JP2007251239A - 圧電デバイスおよび圧電デバイスの製造方法 - Google Patents

圧電デバイスおよび圧電デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蓋体による封止後に周波数調整して周波数を高くしたり低くしたりして精密に合わせ込むことができるとともに、その後の加熱工程を経ることによっても振動特性が悪化しないようにした圧電デバイスと、圧電デバイスの製造方法を提供すること。
【解決手段】パッケージ36内に圧電振動片32を収容して、光透過性の蓋体39により該パッケージを気密に封止した圧電デバイスであって、前記圧電振動片が、圧電材料で形成した基部と、該基部から延びる少なくとも一対の振動腕34,35を有し、該振動腕の先端側であって、前記蓋体を透過させて外部からレーザー光LB1を照射し得る位置に形成された金属膜と、前記蓋体の内側であって、周波数調整のために外部から照射される前記レーザー光LB1の光路上とならない箇所で、しかも、該パッケージの外部からレーザー光LB2を照射し得る箇所に形成したゲッター材71とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、パッケージに圧電振動片を収容した圧電デバイスならびにその製造方法の改良に関する。
HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、あるいはICカード等の小型の情報機器や、携帯電話、自動車電話、またはページングシステム等の移動体通信機器やジャイロセンサなどの計測機器において、パッケージなどの内部に圧電振動片を収容した圧電振動子や圧電発振器等の圧電デバイスが広く使用されている。
すなわち、ケースすなわちパッケージ内に圧電振動片を収容し、ガラスキャップなどで該ケースを封止する構成は広く知られている(特許文献1第3図参照)。
このような圧電デバイスにあっては、圧電振動片の一方の面、すなわち音叉型圧電振動片の一方の面に金属で重りを形成しておく。そして、該圧電振動片をパッケージに接合して、ガラスキャップでパッケージ内が真空となるように気密に封止した後で、外部からガラスキャップを透過させてレーザー光を照射し、音叉型振動片の前記重りに当てて、その一部を蒸散させることにより質量削減方式による周波数調整を行う手法が知られている。
特許第2756559号公報
ところが、このような手法により周波数調整を行うと、レーザー光により蒸散された金属(通常「Au」)の飛沫が、水分を内包してパッケージ内に付着する。すなわち、内部に水を閉じこめた状態で、金属の飛沫がパッケージ内面に付着した状態となる。
このような圧電デバイスを、ユーザが購入し、基板への実装などの際に、リフロー工程などの温度加熱を伴う工程を実行すると、パッケージ内面に付着している前記金属飛沫に閉じこめられた水分が水蒸気となって、パッケージ内部に出ていくことにより気密封止した真空状態が悪くなると、周波数にズレが生じ、振動特性が悪化するという問題があった。
また、上記質量削減方式の周波数調整では、周波数を高くする方へ合わせ込むことしかできず、周波数を低くする必要がある場合に対応できなかった。
この発明は、蓋体による封止後に周波数調整して周波数を高くしたり低くしたりして精密に合わせ込むことができるとともに、その後の加熱工程を経ることによっても振動特性が悪化しないようにした圧電デバイスと、圧電デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的は、第1の発明によれば、パッケージ内に圧電振動片を収容して、光透過性の蓋体により該パッケージを気密に封止した圧電デバイスであって、前記圧電振動片が、圧電材料で形成した基部と、該基部から延びる少なくとも一対の振動腕を有し、該振動腕の先端側であって、前記蓋体を透過させて外部からレーザー光を照射し得る位置に形成された金属膜と、前記蓋体の内側であって、周波数調整のために外部から照射される前記レーザー光の光路上とならない箇所で、しかも、該パッケージの外部からレーザー光を照射し得る箇所に形成したゲッター材とを備える圧電デバイスにより、達成される。
第1の発明の構成によれば、圧電振動片の振動腕の金属膜にレーザー光を照射することによって、該金属膜の一部を蒸散させ、質量削減方式による周波数調整を行うことができる。
