JP2007253296A - 装飾板の製造方法および製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】平面楕円形状の挽き目模様を形成する際に、放射状に均一な光沢の外観にすることができる装飾用溝の製造方法を提供すること。
【課題手段】被加工物の表面を切削することにより、渦巻き状でかつ平面略楕円形状の装飾用溝7が形成された装飾部を備えた装飾板の製造方法である。装飾板を回転させ、その装飾部の外周部または内周部に、装飾用溝切削用のバイト22Aを当て、このバイト22Aを装飾板の1回転に伴って装飾板の回転半径方向に往復運動させながら、徐々に装飾部の内周部側または外周部側に移動し、前記平面略楕円形状の装飾用溝7を渦巻き状に形成する。バイト22Aは、刃先の正面形状が三角形とされるとともに、その刃先における外周側の逃げ角を、バイト22Aの進行方向とそのバイト22Aで形成される略楕円状の装飾用溝の接線方向との最大ずれ角分だけ少なくとも増加させたバイトを用いる。
【選択図】図7

Description

本発明は、装飾板の製造方法および製造装置に関する。
従来、腕時計に用いられる文字板の表面に、渦巻き状の挽き目模様を加工したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この渦巻き状の挽き目模様は、旋盤に設けられた回転テーブルに固定した文字板を回転させながら、超硬バイト等の刃を回転テーブルの径方向に移動し、ピッチ0.012〜0.05mm、深さ0.05mm程度の溝を渦巻き状に切削することにより形成されたものであり、ピッチむらのないレコード盤のような外観を有するとともに、溝が回折格子となるので、目視角度により反射光が虹色に変化する美しいものである。
このような挽き目模様は、腕時計の文字板だけでなく、家具や電化製品のノブの装飾板として、あるいは、ネックレス、カフスおよびタイピン等のアクセサリーの装飾板にも利用することができる。
特許第3584908号公報
ところで、従来の挽き目模様の平面形状は真円に近いものばかりであり、デザイン的な多様性が無く、似たような外観しか形成できないという問題があった。
そこで、本出願人は、装飾板を1回転させる間に前記バイトを回転半径方向に往復させることで、平面楕円形状の挽き目模様の加工を試みたところ、次のような新たな問題が生じた。
すなわち、平面真円形状の挽き目模様を加工する場合には、バイトの進行方向とバイトの向きが一致しているため、バイトで加工される溝の断面形状を一定のものにすることができる。
一方、平面楕円形状の挽き目模様を加工する場合には、楕円の長軸や短軸部分ではバイトの進行方向とバイトの向きが一致するが、その他の部分では不一致となる。このため、不一致部分では、バイトの側面(逃げ面)が装飾板に接触して切削してしまい、加工された溝の断面形状は、溝を構成する各傾斜面(切削面)の角度が異なる形状となり、外観上、光沢が変化しているように見え、放射状に均一な光沢にならないという問題があった。
本発明の目的は、平面楕円形状の挽き目模様を形成して装飾板を製造する際に、放射状に均一な光沢の外観にすることができる装飾板の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
本発明の装飾板の製造方法は、被加工物の表面を切削することにより、渦巻き状でかつ平面略楕円形状の装飾用溝が形成された装飾部を備えた装飾板の製造方法であって、前記装飾板を回転させ、その装飾板における装飾部の外周部または内周部に、前記装飾用溝切削用のバイトを当て、このバイトを装飾板の1回転に伴って装飾板の回転半径方向に往復運動させながら、徐々に装飾部の内周部側または外周部側に移動し、前記平面略楕円形状の装飾用溝を渦巻き状に形成するとともに、前記バイトとして、刃先の正面形状が三角形とされるとともに、その刃先における外周側の逃げ角αを、前記バイトの進行方向とそのバイトで形成される略楕円状の装飾用溝の接線方向との最大ずれ角βmax分だけ少なくとも増加させたバイトを用いていることを特徴とする。
