JP2007253194A - 溶湯付着防止コート剤、これを用いた溶湯付着防止コート層並びにその製造方法及び溶湯取扱用具並びにその使用方法。 - Google Patents

溶湯付着防止コート剤、これを用いた溶湯付着防止コート層並びにその製造方法及び溶湯取扱用具並びにその使用方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】基材の表面に金属溶湯が付着するのを防止するための溶湯付着防止コート剤並びに、そのコート剤を付着させた溶湯付着防止コート層及び、その製造方法並びに、その溶湯付着防止コート層を備える溶湯取扱用具、並びに、それらの使用方法を提供する。
【解決手段】溶湯付着防止コート剤は、ジルコン粉末とアルミナゾル及びジルコニアゾルのうちの少なくとも一方のゾルとを含有し、ジルコン粉末とゾルに含まれる固形分との合計を100質量%とした場合に、ジルコン粉末が70〜98質量%であり、本溶湯付着防止コート剤全体を100質量%とした場合に、ジルコン粉末と固形分とを合計で30質量%以上含有する。溶湯付着防止コート層は、溶湯付着防止コート剤を塗着させる塗着工程と、乾燥工程と、焼成工程により製造される。溶湯取扱用具(ラドル)は、用具表面に溶湯付着防止コート層を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は溶湯付着防止コート剤、これを用いた溶湯付着防止コート層並びにその製造方法及び溶湯取扱用具並びにその使用方法に関する。更に詳しくは、基材の表面に金属溶湯が付着するのを防止するための溶湯付着防止コート剤、これを用いた溶湯付着防止コート層並びにその製造方法及び溶湯取扱用具並びにその使用方法に関する。
溶湯(溶解金属)を取り扱う溶湯取扱用具では、溶湯の付着を防止する必要がある。溶湯が溶湯取扱用具に付着されたまま冷却されると、固化物(金属及び金属酸化物など)が溶湯取扱用具に付着し、各種の作業性を低下させる原因となる。また、軽金属の溶湯は一般に、極めて還元性が強く、溶湯取扱用具を浸食する場合がある。このため、従来から溶湯の付着を防止するコート剤が知られている。下記特許文献1には、溶湯に対する耐食性が高い材料をコーティングした溶湯保護材が開示されている。
特開平11−189475号公報
しかし、コート層はその性質上、使用と共に次第に溶湯付着防止機能が低下する。また、金属溶湯との度重なる接触による衝撃で剥がれ落ちることがある。このようにコート層は、自身が基材に代わって浸食されたり、剥がれ落ちたりすることで基材自体を防護している。しかし、これらの性能は、更に向上させる必要があり、また、溶湯の付着防止機能についても、従来よりも更に性能が向上されたコーティング剤及びコート層が求められている。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、優れた緻密性、優れた強度が得られる溶湯付着防止コート剤、これを用いた溶湯付着防止コート層並びにその製造方法及び溶湯取扱用具並びにその使用方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す通りである。
請求項1.ジルコン粉末と、アルミナゾル及びジルコニアゾルのうちの少なくとも一方のゾルと、を含有し、
該ジルコン粉末と該ゾルに含まれる固形分との合計を100質量%とした場合に、該ジルコン粉末が70〜98質量%であることを特徴とする溶湯付着防止コート剤。
請求項2.本溶湯付着防止コート剤全体を100質量%とした場合に、上記ジルコン粉末と上記固形分とを合計で30質量%以上含有する請求項1記載の溶湯付着防止コート剤。
請求項3.基材の少なくとも一部の表面に上記請求項1又は2に記載の溶湯付着防止コート剤を塗着させる塗着工程と、
塗着された該溶湯付着防止コート剤を乾燥させて溶湯付着防止コート層を得る乾燥工程と、を備えることを特徴とする溶湯付着防止コート層の製造方法。
請求項4.更に、上記乾燥工程において得られた溶湯付着防止コート層を焼成する焼成工程を備える請求項3に記載の溶湯付着防止コート層の製造方法。
請求項5.上記溶湯付着防止コート剤には上記ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にAlがAl換算で70質量%以上含有され、且つ上記焼成工程における焼成温度が500〜1000℃である請求項4に記載の溶湯付着防止コート層の製造方法。
請求項6.上記溶湯付着防止コート剤には上記ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にZrがZrO換算で70質量%以上含有され、且つ上記焼成工程における焼成温度が850〜1300℃である請求項4に記載の溶湯付着防止コート層の製造方法。
請求項7.請求項3乃至6のうちのいずれかに記載の製造方法により得られた溶湯付着防止コート層。
請求項8.アルミニウム、マグネシウム、チタン、アルミニウム合金、マグネシウム合金又はチタン合金から選ばれる1種の軽金属の溶湯の付着防止に用いられる請求項7に記載の溶湯付着防止コート層。
請求項9.上記基材は、セラミックス又は金属である請求項8に記載の溶湯付着防止コート層。
