、上段カセット11aと下段カセット11bを有し、シートサイズなどにより選択された段位の給紙カセットからのシートPの1枚分離給紙動作が所定の制御タイミングで行われる。あるいは、手差し給紙部12からのシートPの1枚分離給紙動作が所定の制御タイミングで行われる。上段カセット11a、または下段カセット11b、または手差し給紙部12から給紙されたシートPは、シートパス13によりレジストローラ14まで搬送される。その時、レジストローラ14は停止しており、シートPの先端はニップ部に突き当たる。その後、所定の制御タイミングで、感光ドラム6に対するレーザースキャナ5による走査露光Lが開始されて、感光ドラム6に対するトナー像の形成がなされる。レジストローラ13の回転開始のタイミングは、シートPの先端部と、感光ドラム6上に形成されたトナー像の先端部が転写部において丁度一致するように設定されている。
転写部を通って感光ドラム6面からトナー像の転写を受けたシートPは感光ドラム6面から分離され、搬送ガイド15によって定着装置16内に導入される。
シート材分離後の感光ドラム6面は、クリーニング器10により、転写残トナー等の残留物の除去を受けて清掃されて、繰り返して作像に供される。
定着装置16内に導入されたシートPは、シート上の未定着トナー像が加熱および加圧されて、永久固着画像として定着される。そして、そのシートPは定着装置16を出て、シートパス17を通って、排紙口18から排紙トレイ19に排出、積載される。
シートPの表裏両面に画像形成する両面モードが選択されたときは、定着装置16を出て、シートパス17を通り、排紙口18から排紙トレイ19に排出されている、第1面画像形成済みのシートの後端部が分岐点Yを通過した時点で排出ローラ18aが逆転する。
これにより、スイッチバックしたシートがフラグ20により両面パス21側に導入され、この両面パス21を通って、再びシートパス13に表裏反転状態で導入される。そして、そのシートPが再び所定の制御タイミングで転写部に給紙されて、第2面に対するトナー像の転写形成がなされる。以後は、そのシートPが、搬送ガイド15、定着装置16、シートパス17、排紙口18を通って、両面画像形成済みのシートとして排紙トレイ19に排出される。
(2)定着装置16
図2は定着装置16の概略構成を示す横断右側面図、図3は図2の(3)−(3)線に沿う、途中部分省略の縦断正面図である。
ここで、定着装置に関して、長手方向とは、定着部材の軸線方向である。定着装置に関して、正面とは、装置のシート入口側であり、背面とは、装置のシート出口側であり、左右とは、定着装置を正面から見て左右である。また、上流側と下流側は、シート搬送方向に関して上流側と下流側である。
この定着装置16は熱ローラ定着装置である。そして、記録材上の画像をニップ部にて加熱する加熱手段としての定着部材を組み付ける装置フレーム(装置枠体・定着フレーム)31として、PET・PPS等の耐熱樹脂製で、中空成形法によって成型された断熱カバーとしての樹脂フレームを使用している。
本例の定着装置16においては、このフレーム31を、定着上枠体31Aと定着下枠体31Bの2部品により構成している。そして、その定着上枠体31Aと定着下枠体31Bを、それぞれ、中空成形されて、肉厚内に中空部(気体層)aを有する樹脂成形体(中空構造のモールドフレーム)にしている。本実施例においては、ガスインジェクション成形によりモールドフレーム内部に中空部aとしての空気層が形成されている。この中空構造のモールドフレーム31については後述する。
定着上枠体31Aは、正面壁31a、背面壁31b、上面壁31c、左側面壁31d、右側面壁31eの5面壁を有し、底面側は開放した、左右方向を長手とする下向の横長箱型部材である。定着下枠体31Bは、正面壁31f、背面壁31g、底面壁31h、左側面壁31i、右側面壁31jの5面壁を有し、上面側は開放した、左右方向を長手とする上向きの横長箱型の部材である。
また、定着上枠体31A及び定着下枠体31Bの内面には、表面処理としてのアルミメッキ層(熱反射層)cを形成してある。
定着上枠体31Aの内側には、第1の定着部材としての定着ローラ32、定着ローラ32の温度を検出するサーミスタユニット33、上分離爪ユニット34、定着ローラ表面を清掃するウェブユニット35等を組み付けてある。本実施例の定着装置においては、定着ローラ32が、記録材上の画像を加熱する加熱手段である。