すなわち、例えば、真円形状の挽き目模様を形成するバイトの場合、バイトの進行方向とバイトの向きが一致するため、逃げ角αも切削加工に必要な最小限の角度α1(例えば3度)に設定すればよい。但し、このバイトを用いて平面楕円形状の装飾用溝を加工すると、楕円の長軸および短軸間ではバイトの進行方向とバイトの向きが不一致となり、バイトの進行方向に対してバイトが内側に傾斜することになる。このため、バイトの刃先の外周側の側面が装飾板に接触してその部分も切削してしまう。
これに対し、本発明によれば、バイトの外周側の逃げ角αを、前記所定角度α1に加えて、前記バイトの進行方向と、そのバイトで形成される楕円状の装飾溝の接線方向(つまりバイトの向き)との最大ずれ角βmax分だけ少なくとも加えている。このため、バイトの進行方向とバイトの向きが不一致となって、バイトの進行方向に対してバイトが内側に傾斜しても、バイトの刃先の外周側の側面が装飾板に接触することがない。従って、常にバイトの正面で装飾用溝を加工することになるため、装飾用溝の断面形状もほぼ一定となる。このため、溝を構成する各傾斜面(切削面)の角度もほぼ一定となって、中心から均一な光沢の楕円外観を得ることができる。
さらに、バイトを支持する装置に、装飾板の回転に伴いバイトの向きを変更する機構を加えることで、従来のバイトを用いて平面楕円形状の装飾用溝を加工することも考えられるが、このような特殊な機構を設けると装置構成が複雑になってコストも高くなるという新たな問題が発生する。これに対し、本発明では、加工中にバイトの向きを調整する必要はないため、装置構成も簡略化でき、コストを抑えることができるという効果も得られる。
本発明の装飾板の製造装置は、被加工物の表面を切削することにより、渦巻き状でかつ平面略楕円形状の装飾用溝が形成された装飾部を備えた装飾板の製造装置であって、前記装飾板を回転させる回転手段と、前記装飾板における装飾部の外周部または内周部に、前記装飾用溝切削用のバイトを当て、このバイトを装飾板の1回転に伴って装飾板の回転半径方向に往復運動させながら、徐々に装飾部の内周部側または外周部側に移動し、前記平面略楕円形状の装飾用溝を渦巻き状に形成するバイト移動支持手段とを備え、前記バイトは、刃先の正面形状が三角形とされるとともに、その刃先における外周側の逃げ角を、前記バイトの進行方向とそのバイトで形成される平面略楕円状の装飾用溝の接線方向との最大ずれ角分だけ少なくとも増加させたバイトであることを特徴とする。
本発明によれば、前記装飾板の製造方法と同様の作用効果を奏することができる。
これらの各発明において、前記バイトの進行方向とそのバイトで形成される略楕円状の装飾用溝の接線方向とのずれ角βは、装飾用溝の平面略楕円形状における長軸寸法をa、短軸寸法をb、装飾板の回転角度をθ、円周率をπとした場合、次の式(1)で求め、式(1)で求められたずれ角βのうち、最も大きなずれ角を最大ずれ角βmaxとすればよい。
Figure 2007253296
本発明における装飾用溝は、渦巻き状に形成されるため、完全な楕円形状ではないが、ほぼ楕円形状に近似している。従って、装飾用溝を楕円形状とみなせば、幾何学的な手法で前記ずれ角βを算出できる。このため、装飾用溝の平面形状を設定すれば、最大ずれ角βmaxも事前にかつ容易に算出することができる。
なお、上記ずれ角βは、長軸および短軸の比率つまりb/aが同じであれば、同じ結果になる。従って、b/aが一定であれば、実際の寸法a,bが異なっていても同じずれ角βになるため、渦巻き状の装飾用溝を形成する場合、最内周や最外周あるいは中間のいずれか1箇所の寸法a,bを代入して前記ずれ角βを求めればよく、最大ずれ角βmaxも容易に算出することができる。
本発明の装飾板の製造方法および製造装置によれば、平面楕円形状の挽き目模様を形成する際に、挽き目模様を形成する溝の断面形状をほぼ一定にすることによって、放射状に均一な光沢の外観にすることができる。
〔第1実施形態〕
次に、本発明の第1実施形態について説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る時計1が示されている。この時計1は、本発明に基づく装飾板としての文字板2を備えたものである。