請求項10.請求項7乃至9のうちのいずれかに記載の溶湯付着防止コート層を備えることを特徴とする溶湯取扱用具。
請求項11.上記ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にAlがAl換算で70質量%以上含有された請求項1乃至3のいずれかに記載の溶湯付着防止コート剤が乾燥されてなる溶湯付着防止コート層を備え、
該溶湯付着防止コート層を、温度500〜1000℃の溶湯と接触させて用いることを特徴とする溶湯取扱用具の使用方法。
請求項12.上記ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にZrがZrO換算で70質量%以上含有された請求項1乃至3のいずれかに記載の溶湯付着防止コート剤が乾燥されてなる溶湯付着防止コート層を備え、
該溶湯付着防止コート層を、温度850〜1300℃の溶湯と接触させて用いることを特徴とする溶湯取扱用具の使用方法。
請求項13.上記溶湯取扱用具は溶湯運搬用ラドルである請求項10に記載の溶湯取扱用具並びに請求項11又は12に記載の溶湯取扱用具の使用方法。
本発明の溶湯付着防止コート剤によれば、優れた緻密性又は強度を備えるコート層を容易且つ確実に得ることができる。従って、得られる溶湯付着防止コート層への溶湯の付着を確実に防止しつつ、高い耐久性を付与することができる。
更に、上記溶湯付着防止コート剤全体を100質量%とした場合に、上記ジルコン粉末と上記固形分とを合計で30質量%以上含有する場合は、より優れた緻密性又は強度を備えるコート層を容易且つ確実に得ることができる。従って、得られる溶湯付着防止コート層への溶湯の付着をより確実に防止しつつ、高い耐久性を付与することができる。
本発明の溶湯付着防止コート層の製造方法によれば、優れた緻密性又は強度を備えるコート層を容易且つ確実に得ることができる。従って、得られる溶湯付着防止コート層への溶湯の付着を確実に防止しつつ、高い耐久性を付与することができる。
更に、乾燥工程において得られた溶湯付着防止コート層を焼成する焼成工程を備える場合は、より優れた緻密性又は強度を確保でき、より確実に得られる溶湯付着防止コート層への溶湯の付着を防止できる。
溶湯付着防止コート剤にはゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にAlがAl換算で70質量%以上含有され、且つ焼成工程における焼成温度が500〜1000℃である場合には、緻密性と強度とが両立された極めて優れた溶湯付着防止コート層を得ることができる。
溶湯付着防止コート剤にはゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にZrがZrO換算で70質量%以上含有され、且つ焼成工程における焼成温度が850〜1300℃である場合には、緻密性と強度とが両立された極めて優れた溶湯付着防止コート層を得ることができる。
本発明の溶湯付着防止コート層によれば、この溶湯付着防止コート層に溶湯が付着されることを防止できる。また、この溶湯付着防止コート層は、緻密であり、強度に優れ、高い耐久性を発揮できる。
アルミニウム、マグネシウム、チタン、アルミニウム合金、マグネシウム合金又はチタン合金から選ばれる1種の軽金属の溶湯の付着防止に用いる場合は、本発明の溶湯付着防止コート層を用いる効果を特に大きく得ることができる。即ち、特に効果的に溶湯の付着を防止できる。
本発明の溶湯取扱用具によれば、補修を要することなく安定して長期間にわたって溶湯と接触させて溶湯取扱用具を用いることができる。
上記ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にAlがAl換算で70質量%以上含有された溶湯付着防止コート剤が乾燥されてなる溶湯付着防止コート層を備え、この溶湯付着防止コート層を温度500〜1000℃の溶湯と接触させて用いる溶湯取扱用具の使用方法によれば、別途の焼成工程を要することなく、溶湯と接触させることで最も適した焼成温度で焼成されたことと同じ効果を得ることができ、前記優れた性能を有する溶湯付着防止コート層を簡便且つ容易に得ることができる。
上記ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にZrがZrO換算で70質量%以上含有された溶湯付着防止コート剤が乾燥されてなる溶湯付着防止コート層を備え、
この溶湯付着防止コート層を、温度850〜1300℃の溶湯と接触させて用いる溶湯取扱用具の使用方法によれば、別途の焼成工程を要することなく、溶湯と接触させることで最も適した焼成温度で焼成されたことと同じ効果を得ることができ、前記優れた性能を有する溶湯付着防止コート層を簡便且つ容易に得ることができる。
上記溶湯取扱用具が溶湯運搬用ラドルである場合は、溶湯取合用具自体を溶湯へ投入することを要する使用方法がなされるために、特に適した使用方法となる。
本発明について、以下詳細に説明する。
[1]溶湯付着防止コート剤
本発明の溶湯付着防止コート剤は、ジルコン粉末と、アルミナゾル及びジルコニアゾルのうちの少なくとも一方のゾルと、を含有し、ジルコン粉末とゾルに含まれる固形分との合計を100質量%とした場合に、ジルコン粉末が70〜98質量%である。