定着下枠体31Bの内側には、第2の定着部材としての加圧ローラ36、入り口ガイドユニット37、下分離爪ユニット38等を組み付けてある。
定着ローラ32は、例えば、アルミニウム等の金属円筒体を基体とし、その外周面にフッ素樹脂等の離型性層を形成したものである。この定着ローラ32は、図3のように、その左右側に具備させた筒軸部32aをそれぞれ軸受39を介して、定着上枠体31Aの左側面壁31dと右側面壁31e間に回転自由に配設して支持させてある。右側の筒軸部32aはその側の軸受39から外側に突出させて、その突出部に定着ローラギアGを外嵌固着して配設してある。定着ローラ32内には、筒軸部32aから、熱源としてのハロゲンヒータHを挿入する。そのヒータHの両端部を、それぞれ、左右の筒軸部32aから外方に突出させて、定着上枠体31Aの左右側面壁31d・31eの外側にアーム部材40を介して支持させた給電用ソケット41に嵌着させて、ヒータHを左右のソケット41間に支持させてある。
加圧ローラ36は、芯金36aに耐熱ゴム等の弾性部材層36bをローラ状に形成した弾性ローラである。この加圧ローラ36は、図3のように、芯金36aの左右端部をそれぞれ軸受42を介して、定着下枠体31Bの左側面壁31iと右側面壁31j間に回転自由に配設して支持させてある。
定着上枠体31Aは、定着下枠体31Bの上側に並行に対向させて配列され、定着ローラ32よりも上流側において、連結ビン43により定着下枠体31Bに対して揺動可能にヒンジ結合されている。連結ビン43の軸線は定着ローラ32の軸線に並行である。また、定着ローラ32よりも下流側において、定着上枠体31Aと定着下枠体31Bの左側と右側の両側2箇所に、定着上枠体31Aと定着下枠体31Bを互いに引き寄せ方向に付勢する加圧ばね(不図示)を配設してある。この加圧ばね力により、定着上枠体31A側の定着ローラ32と定着下枠体31B側の加圧ローラ36とが、加圧ローラ36の弾性部材層36bの弾性に抗して圧接して、シート搬送方向dにおいて、所定幅の定着ニップ部Nが形成される。本実施例においては、定着ローラ32と加圧ローラ36との間に、総圧80kgf程度の荷重がかかっている状態である。
この状態において、定着ローラ32、加圧ローラ36、サーミスタユニット33、ウェブユニット35、上下の分離爪ユニット34・38は、定着上枠体31Aと定着下枠体31Bの内側に囲われた状態で存在している。
そして、定着装置16の正面側に、定着上枠体31Aと定着下枠体31Bの間において、左右方向を長手とするスリット状のシート入口44を形成させている。また、定着装置16の背面側に、定着上枠体31Aと定着下枠体31Bの間において、左右方向を長手とするスリット状のシート出口45を形成させている。
図4は定着装置制御系統のブロック回路図である。制御ユニット4は、所定の作像シーケンシ制御に基づく所定の制御タイミングにて、定着モータMを駆動する。この定着モータMの駆動力が定着ローラギアGに伝達されて、定着ローラ32が、図2において時計方向に所定の速度で回転駆動される。この定着ローラ32の回転に従動して加圧ローラ36が反時計方向に回転する。また、制御ユニット4は、給電回路部46から定着ローラ32内のヒータHへの電力供給を開始させる。このヒータHの発熱により定着ローラ32が内側から加熱され、定着ローラ表面側の温度がサーミスタユニット33により検知される。このサーミスタユニット33により検知される定着ローラ32の表面温度に関する電気的情報がA/Dコンバータ47を介して制御ユニット4に入力する。制御ユニット4は、この温度データをもとに、給電回路部46からヒータHへの電力供給を制御して、定着ローラ32の表面温度が所定の定着温度例えば約150℃から200℃に維持されるように温調制御、あるいは保温制御を行う。
定着ローラ32・加圧ローラ36が回転され、定着ローラ32が所定の定着表面温度に加熱温調されている状態において、画像形成部側から、表面に未定着トナー像tが形成されたシートPが、記録材入口44から定着装置16内に導入される。そして、そのシートPは入り口ガイドユニット37に案内されて定着ローラ32と加圧ローラ36との圧接部である定着ニップ部Nに進入し、定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。シートPが定着ニップ部Nを挟持搬送される過程で、シートP上の未定着トナー像tが定着ローラ32の熱と、定着ニップ部Nの圧力で、シートPの面に熱圧定着される。定着ニップ部Nを出たシートPは加熱ローラ41の面から分離されて、シート出口46から定着装置外に送り出される。