この文字板2は、時針、分針、秒針などからなる指針3の駆動軸を挿通させるために、その中心に設けられた挿通孔と、指針3で時刻を示すために、その周縁部分に印刷された目盛とを有するものとなっている。
また、文字板2は、図2に示されるように、内側から外側(あるいは外側から内側)へ渦巻き状に延びる装飾用溝7が表面全体に切削され、表面全体が装飾部8となったものである。
装飾用溝7は、図3に示されるように、断面V字形に形成されている。この装飾用溝7のV字を形成する一対の斜辺、すなわち内側の斜辺7Aと外側の斜辺7Bとは、文字板2の平面に対してほぼ同じ傾斜角度に形成されている。
図4には、文字板2となる原板に装飾用溝7を切削するための切削加工機20が示されている。この切削加工機20は、被加工物である原板を回転させながら切削を行う一種の旋盤であり、切削加工機20によって本発明の装飾板の製造装置が構成されている。
切削加工機20には、原板が取り付けられて回転する回転テーブル21と、先端にダイヤモンド製のダイヤバイト22Aが設けられた切削具(バイト)22と、切削具22を支持する支持装置23と、この支持装置23をY方向(図中前後方向)に移動させる駆動装置24とが設けられている。
回転テーブル21は、図示しないモータにより回転駆動されるものであり、その回転軸の方向がZ軸方向(図中上下方向)とされるとともに、回転軸と直交する平面に原板が固定されるようになっている。なお、回転テーブル21の原板が固定される平面には、原板の位置を決めるための突起21Aと、後述する支足が挿通される孔21Bとが設けられている。
支持装置23には、切削具22のX、Y、Z軸方向の各位置を調節する三次元式の位置調節機能と、切削具22を昇降させる昇降機能とが設けられている。この支持装置23の位置調節機能により、原板に対するダイヤバイト22Aの切削開始位置をX、Y、Z軸方向の各方向について任意に設定できるようになっている。また、支持装置23の昇降機能により、切削具22を上昇させた状態で、回転テーブル21の回転駆動を開始し、回転テーブル21が所定の回転速度に達してから、切削具22を下降して切削を開始することが可能となっている。
駆動装置24は、切削具22が下降して切削開始位置に達すると同時に、Y軸方向に沿って支持装置23を進退させるものである。具体的には、切削具22によって加工される装飾用溝7が平面略楕円形状でかつ渦巻き状となるように、駆動装置24は回転テーブル21を1周させる間に支持装置23を進退させるとともに、徐々に切削具22を装飾部8の内側から外周側あるいは外周側から内側に移動させるようになっている。
なお、切削が完了すると、自動または手動により、切削具22が上昇され、この状態で、支持装置23が元の位置に戻されるようになっている。
ダイヤバイト22Aの刃先は、図5の如く、正面(切削加工機20のX軸と直交する面)22Bの形状が二等辺三角形とされている。また、側面(切削加工機20のY軸と直交する面)22Cは、正面22Bから後面に向かうにしたがって上方となるように傾斜して形成され、側面22Cの形状は略平行四辺形となっている。
図6には、図5に示すダイヤバイト22Aの先端部近傍を水平方向に切断した切断面Aが示されている。
図6に示すように、ダイヤバイト22Aの刃先の外周側の逃げ角α(正面22Bに直交する面Bを設定した際に、その面Bと刃先の側面22Cとの角度α)は、少なくとも前記バイト22Aの進行方向とそのバイト22Aで形成される略楕円状の装飾用溝7の接線方向との最大ずれ角βmax分より大きくされている。具体的には、通常のバイト22Aにおいて設定される逃げ角α1(例えば3度)に、最大ずれ角βmax(例えば15度)を加算した角度(例えば18度)に設定されている。
なお、逃げ角αをα=α1+βmaxとする側面22Cは、バイト22Aにおいて渦巻き状の装飾用溝7を加工する際に装飾部8の外周側に面する側面のみに設定すればよい。但し、本実施形態では、バイト22Aの両側面22Cとも前記逃げ角αにすることで、バイト22Aのどちらの側面22Cが溝加工時の外周側になっても利用できるようにしている。
ここで、最大ずれ角βmaxは、具体的には以下の手順で求めている。