上記「ジルコン粉末」は、ジルコン(ZrSiO)を主成分とする粉末である。ジルコン粉末におけるZrSiOの含有量は特に限定されないが、通常、粉末全体100質量%に対して80質量%以上(100質量%であってもよい)含有される。
また、ジルコン粉末の平均粒径は特に限定されないが、50μm以下(好ましくは20μm以下、更に好ましくは2μm以下、通常0.5μm以上)であることが好ましい。この範囲の平均粒径では特に緻密な溶湯付着防止コート層が得られるからである。
このジルコン粉末の含有量は、ジルコン粉末とゾルに含まれる固形分との合計を100質量%とした場合に、ジルコン粉末が70〜98質量%である。70質量%未満であると溶湯付着防止能を十分に発揮させることができない場合がある。一方、98質量%を超え得て含有されるとゾルを含有することによる効果が十分に得られ難い。この含有量は71〜97質量%が好ましく、72〜97質量%がより好ましく、72〜96質量%が特に好ましい。また、特に後述するようにアルミナゾルをゾルの主成分として用いる場合には、更に、85〜90質量%がとりわけ好ましい。一方、ジルコニアゾルをゾルの主成分として用いる場合には、更に、75〜85質量%が特に好ましい。
上記「アルミナゾル」は、酸化アルミニウム及び/又は加熱により酸化アルミニウムとなるアルミニウム化合物を固形分の主成分とするゾルである。加熱により酸化アルミニウムとなるアルミニウム化合物としては、アルミニウムオキサイド化合物、塩化アルミニウム化合物、アルミニウム硝酸化合物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このアルミナゾルに含有される固形分の量は特に限定されないが、アルミナゾル全体を100質量%とした場合に、通常、5〜50質量%であるが、10〜40質量%(より好ましくは10〜30質量%、更に好ましくは15〜25質量%)のアルミナゾルを用いることが好ましい。この範囲のアルミナゾルであれば得られる溶湯付着防止コート剤としての性状が取扱い易い形態となる。即ち、適度な粘度のスラリー状とすることができる。
また、アルミナゾルには、水及び酸化アルミニウム以外にも他の成分が含有されてもよい。他の成分としては、分散剤及び安定化剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記「ジルコニアゾル」は、酸化ジルコニウム及び/又は加熱により酸化ジルコニウムとなるジルコニウム化合物を固形分の主成分とするゾルである。加熱により酸化ジルコニウムとなるジルコニウム化合物としては、ジルコニウムオキサイド化合物、塩化ジルコニウム化合物、ジルコニウム硝酸化合物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このジルコニアゾルに含有される固形分の量は特に限定されないが、ジルコニアゾル全体を100質量%とした場合に、通常、5〜50質量%であるが、10〜40質量%(より好ましくは20〜40質量%、更に好ましくは25〜35質量%)のジルコニアゾルを用いることが好ましい。この範囲のジルコニアゾルであれば得られる溶湯付着防止コート剤としての性状が取扱い易い形態となる。即ち、適度な粘度のスラリー状とすることができる。
また、ジルコニアゾルには、水及び酸化ジルコニウム以外にも他の成分が含有されてもよい。他の成分としては、分散剤及び安定化剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の溶湯付着防止コート剤は、コート剤全体を100質量%とした場合に、上記ジルコン粉末と上記固形分とを合計で30質量%以上含有することが好ましく、30〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%が更に好ましく、31〜67質量%がより更に好ましく、31〜50質量%が特に好ましい。この範囲のジルコニアゾルであれば得られる溶湯付着防止コート剤としての性状が取扱い易い形態となる。即ち、適度な粘度のスラリー状とすることができる。
また、本発明の溶湯付着防止用コート剤では、アルミナゾルとジルコニアゾルとは併用することができる。併用する場合には、アルミナゾルとジルコニアゾルとは、これらの合計を100質量%とした場合に、各々1〜99質量%の範囲で併用できる。但し、後述するように適切な熱処理温度を考慮すれば、いずれか一方を少量(例えば、1〜30質量%)とするか、単用が好ましい。
即ち、例えば、アルミナゾルを主成分とする溶湯付着防止コート剤としては、ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にAlがAl換算で70質量%以上(100質量%であってもよい)含有される溶湯付着防止コート剤が挙げられる。一方、ジルコニアゾルを主成分とする溶湯付着防止コート剤としては、ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にZrがZrO換算で70質量%以上(100質量%であってもよい)含有される溶湯付着防止コート剤が挙げられる。