また、ゲッター材は蓋体の内側であって、前記質量削減方式による周波数調整のためのレーザー光の光路上とならない箇所に設けられることで、パッケージ封止後の周波数調整の際におけるレーザー光の照射を妨げることがなく、振動腕の質量を適切に削減して周波数を高い方へ調整することができる。
そして、この周波数調整において、飛散した金属飛沫が水分を含んで、パッケージの内面に付着する。
ここで、再度レーザー光を用いて、該レーザー光を前記ゲッター材に照射する。これにより、ゲッター材が活性化し、ゲッタリングが行われて、パッケージ内の水分がゲッター材に吸着され、真空度が向上する。
しかも、このゲッター材は蓋体の内側に形成されているから、レーザー光の照射により飛散したゲッター材は、蓋体の内側と対向して延びている圧電振動片の振動腕に付着する。これにより、振動腕の質量はその分増加するので、質量増加方式による周波数調整を行うことができ、周波数の低い方への調整が可能となる。
かくして、蓋体による封止後に周波数調整して周波数を高くしたり低くしたりして精密に合わせ込むことができるとともに、その後の加熱工程を経ることによっても振動特性が悪化しないようにした圧電デバイスを提供することができる。
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記振動腕の先端部に前記金属膜を形成し、前記蓋体の内面の前記金属膜と重なる位置をよけて、より前記基部よりの位置に対応する箇所に前記ゲッター材を設けることを特徴とする。
第2の発明の構成によれば、振動腕の先端部に周波数調整用の金属膜を形成するようにしたので、周波数の高い方へ行う調整において、より精密な周波数調整を行うことができる。
第3の発明は、第1の発明の構成において、前記振動腕の先端部に対応する前記蓋体の内面に前記ゲッター材を配置し、前記振動腕の前記先端部よりも前記基部よりの位置に前記金属膜を設けることを特徴とする。
第3の発明の構成によれば、振動腕の先端部に対応する前記蓋体の内面に前記ゲッター材を配置したので、周波数の低い方へ行う調整において、より精密な周波数調整を行うことができる。
また、上記目的は、第4の発明にあっては、パッケージ内に圧電振動片を接合して、光透過性の蓋体により気密に封止するようにした圧電デバイスの製造方法であって、前記パッケージ、前記圧電振動片、前記蓋体を個々に形成する前工程と、前記パッケージ内部に前記圧電振動片を接合するマウント工程と、前記パッケージを前記蓋体で気密に封止する封止工程と、前記蓋体の外部からレーザー光を照射して、前記圧電振動片の振動腕の先端側に形成した金属膜を蒸散させる第1の周波数調整工程とを含んでおり、かつ、前記第1の周波数調整工程より後段で、前記蓋体の外部からレーザー光を透過させ、前記蓋体の内側であって、周波数調整のために外部から照射される前記レーザー光の光路上とならない箇所で、しかも、該パッケージの外部からレーザー光を照射し得る箇所に形成したゲッター材に該レーザー光を照射して、該ゲッター材の一部を飛散させる第2の周波数調整工程を備える圧電デバイスの製造方法により、達成される。
第4の発明の構成によれば、前記第2の周波数調整工程の際に、ゲッター材にレーザーを照射することから、該第2の周波数調整工程とゲッター材の活性化によるゲッタリングが同時に行えるので、パッケージ内の水分を吸着することができる。このため、その後、リフロー工程などで加熱されても、該飛散してパッケージ内面に付着した金属からガスが生成することを防止でき、ガスを原因とした振動特性の悪化を防止できる。
また、従来の工程における微調である周波数工程において、周波数を高くする方へ調整する第1の周波数調整工程だけでなく、周波数を低くする方へ調整する第2の周波数調整工程も行うようにしたので、より精密な周波数の合わせ込みを実現できる。
かくして、蓋体による封止後に周波数調整して周波数を高くしたり低くしたりして精密に合わせ込むことができるとともに、その後の加熱工程を経ることによっても振動特性が悪化しないようにした圧電デバイスの製造方法を提供することができる。
第5の発明は、第4の発明の構成において、前記第1の周波数調整工程の後で、前記第2の周波数調整工程を連続して行うことを特徴とする。
第5の発明の構成によれば、第1と第2の周波数工程を連続して行うことで、同一のレーザー光照射手段を用いることができ、従来の設備を変更することなく、実質的に工程増加をしないで精密な周波数調整とゲッタリングを実現できる。
図1及び図2は、本発明の圧電デバイスの実施の形態を示しており、図1はその概略平面図、図2は図1のB−B線概略断面図である。