本実施形態で加工する装飾用溝7は、渦巻き状であるため完全な楕円形状ではないが、ほぼ楕円形状に近似している。そして、図7の模式図に示すように、バイト22Aの進行方向は装飾用溝7つまり楕円の接線15の方向であり、バイト22Aの向きは楕円中心Oを通る直線16に対して直交する線17の方向である。そして、この各接線15および直交線17の角度つまりずれ角βは、バイト22Aの位置によって変化する。
すなわち、図7において、楕円の長軸をX軸、短軸をY軸とし、楕円中心を原点Oとした際に、楕円中心(原点)Oを通る直線16とX軸の角度をθとすると、前記直線16の傾きDは、次の式(2)で表される。なお、aは楕円長軸寸法であり、bは楕円短軸寸法である。
Figure 2007253296
また、直線16と楕円の交点Pの座標(X1,Y1)は、次の式(3)、式(4)で求められる。
Figure 2007253296
Figure 2007253296
次に、直交線17の傾きEと角度γと、接線15の傾きFと角度δとを、以下の式(5)〜(8)で求める。ここで、角度γは図7に記載のとおり、X軸と平行で前記交点Pを通るX’軸と、直交線17との角度である。同様に、角度δは、前記X’軸と、直交線15との角度である。
Figure 2007253296
Figure 2007253296
Figure 2007253296
Figure 2007253296
従って、直交線17と接線15の角度差(ずれ角)βは、次の式(9)で求められる。
Figure 2007253296
図8には、長軸a=12.5mm、短軸b=9.615mm、長軸および短軸比a/b=1.30の楕円において角度θに対するずれ角βを前記式(9)で求めた結果が示されている。なお、角度θを0〜90度の範囲で変化させた際に求められる最大ずれ角βmaxは、他の角度90〜360度の範囲で変化させた場合と同じであるため、0〜90度の範囲で算出すればよい。
この図8から明らかなように、この場合の最大ずれ角βmaxは、角度θが37度あるいは38度のときの「−14.87度」である。従って、逃げ角αは、通常の逃げ角α1=3度に、前記最大ずれ角βmax以上の角度、例えば15度を加算して、逃げ角α=18度などに設定すればよい。
このバイト22Aを用いることで、装飾用溝7を加工している際に、バイト22Aの進行方向とバイト22Aの向きが最大限ずれたとしても、刃先の正面22Bで切削された装飾用溝7に、刃先の側面22Cが接触して、図3の点線9に示されるように、装飾用溝7の斜辺7Bが削られてしまうことがなく、装飾用溝7の断面形状をほぼ一定に維持することができる。
次に、図9を参照しながら、本実施形態に係る文字板2の製造手順について説明する。
まず、予め、大判の平らな金属板を所定寸法の略正方形状に打ち抜いて、文字板2となる原板30を形成する。なお、原板30のサイズとしては、例えば、一辺が40mm正方形の平面形状を有するとともに、厚さが0.4mmの黄銅板(BS材)を採用することができる。
この際、図9(A)に示されるように、原板30の周縁近傍に、具体的には、角隅近傍に、位置決め部のパイロット孔31を開ける。
次いで、図9(B)に示されるように、原板30に円弧状のスリット32を開け、文字板2となる装飾板部33と、原板30を切削加工機20に支持させるための被支持部34とを分断する。
この際、装飾板部33と被支持部34と完全に分断することはせずに、装飾板部33と被支持部34と連結する連結部35を僅かに残しておく。
また、スリット32の形成と同時に、装飾板部33の中心に挿通孔5を開けておく。さらに、これと前後して、原板30の裏面に、時計機能を有するムーブメントへの固定を行う棒状の支足を溶接で固定する。なお、支足を溶接するにあたり、パイロット孔31は、溶接装置への位置決め手段として利用できる。
この後、切削加工機20の回転テーブル21に原板30を固定し、図9(C)に示されるように、装飾板部33の表面全体に対し装飾用溝7を切削する。ここで、回転テーブル21に原板30を固定するにあたり、パイロット孔31には、回転テーブル21の突起21A(図4参照)が挿通され、これにより、回転テーブル21における原板30の位置を決める。