定着ローラ32及び加圧ローラ36の表面には、それぞれ、定着ニップ部Nの下流側において上分離爪ユニット34の分離爪と下分離爪ユニット38の分離爪が当接している。これらの分離爪により、定着ニップ部Nを通過して定着処理が終了したシートPを定着ローラ32及び加圧ローラ36から剥離させる。WPは定着装置16に導入されるシートPの最大通紙領域幅である。
装置フレームである定着上枠体31Aと定着下枠体31Bは、前述のように、PET、PPS等の耐熱樹脂製の中空構造のモールドフレームである。本実施例においては、このモールドフレームの熱的特性改善の為の中空構造を、生産効率と精度を両立させて効率良く製造する方法として、ガスインジェクション法を用いた。
このガスインジェクション成形法は、図5に示すように、ヒータとスクリューを内包する樹脂押し出し機55から加熱溶融状態の樹脂を、2つ割の金型54の内部に樹脂を射出ノズル55aを介して押し出す。これとともに、押し出された樹脂の内部に、ガス注入機56で発生させた高速流体であるアルゴンガス・Nガス等をガスノズル56aを介して注入する。
この成形法は、粘性の低い状態の樹脂内部から圧力を加えて樹脂を金型内壁に押し付けることで、金型54への追従性を高めて、成形精度を向上し、複雑な構造でもヒケの発生を防止できるうえ、軽量で材料費も低く抑えることができるという利点を有する。
また、このガスインジェクション成形法の特徴として、複数のガスノズル56aを設けることにより、図2・図3の定着上枠体31A及び定着下枠体31Bのように、内部の気体層aを複数の気体層に分割する複数のリブbを設けてることが可能となる。ガスインジェクション成形法の詳細については、工業材料1992年2月号、53〜60頁に記載されている。
本実施例ではガス注入機56から空気を注入して気体層aを空気層にしている。
中空構造のモールドフレームである定着上枠体31A及び定着下枠体31Bは、以下で定義される中空率が5(%)より大きく、且つ、樹脂部の肉厚が0.5mm以上である。
中空率(%)={((成形体の中空部を含む全体積)−(成形体の樹脂部の体積))/(成形体の中空部を含む全体積)}×100(%)
本実施例における定着上枠体31A及び定着下枠体31Bの中空率は、それぞれ50%であり、表層の基本肉厚eは1.5mmである。
ここで、基本肉厚とは、成形体を構成する樹脂の肉厚の大部分を占める肉厚のことである。なお、基本肉厚に対し極端な厚肉、薄肉の部分があるとヒケやショートと言われる不良現象が起こる場合がある。例えば、基本肉厚に対する肉厚ばらつきの公差が0.1〜0.2mmとなる場合があるので、本例では中空部を形成する各部位の肉厚eを平均化することで基本肉厚を求めている。
本実施例における定着上枠体31A及び定着下枠体31Bの基本肉厚eは、外見上は判断できないが、図2のように断面化することにより確認することができる。つまり、本実施例の定着上枠体31A及び定着下枠体31Bの基本肉厚eは図2にあるように、各表層から中空部までの距離(図2上で垂直方向の厚さ)、または、リブb部の肉厚(図2上で水平方向の厚さ)を示している。
空気の熱伝導率は約25mW/(m・K)程度であり、樹脂材料の約200〜300mW/(m・K)に比較して1/10程度と非常に低い値である。したがって、中空構造のモールドフレーム31A・31Bは、樹脂材料のみで枠体を構成する場合と比較して、非常に薄い形状で高い断熱効果を得ることができる。
ここで、樹脂材料のみで枠体を構成する場合とは、通常のモールド射出成型による、樹脂が密に詰まった充実肉質のモールドフレームである。このような充実肉質のモールドフレームは、中空構造のモールドフレームに比べて、熱伝導率が高く、断熱性能が低かった。そのため、断熱効果が低くエネルギー消費効率が悪かった。また比重が高いため、単位体積あたりのフレームの重量が重く、コストがかかっていた。
中空成形したモールドを定着フレームに使用することにより、同厚の従来のモールドフレームに対して、少ない質量でフレーム構成することができる。よって、VOC発生量を以前より低減することができる(VOC発生量は質量に比例)。
