JP2007251119A - 窒化物半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エッチング後の窒化物半導体の表面が清浄となり、変質層が形成されない窒化物半導体装置を得られるようにする。
【解決手段】窒化物半導体装置は、表面がエッチングされたp型GaNからなるp型光ガイド層106と、該p型光ガイド層106における被エッチング面の上に形成されたp型GaNからなるp型コンタクト層108とを有している。p型光ガイド層106とp型コンタクト層108との界面における酸素、炭素及びシリコンのうち少なくともシリコンの濃度は、p型光ガイド層106におけるドーパント濃度の10分の1以下である。
【選択図】図1
【解決手段】窒化物半導体装置は、表面がエッチングされたp型GaNからなるp型光ガイド層106と、該p型光ガイド層106における被エッチング面の上に形成されたp型GaNからなるp型コンタクト層108とを有している。p型光ガイド層106とp型コンタクト層108との界面における酸素、炭素及びシリコンのうち少なくともシリコンの濃度は、p型光ガイド層106におけるドーパント濃度の10分の1以下である。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体レーザ素子又は発光ダイオード素子等の窒化物半導体装置及びその製造方法に関する。
一般式がAlxGayIn1−x−yN(但し、x,yは、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1である。)で表わされるIII-V族窒化物半導体(以下、単に窒化物半導体と呼ぶ。)は、赤外域から紫外域までの発光光を出力可能な化合物半導体材料であり、発光装置及び受光装置への応用が期待されている。
例えば、窒化物半導体を用いたレーザ素子を作製する場合は、レーザ発振を生じる導波路の形成時及び電極の形成時にエッチングが必要となる。このときのエッチングには、反応性ガスを用いたドライエッチング法、または紫外線を照射しながら水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液によるウェットエッチング法等が挙げられる。
特開2001−250809号公報
しかしながら、前記従来のエッチング法により窒化物半導体をエッチングすると、エッチングされた窒化物半導体の表面がエッチングダメージを受けると共に、窒化物半導体のエッチング表面における酸素(O)、炭素(C)又はシリコン(Si)等の不純物の濃度が高くなってしまう。これらの不純物濃度が高い層(以下、変質層と呼ぶ。)はn型の導電性を示す場合がある。例えば、p型の窒化物半導体をエッチングした場合に、その表面に形成された不純物による変質層がn型の導電性を示すとnp接合が形成されてしまい、電流が流れにくくなるという問題がある。また、このような変質層は新たな結晶欠陥の原因ともなり得る。
本発明は、前記従来の問題に鑑み、エッチング後の窒化物半導体の表面が清浄となり、変質層が形成されない窒化物半導体装置を得られるようにすることを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明は、窒化物半導体装置を、窒化物半導体の被エッチング面における酸素、炭素又はシリコンからなる不純物の濃度を該窒化物半導体に添加されたドーパントの濃度よりも小さくする構成とする。
具体的に、本発明に係る窒化物半導体装置は、表面がエッチングされた第1の窒化物半導体と、第1の窒化物半導体における被エッチング面の上に形成された第2の窒化物半導体とを備え、第1の窒化物半導体と第2の窒化物半導体との界面における酸素、炭素及びシリコンのうち少なくともシリコンの濃度は、第1の窒化物半導体におけるドーパント濃度の10分の1以下であることを特徴とする。
本発明の窒化物半導体装置によると、表面がエッチングされた第1の窒化物半導体と該第1の窒化物半導体の被エッチング面の上に形成された第2の窒化物半導体との界面における酸素、炭素及びシリコンのうち少なくともシリコンの濃度は、第1の窒化物半導体におけるドーパント濃度の10分の1以下であるため、第1の窒化物半導体における被エッチング面にシリコン等の不純物に起因する変質層が形成され難くなる。その結果、該半導体装置に動作電流を注入した際の変質層による損失を抑えることができるので、デバイス特性をより向上することができる。
本発明の窒化物半導体装置において、第1の窒化物半導体は、p型の窒化物半導体であることが好ましい。