なお、装飾用溝7の切削加工条件は、加工対象等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、平面略楕円形状の装飾部8の短軸:長軸は1:1.1〜5.0に設定し、溝7の加工ピッチは0.01〜0.20mmに設定し、溝7の深さは0.01〜0.10mmに設定すればよい。
切削加工が完了したら、切削加工機20の回転テーブル21から原板30を取り外し、原板30の表面全体に、装飾メッキ膜を設けた後、着色塗装膜および透明塗装膜を原板30の表面全体に順次設ける。
この後、透明塗装膜の表面に対して、研削加工および研磨加工を順次行い、原板30の表面をほぼ完全な平面にする。
研磨工程の完了後、連結部35を切断し、図9(D)に示されるように、被支持部34から装飾板部33を切り離し、周縁部分に目盛を印刷して文字板2を完成させる。
[第1実施形態の効果]
以上のような構成の本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)文字板2に、内側から外側へ渦巻き状に延び、かつ平面略楕円形状にされるとともに、断面V字形に形成された装飾用溝7を切削して形成した装飾部8を備えているので、一般的な円板状の文字板2に対して、楕円状の文字板2を形成することができ、文字板2つまりは時計1のデザイン性を向上することができる。
その上、略楕円状の装飾用溝7を加工する場合、バイト22Aの向きと進行方向にずれが生じるが、この最大ずれ角βmaxを考慮してバイト22Aの逃げ角αを設定しているので、装飾用溝7の断面形状をほぼ一定にすることができる。このため、装飾部8においては均一な光沢の楕円外観を得ることができ、この点でも文字板2のデザイン性を向上できる。
さらに、最大ずれ角βmaxは、予め式(9)で求めることができるので、例えばサンプルを実際に加工しながらずれ角βを求める必要もなく、極めて簡単にかつ短時間で求めることができる。このため、例えば長軸および短軸の比率が異なる様々な装飾部8を加工する場合でも、適切な逃げ角αを有するバイト22Aを容易に設定することができる。
(2)装飾用溝7を切削するにあたり、ダイヤバイト22A自身を回転させる必要がないため、単にダイヤバイト22Aを直線的に移動するだけで、平面略楕円形状の装飾用溝7が切削されるようになり、装飾用溝7の切削作業を容易に行うことができるうえ、切削工具や工作物を数値制御で移動させながら切削を行うNC切削加工機を用いずとも、一般的な切削加工機20でも装飾用溝7を切削できる。
(3)文字板2を製造するにあたり、文字板2となる装飾板部33と、切削加工機20に支持させるための被支持部34とを有する原板30を用意し、装飾板部33と被支持部34とが連結されたままの原板30を、切削加工機20の回転テーブル21に固定するようにし、装飾板部33の表面に切削加工機20が全く接触しない状態で、原板30の固定が可能となり、装飾板部33の表面全体を露出させることができ、装飾板部33全体に装飾用溝7を切削することができる。
(4)切削工程の前に、連結部35を僅かに残して、装飾板部33と被支持部34とを分断したので、切削工程の完了後に、連結部35を切断すれば、小さな力で装飾板部33と被支持部34とを分離でき、かつ、分離の際に、装飾板部33に大きな力が加わらないので、薄い装飾板部33の損傷を未然に防止することができる。
[第2実施形態]
図10には、本発明の第2実施形態に係る時計1Aが示されている。本第2実施形態は、前記第1実施形態における、その全表面に装飾用溝7を切削し、全表面を装飾部とした文字板2を、部分的に装飾用溝7を切削し、複数の装飾部41〜43を備えた文字板2Aとしたものである。
すなわち、図10において、時計1Aは、中心の駆動軸に駆動される時針、分針などの指針3とは別に、指針3の駆動軸とは同軸位置とならない小針44〜46を備えた多軸時計、換言すると、クロノグラフ、タイマー、および万年カレンダー等の多針時計である。
時計1Aの文字板2Aには、小針44〜46の各々の駆動軸を中心とした円形の装飾部41〜43が設けられている。そして、これらの装飾部41〜43の各々には、前述の装飾用溝7が切削されている。