更に、本発明の溶湯付着防止用コート剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、ジルコン粉末、アルミナゾル及びジルコニアゾル以外にも、他の成分を含有できる。他の成分としは、増粘剤、分散剤、消泡剤、滑剤成分及び酸化防止剤成分等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの含有量は特に限定されないが、溶湯付着防止コート剤全体に対して20質量%以下(更には10質量%以下)とすることができる。
本発明の溶湯付着防止コート剤は、どのような種類の溶湯に対して用いてもよいが、特に軽金属溶湯に対して優れた耐溶湯性能を発揮できる。即ち、例えば、アルミニウム、マグネシウム、チタン、アルミニウム合金、マグネシウム合金又はチタン合金から選ばれる1種の軽金属の溶湯である。これらのなかでも、特に溶湯における動粘性係数が小さい溶湯に対して好適である。即ち、例えば、動粘性係数が1.3×10−6/s以下(より好ましくは0.4×10−6/s〜1.3×10−6/s)である溶湯に対して用いることが好ましい。このような溶湯としては、アルミニウム、アルミニウム合金(アルミニウム含量50質量%以上)が挙げられる。
また、本発明の溶湯付着防止コート剤を適用する基材の種類は特に限定されず、セラミックス及び金属が挙げられる。これらのうちでは、本発明の溶湯付着防止コート剤の効果はセラミックスにおいてより得やすい。特に、表面に微細な気孔を有するセラミックスを基材とする場合であって、更には、用いる溶湯の動粘性係数が上記のように小さい溶湯に対して用いることが特に好ましい。
本発明の溶湯付着防止コート剤の製造方法は特に限定されないが、例えば、ジルコン粉末を分散媒体に分散させたジルコン分散体とし、このジルコン分散体とゾルとを混合することで得ることができる。また、この際に用いるジルコン分散体のジルコン粉末濃度は特に限定されないが、ジルコン分散体全体を100質量%とした場合(分散媒体が水である場合)に20〜50質量%(より好ましくは25〜45質量%、更に好ましくは30〜40質量%)であることが好ましい。この範囲のジルコン分散体であれば得られる溶湯付着防止コート剤としての性状が取扱い易い形態となる。即ち、適度な粘度のスラリー状とすることができる。
本発明の溶湯付着防止コート剤を用いた場合に、後述するような優れた溶湯付着防止コート層が得られる理由は定かではない。しかし、ゾルを用いることで、ゾルに由来するアルミナ及び/又はジルコンが分子網目状の架橋構造を形成することが考えられる。一方、ジルコン粉末は、この架橋構造の内に取り込まれて基材表面に固定化されることで、耐剥離性に優れ、手で触れてもジルコン粉末が落ち難い構造が得られるものと考えることができる。また、上記の架橋構造により緻密な構造が得られ、この架橋構造間に溶湯が侵入されないことで付着防止がなされるものと考えることができる。
尚、本発明の溶湯付着防止コート剤に含まれるジルコン粉末は、その一部が他の耐食性セラミック粉末により置換されていてもよい。耐食性セラミック粉末としては、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、チタニア粉末、マグネシア粉末、スピネル粉末、カルシア粉末、並びに、Al、Zr、Ti、Mg及びCaのうちの2種以上の金属元素を含有する複酸化物(スピネルを除く)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの他の耐食性セラミック粉末による置換量は、ジルコン粉末全体を100質量%とした場合に50質量%以下(更には40質量%以下、より更に30質量%以下、特に20質量%以下、より特に10質量%以下、とりわけ5質量%以下)である。
[2]溶湯付着防止コート層の製造方法
本発明の溶湯付着防止コート層の製造方法は、基材の少なくとも一部の表面に本発明の溶湯付着防止コート剤を塗着させる塗着工程と、
塗着された該溶湯付着防止コート剤を乾燥させて溶湯付着防止コート層を得る乾燥工程と、を備えることを特徴とする。
上記「塗着工程」は、基材の少なくとも一部の表面に本発明の溶湯付着防止コート剤を塗着させる工程である。
上記「基材」の材質は特に限定されず、セラミックス及び金属が挙げられる。セラミックスとしては、Si、Ca、Mg、Zr、Ti及びAlのうちの少なくとも1種の金属元素を含む1種又は2種以上の酸化物を主成分とするものとすることができる。即ち、溶融シリカ、コージェライト、カルシア、マグネシア、ジルコニア、チタニア、並びに、上記粘土及びこれらの粘土を原料とするシャモットを焼成して得られたセラミック等が挙げられる。これらは単独で含有されてもよく、2種以上が含有されてもよい。
更に、セラミックスの熱伝導率は特に限定されないが、より小さいものであることが好ましい。即ち、例えば、3kcal/m・h・c以下(約3.49W/m・k)であることが好ましく、更には、1.5kcal/m・h・c以下(約1.74W/m・k)であることがより好ましい。この範囲であれば、溶湯に対して十分な断熱性を得ることができる。
一方、基材を構成する金属としてFe、Ni、Cr、V、Mn、Cu及びMoのうちの少なくとも1種の金属元素を含む1種又は2種以上が挙げられる。更に、Si及びC等を含有できる。このような金属としては、鋳鉄、ステンレス、各種耐熱金属が挙げられる。