図において、圧電デバイス30は、水晶振動子を構成した例を示しており、この圧電デバイス30は、収容容器としてのパッケージ36内に圧電振動片32を収容している。パッケージ36は、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成形して形成される複数の基板61,64,68を順次積層した後、焼結して形成されている。第2および第3の各基板64,68は、その内側に所定の孔を形成することで、積層した場合に内側に所定の内部空間S2を形成するようにされている。この内部空間S2が圧電振動片32を収容するための収容空間である。
このパッケージ36の内部に圧電振動片32をマウントし、蓋体39で気密に封止するようにされている。ここで、蓋体39は、蓋封止後に、後述する第1および第2の周波数調整を可能にするために、例えばガラスなどの光を透過する材料で形成されることが好ましい。特に、硼珪酸ガラスなどの板体が好適に利用できる。
蓋体39の内側、すなわち内面には、ゲッター材71が設けられている。ゲッター材71は、熱を加えると活性化する所謂活性金属であり、特に、その表面にHOを吸着する金属が好ましい。具体的には、ゲッター材71として用いられる金属は、チタン(Ti)、やジルコニウム(Zr)、あるいはこれらの金属の各合金が適している。特に、チタンは単体だと融点が高すぎる場合があり、他方合金の方が水分の吸着性がよいだけでなく、融点も適当な温度となり扱い易い。ゲッター材71を蓋体39の内面に形成するためには、例えば、該蓋体39の製造工程において、蓋体となる板体の一面に、蒸着やスパッタリングによりチタン(Ti)、やジルコニウム(Zr)、あるいはこれらの金属の各合金を成膜すればよい。
そして、このゲッター材71は、蓋体39の内側であって、周波数調整のために外部から照射されるレーザー光LB1の光路上とならない箇所で、しかも、パッケージ36の外部からレーザー光を照射し得る箇所に形成する。この点については、後でさらに詳しく説明する。
パッケージ36の内部空間S2内の図において左端部付近において、内部空間S2に露出して内側底部を構成する積層基板には、例えば、タングステンメタライズ上にニッケルメッキ及び金メッキで形成した電極部31,31が設けられている。この電極部31,31は、外部と接続されて、駆動電圧を供給するものである。この各電極部31,31の上に導電性接着剤43,43が塗布され、この導電性接着剤43,43の上に圧電振動片32の基部51が載置されて、導電性接着剤43,43が硬化されるようになっている。尚、導電性接着剤43,43としては、接合力を発揮する接着剤成分としての合成樹脂剤に、銀製の細粒等の導電性の粒子を含有させたものが使用でき、シリコーン系、エポキシ系またはポリイミド系導電性接着剤等を利用することができる。
圧電振動片32は、圧電材料として、例えば水晶をエッチングして形成されており、本実施形態の場合、圧電振動片32は、小型に形成して、必要な性能を得るために、特に図3の概略斜視図および図4で示す図3のC−C線切断端面図で示す構造とされている。
すなわち、圧電振動片32は、パッケージ36側と固定される基部51と、この基部51を基端として、図3において斜め左方に向けて、二股に別れて平行に延びる一対の振動腕34,35を備えており、全体が音叉のような形状とされた、所謂、音叉型圧電振動片が利用されている。
圧電振動片32の各振動腕34,35には、図3および図4を参照して理解されるように、それぞれ長さ方向に延びる長い有底の長溝56,57が形成されている。この各長溝56,57は、図3のC−C線切断端面図である図4に示されているように、各振動腕34,35の表裏両面に形成されている。
さらに、図3において、圧電振動片32の基部51の端部(図3では下端部)の幅方向両端付近には、引き出し電極52,53が形成されている。各引き出し電極52,53は、圧電振動片32の基部51の図示しない裏面にも同様に形成されている。
これらの各引き出し電極52,53は、上述したように図1に示されているパッケージ側の電極部31,31と導電性接着剤43,43により接続される部分である。そして、各引き出し電極52,53は、図3および図4に示されているように、各振動腕34,35の長溝56,57内に設けた励振電極54,55とそれぞれ一体に接続されている。また、各励振電極54,55は、図4に示されているように各振動腕34,35の両側面にも形成されており、例えば、振動腕34に関しては、長溝56内の励振電極54と、その側面部の励振電極55とは互いに異極となるようにされている。また、振動腕35に関しては、長溝57内の励振電極55と、その側面部の励振電極54とは互いに異極となるようにされている。