次に、図11を参照しながら、本実施形態に係る文字板2Aの製造手順について説明する。
まず、予め、大判の平らな金属板を所定寸法の略正方形状に打ち抜いて、原板30を形成する。この際、図11(A)に示されるように、原板30の周縁近傍に、具体的には、角隅近傍に、位置決め部のパイロット孔31を開ける。
次いで、図11(B)に示されるように、原板30に円弧状のスリット32を開け、文字板2となる装飾板部33と、原板30を切削加工機20に支持させるための被支持部34とを分断する。
この際、装飾板部33と被支持部34と完全に分断することはせずに、装飾板部33と被支持部34と連結する連結部35を僅かに残しておく。
また、スリット32の形成と同時に、装飾板部33の中心に挿通孔5を開けるとともに、小針44〜46の各駆動軸を挿通させる挿通孔51〜53を開けておく。
さらに、これと前後して、原板30の裏面に、時計機能を有するムーブメントへの固定を行う棒状の支足を溶接で固定する。
この後、切削加工機20で切削を行うにあたり、まず、回転テーブル21の回転軸と原板30の挿通孔51とが同軸となるように、原板30を回転テーブル21に固定し、前記第1実施形態と同様の要領で、装飾部41となる部分に装飾用溝7を切削する。
装飾部41の切削作業が完了したら、回転テーブル21に対する原板30の位置を変えて、装飾部42,43となる各部分に対し、順次、装飾用溝7の切削を行い、図11(C)に示されるように、装飾部41〜43を完成する。
この後、装飾メッキ膜、着色塗装膜および透明塗装膜を原板30の表面全体に順次設けてから、透明塗装膜の表面に対して、研削加工および研磨加工を順次行い、原板30の表面をほぼ完全な平面にする。そして、研磨工程後、連結部35を切断し、図11(D)に示されるように、被支持部34から装飾板部33を切り離し、目盛り等を印刷して文字板2Aを完成させる。
このような本第2実施形態においても、前述の第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
なお、本発明は、前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で、その改良および変形をも含むものである。
例えば、逃げ角αは、所定の逃げ角α1に最大ずれ角βmaxを加えたものに限らず、より大きな角度に設定してもよい。このように逃げ角αを大きめに設定すれば、楕円の長軸および短軸の比率を変更した場合でもそのバイト22Aをそのまま利用できることもでき、バイト22Aの種類を軽減できる利点がある。但し、逃げ角αを大きくすると、バイト22Aの肉厚が小さくなってバイト22Aの強度が低下するおそれがある。従って、逃げ角αは少なくとも加工対象の装飾用溝7における最大ずれ角βmax以上であればよく、その大きさは、バイト22Aの強度や加工対象の装飾用溝7の楕円形状(長軸および短軸比)などに応じて設定すればよい。
また、切削加工による装飾板としては、装飾メッキ膜、着色塗装膜および透明塗装膜のすべてが設けられたものに限らず、装飾メッキ膜、着色塗装膜および透明塗装膜のいずれか一つを備えたものでもよい。
また、切削加工による装飾板の原板の材質としては、黄銅に限らず、銅、ブロンズ、洋白やアルミニウム等の金属、合成樹脂、ガラス、黒蝶貝や白蝶貝等の貝殻、および、貴石、ならびに、これらを薄板状にしたものを張り合わせた複合材でもよい。
さらに、装飾メッキ膜の材質としては、金に限らず、銀、ロジウムおよびニッケルでもよい。
また、成形加工により装飾板となる被成形物としては、ポリカーボネート製のものに限らず、ポリアセタール、アクリル、ポリプロピレンおよびABS等、他の種類の合成樹脂からなるものでもよい。
ここで、成形加工による装飾板としては、装飾メッキ膜、着色塗装膜および透明塗装膜のすべてが設けられたものに限らず、装飾メッキ膜、着色塗装膜および透明塗装膜のすべてが省略されたものでもよい。例えば、裏側にソーラーセルが配置される文字板としては、透明な合成樹脂の成形加工により製造され、装飾メッキ膜、着色塗装膜および透明塗装膜のすべてが省略された装飾板を採用することが好ましい。