また、本実施例の定着装置における定着上枠体13Aは、図2に示すように、定着ローラ32よりも上流側及び下流側で上面壁31cから略下方に伸びる正面壁31a及び背面壁31bを有している。また定着ローラ32の長手方向で、記録材の通過領域より外側で上面壁31cから略下方に伸びる左側面壁31d及び右側面壁31eを有している。ヒータHで加熱された定着ローラ32により発生した熱気は対流により上方へ上昇していくが、定着上枠体13Aは上記の5面壁31a〜31eにより囲われた下向の凹部があるためにその内部に熱をこもらせることができ、定着装置内部に蓄熱されやすくなる。
また、定着上枠体31A及び定着下枠体31Bの内面には、アルミメッキ層(熱反射層)cが形成されている。枠体母材の樹脂材料の表面の反射率と比較して、アルミの反射率は非常に大きい。そのため、枠体内面にメッキ処理を行なうことにより、ヒータHで加熱された定着ローラ32より発せらた熱はメッキ層cで反射され、定着上枠体31A及び定着下枠体31Bの内部に伝熱されにくくなると共に、定着装置内部に蓄熱されやすくなる。
したがって、中空構造のモールドフレーム31A・31Bの樹脂材料内部の空気層aに伝播する熱量が低下するため、空気層aの断熱効果と合わせて、定着装置外部に対する断熱効果はより大きなものとなる。
また、定着装置内部に蓄熱されやすくなるため、サーミスタユニット33で検知される定着ローラ温度を一定に保つために、ヒータHが消費する電力を低減することが可能となる。
また、中空構造のモールドフレーム31A・31Bの内部の空気層aを複数の空気層に分割するリブbを設けている。特に定着ローラ32と加圧ローラ36の軸受39・42を支えている箇所は、特にリブbの数を多く設けている。
それにより、断面係数Zが高くでき、枠体強度を高めている。よって、加圧力のかかる箇所においても、断熱性を保ちながら強度を確保可能な構成となっている。
すなわち、フレーム自体を断熱材として使用しながら、且つ強度も確保できることが可能となる。
また、本実施例における中空構造のモールドフレーム31A・31Bは、リブbも含めた中空率が50%であるため、樹脂量を減らすことができる。これにより、従来の耐熱樹脂に対しVOC発生量を50%程度削減することができる。それととともに、材料が少なくなるため、軽量化でき、且つコストも削減できる。
一般的にガスインジェクション成形を含めた中空成形法は、中空率が5%以上からひけや反りがなく、かつ、質感等の特性を生かせることが知られているが、5%削減するだけでも高コストのPAI、LCP等の耐熱性樹脂では大きなコストメリットがある。またVOC削減も5%程度削減できる。
中空成形は、モールドの射出成型時、ガスを混ぜて質量を最高30%位まで低下可能な成型方法である。かつ補強リブ効果で強度もアップ可能である。しかし、中空量が多すぎると強度が低下するため限度がある。
また、中空構造のモールドフレーム31A・31Bは、表層の肉厚が0.5mmよりも薄くなってしまうと、加圧力を保持している部位などが破壊に至る可能性がある。そのため、中空率の上限値は、前記中空成形された、中空部を設けている成形体の表層樹脂の基本肉厚が0.5mm以上になるように設定する。
例えば、元々の基本樹脂肉厚を10mm、幅50mm、奥行き300mmを中空成形するとき、表層の樹脂肉厚を0.5mm以上にするためには、中空率の上限が88%である。同様に、幅50mm、奥行き300mmで元々の基本樹脂肉厚を変えていくと、
元々の基本樹脂肉厚 7mm時、中空率の上限が84%
元々の基本樹脂肉厚 5mm時、中空率の上限が78%
元々の基本樹脂肉厚 3mm時、中空率の上限が65%
となる。
肉厚が0.5mmよりも薄くなると、型内の樹脂が全域に均一に流れにくくなるため、局所的に肉厚が0.5mmよりも薄くなる部分、もしくは、樹脂がない部分が存在してしまうことがある。そのため加圧力がかかった時に、そこを起点としてフレームが破壊する可能性がある。また樹脂の流れが届かず枠体フレームに穴があくことで中空構造が保てなくなり、断熱効果が得られなくなる。
上記のようなことから、中空成形された樹脂フレームは、前記定義の中空率が、5%より大きく、且つ、樹脂部の肉厚が0.5mm以上であるように、設定する。このようなフレーム31A・31Bを使用することにより、強度も保て、VOC発生量を低減させることが可能である。気体層aの断熱効果が高いため,断熱性能を高くすることができる。また、同体積のモールド量に対し、比重が低いためコストも削減できる。