尚、基材を構成する材料は、少なくとも一部が上記セラミック又は上記金属であるものを含む。即ち、基材全体がセラミックのみであってもよく、金属のみであってもよく、セラミックスの部分と金属の部分とが混在する基材であってもよい。
上記「塗着」は、基材の少なくとも一部の表面に溶湯付着防止コート剤を塗着させるものである。従って、基材の全体に対して塗着を行ってもよく、一部のみに行ってもよい。また、その方法も特に限定されず、例えば、ディップコーティング塗着、へら及び刷毛などを用いた塗りつけ塗着、スプレー塗着、印刷塗着などが挙げられる。これらの方法は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、塗着する際の塗着量は特に限定されず、一回の塗着で厚塗りを行ってもよいが、一回の塗着により塗着層(乾燥前)は0.05〜0.2mmとすることが好ましい。この場合は必要であれば複数回の塗着を行うことで十分な厚みを得ることができる。
上記「乾燥工程」は、塗着された本発明の溶湯付着防止コート剤を乾燥させて溶湯付着防止コート層を得る工程である。この乾燥工程における乾燥方法は、特に限定されず、例えば、減圧常温乾燥、常圧加熱乾燥、減圧加熱乾燥、常圧乾燥等の方法が挙げられる。これらはどの方法を用いてもよいが、これらのなかでは、常圧加熱乾燥、減圧常温乾燥及び減圧加熱乾燥が好ましい。減圧を行う場合の減圧方法は特に限定されない。また、減圧の程度も特に限定されず、例えば、50kPa以下(更には10Pa以下、特に5Pa以下、とりわけ1.5kPa以下、通常0.5kPa以上)とすることができる。減圧を行うことにより十分に脱泡を行うことができ、更に緻密なコート層を得ることができる。
更に、加熱を行う際の加熱温度は特に限定されないが、溶湯付着防止コート剤を構成する分散媒の沸点を超える温度で加熱することが好ましい。即ち、水を分散媒として用いた場合には100〜200℃が好ましく、120〜180℃がより好ましく、140〜160℃が特に好ましい。
また、この乾燥工程では、分散媒体を完全に除去してもよく、輸送等に支障をきたさない程度に分散媒体の一部のみを除去する乾燥であってもよい。通常、触って手にスラリー状物が付着しない程度に乾燥させることが好ましい。
この乾燥工程に後に得られる乾燥塗膜の厚さは特に限定されないが、通常、0.05〜1.0mm(好ましくは0.05〜0.5mm、より好ましくは0.05〜0.25mm)である。この範囲であれば、緻密で強度の高い溶湯付着防止コート層とすることができ、また、剥がれも効果的に防止できる。
本発明の溶湯付着防止コート層は、使用する溶湯によってはそのまま使用することで溶湯の熱によって結果的に焼結されるために、焼成する工程を要しないが、焼成を行うことができる。即ち、本発明の溶湯付着防止コート層の製造方法では、上記塗着工程及び上記乾燥工程以外に、更に、上記乾燥工程において得られた溶湯付着防止コート層を焼成する焼成工程を備えることができる。
上記「焼成工程」における焼成温度は、溶湯付着防止コート剤に含まれるゾルの種類及び配合、並びに、焼成時間などにより適宜のものとすることが好ましい。例えば、前述のように、用いる溶湯付着防止コート剤が、ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にAlがAl換算で70質量%以上含有されるものである場合、即ち、アルミナゾルを主成分とする溶湯付着防止コート剤である場合には、焼成工程における焼成温度は500〜1000℃(より好ましくは550〜900℃、更に好ましくは600〜800℃、特に好ましくは620〜750℃)とすることが好ましい。
一方、用いる溶湯付着防止コート剤が、ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にZrがZrO換算で70質量%以上含有されるものである場合、即ち、ジルコニアゾルを主成分とする溶湯付着防止コート剤である場合には、焼成工程における焼成温度は850〜1300℃(より好ましくは950〜1280℃、更に好ましくは1050〜1280℃、特に好ましくは1150〜1280℃)とすることが好ましい。
また、上記アルミナゾルを主成分とする溶湯付着防止コート剤を用いた場合の好ましい焼成温度は、軽金属溶湯の溶湯温度に非常に近い温度である。このため、上記乾燥工程のみを行い、その後、実際に溶湯に触れることによって結果的に焼成されて本発明の溶湯付着防止コート層を得ることができる。具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金(例えば、ADC−12、ADC−6及びADC−3等のアルミニウム合金溶湯)などにおいて好適であり、とりわけアルミニウムにおいて好適である。アルミニウム溶湯の溶湯温度は、通常、650〜730℃程度であるために、特に強固な溶湯付着防止コート層が得られる焼成温度範囲と一致しているからである。
[3]溶湯付着防止コート層
本発明の溶湯付着防止コート層は、本発明の製造方法によって得られたものである。