また、各振動腕34,35の先端側、すなわち、この実施形態では各先端部には、周波数調整用の金属膜38,38が形成されている。この金属膜38,38は後述する第1の周波数調整(微調)において、レーザー光を照射されることによって、その質量が僅かに減少することで、周波数が高くなる方へ変化させるものである。この周波数調整用の金属膜38,38は励振電極54,55などの駆動用電極を形成する際に、これら駆動用電極と同じ構造にして同時に形成することができる。
図1および図2に示すように、パッケージ36には、その内側底面に矩形の凹部42を備えている。この凹部42は第2の基板64の一部を除去することにより形成することができる。凹部42は、圧電振動片32の各振動腕34,35の先端部に対応する位置に設けられており、圧電デバイス30に外部から衝撃が加えられた際に、圧電振動片32の各振動腕35,36の先端が下に振れた場合、パッケージ36の内側底部と衝突することを避けることができ、損傷を防止できるようになっている。
さらに、図2に示すようにパッケージ36の底部には孔封止用の貫通孔37が設けられている。
貫通孔37は、外部とパッケージ36の内部とを連通する孔であって、第1の孔37aと、これより縮径された第2の孔37bを重ねて設けることで、外向きの段部62を備えている。孔封止用の貫通孔は必ずしもこのような2重孔の構造を備える必要はなく、例えば外に向かって徐々に拡径するテーパ状の貫通孔でもよいが、段部62を有する孔とすることで、後述するような利点がある。
そして、封止孔61の貫通孔62は、例えば、Au−Ge等の金属封止材39を充填して、気密に封止されている。
以上の構成でなる圧電デバイス30において、図5および図6は、蓋体39の内側(内面)におけるゲッター材71の形成態様を示している。
図5の第1の実施形態では、振動腕34の先端部に金属膜38が形成されている。蓋体39の内面において、直下の金属膜38と重なる位置をよけて、圧電振動片32のより基部51(図2参照)よりの位置に対応する箇所に、ゲッター材71−1を設けている。
具体的には、図5で符合A1で示す領域に関しては、蓋体39にゲッター材71−1を形成しないようにして、レーザー光LB1が金属膜38に照射されることを妨げないようにしている。これにより、符合A1で示す領域である振動腕34の先端部分に関しては、質量削減方式による周波数調整のためのレーザー光LB1を優先して照射でき、ゲッター材の飛沫72は、それよりも基部側に付着するようにされている。
一方、図6の第2の実施形態では、振動腕34の先端部に対応する蓋体39の内面にゲッター材71−2を配置し、少なくとも振動腕34の先端部よりは、基部51よりの位置に周波数調整に使用されるべき金属膜38を設けている。図示の場合は、そのような位置(符合A2で示す範囲)よりも先端側にも金属膜38は延びているが、この部分は、使用されない。ゲッター材71−2は、符合A2で示す領域に関しては、形成しないようにして、該符合A2よりも先端側、すなわち、振動腕の先端側にゲッター材71−2の飛沫72が付着して、質量増加方向への周波数調整がより利きやすくされている。
(圧電デバイスの製造方法)
次に、圧電デバイス30の製造方法の実施形態を説明する。
図7は、本実施形態の圧電デバイス30の製造方法の実施形態を説明するための簡単なフローチャートである。
(前工程)
圧電デバイス30の圧電振動片32と、パッケージ36と、蓋体39は、前工程としてそれぞれ別々に製造される(ST11)。
蓋体39は、例えば、所定の大きさのガラス板を切断し、パッケージ36を封止するのに適合する大きさの蓋体として用意される。好ましくは、個々の蓋体の大きさに切断される前に、図2で説明したゲッター材71を蒸着もしくはスパッタリングにより形成する。
パッケージ36は、上述したように、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成形して形成される複数の基板を積層した後、焼結して形成されている。成形の際には、複数の各基板は、その内側に所定の孔を形成することで、積層した場合に内側に所定の内部空間S2を形成する。