本発明の窒化物半導体装置において、第2の窒化物半導体は、p型の窒化物半導体であることが好ましい。
本発明の窒化物半導体装置は、それぞれが窒化物半導体からなり、基板上に順次形成された第1導電型の第1光ガイド層、活性層、第2導電型の第2光ガイド層及び第2導電型のクラッド層とをさらに備え、第1の窒化物半導体は第2光ガイド層であり、第2の窒化物半導体はクラッド層であることが好ましい。
この場合に、本発明の窒化物半導体装置は、第2光ガイド層とクラッド層との間に形成され、第2光ガイド層を露出する開口部を有し、第1導電型の窒化物半導体からなる電流ブロック層をさらに備えていることが好ましい。
本発明に係る窒化物半導体装置の製造方法は、第1の窒化物半導体をエッチングする工程(a)と、第1の窒化物半導体における被エッチング面の不純物を除去する工程(b)と、第1の窒化物半導体における被エッチング面の上に第2の窒化物半導体を形成する工程(c)とを備えていることを特徴とする。
本発明の窒化物半導体装置の製造方法によると、第1の窒化物半導体における被エッチング面の不純物を除去した後、該第1の窒化物半導体における被エッチング面の上に第2の窒化物半導体を形成するため、エッチングされた第1の窒化物半導体の露出面に形成される不純物による変質層が除去される。従って、変質層が除去された後に、第1の窒化物半導体の上に第2の窒化物半導体を形成するため、第1の窒化物半導体と第2の窒化物半導体との界面での変質層による損失を小さくできるので、良好なデバイス特性を持つ窒化物半導体装置を得ることができる。
本発明の窒化物半導体装置の製造方法は、工程(b)の後で且つ工程(c)よりも前に、第1の窒化物半導体における被エッチング面に対して熱処理を行なう工程(d)をさらに備えていることが好ましい。このようにすると、第1の窒化物半導体の被エッチング面における平坦性が改善されるため、被エッチング面の上に形成される第2の窒化物半導体における結晶性が向上する。
この場合に、工程(d)において、熱処理は窒素ラジカルを含む雰囲気で行なうことが好ましい。
本発明の窒化物半導体装置の製造方法は、工程(b)において、不純物は、工程(c)における第2の窒化物半導体の形成温度よりも高い温度で除去することが好ましい。
本発明の窒化物半導体装置の製造方法は、工程(b)において、不純物は、少なくとも水素を含むガスを用いたエッチングにより除去することが好ましい。
また、本発明の窒化物半導体装置の製造方法は、工程(b)において、不純物は、少なくとも塩化水素を含むガスを用いたエッチングにより除去することが好ましい。
本発明の窒化物半導体装置の製造方法において、不純物は、酸素、炭素及びシリコンのうちの少なくともシリコンであることが好ましい。
本発明の窒化物半導体装置の製造方法において、第1の窒化物半導体及び第2の窒化物半導体は、p型の窒化物半導体であることが好ましい。
本発明の窒化物半導体装置の製造方法は、基板の上に、それぞれ窒化物半導体からなる第1導電型の第1クラッド層、第1導電型の第1光ガイド層、活性層、第1の窒化物半導体としての第2導電型の第2光ガイド層及び第1導電型の電流ブロック層を順次形成する工程(e)と、電流ブロック層に第2光ガイド層を露出する開口部をエッチングにより形成する工程(f)と、開口部が形成された電流ブロック層と開口部から露出する第2光ガイド層の上に、第2の窒化物半導体としての第2導電型の第2クラッド層を形成する工程(g)をさらに備え、工程(b)は、第2光ガイド層における被エッチング面の不純物を除去する工程であり、工程(c)は、第2光ガイド層における被エッチング面の上に第2クラッド層を形成する工程であることが好ましい。
本発明に係る窒化物半導体装置及びその製造方法によると、表面がエッチングされた第1の窒化物半導体とその上に形成される第2の窒化物半導体との界面に形成される汚染によるシリコン等の不純物の濃度を低くできるため、動作電圧を低くすることができる等のデバイス特性を向上することができる。
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る窒化物半導体装置であって、半導体レーザ素子の模式的の断面構成を示している。