本発明の溶湯付着防止コート層は、通常、前記本発明の溶湯付着防止コート剤に含有されるジルコン粉末及びゾルの固形分をそのまま含むコート層が形成される。これらのジルコン粉末とゾルの固形分(アルミナゾル及びジルコニアゾルのうちの少なくとも一方)との合計を100質量%とした場合にジルコン粉末が70〜98質量%含有される。70質量%未満であると溶湯付着防止能を十分に発揮させることができない場合がある。一方、98質量%を超え得て含有されるとゾルを含有することによる効果が十分に得られ難い。この含有量は71〜97質量%が好ましく、72〜97質量%がより好ましく、72〜96質量%が特に好ましい。また、特に後述するようにアルミナゾルをゾルの主成分として用いる場合には、更に、85〜90質量%がとりわけ好ましい。一方、ジルコニアゾルをゾルの主成分として用いる場合には、更に、75〜85質量%が特に好ましい。
本発明の溶湯付着防止コート層は、前記本発明の溶湯付着防止コート剤において述べたように、どのような溶湯に対して用いてもよいが、特に軽金属溶湯に対して優れた耐溶湯性能を発揮でき、なかでもアルミニウム溶湯に対して特に好適である。
また、本発明の溶湯付着防止コート層を形成する基材の種類は特に限定されず、前記溶湯付着防止コート剤で述べたセラミックス及び金属をそのまま適用できる。これらのなかでも、特にセラミックスにおいて効果が高い。尚、本発明の溶湯付着防止コート層は基材の少なくとも一部の表面を被覆すればよく、全部を被覆して形成されたコート層であってもよく、一部のみを被覆して形成されたコート層であってもよい。
[4]溶湯取扱用具
本発明の溶湯取扱用具は、本発明の溶湯付着防止コート層を備える。この溶湯付着防止コート層については前述の通りである。
一方、溶湯取扱用具は、その形状及び用途は特に限定されず、種々のものを用いることができる。例えば、溶湯運搬用ラドル(特にアルミダイキャスト製品の製造に用いる溶湯運搬用ラドルが好ましい)が挙げられる。ラドルにおいては、ラドルの内部及び外部にコート層を設けることができる。
更に、溶湯を保持する保持炉(例えば、屋内で固定して使用される固定用保持炉、溶湯の搬送時に用いられる移動用保持炉など)の各部(例えば、内壁部、炉口部など)の耐火材等が挙げられる。耐火材としては、種々のブロック形状とすることができる。即ち、直方体ブロック、湾曲面を有するブロックなどである。また、小型の保持炉(一体成型等された保持炉)では椀形状、樽形状及び升形状等とすることができる。これらの耐火材においては、溶湯と接することとなる一面に溶湯付着防止コート層を設けることができる。また、全面に設けてもよい。
また、各種溶湯の注ぎ口の部分に用いられるスリーブ類が挙げられる。この場合は漏斗形状とすることができる。スリーブ類においても、その内部及び外部にコート層を設けることができる。
更に、溶湯を経路に沿って流すため等に用いられる樋類が挙げられる。この場合は、断面が円形の管形状、断面が四角形の管形状、半割管形状などとすることができる。樋類においては、溶湯と接触する面にのみ溶湯付着防止コート層を設けてもよく、その他の全面に設けてもよい。
本発明の溶湯取扱用具のうち、上記溶湯運搬用ラドルは、溶湯を運搬するための用具であり、保持炉中の溶湯を鋳型内へ注入するために溶湯を移動させる用具である。この溶湯運搬用ラドルの形状及び大きさは特に限定されず、従来公知のものを用いることができるが、特に溶湯導入口と溶湯注湯口とを備え、且つ、溶湯導入口及び溶湯注湯口以外の開口部を有さないラドルであることが好ましい。また、溶湯導入口と溶湯注湯口と不活性ガス供給口(天井部に設ける貫通孔)とを備え、且つ、溶湯導入口、溶湯注湯口及び不活性ガス供給口以外の開口部を有さないラドルが好ましい。
このうち、溶湯導入口と溶湯注湯口とを備え、且つ、溶湯導入口及び溶湯注湯口以外の開口部を有さないラドルとして、図1に示すラドルが挙げられる。このラドル1は、溶湯導入口11と溶湯注湯口21とを備え、且つ、溶湯導入口11及び溶湯注湯口21以外の開口部を有さない。また、溶湯を保持する本体部30を備え、本体部は略椀形状を呈する。更に、一端が上記溶湯導入口11である溶湯導入部10は他端で本体部30に連接されている。溶湯導入口11は下方に向かって開放されている。更に、一端が溶湯注湯口21である溶湯注湯部20は他端で本体部30に連接されている。溶湯注湯口21は側方に向かって開放されている。また、湾曲形状に形成された天井部40を有する。
[5]溶湯取扱用具の使用方法
本発明の溶湯取扱用具の使用方法のうちの一方は、ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にAlがAl換算で70質量%以上含有された本発明の溶湯付着防止コート剤が乾燥されてなる溶湯付着防止コート層を備え、この溶湯付着防止コート層を、温度500〜1000℃の溶湯と接触させて用いることを特徴とする。
この溶湯温度は、550〜900℃が好ましく、600〜800℃がより好ましく、620〜750℃が特に好ましい。具体的には前述のようにアルミニウム及びアルミニウム合金が挙げられる。
本発明の溶湯取扱用具の使用方法のうちの一方は、ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にZrがZrO換算で70質量%以上含有された本発明の溶湯付着防止コート剤が乾燥されてなる溶湯付着防止コート層を備え、この溶湯付着防止コート層を、温度850〜1300℃の溶湯と接触させて用いることを特徴とする。