さらに、装飾部としては、時計の文字板に設けられるものに限らず、時計のケースあるいは裏蓋の底面(装着者に接する面)に設けられる装飾部でもよく、例えば、時計のムーブメントの裏蓋側の面において、水晶振動子、輪列および電子回路を押さえている押さえ板等を装飾部としてもよい。
さらに、装飾板の用途としては、時計の文字板に限らず、計器の文字板、家具および電化製品等のノブ、ならびに、ネックレス、カフスおよびタイピン等のアクセサリー等の装飾品として利用してもよい。
本発明の第1実施形態の時計を示す平面図。 第1実施形態の文字板を示す平面図。 第1実施形態の装飾用溝を示す拡大断面図。 第1実施形態の切削加工機を示す斜視図。 第1実施形態の切削加工用バイトの刃先を示す斜視図。 第1実施形態のバイトの刃先を示す平断面図。 第1実施形態のバイトのずれ角の求め方を説明するための模式図。 第1実施形態のバイトのずれ角の算出例を示す図。 第1実施形態の製造手順を説明するための図。 第2実施形態の時計を示す平面図。 第2実施形態の製造手順を説明するための図。
符号の説明
1,1A…時計、2,2A…文字板、7…装飾用溝、8,41,42,43…装飾部、20…切削加工機、21…回転テーブル、22…切削具、22A…ダイヤバイト、22B…正面、22C…側面、23…支持装置、24…駆動装置、30…原板。

Claims (4)

  1. 被加工物の表面を切削することにより、渦巻き状でかつ平面略楕円形状の装飾用溝が形成された装飾部を備えた装飾板の製造方法であって、
    前記装飾板を回転させ、その装飾板における装飾部の外周部または内周部に、前記装飾用溝切削用のバイトを当て、このバイトを装飾板の1回転に伴って装飾板の回転半径方向に往復運動させながら、徐々に装飾部の内周部側または外周部側に移動し、前記平面略楕円形状の装飾用溝を渦巻き状に形成するとともに、
    前記バイトとして、刃先の正面形状が三角形とされるとともに、その刃先における外周側の逃げ角αを、前記バイトの進行方向とそのバイトで形成される略楕円状の装飾用溝の接線方向との最大ずれ角βmax分だけ少なくとも増加させたバイトを用いていることを特徴とする装飾板の製造方法。
  2. 請求項1に記載の装飾板の製造方法において、
    前記バイトの進行方向とそのバイトで形成される略楕円状の装飾用溝の接線方向とのずれ角βを、装飾用溝の平面略楕円形状における長軸寸法をa、短軸寸法をb、装飾板の回転角度をθ、円周率をπとした場合、次の式(1)で求め、
    Figure 2007253296
    式(1)で求められたずれ角βのうち、最も大きなずれ角を最大ずれ角βmaxとすることを特徴とする装飾板の製造方法。
  3. 被加工物の表面を切削することにより、渦巻き状でかつ平面略楕円形状の装飾用溝が形成された装飾部を備えた装飾板の製造装置であって、
    前記装飾板を回転させる回転手段と、
    前記装飾板における装飾部の外周部または内周部に、前記装飾用溝切削用のバイトを当て、このバイトを装飾板の1回転に伴って装飾板の回転半径方向に往復運動させながら、徐々に装飾部の内周部側または外周部側に移動し、前記平面略楕円形状の装飾用溝を渦巻き状に形成するバイト移動支持手段とを備え、
    前記バイトは、刃先の正面形状が三角形とされるとともに、その刃先における外周側の逃げ角αを、前記バイトの進行方向とそのバイトで形成される平面略楕円状の装飾用溝の接線方向との最大ずれ角βmax分だけ少なくとも増加させたバイトであることを特徴とする装飾板の製造装置。
  4. 請求項3に記載の装飾板の製造装置において、
    前記バイトの進行方向とそのバイトで形成される略楕円状の装飾用溝の接線方向とのずれ角βを、装飾用溝の平面略楕円形状における長軸寸法をa、短軸寸法をb、装飾板の回転角度をθ、円周率をπとした場合、次の式(2)で求め、
    Figure 2007253296
    式(2)で求められたずれ角βのうち、最も大きなずれ角を最大ずれ角βmaxとすることを特徴とする装飾板の製造装置。
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