図1に示すように、本実施形態に係る半導体レーザ素子は、例えば窒化ガリウム(GaN)からなるn型の基板101上に順次形成され、Siがドープされ、厚さが2μmのn型GaN層102と、Siがドープされ、厚さが2μmのn型窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)からなるn型クラッド層103と、Siがドープされ、厚さが100nmのn型GaNからなるn型光ガイド層104と、活性層105と、Mgがドープされ、厚さが100nmのp型GaN層からなるp型光ガイド層106とを有している。
p型光ガイド層106の上には、厚さが100nmで該p型光ガイド層106を露出する開口部107aを持つn型AlGaNからなるn型電流ブロック層107が形成されている。n型電流ブロック層107の上及び開口部107aから露出するp型光ガイド層106の上には、Mgがドープされ、p型光ガイド層106の上面からの厚さが500nmのp型AlGaNからなるp型クラッド層108が形成されている。p型クラッド層108の上には、Mgがドープされ、厚さが60nmのp型GaNからなるp型コンタクト層109が形成されている。
なお、図示はしていないが、活性層105は、例えば窒化インジウムガリウム(InuGa1−uN)からなる井戸層と窒化インジウムガリウム(InvGa1−vN)からなる障壁層(但し、u,vは、0≦v<u≦1である。)とを含む多重量子井戸構造を有している。なお、活性層105における量子井戸数は、半導体レーザ素子の用途により適宜選択すればよい。また、活性層105は多重量子井戸構造に限られず、単一の量子井戸構造でもよく、さらにはバルク構造であってもよい。
活性層105を上下方向から挟むn型クラッド層103及びp型クラッド層108は、活性層105よりも大きいバンドギャップによって活性層105に注入された電子と正孔とを活性層105に閉じ込めると共に、閉じ込められた電子と正孔とが再結合してなる発光光を活性層105に閉じ込める機能を持つ。また、n型クラッド層103及びp型クラッド層108のそれぞれ活性層105側に形成されたn型光ガイド層104及びp型光ガイド層106は、生成された再結合光を活性層105に閉じ込めやすくする機能を持つ。
n型電流ブロック層107は、p型コンタクト層109及びp型クラッド層108を介して注入される電流を狭窄して活性層105に注入するために設けられている。n型電流ブロック層107の製造方法の詳細は後述するが、例えば、p型光ガイド層106の上にn型AlGaNからなる半導体層を形成した後、該半導体層をp型光ガイド層106がストライプ状に露出するまでエッチングして得られ、その後、p型光ガイド層106の露出面のエッチング時の汚染による不純物(変質層)を除去して清浄化されている。
なお、本実施形態においては、基板101におけるn型GaN層102と反対側の面上にはオーミック性のn側電極が形成され、また、p型コンタクト層109の上にはオーミック性のp側電極が形成されるが、ここでは省略している。
以下、本実施形態に係る半導体レーザ素子において、p型光ガイド層106とp型クラッド層108との界面における酸素(O)、炭素(C)及びシリコン(Si)のそれぞれのピーク濃度(以下、不純物濃度と呼ぶ。)と、半導体レーザ素子における動作電圧との測定結果を図2に示す。この測定は、p型光ガイド層106におけるp型ドーパントであるMgの濃度が1×1019cm−3である半導体レーザ素子を試料に用いている。
図2に示すように、Si等の汚染による不純物濃度が1×1017cm−3の場合の動作電圧は、その不純物濃度が1×1018cm−3の場合の値よりも、約0.3Vだけ小さくなっている。
さらに、p型光ガイド層106におけるMgの濃度と、上記の不純物濃度との関係を詳細に調べた結果を図3に示す。図3に示すように、Mgの濃度に対する不純物濃度の割合が10%の場合(プロファイルC)には、上記割合が100%の場合(プロファイルA)及び50%の場合(プロファイルB)と比較して、動作電圧が明瞭に小さくなっている。これにより、p型光ガイド層106のMgの濃度に対して、汚染による不純物濃度が10%以下であると、動作電圧として明瞭な差が現われることが分かる。
以下、前記のように構成された半導体レーザ素子の製造方法について、図4(a)〜図4(e)を参照しながら説明する。
図4(a)〜図4(e)は本発明の一実施形態に係る半導体レーザ素子の製造方法の工程順の断面構成を示している。
まず、図4(a)に示すように、例えば有機金属気相堆積(MOCVD)法により、n型GaNからなる基板101上に、n型GaN層102、n型AlGaNからなるn型クラッド層103、n型GaNからなるn型光ガイド層104、活性層105、p型GaNからなるp型光ガイド層106及びn型AlGaNからなるn型電流ブロック層107を順次エピタキシャル成長により形成する。以下、基板101からn型電流ブロック層107までの積層構造体をまとめてエピタキシャル基板111と呼ぶ。