この溶湯温度は、950〜1280℃が好ましく、1050〜1280℃がより好ましく、1150〜1280℃が特に好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]実施例1及び実施例2
実施例1に用いる溶湯付着防止コート剤は、水{Mw1(kg)}に増粘剤を添加して混合した後、ゾル{Ms(kg)}を加えて更に混合し、次いで、ジルコン粉末{Md1(kg)}を加えて更に混合することで調製した。また、この調合に際しては、水{Mw1(kg)}とゾル中に含有される水分{Mw2(kg)}との合計質量をX{Mw1+Mw2(kg)}とし、ジルコン粉末とゾル中に含有される固形分{Md2(kg)}との合計質量をY{Md1+Md2(kg)}とした場合に、X:Y=1.78:1となるように調整した。
上記で用いたうちジルコン粉末は、平均粒径1.0μm、純度98%のものを用いた。
また、アルミナゾルは、日産化学工業株式会社製、品名「アルミナゾル−520」(固形分濃度20質量%)を用いた。
更に、ジルコニアゾルとしては、第一稀元素化学工業株式会社製、品名「ジルコゾールZA−30」(固形分濃度30質量%)を用いた。
これらの各成分を表1及び表2の割合となるように混合して、実施例1−1〜1−4、実施例2−1〜2−3を得た。尚、「ゾル配合量」は、溶湯付着防止コート剤全体を100質量%とした場合の各ゾルの配合割合を表す。また、各ゾルの「固形分」と「ジルコン粉末」とは合計を100質量%とした場合の各々の質量割合を表す。
Figure 2007253194
Figure 2007253194
コージェライト及びシリカ{55:45(質量%)}からなり、縦15cm、横5cm、厚さ1.5cmのブロック形状の試験片に実施例1−1〜1−4及び実施例2−1〜2−3の各溶湯付着防止コート剤を塗着し、150℃で加熱乾燥した。得られた溶湯付着防止コート層は、各々0.1mmであった。その後、表1及び表2に示す各温度で焼成を行って評価試験に供した。
評価方法を以下に説明する。
試験片に、温度20℃においてスポイドから水滴を1滴滴下し、水滴の吸い込み時間を各々2回づつ測定した。その結果を表1及び表2に示した。また、この結果を「×」、「△」、「○」及び「◎」で評価し、表1及び表2に示した。
「◎」・・・吸込時間が20秒以上であったもの。
「○」・・・吸込時間が3秒以上20秒未満であったもの。
「△」・・・吸込時間が1秒以上3秒未満であったもの。
「×」・・・ほとんど滞留されずに1秒未満で吸い込まれたもの。
尚、水(20℃)の動粘性係数は1.0×10−6/sであり、アルミニウム溶湯の動粘性係数は0.6×10−6/sである。
更に、焼成して得られた溶湯付着防止コート層の表面を手で触り、手に白粉状のものが付着されるか否かを判定した。この結果は「○」及び「×」で評価し、表1及び表2に示した。
「○」・・・まったく付着が認められない。
「×」・・・付着が認められる。
その結果、実施例1−1〜1−4では、表1に示すように、アルミナゾル配合量15〜35質量%の範囲で、焼成温度に関係なく600〜1250℃の範囲においていずれも優れた強度が得られた。
また、焼成温度600〜800℃の範囲においては平均吸込時間が17.5秒以上であり、十分な緻密性が得られた。即ち、強度と緻密性とが両立して得られた。
更に、アルミナゾル配合量が15〜25質量%の範囲であり且つ焼成温度が600〜800℃の範囲では、平均吸込時間が22.5秒以上であり、高い緻密性が得られた。即ち、強度と高い緻密性とが両立して得られた。
また、焼成温度が700℃においては、アルミナゾル配合量が15〜35質量%の全範囲において、平均吸込時間が48.5秒以上であり、優れた緻密性が得られた。即ち、強度と優れた緻密性とが両立して得られた。
更に、アルミナゾル配合量が15〜25質量%の範囲であり且つ焼成温度が700℃においては、平均吸込時間が61.0秒以上であり、とりわけ優れた緻密性が得られた。即ち、強度ととりわけ優れた緻密性とが両立して得られた。
一方、その結果、実施例2−1〜2−3では、表2に示すように、ジルコニアゾル配合量15〜35質量%の全範囲で、焼成温度に関係なく800〜1250℃の範囲においていずれも十分な緻密性が得られた。更に、焼成温度800〜1100℃の範囲においては平均吸込時間が7.0秒以上であり、高い緻密性が得られた。
更に、焼成温度1000〜1250℃の範囲においては平均吸込時間が5.0秒以上であり、且つ、優れた強度が得られた。即ち、強度と緻密性とが両立して得られた。
[2]実施例3
実際の使用により近い状態での試験を行った。実施例3に用いる溶湯付着防止コート剤はアルミナゾルを全体に対して25%含有するものである。このコート剤は、20kg/バッチで調製した。即ち、水9.3kgに増粘剤を添加して混合した後、上記と同じアルミナゾル4.4kgを加えて更に混合し、次いで、上記と同じジルコン粉末6.3kgを加えて更に混合することで調製した。また、この調合に際しては、水とゾル中に含有される水分との合計質量をX(kg)とし、ジルコン粉末とゾル中に含有される固形分との合計質量をY(kg)とした場合に、X:Y=1.78:1となるように調整した。