圧電振動片32は、水晶ウエハなどを用いて、音叉型の圧電振動片32を形成する場合には、図3に示すX軸が電気軸、Y軸が機械軸及びZ軸が光軸となるように、圧電材料、例えば水晶の単結晶から該水晶ウエハが切り出されることになる。
また、水晶の単結晶から切り出す際、上述のX軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系において、Z軸を中心に時計回りに数度の範囲で回転して切り出した水晶Z板を所定の厚みに切断研磨して得られる。
そして、この水晶ウエハに必要な耐蝕膜(図示せず)を設けて、マスクとし、フッ酸溶液等を用いて、振動腕の長溝56,57の部分をハーフエッチングで形成する。
次に、駆動電極としての励振電極を形成する。
すなわち、水晶ウエハの表裏両面に電極となる金属膜を成膜する。この金属膜は、例えば、クロムを下地として金を蒸着またはスパッタリング等の手法により形成する。
その後フォトリソグラフィの手法により、図3で説明したような各電極を形成する。なお、この時に周波数調整用の金属膜38,38(質量削減方式の周波数調整用)も同時に形成される。
次に、各振動腕および基部を含む外形に適合するように図示しないマスクパターンを、例えば耐蝕膜により形成し、フッ酸溶液等を用いたウエットエッチングにより、音叉型圧電振動片としての圧電振動片32の外形を形成する(図3参照)。続いて、図3の圧電振動片32の振動腕34,35の各側面に、フォトリソグラフィの手法により、励振電極を形成することにより、圧電振動片32が完成する。
(マウント工程)
以上の前工程を実行した後で、完成した圧電振動片32の接合を行う(ST12)。
具体的には、図1および図2に示すように、導電性接着剤43,43を電極部31,31の上にそれぞれ塗布し、塗布した導電性接着剤43,43の上に圧電振動片32の基部51を載置し、かるく荷重をかける。
この状態で、ベルト炉などで過熱して導電性接着剤を硬化することにより、圧電振動片32が片持ち形式で接合される。
次いで、パッケージ36の上端に低融点金属などでなる所定のロウ材36aを配置し、真空雰囲気下において、ガラス製の蓋体39を載置して、加熱する。これにより、パッケージ36を蓋体39により気密に封止する(ST13)
続いて、孔封止工程に移る。
具体的には、上記加熱状態のまま、例えばパッケージ36を逆さにして(図示せず)、段部62の上に充填金属用の金属球等を配置する。金属球を用いると、球形であるから、ころがして孔37aに入れやすく作業が容易になる。金属球でなく、バルク状の金属板などを用いるようにしてもよい。
金属球としては、例えば、金−ゲルマニウム(Au−Ge)、金錫(Au−Sn)などが優れている。すなわち、鉛を含まない合金であるから、廃棄しても有害な鉛が生成されないし、リフロー工程でも溶融することがない。
なお、この間に貫通孔37と金属球などの隙間からパッケージ36内のガス、すなわち、蓋体の封止時における加熱で導電性接着剤43から生成されるガスや、パッケージ36のセラミックから出る水蒸気などが、外部へ排出される。
この状態で、金属球に対して、孔封止用のレーザー光(図示せず)を照射する。これにより、金属球は瞬時に溶融して貫通孔37に充填され、該貫通孔37を気密に封止することができる(ST14)。
(周波数調整工程)
次に、図2に示すように、外部から第1の周波数調整用のレーザー光LB1をパッケージ36内に照射し、圧電振動片32の金属被膜38に当てる。これにより、金属膜38の一部を蒸散させて、質量削減方式による第1の周波数調整(微調)を行うことができる(ST15)。これにより周波数を僅かに高い方へ調整することができる。
続いて、図2に示すように、外部から第2の周波数調整用のレーザー光LB2を蓋体39のゲッター材71に照射し、該ゲッター材71の一部を飛散させる。その飛沫は図5および図6にそれぞれ符合72で示すように、振動腕34の表面に付着する。
これにより、以下の2つの作用がある。
第1には、ゲッター材71がレーザー光LB2により加熱されて活性化し、周囲の水分を吸着しやすくなる。これにより、パッケージ36内の真空度が向上する。特に、第1の周波数調整により、金属膜38の一部が飛散して水蒸気を含んだその飛沫がパッケージ36の内側に付着した場合(図示せず)。加熱下において、該付着した飛沫から水蒸気成分がパッケージ36内に出る場合には、そのような水蒸気をゲッター材の飛沫72が吸着してパッケージ36内の真空度が低下しないようにすることができる。
第2には、ゲッター材の飛沫72が振動腕34の表面に付着して振動腕34の重量を増加させるので、周波数が低くなる。すなわち、周波数を低い方へシフトさせる第2の周波数調整が行われる(ST16)。