なお、原料ガスとして、III 族のガリウム源には例えばトリメチルガリウム(TMG)を用い、アルミニウム源にはトリメチルアルミニウム(TMA)を用い、インジウム源にはトリメチルインジウム(TMI)を用いる。また、V族の窒素源には例えばアンモニア(NH3 )を用いる。なお、III 族源のバブリングガス及びキャリアガス並びにV族源のキャリアガスには、いずれも水素(H2)を用いる。また、n型ドーパントには例えばシラン(SiH4)を用い、p型ドーパントには例えばシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いる。
次に、MOCVD装置のチャンバからエピタキシャル基板111を取り出す。続いて、図4(b)に示すように、真空蒸着法により、n型電流ブロック層107の上に、チタン(Ti)と白金(Pt)との金属積層膜からなるマスク膜112を形成し、リソグラフィ法及びエッチング法により、マスク膜112に電流狭窄領域と対応するストライプ状の開口部112aを形成する。
次に、図4(c)に示すように、エピタキシャル基板111を液温が80℃で、濃度が1mol/Lの水酸化カリウム(KOH)水溶液に浸し、紫外線を照射しながら、マスク膜112の開口部112aから露出するn型電流ブロック層107に対してウェットエッチングを行なう。このウェットエッチングは、n型電流ブロック層107の下側に位置するp型光ガイド層106が露出するまで行ない、これにより、n型電流ブロック層107に電流狭窄領域である開口部107aが形成される。ここで、マスク膜112は、ウェットエッチング時の電極として機能する。なお、本実施形態においては、n型電流ブロック層107に開口部107aを形成するエッチングにウェットエッチングを用いたが、ドライエッチングを用いてもよい。ドライエッチングを用いる場合には、マスク膜112には金属積層膜に代えてレジスト膜を用いることができる。
次に、図4(d)に示すように、マスク膜112を酸性溶液等により除去した後、再度エピタキシャル基板111をMOCVD装置のチャンバに投入する。続いて、窒素源であるアンモニアと、該アンモニアのキャリアガスであり不活性ガスである窒素(N2)を供給しながら、エピタキシャル基板111を1050℃の温度にまで加熱する。基板温度が1050℃に達した後、基板温度が安定したら、アンモニアのキャリアガスを水素に切り替え、この状態を5分間維持する。このp型光ガイド層106の露出面を水素ガスにさらす工程により、ウェットエッチングによりp型光ガイド層106の被エッチング面に生じた、炭素(C)、酸素(O)及びシリコン(Si)からなる不純物を含む変質層は水素ガスによりエッチングされて除去される。ここで、加熱温度は1050℃に限られないが、開口部107aを形成するときの温度よりも高くすることが好ましい。特に、1000℃以上且つ1100℃以下の温度にすると、p型光ガイド層106の結晶性を低下させることなく、水素ガスによるエッチングを促進させることができる。
続いて、再度、アンモニアのキャリアガスを窒素に切り替え、950℃の温度で5分間の熱処理を行なう。このアンモニアと窒素との雰囲気での熱処理を高温下で行なうことにより、マストランスポート現象を生じさせ、ウェットエッチング及び水素ガスによるドライエッチングによって荒れたp型光ガイド層106における被エッチング面の平坦性を向上することができる。このアンモニアと窒素とを用いた熱処理温度は950℃に限られないが、特に、800℃以上且つ1100℃以下の温度にすると、マストランスポート現象を促進することができる。
なお、図4(d)の不純物除去工程及びマストランスポート工程において、窒素源であるアンモニアを供給するのは、エピタキシャル基板111の露出面、すなわちn型電流ブロック層107及びp型光ガイド層106から結晶を構成する窒素原子の抜け(蒸発)を抑制するためである。但し、アンモニアには限られず、窒素ラジカルを有する化合物、例えばジメチルヒドラジンを用いてもよい。
次に、図4(e)に示すように、供給ガスとして、窒素源のアンモニアとV族源のTMA及びTMGと各キャリアガスとして水素ガスとを導入し、エピタキシャル基板111の上に、p型AlGaNからなるp型クラッド層108をエピタキシャル成長し、続いて、TMAの供給を停止して、p型クラッド層108の上にp型GaNからなるp型コンタクト層109をエピタキシャル成長する。