また、溶湯付着防止コート剤は、9.3kgの添加水と、ゾルに起因する3.52kgの水との合計12.82kgの水を含有する。更に、ジルコン粉末6.3kgとアルミナゾルの固形分0.88kgとの合計7.18kgの固形分を含有する。即ち、実施例3の溶湯付着防止コート剤全体を100質量%とした場合に、ジルコン粉末とゾル固形分とを合計で36質量%含有する。また、ジルコン粉末とゾル固形分との合計を100質量%とした場合にジルコン粉末は87.7質量%含有される。
上記で得られた実施例3の溶湯付着防止コート剤(実験例1−3)を用い、上記と同じセラミックスからなるブロック状の試験片に実施例3の溶湯付着防止コート剤を塗着し、150℃で加熱乾燥した。その後、675℃〜685℃に保持したアルミニウム合金(ADC−12)からなる溶湯中へ試験片の出し入れを96時間にわたって4900回繰り返し行った。
その結果、上記試験終了後にもアルミニウムの付着は認められなかった。従って、焼成工程を備えなくとも、優れた溶湯付着防止コート層が得られることが分かる。また、試験終了後の溶湯付着防止コート層を触手で確認したところ、コート層が手に付着することなく、コート層の強度も高いまま保持されていることが確認された。
尚、本発明においては、上記の具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。また、本発明でいうジルコン粉末及びジルコニアゾル等のZrを含有する成分では、Zrの一部がHfに置き換えられていてもよい。
本発明は、金属関連分野において広く用いることができる。特に、ダイキャスト鋳造分野において好適である。
本発明の溶湯取扱用具の一例を説明する模式的な断面図である。
符号の説明
1;ラドル、10;溶湯導入部、11;溶湯導入口、20;溶湯注湯部、21;溶湯注湯口、30;本体部、40;天井部。

Claims (13)

  1. ジルコン粉末と、アルミナゾル及びジルコニアゾルのうちの少なくとも一方のゾルと、を含有し、
    該ジルコン粉末と該ゾルに含まれる固形分との合計を100質量%とした場合に、該ジルコン粉末が70〜98質量%であることを特徴とする溶湯付着防止コート剤。
  2. 本溶湯付着防止コート剤全体を100質量%とした場合に、上記ジルコン粉末と上記固形分とを合計で30質量%以上含有する請求項1記載の溶湯付着防止コート剤。
  3. 基材の少なくとも一部の表面に上記請求項1又は2に記載の溶湯付着防止コート剤を塗着させる塗着工程と、
    塗着された該溶湯付着防止コート剤を乾燥させて溶湯付着防止コート層を得る乾燥工程と、を備えることを特徴とする溶湯付着防止コート層の製造方法。
  4. 更に、上記乾燥工程において得られた溶湯付着防止コート層を焼成する焼成工程を備える請求項3に記載の溶湯付着防止コート層の製造方法。
  5. 上記溶湯付着防止コート剤には上記ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にAlがAl換算で70質量%以上含有され、且つ上記焼成工程における焼成温度が500〜1000℃である請求項4に記載の溶湯付着防止コート層の製造方法。
  6. 上記溶湯付着防止コート剤には上記ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にZrがZrO換算で70質量%以上含有され、且つ上記焼成工程における焼成温度が850〜1300℃である請求項4に記載の溶湯付着防止コート層の製造方法。
  7. 請求項3乃至6のうちのいずれかに記載の製造方法により得られた溶湯付着防止コート層。
  8. アルミニウム、マグネシウム、チタン、アルミニウム合金、マグネシウム合金又はチタン合金から選ばれる1種の軽金属の溶湯の付着防止に用いられる請求項7に記載の溶湯付着防止コート層。
  9. 上記基材は、セラミックス又は金属である請求項8に記載の溶湯付着防止コート層。
  10. 請求項7乃至9のうちのいずれかに記載の溶湯付着防止コート層を備えることを特徴とする溶湯取扱用具。
  11. 上記ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にAlがAl換算で70質量%以上含有された請求項1乃至3のいずれかに記載の溶湯付着防止コート剤が乾燥されてなる溶湯付着防止コート層を備え、
    該溶湯付着防止コート層を、温度500〜1000℃の溶湯と接触させて用いることを特徴とする溶湯取扱用具の使用方法。
  12. 上記ゾルに含まれる固形分を100質量%とした場合にZrがZrO換算で70質量%以上含有された請求項1乃至3のいずれかに記載の溶湯付着防止コート剤が乾燥されてなる溶湯付着防止コート層を備え、
    該溶湯付着防止コート層を、温度850〜1300℃の溶湯と接触させて用いることを特徴とする溶湯取扱用具の使用方法。
  13. 上記溶湯取扱用具は溶湯運搬用ラドルである請求項10に記載の溶湯取扱用具並びに請求項11又は12に記載の溶湯取扱用具の使用方法。
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