この場合、すでに説明したように、周波数調整に大きな影響を与える振動腕34の先端部に第1と第2のどちらの周波数調整を優先して施すようにするかにより図5と図6の各実施形態の相違がある。
ステップ15の場合は、第1の周波数調整がより利きやすく、図6の場合は第2の周波数調整がより利きやすい。
続いて、必要な検査を行い(ST17)、圧電デバイス30が完成する(ST18)。
本発明は上述の実施形態に限定されない。各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
また、この発明は、パッケージ内に圧電振動片を収容するものであれば、水晶振動子、水晶発振器、水晶フィルタ、SAWデバイス、ジャイロ、角度センサ等の名称にかかわらず、全ての圧電振動片とこれを利用した圧電デバイスに適用することができる。
また、上述の実施形態では、パッケージにセラミックを使用した箱状のものを利用しているが、このような形態に限らず、異なる形状のパッケージすなわち収容容器に圧電振動片を収容するものについても本発明を適用することができる。
本発明の実施形態に係る圧電デバイスの概略平面図。 図1の圧電デバイスのB−B線における概略断面図。 図1の圧電デバイスに使用される圧電振動片の概略斜視図。 図3の圧電振動片のC−C線切断端面図。 圧電デバイスの第1の実施形態の要部の拡大断面図。 圧電デバイスの第2の実施形態の要部の拡大断面図。 図1の圧電デバイスの製造方法の実施形態を示すフローチャート。
符号の説明
30・・・圧電デバイス、32・・・圧電振動片、34,35・・・振動腕、51・・・基部、36・・・パッケージ、39・・・蓋体、54,55・・・励振電極、56,57・・・長溝、71・・・ゲッター材

Claims (5)

  1. パッケージ内に圧電振動片を収容して、光透過性の蓋体により該パッケージを気密に封止した圧電デバイスであって、
    前記圧電振動片が、圧電材料で形成した基部と、該基部から延びる少なくとも一対の振動腕を有し、該振動腕の先端側であって、前記蓋体を透過させて外部からレーザー光を照射し得る位置に形成された金属膜と、
    前記蓋体の内側であって、周波数調整のために外部から照射される前記レーザー光の光路上とならない箇所で、しかも、該パッケージの外部からレーザー光を照射し得る箇所に形成したゲッター材と
    を備えることを特徴とする圧電デバイス。
  2. 前記振動腕の先端部に前記金属膜を形成し、前記蓋体の内面の前記金属膜と重なる位置をよけて、より前記基部よりの位置に対応する箇所に前記ゲッター材を設けることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
  3. 前記振動腕の先端部に対応する前記蓋体の内面に前記ゲッター材を配置し、前記振動腕の前記先端部よりも前記基部よりの位置に前記金属膜を設けることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
  4. パッケージ内に圧電振動片を接合して、光透過性の蓋体により気密に封止するようにした圧電デバイスの製造方法であって、
    前記パッケージ、前記圧電振動片、前記蓋体を個々に形成する前工程と、
    前記パッケージ内部に前記圧電振動片を接合するマウント工程と、
    前記パッケージを前記蓋体で気密に封止する封止工程と、
    前記蓋体の外部からレーザー光を照射して、前記圧電振動片の振動腕の先端側に形成した金属膜を蒸散させる第1の周波数調整工程と
    を含んでおり、
    かつ、前記第1の周波数調整工程より後段で、前記蓋体の外部からレーザー光を透過させ、前記蓋体の内側であって、周波数調整のために外部から照射される前記レーザー光の光路上とならない箇所で、しかも、該パッケージの外部からレーザー光を照射し得る箇所に形成したゲッター材に該レーザー光を照射して、該ゲッター材の一部を飛散させる第2の周波数調整工程を備える
    ことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
  5. 前記第1の周波数調整工程の後で、前記第2の周波数調整工程を連続して行うことを特徴とする請求項4に記載の圧電デバイスの製造方法。
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