その後は、図示していないが、真空蒸着法により、基板101におけるn型GaN層102の反対側の面上に、例えばチタン(Ti)とアルミニウム(Al)との積層膜からなるn側電極を形成し、続いて、p型コンタクト層109の上に、例えばニッケル(Ni)と金(Au)との積層膜からなるp側電極を形成し、半導体レーザ素子を作製する。このように作製した本実施形態に係る半導体レーザ素子の動作電圧は、従来の半導体レーザ素子と比べて約0.3Vだけ低い値を示し、デバイス特性が向上する。
なお、本実施形態に係る製造方法において、図4(d)に示す水素ガスによる変質層に対するエッチング時間は5分間としたが、温度及び水素の分圧等の条件により処理時間は変わるため、5分に限定されない。また、水素(H2)ガスに代えて塩化水素(HCl)ガス等の窒化物半導体に対してエッチング性を有するガスを用いても同様のエッチング効果を得ることができる。
また、その後のアンモニア及び窒素雰囲気でのマストランスポート現象を生じさせる熱処理時間においても5分間としたが、温度及びアンモニアの分圧等の条件により処理時間は変わるため、5分に限定されない。
また、n型電流ブロック層107に対する開口部107aの形成にウェットエッチングを用いたが、ドライエッチングを用いてもよい。ドライエッチングを用いた場合でも、被エッチング面には、ウェットエッチング時と同様に、炭素、酸素及びシリコンからなる不純物を含む変質層ができるため、本実施形態に係る製造方法を用いることにより、変質層を容易に除去することができる。
なお、汚染不純物のうち、炭素は例えばレジスト膜を構成する有機樹脂材等に起因し、酸素はレジスト膜や雰囲気(大気)に起因し、シリコンは例えばチャンバを構成する石英やn型ドーパントに用いるシラン等に起因する。
図5に本実施形態に係る半導体レーザ素子におけるp型光ガイド層106とp型クラッド層108との再成長界面でのp型ドーパントであるマグネシウム(Mg)並びに汚染不純物である炭素(C)、酸素(O)及びシリコン(Si)を2次イオン質量分析(SIMS)法により求めた結果を、図6の従来例と比較して示す。
図5に示すように、本実施形態に係る半導体レーザ素子の場合は、炭素、酸素及びシリコンの濃度のうち最も高いシリコンの濃度が、p型ドーパントであるマグネシウムの約10分の1程度の値を示しており、変質層が除去されていることが分かる。
これに対し、図6に示す従来例の場合は、炭素、酸素及びシリコンの濃度のうち最も高いシリコンの濃度が、マグネシウムよりも高くなっており、変質層が存在していることが分かる。
なお、本実施形態においては、エッチングされる一の窒化物半導体層(p型光ガイド層106)とエッチングされた後に再成長される他の窒化物半導体層(p型クラッド層108)の導電型を共にp型としたが、エッチングされる一の窒化物半導体層とその上に再成長される他の窒化物半導体層の導電型は共にn型であってもよく、また、互いに異なる導電型であってもよい。
本発明に係る窒化物半導体装置及びその製造方法は、表面がエッチングされた窒化物半導体とその上に形成される他の窒化物半導体との界面に形成される汚染による不純物の濃度を低くできるため、デバイス特性を向上することができ、半導体レーザ素子又は発光ダイオード素子等の窒化物半導体装置等に有用である。
101 基板
102 n型GaN層
103 n型クラッド層
104 n型光ガイド層
105 活性層
106 p型光ガイド層(第1の窒化物半導体)
107 n型電流ブロック層
107a 開口部
108 p型クラッド層(第2の窒化物半導体)
109 p型コンタクト層
111 エピタキシャル基板
112 Ti/Pt膜
112a 開口部
102 n型GaN層
103 n型クラッド層
104 n型光ガイド層
105 活性層
106 p型光ガイド層(第1の窒化物半導体)
107 n型電流ブロック層
107a 開口部
108 p型クラッド層(第2の窒化物半導体)
109 p型コンタクト層
111 エピタキシャル基板
112 Ti/Pt膜
112a 開口部
Claims (14)
- 表面がエッチングされた第1の窒化物半導体と、
前記第1の窒化物半導体における被エッチング面の上に形成された第2の窒化物半導体とを備え、