中空構造のモールドフレーム31A・31Bを構成する樹脂として、植物由来樹脂または例えばポリ乳酸で出来ている生分解性樹脂を用いることにより、廃棄環境下で自然環境に対する悪影響の少ない改善された定着装置が提供できる。すなわち環境負荷を低減できる。
定着装置は、消耗品が多いため、画像形成装置において、ユニット交換が多い部位である。そのため、樹脂の量が多くなる。よって、定着装置に使用する樹脂の大部分である定着フレームに環境を考慮した植物由来樹脂または生分解性樹脂を使用することが非常に効果的である。
かくして、断熱材などを用いることなく、低コストでVOC発生量を低減させ、且つ省エネとリサイクルを兼ねる環境に良い定着装置を提供する。
ここで、上記の実施例では、より高い効果を有するように、定着上枠体31A、定着下枠体31Bが共に中空構造のモールドフレームである構成を説明した。しかし、ヒータHで加熱された定着ローラ32より発せらた熱は対流により上昇するため、定着上枠体31Aのみが中空構造のモールドフレームである場合でも、定着装置外部に対する断熱効果及び定着装置内部での蓄熱効果を有する。
また、本実施例では、中空構造のモールドフレームが、気体層aとして空気層を持つ構成を説明したが、熱伝導率がフレームを構成する樹脂材料より低い値である気体層を持っていても同等な効果が得られることは明らかである。
また、本実施例では、定着ローラ32と加圧ローラ36のニップ部Nで定着処理する、いわゆる熱ローラ定着装置を用いて説明を行なった。しかし、熱ローラ定着装置に限定されるものではない。例えば、面状発熱体を内部に配置した薄膜フィルムと加圧ローラでニップ部を形成する、いわゆるフィルム定着装置、その他の接触式又は非接触式の画像加熱装置などにも適用可能であることは明らかである。
本発明の画像加熱装置は、実施例の画像加熱定着装置としてばかりでなく、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、記録材上の未定着画像を仮定着させる像加熱装置等としても使用することができる。
画像形成装置の一実施形態の全体構成図である。 図1に示される画像形成装置が備える定着装置の断面図である。 図2の(3)−(3)線に沿う、途中部分省略の縦断正面図である。 定着装置制御系統のブロック回路図である。 ガスインジェクション成形法を説明する図である。
符号の説明
16・・定着装置(画像加熱装置)、31・・中空成形された樹脂フレーム、31A・・定着上枠体、31B・・定着下枠体、a・・中空部(気体部)、b・・リブ部、c・・アルミメッキ層(熱反射層)、e・・基本肉厚、32・・定着ローラ(加熱手段)、36・・加圧ローラ、N・・定着ニップ部、P・・記録材、t・・未定着トナー像

Claims (4)

  1. 画像加熱装置を断熱するための中空成形法により形成された断熱カバーであって、
    この断熱カバーの以下で定義される中空率が5(%)より大きく、且つ、樹脂部の肉厚が0.5mm以上であることを特徴とする画像加熱装置用の断熱カバー。
    中空率(%)={((成形体の中空部を含む全体積)−(成形体の樹脂部の体積))/(成形体の中空部を含む全体積)}×100(%)
  2. 前記中空部を構成する表裏側の樹脂部を繋げて補強するための補強部が形成されていることを特徴とする請求項1の画像加熱装置用の断熱カバー。
  3. 前記断熱カバーを構成する樹脂は植物由来樹脂または生分解性樹脂であることを特徴とする請求項1又は2の画像加熱装置用の断熱カバー。
  4. 記録材上の画像をニップ部にて加熱するための加熱手段を有する画像加熱装置において、
    前記加熱手段を囲むように設けられた請求項1乃至4のいずれかの断熱カバーを有することを特徴とする画像加熱装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015166765A (ja) * 2014-03-03 2015-09-24 ブラザー工業株式会社 画像形成装置及び定着器

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