前記第1の窒化物半導体と前記第2の窒化物半導体との界面における酸素、炭素及びシリコンのうち少なくともシリコンの濃度は、前記第1の窒化物半導体におけるドーパント濃度の10分の1以下であることを特徴とする窒化物半導体装置。 - 前記第1の窒化物半導体は、p型の窒化物半導体であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体装置。
- 前記第2の窒化物半導体は、p型の窒化物半導体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化物半導体装置。
- それぞれが窒化物半導体からなり、基板上に順次形成された第1導電型の第1光ガイド層、活性層、第2導電型の第2光ガイド層及び第2導電型のクラッド層とをさらに備え、
前記第1の窒化物半導体は前記第2光ガイド層であり、前記第2の窒化物半導体は前記クラッド層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置。 - 前記第2光ガイド層と前記クラッド層との間に形成され、前記第2光ガイド層を露出する開口部を有し、第1導電型の窒化物半導体からなる電流ブロック層をさらに備えていることを特徴とする請求項4に記載の窒化物半導体装置。
- 第1の窒化物半導体をエッチングする工程(a)と、
前記第1の窒化物半導体における被エッチング面の不純物を除去する工程(b)と、
前記第1の窒化物半導体における被エッチング面の上に第2の窒化物半導体を形成する工程(c)とを備えていることを特徴とする窒化物半導体装置の製造方法。 - 前記工程(b)の後で且つ前記工程(c)よりも前に、前記第1の窒化物半導体における被エッチング面に対して熱処理を行なう工程(d)をさらに備えていることを特徴とする請求項6に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
- 前記工程(d)において、前記熱処理は窒素ラジカルを含む雰囲気で行なうことを特徴とする請求項7に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
- 前記工程(b)において、前記不純物は、前記工程(c)における前記第2の窒化物半導体の形成温度よりも高い温度で除去することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
- 前記工程(b)において、前記不純物は、少なくとも水素を含むガスを用いたエッチングにより除去することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
- 前記工程(b)において、前記不純物は、少なくとも塩化水素を含むガスを用いたエッチングにより除去することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
- 前記不純物は、酸素、炭素及びシリコンのうちの少なくともシリコンであることを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
- 前記第1の窒化物半導体及び第2の窒化物半導体は、p型の窒化物半導体であることを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置。
- 基板の上に、それぞれ窒化物半導体からなる第1導電型の第1クラッド層、第1導電型の第1光ガイド層、活性層、前記第1の窒化物半導体としての第2導電型の第2光ガイド層及び第1導電型の電流ブロック層を順次形成する工程(e)と、
前記電流ブロック層に前記第2光ガイド層を露出する開口部をエッチングにより形成する工程(f)と、
前記開口部が形成された前記電流ブロック層と前記開口部から露出する前記第2光ガイド層の上に、前記第2の窒化物半導体としての第2導電型の第2クラッド層を形成する工程(g)をさらに備え、
前記工程(b)は、前記第2光ガイド層における被エッチング面の不純物を除去する工程であり、
前記工程(c)は、前記第2光ガイド層における被エッチング面の上に前記第2クラッド層を形成する工程であることを特徴とする請求項6〜13のいずれか1項に記載の窒化物半導体装置の製造方法。
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JP2006302256A JP2007251119A (ja) | 2006-02-20 | 2006-11-08 | 窒化物半導体装置及びその製造方法 |
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